(Translated by https://www.hiragana.jp/)
メジロ - Wikipedia コンテンツにスキップ

メジロ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア（Wikipedia）』
曖昧さ回避 この項目こうもくでは、鳥とりについて説明せつめいしています。
曖昧さ回避 「めじろ」はこの項目こうもくへ転送てんそうされています。その他たの用法ようほうについては「めじろ (曖昧あいまいさ回避かいひ)」をご覧らんください。
メジロ
メジロ
メジロ Zosterops japonicus
保全ほぜん状じょう況きょう評価ひょうか[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類ぶんるい
ドメイン : 真ま核かく生物せいぶつ Eukaryota
界さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
門もん : 脊索せきさく動物どうぶつ門もん Chordata
亜あ門もん : 脊椎動物せきついどうぶつ亜あ門もん Vertebrata
綱つな : 鳥とり綱つな Aves
目め : スズメ目め Passeriformes
科か : メジロ科か Zosteropidae
属ぞく : メジロ属ぞく Zosterops
種たね : メジロ Z. japonicus
学名がくめい
Zosterops japonicus
Temminck & Schlegel, 1845[1][2][3][4]
和名わみょう
メジロ[3]
英名えいめい
Warbling white-eye[2]

メジロ（目白めじろ・繍眼児じ[5]、Zosterops japonicus）は、鳥とり綱つなスズメ目めメジロ科かメジロ属ぞくに分類ぶんるいされる鳥類ちょうるい。

分布ぶんぷ

[編集へんしゅう]

インドネシア、日本にっぽん、大韓民国だいかんみんこく、フィリピン、東ひがしティモール[1]

ハワイ諸島しょとうにも分布ぶんぷするが、これは日本にっぽんから害虫がいちゅう駆除くじょのため移入いにゅうされたものである。近年きんねん、外来がいらい種しゅである本ほん種しゅが在来ざいらい生態せいたい系けいへ影響えいきょうを及およぼしていると言いわれる。

形態けいたい

[編集へんしゅう]

全長ぜんちょう約やく12 cm[6][7]で、スズメよりも小ちいさい。翼つばさ開ひらき長ちょうは約やく18 cm[7]。緑みどりがかった背せと暗くら褐色かっしょくの羽はねを持もち、雌雄しゆう同色どうしょく[7]。目めの周囲しゅういの白色はくしょく部ぶ（アイリング）が、和名わみょうの由来ゆらいになっている[5]。漢字かんじ表記ひょうきの繍眼児じは漢語かんごに由来ゆらいし、目めの周囲しゅういに刺繍ししゅうされたような羽毛うもうがある児こ（小ちいさいもの）の意いとする説せつもある[5]。室町むろまち時代ときよからメジロの名なで知しられている[8]。

分類ぶんるい

[編集へんしゅう]
亜種あしゅリュウキュウメジロ
Z. j. loochooensis

BirdLife Internationalでは2019年ねんの時点じてん・IOC World Bird Listでは2020年ねんの時点じてんで、Zosterops simplexを別種べっしゅとしてヤマメジロZosterops montanusを本ほん種しゅに含ふくめている[2]。

以下いかの亜種あしゅの分類ぶんるい・分布ぶんぷは、IOC World Bird List (v10.2)に従したがう[2]。日本にっぽんに分布ぶんぷする亜種あしゅの和名わみょう・基もと亜種あしゅを除のぞく分布ぶんぷ・形態けいたいは、茂田しげた(2016)に従したがう[9]。

