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災害さいがい派遣はけん医療いりょうチーム

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災害さいがい派遣はけん医療いりょうチーム(さいがいはけんいりょうチーム)とは、医師いし看護かんご医師いし看護かんご以外いがい医療いりょうしょくおよ事務じむ職員しょくいん構成こうせいされ、だい規模きぼ災害さいがい多数たすう傷病しょうびょうしゃ発生はっせいした事故じこなどの現場げんばで、おおむね48時間じかん以内いない活動かつどうできる機動きどうせいった、専門せんもんてき訓練くんれんけた医療いりょうチームである[1]Disaster Medical Assistance Team の頭文字かしらもじから「DMAT」(ディーマット)とばれる[2]

DMATのロゴマーク 左側ひだりがわかく都道府県とどうふけんめい印字いんじされる
DMATで災害さいがい出動しゅつどうした医療いりょう機関きかん救急きゅうきゅうしゃ鹿児島かごしまDMAT)
DMATで災害さいがい出動しゅつどうした医療いりょう機関きかん公用こうようしゃ福岡ふくおかDMAT)

概要がいよう

  • だい規模きぼ災害さいがい事故じこ発生はっせい直後ちょくご現場げんばはいり、負傷ふしょうしゃ緊急きんきゅう治療ちりょうなどの活動かつどうができるように訓練くんれんされた医療いりょうチームであり、災害さいがい発生はっせいからおおむね48時間じかん以内いない現場げんばでの応急おうきゅう治療ちりょう重症じゅうしょう患者かんじゃ医療いりょう機関きかんへの搬送はんそう現地げんち病院びょういん支援しえんなどの活動かつどう開始かいしする[3]
  • 参集さんしゅう拠点きょてんは、被災ひさい都道府県とどうふけん災害さいがい拠点きょてん病院びょういん[4]
  • 発足ほっそくの2005ねんには300にん程度ていどだったが、2011ねんには6000にん、2014ねんには9000にんとなった。
  • 災害さいがい発生はっせいから48時間じかん以内いない目安めやすとして活動かつどうする[4]が、はつわざわいからやく72時間じかん以上いじょう経過けいかすると急性きゅうせい患者かんじゃすうき、100あいだ程度ていど後方こうほう支援しえん基盤きばんととのうことから活動かつどう終結しゅうけつする。しかし災害さいがい種類しゅるい規模きぼによっては、被災ひさい医療いりょう体制たいせい回復かいふくしない場合ばあいもある。このような場合ばあいには、日本にっぽん医師いしかい統括とうかつする 「日本にっぽん医師いしかい災害さいがい医療いりょうチームJMAT)」が撤退てったいするDMATと交替こうたいするようにして被災ひさい派遣はけんされ、地域ちいき医療いりょう体制たいせい回復かいふくするまでのあいだ医療いりょう支援しえんつづける。

日本にっぽんDMAT

日本にっぽんDMATは2005ねん平成へいせい17ねん)4がつに、厚生こうせい労働省ろうどうしょうによって発足ほっそくした[注釈ちゅうしゃく 1]おもだい規模きぼ災害さいがい全国ぜんこくから派遣はけんされ、広域こういき医療いりょう搬送はんそうSCU臨時りんじ医療いりょう拠点きょてん、Staging Care Unit)・病院びょういん支援しえん域内いきない搬送はんそう現場げんば活動かつどうなどをおこなう。

都道府県とどうふけんDMAT

  • 都道府県とどうふけんDMATは2004ねん平成へいせい16ねん)に、東京とうきょうDMAT発足ほっそく2006ねん平成へいせい18ねん)には大阪おおさかDMAT発足ほっそくし、その道府県どうふけんでも配備はいびすすんでいる。おも域内いきない災害さいがいにおいて現場げんば医療いりょう活動かつどうおこなう。
  • 横浜よこはまでは、DMATとはべつ組織そしきのYMAT(Yokohama Medical Ambulance Team)が平成へいせい20ねん3がつ28にちから市内しない5病院びょういんにて運用うんようされている[6]

域内いきない災害さいがいへの対処たいしょ

消防しょうぼう連携れんけいして活動かつどうする。被災ひさいけん要請ようせいもとづきかく都道府県とどうふけんよりDMAT指定してい医療いりょう機関きかんへDMAT出動しゅつどう要請ようせいされ、要請ようせいけた指定してい医療いりょう機関きかんではDMATを編成へんせい待機たいきさせる。消防しょうぼうにDMAT連携れんけいたい組織そしきされている地域ちいきで、連携れんけいたい利用りようして出動しゅつどうする場合ばあい消防しょうぼう医療いりょう機関きかん連携れんけいたい派遣はけんし、DMAT隊員たいいん連携れんけいたい専用せんよう車両しゃりょうはつわざわい現場げんば負傷ふしょうしゃれの病院びょういん出動しゅつどうする(最近さいきん病院びょういん所有しょゆう救急きゅうきゅうしゃドクターカー、ドクターヘリで出動しゅつどうする場合ばあいもある)。東京とうきょうDMAT場合ばあい東京とうきょう消防庁しょうぼうちょうのDMAT連携れんけいたい車両しゃりょう出動しゅつどうすること基本きほんとして、場合ばあいによっては東京とうきょう配備はいびしたDMATカーとう出動しゅつどうしている。

