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輸液

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

輸液(ゆえき)とは、水分すいぶん電解でんかいしつなどを点滴てんてきせいちゅうにより投与とうよする治療ちりょうほうである。血液けつえき成分せいぶん投与とうよについては輸血ゆけつ参照さんしょうのこと。

目的もくてき

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うしなわれた水分すいぶんおよび電解でんかいしつ補充ほじゅう
直接ちょくせつ静脈じょうみゃくうち投与とうよするため、すみやかな補充ほじゅう可能かのうである。
急激きゅうげき喪失そうしつした血液けつえき置換ちかん
大量たいりょう出血しゅっけつなどで循環じゅんかん血漿けっしょうりょう減少げんしょうすると有効ゆうこう循環じゅんかんたもてなくなる(出血しゅっけつせいショック)ため、血漿けっしょう不足ふそくぶん一時いちじてき置換ちかんする目的もくてきで輸液がおこなわれる。
経口けいこう摂取せっしゅ代替だいたい
くちから水分すいぶん食事しょくじれない場合ばあいに、水分すいぶん電解でんかいしつ栄養素えいようそなどの補充ほじゅう目的もくてきに輸液がおこなわれる。輸液ですべてをまかなう栄養えいようほう完全かんぜん静脈じょうみゃく栄養えいようほう(TPN)とぶ。くわしくはこうカロリー輸液参照さんしょうのこと。
静脈じょうみゃく確保かくほ
静脈じょうみゃく注射ちゅうしゃのルートを維持いじするために輸液がおこなわれることがある。静脈じょうみゃく確保かくほ参照さんしょうのこと。

適応てきおう

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  • 下痢げり嘔吐おうと絶食ぜっしょくなどによる脱水だっすい状態じょうたい
  • 急激きゅうげき出血しゅっけつなどで循環じゅんかん血液けつえきりょう不十分ふじゅうぶんになっている場合ばあい
  • なんらかの理由りゆう食事しょくじけいちょう栄養えいよう,EN: enteral nutrition)ができない場合ばあい。これは経口けいこうにかぎらず、けいはなかんけい瘻、けいちょう瘻から食事しょくじ投与とうよができない場合ばあい同様どうようである。脱水だっすいしょうとならないためには食事しょくじ摂取せっしゅできるはずの水分すいぶん電解でんかいしつ持続じぞくてき投与とうよする必要ひつようがある。

輸液製剤せいざい

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輸液製剤せいざいについて

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輸液製剤せいざいはNa濃度のうどによってなにごうえきというかたをする。これは0.9%生理せいりしょく塩水えんすい1にたいしてどの程度ていどの5%ブドウ糖ぶどうとうえきぜたかによって分類ぶんるいされる。ていちょうふくあい電解でんかいしつえきには、1〜4ごうえき該当がいとうする。なお、こういった輸液製剤せいざい日本にっぽん独自どくじのものである。

