海上かいじょう保安ほあん官かん

海上かいじょう保安ほあん官かん（かいじょうほあんかん、Japan Coast Guard Officer）とは、海上かいじょうの安全あんぜん及および治安ちあんの確保かくほを図はかることを任務にんむとする日本にっぽんの行政ぎょうせい機関きかんである海上保安庁かいじょうほあんちょうの職員しょくいんのうち、法令ほうれいの海上かいじょうにおける励行れいこう、海難かいなん救助きゅうじょ、海洋かいよう汚染おせん等ひとしの防止ぼうし、海上かいじょうにおける犯罪はんざいの予防よぼう及および鎮圧ちんあつ、海上かいじょうにおける犯人はんにんの捜査そうさ及および逮捕たいほ、海上かいじょうにおける船舶せんぱく交通こうつうに関かんする規制きせい、水路すいろ、航路こうろ標識ひょうしきに関かんする事務じむその他た海上かいじょうの安全あんぜん確保かくほに関かんする事務じむ並ならびにこれらに附帯ふたいする事項じこうに関かんする事務じむを行おこなう職員しょくいん（国家こっか公務員こうむいん）を指さす（海上保安庁かいじょうほあんちょう法ほう第だい2条じょう、第だい14条じょう）。海上保安庁かいじょうほあんちょう法ほう第だい31条じょうにおいて、特別とくべつ司法しほう警察けいさつ職員しょくいんとして海上かいじょう保安ほあん官かん（司法しほう警察けいさつ員いん）と海上かいじょう保安ほあん官かん補ほ（司法しほう巡査じゅんさ）が指定していされている。

職務しょくむ

訓練くんれんを行おこなう海上かいじょう保安ほあん官かん

主おもな職務しょくむは、海上かいじょうにおける犯罪はんざいの取とり締しまり、海難かいなん救助きゅうじょ、海洋かいよう汚染おせんの防止ぼうし、海上かいじょう交通こうつうの安全あんぜん確保かくほなどとされている。海上かいじょうで発生はっせいした事案じあんについて警察官けいさつかんとほぼ同等どうとうの権限けんげんを持もち、警察官けいさつかん職務しょくむ執行しっこう法ほうを準用じゅんようし、必要ひつように応おうじて武装ぶそうする事ことも許ゆるされている。また、海賊かいぞくについては日本にっぽん国こくの領海りょうかいのみならず公海こうかい上うえでも追跡ついせき・拿捕だほおよび被疑ひぎ者しゃの逮捕たいほと関連かんれん資産しさんの押収おうしゅうができる。

海上かいじょう保安ほあん官かんの給与きゅうよは「一般いっぱん職しょくの職員しょくいんの給与きゅうよに関かんする法律ほうりつ」に規定きていされる「公安こうあん職しょく俸給ほうきゅう表ひょう（二に）」が適用てきようされるが、本庁ほんちょうや管区かんく本部ほんぶに勤務きんむする職員しょくいんのうち警備けいび救難きゅうなん部ぶ以外いがいに所属しょぞくする場合ばあいにおいては「行政ぎょうせい職しょく俸給ほうきゅう表ひょう（一いち）」が適用てきようされることもある（人事院じんじいん規則きそく9-2）。

職務しょくむに必要ひつような各種かくしゅ資格しかくの取得しゅとくは庁ちょう内ないの教育きょういく機関きかんで行おこなうほか、船舶せんぱく関係かんけい（海うみ技士ぎし等ひとし）、無線むせん関係かんけい（総合そうごう無線むせん通信つうしん士し、海上かいじょう無線むせん通信つうしん士し等ひとし）、航空機こうくうき関係かんけい（事業じぎょう用よう操縦そうじゅう士し、航空こうくう整備せいび士し等ひとし）の有ゆう資格しかく者しゃの採用さいようを定期ていき的てきに実施じっししている。

