気象きしょう業務ぎょうむ法ほう

気象きしょう業務ぎょうむ法ほう
日本にっぽんの法令ほうれい
通称つうしょう・略称りゃくしょう	なし
法令ほうれい番号ばんごう	昭和しょうわ27年ねん法律ほうりつ第だい165号ごう
種類しゅるい	行政ぎょうせい手続てつづき法ほう
効力こうりょく	現行げんこう法ほう
成立せいりつ	1952年ねん5月がつ10日とおか
公布こうふ	1952年ねん6月がつ2日にち
施行しこう	1952年ねん12月1日にち
所管しょかん	（運輸省うんゆしょう→） 気象庁きしょうちょう［中央ちゅうおう気象台きしょうだい→総務そうむ部ぶ］
主おもな内容ないよう	気象きしょう業務ぎょうむについて
関連かんれん法令ほうれい	災害さいがい対策たいさく基本きほん法ほう 水防すいぼう法ほう 大だい規模きぼ地震じしん対策たいさく特別とくべつ措置そち法ほう など
条文じょうぶんリンク	e-Gov法令ほうれい検索けんさく

気象きしょう業務ぎょうむ法ほう（きしょうぎょうむほう、昭和しょうわ27年ねん6月2日にち法律ほうりつ第だい165号ごう）は、気象きしょう業務ぎょうむに関かんする基本きほん的てき制度せいどを定さだめることによつて、気象きしょう業務ぎょうむの健全けんぜんな発達はったつを図はかり、もつて災害さいがいの予防よぼう、交通こうつうの安全あんぜんの確保かくほ、産業さんぎょうの興隆こうりゅう等とう公共こうきょうの福祉ふくしの増進ぞうしんに寄与きよするとともに、気象きしょう業務ぎょうむに関かんする国際こくさい的てき協力きょうりょくを行おこなうことを目的もくてきとする日本にっぽんの法律ほうりつである。（第だい1条じょう）

国土こくど交通省こうつうしょう外局がいきょくの気象庁きしょうちょう総務そうむ部ぶ企画きかく課かが所管しょかんし、内閣ないかく府ふ防災ぼうさい担当たんとう政策せいさく統括とうかつ官職かんしょく、国土こくど交通省こうつうしょう海事かいじ局きょく総務そうむ課か危機きき管理かんり室しつ、総務そうむ省しょう消防庁しょうぼうちょう国民こくみん保護ほご・防災ぼうさい部ぶ防災ぼうさい課か、海上保安庁かいじょうほあんちょう海洋かいよう情報じょうほう部ぶ企画きかく課か、海上かいじょう自衛隊じえいたい海洋かいよう業務ぎょうむ・対たい潜せん支援しえん群ぐんなど他た省庁しょうちょうと連携れんけいして執行しっこうにあたる。

構成こうせい

• 第だい1章しょう 総則そうそく（第だい1条じょう～第だい3条じょう）
• 第だい2章しょう 観測かんそく（第だい4条じょう～第だい12条じょう）
• 第だい3章しょう 予報よほう及および警報けいほう（第だい13条じょう～第だい24条じょう）
• 第だい3章しょうの2 気象きしょう予報よほう士し（第だい24条じょうの2～第だい24条じょうの27）
• 第だい3章しょうの3 民間みんかん気象きしょう業務ぎょうむ支援しえんセンター（第だい24条じょうの28～第だい24条じょうの33）
• 第だい4章しょう 無線むせん通信つうしんによる資料しりょうの発表はっぴょう（第だい25条じょう～第だい26条じょう）
• 第だい5章しょう 検定けんてい（第だい27条じょう～第だい34条じょう）
• 第だい6章しょう 雑則ざっそく（第だい35条じょう～第だい43条じょうの5）
• 第だい7章しょう 罰則ばっそく（第だい44条じょう～第だい50条じょう）
• 附則ふそく

