鉱毒こうどく

リオティント川がわの酸性さんせい鉱山こうざん排水はいすい

鉱毒こうどく（こうどく）とは、鉱山こうざんから排出はいしゅつされる物質ぶっしつ（排水はいすいや煤煙ばいえんなど）であって人体じんたいに有害ゆうがいな影響えいきょうをあたえる物質ぶっしつ。鉱害こうがいの原因げんいん物質ぶっしつの概念がいねんのひとつ。 鉱毒こうどくは主おもにヒ素ひそ、硫酸りゅうさん、水銀すいぎんなどの化学かがく物質ぶっしつで構成こうせいされ、周辺しゅうへんの土壌どじょうや地表ちひょう水すい、地下水ちかすいに有害ゆうがいな影響えいきょうを及およぼす。適切てきせつな予防よぼう措置そちを怠おこたると、広範囲こうはんいにわたる汚染おせんを引ひき起おこし、生態せいたい系けいや地域ちいき生活せいかつに深刻しんこくな影響えいきょうをもたらす。

原因げんいん物質ぶっしつ

酸性さんせい鉱山こうざん廃水はいすい(AMD)

詳細しょうさいは「:en:Acid mine drainage」を参照さんしょう

地下ちかでの採掘さいくつは水位すいいより下したで進行しんこうすることが多おおいため、浸水しんすいを防ふせぐためには常つねに坑道こうどうから水みずを汲くみ上あげなければならない。鉱山こうざんが閉山へいざんされると、水みずの汲くみ上あげが止とまり、鉱山こうざんが浸水しんすいする。ほとんどの酸性さんせい岩がん由来ゆらいの排水はいすいはこの水みずがきっかけになることが多おおい。

ポルトガルの酸性さんせい鉱山こうざんの排水はいすい

酸性さんせいの岩石がんせきによる排水はいすいは、岩石がんせきの風化ふうか過程かていの一部いちぶとして自然しぜんに発生はっせいすることもあるが、通常つうじょう、採掘さいくつやその他たの大だい規模きぼな建設けんせつ活動かつどう特有とくゆうの大だい規模きぼな地盤じばんのかく乱らんによって、硫化りゅうか物ぶつ鉱物こうぶつを豊富ほうふに含ふくむ岩石がんせきで悪化あっかする。地盤じばんが乱みだされた地域ちいき（建設けんせつ現場げんば、関連かんれん施設しせつ、輸送ゆそう路ろなど）では、酸性さんせい岩がん由来ゆらいの排水はいすいが発生はっせいすることがある。多おおくの地域ちいきでは、石炭せきたんの貯蔵ちょぞう所しょ、取扱とりあつかい施設しせつ、洗浄せんじょう場じょう、廃棄はいき所しょから排水はいすいされる液体えきたいが強酸きょうさん性せいになることがあり、そのような場合ばあいには酸性さんせい鉱山こうざん排水はいすい（AMD）として扱あつかわれる。また、大だい規模きぼな海面かいめん上昇じょうしょうが起おきると、沿岸えんがん・河口かこう条件じょうけんで形成けいせいされた酸性さんせいの硫酸りゅうさん塩しおを含ふくむ土壌どじょうが撹乱かくらんされ、同様どうようの化学かがく反応はんのうやプロセスが発生はっせいし、環境かんきょう問題もんだいとなることがある。 鉱山こうざん排水はいすいを監視かんし・制御せいぎょするために、分水ぶんすい、ため池いけへの封ふうじ込こめ、地下水ちかすいの汲くみ上あげ、 地下ちかへの排水はいすい、地下ちかでの障壁しょうへきの建設けんせつが有効ゆうこうである。AMDの場合ばあい、汚染おせん水すいは一般いっぱん的てきに汚染おせん物質ぶっしつを中和ちゅうわする処理しょり施設しせつに汲くみ上あげられる 。

