マユミ

マユミ
	マユミ
分類ぶんるい
学名がくめい
	Euonymus sieboldianus Blume var. sieboldianus (1826)
シノニム
	Euonymus sieboldianus Blume var. megaphyllus H.Hara (1936); Euonymus sieboldianus Blume var. yedoensis (Koehne) H.Hara (1936); Euonymus sieboldianus Blume f. calocarpus (Koehne) Sugim. (1967); Euonymus hamiltonianus auct. non Wall. (1824); Euonymus hamiltonianus Wall. subsp. sieboldianus (Blume) H.Hara (1966);
和名わみょう
	マユミ

マユミ（檀まゆみ^[7]・真弓まゆみ^[7]、学名がくめい: Euonymus sieboldianus var. sieboldianus）とは、ニシキギ科かニシキギ属ぞくの落葉らくよう低木ていぼくないし落葉らくよう小しょう高木たかぎ。日本にっぽんと中国ちゅうごくの野山のやまに自生じせいする。淡紅あわべに色しょくの果実かじつは熟じゅくすと4つに裂さけて、中ちゅうから赤あかい種子しゅしが現あらわれる。秋あきに果実かじつと種子しゅし、紅葉こうようを楽たのしむ庭木にわきとしても親したしまれ、盆栽ぼんさいに仕立したてられることもある。果実かじつは有毒ゆうどくであるが、春はるの新芽しんめは山菜さんさいとして利用りようされる。

名称めいしょう

和名わみょう「マユミ」の由来ゆらいは、昔むかしこの木きから弓ゆみが作つくられたことに因ちなむ^[8]^[9]。別名べつめいヤマニシキギ（山やま錦木にしきぎ）、カンサイマユミ^[1]、オオバマユミ^[1]、エゾオオバマユミ^[1]、ユミノキ^[10]ともよばれる。地方ちほうにより、マキ^[9]、マヨメ^[9]、キノメ^[9]、アカイベベ^[9]ともよばれる。

分布ぶんぷ

日本にっぽんの北海道ほっかいどう・本州ほんしゅう・四国しこく・九州きゅうしゅうの屋久島やくしままで、および日本にっぽん国外こくがいでは南みなみ千島ちしま、サハリン、朝鮮半島ちょうせんはんとう南部なんぶ、中国ちゅうごくに分布ぶんぷする^[8]。丘陵きゅうりょう地ちや山地さんち、低地ていちなどの尾根おね・山野やまの・明あかるい低木ていぼく林りんに自生じせいする^[8]^[11]^[7]。各地かくちの野山のやまに生はえるほか、庭にわにも植うえられる^[9]。

形態けいたい・生態せいたい

落葉らくよう広葉樹こうようじゅの低木ていぼくから小しょう高木たかぎ^[8]^[7]。樹き高だかは3 - 10メートル (m) ^[11]。よく枝分えだわかれをしてこんもりと茂しげった樹き形がたを見みせる^[9]。樹皮じゅひは灰白色かいはくしょくで^[8]、幹みきには縦たての裂さけ目めが入はいり、老木ろうぼくになると割われ目めが深ふかくなって目立めだち、剥はがれるようになる^[7]。1年ねん目めの枝えだは、しなやかで稜りょうがあり、暗くら緑色みどりいろをしているが、日光にっこうの当あたる方向ほうこうは暗紅あんこう色しょくを帯おびる^[7]。

葉はは対生たいせいで、葉は身みは楕円だえん形がたで、幅はばの広ひろいものや狭せまいものなど変化へんかに富とみ^[9]、葉は縁えんに細こまかい鋸歯きょしがあり^[8]、葉脈ようみゃくがはっきりしている。芽めは丸々まるまるとしているが、近きん縁えん種しゅのツリバナは新芽しんめが鋭するどく尖とがっている。秋あきには紅葉こうようし、真まっ赤かになるものもあるが、クリーム色しょくや橙色だいだいいろ、ピンク色ぴんくいろなど淡あわめの色いろに紅葉こうようすることがある^[11]^[10]。紅葉こうようは単純たんじゅんな赤色あかいろになることは少すくなく、くすんだ朱色しゅいろやサーモンピンク色ぴんくいろが多おおいことが特徴とくちょうで、しばしば葉脈ようみゃく部分ぶぶんやそれ以外いがいに、緑色みどりいろや紫むらさき褐色かっしょく、黄き褐色かっしょくを帯おびて独特どくとくの模様もようをつくる^[11]^[10]。紅葉こうよう期きは葉はが枝えだから力ちからなく垂たれ下さがり、早々そうそうに落葉らくようする^[11]。