一方いっぽう、DMAT連携れんけいたい組織そしきされていない地域ちいき、もしくは連携れんけいたい利用りようしない場合ばあいかく病院びょういん保有ほゆうする救急きゅうきゅうしゃ患者かんじゃ搬送はんそうしゃ公用こうようしゃなどで被災ひさい出動しゅつどうし、災害さいがい医療いりょうおこなう。参集さんしゅう場所ばしょは、被災ひさい都道府県とどうふけん基幹きかん災害さいがい拠点きょてん病院びょういんである。なお、DMATはだい規模きぼ災害さいがい対応たいおう目的もくてき創設そうせつされたものであり、東京とうきょうDMATやドクターカーのように一般いっぱん災害さいがいにも日常にちじょうてき出動しゅつどうしている地域ちいきすくない。東京とうきょうでもドクターカー運用うんようおこなっている医療いりょう機関きかんでは一般いっぱん救急きゅうきゅう事案じあんはドクターカー、だい規模きぼ災害さいがい東京とうきょうDMATとして活動かつどうしているケースもある。

だい規模きぼ災害さいがいへの対処たいしょ

被災ひさい都道府県とどうふけんから都道府県とどうふけん厚生こうせい労働省ろうどうしょう文部もんぶ科学かがくしょう国立こくりつ病院びょういん機構きこうなどに出動しゅつどう要請ようせいする。東京とうきょうDMAT場合ばあい緊急きんきゅう消防しょうぼう援助えんじょたい東京とうきょうたい災害さいがい現場げんばにおいて人命じんめい救助きゅうじょ有効ゆうこうであるとし東京とうきょう消防庁しょうぼうちょう必要ひつよう判断はんだんした場合ばあいに、東京とうきょう福祉ふくし保健ほけんきょく東京とうきょうDMATを要請ようせいする。活動かつどうにあたっては国立こくりつ病院びょういん機構きこう災害さいがい医療いりょうセンターうちかれる日本にっぽんDMAT事務じむきょく指導しどうした都道府県とどうふけん災害さいがい対策たいさく本部ほんぶかれる都道府県とどうふけんDMAT調整ちょうせい本部ほんぶ調整ちょうせい指示しじけ、かく派遣はけんさきではDMAT活動かつどう拠点きょてん本部ほんぶ被災ひさい災害さいがい拠点きょてん病院びょういん設置せっちされる)の指示しじける[7]

広域こういき医療いりょう搬送はんそう

あずま南海なみ南海なんかい地震じしんさいし、平成へいせい19ねん3がつ中央ちゅうおう防災ぼうさい会議かいぎでは、「あずま南海なみ南海なんかい地震じしん応急おうきゅう対策たいさく活動かつどう要領ようりょう」にもとづき被災ひさいかくけん広域こういき搬送はんそう拠点きょてんさだめている[8]。また平成へいせい27ねん3がつには、「南海なんかいトラフ地震じしんにおける具体ぐたいてき応急おうきゅう対策たいさく活動かつどうかんする計画けいかく」にもとづき、南海なんかいトラフ巨大きょだい地震じしんたいする拠点きょてんさだめられた[9]

想定そうていされる被災ひさいないのSCU一覧いちらん

特記とっきがないものは南海なんかいトラフ巨大きょだい地震じしんたいする拠点きょてん

おも出動しゅつどう実績じっせき

など

東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいでの活動かつどう

東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいでは、花巻空港はなまきくうこうに「SCU(臨時りんじ医療いりょう拠点きょてん、Staging Care Unit)」をき、4日間にちかんで136にんれ、16にん広域こういき搬送はんそうし、120にん地域ちいき医療いりょう機関きかんはこばれた。発足ほっそく当初とうしょトリアージによって選択せんたくされた重症じゅうしょうしゃだけをれる予定よていであったが、ひろれることで、被災ひさい医療いりょう機関きかん負担ふたん軽減けいげんできたという[19]。DMATは被災ひさいでの治療ちりょう被災ひさいがいへの搬送はんそう対応たいおうし、その避難ひなんしょ支援しえんのために日本にっぽん医師いしかい災害さいがい医療いりょうチーム (JMAT) が創設そうせつされた。東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいでは感染かんせんしょう対策たいさくしょく習慣しゅうかん指導しどう在宅ざいたく患者かんじゃなどに対応たいおうし、4ヶ月かげつで6000にん被災ひさいはいった[19]

問題もんだいてん

東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいでは津波つなみ原発げんぱつ事故じこ慢性まんせい疾患しっかんへの対応たいおう必要ひつようとされるなど想定そうていがい事態じたいもみられており、DMATがさらに幅広はばひろ活動かつどうができるよう、くに見直みなおしをはじめている[20]