重金属じゅうきんぞく

流出りゅうしゅつ水すいや地下水ちかすいによる金属きんぞくや重金属じゅうきんぞくの溶解ようかい・流出りゅうしゅつも、ブリティッシュ・コロンビア州しゅうバンクーバー近郊きんこうの旧きゅう銅どう鉱山こうざんブリタニア鉱山こうざんなど、鉱山こうざんの環境かんきょう問題もんだいの一いち例れいである。オクラホマ州しゅうピッチャーの廃鉱はいこう地ちで、現在げんざいはアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく環境かんきょう保護ほご庁ちょうのスーパーファンド法ほうの保護ほご対象たいしょうとなっているタール・クリークも重金属じゅうきんぞく汚染おせんが問題もんだい視しされており、鉛なまりやカドミウムなどの重金属じゅうきんぞくが溶存ようぞんした鉱山こうざんの排水はいすいによって地下水ちかすいが汚染おせんされた 。 キプロスの廃はい銅どう鉱山こうざんスクーリオティッサでは、長期ちょうきに保管ほかんされた鉱滓こうさいや粉塵ふんじんが風ふうで飛とばされたことが汚染おせんの原因げんいんとなった。地球ちきゅう温暖おんだん化かや採掘さいくつ活動かつどうの増加ぞうかなどによる環境かんきょう変化へんかで、河川かせん堆積たいせき物ぶつ中ちゅうの重金属じゅうきんぞくの含有がんゆう量りょうを増加ぞうかする可能かのう性せいが指摘してきされている。

生態せいたい系けいへの影響えいきょう

鉱山こうざんの尾お鉱こうで汚染おせんされたオキ・テディ川がわ

鉱山こうざんを埋設まいせつすることで生物せいぶつの生息せいそく地ちを大おおきく変かえ、開発かいはつ区域くいきを越こえて大だい規模きぼに発生はっせいし、鉱山こうざん廃棄はいき物ぶつの残留ざんりゅう物ぶつによる環境かんきょう汚染おせんなどが起おきる。鉱山こうざんの閉山へいざん後ごも、悪影響あくえいきょうは長期間ちょうきかんにわたって観察かんさつされる可能かのう性せいがある 。生息せいそく地ちの破壊はかいが生物せいぶつ多様たよう性せいの損失そんしつの主おもな要因よういんであるが、鉱山こうざんから抽出ちゅうしゅつされた物質ぶっしつによる直接的ちょくせつてきな被ひ毒どくや、食物しょくもつや水みずを介かいした間接かんせつ的てきな被ひ毒どくは、動物どうぶつや植物しょくぶつ、微生物びせいぶつにも影響えいきょうを与あたえる。pHや温度おんどの変化へんかなどの生息せいそく地ちの環境かんきょう変化へんかは、周辺しゅうへん地域ちいきの生物せいぶつ群集ぐんしゅうを撹乱かくらんする。特とくに固有こゆう種しゅは、非常ひじょうに特殊とくしゅな環境かんきょう条件じょうけんを必要ひつようとするため、影響えいきょうを受うけやすく、生息せいそく地ちの破壊はかいやわずかな環境かんきょう変化へんかによって絶滅ぜつめつの危険きけんにさらされやすい。

重金属じゅうきんぞくの濃度のうどは鉱山こうざんからの距離きょりとともに減少げんしょうすることが知しられており 、生物せいぶつ多様たよう性せいへの影響えいきょうも同おなじ傾向けいこうがある。影響えいきょうは、汚染おせん物質ぶっしつの移動いどう性せいとバイオアベイラビリティによって大おおきく変化へんかする可能かのう性せいがある。例たとえば、堆積たいせき物ぶつ中ちゅうの金属きんぞくイオンの溶解ようかいは、それらのバイオアベイラビリティを変更へんこうし、水生すいせい生物せいぶつに対たいする毒性どくせいを変かえることがある。

生物せいぶつ濃縮のうしゅくは汚染おせんされた生息せいそく地ちで深刻しんこくなものになる。生物せいぶつ多様たよう性せいに対たいする鉱業こうぎょうの影響えいきょうは、暴露ばくろされた生物せいぶつを直接ちょくせつ殺ころすほどの濃度のうどではなくても、この現象げんしょうにより、食物しょくもつ連鎖れんさの上位じょういにいる種しゅにとってはより大おおきなものになる 。