Zosterops japonicus japonicus Temminck & Schlegel, 1845 メジロ
日本にっぽん（北海道ほっかいどうから九州きゅうしゅう、対馬つしま、壱岐いき）、サハリン南部なんぶ[3][2]
額がくに黄色おうしょく部ぶはほぼなく、目先めさきには黄色おうしょく部ぶのある個体こたいもない個体こたいもいる。喉のどの黄色おうしょく部ぶは、アイリングの輪郭りんかくの黒色こくしょく部ぶに達たっしない。体側たいそく面めんおよび胸部きょうぶは赤褐色せきかっしょくをおびる。
虹彩こうさいは灰はい褐色かっしょくの個体こたいが多おおい。下した嘴くちばし先端せんたんの黒色こくしょく部ぶが不明瞭ふめいりょう。
Zosterops japonicus alani Hartert, 1905 イオウトウメジロ
硫黄列島いおうれっとう。小笠原諸島おがさわらしょとうに移入いにゅう（小笠原諸島おがさわらしょとうには亜種あしゅイオウトウメジロと亜種あしゅシチトウメジロの交雑こうざつ個体こたいが分布ぶんぷする）。
喉のどの黄色おうしょく部ぶは淡色たんしょくで、アイリング輪郭りんかくの黒色こくしょく部ぶに達たっしない。体側たいそく面めんおよび胸部きょうぶの赤褐色せきかっしょく部ぶは淡色たんしょく。
虹彩こうさいは赤あかみがかる。嘴くちばしは太ふといが、亜種あしゅシチトウメジロほど長ながくはない。下した嘴くちばし先端せんたんの黒色こくしょく部ぶがやや明瞭めいりょう。
Zosterops japonicus daitoensis Kuroda, 1923 ダイトウメジロ
南大東島みなみだいとうじま、北大東島きただいとうじま
額がくにある黄色おうしょく部ぶが大型おおがたで明瞭めいりょう[10]。喉のどの黄色おうしょく部ぶが、アイリング輪郭りんかくの黒色こくしょく部ぶに達たっする。
Zosterops japonicus difficilis Robinson & Kloss, 1918
スマトラ島すまとらとう南部なんぶのDempo山やま
Zosterops japonicus diuatae Salomonsen, 1953
ミンダナオ島みんだなおとう北部ほくぶ
Zosterops japonicus halconensis Mearns, 1907
ミンドロ島みんどろとう
Zosterops japonicus insularis Ogawa, 1905 シマメジロ
種子島たねがしま、屋久島やくしま。トカラ列島れっとうの個体こたい群ぐんを亜種あしゅシマメジロとする説せつもある。
喉のどの黄色おうしょく部ぶは、アイリング輪郭りんかくの黒色こくしょく部ぶに達たっしない。上面うわつらは基もと亜種あしゅよりも緑色みどりいろをおびる。体側たいそく面めんおよび胸部きょうぶの赤褐色せきかっしょく部ぶは、大型おおがたで濃こ色しょく。腹部ふくぶ中央ちゅうおうや尾羽おは下面かめんを被おおう羽毛うもう（下尾しもお筒とう）の黄色おうしょく部ぶは大型おおがたで濃こ色しょく。
下しも嘴くちばし先端せんたんの黒色こくしょく部ぶが不明瞭ふめいりょう。
トカラ列島れっとうの個体こたい群ぐんは体側たいそく面めんおよび胸部きょうぶの赤褐色せきかっしょく部ぶが淡色たんしょくで、嘴くちばしがより太ふとく長ながい。トカラ列島れっとうの個体こたい群ぐんは分類ぶんるいの検討けんとうが必要ひつようとされる[3]
Zosterops japonicus loochooensis Tristram, 1889 リュウキュウメジロ
奄美あまみ大島おおしま以南いなんの南西諸島なんせいしょとう
喉のどの黄色おうしょく部ぶは、アイリング輪郭りんかくの黒色こくしょく部ぶに達たっしない。体側たいそく面めんおよび胸部きょうぶは、赤あかみをおびない。
Zosterops japonicus montanus Bonaparte, 1850
ジャワ島じゃわとう、スマトラ島すまとらとう、スラウェシ島とう、バリ島ばりとう、小しょうスンダ列島れっとう、モルッカ諸島しょとう南部なんぶ
Zosterops japonicus obstinatus Hartert, 1900
セラム島とう、Bacan島とう、Ternate島とう、Tidore島とう
Zosterops japonicus parkesiduPont, 1971
パラワン島とう
Zosterops japonicus pectoralis Mayr, 1945
ネグロス島とう
Zosterops japonicus stejnegeri Seebohm, 1891 シチトウメジロ
伊豆諸島いずしょとう（伊豆いず大島おおしまから鳥島とつしま）。小笠原諸島おがさわらしょとうに移入いにゅう[3]。
喉のどの黄色おうしょく部ぶは淡色たんしょくで、アイリング輪郭りんかくの黒色こくしょく部ぶに達たっしない。体側たいそく面めんおよび胸部きょうぶの赤褐色せきかっしょく部ぶは淡色たんしょく。
虹彩こうさいはやや赤あかみがかる。基もと亜種あしゅよりも嘴くちばしは太ふとく長ながい。下した嘴くちばし先端せんたんの黒色こくしょく部ぶがやや明瞭めいりょう。
Zosterops japonicus vulcani Hartert, 1903
ミンダナオ島みんだなおとう中部ちゅうぶ
Zosterops japonicus whiteheadi Hartert, 1903
ルソン島るそんとう北部ほくぶ