また、DMAT隊員たいいん倒壊とうかいするおそれがある建物たてものとう危険きけん場所ばしょでの救命きゅうめい活動かつどうおこなっている。いちれいとして、福知山ふくちやません脱線だっせん事故じこ東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいともな町田まちだのスロープ崩落ほうらく事故じこでは脱線だっせん衝突しょうとつした車内しゃない倒壊とうかいしたスロープない進入しんにゅうして負傷ふしょうしゃ接触せっしょく輸液輸血ゆけつなどの処置しょちおこなっており、今後こんごはDMAT隊員たいいん安全あんぜん確保かくほ消防しょうぼうとう救助きゅうじょ組織そしきとの円滑えんかつ連携れんけい課題かだいとなっている。

関連かんれん項目こうもく

漫画まんが・テレビドラマ

関連かんれん書籍しょせき

  • 稲継いなつぎ裕昭ひろあき編著へんちょだい規模きぼ災害さいがいつよ自治体じちたいあいだ連携れんけい現場げんばからの報告ほうこく提言ていげん早稲田大学わせだだいがく出版しゅっぱん早稲田大学わせだだいがくブックレット<「震災しんさい」にかんがえる>〉、2012ねんISBN 9784657123046

脚注きゃくちゅう

注釈ちゅうしゃく

  1. ^ 緊急きんきゅう医療いりょう体制たいせいととのっていたならば「阪神はんしん淡路あわじ大震災だいしんさい犠牲ぎせいしゃのうち、500にんたすかった可能かのうせいがあった」という反省はんせいから発足ほっそく[5]

出典しゅってん

  1. ^ DMAT事務じむきょく|DMATとは
  2. ^ DMAT 知恵ちえぞうmini
  3. ^ 災害さいがい派遣はけん医療いりょうチーム さいがいはけんいりょうチーム Disaster Medical Assistance Team; DMAT ブリタニカ国際こくさいだい百科ひゃっか事典じてん しょう項目こうもく事典じてん
  4. ^ a b 小谷おたにみのる飯塚いいづかあつし河井かわい克之かつゆき急性きゅうせい災害さいがい医療いりょうにおけるDMAT配置はいちモデルにかんする考察こうさつ 土木どぼく学会がっかいろん文集ぶんしゅうF6(安全あんぜん問題もんだい) 71かん (2015) 1ごう p.32-45, doi:10.2208/jscejsp.71.32
  5. ^ スポーツ報知ほうち「メディカルNOW」2011ねん4がつ26にち
  6. ^ 横浜よこはま救急きゅうきゅう医療いりょうチーム(YMAT)が発足ほっそくします!!
  7. ^ 日本にっぽんDMAT活動かつどう要領ようりょう 平成へいせい24ねん3がつ30にち改正かいせい
  8. ^ あずま南海なみ南海なんかい地震じしん応急おうきゅう対策たいさく活動かつどう要領ようりょう」にもとづく具体ぐたいてき活動かつどう内容ないようかか計画けいかく 平成へいせい19ねん3がつ20日はつか 中央ちゅうおう防災ぼうさい会議かいぎ幹事かんじかい
  9. ^ 南海なんかいトラフ地震じしんにおける具体ぐたいてき応急おうきゅう対策たいさく活動かつどうかんする計画けいかく平成へいせい27ねん3がつ30にち 中央ちゅうおう防災ぼうさい会議かいぎ幹事かんじかい
  10. ^ 三重みえけん災害さいがい医療いりょう対応たいおうマニュアル (PDF)
  11. ^ 八尾やおSCUとは 大阪おおさか急性きゅうせい総合医療そうごういりょうセンター
  12. ^ 高知こうちけん災害さいがい医療いりょう救護きゅうご計画けいかく (PDF)
  13. ^ ANNニュース - YouTube
  14. ^ ANNニュース - YouTube
  15. ^ 熊本くまもと地震じしん記録きろく
  16. ^ 平成へいせい28ねん熊本くまもと地震じしん発生はっせいから1カ月かげつちか経過けいかした熊本くまもと空港くうこうたずねて”. トラベルWatch. (2016ねん5がつ18にち). https://travel.watch.impress.co.jp/docs/news/758013.html 
  17. ^ 災害さいがいにおける消防しょうぼう医療いりょう連携れんけいかんする検討けんとうかい
  18. ^ 日本にっぽん集団しゅうだん災害さいがい学会がっかい 尼崎あまがさき JR 脱線だっせん事故じこ特別とくべつ調査ちょうさ委員いいんかい報告ほうこくしょ
  19. ^ a b 広域こういき搬送はんそう 拠点きょてん活用かつよう多様たように」日本経済新聞にほんけいざいしんぶん2015ねん8がつ30にち
  20. ^ 毎日新聞まいにちしんぶん 日刊にっかん 2012ねん2がつ26にち 16.17めん

外部がいぶリンク