海上かいじょう保安ほあん官かんと海上かいじょう保安ほあん官かん補ほの身分みぶん及および階級かいきゅう

職員しょくいんの多おおくは、海上かいじょう保安ほあん学校がっこう又または海上保安大学校かいじょうほあんだいがっこうの卒業そつぎょう者しゃであるが、最高さいこう位いとされる海上保安庁かいじょうほあんちょう長官ちょうかんは、第だい43代だい長官ちょうかんに海上保安庁かいじょうほあんちょう生はえ抜ぬきの職員しょくいんが就任しゅうにんするまで、一貫いっかんして上級じょうきゅう官庁かんちょうの運輸省うんゆしょうとその後継こうけい官庁かんちょうの国土こくど交通省こうつうしょうの局長きょくちょう級きゅうキャリア官僚かんりょうが長官ちょうかんとして就任しゅうにんしてきた。また、管区かんく本部ほんぶ長ちょうや本庁ほんちょうの基幹きかん職員しょくいんには国土こくど交通省こうつうしょうや省庁しょうちょう間あいだ交流こうりゅうによる他た省庁しょうちょう職員しょくいんなどの官僚かんりょうが海上かいじょう保安ほあん官かんに転てん官かんして補職ほしょくされることがある。また、少数しょうすうであるが、国家こっか公務員こうむいん試験しけん総合そうごう職しょく（理学りがく系けい、技術ぎじゅつ系けい）合格ごうかく者しゃを海上かいじょう保安ほあん官かんとして採用さいようするケースもあるが、この場合ばあいは一般いっぱんの海上かいじょう保安ほあん官かんのように船ふね艇てい勤務きんむをすることはなく、海洋かいよう情報じょうほう部署ぶしょなど特定とくていの部門ぶもんで勤務きんむすることになる。

海上保安庁かいじょうほあんちょう法ほう施行しこう令れい第だい9条じょうには、一等いっとう海上かいじょう保安ほあん監かんを最高さいこう位いとし、三さん等とう海上かいじょう保安ほあん士し補ほまで12階級かいきゅうを規定きていしている。但ただし、同どう施行しこう令れいにおける階級かいきゅう最高さいこう位いである一等いっとう海上かいじょう保安ほあん監かんの階級かいきゅうは人事じんじ上うえ、その職責しょくせきによって甲乙こうおつに区分くぶんされているため階級かいきゅう制度せいど上じょう、一等いっとう海上かいじょう保安ほあん監かんの階級かいきゅうだけで2階かい級きゅう存在そんざいしている。さらに、部下ぶかを指揮しきする役職やくしょくとしての長官ちょうかん、次長じちょう及および海上かいじょう保安ほあん監かんが存在そんざいし、また、海上保安庁かいじょうほあんちょう職員しょくいん服ふく制せい（昭和しょうわ23年ねん運輸省うんゆしょう令れい第だい33号ごう）では、先さきの3職しょくの制服せいふくを定さだめていることから、実質じっしつ的てきには長官ちょうかんを最高さいこう位いとして学生がくせいまで含ふくめると13階かい級きゅうとなっている。なお、平成へいせい2年ねん以降いこう、海上かいじょう保安ほあん官かん補ほは誰だれも在職ざいしょくしておらず、また海上かいじょう保安ほあん官かん補ほの階級かいきゅうである「一等いっとう海上かいじょう保安ほあん士し補ほ」から「三さん等とう海上かいじょう保安ほあん士し補ほ」の任命にんめいも発令はつれいされていない。

階級かいきゅう・官職かんしょく名めいの沿革えんかく

下記かきの一覧いちらん表ひょうは海上かいじょう保安ほあん官等かんとうの階級かいきゅう名称めいしょうを基もとに、過去かこから現在げんざいまでの組織そしきの移うつり変かわりや階級かいきゅうの比定ひていを表あらわした。組織そしき長ちょうの欄らんは正式せいしきな階級かいきゅう名めいではなく官職かんしょく名めいであるが、便宜上べんぎじょう英訳えいやくでは階級かいきゅう風ふうの呼よび名なが使つかわれている。軍制ぐんせいの階級かいきゅうとの比較ひかくを行おこなっているが、表ひょう外がいの注釈ちゅうしゃくに示しめすとおり軍事ぐんじ組織そしきとの階級かいきゅう比定ひていを試こころみたものではない。海上保安庁かいじょうほあんちょうの広報こうほうなどでも階級かいきゅう表記ひょうきは殆ほとんど用もちいられず、職員しょくいんの職務しょくむ・職責しょくせきを表あらわす船長せんちょう、航海こうかい士し、通信つうしん士し、専門せんもん員いんなどが用もちいられる。