生態せいたい

[編集へんしゅう]
トキワサンザシの実みを食たべるメジロ

食しょく性せいは雑食ざっしょくだが、花はなの蜜みつや果実かじつを好このみ、育いく雛ひな期きには虫むしなども捕食ほしょくする。

花はなの蜜みつを大変たいへん好このむため花期かきに合あわせて行動こうどうし、春はるには好物こうぶつの花はなの蜜みつを求もとめて南みなみから北きたへと移動いどうするものもいる。特とくに早春そうしゅんはツバキや梅うめの花はなに群むらがる様子ようすがよく観察かんさつされ、「チー、チー」という地鳴じなきで鳴なき交かわす様子ようすがよく観察かんさつされる。花はなの蜜みつを好このむことから「はなすい」、「はなつゆ」などの地方ちほう名めいがある[8]。ソメイヨシノが開花かいかすると、ヒヨドリやスズメと共ともに花はなに群むらがってくる。

非ひ繁殖はんしょく期きは山地さんちから平地ひらちに移動いどうし、群むれで行動こうどうすることが多おおく、カラ類るいと混こん群ぐんを形成けいせいすることも多おおい。繁殖はんしょく期きは番つがいで分散ぶんさんし、2羽わで鳴なき交かわしながら花はなから花はなへと飛とび回まわる様子ようすがよく観察かんさつされる。睡眠すいみん時じは群むれ全体ぜんたいでかたまりとなって枝えだにとまる習性しゅうせいがあるため、夕暮ゆうぐれ時じになるとかたまりの中心ちゅうしんにわれ先さきに割わり込こもうとするメジロの姿すがたを観察かんさつすることができる。

冬季とうきには、アシ原ばらで観察かんさつされることもあり、アシに着ついた昆虫こんちゅうを採と食しょくしていると思おもわれる。

ウグイスとの混同こんどう

[編集へんしゅう]
→「ウグイス § メジロとの混同こんどう」も参照さんしょう

本ほん種たねとウグイスは両りょう種たねともに春はるを告つげる鳥とりとして親したしまれていたこともあってか、時期じき的てき・場所ばしょ的てきに重かさなる両りょう種たねは古ふるくから混同こんどうされがちであった。

前述ぜんじゅつのとおり、メジロは梅うめの花はな蜜みつを好このみ、早春そうしゅんには梅うめの花はなを求もとめて集あつまってくる。また比較的ひかくてき警戒けいかい心しんが緩ゆるく、姿すがたを観察かんさつしやすい。

いっぽう、梅うめが咲さく頃ころによく通とおる声こえでさえずりはじめるウグイスは警戒けいかい心しんが強つよい。またウグイスは主おもに虫むしや木この実みなどを食たべ、花はな蜜みつを吸すうことはめったにない。

また、そのウグイスとメジロの混同こんどうを示しめすものとして「鶯うぐいす色しょく」がある。ウグイス色うぐいすいろと言いった際さいに、ウグイスの灰はい褐色かっしょく（オリおりーブ色ぶいろに近ちかい）を想像そうぞうする人ひともいれば、メジロの緑色みどりいろに近ちかい色いろを想像そうぞうする人ひともいる（旧きゅう・国鉄こくてつの黄き緑みどり6号ごうなど）。

なお、古来こらいより春はるを告つげる言葉ことばとして「梅うめに鶯うぐいす」があるが、これはいずれも春はるの訪おとずれを告つげる梅うめの花はなと鶯うぐいすの声こえを取とり合あわせた風情ふぜいを意味いみする。古ふるくから[11]和歌わかや絵画かいがで好このまれた。しかし、詩歌しかや芸術げいじゅつに関かんする素養そようが失うしなわれた現代げんだいでは、梅うめにウグイスという言葉ことばはウグイスとメジロを混同こんどうしたものであるとする俗説ぞくせつが流布るふされた。なお、日本にっぽん画がで写生しゃせいのために梅うめの枝えだとメジロを描えがくのとは意味いみが異ことなる。

