(Translated by https://www.hiragana.jp/)
絶縁耐力 - Wikipedia コンテンツにスキップ

絶縁ぜつえんたいりょく

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

物理ぶつりがくにおいて、絶縁ぜつえんたいりょくという用語ようご以下いか意味いみつ。

物質ぶっしつ絶縁ぜつえんたいりょくバルク物質ぶっしつ固有こゆう性質せいしつであり、物質ぶっしつ電極でんきょく形状けいじょうにはよらない。これは理想りそうてき条件下じょうけんかじゅん物質ぶっしつもちいて測定そくていされるりょうである。絶縁ぜつえん破壊はかいとは、電場でんじょうによって物質ぶっしつちゅう電子でんし束縛そくばくかれることをいう。もともと絶縁ぜつえんたいなかには環境かんきょう放射線ほうしゃせん効果こうか束縛そくばくかれた電子でんしいち定数ていすう存在そんざいしているが、十分じゅうぶんつよ電場でんじょうくわえれば、自由じゆうになった電子でんし加速かそくされ、電気でんきてき中性ちゅうせい原子げんし分子ぶんし衝突しょうとつしてそれらから電子でんしはじすことができるまでになる。このプロセスをアバランシェ降伏ごうぶくという。絶縁ぜつえん破壊はかい短時間たんじかんしょうじ(典型てんけいてきにはかずナノびょう)、その結果けっか物体ぶったい全体ぜんたいにわたって導電性どうでんせい経路けいろ形成けいせいされ、破裂はれつ放電ほうでん瞬間しゅんかんてき電流でんりゅう増大ぞうだい)がきる。固体こたい物質ぶっしつにひとたび絶縁ぜつえん破壊はかいしょうじると、その絶縁ぜつえんせい低下ていかするか完全かんぜんうしなわれる。

具体ぐたいてき構造こうぞうについてのかけの絶縁ぜつえんたいりょくは、以下いかのような要因よういん影響えいきょうされる。

  • 試料しりょうあつさがえるとともに絶縁ぜつえんたいりょく低下ていかする(後述こうじゅつ)。
  • 動作どうさ温度おんど英語えいごばん上昇じょうしょうするとともに絶縁ぜつえんたいりょく低下ていかする。
  • 周波数しゅうはすうえるとともに絶縁ぜつえんたいりょく低下ていかする。
  • 窒素ちっそろくフッ硫黄いおうなど、気体きたいおおくは湿度しつど上昇じょうしょうとともに絶縁ぜつえんたいりょく低下ていかする。
  • 空気くうき湿度しつど上昇じょうしょうとともに絶縁ぜつえんたいりょくがわずかに上昇じょうしょうする。

絶縁ぜつえん破壊はかい電界でんかい強度きょうど

[ソースを編集へんしゅう]

絶縁ぜつえん破壊はかいきる電界でんかい強度きょうど対象たいしょう物質ぶっしつ電極でんきょく形状けいじょうや、電界でんかい強度きょうど増加ぞうか速度そくど依存いぞんする。現実げんじつ誘電ゆうでんたい物質ぶっしつ微細びさい欠陥けっかんっているため、実用じつようじょう絶縁ぜつえんたいりょく欠陥けっかんたない理想りそうてき物質ぶっしつよりもちいさくなる。おな物質ぶっしつであっても薄膜うすまくほうあつ試料しりょうよりも欠陥けっかん影響えいきょうちいさいため絶縁ぜつえんたいりょくたかくなる傾向けいこうがある。たとえば、あつすう100 nmからかず μみゅーmの二酸化にさんかケイ素けいそ薄膜うすまくは0.56 GV/m絶縁ぜつえんたいりょく[1]。ただし、非常ひじょううす薄膜うすまく目安めやすとして100 nm以下いか)は電子でんしトンネル効果こうかにより絶縁ぜつえんせいうしなう。こうあつコンデンサーパルストランスのように、実効じっこうてき絶縁ぜつえんたいりょく最大さいだいする必要ひつようがある場合ばあい複数ふくすう誘電ゆうでんたい薄膜うすまく積層せきそうして使用しようする。気体きたい絶縁ぜつえんたいりょく電極でんきょく形状けいじょう配置はいちによってわるため、窒素ちっそガスの絶縁ぜつえんたいりょくたいするとしてあらわされるのが普通ふつうである。

