RICEの法則ほうそく

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RICEの法則ほうそく(ライスのほうそく)とは身体しんたい傷害しょうがいったさい早急そうきゅうるべき応急おうきゅう処置しょちにおける法則ほうそくことである。 1970年代ねんだいまつ、アメリカで提唱ていしょうされはじめた。

Rは「Rest」(安静あんせい)、Iは「Icing」(冷却れいきゃく)、Cは「Compression」(圧迫あっぱく)、Eは「Elevation」(きょじょうげておく)の頭文字かしらもじをとったものである。これらは医学いがくてき根拠こんきょから傷害しょうがいったさい出来できかぎ患部かんぶ炎症えんしょう出血しゅっけつおさえるための方法ほうほうである。病院びょういんなどの医療いりょう機関きかんでの診断しんだんけるまでは出来できかぎりRICEにのっとった措置そちこと推奨すいしょうされている。

根拠こんきょ[編集へんしゅう]

R:安静あんせい
出血しゅっけつなどの傷害しょうがいってしまったさい患部かんぶ周辺しゅうへん関節かんせつ筋肉きんにく運動うんどうすることによって、血行けっこう促進そくしんされ、脈拍みゃくはく上昇じょうしょうとも出血しゅっけつひどくなる危険きけんせいがあるからである。
I:冷却れいきゃく
傷害しょうがいった部位ぶい細胞さいぼうレベルできずつき、そのままでは炎症えんしょうひろがる状態じょうたいかれやすい。それを防止ぼうしするためにこおりみずなどを衛生えいせいてき状態じょうたい利用りようし、充血じゅうけつ促進そくしんされる炎症えんしょうでの細胞さいぼう破壊はかい拡散かくさんふせぐのである。不衛生ふえいせいみず感染かんせん可能かのうせいがあるため、アイシングにはてきさない。アイシングとは、患部かんぶ局所きょくしょ循環じゅんかんおさえることを目的もくてきにしているので、コールドスプレーやこおりによるやしぎ(局所きょくしょ循環じゅんかん極端きょくたん低下ていか)に注意ちゅうい必要ひつようである。
C:圧迫あっぱく
出血しゅっけつなどの外傷がいしょう損傷そんしょうした患部かんぶ血管けっかんなどは、場合ばあいによっては出血しゅっけつがとまらない可能かのうせい存在そんざいする。そのため、患部かんぶ周辺しゅうへんまたは上流じょうりゅう部分ぶぶん動脈どうみゃく圧迫あっぱくし、一時いちじてき流量りゅうりょうとすことによって血小板けっしょうばんによる血管けっかん修復しゅうふくのペースを出血しゅっけつりょう上回うわまわらないようにするためである。方法ほうほうとしてはタオルなどの清潔せいけつぬの患部かんぶき、固定こていするためにスパナレンチのような金具かなぐ利用りようしてからねじってめ、定期ていきてき圧迫あっぱくゆるめるのが理想りそうてきである。
E:きょじょう
出血しゅっけつなどの外傷がいしょう損傷そんしょうしてしまった部位ぶい心臓しんぞう位置いちよりもたかきょじょうすることにより、重力じゅうりょくによって出血しゅっけつりょう効果こうか期待きたいするためである。あしなどを損傷そんしょうした場合ばあい随意ずいいてききょじょうするのではなく、椅子いすたいなど安定あんていしたものを利用りようし、きょじょうした状態じょうたいでの安静あんせい維持いじしておくこと重要じゅうようである。

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 土屋つちやただしこう「スポーツ傷害しょうがい外傷がいしょうたいする現場げんばでの応急おうきゅう処置しょち」『今日きょう整形せいけい外科げか治療ちりょう指針ししん だい5はん医学書院いがくしょいん、2004ねんISBN 978-4-260-12592-5