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防災ぼうさい

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
なみによる災害さいがいふせぐために設置せっちされる[1] 防波堤ぼうはてい

防災ぼうさい(ぼうさい)とは、狭義きょうぎには災害さいがい予防よぼうおよ災害さいがい応急おうきゅう対策たいさくをまとめた概念がいねんである[2]。これに災害さいがい復旧ふっきゅう被災ひさいまえ状態じょうたいもど意味いみ)をふくめる場合ばあいもある[2]。つまり「防災ぼうさい」には災害さいがい未然みぜんふせ被害ひがい抑止よくしのみを場合ばあいもあれば、被害ひがい拡大かくだいふせ被害ひがい軽減けいげんや、被災ひさいからの復旧ふっきゅうまでふくめる場合ばあいもある[3][4]。さらに地域ちいき防災ぼうさい計画けいかくなどでは被災ひさいあらたにより社会しゃかい創出そうしゅつする復興ふっこうまでふくめる場合ばあいもある[2]

災害さいがい概念がいねんひろいので、自然しぜん災害さいがいのみならず、人為じんいてき災害さいがいへの対応たいおうふくめることがある。類義語るいぎごとして、防災ぼうさい被害ひがい抑止よくしのみを場合ばあい区別くべつされるげんわざわい防災ぼうさいよりややひろ概念がいねんである危機きき管理かんりなどがある。

防災ぼうさい危機きき管理かんり

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防災ぼうさいじょう危機きき管理かんり要素ようそ

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防災ぼうさいじょう危機きき管理かんり要素ようそとき系列けいれつでみると準備じゅんび緊急きんきゅう対応たいおう収束しゅうそくの3つの局面きょくめんからなる[2]

準備じゅんび
防災ぼうさいじょう準備じゅんびは、予測よそくそなえ、点検てんけん訓練くんれんの3つの要素ようそからなる[2]予測よそく自然しぜん災害さいがい事件じけん事故じこなどの危機きき予測よそくである[2]予測よそくされた危機ききたいするひとものきむ情報じょうほう仕組しくみなどの用意よういそなえであり、災害さいがい支援しえんするがわまわることができるかや災害さいがい発生はっせいするかといった分岐ぶんきてんにもなる[2]点検てんけん訓練くんれん準備じゅんびしているそなえに実効じっこうせいがあるか確認かくにんすることである[2]
緊急きんきゅう対応たいおう
緊急きんきゅう対応たいおうは、発生はっせいした危機ききによる被害ひがいをいかにすくなくするかをいう[2]
収束しゅうそく
収束しゅうそく平常へいじょうもどるための段階だんかいであり、原因げんいん究明きゅうめい緊急きんきゅう対応たいおう不備ふび点検てんけん対策たいさく検討けんとう実施じっしなどからなる[2]

災害さいがい人口じんこう減少げんしょう財政ざいせい悪化あっか感染かんせんしょうのまんえん企業きぎょう転出てんしゅつ犯罪はんざい発生はっせいなどふくてき多様たよう危機ききとも関連かんれんがある[2]

防災ぼうさい種類しゅるいとマネジメント

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災害さいがい管理かんり緊急きんきゅう事態じたい管理かんりのサイクルにおける4つのフェーズ

災害さいがい防止ぼうしさくおおきく2つにけられる[5]

  1. 被害ひがい抑止よくし
    被害ひがいしょうじないようにこうじる対策たいさく土地とち利用りよう管理かんり河川かせん改修かいしゅう建物たてもの耐震たいしん災害さいがい予報よほう警報けいほうなど。
  2. 被害ひがい軽減けいげん
    被害ひがいしょうじてもそれをすくなくし、なおりがスムーズになるようこうじる対策たいさく災害さいがい対応たいおうマニュアル[6]防災ぼうさい計画けいかく[7]作成さくせい防災ぼうさいシステムの開発かいはつ人材じんざい育成いくせい災害さいがい予報よほう警報けいほうなど。

一方いっぽう災害さいがい発生はっせい対応たいおうおおきく2つにけられる[5]

  1. 応急おうきゅう対応たいおう
    救助きゅうじょ消火しょうか医療いりょう避難ひなんしょ運営うんえいなど。
  2. 復旧ふっきゅう復興ふっこう
    住宅じゅうたく生活せいかつ再建さいけんしんのケアなど。

これらにくわえて、誘因ゆういんたる外力がいりょくることも重要じゅうようである。具体ぐたいてきには、自然しぜん災害さいがいのメカニズムやそれを抑止よくしする技術ぎじゅつ研究けんきゅう災害さいがい予測よそく(ハザードアナリシス)、それらの知識ちしき普及ふきゅう防災ぼうさい教育きょういく)などである[8]

行政ぎょうせい企業きぎょうなどの組織そしきおこな総合そうごうてき防災ぼうさいでは、知識ちしき技術ぎじゅつ資金しきん利害りがい関係かんけい調整ちょうせいもとめられるため、経営けいえい管理かんり(マネジメント)てき視点してん必要ひつようとなる。そのため、この分野ぶんやにおいて防災ぼうさいクライシスマネジメント危機きき管理かんり)・リスクマネジメント一部いちぶとして認識にんしきされている。

ディザスターマネジメント(災害さいがい管理かんり)またはエマージェンシーマネジメント(緊急きんきゅう事態じたい管理かんり)においては、上記じょうき行為こういみぎのように1つの循環じゅんかんなか位置付いちづけられる。このでは被害ひがい抑止よくし被害ひがい軽減けいげんはリスクマネジメント、応急おうきゅう対応たいおう復旧ふっきゅう復興ふっこうはクライシスマネジメントの範疇はんちゅう定義ていぎしているが、よりひろ定義ていぎする場合ばあいもある[5]

また、災害さいがいのリスクについて理解りかいふかめ、その深刻しんこくさや可能かのうせい深刻しんこくさにおうじた防災ぼうさい目標もくひょう)、信頼しんらいできる警報けいほうのありかた避難ひなん指示しじしたがってもらう方策ほうさく避難ひなん方法ほうほうなどについて、実行じっこうしながら改善かいぜん検討けんとうかさねていくことをリスクコミュニケーションという[9]。これにたいし、災害さいがい発生はっせい被災ひさい現場げんば災害さいがい特有とくゆう心理しんり状態じょうたいにある被災ひさいしゃ配慮はいりょしながら情報じょうほう提供ていきょうおこな方法ほうほうについて実行じっこうしながら改善かいぜん検討けんとうかさねていくことをクライシスコミュニケーションという。

被害ひがい抑止よくし被害ひがい軽減けいげん

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災害さいがいにおける外力がいりょくおおきさと発生はっせい頻度ひんど関係かんけい河田かわた・2003ねん[5]改変かいへん

防災ぼうさい施策しさくおおきく、構造こうぞうぶつによって災害さいがい誘因ゆういんたる外力がいりょくふせぐハード(hard)めん対策たいさくと、知識ちしき制度せいどにより災害さいがい素因そいんたる防災ぼうさいりょく向上こうじょうさせるソフト(soft)めん対策たいさくに2ふんされる。外力がいりょくちいさいければだい部分ぶぶんをハードめん対策たいさくふせぐことが可能かのうだが、外力がいりょくおおきくなるほどソフトめん対策たいさくたす役割やくわりおおきくかつ重要じゅうようになってくる。なお、特徴とくちょうとしてハード対策たいさく管理かんり専門せんもんてき行政ぎょうせいになうものがおおいのにたいし、ソフト対策たいさく管理かんり専門せんもんにもひらかれており住民じゅうみんやコミュニティがになうものがおお[10][11][12][13]