観察かんさつ

[編集へんしゅう]

メジロは甘あまい蜜みつを好このみ、また里山さとやまや市街地しがいちでも庭木にわきや街路がいろ樹じゅなどの花はなを巡めぐって生活せいかつしている。そのため昔むかしから人々ひとびとに親したしまれた鳥とりである。現在げんざいも、切きった果物くだものや砂糖さとう水みずなどを庭先にわさきに吊つるしておくことでメジロを呼よぶことができ、野鳥やちょう観察かんさつにおいて馴染なじみ深ふかい鳥とりの一種いっしゅである。エサ場じょうでヒヨドリがメジロを追おっ払ぱらうのもよく見みかける光景こうけいである。

またメジロは比較的ひかくてき警戒けいかい心しんが緩ゆるく、頻繁ひんぱんに鳴なき交かわしつつ群むれで行動こうどうするため、慣なれた人ひとだと口笛くちぶえで（歯は笛ふえの感覚かんかくで吹ふく）仲間なかまがいると思おもいこませ、群むれを呼よび寄よせることもできたという。

  • 果汁や花蜜など甘いものを好む
    果汁かじゅうや花はな蜜みつなど甘あまいものを好このむ
  • （同左）
    （同左どうさ）
  • ツバキを吸蜜するメジロ
    ツバキを吸蜜するメジロ
  • サクラの蜜を採食中のメジロ
    サクラの蜜みつを採と食しょく中ちゅうのメジロ

目白押めじろおし

[編集へんしゅう]
目白押めじろおし

メジロにはお互たがいに押おし合あうように、ぴったりと枝えだに並ならぶ習性しゅうせいがある[7]。このことから、込こみ合あっていることや物事ものごとが多おおくあることを意味いみする慣用かんよう句くとして「目白押めじろおし」がある。また、縁台えんだいに一いち列れつに並ならんで腰こしを掛かけ肩かたを左右さゆうに押おし合あって端はしの者ものを順々じゅんじゅんに押おし出だす遊戯ゆうぎとして「目白押めじろおし」がある[12]。

人間にんげんとの関係かんけい

[編集へんしゅう]

分布ぶんぷが非常ひじょうに広ひろいことと生息せいそく数すうの推移すいいは不明ふめいなものの激減げきげんしているとも考かんがえられていないことから、2019年ねん（平成へいせい31年ねん/令れい和わ元年がんねん）の時点じてんで種たねとして絶滅ぜつめつのおそれは低ひくいと考かんがえられている[1]。一方いっぽうでペット用ようの採集さいしゅうによる影響えいきょうは懸念けねんされている[1]。

亜種あしゅダイトウメジロ Z. j. daitoensis
分布ぶんぷが限定げんてい的てきで、森林しんりん伐採ばっさいによる営巣えいそう地ちの破壊はかいや、人為じんい的てきに移入いにゅうされたネコやネズミ類るいなどによる捕食ほしょくによる影響えいきょうが懸念けねんされている[10]。2017年ねん（平成へいせい29年ねん）の時点じてんで沖縄おきなわ県けんレッドリストでは準じゅん絶滅ぜつめつ危惧きぐと判定はんていされている[10]。

日本にっぽんでは、以前いぜんは、都道府県とどうふけんの鳥獣ちょうじゅう業務ぎょうむ担当たんとう部署ぶしょなどで愛玩あいがん飼養しようの目的もくてきで捕獲ほかく許可きょか・飼養しよう登録とうろく申請しんせいをし、飼養しよう登録とうろく手数料てすうりょうを支払しはらえば、1世帯せたいあたり1羽わのみ飼育しいくが許可きょかされていた（都道府県とどうふけんによっては条例じょうれいにより捕獲ほかく許可きょかが下おりない所ところもあった）。捕獲ほかくには、メジロの繁殖はんしょく期間きかんを除のぞいた捕獲ほかく許可きょか期間きかんが定さだめられていた。2011年ねん（平成へいせい23年ねん）の鳥獣ちょうじゅう保護ほご法ほう改正かいせいに伴ともない、国内産こくないさんの鳥類ちょうるいは愛玩あいがん目的もくてきでの捕獲ほかく・飼育しいくが禁止きんしされ、原則げんそく的てきに許可きょかは認みとめられなくなった（以前いぜんから飼育しいくしているものについては、今後こんごも飼育しいくが認みとめられた）[13]。雛ひなから育そだてなくても、毎日まいにち時間じかんを決きめて遊あそんでやったり、手てから餌えさを与あたえているとよく馴なれるとされる[14]。

