(Translated by https://www.hiragana.jp/)
ミズキ - Wikipedia コンテンツにスキップ

ミズキ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ミズキ
ミズキ(川崎かわさき緑ヶ丘みどりがおか霊園れいえん・2007ねん5がつ
分類ぶんるい
さかい : 植物しょくぶつかい Plantae
階級かいきゅうなし : 被子植物ひししょくぶつ Angiosperms
階級かいきゅうなし : 真正しんしょうそう子葉しようるい Eudicots
階級かいきゅうなし : キクるい Asterids
: ミズキ Cornales
: ミズキ Cornaceae
ぞく : ミズキぞく Cornus
たね : ミズキ C. controversa
学名がくめい
Cornus controversa Hemsl. var. controversa (1909)[1]
シノニム
和名わみょう
ミズキ(水木みずき)、
ハシノキ[1]
英名えいめい
giant dogwood

ミズキ水木みずき[4]学名がくめい: Cornus controversa var. controversa)はミズキミズキぞく落葉らくよう高木たかぎ別名べつめい、クルマミズキ(くるま水木みずき)。よこえだばし、階段かいだんじょうがた特徴とくちょうえださきあつまってつき、晩春ばんしゅんしろしょうはなみつかせる。庭木にわきなどにえられるほか、こけしざいとしてもよくられる。

名称めいしょう

[編集へんしゅう]

和名わみょう「ミズキ」は漢字かんじで「水木みずき」とき、早春そうしゅん地中ちちゅうからおおくのみずげて、えだると大量たいりょうみずのような樹液じゅえきながることに由来ゆらい[5][6][4]、「みず」から転訛てんかしたとされる[7]別名べつめいではクルマミズキ[6][4]、ハシノキ[1]ともよばれる。クルマミズキの別名べつめいは、えだ性状せいじょうぶんえだすることによる[6]中国ちゅうごくめいは「燈臺とうだいじゅ[1]

分布ぶんぷ生育せいいく環境かんきょう

[編集へんしゅう]

日本にっぽんでは、北海道ほっかいどう本州ほんしゅう四国しこく九州きゅうしゅう分布ぶんぷし、日本にっぽん国外こくがいでは、朝鮮半島ちょうせんはんとう台湾たいわん中国ちゅうごくからヒマラヤのアジア南部なんぶみなみ千島ちしまにまで分布ぶんぷする[5][4]山地さんち丘陵きゅうりょう[6][8]日当ひあたりのよいていやまなど各地かくちひろ生育せいいくする[4][7]

特徴とくちょう

[編集へんしゅう]

落葉らくよう広葉樹こうようじゅ高木たかぎ[4]樹高きだかは10 - 20メートル (m) [6]みきみちは60 - 100センチメートル (cm) ほどになる[9][8]生長せいちょうきわめてはやく、樹齢じゅれいふるいものはあまりられない[9]主幹しゅかんはまっすぐにびて、えだ水平すいへいしてはすじょうし、えださきうえいて扇状せんじょう四方しほうひろげる[4][8]。これをかえしてえだ階段かいだんじょうになり、独特どくとくがたとなって[4]全体ぜんたいとしてととのっている[9]樹皮じゅひ灰色はいいろからけがれ灰色はいいろたてすじはい[6][8]。ごくわか樹皮じゅひくら赤褐色せきかっしょくで、かわ目立めだ[8]いちねんえだ赤色あかいろから紅紫こうししょくで、はじめこまかいをもつが、のちにになる[8]春先はるさき樹液じゅえきげがはなはだしく、樹皮じゅひきずつけると多量たりょうみずがあふれすのが特徴とくちょうてきである[10]樹皮じゅひうえ樹液じゅえきあかすじができることがあり、樹液じゅえき糖分とうぶんふくんでおり、空気くうきちゅう天然てんねん酵母こうぼ樹液じゅえきちゅう繁殖はんしょくして、ちがカビるいんでくるためにあかくなる[11]