採掘さいくつによる生物せいぶつ多様たよう性せいへの悪影響あくえいきょうは、汚染おせん物質ぶっしつの性質せいしつ、環境かんきょう中ちゅうに存在そんざいする濃度のうど、生態せいたい系けいそのものの性質せいしつに大おおきく左右さゆうされる。人為じんい的てきな撹乱かくらんに対たいして非常ひじょうに抵抗ていこう力りょくのある種しゅもあれば、汚染おせんされた地域ちいきから完全かんぜんに消滅しょうめつする種たねもある。長期間ちょうきかんを経へても生息せいそく地ちが汚染おせんから完全かんぜんに回復かいふくすることは難むずかしい。

河川かせん・海洋かいよう

鉱業こうぎょうはさまざまな方法ほうほうで水生すいせい生物せいぶつの多様たよう性せいに影響えいきょうを与あたえる可能かのう性せいがある。汚染おせん物質ぶっしつが堆積たいせき物ぶつ中ちゅうで移動いどうしている場合ばあい や水中すいちゅう で生物せいぶつ学がく的てきに作用さようする場合ばあいは、より高たかいリスクとなる。鉱山こうざん排水はいすいは水みずのpHを変化へんかさせる可能かのう性せいがあり、生物せいぶつへの直接的ちょくせつてきな影響えいきょうとpH変化へんかによる影響えいきょうを区別くべつすることは困難こんなんである。にもかかわらず、pHの変化へんかによって水生すいせい生物せいぶつへの影響えいきょうが引ひき起おこされることが証明しょうめいされている 。 汚染おせん物質ぶっしつは物理ぶつり的てきな影響えいきょうを介かいしても水生すいせい生物せいぶつにも影響えいきょうを与あたえる可能かのう性せいがある 金属きんぞく酸化さんか物ぶつの堆積たいせきは、藻類そうるいまたはその基質きしつを覆おおうことで個体こたい数すうを減少げんしょうさせ、その群生ぐんせいを妨害ぼうがいする。

汚染おせんされたカナダのオジスコ湖こ

酸性さんせい鉱山こうざん排水はいすい地ちの生物せいぶつ群集ぐんしゅうに影響えいきょうを与あたえる要因よういんは、季き節ぶしでも変化へんかする。温度おんど、降雨こうう量りょう、pH、塩分えんぶん濃度のうど、金属きんぞく量りょうはすべて長期ちょうき的てきに変化へんかし、生物せいぶつ集団しゅうだんに大おおきな影響えいきょうを与あたえる可能かのう性せいがある。pHや温度おんどの変化へんかは金属きんぞくの溶解ようかい度どに影響えいきょうを与あたえ、それによって生物せいぶつに直接ちょくせつ影響えいきょうを与あたえる生物せいぶつ利用りよう可能かのう量りょうに影響えいきょうを与あたえる可能かのう性せいがある。さらに、その影響えいきょうは長期間ちょうきかんに持続じぞくする。例たとえば90年ねん前まえに閉山へいざんした黄鉄鉱おうてっこう鉱山こうざんでは、水みずのpHはまだ非常ひじょうに低ひくく、微生物びせいぶつの個体こたい群ぐんは主おもに酸さん球菌きゅうきんで構成こうせいされていたことが確たしかめられた。

プランクトン

亜鉛あえん濃度のうどの高たかい酸性さんせい水みずでは藻類そうるい群集ぐんしゅうの多様たよう性せいが低下ていかし 、鉱毒こうどくによる負荷ふかが藻類そうるいの一いち次じ生産せいさん量りょうを減少げんしょうさせる。珪藻けいそう類るいの群集ぐんしゅうは、あらゆる化学かがく的てき変化へんか やpHの植物しょくぶつプランクトン群集ぐんしゅう によって大おおきく変化へんかし、金属きんぞく濃度のうどが高たかいとプランクトン種しゅの多様たよう性せいが低下ていかする。 珪藻けいそう類るいの中なかには、金属きんぞく濃度のうどの高たかい堆積たいせき物ぶつ中ちゅうに生育せいいくする種たねもある。 また、表層ひょうそうに近ちかい堆積たいせき物ぶつでは、シストが腐食ふしょくや重じゅう被覆ひふくに悩なやまされる 。 非常ひじょうに汚染おせんされた条件じょうけんでは、藻類そうるいの総そうバイオマスが非常ひじょうに少すくなく、浮遊ふゆう性せい珪藻けいそう類るい群集ぐんしゅうが欠落けつらくしている が、機能きのう的てきに補完ほかんされている場合ばあいは、植物しょくぶつプランクトンや動物どうぶつプランクトンの質量しつりょうが安定あんていしている可能かのう性せいがある。