0.9%生理せいりしょく塩水えんすい
細胞さいぼうがいえき浸透しんとうあつひとしい食塩しょくえんすいである。これで細胞さいぼうがいえき補充ほじゅうしようとするとクロールイオンが過剰かじょう補給ほきゅうされることとなりアシドーシスとなることがられている。基本きほんてきには細胞さいぼうがいえき分布ぶんぷし、細胞さいぼうないえきにはあまり分布ぶんぷしないとかんがえられている。細胞さいぼうない分布ぶんぷする場合ばあい細胞さいぼうない脱水だっすいなどがあり、細胞さいぼうがいえきから細胞さいぼうないえきへの移動いどうがあるときである。
5%ブドウ糖ぶどうとうえき
ブドウ糖ぶどうとうすみやかに吸収きゅうしゅうされるため細胞さいぼうない細胞さいぼうがいみず均等きんとう供給きょうきゅうする作用さようをもつ[1]細胞さいぼうがいえきをとくに補充ほじゅうしたいときにはかない。ブドウ糖ぶどうとう自体じたい浸透しんとうあつ調整ちょうせいようであり、エネルギーげんとしてはほとんやくにたないりょうである。心不全しんふぜん患者かんじゃ点滴てんてきくすり投与とうよする場合ばあいもよくもちいる。
リンゲル液りんげるえき(Ringer's solution) 
細胞さいぼうがいえき電解でんかいしつ組成そせい製剤せいざいである。細胞さいぼうがいえき補充ほじゅうもちいられる。商品しょうひんめいはラクテック®など。ショックどき初期しょき輸液によくもちいられる。生理せいりしょく塩水えんすいにカリウムやカルシウムをくわえたのがリンゲル液りんげるえきであるが、リンゲル液りんげるえきでもクロールイオンが過剰かじょうとなることがられている。そこで酢酸さくさん乳酸にゅうさんなどをくわえてクロールイオンりょうおさえている。酢酸さくさんリンゲル液りんげるえきとしてヴィーンF®、乳酸にゅうさんリンゲル液りんげるえきとしてラクテック®がある。1882ねんにイギリスの薬理やくり学者がくしゃシドニー・リンガーにより開発かいはつされた。
1ごうえき
開始かいしえきKふくまないため、こうカリウムしょう否定ひていできない場合ばあいにまずもちいられる。商品しょうひんめいはソリタT1ごう®など。病態びょうたい不明ふめいじん機能きのうがわからないとき利尿りにょう確認かくにんできるまで1ごうえきもちい、利尿りにょう確認かくにんできてから目的もくてきにあわせて輸液製剤せいざい変更へんこうするということはよくもちいられる手法しゅほうである。ただし、小児しょうに肥厚ひこうせい幽門ゆうもん狭窄きょうさくしょうでははじめからKを投与とうよしたほうがよいとされている。
2ごうえき 
脱水だっすい補給ほきゅうえき。K・Pなどの電解でんかいしつふくむ。脱水だっすい治療ちりょうでは使つかいやすいといわれている。
3ごうえき 
維持いじえき通常つうじょう状態じょうたい必要ひつようとされる電解でんかいしつをバランスよくふく製剤せいざい食事しょくじがとれない場合ばあい維持いじ輸液にもちいられる。ソリタT3ごう®など。3ごうえき基本きほんてき尿にょうなどからだ排出はいしゅつするような水分すいぶん組成そせいにあわせてつくられている。維持いじ輸液として、よく使つかわれる。
4ごうえき
術後じゅつご回復かいふくえきおも乳幼児にゅうようじ使用しようする事例じれいおおい。
こうカロリーえき
おおむね1にち必要ひつよう程度ていどのカロリーを投与とうよできる製剤せいざい維持いじえきくわえてこう濃度のうどブドウ糖ぶどうとうアミノ酸あみのさんふくむ。浸透しんとうあつたかいため中心ちゅうしん静脈じょうみゃくルートから投与とうよされる。フルカリック1ごう®など。

おもな輸液製剤せいざい組成そせい

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おもな輸液製剤せいざい組成そせい
輸液のタイプ 製剤せいざいめい Na(mEq/l) K(mEq/l) ブドウ糖ぶどうとう
開始かいしえき ST1 90 0 2.6%
開始かいしえき KN1A 77 0 2.5%
細胞さいぼうがいえき補充ほじゅうえき ラクテック 130 4 0
細胞さいぼうがいえき補充ほじゅうえき ヴィーンD 130 4 5%
維持いじえき ST3 35 20 4.3%
維持いじえき KN3B 50 20 2.7%

輸液りょう

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輸液りょうのオーダーのかた以下いかのプロセスでおこなうことが一般いっぱんてきである。