えださきあつまって互生ごせいし、葉柄ようへいながさ2 - 5 cm、ながさ6 - 15 cmのこうたまごがたからこう楕円だえんがたえんぜんえんさきはとがる[5][6]かたちサクラている[12]裏面りめんはやや白色はくしょくびていてみじかがあり[10]弓形きゅうけいがった5 - 9つい葉脈ようみゃく隆起りゅうきする。はる芽吹めぶきは透明とうめいかんのある緑色みどりいろで、葉脈ようみゃくがよく目立めだ[8]あきになると赤色あかいろ紅葉こうようする[10]。ミズキの紅葉こうようは、黄色おうしょくから山吹やまぶきしょく基本きほんで、しばしば部分ぶぶんてき赤色あかいろび、あか紫色むらさきいろなど、しぶいろにも派手はでにも多様たよう変化へんかし、このような紅葉こうようするめずらしいとひょうされている[13][14]。よくクマミズキ対生たいせいし、紅葉こうようはミズキとている[13]

花期かき晩春ばんしゅんから初夏しょか(5 - 6がつ[4]しんえださきぼう花序かじょして、直径ちょっけい7 - 8ミリメートル (mm) の白色はくしょくの4べんはな多数たすうかせ、よく目立めだ[6][4][7]

はてあき(10 - 11月)で[4]果実かじつ核果かっか直径ちょっけい7 - 8 mmの球形きゅうけいではじめ赤色あかいろで、のちにくろ紫色むらさきいろじゅく[6]果実かじつ野鳥やちょうとくヒヨドリあつまってこのんでべる[10]

冬芽とうがながさ7 - 12 mmのちょうたまごがたさきがややまるく、うろこ5 - 8まいつつまれる[8]えださきにつくいただき紅色こうしょくで、がわはごくちいさい[8]こん上向うわむきでちいさく、維管たばあとが3ある[8]

利用りよう

[編集へんしゅう]

庭木にわき公園こうえんじゅとしてよく利用りようされる[5]

ざいとしては白色はくしょくやわらかく緻密ちみつで、建築けんちくざい器具きぐざいのほか[5]薪炭しんたんざいとして利用りようされる[7]ざいこけしざいとしても有名ゆうめい[6]木肌きはだうつくしてれにくいことから東北とうほく地方ちほうではこけしがよくつくられる[4]正月しょうがつ祝箸いわいばしぞく柳箸やなぎばしというが、使つかわれるざいはヤナギではなく、本来ほんらいはミズキのざいつくられるもので、江戸えど時代じだい中期ちゅうきから使つかわれてきた[15]江戸えど供給きょうきゅうされたはしざい奥多摩おくたまさんのミズキで、植林しょくりんおこなわれていたといわれる[15]

文化ぶんか

[編集へんしゅう]

アイヌざいうすけずってつくられたイナウかみへの供物くもつにし、祭事さいじにつかった[4]木肌きはだしろいミズキのイナウは、天上てんじょうかいぎんわるとしんじられていた[11][ちゅう 1]。アイヌがサケをるときに、あたまたたいてころぼうもミズキがもちいられるという[16]

落葉らくようえだ繭玉まゆだまかざ地方ちほうもある[15][6]北海道ほっかいどう札幌さっぽろでは、ふゆあかくなるミズキのえだはやしなかからつけてきて、いね豊作ほうさくいの正月しょうがつかざもの繭玉まゆだまをつけるえだにした[4]。ミズキが早春そうしゅんにたくさんみずげるころ、小枝さえさきうえくようになることから、繭玉まゆだまづくりのときにうん上向うわむくことをねがってミズキのえだ使つかうのだというせつもある[10]

花言葉はなことばは、「成熟せいじゅくした精神せいしん」「耐久たいきゅう」である[4]

下位かい分類ぶんるい

[編集へんしゅう]
  • タカネミズキ(高嶺たかね水木みずきSwida controversa (Hemsl. ex Prain) Soják var. alpina (Wangerin) H.Hara ex Noshiro
本州ほんしゅう日本海にほんかいがわ分布ぶんぷし、ゆき地帯ちたい山地さんち生育せいいくする。低木ていぼく円形えんけい
  • イシヅチミズキ(石鎚いしづち水木みずきSwida controversa (Hemsl. ex Prain) Soják var. shikokumontana (Hiyama) H.Hara ex Noshiro
四国しこく分布ぶんぷし、山地さんち高地こうち生育せいいくする。

ミズキぞく植物しょくぶつ

[編集へんしゅう]
本州ほんしゅう四国しこく九州きゅうしゅう山地さんちえ、対生たいせいたまごじょう楕円だえんがた

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく

[編集へんしゅう]
  1. ^ イナウの材料ざいりょう通常つうじょうヤナギ使つかわれるが、最高さいこう材料ざいりょうキハダ天上てんじょうかいではかね相当そうとうし、ミズキはぎんハンノキどうだといわれる[16]

