高木たかぎ

典型てんけい的てきな高木たかぎであるブナ

高木たかぎ（こうぼく）（英えい: tree, arbor）とは、樹木じゅもくの便宜べんぎ的てきな区分くぶんの1つである。一般いっぱん的てきには、高たかさ2–3メートル (m) 以上いじょうの木本もくほんとされ、ふつう主幹しゅかん（主おもとなる幹みき）が明瞭めいりょうである。喬木たかぎ（きょうぼく）ともよばれる。森林しんりんにおいては、高木たかぎ層そうを形成けいせいする。例れいとして、アカマツやスギ、ブナ、ケヤキ、ヤマザクラなどがある。

高木たかぎに対たいする用語ようごは低木ていぼくである。また高たかさなどに基もとづき、高木たかぎを超ちょう高木たかぎや亜高木あこうぼく（小しょう高木たかぎ）などに細分さいぶんすることもある。ただしこれらの区分くぶんはおおよそであり、また定義ていぎも一定いっていしていないため、同どう一いち植物しょくぶつが異ことなる区分くぶんに分類ぶんるいされることもある。

定義ていぎ

生物せいぶつ学がくにおける高木たかぎ

高木たかぎ

生物せいぶつ学がくにおいては、一般いっぱん的てきに成長せいちょうした状態じょうたいで高たかさ2または3メートル以上いじょうであり、また主幹しゅかんが明瞭めいりょうである樹木じゅもくを高木たかぎとよぶ。狭義きょうぎには高たかさ8–30メートルほどのものを指さし、森林しんりんにおいては高木たかぎ層そう（tree layer）を形成けいせいする。高木たかぎ層そうがある森林しんりんは高木たかぎ林りん（forest, woods）とよばれる。日本にっぽんで見みられる高木たかぎの例れいとして、アカマツやスギ（下図したず1a）、イチョウ、クスノキ、ユリノキ（下図したず1b）、カツラ、アカメガシワ、シダレヤナギ、コナラ（下図したず1c）、シラカンバ、ヤマザクラ、ケヤキ（下図したず1d）、ハリエンジュ、イロハモミジ、シナノキ、ミズキ、キリ（下図したず1e）などがある。

高木たかぎ（狭義きょうぎ）の例れい

1a. スギ（ヒノキ科か）

1b. ユリノキ（モクレン科か）

1c. コナラ（ブナ科か）

1d. ケヤキ（ニレ科か）

1e. キリ（キリ科か）

超ちょう高木たかぎ

高たかさ30メートル以上いじょうになる高木たかぎは、超ちょう高木たかぎ（emergent, emergent tree）ともよばれる。東南とうなんアジアやアフリカ、南米なんべいの熱帯ねったい林りんでは、一部いちぶの種たねが超ちょう高木たかぎとして高木たかぎ層そうの林冠りんかんを突つき抜ぬけていることがある（下図したず1f, g）。またオセアニアにおけるユーカリ属ぞくの一部いちぶ（下図したず1h）や、北米ほくべい西海岸にしかいがんのセコイア（下図したず1i）およびセコイアデンドロンは、超ちょう高木たかぎからなる純じゅん林はやしを形成けいせいする。

超ちょう高木たかぎの例れい

1f. カポック（アオイ科か）

1g. ブラジルナッツ（サガリバナ科か）

1h. Eucalyptus regnans（フトモモ科か）の林はやし

1i. セコイア（ヒノキ科か）の林はやし

亜高木あこうぼく

広義こうぎの高木たかぎのうち、高たかさ8メートル以下いかのものは亜高木あこうぼくまたは小しょう高木たかぎ（subarbor）とよばれることがある。亜高木あこうぼくは、森林しんりんでは亜高木あこうぼく層そうを形成けいせいする。日本にっぽんで見みられる亜高木あこうぼくの例れいとして、シキミ（下図したず1j）、マンサク、ユズリハ、マサキ、ウメ（下図したず1k）、ネムノキ、サルスベリ（下図したず1l）、ミネカエデ、ヌルデ、ハナミズキ、ヤブツバキ（下図したず1m）、エゴノキ（下図したず1n）、ヒイラギなどがある。

亜高木あこうぼく（小しょう高木たかぎ）の例れい

1j. シキミ（マツブサ科か）

1k. ウメ（バラ科か）

1l. サルスベリ（ミソハギ科か）

1m. ヤブツバキ（ツバキ科か）

1n. エゴノキ（エゴノキ科か）

ラウンケルの生活せいかつ型がた

クリステン・ラウンケル（Christen C. Raunkiær）は、休眠きゅうみん型がたに基もとづいて植物しょくぶつの生活せいかつ型がたを類別るいべつした (Raunkiaer 1908)。その中なかで、休眠きゅうみん芽めを高たかさ25センチメートル以上いじょうにつける植物しょくぶつを地上ちじょう植物しょくぶつ（挺てい空そら植物しょくぶつ、phanerophyte）とし、さらに以下いかのように細分さいぶんしている。これらに、大だい高木たかぎ・中ちゅう高木たかぎ・小しょう高木たかぎの訳語やくごを充あてることがある。

• macrophanerophyte（大型おおがた地上ちじょう植物しょくぶつ、大だい高木たかぎ）… 休眠きゅうみん芽めの位置いちが高たかさ30メートル以上いじょう。
• mesophanerophyte（中型ちゅうがた地上ちじょう植物しょくぶつ、中ちゅう高木たかぎ）… 休眠きゅうみん芽めの位置いちが高たかさ8メートルから30メートル。
• microphanerophyte（小型こがた地上ちじょう植物しょくぶつ、小しょう高木たかぎ）… 休眠きゅうみん芽めの位置いちが高たかさ2メートルから8メートル。
• nanophanerophyte（微小びしょう型がた地上ちじょう植物しょくぶつ、矮形地上ちじょう植物しょくぶつ、低木ていぼく）… 休眠きゅうみん芽めの位置いちが高たかさ25センチメートルから2メートル。

管理かんり・植うえ栽における高木たかぎ

緑地りょくち管理かんりなどにおける高木たかぎの定義ていぎは、省庁しょうちょうや自治体じちたいによってさまざまなものがある。国土こくど交通省こうつうしょうでは、高たかさ3メートル以上いじょうの樹木じゅもくを高木たかぎ、1から3メートルの樹木じゅもくを中木なかき、1メートル以下いかの樹木じゅもくを低木ていぼくとすることが多おおい。環境省かんきょうしょうの「かおりの樹木じゅもくデータ一覧いちらん表ひょう」では、高たかさ5メートル以上いじょうの樹木じゅもくを高木たかぎ、2から5メートルの樹木じゅもくを中木なかき、2メートル以下いかの樹木じゅもくを低木ていぼくとしている。高木たかぎの定義ていぎとして他ほかにも、植うえ栽時に2メートル以上いじょうで成木なりきでは4メートル以上いじょうになるもの、植うえ栽時に3メートル以上いじょうで成木なりきでは5メートル以上いじょうになるもの、植うえ栽時に4メートル以上いじょうで大おおきく成長せいちょうが見込みこまれるもの、などがある。

林業りんぎょうでは、材ざいが利用りよう可能かのうになる4から5メートル以上いじょうのものを高木たかぎとよぶことが多おおい。

関連かんれん項目こうもく

• 低木ていぼく

外部がいぶリンク

• 高木たかぎ. コトバンクより2022年ねん4月がつ10日とおか閲覧えつらん。
• 喬木たかぎ. コトバンクより2022年ねん4月がつ10日とおか閲覧えつらん。