  • ナトリウムりょう電解でんかい質量しつりょう)をめる
  • 輸液製剤せいざいめる
  • 輸液りょうめる

輸液とは身体しんたい一番いちばん必要ひつようとするみず電解でんかいしつおぎなうことである。細胞さいぼうがいえきりょうやすには水分すいぶんだけでなく電解でんかいしつ一緒いっしょかんがえなければならない。これは浸透しんとうあつ などの影響えいきょうかんがえないといけないからである。体内たいないに、水分すいぶんたくわえるためにはナトリウムの全体ぜんたいりょうほう重要じゅうようであって輸液りょうすなわみずりょうというのは、もうひとおくれてついてくる。こういったことは正論せいろんだがNaの必要ひつようりょうというのも食生活しょくせいかつによってNa排出はいしゅつりょうなどがことなることから、経験けいけんてき無難ぶなんりょうえら調節ちょうせつしていくしかない。日本人にっぽんじんかぎっていえば、その経験けいけんそくはかなりひろられている。

輸液りょう目安めやすとしては正常せいじょうじん機能きのうならば尿にょう濃縮のうしゅくりょく尿にょう希釈きしゃくりょく限界げんかいかんがえればわかりやすい。結果けっかべると1にちたり最低さいてい700ml、最大さいだい10000ml尿にょうとして排出はいしゅつすることができるのでこの範囲はんいならばとく合併症がっぺいしょうがなければ問題もんだいこりにくいといわれている。

単位たんい換算かんさん

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様々さまざまな輸液理論りろん参照さんしょうするために、まずは単位たんいについてまとめておく。

  • 1g塩化えんかナトリウム=17mEq(1なのでmmolとしてもよい)
  • 3g塩化えんかナトリウム=50mEq
  • 1g塩化えんかカリウム=13mEq

単位たんい換算かんさんから心不全しんふぜんでは生理せいりしょく塩水えんすいもちいるのがこのましくない理由りゆうがわかる。生理せいりしょく塩水えんすいとは0.9%の食塩しょくえんすいである。154mEq/Lの電解でんかいしつふくむ。 一方いっぽう心不全しんふぜん患者かんじゃ基本きほんてき塩分えんぶん制限せいげん3gである。体内たいないへの水分すいぶん貯留ちょりゅうをさけるためにみずではなくしお制限せいげんしている。もし生食なましょくで輸液をすると1ほん(500ml)で4.5gとえてしまう。

日本人にっぽんじん経口けいこう塩化えんかナトリウム摂取せっしゅりょうは12g/dayであるといわれている。よって正常せいじょうで12g/dayであり、軽度けいど制限せいげんで6g/day、中等ちゅうとう制限せいげん3g/dayで重度じゅうど制限せいげん0g/dayであるとされている。それを参考さんこう無難ぶなんりょうとして4.5g前後ぜんごかんがえる。等量とうりょうとして75mEqである。この論理ろんり数理すうりモデルなどはなく経験けいけんそくである。

基礎きそ輸液と維持いじ輸液

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  • 維持いじ輸液といわれる3ごうえき基本きほんてき尿にょうなどからだ排出はいしゅつするような水分すいぶん組成そせいにあわせてつくられている。すなわち3ごうえきでは以下いかのような理論りろんもとづき輸液りょう計算けいさんするというが可能かのうである。
  • 日本人にっぽんじんでは浅野あさのによるバランスシートが有名ゆうめいである。それによると、体重たいじゅう60kgの日本人にっぽんじん収入しゅうにゅう飲料いんりょう1200ml、食品しょくひん800ml、代謝たいしゃすい200mlがあり合計ごうけい2200である。支出ししゅつ尿にょう1200ml、不感ふかんふけ泄900ml、大便だいべん100mlで合計ごうけい2200である。代謝たいしゃすいとはTCAサイクルなどで発生はっせいするみずであり、不感ふかんふけ泄とははい皮膚ひふから蒸発じょうはつするみずである。あせかんじふけ泄である、呼気こきちゅう水蒸気すいじょうきなどのことである。
  • 輸液とは基本きほんてき食事しょくじができないときにおこなう。食事しょくじができないとき代謝たいしゃすいえることになるが、簡単かんたんのため以下いかしきをつくる。
    輸液りょう代謝たいしゃすい尿にょうりょう不感ふかんふけ泄⇒輸液りょう尿にょうりょう+700ml
  • 基礎きそ輸液というのは予測よそく尿にょうりょうに700をくわえたもの、あるいは予測よそく尿にょうりょう不感ふかんふけ泄から200いたものを上乗うわのせしたもの。ただ尿にょうりょう過剰かじょうときはそのまま尿にょうりょうもちいない。
  • 予測よそく尿にょうりょう正常せいじょうでは尿にょうりょう大体だいたい1000から1500までである。腎不全じんふぜんのときは500くらいでよい。
  • 維持いじ輸液にかんしては実際じっさいには輸液りょう尿にょうりょう設定せってい仕方しかたによってことなるので経験けいけんたよりに頑張がんばるしかない。無難ぶなんりょうはどれくらいか経験けいけんめていく。