海上かいじょう保安ほあん官等かんとうの階級かいきゅう・官職かんしょく名めい変遷へんせん

区分くぶん		海上かいじょう警備けいび隊たい	旧きゅう海上保安庁かいじょうほあんちょう	保安庁ほあんちょう海上かいじょう公安こうあん局きょく	海上保安庁かいじょうほあんちょう	海上保安庁かいじょうほあんちょうでの各かく官職かんしょく・階級かいきゅうの英語えいご表記ひょうき	海上保安庁かいじょうほあんちょうでの職務しょくむ
組織そしき長ちょう		（旧きゅう）海上保安庁かいじょうほあんちょう長官ちょうかん		海上かいじょう公安こうあん局長きょくちょう	海上保安庁かいじょうほあんちょう長官ちょうかん	Commandant	行政ぎょうせい組織そしき（庁ちょう）の長なが 海上保安庁かいじょうほあんちょう職員しょくいんの最さい上位じょうい
		総そう監かん 副ふく総監そうかん	次長じちょう 警備けいび救難きゅうなん監かん	次長じちょう	次長じちょう 海上かいじょう保安ほあん監かん	Vice Commandant Vice Commandant for Operations	長官ちょうかん補佐ほさ（庁ちょう次席じせき） 長官ちょうかん補佐ほさ（運用うんよう上じょうの指揮しき官かん）
士官しかん	将官しょうかん	海上かいじょう警備けいび監かん（海うみ将しょう）	---	海上かいじょう公安こうあん監かん	一等いっとう海上かいじょう保安ほあん監かん(甲かぶと)	Coast Guard Superintendent First Grade Upper Half	本庁ほんちょう部長ぶちょう・管区かんく本部ほんぶ長ちょう
		海上かいじょう警備けいび監かん補ほ（海うみ将しょう補ほ）	一等いっとう海上かいじょう保安ほあん監かん	海上かいじょう公安こうあん監かん補ほ	一等いっとう海上かいじょう保安ほあん監かん(乙おつ)	Coast Guard Superintentent First Grade Lower Half	本庁ほんちょう参事官さんじかん・管区かんく本部ほんぶ次長じちょう・大阪おおさか海上かいじょう保安ほあん監かん部長ぶちょう・大だい規模きぼ海上かいじょう保安ほあん部長ぶちょう
	佐官さかん	一等いっとう海上かいじょう警備けいび正ただし（1佐さ）	二に等とう海上かいじょう保安ほあん監かん	一等いっとう海上かいじょう公安こうあん正ただし	二に等とう海上かいじょう保安ほあん監かん	Coast Guard Superintendent Second grade	本庁ほんちょう課長かちょう・管区かんく本部ほんぶ部長ぶちょう 海上かいじょう保安ほあん部長ぶちょう・所長しょちょう・基地きち長ちょう・港みなと長ちょう 巡視じゅんし船せん船長せんちょう・管区かんく本部ほんぶ課長かちょう 署長しょちょう・PL型がた（航海こうかい・運用うんよう司令しれい・通信つうしん）長ちょう 本庁ほんちょう係長かかりちょう・首席しゅせき（航海こうかい・運用うんよう司令しれい・通信つうしん）士し PM型がた（航海こうかい・運用うんよう司令しれい・通信つうしん）長ちょう・PS型がた船長せんちょう 本庁ほんちょう専門せんもん員いん・主任しゅにん（航海こうかい・運用うんよう司令しれい・通信つうしん）士し 本庁ほんちょう係員かかりいん・巡視じゅんし艇てい船長せんちょう 海上保安大学校かいじょうほあんだいがっこう本科ほんか卒業生そつぎょうせいは幹部かんぶ要員よういん
		二に等とう海上かいじょう警備けいび正ただし（2佐さ）	三さん等とう海上かいじょう保安ほあん監かん	二に等とう海上かいじょう公安こうあん正ただし	三さん等とう海上かいじょう保安ほあん監かん	Coast Guard Superintendent Third Grade
		三さん等とう海上かいじょう警備けいび正ただし（3佐さ）	一等いっとう海上かいじょう保安ほあん正ただし	三さん等とう海上かいじょう公安こうあん正ただし	一等いっとう海上かいじょう保安ほあん正ただし	Coast Guard Officer First Grade
	尉官いかん	一等いっとう海上かいじょう警備けいび士し（1尉じょう）	二に等とう海上かいじょう保安ほあん正ただし	一等いっとう海上かいじょう公安こうあん士し	二に等とう海上かいじょう保安ほあん正ただし	Coast Guard Officer Second Grade
		二に等とう海上かいじょう警備けいび士し（2尉じょう）	三さん等とう海上かいじょう保安ほあん正ただし	二に等とう海上かいじょう公安こうあん士し	三さん等とう海上かいじょう保安ほあん正ただし	Coast Guard Officer Third Grade
		三さん等とう海上かいじょう警備けいび士し（3尉じょう）	---	三さん等とう海上かいじょう公安こうあん士し	↓ 階級かいきゅう調整ちょうせい→
准じゅん士官しかん		（准じゅん海うみ尉じょう）	---	↑ 階級かいきゅう調整ちょうせい→			係員かかりいん・（航海こうかい・運用うんよう指令しれい・通信つうしん）士し補ほ 海上かいじょう保安ほあん官かんの階級かいきゅう： 一等いっとう以上いじょうが司法しほう警察けいさつ員いん 二に等とう以下いかが司法しほう巡査じゅんさ 三さん等とうは初任しょにん階級かいきゅうの場合ばあい 門司もじ分校ぶんこう研修生けんしゅうせい
下士官かしかん		（海曹かいそう長ちょう）
		一等いっとう海上かいじょう警備けいび士し補ほ（1曹）	一等いっとう海上かいじょう保安ほあん士し	一等いっとう海上かいじょう公安こうあん士し補ほ	一等いっとう海上かいじょう保安ほあん士し	Junior Coast Guard Officer First Grade
		二に等とう海上かいじょう警備けいび士し補ほ（2曹）	二に等とう海上かいじょう保安ほあん士し	二に等とう海上かいじょう公安こうあん士し補ほ	二に等とう海上かいじょう保安ほあん士し	Junior Coast Guard Officer Second Grade
		三さん等とう海上かいじょう警備けいび士し補ほ（3曹）	三さん等とう海上かいじょう保安ほあん士し	三さん等とう海上かいじょう公安こうあん士し補ほ	三さん等とう海上かいじょう保安ほあん士し	Junior Coast Guard Officer Third Grade
兵員へいいん		海上かいじょう警備けいび員いん長ちょう（海士あま長おさむ）	一等いっとう海上かいじょう保安ほあん士し補ほ	海上かいじょう公安こうあん員いん長ちょう	一等いっとう海上かいじょう保安ほあん士し補ほ	Assistant Coast Guard Officer First Grade	（平成へいせい2年ねん以降いこう補職ほしょく者しゃなし） 海上かいじょう保安ほあん官かん補ほの階級かいきゅう： 階級かいきゅう章あきらなどは金色きんいろ製せい
		一等いっとう海上かいじょう警備けいび員いん（1士し）	二に等とう海上かいじょう保安ほあん士し補ほ	一等いっとう海上かいじょう公安こうあん員いん	二に等とう海上かいじょう保安ほあん士し補ほ	Assistant Coast Guard Officer Second Grade
		二に等とう海上かいじょう警備けいび員いん（2士し）	三さん等とう海上かいじょう保安ほあん士し補ほ	二に等とう海上かいじょう公安こうあん員いん	三さん等とう海上かいじょう保安ほあん士し補ほ	Assistant Coast Guard Officer Third Grade
		三さん等とう海上かいじょう警備けいび員いん		三さん等とう海上かいじょう公安こうあん員いん
その他た					船舶せんぱく職員しょくいん 学生がくせい		一般いっぱん乗組のりくみ員いんは銀色ぎんいろ製せい 海上保安大学校かいじょうほあんだいがっこう・学校がっこう生なまの階級かいきゅう章あきら ・海上保安大学校かいじょうほあんだいがっこう生せいは金色きんいろ ・海上かいじょう保安ほあん学校がっこう生せいは銀色ぎんいろ