ハードめん

ソフトめん

  • 建築けんちくぶつ土木どぼく構造こうぞうぶつにおける法的ほうてき規制きせい耐震たいしん基準きじゅん設定せってい防火ぼうか基準きじゅん設定せってい避難ひなん設備せつび基準きじゅん設定せっていなど)
  • 防災ぼうさい考慮こうりょした都市とし計画けいかく設定せってい
  • 地域ちいき主体しゅたいでの防災ぼうさいまちづくり活動かつどう
  • 水害すいがい土砂どしゃ災害さいがいにおける危険きけん箇所かしょへの法的ほうてき規制きせい建築けんちく制限せいげん危険きけん箇所かしょ指定していなど)
  • 水害すいがい土砂どしゃ災害さいがい風害ふうがい雪害せつがいたいする保安ほあんりん設定せってい
  • 災害さいがい行政ぎょうせいから住民じゅうみんへの周知しゅうち体制たいせい整備せいび広報こうほうしゃ、サイレンなど)
  • 災害さいがい防災ぼうさい担当たんとう機関きかんから報道ほうどう機関きかんへの連絡れんらく体制たいせい報道ほうどう体制たいせい整備せいび
  • 災害さいがい医療いりょう体制たいせい整備せいび
  • 災害さいがい想定そうていした体制たいせい整備せいび防災ぼうさい訓練くんれん避難ひなん訓練くんれんによる避難ひなん経路けいろ確認かくにんなど)
  • 行政ぎょうせいによるハザードマップ作成さくせい公表こうひょう
  • 学校がっこう教育きょういく地域ちいき行政ぎょうせい企業きぎょうでの防災ぼうさい教育きょういく

応急おうきゅう対応たいおう復旧ふっきゅう復興ふっこう

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地震じしん災害さいがいれいに、発生はっせいからの経過けいか時間じかんべつのクライシスマネジメント(危機きき管理かんり)の目安めやすしめ[15]

  • 即時そくじ対応たいおう(1にち以内いない) - 救助きゅうじょ脱出だっしゅつ応急おうきゅう手当てあて災害さいがい医療いりょう災害さいがい防止ぼうし自治体じちたい職員しょくいん非常ひじょう招集しょうしゅう被災ひさい情報じょうほう収集しゅうしゅう解析かいせき対応たいおう安否あんぴ情報じょうほうなど。改善かいぜんさくとして、住民じゅうみん使つかえる救助きゅうじょ道具どうぐ備蓄びちく自治体じちたい職員しょくいん勤務きんむ管理かんり被災ひさい程度ていど考慮こうりょした負担ふたん軽減けいげん医療いりょう機関きかんでの備蓄びちく情報じょうほう共有きょうゆうなど[15]
  • 緊急きんきゅう対応たいおう(2にち - 1週間しゅうかん) - 避難ひなんしょ開設かいせつ機能きのう強化きょうか幹線かんせん道路どうろ通行つうこう確保かくほ交通こうつう整理せいり救援きゅうえん物資ぶっし配布はいふ重傷じゅうしょう患者かんじゃ転送てんそうなど。改善かいぜんさくとして、避難ひなんしょでの被災ひさいしゃへの情報じょうほう提供ていきょう強化きょうかなど[15]
  • 応急おうきゅう対応たいおう(2しゅう - 1かげつ) - 仮設かせつ住宅じゅうたく建設けんせつ入居にゅうきょ物流ぶつりゅう管理かんり継続けいぞく復旧ふっきゅう計画けいかく実施じっし生活せいかつ支援しえん、ボランティア活動かつどうなど。改善かいぜんさくとして、地域ちいきコミュニティを分断ぶんだんしない仮設かせつ住宅じゅうたく入居にゅうきょ、インフラ復旧ふっきゅう作業さぎょう効率こうりつたかめる全体ぜんたいてき調整ちょうせい、ボランティアの養成ようせいなど[15]
  • 復旧ふっきゅう対応たいおう(2がつ - 6かげつ) - しんてき外傷がいしょうストレス障害しょうがい (PTSD) のケア、瓦礫がれき撤去てっきょ復興ふっこう計画けいかく作成さくせいなど。改善かいぜんさくとして、しんのケアをおこなうボランティア強化きょうか瓦礫がれき撤去てっきょ効率こうりつ円滑えんかつ事前じぜん被害ひがい想定そうていによる復興ふっこう計画けいかく作成さくせい負担ふたん軽減けいげんなど[15]
  • 復興ふっこう対応たいおう(7かげつ以降いこう) - 災害さいがい経験けいけん教訓きょうくん継承けいしょう災害さいがいつよいまちづくり、生活せいかつ再建さいけんなど[15]

なお、これは「不意打ふいうち」で突然とつぜんやってくる地震じしん災害さいがい対象たいしょうとして阪神はんしん淡路あわじ大震災だいしんさい[16]作成さくせいされたものであり、ある程度ていど予測よそくでき進行しんこうゆるやかな洪水こうずい高潮こうちょうといった災害さいがいにはかならずしもてはまらない。洪水こうずい高潮こうちょうでは、災害さいがいレベルにたっするまえ警報けいほう避難ひなん指示しじすことができること、避難ひなんしょ備蓄びちく倉庫そうこ庁舎ちょうしゃなどの浸水しんすい対策たいさくかんがえる必要ひつようがあること、災害さいがいとして感染かんせんしょう危険きけんせいたかいことなどがことなる[15]

自助じじょ共助きょうじょおおやけすけ

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災害さいがい現場げんば集結しゅうけつした消防しょうぼうたい

災害さいがい対応たいおう主体しゅたいちがいにより、みずか対応たいおうする「自助じじょ」、ご近所きんじょなどの共同きょうどうたいたすう「共助きょうじょ」、消防しょうぼう自治体じちたいたすけてもらう「おおやけすけ」の3つに区分くぶんすることができる。市民しみん行政ぎょうせい役割やくわり分担ぶんたん強化きょうかされた現代げんだいでは、日常にちじょう生活せいかつ行政ぎょうせい依存いぞんする部分ぶぶんがあり、災害さいがいにもこの延長えんちょうとして市民しみんは「おおやけすけ」が機能きのうすることを期待きたいする。しかし、ある調査ちょうさ災害さいがいには自助じじょ : 共助きょうじょ : おおやけすけ割合わりあいが7 : 2 : 1になると報告ほうこくされているように、災害さいがいには「おおやけすけ」は限定げんていてきにしか機能きのうしないじょう災害さいがい深刻しんこくであるほど「おおやけすけ」の機能きのう低下ていかする。とく瞬時しゅんじ大量たいりょう被災ひさいしゃしょうじる地震じしん場合ばあい顕著けんちょである。たとえば、阪神はんしん淡路あわじ大震災だいしんさいでは家屋かおくなどの下敷したじきとなった16まん4せんにんのうち、12まん9せんにん(8わり)が自力じりき脱出だっしゅつ、2まん7せんにん (16%) は近隣きんりん住民じゅうみん救出きゅうしゅつ、7,900にん警察けいさつ消防しょうぼう自衛隊じえいたい救出きゅうしゅつしたが、近隣きんりん住民じゅうみんにより救出きゅうしゅつされたひとやく8わり生存せいぞんしていたのにたいし、警察けいさつとうにより救出きゅうしゅつされたひと生存せいぞんりつ到着とうちゃく時間じかんがかかった影響えいきょうやく50%にとどまっている。そのため、「自助じじょ」「共助きょうじょ」の重要じゅうようせいたか[17][18][19]

共助きょうじょには、ご近所きんじょ同士どうしのようにえて組織そしきされていないものと、消防しょうぼうだん水防すいぼうだん自主じしゅ防災ぼうさい組織そしきのように組織そしきされているものとがある。