開花かいか時期じきは晩春ばんしゅんから初夏しょか（5 - 6月がつ）^[8]。雌雄しゆう異い株かぶ^[8]^[9]。花色はないろは薄うすい緑色みどりいろで目立めだたず、新あたらしい梢こずえの根本こんぽん近ちかくに4弁べんの小しょう花はながいくつもつく^[9]。

果はて期きは秋あきで、雌めす株かぶには夏なつに果実かじつが枝えだにぶら下さがるようにしてつき、小ちいさく角かくばった4裂きれの姿すがたで、秋あきに熟じゅくすとふつう淡紅あわべに色しょくに色いろづく^[9]。果実かじつの色いろは品種ひんしゅにより白しろ、薄うすき紅くれない、濃こ紅べにと異ことなるが、どれも熟じゅくすと果皮かひが4つに割われ、鮮烈せんれつな赤あかい種子しゅしが4つ現あらわれる^[8]。市販しはんのマユミは雌めす木きしか出回でまわっていないが、雌めす木き1本ほんで果実かじつがなる。冬ふゆは鮮あざやかだった色いろが抜ぬけたような果実かじつが枝えだに残のこる^[7]。実みがかなり遅おそくまで残のこるので、秋あきと冬ふゆにはヒヨドリやメジロが食たべに来くる。

冬芽とうがは枝えだに対生たいせいし、卵たまご形がたで枝えだと同色どうしょくで縁えんに毛けの生はえた芽め鱗うろこ8 - 12枚まいに包つつまれている^[7]。葉は痕こんは半円はんえん形がたで、白しろくて目立めだち、弧状こじょうの維管束たば痕あとが1個いっこつく^[7]。

花はな
未熟みじゅく果はてを付つけたマユミの枝えだ先さき
熟じゅくした果実かじつ

栽培さいばい

剪定せんていをする場合ばあいは落葉らくよう中ちゅうに行おこなう。成長せいちょうは早はやい。若木わかぎのうちに樹き形がたの骨格こっかくを作つくり、分ぶん枝えださせたら、その後ごの強つよい剪定せんていは避さける。切きり詰つめすぎると花はなと果実かじつがつかない。根ねが浅あさく、根元ねもとが乾燥かんそうしすぎると弱よわり、果実かじつが落おちる。水分すいぶん条件じょうけんさえ良よければ剛健ごうけんで、病害虫びょうがいちゅうはあまり発生はっせいしない。

利用りよう方法ほうほう

材質ざいしつが強つよい上うえによくしなるため、古来こらいより弓ゆみの材料ざいりょうとして知しられ、名前なまえの由来ゆらいになった^[13]^[10]。この木きで作つくられた弓ゆみのことや、単たんなる弓ゆみの美称びしょうも真弓まゆみという。和紙わしの材料ざいりょうにもなったが、楮こうぞにとって代かわられた。材ざいは狂くるいが少すくなく、細工ざいく物ぶつに使つかわれ^[8]、現在げんざいでは印鑑いんかんや櫛くしの材料ざいりょうになっている。

新芽しんめは山菜さんさいとして利用りようされる。採取さいしゅ時期じきは暖地だんちは3 - 4月がつ、寒冷かんれい地ちは4 - 5月が適期てっきで、生長せいちょうした葉はは灰汁あくが強つよいため、芽吹めぶいたばかりの若芽わかめや若葉わかばが摘つみ取とられる^[9]。生せいのまま天麩羅てんぷらや、茹ゆでておひたし、和あえ物もの、油あぶら炒いため、葉は飯めし、汁しるの実み、細こまかく刻きざんで佃煮つくだになどにする^[9]。

ただし、果実かじつは有毒ゆうどくである^[9]。種子しゅしに含ふくまれる脂肪しぼう油ゆには薬理やくり作用さようの激はげしい成分せいぶんが含ふくまれており、少量しょうりょうでも吐はき気けや下痢げり、大量たいりょうに摂取せっしゅすれば筋肉きんにくの麻痺まひを引ひき起おこすため、種子しゅしは食たべてはならない。また、成なり葉はを食たべると下痢げりをするといわれている^[9]。