水生すいせい生物せいぶつ

鉱山こうざん周辺しゅうへんの水生すいせい昆虫こんちゅうや甲殻こうかく類るいは鉱毒こうどくによって 、栄養えいよう学がく的てきな完全かんぜん性せいが低下ていかしたり、捕食ほしょく者しゃによって個体こたい数すうが減少げんしょうするといった影響えいきょうを受うける。しかし、影響えいきょうを受うけやすい種たねが耐たい性せいのある種しゅに置おき換かえられれば、脊椎動物せきついどうぶつの生物せいぶつ多様たよう性せいは高たかい状態じょうたいを維持いじすることができる 。 地域ちいきの多様たよう性せいが減少げんしょうした場合ばあいでも、河川かせんの汚染おせんが個体こたい数すうに影響えいきょうを及およぼさないこともある 。 これは汚染おせんされた場所ばしょで、同おなじ機能きのうを果はたす耐たい性せいのある種しゅが、影響えいきょうを受うけやすい種たねの代かわりを務つとめることを示唆しさしている。魚類ぎょるいもまた、pH や 温度おんど変化へんか、化学かがく物質ぶっしつ濃度のうどに影響えいきょうされることがある。 [25]。

陸上りくじょう

植物しょくぶつ

鉱毒こうどくで汚染おせんされた場所ばしょでは、表土ひょうどの土質どしつや水分すいぶん量りょうが大おおきく変化へんかする可能かのう性せいがあり、その地域ちいきの植生しょくせいの変化へんかにつながる。ほとんどの植物しょくぶつは土壌どじょう中ちゅうの低てい濃度のうどの金属きんぞくに対たいする耐たい性せいを持もっているが、その感受性かんじゅせいは種たねによって異ことなる。地ち被ひ類るいの多様たよう性せいと総そう被覆ひふく率りつは、高こう濃度のうどの汚染おせん物質ぶっしつの影響えいきょうを受うけにくく、広葉こうよう草本そうほんや低木ていぼくよりも影響えいきょうを受うけにくい。より抵抗ていこう力りょくのある種しゅは、これらのレベルを生いき延のびることができ、土壌どじょう中ちゅうの金属きんぞくに耐たえることができる。また、生態せいたい学がく的てきな主導しゅどう権けんを獲得かくとくするために外来がいらい種しゅが鉱山こうざんの周辺しゅうへんの土地とちに移動いどうすることもある。

例たとえば、ヒ素ひその土壌どじょう含有がんゆう量りょうは蘚苔せんたい類るいの多様たよう性せいを減少げんしょうさせ、化学かがく的てき汚染おせんによる土壌どじょうの酸性さんせい化かもまた、種たねの数かずの減少げんしょうにつながる 。 汚染おせん物質ぶっしつは微生物びせいぶつを改変かいへんしたり、撹乱かくらんしたりして、栄養えいようの利用りよう可能かのう性せいを変かえ、その地域ちいきの植生しょくせいの損失そんしつを引ひき起おこす。 一部いちぶの樹木じゅもくの根ねは、汚染おせん地域ちいきを避さけるため、より深ふかい土壌どじょう層そうから遠とおざかろうと深ふかい土壌どじょう層そう内ないでの定着ていちゃく力りょくを欠かいた結果けっか、樹木じゅもく高だかや地上ちじょう部分ぶぶんの重量じゅうりょうが増加ぞうかし、風ふうによって根ねこそぎされる可能かのう性せいがある。 この理由りゆうで、汚染おせん地域ちいきではそうでない地域ちいきに比くらべ根ねの探索たんさくが減少げんしょうする 。 植物しょくぶつ種しゅの多様たよう性せいは、汚染おせんされていない地域ちいきに比くらべて、回復かいふくした生息せいそく地ちでも低ひくいままであると考かんがえられる。