維持いじ輸液のかんがかた

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維持いじ輸液で必要ひつようなのは1にち換算かんさんにして水分すいぶんりょうは2000ml、NaはNaClとして4〜6g(68〜102mEq)、Kは20〜40mEq、である。ST3はちょうどこの組成そせい一致いっちするようにできている。体格たいかくなどで、個々人ここじん適切てきせつりょうことなるが標準ひょうじゅんてき日本人にっぽんじんならばST3を2000ml点滴てんてきをすれば維持いじ輸液はつようになっている。もし自分じぶん作成さくせいするのなら、生理せいりしょく塩水えんすい500ml、5%ブドウ糖ぶどうとうえき1500mlに10%KClシリンジ1A(KCl1にちりょう40mEq、2lにすれば20mEq/lである)をこんして作成さくせいすればよい。

外科げかてき分野ぶんや

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しゅうじゅつ輸液

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おおくの患者かんじゃ対応たいおうするため、みず電解でんかいしつ代謝たいしゃ異常いじょうともなうような内科ないか疾患しっかんおも内分泌ないぶんぴつ疾患しっかん)がないこと、呼吸こきゅう不全ふぜん循環じゅんかん不全ふぜん腎不全じんふぜんといった病態びょうたい存在そんざいしないことを前提ぜんてい記述きじゅつする。このような疾患しっかんがある身体しんたいのホメオスタシスがくるい、独自どくじ調節ちょうせつほう必要ひつようになるからである。

外科げかかんしてえば、維持いじ輸液、喪失そうしつ輸液、欠乏けつぼう輸液の3つの要素ようそけてかんがえる。

維持いじ輸液
健康けんこう成人せいじんまず、わずで1にちごすための輸液である。3ごうえき通常つうじょう前日ぜんじつ尿にょうりょう+600mlでおこなうことがおおい。
喪失そうしつ輸液
処置しょちによって体液たいえき喪失そうしつされることが予想よそうされる場合ばあい喪失そうしつ輸液を考慮こうりょする。もっとおおいのはドレーンによる体液たいえき喪失そうしつである。
維持いじ輸液にくわえて喪失そうしつ輸液または欠乏けつぼう輸液をおこなさいは、2ごうえきもちいるのが便利べんりである。
欠乏けつぼう輸液
もともと脱水だっすいがある場合ばあいはそのぶん体液たいえき補充ほじゅうすることがのぞましい。しかし、欠乏けつぼうりょうがどれくらいであったかということを把握はあくするのはむずかしい。体重たいじゅう変化へんかおこなうこともあるが、基本きほんてきにはよくわからないので、安全あんぜん係数けいすうをかけて、予測よそく脱水だっすいりょうよりもすくなめに輸液をするのが慣習かんしゅうである。安全あんぜん係数けいすうは1/2をもちいることがおおい。

外科げか領域りょういきでは

  • 1にちの輸液りょう維持いじりょう+喪失そうしつりょう+欠乏けつぼうりょう×1/2(安全あんぜん係数けいすう

もちいることができる。しかし、輸液の処方しょほうかた医師いしによってかなりのバリエーションがあり、どれがのぞましいとはなかなかえない。自分じぶん管理かんりしやすい処方しょほうこころがけるべきである。なおすのは検査けんさ数値すうちではなくあくまでも患者かんじゃである。