脚注きゃくちゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

^ ^a ^b ^c ^d 米倉よねくら浩司こうじ・梶田かじた忠ただし (2003-). “Euonymus sieboldianus Blume var. sieboldianus”. BG Plants 和名わみょう−学名がくめいインデックス（YList）. 2023年ねん3月がつ23日にち閲覧えつらん。
^ 米倉よねくら浩司こうじ・梶田かじた忠ただし (2003-). “Euonymus sieboldianus Blume var. megaphyllus H.Hara”. BG Plants 和名わみょう−学名がくめいインデックス（YList）. 2023年ねん3月がつ23日にち閲覧えつらん。
^ 米倉よねくら浩司こうじ・梶田かじた忠ただし (2003-). “Euonymus sieboldianus Blume var. yedoensis (Koehne) H.Hara”. BG Plants 和名わみょう−学名がくめいインデックス（YList）. 2023年ねん3月がつ23日にち閲覧えつらん。
^ 米倉よねくら浩司こうじ・梶田かじた忠ただし (2003-). “Euonymus sieboldianus Blume f. calocarpus (Koehne) Sugim.”. BG Plants 和名わみょう−学名がくめいインデックス（YList）. 2023年ねん3月がつ23日にち閲覧えつらん。
^ 米倉よねくら浩司こうじ・梶田かじた忠ただし (2003-). “Euonymus hamiltonianus auct. non Wall.”. BG Plants 和名わみょう−学名がくめいインデックス（YList）. 2023年ねん3月がつ23日にち閲覧えつらん。
^ 米倉よねくら浩司こうじ・梶田かじた忠ただし (2003-). “Euonymus hamiltonianus Wall. subsp. sieboldianus (Blume) H.Hara”. BG Plants 和名わみょう−学名がくめいインデックス（YList）. 2023年ねん3月がつ23日にち閲覧えつらん。
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ 鈴木すずき庸夫みちお・高橋たかはし冬ふゆ・安やす延のべ尚文なおふみ 2014, p. 211.
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ ^j 平野ひらの隆久たかひさ監修かんしゅう永岡書店ながおかしょてん編へん 1997, p. 137.
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ ^j ^k ^l ^m ⁿ ^o 金田かねだ初代しょだい 2010, p. 94.
^ ^a ^b ^c ^d 亀田かめだ龍吉りゅうきち 2014, p. 58.
^ ^a ^b ^c ^d ^e 林はやし将之まさゆき 2008, p. 60.
^ 舘たての大だいマユミ - 郡山こおりやま市し観光かんこう協会きょうかい
^ 中村なかむら享とおる『万葉まんよう鉢はちづくり』立たて風ふう書房しょぼう、1990年ねん6月がつ30日にち、p.68, 69頁ぺーじ。ISBN 4-651-86010-9。

参考さんこう文献ぶんけん

金田かねだ初代はつよ、金田かねだ洋一郎よういちろう（写真しゃしん）『ひと目めでわかる! おいしい「山菜さんさい・野草やそう」の見分みわけ方かた・食たべ方かた』PHP研究所けんきゅうじょ、2010年ねん9月がつ24日にち、94頁ぺーじ。ISBN 978-4-569-79145-6。
亀田かめだ龍吉りゅうきち『落おち葉ばの呼よび名な事典じてん』世界文化社せかいぶんかしゃ、2014年ねん10月がつ5日にち。ISBN 978-4-418-14424-2。
鈴木すずき庸夫みちお・高橋たかはし冬ふゆ・安やす延のべ尚文なおふみ『樹皮じゅひと冬芽とうが：四季しきを通つうじて樹木じゅもくを観察かんさつする 431種しゅ』誠まこと文ぶん堂どう新光しんこう社しゃ〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年ねん10月がつ10日とおか、211頁ぺーじ。ISBN 978-4-416-61438-9。
林はやし将之まさゆき『紅葉こうようハンドブック』文ぶん一いち総合そうごう出版しゅっぱん、2008年ねん9月がつ2日にち。ISBN 978-4-8299-0187-8。
平野ひらの隆久たかひさ監修かんしゅう永岡書店ながおかしょてん編へん『樹木じゅもくガイドブック』永岡書店ながおかしょてん、1997年ねん5月がつ10日とおか、137頁ぺーじ。ISBN 4-522-21557-6。