近代きんだいほう成立せいりつした国家こっかでは(日本にっぽんでは明治めいじ以降いこう)、政府せいふ行政ぎょうせいによる「おおやけすけ」のかんがかた浸透しんとうした。救急きゅうきゅう消防しょうぼう警察けいさつぐん自衛隊じえいたい)、あるいは専門せんもん機関きかん日本にっぽん災害さいがい対策たいさく本部ほんぶ、アメリカのFEMA、ロシアの非常ひじょう事態じたいしょうなど)の役割やくわり明確めいかくされ、それぞれが責任せきにんっている。だい規模きぼ災害さいがいにおいても、政府せいふ行政ぎょうせい復旧ふっきゅう復興ふっこう責任せきにんうのが普通ふつうとなっている。一方いっぽうで、有志ゆうしによる「おおやけすけ」のかんがかた進化しんかしてきており、企業きぎょうNPOによる援助えんじょボランティア災害さいがいボランティア活動かつどうおこなわれる。

防災ぼうさい概略がいりゃく近年きんねん主要しゅよう課題かだい

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古来こらい防災ぼうさい日常にちじょう生活せいかつ一部いちぶであり、「防災ぼうさい」という行動こうどう意識いしきてき区別くべつされることはなかったとかんがえられる。しかし、為政者いせいしゃにより治水ちすいおこなわれるようになると役割やくわり分担ぶんたんはじまる。これは日本にっぽんではおも江戸えど時代じだいのことである。さらに、明治めいじ時代じだい以降いこう治水ちすい行政ぎょうせい管掌かんしょうとなって、専門せんもんされ技術ぎじゅつ向上こうじょうはかられるようになる。このようなながれのなかで、ダムや堤防ていぼうなどの施設しせつ(ハード)の対策たいさくおおきく進歩しんぽし、災害さいがい自体じたい研究けんきゅうすすんで理解りかいふかまった。日本にっぽん防災ぼうさいはこうした技術ぎじゅつりょく研究けんきゅう能力のうりょくはトップレベルとわれる一方いっぽうで、こうした施設しせつ研究けんきゅう必要ひつようせい社会しゃかい市民しみん理解りかい納得なっとくしているかは疑問ぎもんされているほか、避難ひなんなどの施設しせつ(ソフト)対策たいさく相対そうたいてき不十分ふじゅうぶんとされる。その背景はいけいには、防災ぼうさい専門せんもんにより治水ちすいをはじめとした防災ぼうさい日常にちじょう生活せいかつからとおざかってしまったことがげられる[20][21]

日本にっぽんでは1950年代ねんだいまで、とくに1942ねんから1948ねんまでの7年間ねんかんだい地震じしん台風たいふう来襲らいしゅうおおく、自然しぜん災害さいがい死者ししゃ毎年まいとし1,000にんえる事態じたいとなっていた。戦後せんご復興ふっこうにより防災ぼうさい事業じぎょう再開さいかいされるものの、都市としによる社会しゃかい脆弱ぜいじゃくすすんだことで被害ひがいはなかなか減少げんしょうしない状況じょうきょうにあった。1962ねん災害さいがい対策たいさく基本きほんほう制定せいていされたことで行政ぎょうせい責任せきにん明確めいかくされ、災害さいがい対策たいさくすすんだ。1970年代ねんだいには年間ねんかん500にん前後ぜんこうに、さらに1990年代ねんだい以降いこうには年間ねんかんすうじゅうにん確実かくじつ減少げんしょうしている。ただし、そのようななかでも1995ねん阪神はんしん淡路あわじ大震災だいしんさいや2011ねん東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいなど、時折ときおりだい災害さいがい発生はっせい防災ぼうさいおおくの課題かだいのこしている[22][23][24]

日本にっぽんではだい世界せかい大戦たいせん河川かせん改修かいしゅう耐震たいしんなどの施設しせつ(ハード)対策たいさくつうじて被害ひがい抑止よくしすることに主眼しゅがんかれてきた。ところが、1995ねん阪神はんしん淡路あわじ大震災だいしんさいでその限界げんかい露呈ろていしたことを契機けいきに、被害ひがい軽減けいげん復旧ふっきゅう重視じゅうしすべきというかんがかたつよまり、対策たいさくにより被害ひがい最小限さいしょうげんおさえることに注力ちゅうりょくするげんわざわいかんがかた登場とうじょうした。2011ねん東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいではこの課題かだいあらためて認識にんしきされ、復興ふっこう構想こうそう会議かいぎ提言ていげんでは「げる」こと=避難ひなん基本きほんとした防災ぼうさい教育きょういくハザードマップ整備せいびなどの施設しせつ(ソフト)対策たいさく重視じゅうしうたっている[3][4][25]

日本にっぽん防災ぼうさいおも課題かだいげられるものとして、避難ひなんのありかた防災ぼうさい計画けいかくやシステムの実行じっこうりょくがある。避難ひなん目安めやすとなる予報よほう警報けいほう技術ぎじゅつ向上こうじょうしてきている一方いっぽうで、災害さいがいこったのち避難ひなん低調ていちょうであったことがしばしばほうじられ、安全あんぜんげてもらうための避難ひなん情報じょうほうのありかた模索もさくされている。また、阪神はんしん淡路あわじ大震災だいしんさいおおきなうごきとして防災ぼうさい計画けいかく防災ぼうさいマニュアル、防災ぼうさい情報じょうほうシステムがにわかに整備せいびされたものの、実際じっさい災害さいがい有効ゆうこう機能きのうさせることができるかどうかがわれている[21]

このほか、小規模しょうきぼ自治体じちたいでは防災ぼうさいける人員じんいん予算よさんかぎられ満足まんぞく対応たいおうができない場合ばあいがあるという問題もんだい市町村しちょうそん都道府県とどうふけんまたいだ広域こういき災害さいがいにおける連携れんけい問題もんだい[26]自発じはつてき避難ひなんにつながるような行政ぎょうせい依存いぞんしない住民じゅうみんみずかおこな防災ぼうさいをどのように啓発けいはつしていくかという問題もんだい[27]げられる。

日本にっぽん災害さいがい法制ほうせい

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日本にっぽん災害さいがい法制ほうせい災害さいがい対策たいさく基本きほんほうわざわいたいほう)を基本きほんとし、そのほかにも過去かこ災害さいがい教訓きょうくん制定せいていされた災害さいがい救助きゅうじょほうなどの多数たすう法律ほうりつ存在そんざいする[28]

くに自治体じちたい

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自治体じちたい危機きき管理かんりしつ情報じょうほう収集しゅうしゅうするパソコンや電話でんわ、ホワイトボードなどがそなけられる。(ドイツ、ミュールドルフぐん

わざわいたいほうでは、災害さいがい応急おうきゅう対応たいおうはまず市町村しちょうそん責任せきにんうことと規定きていしている(わざわいたいほう5じょう、62じょうなど)。市町村しちょうそんちょうには、関係かんけい機関きかん住民じゅうみん災害さいがい通知つうちをする責務せきむ(56じょう)、避難ひなん指示しじ警戒けいかい区域くいき設定せっていおこな権限けんげん(60じょう、63じょう)、災害さいがい拡大かくだい防止ぼうしのために物件ぶっけんこわすよう要求ようきゅうする権限けんげん(59じょう、64じょう)があたえられている。また、都道府県とどうふけんは、市町村しちょうそん後方こうほう支援しえん調整ちょうせいにない(68じょう)、災害さいがい救助きゅうじょほうもとづく事務じむになうほか、被災ひさいにより市町村しちょうそん機能きのうしなくなった場合ばあいには措置そち代行だいこうすることがみとめられている(73じょう[29]

くに都道府県とどうふけん市町村しちょうそんさらなる後方こうほう支援しえんになう(わざわいたいほう77じょう)。また、くに機関きかんである気象庁きしょうちょう気象きしょう地震じしん火山かざんなどについて予報よほう警報けいほう発表はっぴょうする義務ぎむっている(気象きしょう業務ぎょうむほう[30]