小児科しょうにかてき分野ぶんや

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小児科しょうにかにおいては成人せいじんことなる輸液管理かんりおこなう。

初期しょき輸液

小児しょうに脱水だっすい緊急きんきゅう事態じたいであるので輸液治療ちりょうおこなう。高度こうど脱水だっすい生命せいめいおびやかすこともある。1ごうえきもちいるのが一般いっぱんてきである。体重たいじゅうべつ目安めやすがあり、

参考さんこう体重たいじゅう(Kg) 輸液速度そくど(ml/hr)
10以下いか 100
10〜20 200
20〜30 300
30〜40 400

排尿はいにょうみとめられるまでこの速度そくどで輸液をおこなう。3あいだ経過けいかしても利尿りにょうられない場合ばあい小児科しょうにか専門医せんもんいした入院にゅういん必要ひつようとなる場合ばあいおおい。あらかじ採血さいけつをしておくと3あいだ経過けいか検査けんさ結果けっかがわかり診断しんだんにいたることもある。軽度けいど脱水だっすい場合ばあい初期しょき輸液のみで帰宅きたくさせることもある。

維持いじ輸液

年齢ねんれいべつ維持いじ輸液りょう目安めやすしめす。じん機能きのうしん機能きのう内分泌ないぶんぴつ異常いじょう体液たいえき喪失そうしつ存在そんざいする場合ばあいはこのかぎりではないので注意ちゅうい必要ひつようである。一般いっぱんにナトリウムは65mEq/m2/day、カリウムは100mEq/m2/day必要ひつようかんがえられるため、3ごうえきもちいると以下いかりょう目安めやすとなる。

  参考さんこう体重たいじゅう(Kg) 輸液りょう(ml/Kg/day) 目安めやす輸液りょう(ml/day)
新生児しんせいじ 3 65 200
乳児にゅうじ(1さい以下いか) 9 100 900
幼児ようじ 12 70〜80 900
園児えんじ 15 70〜80 1200
学童がくどう 30 50〜60 1800
成人せいじん 50 40〜50 2000

学童がくどう乳児にゅうじには相当そうとう体重たいじゅうはばがあるため、計算けいさんしきによってみちびくのが一般いっぱんてきである。しめすとわかりやすいが、ようしょうのころは体重たいじゅうあたりにおおくの水分すいぶん必要ひつようとされることがわかる。

救急きゅうきゅう医療いりょう分野ぶんや

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熱傷ねっしょう受傷じゅしょう24あいだ投与とうよするそう輸液りょうバクスターの公式こうしきもちいて計算けいさんする[2][3]

バクスターの公式こうしきは、

Baxterほう乳酸にゅうさんリンゲル4ml×熱傷ねっしょう面積めんせき(%)×体重たいじゅう(kg)もとめられる[2][3]

輸液速度そくど

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平成へいせい17ねん3がつ25にち厚生こうせい労働省ろうどうしょう告示こくじにより、輸液ラインの規格きかくはISOに統一とういつされる。

   輸液セットの種類しゅるい
これまで 15てき/ml、19てき/ml、20てき/ml、60てき/ml
統一とういつ 20てき/ml、60てき/ml・・・のみ

2のべきじょう法則ほうそくという法則ほうそくがひろくられている。(ひょう:20てき/mlの輸液ラインをもちいた場合ばあい)

名称めいしょう 輸液速度そくど ml/min しずくすう/min ml/h 適用てきよう
だい0 very slow 1 20 60 小児しょうに高張たかはりえきなど
だい1 slow 2 40 120 維持いじ輸液
だい2 moderate 4 80 250 維持いじ輸液と補充ほじゅう輸液
だい3 rapid 8 160 500 補充ほじゅう
だい4 very rapid 16 320 1000 緊急きんきゅう輸液
だい5 extremely rapid 32 640 2000 緊急きんきゅう輸液

