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落葉らくようせい

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落葉らくようから転送てんそう
紅葉こうようするヤマモミジ

落葉らくようせい(らくようせい)は、あるぶし定期ていきてきとす植物しょくぶつ性質せいしつのことである。れたがすぐにちず、翌年よくねんはるまでのこ種類しゅるいもある。

以外いがい一部いちぶくきとす植物しょくぶつもあり、これらも落葉らくようせいふくめる。部分ぶぶんてきに、または気温きおんなどの条件じょうけんによって落葉らくようせいしめ植物しょくぶつもあり、これははん落葉らくようせいもしくははん常緑じょうりょくせいぶ。しゅとして落葉樹らくようじゅからなる森林しんりん落葉樹らくようじゅりんといい、これは温帯おんたい亜寒帯あかんたいのほか、熱帯ねったいモンスーン地帯ちたいあめ緑林りょくりん)にも分布ぶんぷする。

意義いぎ[編集へんしゅう]

低温ていおんとく凍結とうけつよわく、また気孔きこうがあるため乾燥かんそうにもよわい。温帯おんたい亜寒帯あかんたいではあき落葉らくようする植物しょくぶつおおく、熱帯ねったいでは乾季かんきはじめに落葉らくようするものがおおいが、いずれも低温ていおんまたは乾燥かんそうというきびしい環境かんきょう条件じょうけんえるために、それによわとして休眠きゅうみんはい適応てきおうである。落葉らくようには、このような正常せいじょう過程かていのほかに、塩害えんがい虫害ちゅうがいによる防御ぼうぎょ反応はんのうとしてのものもある。

そのものはおおきくてうすほう効率こうりつはよい。熱帯ねったい雨林うりん植物しょくぶつはそうである。しかし乾期かんき寒冷かんれいなど不適ふてきぶし対応たいおうできない。これをえるための適応てきおうとして、ちいさく、あつくするという方法ほうほうがあり、温帯おんたい常緑樹じょうりょくじゅはそのようになっている。落葉らくようせいは、それでもえられないので、維持いじすることをあきらめる、という適応てきおうである。常緑樹じょうりょくじゅ種類しゅるいにもよるが複数ふくすうねん寿命じゅみょうがある。それをあきらめ、好適こうてきすうヶ月かげつだけで使つかてるのが落葉らくようせいである。もったいなくはあるが、ぎゃく好適こうてき時期じきだけ維持いじすればよいので、温帯おんたい常緑樹じょうりょくじゅよりおおきくてうすつものがおおい。

サクラのように、のないぶし開花かいかする植物しょくぶつおおい。これには、低温ていおん乾燥かんそうによるリスクもともなうものの、虫媒花ちゅうばいかでは昆虫こんちゅうからはなつけやすい、また風媒花ふうばいかでは風通かぜとおしがよくなって受粉じゅふん効率こうりつがよい、という効果こうかがあるとかんがえられる。

落葉らくよう土壌どじょう生物せいぶつのエサとなる[1]土壌どじょう生物せいぶつによって落葉らくよう分解ぶんかいされる過程かてい無機むき養分ようぶん土中どちゅうへと放出ほうしゅつされる[1]植物しょくぶつはこれらの養分ようぶん吸収きゅうしゅうして生活せいかつしている[1]ながあいだ土地とちじょう落葉らくよう採取さいしゅしていくと土壌どじょう植生しょくせい変化へんかあたえることがある[1]

森林しんりんでは地表ちひょうめん落葉らくようおおわれることで土壌どじょう水分すいぶん温度おんど変動へんどう比較的ひかくてき安定あんていしている[1]

メカニズム[編集へんしゅう]

落葉樹らくようじゅ気候きこう条件じょうけんによって2つのタイプにけられる。温帯おんたいあるいは亜寒帯あかんたい落葉樹らくようじゅは、ぶしによって気温きおんおおきな変動へんどうがある気候きこう適応てきおうし、しゅとして気温きおん低下ていか対応たいおうして落葉らくようする。熱帯ねったい落葉樹らくようじゅ気温きおん変動へんどうではなく、降雨こううりょう変動へんどう適応てきおうしている。あめらない乾季かんきには水分すいぶん保持ほじ枯死こしふせぐためにとす。落葉らくようかならずしもぶしてきなものではなく、条件じょうけんによりいつでもこりうる。