災害さいがい市町村しちょうそん市町村しちょうそんちょう本部ほんぶちょうとする災害さいがい対策たいさく本部ほんぶ設置せっちし、災害さいがい対応たいおう司令塔しれいとう役割やくわりになう(わざわいたいほう23じょう)。これに関連かんれんしてくには、だい規模きぼ災害さいがいくに関与かんよ必要ひつよう場合ばあい防災ぼうさい担当たんとう大臣だいじん本部ほんぶちょうとする非常ひじょう災害さいがい対策たいさく本部ほんぶを(24じょう)、さらに激甚げきじん災害さいがい場合ばあい内閣ないかく総理そうり大臣だいじん本部ほんぶちょうとする緊急きんきゅう災害さいがい対策たいさく本部ほんぶ設置せっちする(28じょうの2)。なお、市町村しちょうそん都道府県とどうふけん設置せっちする「警戒けいかい本部ほんぶ」「復興ふっこう対策たいさく本部ほんぶ」などはわざわいたいほうもとづかない任意にんいのものである[31]

総合そうごうてき防災ぼうさい方針ほうしんめる仕組しくみとして防災ぼうさい会議かいぎ防災ぼうさい計画けいかくがある。これらはトップダウンしきで、くに中心ちゅうしんてき役割やくわりにない、その方針ほうしんもとづいて都道府県とどうふけん、さらに市町村しちょうそん計画けいかく立案りつあん実施じっしする構造こうぞうである。くに中央ちゅうおう防災ぼうさい会議かいぎいて防災ぼうさい基本きほん計画けいかく策定さくてい中央ちゅうおう省庁しょうちょう防災ぼうさい業務ぎょうむ計画けいかく策定さくていする。都道府県とどうふけん都道府県とどうふけん防災ぼうさい会議かいぎいて都道府県とどうふけん地域ちいき防災ぼうさい計画けいかく策定さくてい市町村しちょうそん市町村しちょうそん防災ぼうさい会議かいぎいて市町村しちょうそん地域ちいき防災ぼうさい計画けいかく策定さくていする。トップダウンによる弊害へいがい指摘してきされる一方いっぽうとしいち見直みなおされる防災ぼうさい計画けいかく期待きたいされる市民しみんのチェック機能きのうはたらいていないという指摘してきもある[32]

専門せんもん機関きかん

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消防しょうぼう常設じょうせつ機関きかんだが防災ぼうさい業務ぎょうむになう。消防しょうぼうおよ消防しょうぼうだんいんは、水火すいかわざわいまたは地震じしんなどの災害さいがい防除ぼうじょ予防よぼうのぞく)し被害ひがい軽減けいげんし、傷病しょうびょうしゃ搬送はんそうするなど、災害さいがいから国民こくみん生命せいめい身体しんたい財産ざいさんまもるという任務にんむさだめられている(消防しょうぼうほう消防しょうぼう組織そしきほう)。消防しょうぼうは、救助きゅうじょ救急きゅうきゅうなどの応急おうきゅう対応たいおうにおいて専門せんもん技能ぎのうゆうする数少かずすくない存在そんざいである。災害さいがいには、一定いってい人口じんこう規模きぼ設置せっちすることとされている特別とくべつ救助きゅうじょたい(レスキューたい)や高度こうど救助きゅうじょたい救助きゅうじょたい編成へんせい装備そうびおよ配置はいち基準きじゅんさだめる省令しょうれい)のほか、山岳さんがく救助きゅうじょたい水難すいなん救助きゅうじょたい化学かがく機動きどう中隊ちゅうたい緊急きんきゅう消防しょうぼう援助えんじょたいなどの専門せんもん部隊ぶたい活動かつどうする。ただし、消防署しょうぼうしょ市町村しちょうそん管掌かんしょうであるため、人員じんいん設備せつび市町村しちょうそん財政ざいせいりょく左右さゆうされるという欠点けってんもある[33]

警察けいさつ常設じょうせつ機関きかんだが、捜索そうさく救出きゅうしゅつ避難ひなん誘導ゆうどう交通こうつう確保かくほといった防災ぼうさい業務ぎょうむになう。しかし、法的ほうてきには平時へいじ規定きていである個人こじん生命せいめい身体しんたい財産ざいさん保護ほごする責務せきむ警察けいさつほう2じょう)が延長えんちょうされるものと解釈かいしゃくされ、災害さいがい対策たいさく明確めいかく規定きてい存在そんざいしていない[34]

自衛隊じえいたい常設じょうせつ機関きかんだが防災ぼうさい業務ぎょうむになう。都道府県とどうふけん知事ちじは、自然しぜん災害さいがいなどで人命じんめい財産ざいさん保護ほご必要ひつようがあるとき自衛隊じえいたい派遣はけん災害さいがい派遣はけん要請ようせいおこな権限けんげんゆうする(自衛隊じえいたいほう83じょう)。また、市町村しちょうそんちょう知事ちじ派遣はけん要請ようせいもとめる権限けんげんゆうする(わざわいたいほう68じょうの2)。自衛隊じえいたい実際じっさい業務ぎょうむは、捜索そうさく救出きゅうしゅつだけではなく、とう生活せいかつ支援しえんなど幅広はばひろい。また、自衛隊じえいたい補給ほきゅう宿舎しゅくしゃ確保かくほなどをみずかおこなえる自己じこ完結かんけつがた部隊ぶたいであるという特徴とくちょうがあり、それをかした活動かつどうもとめられる。また、政府せいふが1995ねんと2012ねんった調査ちょうさでは、自衛隊じえいたい目的もくてき期待きたいされる役割やくわりとして、くに安全あんぜん治安ちあん維持いじ上回うわまわって災害さいがい派遣はけんさい上位じょういげられ、国民こくみん期待きたいたかい。さらに、隊員たいいん意識いしきとしても"災害さいがい救助きゅうじょにこそ"やりがいやほこりをかんじるものすくなくないとほうじられている。しかし、自衛隊じえいたいしゅたる任務にんむはあくまでくに平和へいわ独立どくりつまも侵略しんりゃくから防衛ぼうえいすることであり、災害さいがい派遣はけん原則げんそくとして要請ようせいけたときにかぎられる[35][36]

このほか、水防すいぼうだん水防すいぼうほうもとづいて水害すいがいとき治水ちすい施設しせつ稼働かどうなどの水害すいがい予防よぼう活動かつどうおこなうほか、海上保安庁かいじょうほあんちょう海上保安庁かいじょうほあんちょうほうもとづいて水難すいなん海難かいなん救助きゅうじょ航行こうこう支援しえんおこなう。

応急おうきゅう対応たいおう

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災害さいがい応急おうきゅう対応たいおう規定きていしているのは災害さいがい救助きゅうじょほうである。避難ひなんしょ食事しょくじ物資ぶっし提供ていきょう仮設かせつ住宅じゅうたく障害しょうがいぶつ除去じょきょ遺体いたい埋葬まいそうなどをさだめている。そして、現場げんば実態じったいおうじた弾力だんりょくてき運用うんようをするために、災害さいがい救助きゅうじょほう自体じたい簡素かんそ条文じょうぶんのみで構成こうせいされ、具体ぐたいてきには所管しょかんする厚生こうせい労働省ろうどうしょうさだめる基準きじゅん一般いっぱん基準きじゅん)や都道府県とどうふけん状況じょうきょうおうじて厚労省こうろうしょう協議きょうぎしてさだめる基準きじゅん特別とくべつ基準きじゅん)にっていて、通知つうち事務じむ連絡れんらくかたちされている。たとえば、2011ねん一般いっぱん基準きじゅんでは、食料しょくりょう1にん1にち1,010えん以内いない避難ひなんしょ開設かいせつ期間きかん7にち以内いない仮設かせつ住宅じゅうたく費用ひよう1たり2,387,000えん以内いないとされた。しかし、これでは実情じつじょうとして非常ひじょうきびしいため、実際じっさいには特別とくべつ基準きじゅんしたがって、7にちえる避難ひなんしょ運営うんえい避難ひなんしょ代替だいたいとしてホテルや旅館りょかん利用りよう仮設かせつ住宅じゅうたく費用ひようの1たり600まんえん程度ていどへの増額ぞうがくなどがおこなわれている[37]