和歌山わかやま県けん、大分おおいた県けんの県けん鳥とりに指定していされている。また 2007年ねん（平成へいせい19年ねん）までは50円えん切手きってのデザインのモデルになっていた [15]。

メジロは良よい声こえで囀さえずるため、古ふるくから和かず鳥とりとして飼かわれてきたが、特とくに明治めいじ17年ねんから村上むらかみ定太郎ていたろうの考案こうあんによりメジロは囀さえずりの美うつくしさや回数かいすうの多おおさで優劣ゆうれつを競きそう「鳴なき合あわせ」（競争きょうそう）道楽どうらくの対象たいしょうとなり現在げんざいに至いたっている[16]。鳴なき声ごえは「長兵衛ちょうべえ、忠兵衛ちゅうべえ、長ちょう忠兵衛ちゅうべえ」などと充あてられる[17]。

現在げんざいも西日本にしにほんを中心ちゅうしんに[18]、「鳴なき合あわせ会かい」があり、定期ていき的てきに会合かいごうが行おこなわれている。全国ぜんこく野鳥やちょう密猟みつりょう対策たいさく連絡れんらく会かい（密みつ対たい連れん）によると、2017年ねん当時とうじ、日本にっぽん全国ぜんこくに鳴なき合あわせ会かいの愛好あいこう家かが約やく1万まん5000人にんいると推定すいていされ、そのうち推定すいてい約やく950人にんが活動かつどうする大阪おおさかは鳴なき合あわせの本場ほんばとされている。大阪おおさかの愛好あいこう家かによると、鳴なき合あわせ会かいでは参加さんか者しゃから一いち人数にんずう千せん円えんを徴収ちょうしゅうして食品しょくひんや日にち用品ようひんを成績せいせき優秀ゆうしゅう者しゃから順じゅんに全員ぜんいんに渡わたすと語かたったが、密みつ対たい連れんは、大阪おおさかでは賞品しょうひんに日にち用品ようひんが見当みあたらないことから現金げんきんを賭かけた賭博とばくが行おこなわれていた可能かのう性せいも指摘してきしている。会かいでは囀さえずりの美うつくしさや回数かいすうの多おおさで優劣ゆうれつを競きそい、優秀ゆうしゅうな個体こたいには「横綱よこづな」「大関おおぜき」といった称号しょうごうも与あたえられ、ときに数すう百ひゃく万まん円えんの高値たかねで取引とりひきされることもあり、以前いぜんは密猟みつりょうしたメジロが暴力団ぼうりょくだんの資金しきん源げん（シノギ）にもなっていた[19]。

こうした会かいで優勝ゆうしょうする個体こたいは、巣立すだち直前ちょくぜんの雛ひなに、付つけ仔こと呼よばれる別べつの美うつくしく囀さえずる個体こたいの囀さえずりを聞きかせる、あるいは会かいで優勝ゆうしょうした横綱よこづなの声こえをテープに録ろくってそれを聞きかせる、といった方法ほうほうで育そだてられるのが一般いっぱん的てきである。しかし「飛とびッ子こ」、「新子あたらし（しんこ）」などと呼よばれる巣立すだち直前ちょくぜんの個体こたいは通例つうれい、違法いほうとなっているかすみ網あみで捕獲ほかくされるので、メジロ以外いがいの他た種たねまで混こん獲えされるうえに、目的もくてきとするメジロであってもオスだけを残のこし、さえずらないメスはその場ばで殺ころしてしまうので問題もんだいとなっている。