沿革えんかく

気象きしょう業務ぎょうむ法ほうは、制定せいてい以来いらい30回かい以上いじょうの改正かいせいを経へているが、主おもなものは以下いかのとおりである。

• 明治めいじ20年ねん8月がつ8日にち勅みことのり令れい第だい41号ごう（気象台きしょうだい測候所そっこうじょ条例じょうれい）国営こくえいの気象台きしょうだい・測候所そっこうじょ、地方ちほう測候所そっこうじょ、民営みんえいの測候所そっこうじょの設置せっち及およびそれぞれの業務ぎょうむに関かんする規律きりつを（付属ふぞく法令ほうれいともに）体系たいけい的てきに定さだめた最初さいしょの法令ほうれい。昭和しょうわ18年ねんに「気象きしょう事業じぎょう令れい」へと発展はってん的てきに解消かいしょうした。
• 昭和しょうわ12年ねん～昭和しょうわ14年ねん　国内こくない全すべての測候所そっこうじょが国有こくゆう化かされ、地方ちほう及および民間みんかんによる気象きしょう業務ぎょうむ（予報よほう・警報けいほうを含ふくむ）は事実じじつ上じょう消滅しょうめつした。
• 昭和しょうわ22年ねん12月31日にち　日本国にっぽんこく憲法けんぽう施行しこうの際さい現げんに効力こうりょくを有ゆうする命令めいれいの規定きていの効力こうりょく等とうに関かんする法律ほうりつ（昭和しょうわ22年ねん法律ほうりつ第だい72号ごう）により、気象きしょう事業じぎょう令れいが失効しっこう。
• ～昭和しょうわ26年ねんごろ　自然しぜん災害さいがいの多発たはつを受うけた気象きしょう情報じょうほう通報つうほう体制たいせいの整備せいび、連合れんごう国こくによる占領せんりょうの終了しゅうりょうに伴ともなう世界せかい気象きしょう機関きかんへの加盟かめいなどを見据みすえて、気象きしょう業務ぎょうむに関かんする法体ほうたい系けい整備せいびの要求ようきゅうが高たかまる。
• 昭和しょうわ27年ねん6月2日にち法律ほうりつ第だい165号ごう　気象きしょう業務ぎょうむ法ほう制定せいてい（昭和しょうわ27年ねん12月1日にち施行しこう）。
• 昭和しょうわ30年ねん7月がつ11日にち法律ほうりつ第だい61号ごう（水防すいぼう法ほうの一部いちぶを改正かいせいする法律ほうりつ）　建設けんせつ大臣だいじん（現げん：国土こくど交通こうつう大臣だいじん）との共同きょうどう洪水こうずい予報よほう制度せいどが始はじまる（即日そくじつ施行しこう）。
• 昭和しょうわ31年ねん6月11日にち法律ほうりつ第だい144号ごう　運輸省うんゆしょうの内部ないぶ機関きかんであった中央ちゅうおう気象台きしょうだいが外局がいきょくとして独立どくりつし、気象庁きしょうちょうとなったことに伴ともなう改正かいせい。気象きしょう審議しんぎ会かい（現げん：交通こうつう政策せいさく審議しんぎ会かい気象きしょう分科ぶんか会かい）を設置せっち（同年どうねん7月がつ1日にち施行しこう）。
• 昭和しょうわ53年ねん4月がつ26日にち法律ほうりつ第だい29号ごう（活動かつどう火山かざん周辺しゅうへん地域ちいきにおける避難ひなん施設しせつ等とうの整備せいびに関かんする法律ほうりつ等とうの一部いちぶを改正かいせいする法律ほうりつ）　気象庁きしょうちょう長官ちょうかんの任務にんむに火山かざん現象げんしょうに関かんする観測かんそく網もう・情報じょうほう交換こうかん組織そしきの確立かくりつ・維持いじを追加ついか（即日そくじつ施行しこう）。
• 昭和しょうわ53年ねん6月15日にち法律ほうりつ第だい73号ごう（大だい規模きぼ地震じしん対策たいさく特別とくべつ措置そち法ほう） 警戒けいかい宣言せんげんを発令はつれいするのに必要ひつような、気象庁きしょうちょう長官ちょうかんから内閣ないかく総理そうり大臣だいじんへの地震じしん予知よち情報じょうほうの報告ほうこく手続てつづきを追加ついか（同年どうねん12月14日にち施行しこう）。
• 平成へいせい5年ねん5月19日にち法律ほうりつ第だい46号ごう　気象きしょう業務ぎょうむ法ほうの制定せいてい以来いらい事実じじつ上じょう行おこなわれてこなかった、民間みんかんによる一般いっぱん向むけ予報よほう業務ぎょうむの許可きょかを実施じっししやすくするための改正かいせい。気象きしょう予報よほう士し制度せいど及および民間みんかん気象きしょう業務ぎょうむ支援しえんセンター制度せいどを整備せいび（平成へいせい6年ねん5月18日にち施行しこう）し、予報よほう業務ぎょうむの許可きょかの条件じょうけんに現象げんしょうの予想よそうを担当たんとうする気象きしょう予報よほう士しの設置せっちを追加ついか（平成へいせい7年ねん5月18日にち施行しこう）した。
• 平成へいせい13年ねん6月13日にち法律ほうりつ第だい46号ごう（水防すいぼう法ほうの一部いちぶを改正かいせいする法律ほうりつ）　都道府県とどうふけん知事ちじとの共同きょうどう洪水こうずい予報よほう制度せいどが始はじまる（平成へいせい13年ねん7月がつ3日にち施行しこう）。
• 平成へいせい13年ねん6月13日にち法律ほうりつ第だい47号ごう　気象きしょう測はか器うつわ検定けんてい制度せいどにつき、気象庁きしょうちょうが指定してい検定けんてい機関きかんに代行だいこうさせることができる制度せいど及および気象きしょう測はか器うつわメーカー等とうによる検査けんさ結果けっかを用もちいた半はん自己じこ認証にんしょう制度せいど（認定にんてい測定そくてい者しゃ制度せいど）を整備せいび（平成へいせい14年ねん4月がつ1日にち施行しこう）。
• 平成へいせい15年ねん6月18日にち法律ほうりつ第だい96号ごう（公益こうえき法人ほうじんに係かかる改革かいかくを推進すいしんするための国土こくど交通省こうつうしょう関係かんけい法律ほうりつの整備せいびに関かんする法律ほうりつ） 気象庁きしょうちょう長官ちょうかんの権限けんげんとしての気象きしょう測はか器うつわ検定けんていを廃止はいし。民間みんかんの事業じぎょう体たいである「登録とうろく検定けんてい機関きかん」が実施じっしする検定けんてい制度せいどに改あらためた。また、1993年ねんの改正かいせい以来いらい政令せいれいで定さだめることとされていた検定けんていの対象たいしょうとなる気象きしょう測はか器うつわの種類しゅるいを、再ふたたび法律ほうりつで定さだめることとした（平成へいせい16年ねん3月1日にち施行しこう）。
• 平成へいせい19年ねん11月21日にち法律ほうりつ第だい115号ごう　気象庁きしょうちょうが義務ぎむとして行おこなう予報よほう・警報けいほうの対象たいしょうに地震動じしんどう及および火山かざん現象げんしょうを追加ついかした。あわせて、これらの予報よほうを許可きょか事業じぎょうとし、同おなじく警報けいほうについては法定ほうてい伝達でんたつと気象庁きしょうちょうの独占どくせんを定さだめた。また、技術ぎじゅつ上じょうの基準きじゅんに従したがって行おこなうべき民間みんかんの気象きしょう観測かんそくから、電気でんき事業じぎょうのための観測かんそくを外はずした（平成へいせい19年ねん12月1日にち施行しこう）。
• 平成へいせい23年ねん12月14日にち法律ほうりつ第だい124号ごう　気象庁きしょうちょうが義務ぎむとして行おこなう航空機こうくうき及および船舶せんぱく向むけの予報よほう・警報けいほうの対象たいしょうに津波つなみを追加ついかした（平成へいせい23年ねん12月27日にち施行しこう）。
• 平成へいせい25年ねん5月31日にち法律ほうりつ第だい23号ごう　気象きしょう、地象ちしょう、津波つなみ、高潮こうちょう及および波浪はろうについて特別とくべつ警報けいほうを発はっすることができるするとともに情報じょうほう伝達でんたつの規定きていを整備せいびした（平成へいせい25年ねん8月がつ30日にち施行しこう）。