ただし、弾力だんりょくてき運用うんよう十分じゅうぶんでないために、結果けっかてき問題もんだいしょうじたり、被災ひさいしゃ不満ふまんつの事例じれいすくなくない。とくに、給付きゅうふかんして、現金げんきん支給しきゅうもとめるこえ非常ひじょうつよいのにたいして、くには「災害さいがい発生はっせいすると物資ぶっし欠乏けつぼうしたり調達ちょうたつ困難こんなんとなるため、金銭きんせんがほとんどようをなさない」という理由りゆうからこれをみとめず現物げんぶつ支給しきゅうかかわっているという問題もんだいがある。また、現金げんきん支給しきゅう前例ぜんれいがないという誤解ごかいもあるが、じつは1953ねん水害すいがい被災ひさいしゃたいして生業せいぎょう資金しきんとして1世帯せたいたり1まんえん支給しきゅうした実例じつれい存在そんざいする。こうした制度せいど問題もんだい回避かいひするみとして、1993ねん雲仙うんぜん普賢岳ふげんだけ噴火ふんかでは国土庁こくどちょう長崎ながさきけん長期ちょうき避難ひなんしゃたいして食事しょくじ現物げんぶつ支給しきゅう現金げんきん支給しきゅう選択せんたくする制度せいど実施じっししたほか、2000ねん有珠山うすざん噴火ふんかでは北海道ほっかいどう虻田あぶたまち避難ひなんしゃ生活せいかつ支給しきゅうする制度せいど実施じっしした。これらはいずれも災害さいがい救助きゅうじょほう枠外わくがいおこなわれている[37]

復旧ふっきゅう

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災害さいがい復旧ふっきゅうは、市町村しちょうそんちょう実施じっし責任せきにんせられている(わざわいたいほう87じょう)。ただし費用ひよう莫大ばくだいであるため国庫こっこ負担ふたん必要ひつようであり、土木どぼく施設しせつ災害さいがい負担ふたんほう農林のうりん水産すいさんぎょう施設しせつ災害さいがい負担ふたんほう学校がっこう施設しせつ災害さいがい負担ふたんほうなどによって補助ほじょりつさだめられている。災害さいがい復旧ふっきゅう事業じぎょうは、事業じぎょうおこな主務しゅむしょう災害さいがい査定さていかん財務省ざいむしょう立会たちあいかん現場げんばって査定さていおこなう(災害さいがい査定さてい立会たちあい制度せいど)。災害さいがい復旧ふっきゅう事業じぎょうは、公共こうきょう土木どぼく施設しせつ災害さいがい復旧ふっきゅう事業じぎょう国庫こっこ負担ふたんほうなどの規定きていから、原則げんそくとして原型げんけい復旧ふっきゅう、つまりもと機能きのう復旧ふっきゅうするものかぎられ(原形げんけい復旧ふっきゅう主義しゅぎ)、改良かいりょうくわえると対象たいしょうからはずれてしまうという問題もんだいがある。たとえば、津波つなみ被害ひがいからの復旧ふっきゅうのために堤防ていぼうたかくしたり、安全あんぜんのために鉄道てつどう路線ろせん変更へんこうしたりすると補助ほじょりつひくくなる。わざわいたいほう88じょう施設しせつ新設しんせつ改良かいりょうについて十分じゅうぶん配慮はいりょ必要ひつよう改良かいりょう復旧ふっきゅう主義しゅぎ)とうたわれてはいるものの、課題かだいとされている。なお、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさい復興ふっこう基本きほんほうでは基本きほん理念りねん原形げんけい復旧ふっきゅうまらない姿勢しせいされている。他方たほう施設しせつではない地域ちいき経済けいざい生活せいかつ、コミュニティなどはこうした法律ほうりつ対象たいしょうがいである[38]

また、激甚げきじん災害さいがいほう一定いってい以上いじょう被害ひがいのあった災害さいがいを「激甚げきじん災害さいがい」と認定にんていし、国庫こっこ補助ほじょりつげる。認定にんていけた場合ばあい特別とくべつ交付こうふぜいをはじめとしておおくの復旧ふっきゅう国庫こっこ補助ほじょけられるようになるため、自治体じちたい事業じぎょう見通みとおしがけやすくなる。また、施設しせつふくめた幅広はばひろ事業じぎょう対象たいしょうにすることができる利点りてんもある[39]

被災ひさいしゃへの公的こうてき援助えんじょとして、災害さいがい弔慰ちょういきんほうもとづいた災害さいがい弔慰ちょういきん災害さいがい障害しょうがい見舞みまいきん災害さいがい援護えんご資金しきん貸付かしつけ、また被災ひさいしゃ生活せいかつ再建さいけん支援しえんほうもとづいて住宅じゅうたく全壊ぜんかいだい規模きぼ半壊はんかいとなった住民じゅうみんへの支援しえんきんがある。これらは1990年代ねんだいから2000年代ねんだいにかけて、度重たびかさなる災害さいがいでの反省はんせいまえて制定せいてい改正かいせいされ拡充かくじゅうされている。しかし、災害さいがい弔慰ちょういきんがくが「しゅたる生計せいけい維持いじしゃ」であるかどうかによっておおきくわること、災害さいがい障害しょうがい見舞みまいきん基準きじゅんきびしいこと、支援しえんきん対象たいしょうかぎられ認定にんていがスムーズではないことといった問題もんだい指摘してきされている[40]

災害さいがいには、善意ぜんい募金ぼきんによる義援金ぎえんきんあつめられ被災ひさいしゃ配分はいぶんされる。しかし、被災ひさいしゃすう報道ほうどうのされかたなど、災害さいがいによって1人ひとりたりの配分はいぶん金額きんがくるという課題かだいがある。また、配分はいぶんについて迅速じんそくせい公平こうへいせいのバランスがしばしば問題もんだいとなる[41]

個人こじん加入かにゅうする保険ほけんるいにおいては、おおくの商品しょうひん自然しぜん災害さいがいについての免責めんせき事項じこう約款やっかんさだめられているものの、適用てきようする場合ばあいとしない場合ばあいがあり、ケースによってまちまちである。火災かさい保険ほけんでは適用てきようしない場合ばあいおおいが、見舞みまいきんとして一部いちぶ支払しはら商品しょうひんもある。火災かさい保険ほけん欠点けってんおぎなうために創設そうせつされたのが地震じしん保険ほけんだが、火災かさい保険ほけんとうとセットで加入かにゅうしなければならず、また金額きんがく限度げんどがある。こうした欠点けってんおぎなうものとして、たとえば兵庫ひょうごけん自然しぜん災害さいがい種類しゅるい住宅じゅうたくふるさに関係かんけいなく被害ひがい程度ていどおうじた共済きょうさいきん支払しはらう「住宅じゅうたく再建さいけん共済きょうさい制度せいど」を独自どくじもうけている。一方いっぽう生命せいめい保険ほけん場合ばあい過去かこおおくの事例じれい免責めんせき事項じこう適用てきようせず支払しはらいをおこなっている[42]

