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低木ていぼく

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
典型てんけいてき低木ていぼくであるアジサイ

低木ていぼくていぼくとは、樹木じゅもく便宜べんぎてき区分くぶんの1つである。一般いっぱんてきには、たかさ2–3メートル (m) 以下いか木本もくほんであり、ふつう基部きぶぶんえだして主幹しゅかん明瞭めいりょうではない。灌木[1][2][3][4]潅木かんぼく[5](かんぼく)、ブッシュ[6]ともよばれる。森林しんりんにおいては、低木ていぼくそう形成けいせいする。れいとして、ハイマツナンテンノイバラアジサイアオキなどがある。

低木ていぼくたいする用語ようご高木たかぎである。またたかさや程度ていどもとづいて亜低木あていぼくはん低木ていぼく)や矮性わいせい低木ていぼくしょう低木ていぼく)をけることもある。ただしこれらの区分くぶんはおおよそであり、また定義ていぎ一定いっていしていないため、どういち植物しょくぶつことなる区分くぶん分類ぶんるいされることもある[7][8]

定義ていぎ

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生物せいぶつがくにおける低木ていぼく

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低木ていぼく

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生物せいぶつがくにおいては、一般いっぱんてき成長せいちょうした状態じょうたいたかさ2または3メートル以下いかであり、またふつう根元ねもとまたは地下ちか複数ふくすうみきぶんえだして主幹しゅかん明瞭めいりょうではない樹木じゅもく低木ていぼくとよぶ[1][2][3][8]狭義きょうぎには、たかさ0.3メートル以上いじょうのものをし、森林しんりんにおいては、低木ていぼくそう(shrub layer)を形成けいせいする[1][9]低木ていぼくそうさい上層じょうそうとなる植生しょくせいは、低木ていぼくりん(shrub)とよばれる[10]日本にっぽんられる低木ていぼくれいとして、ハイマツシモクレンナンテン下図したず1a)、ボタンノイバラ下図したず1b)、マユミミツバウツギサンショウ下図したず1c)、ジンチョウゲアジサイヤマツツジアオキ下図したず1d)、クチナシヤツデ下図したず1e)などがある[11]

低木ていぼく狭義きょうぎ)のれい

亜低木あていぼく

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低木ていぼく同様どうようたかさ、形態けいたいであるが、くき下部かぶまたは基部きぶのみがしている植物しょくぶつは、亜低木あていぼくはん低木ていぼく灌木[12]はん灌木[13]、undershrub, subshrub, suffruticose plant)ともよばれる[1]草本そうほん木本もくほんなかあいだてき植物しょくぶつである[1]れいとしてはヤマブキ下図したず1f)、モミジイチゴ下図したず1g)、ヤマハギ下図したず1h)、フヨウコウヤボウキハマギクなどがある[1][12]

矮性わいせい低木ていぼく

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狭義きょうぎ低木ていぼく同様どうよう主幹しゅかんがはっきりしない木本もくほんであるが、たかさがおよそ30センチメートル以下いか植物しょくぶつは、矮性わいせい低木ていぼくしょう低木ていぼく匍匐ほふくせい低木ていぼく、dwarf shrub)とよばれることがある[1]植生しょくせいにおいては、草本そうほんそう構成こうせいする。れいとしてはツルシキミ下図したず1f)、ツルツゲヤブコウジ下図したず1g)、コケモモ下図したず1h)、イブキジャコウソウ下図したず1i)などがある[1]高山たかやまでは、矮性わいせい低木ていぼくおもとする群落ぐんらくられることがおお[1]

矮性わいせい低木ていぼくれい

ラウンケルの生活せいかつがた

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クリステン・ラウンケルChristen C. Raunkiær)は、休眠きゅうみんがたもとづいて植物しょくぶつ生活せいかつがた類別るいべつした (Raunkiaer 1908)[14]。そのなかで、休眠きゅうみんたかさ25センチメートル以上いじょうにつける植物しょくぶつ地上ちじょう植物しょくぶつていそら植物しょくぶつ、phanerophyte)とし、さらに以下いかのように細分さいぶんしている。このうち、nanophanerophyte に低木ていぼく訳語やくごてることがある[14]

  • macrophanerophyte(大型おおがた地上ちじょう植物しょくぶつだい高木たかぎ)… 休眠きゅうみん位置いちたかさ30メートル以上いじょう
  • mesophanerophyte(中型ちゅうがた地上ちじょう植物しょくぶつちゅう高木たかぎ)… 休眠きゅうみん位置いちたかさ8メートルから30メートル。
  • microphanerophyte(小型こがた地上ちじょう植物しょくぶつしょう高木たかぎ)… 休眠きゅうみん位置いちたかさ2メートルから8メートル。
  • nanophanerophyte(微小びしょうがた地上ちじょう植物しょくぶつ、矮形地上ちじょう植物しょくぶつ低木ていぼく)… 休眠きゅうみん位置いちたかさ25センチメートルから2メートル。

管理かんりうえ栽における低木ていぼく

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緑地りょくち管理かんりなどにおける低木ていぼく定義ていぎは、省庁しょうちょう自治体じちたいによってさまざまなものがある。国土こくど交通省こうつうしょうでは、たかさ3メートル以上いじょう樹木じゅもく高木たかぎ、1から3メートルの樹木じゅもく中木なかき、1メートル以下いか樹木じゅもく低木ていぼくとすることがおお[15][16]環境省かんきょうしょうの「かおりの樹木じゅもくデータ一覧いちらんひょう」では、たかさ5メートル以上いじょう樹木じゅもく高木たかぎ、2から5メートルの樹木じゅもく中木なかき、2メートル以下いか樹木じゅもく低木ていぼくとしている[17]低木ていぼく定義ていぎとして、ほかにもうえ栽時に0.3メートル以上いじょう成木なりきでは3メートル以下いかのもの[18]うえ栽時に0.3から1メートルであるもの[19]、などがある。