• 上記じょうきの表ひょうは1952年ねん（昭和しょうわ27年ねん）4月がつに創設そうせつされた海上かいじょう警備けいび隊たい（沿岸えんがん警備けいび隊たい）の成なり立たちから、区分くぶんに対応たいおうして海上かいじょう警備けいび隊たいの階級かいきゅうに括弧かっこで海上かいじょう自衛じえい官かんの階級かいきゅうを付加ふかして軍隊ぐんたいの様式ようしきにしているが、海上保安庁かいじょうほあんちょうの階級かいきゅう制せいは船員せんいんの船舶せんぱく内うちでの職務しょくむ分担ぶんたんからきている階級かいきゅう制度せいどのため、軍制ぐんせいの職責しょくせきや職務しょくむ内容ないようなどにも対応たいおうしておらず、軍制ぐんせいの階級かいきゅうとの比定ひていはあまり意味いみを持もたない。また、海上保安庁かいじょうほあんちょう長官ちょうかん・次長じちょう・海上かいじょう保安ほあん監かんは法令ほうれい上じょう階級かいきゅうではなく役職やくしょく名めいであるが、独自どくじの階級かいきゅう章しょうがあり、事実じじつ上じょう階級かいきゅうに準じゅんじた扱あつかいを受うけるため、便宜上べんぎじょうここに記しるす。正式せいしきな最高さいこう位いの階級かいきゅうは一等いっとう海上かいじょう保安ほあん監かんであり、その職責しょくせきは「甲かぶと」、「乙おつ」と有あり、両者りょうしゃに独自どくじの階級かいきゅう章しょうが設定せっていされている。これらの階級かいきゅう以上いじょうは船舶せんぱくへ乗のり込こんで指揮しきを執とることは殆ほとんど無ない。船員せんいん制度せいどとの比較ひかくの例れいとしては、PM型がた巡視じゅんし船せんの航海こうかい科かでは船長せんちょう（三さん等とう海上かいじょう保安ほあん監かん）、航海こうかい長ちょう（一等いっとう海上かいじょう保安ほあん正せい）、首席しゅせき航海こうかい士し（二に等とう海上かいじょう保安ほあん正せい）、主任しゅにん航海こうかい士し（三さん等とう海上かいじょう保安ほあん正せい）、航海こうかい士し（一等いっとう海上かいじょう保安ほあん士し）、航海こうかい士し補ほ（一等いっとう海上かいじょう保安ほあん士し - 三さん等とう海上かいじょう保安ほあん士し）と船員せんいんの序列じょれつに従したがい、階級かいきゅうが割わり振ふられている。他たの機関きかん科か、通信つうしん科か、主計しゅけい科かなども同様どうようである。
• 旧きゅう海上保安庁かいじょうほあんちょう長官ちょうかんは、運輸省うんゆしょう外局がいきょくの長ちょうとして海上かいじょう警備けいび隊たいの隊員たいいんと海上保安庁かいじょうほあんちょうの職員しょくいんを統括とうかつした。また、海上かいじょう公安こうあん局きょく法ほうが公布こうふされた時点じてんの保安庁ほあんちょう長官ちょうかんも同様どうように警備けいび隊たいを管轄かんかつすると共ともに、海上かいじょう公安こうあん局きょくも管轄かんかつして海上かいじょう公安こうあん官かんの階級かいきゅうは、警備けいび隊たいの階級かいきゅうと合あわせる形かたちで変更へんこうになった。これにより従来じゅうらいの海上保安庁かいじょうほあんちょうとは違ちがう組織そしきになり、現在げんざいの海上かいじょう自衛隊じえいたいに近ちかい軍制ぐんせいの階級かいきゅうになったが、海上保安庁かいじょうほあんちょうの強つよい抵抗ていこうなどにより改編かいへんされず、階級かいきゅう制度せいども旧来きゅうらいのものが現存げんそんする形かたちになっている。
• 海上保安庁かいじょうほあんちょうの創設そうせつ時期じきは、日本にっぽん国こくとの平和へいわ条約じょうやく（1952年ねん4月がつ「昭和しょうわ27年ねん条約じょうやく第だい5号ごう」）が締結ていけつされる前まえであり、そのため海上保安庁かいじょうほあんちょう法ほう（昭和しょうわ23年ねん法律ほうりつ第だい28号ごう）には、組織そしきや職員しょくいん（乗組のりくみ員いん）を海上かいじょうでの主権しゅけん行使こうしの機関きかんや要員よういんとして想定そうていしておらず、各かく自衛隊じえいたいを管轄かんかつする防衛ぼうえい省しょう設置せっち法ほうに記載きさいされるような主権しゅけん行使こうしの条文じょうぶんなどもなく、海上保安庁かいじょうほあんちょう法ほう第だい25条じょうの『職員しょくいんが軍隊ぐんたいとして組織そしきされ、訓練くんれんされ、又または軍隊ぐんたいの機能きのうを営いとなむことを…』と軍事ぐんじ否定ひていの条文じょうぶんも付加ふかされている。