復興ふっこう

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災害さいがい復興ふっこう一般いっぱんてき規定きていする法律ほうりつとして、2013ねん制定せいていされただい規模きぼ災害さいがいからの復興ふっこうかんする法律ほうりつがある。一定いってい要件ようけんたす被害ひがいけた市町村しちょうそんは、移転いてん生活せいかつ再建さいけんなどをさだめた「復興ふっこう計画けいかく」を作成さくせいでき、これに沿った規制きせい緩和かんわ権限けんげん強化きょうか国庫こっこ補助ほじょなどをさだめている[43]

復興ふっこう事業じぎょうについては都市としさい開発かいはつほう土地とち区画くかく整理せいりほうなど平時へいじ法律ほうりつ適用てきようされるが、復興ふっこうそくしていないため問題もんだいしょうじることがある。阪神はんしん淡路あわじ大震災だいしんさいでは被災ひさい市街地しがいち復興ふっこう特別とくべつ措置そちほう東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいでは特例とくれいほう制定せいていされ、土地とち用途ようとによる規制きせい緩和かんわ建築けんちく制限せいげん延長えんちょうなどがおこなわれた。防災ぼうさい集団しゅうだん移転いてん促進そくしん事業じぎょうという仕組しくみもあり、防災ぼうさいのための集団しゅうだん移転いてん促進そくしん事業じぎょうかかくに財政ざいせいじょう特別とくべつ措置そちとうかんする法律ほうりつでは住居じゅうきょ移転いてんかぎ費用ひよう補助ほじょされるが、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさい復興ふっこう特別とくべつ区域くいきほうでは公共こうきょう施設しせつ対象たいしょうとなっている。密集みっしゅう市街地しがいち整備せいびほうもとづく防災ぼうさいがい整備せいび事業じぎょうでは、えへの補助ほじょ危険きけん建築けんちくぶつ除去じょきょ勧告かんこくができる。土地とち改良かいりょうほうでは、農地のうち改良かいりょう保全ほぜんとおして国庫こっこ補助ほじょのある防災ぼうさい事業じぎょうおこなえる。住宅じゅうたく地区ちく改良かいりょうほうもとづく住宅じゅうたく地区ちく改良かいりょう事業じぎょうでは、不良ふりょう住宅じゅうたく買収ばいしゅう移転いてんとおして防災ぼうさい事業じぎょうおこなえる。このほかに、法的ほうてき拘束こうそくりょくはないが要綱ようこうもとづいておこなわれる「要綱ようこう事業じぎょう」とばれる事業じぎょうがあり、補助ほじょきん支出ししゅつされることがある[44]

一方いっぽう産業さんぎょう復興ふっこうについては法律ほうりつがほとんどない。農林のうりん水産すいさんぎょうかぎり、法律ほうりつもとづく共済きょうさい制度せいどがある。それ以外いがい産業さんぎょうでは、激甚げきじんほうによる中小ちゅうしょう企業きぎょう対象たいしょうとした特別とくべつ融資ゆうしがあるにまる。おおくの場合ばあい災害さいがいごとに政府せいふけい金融きんゆう機関きかん信用しんよう保証ほしょう協会きょうかいによる融資ゆうしおこなわれるものの、そのバックアップが不足ふそくすることがある。東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいではバックアップとして、法律ほうりつもとづいた金融きんゆう機関きかんへの資本しほん注入ちゅうにゅう産業さんぎょう復興ふっこう機構きこう事業じぎょうしゃ再生さいせい支援しえん機構きこうによる債権さいけんりがおこなわれている[45]

かく分野ぶんや

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防災ぼうさいのための土木どぼく工事こうじさだめたものには、以下いか法律ほうりつがある[46]

また災害さいがい種類しゅるいおうじて対策たいさくさだめたものには、以下いか法律ほうりつがある[46]

原子力げんしりょく災害さいがいは、当初とうしょ災害さいがい対策たいさく基本きほんほうもとづいた対応たいおう予定よていされていたが、JCO臨界りんかい事故じこ課題かだいのこしたことから具体ぐたいてき対応たいおう規定きていする原子力げんしりょく災害さいがい対策たいさく特別とくべつ措置そちほう制定せいていされた。原子力げんしりょく災害さいがい発生はっせいした場合ばあいくに原子力げんしりょく緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげん発表はっぴょうするとともに、内閣ないかく総理そうり大臣だいじん本部ほんぶちょうとする原子力げんしりょく災害さいがい対策たいさく本部ほんぶ設置せっちし、現地げんちにも現地げんち対策たいさく本部ほんぶやオフサイトセンターを設置せっちすることがさだめられている。しかし福島ふくしまだいいち原子力げんしりょく発電はつでんしょ事故じこでは、住民じゅうみんへの広報こうほう避難ひなん指示しじ伝達でんたつ不十分ふじゅうぶんとなったり、オフサイトセンターが撤退てったい余儀よぎなくされるなど、課題かだいのこした。他方たほう事故じこによる損害そんがい補償ほしょう原子力げんしりょく損害そんがい賠償ばいしょうほうさだめられている。なお、福島ふくしまだいいち原発げんぱつ事故じこでは、事故じこ調査ちょうさ除染じょせん補償ほしょう産業さんぎょう復興ふっこうなどをさだめた特別とくべつ立法りっぽう複数ふくすうなされているが、課題かだい指摘してきされている[51]

建築けんちく基準きじゅんほうは、建築けんちくぶつ安全あんぜんたもつための最低限さいていげん耐震たいしん基準きじゅんしめしたものである。前身ぜんしん市街地しがいち建築けんちくぶつほうは1948ねん福井ふくい地震じしん契機けいき制定せいていされたもので、現行げんこうしん耐震たいしん基準きじゅんは1978ねん宮城みやぎけんおき地震じしん契機けいき改正かいせいされた。他方たほう、2012ねん改正かいせいされた都市とし再生さいせい特別とくべつ措置そちほうでは、主要しゅよう都市とし指定してい地域ちいきえき民間みんかんのビルない避難ひなん場所ばしょ確保かくほ備蓄びちく倉庫そうこ整備せいびすすめるようさだめている[52]

各国かっこく災害さいがい法制ほうせい役割やくわり分担ぶんたん

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主要しゅようこく災害さいがい法制ほうせい主要しゅよう機関きかん分担ぶんたんは、2012ねん時点じてん以下いかのようになっている[53]

  • ドイツ - 「民間みんかんじん保護ほごおよ連邦れんぽう防災ぼうさい支援しえんかんする法律ほうりつ」が基本きほんほう。もとは戦時せんじ非常ひじょう事態じたい対処たいしょのためのもの(有事ゆうじ法制ほうせい)で、これを自然しぜん災害さいがいにも応用おうようする制度せいど災害さいがい対応たいおうぐん中心ちゅうしん
  • フランス - 「民間みんかん安全あんぜん保障ほしょう刷新さっしんかんする2004ねん8がつ13にち法律ほうりつ」が基本きほんほう災害さいがい対応たいおうは5段階だんかいけられており、かく段階だんかいごとに市町村しちょうそんちょう県知事けんちじ管区かんく知事ちじ国務大臣こくむだいじんなど権限けんげん主体しゅたいことなる。
  • イギリス - 「2004ねん市民しみん緊急きんきゅう事態じたいほう」が基本きほんほう女王じょおうまたは行政府ぎょうせいふ緊急きんきゅう事態じたい規則きそく制定せいていけんゆうする。
  • ロシア - もとは有事ゆうじ法制ほうせいもとづいていたが、「自然しぜん災害さいがい非常ひじょう事態じたいほう」と「非常ひじょう事態じたい宣言せんげんほう」という基本きほんほうがある。宣言せんげん適用てきようした地域ちいきでは連邦れんぽうせい停止ていしされて政府せいふ統制とうせいはいり、経済けいざい活動かつどう制限せいげんおこなわれる。
  • アメリカ - 「ロバート・T・スタフォードほう」が基本きほんほう災害さいがい対応たいおう目的もくてきとする。災害さいがい対応たいおう専門せんもん常設じょうせつ機関きかん緊急きんきゅう事態じたい管理庁かんりちょう (FEMA) があり、ぐんとはべつ活動かつどうする。災害さいがい対応たいおう原則げんそくとして各州かくしゅうおこなうが、大統領だいとうりょう緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげん発令はつれいするとFEMAをつうじてかく機関きかん役割やくわり分担ぶんたん調整ちょうせい援助えんじょする仕組しくみ。2005ねんハリケーン・カトリーナ対応たいおうではFEMAの課題かだい指摘してきされた。
  • ニュージーランド - 「2002ねん民間みんかん防衛ぼうえい緊急きんきゅう事態じたい管理かんりほう」が基本きほんほう緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんにより、行政府ぎょうせいふ権限けんげん強化きょうかされる。
  • 韓国かんこく - 「災難さいなんおよび安全あんぜん管理かんり基本きほんほう」「自然しぜん災害さいがい対策たいさくほう」「民間みんかん防衛ぼうえい基本きほんほう」などおおくの法律ほうりつがある。役割やくわり分担ぶんたん明確めいかくてんもある。