規制きせい

• 公益こうえき目的もくてきの気象きしょう観測かんそくにおける技術ぎじゅつ基準きじゅん（第だい6条じょう）
• 船舶せんぱく・航空機こうくうきからの観測かんそく報告ほうこく（第だい7条じょう・第だい8条じょう）
• 公益こうえき目的もくてき等とうの観測かんそくにおける検定けんてい済すみ気象きしょう測はか器うつわの使用しよう義務ぎむ（第だい9条じょう）
• 予報よほう業務ぎょうむの許可きょか（第だい17条じょう）
• 予報よほう業務ぎょうむ許可きょか事業じぎょう者しゃにおける気象きしょう予報よほう士しの設置せっち（第だい19条じょうの2）
• 警報けいほうの制限せいげん（気象庁きしょうちょうによる独占どくせん）（第だい23条じょう）
• 予報よほう・警報けいほう標識ひょうしきの標準ひょうじゅん化か（第だい24条じょう）
• 気象きしょう予報よほう士しの試験しけん（第だい24条じょうの2）・登録とうろく（第だい24条じょうの20）
• 観測かんそく成果せいかの無線むせん通信つうしん発表はっぴょう業務ぎょうむの許可きょか（第だい26条じょう）
• 気象きしょう測はか器うつわの型式けいしき証明しょうめい（第だい32条じょう）
• 気象きしょう測はか器うつわの認定にんてい測定そくてい者しゃの認定にんてい（第だい32条じょうの2）
• 気象きしょう測はか器うつわの登録とうろく検定けんてい機関きかんの登録とうろく（第だい32条じょうの3）