出典しゅってん

[編集へんしゅう]
  1. ^ a b c d 米倉よねくら浩司こうじ梶田かじたただし (2003-). “Cornus controversa Hemsl. var. controversa ミズキ(標準ひょうじゅん”. BG Plants 和名わみょう学名がくめいインデックス(YList). 2022ねん12月29にち閲覧えつらん
  2. ^ 米倉よねくら浩司こうじ梶田かじたただし (2003-). “Bothrocaryum controversum (Hemsl. ex Prain) Pojark. ミズキ(シノニム)”. BG Plants 和名わみょう学名がくめいインデックス(YList). 2022ねん12月29にち閲覧えつらん
  3. ^ 米倉よねくら浩司こうじ梶田かじたただし (2003-). “Swida controversa (Hemsl. ex Prain) Soják ミズキ(シノニム)”. BG Plants 和名わみょう学名がくめいインデックス(YList). 2022ねん12月29にち閲覧えつらん
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 田中たなかきよし 2011, p. 14.
  5. ^ a b c d e 平野ひらの隆久たかひさ監修かんしゅう 永岡書店ながおかしょてんへん 1997, p. 44.
  6. ^ a b c d e f g h i j k 西田にしだ尚道なおみち監修かんしゅう 学習がくしゅう研究けんきゅうしゃへん 2009, p. 77.
  7. ^ a b c d 亀田かめだ龍吉りゅうきち 2014, p. 52.
  8. ^ a b c d e f g h i j 鈴木すずき庸夫みちお高橋たかはしふゆやすのべ尚文なおふみ 2014, p. 83.
  9. ^ a b c 辻井つじいたちいち 1995, p. 265.
  10. ^ a b c d e 辻井つじいたちいち 1995, p. 266.
  11. ^ a b 田中たなかきよし 2011, p. 15.
  12. ^ 亀田かめだ龍吉りゅうきち 2014, p. 53.
  13. ^ a b はやし将之まさゆき 2008, p. 67.
  14. ^ 亀田かめだ龍吉りゅうきち 2014, pp. 52–53.
  15. ^ a b c 辻井つじいたちいち 1995, p. 264.
  16. ^ a b 辻井つじいたちいち 1995, p. 267.

参考さんこう文献ぶんけん

[編集へんしゅう]
  • 亀田かめだ龍吉りゅうきち事典じてん世界文化社せかいぶんかしゃ、2014ねん10がつ5にち、52–53ぺーじISBN 978-4-418-14424-2 
  • 鈴木すずき庸夫みちお高橋たかはしふゆやすのべ尚文なおふみ樹皮じゅひ冬芽とうが四季しきつうじて樹木じゅもく観察かんさつする 431しゅまことぶんどう新光しんこうしゃ〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014ねん10がつ10日とおか、83ぺーじISBN 978-4-416-61438-9 
  • 田中たなかきよしっておきたい100の日本にっぽんらしをささえる樹木じゅもくたち』主婦しゅふ友社ともしゃ主婦しゅふともベストBOOKS〉、2011ねん7がつ31にち、14 - 15ぺーじISBN 978-4-07-278497-6 
  • 辻井つじい達一たついち日本にっぽん樹木じゅもく中央公論社ちゅうおうこうろんしゃ中公新書ちゅうこうしんしょ〉、1995ねん4がつ25にち、264 - 267ぺーじISBN 4-12-101238-0 
  • 西田にしだ尚道なおみち監修かんしゅう 学習がくしゅう研究けんきゅうしゃへん日本にっぽん樹木じゅもく』 5かん学習研究社がくしゅうけんきゅうしゃ増補ぞうほ改訂かいてい ベストフィールド図鑑ずかん〉、2009ねん8がつ4にち、77ぺーじISBN 978-4-05-403844-8 
  • はやし将之まさゆき紅葉こうようハンドブック』ぶんいち総合そうごう出版しゅっぱん、2008ねん9がつ2にちISBN 978-4-8299-0187-8 
  • 平野ひらの隆久たかひさ監修かんしゅう 永岡書店ながおかしょてんへん樹木じゅもくガイドブック』永岡書店ながおかしょてん、1997ねん5がつ10日とおか、44ぺーじISBN 4-522-21557-6 

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]

ミズキ:植物しょくぶつ雑学ざつがく事典じてん