ヨーロッパ諸国しょこく災害さいがい法制ほうせい有事ゆうじ法制ほうせいもと拡大かくだいしたものであるが、有事ゆうじ法制ほうせい災害さいがい法制ほうせい明確めいかく区別くべつしたほういというかんがかた存在そんざいする。日本にっぽん災害さいがい法制ほうせいは、有事ゆうじ法制ほうせい明確めいかく区別くべつされているてん応急おうきゅうさく復旧ふっきゅう復興ふっこうよりも災害さいがい抑止よくし軽減けいげん重点じゅうてん防災ぼうさい中心ちゅうしん主義しゅぎであるてん緊急きんきゅう事態じたい法制ほうせいがないてんなどを特徴とくちょうとする。防災ぼうさい計画けいかく念入ねんいりにって段階だんかいてき対応たいおうするてんでフランスに類似るいじする。ただ、災害さいがい対策たいさく基本きほんほうでは責任せきにん市町村しちょうそんせられる一方いっぽう災害さいがい救助きゅうじょほうでは都道府県とどうふけん権限けんげんあたえられるなど、法律ほうりつによってねじれがしょうじている部分ぶぶんがあり、権限けんげんがフランスのように整理せいりされていない。また、平時へいじ同様どうよう省庁しょうちょうりを基本きほんとして政府せいふ対策たいさく本部ほんぶ設置せっちするという方法ほうほうはアメリカに類似るいじするが、常設じょうせつ機関きかんてんことなる[53]

土地とち利用りよう管理かんり

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洪水こうずい津波つなみ土砂崩どしゃくずれや土石流どせきりゅうのように土地とち要因よういんおおきな脆弱ぜいじゃくせいである災害さいがいでは、たとえば河川かせん沿いの低地ていちにおいて住宅じゅうたく建設けんせつきんじるなど、土地とち利用りよう適切てきせつ管理かんりすることができればその被害ひがいおおきく軽減けいげんすることができる。しかし、現実げんじつとしてそれは非常ひじょう困難こんなんである。人々ひとびと危険きけん土地とち利用りようする背景はいけいには、生活せいかつ経済けいざい活動かつどうおこなうえでの利便りべんせいひとやモノがあつまって集落しゅうらく都市とし形成けいせいするメリット、いざ移転いてんするといっても安全あんぜん土地とちほど地価ちかたかいなどの事情じじょうがあり、それら日常にちじょう生活せいかつにおけるメリットを、まれにしかこらないような災害さいがいのために犠牲ぎせいにする選択せんたく困難こんなんだからである[54]

災害さいがい土地とち利用りようからおも問題もんだいかんがえられる対処たいしょげる。

利便りべんせいもとづいた地価ちか評価ひょうかが、地価ちかやす危険きけん土地とち利用りよう促進そくしんしたり、土地とちだいおさえるための宅地たくち細分さいぶん宅地たくち面積めんせき縮小しゅくしょう)をまねいて危険きけんせいたか過密かみつ住宅じゅうたくむという問題もんだいがある。これにたいしては、危険きけんせいをコストに内部ないぶみ=地価ちか評価ひょうか危険きけんせい安全あんぜんせいれるシステムや、法的ほうてき利用りよう規制きせいする施策しさく有効ゆうこうである。たとえばアメリカの全米ぜんべい洪水こうずい保険ほけん制度せいど (NFIP) は、地域ちいきごと洪水こうずいリスクにおうじて保険ほけん料率りょうりつ設定せっていし、危険きけん区域くいき開発かいはつ禁止きんし制限せいげんたい水害すいがい構造こうぞうピロティなど)の義務付ぎむづけをおこなったうえで、地域ちいき洪水こうずい対策たいさく進展しんてんおうじて保険ほけん料率りょうりつ軽減けいげんすることで、危険きけん土地とち利用りよう抑制よくせい対策たいさく促進そくしんおこなっている[54]

所有しょゆうけんもとづく土地とち私有しゆう個人こじん権利けんりとしては容認ようにんされるが、安全あんぜんせい無視むしした土地とち利用りようまね被害ひがいリスクを増大ぞうだいさせる側面そくめんもある。これにたいしては、都市とし計画けいかくにおける適切てきせつ規制きせい必要ひつようである[54]日本にっぽんにおける防災ぼうさい集団しゅうだん移転いてん促進そくしん事業じぎょうやがけ近接きんせつ危険きけん住宅じゅうたく移転いてん事業じぎょうには規制きせい性質せいしつはなく、あくまで個人こじん自発じはつてき移転いてんうなが助成じょせいおこな制度せいどである。建築けんちく基準きじゅんほうにおける「災害さいがい危険きけん区域くいき」はかく自治体じちたい指定していにより建築けんちく制限せいげんすものであるが、住民じゅうみんとの合意ごういむずかしく、伊勢湾いせわん台風たいふうのち指定していおこなった名古屋なごやのように、きっかけがなければ指定していがなされにくい現状げんじょうがある[55]。このほかの制度せいどとしては土砂どしゃ災害さいがい警戒けいかい区域くいき個別こべつ事例じれいでは横須賀よこすかにおけるかつ断層だんそう付近ふきん公共こうきょう建築けんちくぶつだい規模きぼ開発かいはつ規制きせいなどがある[55]

防災ぼうさい教育きょういく防災ぼうさい訓練くんれん避難ひなん

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ハリケーン接近せっきんまえ避難ひなん誘導ゆうどうおこな兵士へいし(2018ねん、アメリカ サウスカロライナしゅう

適切てきせつ避難ひなん

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堤防ていぼう建物たてもの耐震たいしんのような施設しせつ強化きょうかではふせぎきれないレベルの災害さいがいにおいて、人命じんめいまもるのは避難ひなんである。そして、災害さいがい適切てきせつ方法ほうほう場所ばしょ時期じきでの避難ひなん判断はんだんするちからやしなうのが防災ぼうさい教育きょういく防災ぼうさい訓練くんれんの1つの目的もくてきである。

避難ひなん方法ほうほう場所ばしょ判断はんだんにおいて社会しゃかい提示ていじする目安めやすは、避難ひなん場所ばしょ避難ひなん経路けいろ防災ぼうさい施設しせつ防災ぼうさい拠点きょてんとうしめされた防災ぼうさい地図ちずである。がけ崩壊ほうかい水害すいがいによる洪水こうずいとう危険きけん箇所かしょしめしたハザードマップのように、危険きけん予測よそくてき内容ないようふくまれる場合ばあいもある。