脚注きゃくちゅう

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出典しゅってん

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  1. ^ a b c d e f g h i 清水しみずけん (2001). “たかさと形状けいじょうによる分類ぶんるい”. 図説ずせつ 植物しょくぶつ用語ようご事典じてん. 八坂やさか書房しょぼう. pp. 21–22. ISBN 978-4896944792 
  2. ^ a b いわおいさお, 倉谷くらたにしげる, 斎藤さいとうしげる也 & 塚谷つかたに裕一ひろいち (へん) (2013). “低木ていぼく”. 岩波いわなみ 生物せいぶつがく辞典じてん だい5はん. 岩波書店いわなみしょてん. p. 955. ISBN 978-4000803144 
  3. ^ a b 低木ていぼく」『デジタル大辞泉だいじせんhttps://kotobank.jp/word/%E4%BD%8E%E6%9C%A8コトバンクより2022ねん4がつ10日とおか閲覧えつらん 
  4. ^ 低木ていぼく」『ブリタニカ国際こくさいだい百科ひゃっか事典じてん しょう項目こうもく事典じてんhttps://kotobank.jp/word/%E4%BD%8E%E6%9C%A8コトバンクより2022ねん4がつ10日とおか閲覧えつらん 
  5. ^ 春木はるきまさひろし (1982). “潅木かんぼくるい生態せいたいがくてき研究けんきゅう (I): 野幌のっぽろ国有こくゆうりんのハイイヌガヤ”. 日本にっぽんりん學會がっかい北海道ほっかいどう支部しぶ講演こうえんしゅう 30: 146-148. doi:10.24494/jfshc.30.0_146. 
  6. ^ ブッシュ」『デジタル大辞泉だいじせんhttps://kotobank.jp/word/%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5コトバンクより2022ねん4がつ12にち閲覧えつらん 
  7. ^ 高木たかぎ」『ブリタニカ国際こくさいだい百科ひゃっか事典じてん しょう項目こうもく事典じてんhttps://kotobank.jp/word/%E9%AB%98%E6%9C%A8コトバンクより2022ねん4がつ10日とおか閲覧えつらん 
  8. ^ a b IAWA(国際こくさい木材もくざい解剖かいぼう学者がくしゃ連合れんごう委員いいんかい広葉樹こうようじゅざい識別しきべつ IAWAによる光学こうがく顕微鏡けんびきょうてき特徴とくちょうリスト』うみあおしゃ、1998ねん、90ぺーじ 
  9. ^ いわおいさお, 倉谷くらたにしげる, 斎藤さいとうしげる也 & 塚谷つかたに裕一ひろいち (へん) (2013). “低木ていぼくそう”. 岩波いわなみ 生物せいぶつがく辞典じてん だい5はん. 岩波書店いわなみしょてん. p. 955. ISBN 978-4000803144 
  10. ^ いわおいさお, 倉谷くらたにしげる, 斎藤さいとうしげる也 & 塚谷つかたに裕一ひろいち (へん) (2013). “低木ていぼくりん”. 岩波いわなみ 生物せいぶつがく辞典じてん だい5はん. 岩波書店いわなみしょてん. p. 955. ISBN 978-4000803144 
  11. ^ 馬場ばば多久たくおとこ (1999). でわかる樹木じゅもく 625しゅ検索けんさく. 信濃毎日新聞しなのまいにちしんぶんしゃ. pp. 96–385. ISBN 978-4784098507 
  12. ^ a b 灌木https://kotobank.jp/word/%E4%BA%9C%E7%81%8C%E6%9C%A8コトバンクより2022ねん4がつ10日とおか閲覧えつらん 
  13. ^ はん灌木https://kotobank.jp/word/%E5%8D%8A%E7%81%8C%E6%9C%A8コトバンクより2022ねん4がつ10日とおか閲覧えつらん 
  14. ^ a b 清水しみずけん (2001). “休眠きゅうみんがたによる区分くぶん”. 図説ずせつ 植物しょくぶつ用語ようご事典じてん. 八坂やさか書房しょぼう. pp. 7–8. ISBN 978-4896944792 
  15. ^ 都市とし公園こうえん樹木じゅもく点検てんけん診断しんだんかんする指針ししんあん”. 国土こくど交通省こうつうしょう. 2022ねん4がつ9にち閲覧えつらん
  16. ^ 公園こうえん緑地りょくち工事こうじ数量すうりょう算出さんしゅつ要領ようりょう”. 国土こくど交通省こうつうしょう. 2022ねん4がつ9にち閲覧えつらん
  17. ^ かおりの樹木じゅもくデータ一覧いちらんひょう”. 環境省かんきょうしょう. 2020ねん1がつ19にち閲覧えつらん
  18. ^ 5.用語ようごについて”. 大田おおた. 2022ねん4がつ10日とおか閲覧えつらん
  19. ^ 2)高木たかぎ中木なかき低木ていぼく”. 世田谷せたがや. 2022ねん4がつ9にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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