採用さいよう及および教育きょういく

海上かいじょう保安ほあん官かんとなるためには、幾いく種類しゅるいかの採用さいようコースがあり、海上保安大学校かいじょうほあんだいがっこうないし海上かいじょう保安ほあん学校がっこうの学生がくせい採用さいよう試験しけん合格ごうかく者しゃからの採用さいようを中心ちゅうしんとし、海うみ技わざ資格しかく等とうの有ゆう資格しかく者しゃ採用さいよう試験しけんや国家こっか公務員こうむいん採用さいよう試験しけんの選考せんこう合格ごうかく者しゃからの採用さいようもある。海上保安大学校かいじょうほあんだいがっこうでは幹部かんぶ職員しょくいん候補こうほとしての教育きょういくを4年間ねんかん行おこない、海上かいじょう保安ほあん学校がっこうでは専門せんもん職員しょくいん向むけとして1年ねんないし2年間ねんかんの教育きょういくを行おこなう。海上保安大学校かいじょうほあんだいがっこうは、一般いっぱんの4年ねん制せい大学だいがくと同様どうように、卒業そつぎょう時じに学士がくし号ごうが授与じゅよされる高等こうとう教育きょういく機関きかんで、本科ほんか4年ねん、専攻せんこう科か6カ月かげつ、国際こくさい業務ぎょうむ課程かてい3カ月かげつの計けい4年ねん9カ月かげつ間あいだに渡わたって、幹部かんぶ海上かいじょう保安ほあん官かんとして必要ひつような高度こうどな知識ちしき・技能ぎのうを習得しゅうとくすることになる。難易なんい度どは、国公立こっこうりつ大学だいがく受験じゅけんと同どう程度ていどである。なお、海上保安大学校かいじょうほあんだいがっこうには、4年ねん制せい大学だいがく卒業そつぎょう者しゃを対象たいしょうとした初任しょにん科学かがく生せい採用さいよう試験しけんもあり、2020年ねん（令れい和わ2年ねん）に設置せっちされた新あたらしい課程かていである。「航海こうかい」「機関きかん」の各かく専攻せんこう課程かてい別べつに分わかれており、海うみ技わざ免状めんじょう取得しゅとくを目指めざしながら、2年間ねんかんに渡わたって幹部かんぶ海上かいじょう保安ほあん官かんに必要ひつような高度こうどな専門せんもん能力のうりょくを身みにつけることになる。難易なんい度どは大卒だいそつ国家こっか一般いっぱん職しょく、国家こっか専門せんもん職しょくと同どう程度ていどである。海上かいじょう保安ほあん学校がっこうは、課程かていによって修学しゅうがく年限ねんげんが異ことなり、「船舶せんぱく運航うんこうシステム」「航空こうくう」「海洋かいよう科学かがく」は1年ねん、「情報じょうほうシステム」「管制かんせい」は2年ねんとなっている。難易なんい度どは高卒こうそつ国家こっか一般いっぱん職しょくと同どう程度ていどである。