避難ひなん時期じき判断はんだんにおいて社会しゃかい提示ていじする目安めやすは、警報けいほう避難ひなん指示しじなどの情報じょうほうである。河川かせん氾濫はんらんれいをとれば、大雨おおあめ警報けいほう記録きろくてき短時間たんじかん大雨おおあめ情報じょうほうのような雨量うりょう情報じょうほうはんらん危険きけん水位すいいのような水位すいい情報じょうほうはんらん警戒けいかい情報じょうほう洪水こうずい警報けいほうのような避難ひなん基準きじゅん情報じょうほう避難ひなん指示しじのような自治体じちたいによる避難ひなんびかけの情報じょうほうなどがある。

ただし、実際じっさい避難ひなん方法ほうほう場所ばしょ時期じき判断はんだんには、社会しゃかい提示ていじする目安めやすと、個人こじん経験けいけん価値かちかん両方りょうほう作用さようする。個人こじん様々さまざま危険きけんせい情報じょうほうをどう評価ひょうかするかによって選択肢せんたくしわってくるのである。防災ぼうさい教育きょういく防災ぼうさい訓練くんれんは、こうした判断はんだん修正しゅうせいしより選択せんたくみちびくことがもとめられる。

さらに、阪神はんしん淡路あわじ大震災だいしんさい東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいコミュニティでの防災ぼうさい対策たいさく有効ゆうこうであったことから、地区ちく防災ぼうさい計画けいかく作成さくせいつうじてコミュニティ単位たんい防災ぼうさい教育きょういくすすめることも必要ひつようである。

教育きょういく訓練くんれん

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防災ぼうさい教育きょういくおも学校がっこう家庭かてい地域ちいき職場しょくばなどで、アプローチ手法しゅほうはいくつかある。学校がっこう教育きょういくでは、防災ぼうさい訓練くんれん理科りか社会しゃかい授業じゅぎょうかぎらずその活動かつどう時間じかんなどをつうじて多様たようかたちおこなわれ、安全あんぜん教育きょういく領域りょういきにもふくまれる[56]ひろ市民しみんけて災害さいがい状況じょうきょう疑似ぎじ体験たいけん専門せんもんてき展示てんじによる教育きょういくはかるのが防災ぼうさい学習がくしゅう施設しせつで、消防しょうぼう機関きかん自治体じちたい設置せっちする「博物館はくぶつかん」「防災ぼうさいかん」、災害さいがい経験けいけんつたえる「記念きねんかん」「伝承でんしょうかん」などがある(参考さんこう:Category:災害さいがい防災ぼうさい博物館はくぶつかん消防しょうぼう博物館はくぶつかん一覧いちらん)。たとえば東京とうきょう消防庁しょうぼうちょう本所ほんじょ池袋いけぶくろ立川たちかわの3つの防災ぼうさいかん消防しょうぼう博物館はくぶつかん設置せっちしている[57]東京とうきょう復興ふっこう記念きねんかん関東大震災かんとうだいしんさいおおくの犠牲ぎせいしゃ被服ひふくしょうあと立地りっちしその教訓きょうくんつたえる。東京とうきょう臨海りんかい広域こういき防災ぼうさい公園こうえん首都しゅと直下ちょっか地震じしんなどのさい政府せいふ防災ぼうさい機関きかん拠点きょてん学習がくしゅう施設しせつ併設へいせつする。防災ぼうさい機関きかん行政ぎょうせいは、他方たほう出版しゅっぱん放送ほうそうインターネットなどをつう情報じょうほう提供ていきょうしたり、教育きょういく活動かつどう支援しえんしたりすることで地域ちいき防災ぼうさいりょく向上こうじょうはかる。

脚注きゃくちゅう

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出典しゅってん

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  1. ^ 防波堤ぼうはていとは コトバンク、2017ねん9がつ17にち閲覧えつらん
  2. ^ a b c d e f g h i j k 鍵屋かぎやいち図解ずかいよくわかる自治体じちたい地域ちいき防災ぼうさい危機きき管理かんりのしくみ』学陽書房がくようしょぼう、2019ねん、13ぺーじ 
  3. ^ a b 岡田おかだ憲夫のりお住民じゅうみんみずからがおこな防災ぼうさい -リスクマネジメント事始ことはじめ-」、『防災ぼうさいがく講座こうざ だい4かん 防災ぼうさい計画けいかくろん』、102 - 103ぺーじ
  4. ^ a b はやし春夫はるお災害さいがいをうまくのりきるために -クライシスマネジメント入門にゅうもん-」、『防災ぼうさいがく講座こうざ だい4かん 防災ぼうさい計画けいかくろん』、137ぺーじ
  5. ^ a b c d 河田かわためぐみあきら危機きき管理かんりろん -安心あんしん/安全あんぜん社会しゃかい目指めざして-」、『防災ぼうさいがく講座こうざ だい4かん 防災ぼうさい計画けいかくろん』、41 - 42ぺーじ
  6. ^ 東京とうきょう総務そうむきょく総合そうごう防災ぼうさい防災ぼうさい管理かんり東京とうきょう防災ぼうさい東京とうきょう総務そうむきょく総合そうごう防災ぼうさい防災ぼうさい管理かんり、2015ねん9がつ1にち 
  7. ^ 内閣ないかく 内閣ないかく府政ふせいさく統括とうかつかん防災ぼうさい担当たんとう). “防災ぼうさい情報じょうほうのページ みんなでげんわざわい”. 2020ねん1がつ10日とおか閲覧えつらん
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  9. ^ 奈良なら由美子ゆみこ「リスクコミュニケーションと地域ちいき防災ぼうさい -安全あんぜん安心あんしん科学かがく技術ぎじゅつプロジェクト(1)-」、『安心あんしん安全あんぜん地域ちいきマネジメント』、109 - 112ぺーじ
  10. ^ 河田かわためぐみあきら危機きき管理かんりろん -安心あんしん/安全あんぜん社会しゃかい目指めざして-」、『防災ぼうさいがく講座こうざ だい4かん 防災ぼうさい計画けいかくろん』、42 - 44ぺーじ
  11. ^ 岡田おかだ憲夫のりお住民じゅうみんみずからがおこな防災ぼうさい -リスクマネジメント事始ことはじめ-」、『防災ぼうさいがく講座こうざ だい4かん 防災ぼうさい計画けいかくろん』、102ぺーじ
  12. ^ 水谷みずたに、2002ねん、2 - 4ぺーじ
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  14. ^ 土砂どしゃ災害さいがいからいのちまもろう!」など。
  15. ^ a b c d e f g 河田かわためぐみあきら危機きき管理かんりろん -安心あんしん/安全あんぜん社会しゃかい目指めざして-」、『防災ぼうさいがく講座こうざ だい4かん 防災ぼうさい計画けいかくろん』、44 - 63ぺーじ、72 - 74ぺーじ
  16. ^ 地震じしんはなぜこるの?」より。
  17. ^ 河田かわためぐみあきら危機きき管理かんりろん -安心あんしん/安全あんぜん社会しゃかい目指めざして-」、『防災ぼうさいがく講座こうざ だい4かん 防災ぼうさい計画けいかくろん』、27 - 28ぺーじ
  18. ^ 片田かただ敏孝としたか「わがくに防災ぼうさい課題かだい今後こんごのありかた -ひとなない防災ぼうさい目指めざして-」、『安心あんしん安全あんぜん地域ちいきマネジメント』、160ぺーじ
  19. ^ 奈良なら由美子ゆみこ災害さいがい生活せいかつ」、『安心あんしん安全あんぜん地域ちいきマネジメント』、191 - 193ぺーじ
  20. ^ 岡田おかだ憲夫のりお住民じゅうみんみずからがおこな防災ぼうさい -リスクマネジメント事始ことはじめ-」、『防災ぼうさいがく講座こうざ だい4かん 防災ぼうさい計画けいかくろん』、105-114ぺーじ
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参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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防災ぼうさい組織そしき

外部がいぶリンク

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