こうした事態じたいが野鳥やちょうの乱獲らんかくによる生態せいたい系けい破壊はかいを受うけ、鳥獣ちょうじゅう保護ほご法ほうによる規制きせいが強化きょうかされ、現在げんざいは都道府県とどうふけん知事ちじの許可きょかを得えた場合ばあいを除のぞき、メジロの捕獲ほかくおよび飼育しいくが禁止きんしされており、都道府県とどうふけんによっては条例じょうれいで捕獲ほかくおよび飼育しいくを全面ぜんめん禁止きんししている所ところもあるが、同どう法ほうでは日本にっぽん国外こくがいで捕とらえた野鳥やちょうの輸入ゆにゅうとその飼育しいくを禁止きんししていないため、中国ちゅうごくなどから亜種あしゅヒメメジロなどを輸入ゆにゅうし、日本にっぽん国内こくないで密猟みつりょうしたメジロに輸入ゆにゅう証明しょうめい書しょを付つけて販売はんばいする悪質あくしつな業者ぎょうしゃと、それを買かい求もとめる者ものが現あらわれて、問題もんだいになっている。不要ふようとなったヒメメジロは日本にっぽん国内こくないで放はなされたり、殺ころされたりしているといわれ、種たねの交雑こうざつや倫理りんり的てきな問題もんだいも懸念けねんされている[20]。

その対策たいさくとして、日本にっぽん野鳥やちょうの会かいなど野鳥やちょう保護ほご団体だんたいが設立せつりつした全国ぜんこく野鳥やちょう密猟みつりょう対策たいさく連絡れんらく会かい（密みつ対たい連れん）[21]では、販売はんばい店てんや密猟みつりょうの実態じったい調査ちょうさ、亜種あしゅヒメメジロ（Zosterops japonicus simplex）との見分みわけ方かたを示しめしたリーフレットの制作せいさく・頒布はんぷ[22]といった啓蒙けいもう活動かつどうを行おこなっている。また環境省かんきょうしょう（制作せいさくは山階やましな鳥類ちょうるい研究所けんきゅうじょ）でも同様どうようのパンフレットを用意よういするなど対策たいさくに当あたっている[23]。