海上かいじょう保安ほあん官かんに対たいする表彰ひょうしょう

海上かいじょう保安ほあん官かんに対たいする表彰ひょうしょうは、内閣ないかく総理そうり大臣だいじん表彰ひょうしょうを筆頭ひっとうに国土こくど交通こうつう大臣だいじん表彰ひょうしょうその他たの国務大臣こくむだいじん表彰ひょうしょうがあり、その他たに海上保安庁かいじょうほあんちょう長官ちょうかん表彰ひょうしょうをはじめとする表彰ひょうしょうがある。海上保安庁かいじょうほあんちょうの表彰ひょうしょうには以下いかの表彰ひょうしょう記章きしょうの伴ともなう表彰ひょうしょうの他ほか、個人こじん及および団体だんたいに対たいする賞詞しょうしなどの各種かくしゅ表彰ひょうしょうがある。各種かくしゅ表彰ひょうしょうを受彰した職員しょくいんは海上保安庁かいじょうほあんちょう表彰ひょうしょう記念きねん章あきらを佩用はいようすることができる。

• 海上かいじょう保安ほあん勲功くんこう章あきら
• 海上かいじょう保安ほあん功績こうせき章あきら
• 海上かいじょう保安ほあん発明はつめい考案こうあん章あきら

なお、危険きけん業務ぎょうむ従事じゅうじ者しゃ叙勲じょくんの対象たいしょうでもある。

関連かんれん法ほう・規定きてい

海上保安庁かいじょうほあんちょう法ほう（重要じゅうよう部分ぶぶんのみ抜粋ばっすい）

「海上保安庁かいじょうほあんちょう法ほう」も参照さんしょう

• （※部分ぶぶん 編者へんしゃ注ちゅう）

• 第だい14条じょう 海上保安庁かいじょうほあんちょうに海上かいじょう保安ほあん官かん及および海上かいじょう保安ほあん官かん補ほを置おく。
• 2 海上かいじょう保安ほあん官かん及および海上かいじょう保安ほあん官かん補ほの階級かいきゅうは、政令せいれいでこれを定さだめる。
• 3 海上かいじょう保安ほあん官かんは、上官じょうかんの命いのちを受うけ、第だい2条じょう第だい1項こうに規定きていする事務じむを掌てのひらる。
• 4 海上かいじょう保安ほあん官かん補ほは、海上かいじょう保安ほあん官かんの職務しょくむを助たすける。
• 第だい15条じょう 海上かいじょう保安ほあん官かんがこの法律ほうりつの定さだめるところにより法令ほうれいの励行れいこうに関かんする事務じむを行おこなう場合ばあいには、その権限けんげんについては、当該とうがい海上かいじょう保安ほあん官かんは、各かく〃の法令ほうれいの施行しこうに関かんする事務じむを所管しょかんする行政ぎょうせい官庁かんちょうの当該とうがい官吏かんりとみなされ、当該とうがい法令ほうれいの励行れいこうに関かんする事務じむに関かんし行政ぎょうせい官庁かんちょうの制定せいていする規則きそくの適用てきようを受うけるものとする。
• 第だい16条じょう 海上かいじょう保安ほあん官かんは、第だい5条じょう第だい5号ごうに掲かかげる職務しょくむを行おこなうため若もしくは犯人はんにんを逮捕たいほするに当あたり、又または非常ひじょう事変じへんに際さいし、必要ひつようがあるときは、付近ふきんにある人ひと及および船舶せんぱくに対たいし、協力きょうりょくを求もとめることができる。
• 第だい17条じょう 海上かいじょう保安ほあん官かんは、その職務しょくむを行おこなうため必要ひつようがあるときは、船長せんちょう又または船長せんちょうに代かわつて船舶せんぱくを指揮しきする者ものに対たいし、法令ほうれいにより船舶せんぱくに備そなえ置おくべき書類しょるいの提出ていしゅつを命めいじ、船舶せんぱくの同一どういつ性せい、船籍せんせき港こう、船長せんちょうの氏名しめい、直前ちょくぜんの出発しゅっぱつ港こう又または出発しゅっぱつ地ち、目的もくてき港みなと又または目的もくてき地ち、積荷つみにの性質せいしつ又または積荷つみにの有無うむその他た船舶せんぱく、積荷つみに及および航海こうかいに関かんし重要じゅうようと認みとめる事項じこうを確たしかめるため船舶せんぱくの進行しんこうを停止ていしさせて立入検査たちいりけんさをし、又または乗組のりくみ員いん及および旅客りょかくに対たいしその職務しょくむを行おこなうために必要ひつような質問しつもんをすることができる。
• 2 海上かいじょう保安ほあん官かんは、前項ぜんこうの規定きていにより立入検査たちいりけんさをし、又または質問しつもんするときは、制服せいふくを着用ちゃくようし、又またはその身分みぶんを示しめす証票しょうひょうを携帯けいたいしなければならない。
• 3 海上かいじょう保安ほあん官かんの服ふく制せいは、国土こくど交通省こうつうしょう令れいで定さだめる。
• 第だい18条じょう 海上かいじょう保安ほあん官かんは、海上かいじょうにおける犯罪はんざいが正まさに行おこなわれようとするのを認みとめた場合ばあい又または天災てんさい事変じへん、海難かいなん、工作こうさく物ぶつの損壊そんかい、危険きけん物ぶつの爆発ばくはつ等ひとし危険きけんな事態じたいがある場合ばあいであつて、人ひとの生命せいめい若もしくは身体しんたいに危険きけんが及および、又または財産ざいさんに重大じゅうだいな損害そんがいが及およぶおそれがあり、かつ、急きゅうを要ようするときは、他たの法令ほうれいに定さだめのあるもののほか、次つぎに掲かかげる措置そちを講こうずることができる。