作物さくもつも、鉱山こうざんの近ちかくで影響えいきょうを受うける可能かのう性せいがある。ほとんどの作物さくもつは軽度けいどに汚染おせんされた場所ばしょでも生育せいいくできるが、収量しゅうりょうは通常つうじょうの栽培さいばい条件じょうけんよりも低ひくくなる。また、植物しょくぶつは地上ちじょう部分ぶぶんの器官きかんに重金属じゅうきんぞくを蓄積ちくせきする傾向けいこうがあり、果物くだものや野菜やさいを介かいして人間にんげんが重金属じゅうきんぞくを摂取せっしゅすることがある。このように汚染おせんされた作物さくもつの消費しょうひは、長期ちょうき的てきな金属きんぞく曝露ばくろによる健康けんこう問題もんだいにつながる可能かのう性せいがある 。 例たとえば、汚染おせんされた場所ばしょで栽培さいばいされたタバコから作つくられたたばこも、タバコの葉はにカドミウムと亜鉛あえんが蓄積ちくせきされる傾向けいこうがあるため、人間にんげんに悪影響あくえいきょうを及およぼす可能かのう性せいがある。

動物どうぶつ

動物どうぶつは鉱毒こうどくで中毒ちゅうどくを起おこすことがある。馬うまやヤギ、羊ひつじは牧草ぼくそうの中なかの銅どうと鉛なまりにさらされている 。 銅どう鉱山こうざんの周辺しゅうへんでは、銅どう濃度のうどの高たかい土壌どじょうにはアリの種類しゅるいが少すくない 。 もしアリの数かずが少すくなければ、周辺しゅうへんの景観けいかんに住すむ他ほかの生物せいぶつも銅どう濃度のうどの高たかさの影響えいきょうを強つよく受うけている可能かのう性せいが高たかい。アリは土壌どじょうの中なかで直接ちょくせつ生活せいかつしているため、その地域ちいきが生息せいそく地ちであるかどうかの判断はんだん力りょくに優すぐれており、環境かんきょうの乱みだれに敏感びんかんであるためである。

微生物びせいぶつ

微生物びせいぶつは、その大おおきさゆえに、pHの変化へんかや温度おんど変化へんか、化学かがく物質ぶっしつの濃度のうどなどの環境かんきょう変化へんかに非常ひじょうに敏感びんかんである。例たとえば、土壌どじょう中ちゅうのヒ素ひそやアンチモンの存在そんざいは、土壌どじょう中ちゅうの総そうバクテリアの減少げんしょうにつながっている。 水域すいいきの感受性かんじゅせいと同様どうように、土壌どじょうのpHのわずかな変化へんかは、pHに敏感びんかんな生物せいぶつへの直接的ちょくせつてきな影響えいきょうに加くわえて、汚染おせん物質ぶっしつの再さい固定こてい化かを引ひき起おこす可能かのう性せいがある 。

微生物びせいぶつは全ぜん個体こたい群ぐんの中なかで多種たしゅ多様たような遺伝子いでんしを持もっているため、影響えいきょうが極端きょくたんにならない限かぎり、一部いちぶのコロニーが持もっている耐たい性せい遺伝子いでんしによって種たねの存続そんぞくの可能かのう性せいが高たかくなる。とはいえ、このような条件じょうけんでは、遺伝子いでんしの多様たよう性せいが大おおきく失うしなわれ、結果けっかとして、その後ごの変化へんかへの適応てきおうの可能かのう性せいが低下ていかすることになる。重金属じゅうきんぞく汚染おせん地域ちいきの土壌どじょうでは、土壌どじょう微生物びせいぶつ相しょうや微生物びせいぶつ叢くさむらの活動かつどうが低下ていかしており、個体こたい数すうの減少げんしょうや活動かつどうの低下ていかの要因よういんとなっている 。