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]
  1. ^ a b c d e BirdLife International. 2019. Zosterops japonicus. The IUCN Red List of Threatened Species 2019: e.T155158005A155636070. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2019-3.RLTS.T155158005A155636070.en. Downloaded on 15 September 2020.
  2. ^ a b c d e Sylviid babblers, parrotbills, white-eyes, Gill F, D Donsker & P Rasmussen (Eds). 2020. IOC World Bird List (v10.2). https://doi.org/10.14344/IOC.ML.10.2. (Downloaded 15 September 2020)
  3. ^ a b c d e 日本にっぽん鳥とり学会がっかい 「メジロ」『日本にっぽん鳥類ちょうるい目録もくろく 改訂かいてい第だい7版はん』日本にっぽん鳥とり学会がっかい（目録もくろく編集へんしゅう委員いいん会かい）編へん、日本にっぽん鳥とり学会がっかい、2012年ねん（平成へいせい24年ねん）、292 - 294頁ぺーじ
  4. ^ 『小学館しょうがくかんの図鑑ずかんNEO 鳥とり』、小学館しょうがくかん、2002年ねん
  5. ^ a b c 安部あべ直哉なおや 「メジロ」『野鳥やちょうの名前なまえ』、山やまと溪谷社けいこくしゃ、320頁ぺーじ。
  6. ^ 山やま溪けいハンディ図鑑ずかん7　日本にっぽんの野鳥やちょう (2006)、532-533頁ぺーじ
  7. ^ a b c d ひと目めでわかる野鳥やちょう (2010)、206頁ぺーじ
  8. ^ a b 鳥とりの名前なまえ (2003)、180頁ぺーじ
  9. ^ 茂田しげた良光よしみつ 「メジロZosterops japonicusの亜種あしゅ（日本にっぽん産さん）」『世界せかいのメジロ図譜ずふ 増補ぞうほ改訂かいてい版ばん』、全国ぜんこく野鳥やちょう密猟みつりょう連絡れんらく会かい、2016年ねん（平成へいせい28年ねん）、11 - 12頁ぺーじ。
  10. ^ a b c 高木たかぎ昌あきら興きょう 「ダイトウメジロ」『改訂かいてい・沖縄おきなわ県けんの絶滅ぜつめつのおそれのある野生やせい生物せいぶつ（レッドデータおきなわ） 第だい3版はん 動物どうぶつ編へん』、沖縄おきなわ県けん文化ぶんか環境かんきょう部ぶ自然しぜん保護ほご課か編へん 、2017年ねん（平成へいせい29年ねん）、175 - 176頁ぺーじ。
  11. ^ 懐ふところ風ふう藻も
  12. ^ 酒井さかい欣 著ちょ 『日本にっぽん遊戯ゆうぎ史し』 第だい一いち書房しょぼう 1983年ねん（昭和しょうわ58年ねん）10月がつ p.905
  13. ^ 愛玩あいがん飼養しよう・鳥獣ちょうじゅう等とうの輸入ゆにゅう規制きせい（環境省かんきょうしょう - 2020年ねん（令れい和わ2年ねん）9月がつ15日にちに利用りよう）
  14. ^ 阿部あべ瑞みずほ軒のき『和わ鳥とりの飼かい方かた』（1958年ねん、泰文やすふみ館かん）「第だい七なな章しょう 主おもな和わ鳥とりの飼かい方かた」 p84
  15. ^ 普通ふつう切手きって一覧いちらん（日本にっぽん郵便ゆうびん）の控ひかえ[出典しゅってん無効むこう]
  16. ^ 国立こくりつ国会こっかい図書館としょかん. “「目白押めじろおし」の言葉ことばの由来ゆらい、「鳴なき合あわせ」がいつの時代じだいから行おこなわれていたか、について載のっている資料しりょうを探さがしている。”. レファレンス協同きょうどうデータベース. 2021年ねん5月がつ24日にち閲覧えつらん。
  17. ^ “鳥類ちょうるい音声おんせいデータベース　メジロ”. 国立こくりつ科学かがく博物館はくぶつかん. 2022年ねん11月24日にち閲覧えつらん。
  18. ^ “違法いほう飼育しいく”. 日本にっぽん野鳥やちょうの会かい東京とうきょう. 2021年ねん5月がつ24日にち閲覧えつらん。
  19. ^ INC, SANKEI DIGITAL (2017年ねん5月がつ30日にち). “【衝撃しょうげき事件じけんの核心かくしん】「横綱よこづな」は数すう百ひゃく万まん円えん？ 金品きんぴん飛とび交かうメジロ鳴なき声ごえバトルのウラ 愛好あいこう家か１２人にんの自宅じたくを捜索そうさくすると…”. 産経さんけいニュース. 2021年ねん5月がつ24日にち閲覧えつらん。
  20. ^ 野鳥やちょう売買ばいばい メジロたちの悲劇ひげき、遠藤えんどう公男きみお、講談社こうだんしゃ＋αあるふぁ新書しんしょ、2002年ねん（平成へいせい14年ねん）、ISBN 4-06-272163-5。
  21. ^ 全国ぜんこく野鳥やちょう密猟みつりょう対策たいさく連絡れんらく会かい（密みつ対たい連れん）
  22. ^ “メジロ識別しきべつマニュアル” (PDF). 全国ぜんこく野鳥やちょう密猟みつりょう対策たいさく連絡れんらく会かい（密みつ対たい連れん）. 2012年ねん3月がつ23日にち閲覧えつらん。
  23. ^ “環境省かんきょうしょう委託いたく調査ちょうさ メジロ識別しきべつマニュアル” (PDF). 財団ざいだん法人ほうじん 山階やましな鳥類ちょうるい研究所けんきゅうじょ (2001年ねん). 2012年ねん3月がつ23日にち閲覧えつらん。

参考さんこう文献ぶんけん

[編集へんしゅう]
  • 大橋おおはし弘一こういち、Naturally『鳥とりの名前なまえ』東京書籍とうきょうしょせき、2003年ねん10月がつ。ISBN 4487798825。 
  • 橘川きつかわ次郎じろう『メジロの眼め―行動こうどう・生態せいたい・進化しんかのしくみ』海うみ游ゆう舎しゃ、2004年ねん9月がつ。ISBN 4905930820。 
  • 叶内かなうち拓哉たくや、安部あべ直哉なおや『山やま溪けいハンディ図鑑ずかん7　日本にっぽんの野鳥やちょう』（第だい2版はん）山やまと溪谷社けいこくしゃ、2006年ねん10月がつ1日にち。ISBN 4635070077。 
  • 中川なかがわ雄三ゆうぞう（監修かんしゅう） 編へん『ひと目めでわかる野鳥やちょう』成美せいび堂どう出版しゅっぱん、2010年ねん1月がつ。ISBN 978-4415305325。 

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]
ウィキメディア・コモンズには、メジロに関連かんれんするメディアがあります。
ウィキスピーシーズにメジロに関かんする情報じょうほうがあります。
「https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=メジロ&oldid=97690464」から取得しゅとく