災害さいがい拠点きょてん病院びょういん

災害さいがい拠点きょてん病院びょういん（さいがいきょてんびょういん）とは、日本にっぽんにおいて、地震じしん・津波つなみ・台風たいふう・噴火ふんか等ひとしの災害さいがい発生はっせい時じに災害さいがい医療いりょうを行おこなう医療いりょう機関きかんを支援しえんする病院びょういんのことである。基幹きかん災害さいがい医療いりょうセンターは各かく都道府県とどうふけんに原則げんそく1カ所かしょ以上いじょう、地域ちいき災害さいがい医療いりょうセンターは二に次じ医療いりょう圏けんごとに原則げんそく1カ所かしょ以上いじょう整備せいびされる^[1]。

設置せっちの経緯けいいと内容ないよう[編集へんしゅう]

1995年ねんの阪神はんしん・淡路あわじ大震災だいしんさいを受うけて同年どうねん4月がつに被災ひさい地ちの医療いりょう機関きかん、医師いし会かいの関係かんけい団体だんたい、救急きゅうきゅう医療いりょう、建築けんちく、機器きき設備せつび、情報じょうほう通信つうしん、医薬品いやくひんの専門せんもん家か等とうによる「阪神はんしん・淡路あわじ大震災だいしんさいを契機けいきとした災害さいがい医療いりょう体制たいせいのあり方かたに関かんする研究けんきゅう会かい」（厚生こうせい科学かがく研究けんきゅう費ひ補助ほじょ金きん（健康けんこう政策せいさく調査ちょうさ研究けんきゅう事業じぎょう）による研究けんきゅう班はん）より研究けんきゅう成果せいかが発表はっぴょうされ、患者かんじゃの広域こういき搬送はんそうや応おう急用きゅうよう資し器材きざいの貸出かしだし、医療いりょう救護きゅうごチームの派遣はけん等とうに対応たいおうできる「災害さいがい医療いりょう支援しえん拠点きょてん病院びょういん」の設置せっちが提言ていげんされた^[2]。

これを受うける形かたちで厚生省こうせいしょうは、各かく都道府県とどうふけん知事ちじ宛あてに「災害さいがい時じにおける初期しょき救急きゅうきゅう医療いりょう体制たいせいの充実じゅうじつ強化きょうかついて」（平成へいせい8年ねん5月がつ10日にち健けん政せい発はつ第だい451号ごう健康けんこう政策せいさく局長きょくちょう通知つうち）^[3]を発出はっしゅつし、各かく都道府県とどうふけん内ないや近県きんけんにおいて災害さいがいが発生はっせいし、通常つうじょうの医療いりょう体制たいせいでは被災ひさい者しゃに対たいする適切てきせつな医療いりょうを確保かくほすることが困難こんなんな状況じょうきょうとなった場合ばあいに、都道府県とどうふけん知事ちじの要請ようせいにより傷病しょうびょう者しゃの受うけ入いれや医療いりょう救護班きゅうごはんの派遣はけん等とうを行おこなうこととなった。災害さいがい拠点きょてん病院びょういんの旨むねは受付うけつけ等とうに標榜ひょうぼうできる。

拠点きょてん病院びょういんの条件じょうけん[編集へんしゅう]

建物たてものが耐震たいしん耐火たいか構造こうぞうであること。
資し器材きざい等とうの備蓄びちくがあること。
応急おうきゅう収容しゅうようするために転用てんようできる場所ばしょがあること。
応おう急用きゅうよう資し器材きざい、自家じか発電はつでん機き、応急おうきゅうテント等とうにより自己じこ完結かんけつできること（外部がいぶからの補給ほきゅうが滞とどこおっても簡単かんたんには病院びょういん機能きのうを喪失そうしつしないこと）。
近接きんせつ地ちにヘリポートが確保かくほできること。

耐震たいしん性せいの問題もんだい[編集へんしゅう]

厚生こうせい労働省ろうどうしょうによる『災害さいがい拠点きょてん病院びょういんの整備せいび基準きじゅん』では、耐震たいしん構造こうぞうを求もとめている対象たいしょうは「救急きゅうきゅう診療しんりょうを行おこなう棟むねだけ」となっている。一方いっぽうで国くには「建物たてものすべての耐震たいしん化かが望のぞましい」という指針ししんを示しめし、整備せいび費ひの補助ほじょを行おこなっている。2011年ねんの東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいでは、耐震たいしん性せいが不十分ふじゅうぶんだったために、地震じしんによる建物たてもの被害ひがいを受うけた災害さいがい拠点きょてん病院びょういんもあった^[4]。また、津波つなみと洪水こうずいについては想定そうてい外がいであり、津波つなみの被害ひがいを受うけるおそれのある海抜かいばつの低ひくい場所ばしょに立地りっちしている病院びょういんでも、災害さいがい拠点きょてん病院びょういんの指定していを受うけている。東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいによる津波つなみ被害ひがいを踏ふまえて、南海なんかいトラフに直面ちょくめんし高知こうち県けんなどの津波つなみの危険きけん度どが特とくに高たかい地域ちいきの災害さいがい拠点きょてん病院びょういんについて、建物たてものの3階かい以上いじょうの棟むねでも救急きゅうきゅう診療しんりょうを行おこなえるよう、設備せつびの改修かいしゅうを実施じっしすることが議論ぎろんされているところである。