落葉らくよう複雑ふくざつ生理せいりてき過程かていである。生長せいちょう葉緑素ようりょくそやすが、あきになって気温きおんがったり、あるいは乾季かんきはいって乾燥かんそうストレス(みずストレス)がしたりすると、葉緑素ようりょくそ合成ごうせいり、分解ぶんかいえる。

また紅葉こうよう(または黄葉こうよう)する種類しゅるいでは、色素しきそ合成ごうせいえることもある。これらの色素しきそにはカロテノイド黄色おうしょくから橙色だいだいいろ)やアントシアニンあかからむらさき)がある。カロテノイドにかんしては、もともとふくまれているが、葉緑素ようりょくそ分解ぶんかいともないそのいろ目立めだつようになる。アントシアニンはいつもあるわけではなく、あきになり日長ひながみじかくなると合成ごうせいされはじめる(ただし若葉わかばでの合成ごうせいおおしゅもある)。このような紅葉こうようは、温帯おんたい植物しょくぶつかぎられ、熱帯ねったい落葉樹らくようじゅにはない。その意義いぎ植物しょくぶつ学的がくてきには老化ろうか過程かていとして説明せつめいされている[2]あきになって気温きおんがり、気象きしょう条件じょうけん光合成こうごうせいてきさなくなると、植物しょくぶつ光合成こうごうせい装置そうち分解ぶんかいしはじめる。ふくまれる栄養素えいようそみき回収かいしゅうして、翌年よくねんはるさい利用りようするためである。この老化ろうか過程かていで、ひかりによるがいからまもるためにアントシアニンを合成ごうせいしたり、カロチノイドがのこされたりする。

落葉らくよう葉柄ようへいくきとのあいだはなれそうばれるさかい形成けいせいされることではじまる。このそうは、さかんに生長せいちょうする時期じきすでつくられており、たがいにはなれうる細胞さいぼうそう構成こうせいされる。この細胞さいぼうやその部分ぶぶんつくられる植物しょくぶつホルモン一種いっしゅオーキシン敏感びんかんである。個々ここつくられるオーキシンのりょう部分ぶぶんからるオーキシンのりょうどう程度ていどであるうちは、はなれそう細胞さいぼうはなれない。しかし、ぶしてき条件じょうけんやストレスによってからのオーキシンがると、はなれそうび、それによって細胞さいぼうそうあいだ結合けつごうはなれる。またはなれた部分ぶぶんコルクしつふさがれるので、樹液じゅえきれずにすむ。はなれそう形成けいせいにはオーキシンのほかジャスモンさんエチレンなどもかかわっているといわれる。

落葉樹らくようじゅ生長せいちょうになれば、のない状態じょうたいあたらしくくき種類しゅるいによってははな)をさねばならないので、常緑樹じょうりょくじゅよりもおおくの資源しげんようする。このことへの対応たいおうとして、おおくの落葉樹らくようじゅちるまえにそこから分解ぶんかいぶつ回収かいしゅうして、うち樹皮じゅひうつぼがわ)のやわら細胞さいぼうえきタンパク質たんぱくしつとして貯蔵ちょぞうする。このタンパク質たんぱくしつあたらしいなどがさい栄養えいようとして利用りようされる。

建物たてもの南側みなみがわ落葉樹らくようじゅえると、のあるなつ日差ひざしをさえぎり、ちるふゆ日差ひざしをとおすので快適かいてきにくらせる[3]

種類しゅるい[編集へんしゅう]

落葉樹らくようじゅ被子植物ひししょくぶつのうちでとくそう子葉しようるい非常ひじょうおおく、温帯おんたい分布ぶんぷするもののほか、熱帯ねったいのモンスーン地帯ちたい分布ぶんぷするものもふくむ。たん子葉しようるいにはすくないが、サルトリイバラなどのれいがある。裸子植物らししょくぶつでは、温帯おんたい分布ぶんぷするイチョウメタセコイアラクウショウ亜寒帯あかんたい落葉樹らくようじゅとして代表だいひょうてきカラマツなどがある。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d e つつみ利夫としお. “落葉らくよう人間にんげん”. URBAN KUBOTA NO.14. 2019ねん11月14にち閲覧えつらん
  2. ^ 植物しょくぶつからだなかではなにこっているのか」 2015ねん ベレ出版しゅっぱん
  3. ^ 『まちづくりのひみつ』46ぺーじ

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]