一般いっぱんてき物質ぶっしつ絶縁ぜつえんたいりょく以下いかひょうしめす。

物質ぶっしつ 絶縁ぜつえんたいりょく(MV/m)
ヘリウム窒素ちっそたいする相対そうたい[2] 0.15
空気くうき 3.0
アルミナ[2] 13.4
まどガラス[2] 9.8 - 13.8
ホウケイ酸けいさんガラス[2] 20 - 40
シリコンオイル, 鉱油こうゆ[2][3] 10 - 15
ベンゼン[2] 163
ポリスチレン[2] 19.7
ポリエチレン[4] 19 - 160
ネオプレンゴム[2] 15.7 - 26.7
みず[2] 65 - 70
溶融ようゆう石英せきえい[5] 25 - 40(20 °C
ろう[6] 40 - 60
PTFE(テフロン、押出おしだし成形せいけい[2] 19.7
PTFE(テフロン、絶縁ぜつえんまく[2][7] 60 - 173
雲母うんも [2] 118
ダイアモンド[8] 2000
PZT [9][10] 10 - 25
真空しんくう電解でんかい放出ほうしゅつたいする上限じょうげん[11] 20 - 40(電極でんきょく形状けいじょう依存いぞん
真空しんくうシュウィンガー限界げんかい英語えいごばん 1012

脚注きゃくちゅう

[ソースを編集へんしゅう]
  1. ^ Electrical insulation properties of sputter-deposited SiO2, Si3N4 and Al2O3 films at room temperature and 400 °C - Bartzsch - 2009 - physica status solidi (a) - Wiley Online Library”. Onlinelibrary.wiley.com (2009ねん1がつ21にち). 2011ねん11月8にち閲覧えつらん
  2. ^ a b c d e f g h i j k l en:CRC Handbook of Chemistry and Physics
  3. ^ 3.5.1 Electrical Breakdown and Failure”. Tf.uni-kiel.de. 2011ねん11月8にち閲覧えつらん
  4. ^ Dielectric Strength of Polyethylene”. Hypertextbook.com. 2011ねん11月8にち閲覧えつらん
  5. ^ Fused silica datapage
  6. ^ Dielectric Strength of Waxed Paper”. Hypertextbook.com. 2011ねん11月8にち閲覧えつらん
  7. ^ Glenn Elert. “Dielectrics - The Physics Hypertextbook”. Physics.info. 2011ねん11月8にち閲覧えつらん
  8. ^ Electronic properties of diamond”. el.angstrom.uu.se. 2013ねん8がつ10日とおか閲覧えつらん
  9. ^ Moazzami, Reza; Chenming Hu; William H. Shepherd (September 1992). “Electrical Characteristics of Ferroelectric PZT Thin Films for DRAM Applications”. IEEE Transactions on Electron Devices 39 (9): 2044. Bibcode1992ITED...39.2044M. doi:10.1109/16.155876. http://www.eecs.berkeley.edu/~hu/PUBLICATIONS/Hu_papers/Hu_JNL/HuC_JNL_114.pdf 2016ねん8がつ22にち閲覧えつらん. 
  10. ^ B. Andersen, E. Ringgaard, T. Bove, A. Albareda, and R. Pérez (2000). “Performance of Piezoelectric Ceramic Multilayer Components Based on Hard and Soft PZT”. Proceedings of Actuator 2000: 419–422. http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.484.1074&rep=rep1&type=pdf 2016ねん8がつ22にち閲覧えつらん. 
  11. ^ http://www.htee.tu-bs.de/forschung/veroeffentlichungen/giere2002.pdf
  • パブリックドメイン この記事きじにはパブリックドメインである、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく連邦れんぽう政府せいふ作成さくせいしたつぎ文書ぶんしょ本文ほんぶんふくむ。Federal Standard 1037C. アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく連邦れんぽう政府せいふ一般いっぱん調達ちょうたつきょく.MIL-STD-188うち


関連かんれん項目こうもく

[ソースを編集へんしゅう]

外部がいぶリンク

[ソースを編集へんしゅう]