  • 1 船舶せんぱくの進行しんこうを開始かいしさせ、停止ていしさせ、又またはその出発しゅっぱつを差さし止とめること。
  • 2 航路こうろを変更へんこうさせ、又または船舶せんぱくを指定していする場所ばしょに移動いどうさせること。
  • 3 乗じょう組員くみいん、旅客りょかくその他た船内せんないにある者もの（以下いか「乗組のりくみ員いん等とう」という。）を下船げせんさせ、又またはその下船げせんを制限せいげんし、若もしくは禁止きんしすること。
  • 4 積荷つみにを陸揚りくあげさせ、又またはその陸揚りくあげを制限せいげんし、若もしくは禁止きんしすること。
  • 5 他た船ふね又または陸地りくちとの交通こうつうを制限せいげんし、又または禁止きんしすること。
  • 6 前ぜん各号かくごうに掲かかげる措置そちのほか、海上かいじょうにおける人ひとの生命せいめい若もしくは身体しんたいに対たいする危険きけん又または財産ざいさんに対たいする重大じゅうだいな損害そんがいを及およぼすおそれがある行為こういを制止せいしすること。
• 2 海上かいじょう保安ほあん官かんは、船舶せんぱくの外観がいかん、航海こうかいの態様たいよう、乗組のりくみ員いん等とうの異常いじょうな挙動きょどうその他た周囲しゅういの事情じじょうから合理ごうり的てきに判断はんだんして、海上かいじょうにおける犯罪はんざいが行おこなわれることが明あきらかであると認みとめられる場合ばあいその他た海上かいじょうにおける公共こうきょうの秩序ちつじょが著いちじるしく乱みだされるおそれがあると認みとめられる場合ばあいであつて、他たに適当てきとうな手段しゅだんがないと認みとめられるときは、前項ぜんこう第だい1号ごう又または第だい2号ごうに掲かかげる措置そちを講こうずることができる。
• 第だい19条じょう 海上かいじょう保安ほあん官かん及および海上かいじょう保安ほあん官かん補ほは、その職務しょくむを行おこなうため、武器ぶきを携帯けいたいすることができる。
• 第だい20条じょう 海上かいじょう保安ほあん官かん及および海上かいじょう保安ほあん官かん補ほの武器ぶきの使用しようについては、警察官けいさつかん職務しょくむ執行しっこう法ほう（昭和しょうわ23年ねん法律ほうりつ第だい136号ごう）第だい7条じょうの規定きていを準用じゅんようする。
• 2 前項ぜんこうにおいて準用じゅんようする警察官けいさつかん職務しょくむ執行しっこう法ほう第だい7条じょうの規定きていにより武器ぶきを使用しようする場合ばあいのほか、第だい17条じょう第だい1項こうの規定きていに基もとづき船舶せんぱくの進行しんこうの停止ていしを繰くり返かえし命めいじても乗組のりくみ員いん等とうがこれに応おうぜずなお海上かいじょう保安ほあん官かん又または海上かいじょう保安ほあん官かん補ほの職務しょくむの執行しっこうに対たいして抵抗ていこうし、又または逃亡とうぼうしようとする場合ばあいにおいて、海上保安庁かいじょうほあんちょう長官ちょうかんが当該とうがい船舶せんぱくの外観がいかん、航海こうかいの態様たいよう、乗組のりくみ員いん等とうの異常いじょうな挙動きょどうその他た周囲しゅういの事情じじょう及およびこれらに関連かんれんする情報じょうほうから合理ごうり的てきに判断はんだんして次つぎの各号かくごうのすべてに該当がいとうする事態じたいであると認みとめたときは、海上かいじょう保安ほあん官かん又または海上かいじょう保安ほあん官かん補ほは、当該とうがい船舶せんぱくの進行しんこうを停止ていしさせるために他たに手段しゅだんがないと信しんずるに足たりる相当そうとうな理由りゆうのあるときには、その事態じたいに応おうじ合理ごうり的てきに必要ひつようと判断はんだんされる限度げんどにおいて、武器ぶきを使用しようすることができる。
• 第だい21条じょう 海上保安庁かいじょうほあんちょう長官ちょうかんは、海上かいじょう保安ほあん官かんの中なかから港みなと長ちょうを命めいずる。
• 2 港みなと長ちょうは、海上保安庁かいじょうほあんちょう長官ちょうかんの指揮しき監督かんとくを受うけ、港みなと則そくに関かんする法令ほうれいに規定きていする事務じむを掌てのひらる。
• 第だい31条じょう 海上かいじょう保安ほあん官かん及および海上かいじょう保安ほあん官かん補ほは、海上かいじょうにおける犯罪はんざいについて、海上保安庁かいじょうほあんちょう長官ちょうかんの定さだめるところにより、刑事けいじ訴訟そしょう法ほう（昭和しょうわ23年ねん法律ほうりつ第だい131号ごう）の規定きていによる司法しほう警察けいさつ職員しょくいんとして職務しょくむを行おこなう。
• 2 海上かいじょう保安ほあん官かん及および海上かいじょう保安ほあん官かん補ほは、第だい28条じょうの2第だい1項こうに規定きていする場合ばあいにおいて、同どう項こうの離島りとうにおける犯罪はんざいについて、海上保安庁かいじょうほあんちょう長官ちょうかんが警察庁けいさつちょう長官ちょうかんに協議きょうぎして定さだめるところにより、刑事けいじ訴訟そしょう法ほうの規定きていによる司法しほう警察けいさつ職員しょくいんとして職務しょくむを行おこなう。