維持いじ目的もくてきならば1あいだで100mlが通常つうじょうであるので、500mlパックならば5あいだおこなう。うえでは1あいだ120mlとなり500mlパックを4あいだでやるべきとなるが、臨床りんしょう経過けいかじょうそこまでおおきなかんじることはすくない。とくおもあつ疾患しっかんがない場合ばあいはある程度ていどあっていればおおきな影響えいきょうはないとされている。


脱水だっすいたいする治療ちりょう

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脱水だっすい評価ひょうかには様々さまざま指標しひょうがあるが、絶対ぜったいてきなものではなくそれらをわせて評価ひょうかするべきである。嘔吐おうと下痢げりがあり食事しょくじみず摂取せっしゅ十分じゅうぶんでなければ脱水だっすいがあるとかんがえてよい。じん機能きのうしん機能きのう問題もんだいがなければ細胞さいぼうがいえき500mlを2あいだ程度ていどで輸液すると自覚じかく症状しょうじょう(だるさなど)が改善かいぜんする。その所見しょけんとしては、口腔こうくう粘膜ねんまく乾燥かんそう、ツルゴールの低下ていか仰臥ぎょうがでのそとけい静脈じょうみゃく不可視ふかしなどがあげられる。血液けつえきがくてき所見しょけんでは血清けっせいアルブミンの相対そうたいてき高値たかねやBUN/Cr>20,などが脱水だっすい示唆しさする所見しょけんである。尿にょう所見しょけんでは尿にょう浸透しんとうあつ>500mOsm/Lや尿にょう比重ひじゅう>1.020,部分ぶぶん排泄はいせつりつとしてはFENa<1,FEUN<35などが有名ゆうめいである。ただし、部分ぶぶん排泄はいせつりつとぼし尿にょうともなっていない場合ばあい指標しひょうとならないことに注意ちゅうい必要ひつようである。

電解でんかいしつ補正ほせい

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輸液をもちいて電解でんかいしつ補正ほせいおこなうことはよくある。リンクを参照さんしょうすること。

ナトリウムの異常いじょう
こうナトリウムしょう
ていナトリウムしょう
カリウムの異常いじょう
こうカリウムしょう
ていカリウムしょう

自己じこ輸血ゆけつほう

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すぐに輸血ゆけつおこなえない状況じょうきょうだい出血しゅっけつしている緊急きんきゅうおこなわれる。手足てあし先端せんたんから胴体どうたい方向ほうこうぬのできつくしばっていく方法ほうほうで、手足てあしぶん血液けつえき胴体どうたいまわせば1000ml程度ていど輸血ゆけつ同等どうとう効果こうかられる[4]。もちろん、手足てあし血液けつえきまわらなくなるため長時間ちょうじかんおこなうわけにはいかない[4]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 遠藤えんどう 正之まさゆき生理せいりしょく塩水えんすい乳酸にゅうさんリンゲル液りんげるえき,5%ブドウ糖ぶどうとうえき維持いじ輸液製剤せいざい使用しようほう」『medicina』だい44かん、2007ねん3がつ10日とおか、544-546ぺーじdoi:10.11477/mf.1402102653 
  2. ^ a b イヤーノート 2015: 内科ないか外科げかへん L45 メディック・メディア ISBN 978-4896325102
  3. ^ a b クエスチョン・バンク 医師いし国家こっか試験しけん問題もんだい解説かいせつ2016 vol.3 K-N L134 2015ねん3がつ10日とおか発売はつばい メディックメディアしゃ ISBN 978-4896325607
  4. ^ a b イラストでまなぶ!戦闘せんとう外傷がいしょう救護きゅうご ちょ照井てるいぶんまわし p123

関連かんれん項目こうもく

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参考さんこう文献ぶんけん

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  • 輸液をまなひとのために だい3はん ISBN 426034286X
  • 外科げか必修ひっしゅうマニュアル ひつじしゃ ISBN 4897063434
  • みず電解でんかいしつさん塩基えんき平衡へいこう 南江堂なんこうどう ISBN 452422422X

外部がいぶリンク

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