アーバスキュラー菌きん根ねは、化学かがく物質ぶっしつの存在そんざいに特とくに敏感びんかんであり、植物しょくぶつの根ねが定着ていちゃくしないできないほどに土壌どじょうを攪乱かくらんすることがある。しかし、一部いちぶの菌類きんるいは、汚染おせん物質ぶっしつの生物せいぶつ分散ぶんさん性せいを変化へんかさせることで、汚染おせん物質ぶっしつの蓄積ちくせき能力のうりょくや土壌どじょう浄化じょうか能力のうりょくを有ゆうしており、化学かがく物質ぶっしつによる潜在せんざい的てきな被害ひがいから植物しょくぶつを保護ほごすることができる。 このことから微生物びせいぶつの利用りようによって、鉱山こうざん廃棄はいき物ぶつ汚染おせんによる生物せいぶつ多様たよう性せいの損失そんしつを防ふせぐことができる。具体ぐたい的てきにはバイオレメディエーション、すなわち汚染おせんされた土壌どじょうから望のぞましくない化学かがく物質ぶっしつを除去じょきょできる技術ぎじゅつを利用りようすることが提案ていあんされている。逆ぎゃくに、微生物びせいぶつの中なかには環境かんきょうを悪化あっかさせるものもあり、水中すいちゅうの硫酸りゅうさんイオン濃度のうどの上昇じょうしょうに伴ともない、多おおくの水生すいせい植物しょくぶつや生物せいぶつにとって有毒ゆうどくである硫化りゅうか水素すいそを発生はっせいさせる微生物びせいぶつを増加ぞうかさせることが示唆しさされている。

人体じんたいへの影響えいきょう

人間にんげんもまた、鉱毒こうどくの影響えいきょうを受うけており、それはしばしば深刻しんこくな健康けんこう問題もんだいとなって現あらわれることがある。その種類しゅるいは数多かずおおく存在そんざいし、製せい錬作れんさく業ぎょう中ちゅうでは、浮遊ふゆう粒子りゅうし状じょう物質ぶっしつ、硫黄いおう酸化さんか物ぶつ、ヒ素ひそ粒子りゅうし、カドミウムなどの大気たいき汚染おせん物質ぶっしつが大量たいりょうに排出はいしゅつされ、通常つうじょう粒子りゅうし状じょう物質ぶっしつとして大気たいき中ちゅうに放出ほうしゅつされる。さらに、人間にんげんに影響えいきょうを与あたえる鉱業こうぎょうの大おおきな要素ようそとして、水みずに含ふくまれる汚染おせん物質ぶっしつによる水質すいしつ悪化あっかである。世界せかいの約やく30％が再生さいせい可能かのうな淡水たんすいを利用りようしているが、これは、様々さまざまな濃度のうどの化学かがく物質ぶっしつを含ふくむ廃棄はいき物ぶつを大量たいりょうに発生はっせいさせて淡水たんすいに沈着ちんちゃくさせる産業さんぎょうによって利用りようされている。水中すいちゅうの活性かっせい化学かがく物質ぶっしつの懸念けねんは、水中すいちゅうや魚類ぎょるいに蓄積ちくせきする可能かのう性せいがあるため、人ひとの健康けんこうに大おおきなリスクをもたらす可能かのう性せいがある。中国ちゅうごくの廃坑はいこうである大宝たいほう山さん鉱山こうざんの調査ちょうさでは、鉱山こうざんが長年ながねん稼働かどうしていなかったにもかかわらず、水みずや土壌どじょうに蓄積ちくせきした金属きんぞくが近隣きんりんの村むら々に大おおきな影響えいきょうを与あたえていた この事例じれいでは廃棄はいき物ぶつの適切てきせつな管理かんりがなされていなかったため、この鉱山こうざん周辺しゅうへん地域ちいきでは56％の死亡しぼう率りつを記録きろくし、多おおくの人ひとが食道しょくどうがんや肝臓かんぞうがんと診断しんだんされている。その結果けっか、現在げんざいに至いたるまで、この鉱山こうざんは農作物のうさくもつを通つうじた健康けんこうへの悪影響あくえいきょうを及およぼしており、周辺しゅうへん地域ちいきの有害ゆうがい物質ぶっしつの除去じょきょが必要ひつようであることが明あきらかになった。

有名ゆうめいな鉱毒こうどく被害ひがい

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