資格しかく

この法律ほうりつにより定さだめられている資格しかくは以下いかのとおり。

• 気象きしょう予報よほう士し

警報けいほう・特別とくべつ警報けいほうの周知しゅうち

本法ほんぽう15条じょう及および15条じょうの2並ならびに気象きしょう業務ぎょうむ法ほう施行しこう令れい（昭和しょうわ27年ねん政令せいれい第だい471号ごう）第だい8条じょう及および第だい9条じょうでは、気象庁きしょうちょうは警報けいほう・特別とくべつ警報けいほうを発表はっぴょうしたとき、及および警戒けいかいの必要ひつようがなくなったときは、以下いかの機関きかんに通知つうちし、各かく機関きかんは関係かんけい者しゃに周知しゅうちさせるよう努つとめなければならないとされている。

法ほう第だい15条じょう第だい1項こう・法ほう第だい15条じょうの2第だい1項こうの規定きていによる通知つうち

通知つうち先さき機関きかん	各かく機関きかんの務つとめ	備考びこう
警察庁けいさつちょう	関係かんけい市町村しちょうそん長ちょうへの通知つうち	火山かざん現象げんしょう及および津波つなみにかかるものに限かぎる
消防庁しょうぼうちょう	関係かんけい市町村しちょうそん長ちょうへの通知つうち
国土こくど交通省こうつうしょう	航行こうこう中ちゅうの航空機こうくうきへの周知しゅうち	飛行場ひこうじょう・空域くういきにかかるもの及および水防すいぼう活動かつどう用よう警報けいほうに限かぎる
海上保安庁かいじょうほあんちょう	航海こうかい中ちゅう及および入港にゅうこう中ちゅうの船舶せんぱくへの周知しゅうち	火山かざん現象げんしょう、津波つなみ、海上かいじょうにかかるものに限かぎる
都道府県とどうふけん	関係かんけい市町村しちょうそん長ちょうへの通知つうち
東日本ひがしにっぽん電信でんしん電話でんわ（NTT東日本ひがしにっぽん） 西日本にしにほん電信でんしん電話でんわ（NTT西日本にしにほん）	関係かんけい市町村しちょうそん長ちょうへの通知つうち
日本にっぽん放送ほうそう協会きょうかい（NHK）	通知つうちされた事項じこうの放送ほうそう	地震動じしんどう警報けいほうを含ふくむ

なお、上記じょうきにより警察けいさつ・消防しょうぼう・都道府県とどうふけん・NTTより通知つうちを受うけた市町村しちょうそん長ちょうは、その通知つうちされた事項じこうを公衆こうしゅう及および所在しょざいの官公かんこう署しょに周知しゅうちさせるように努つとめなければならないとされている。

解説かいせつ書しょ

この法律ほうりつの解説かいせつ書しょとしては、制定せいてい時じの法案ほうあん策定さくていに直接ちょくせつ携たずさわっていた古谷ふるや源はじめ吾われ企画きかく課長かちょう（当時とうじ）が、中央ちゅうおう気象台きしょうだいから気象庁きしょうちょうへの改組かいそを迎むかえた1956年ねんに気象庁きしょうちょうの機関きかん紙し『測候そっこう時報じほう』に連載れんさいした記事きじをまとめて出版しゅっぱんされたものがある。2016年ねん12月の『測候そっこう時報じほう』の記事きじによると、その後ごは1993年ねん（平成へいせい5年ねん）の法ほう改正かいせいの記録きろくがとりまとめられた程度ていどで、全体ぜんたいとして記録きろくや解説かいせつとして整理せいりされた資料しりょうは残のこされていない。

しかし、2015年ねん6月がつには、電子でんし書籍しょせきのみとはいえ、新あたらしい気象きしょう業務ぎょうむ法ほうの解説かいせつ書しょが発売はつばいされており、2018年ねん8月がつ現在げんざい、第だい4版はんまで版はんを重かさねている。

外部がいぶリンク

• 気象きしょう業務ぎょうむ法ほうの一部いちぶを改正かいせいする法律ほうりつ案あんについて 気象庁きしょうちょう, 2007年ねん10月がつ11日にち
• VRMN気象きしょう業務ぎょうむ法ほう（気象きしょうノート・シリーズ）