災害さいがい対策たいさく基本きほん法ほう（関連かんれん部分ぶぶんのみ抜粋ばっすい）

「災害さいがい対策たいさく基本きほん法ほう」も参照さんしょう

• 第だい54条じょう 災害さいがいが発生はっせいするおそれがある異常いじょうな現象げんしょうを発見はっけんした者ものは、遅滞ちたいなく、その旨むねを市町村しちょうそん長ちょう又または警察官けいさつかん若もしくは海上かいじょう保安ほあん官かんに通報つうほうしなければならない。
• 3 第だい1項こうの通報つうほうを受うけた警察官けいさつかん又または海上かいじょう保安ほあん官かんは、その旨むねをすみやかに市町村しちょうそん長ちょうに通報つうほうしなければならない。
• 第だい58条じょう 市町村しちょうそん長ちょうは、災害さいがいが発生はっせいするおそれがあるときは、法令ほうれい又または市町村しちょうそん地域ちいき防災ぼうさい計画けいかくの定さだめるところにより、消防しょうぼう機関きかん若もしくは水防すいぼう団だんに出動しゅつどうの準備じゅんびをさせ、若もしくは出動しゅつどうを命めいじ、又または警察官けいさつかん若もしくは海上かいじょう保安ほあん官かんの出動しゅつどうを求もとめる等とう災害さいがい応急おうきゅう対策たいさく責任せきにん者しゃに対たいし、応急おうきゅう措置そちの実施じっしに必要ひつような準備じゅんびをすることを要請ようせいし、若もしくは求もとめなければならない。
• 第だい60条じょう 災害さいがいが発生はっせいし、又または発生はっせいするおそれがある場合ばあいにおいて、人ひとの生命せいめい又または身体しんたいを災害さいがいから保護ほごし、その他た災害さいがいの拡大かくだいを防止ぼうしするため特とくに必要ひつようがあると認みとめるときは、市町村しちょうそん長ちょうは、必要ひつようと認みとめる地域ちいきの居住きょじゅう者しゃ、滞在たいざい者しゃその他たの者ものに対たいし、避難ひなんのための立退たちのきを勧告かんこくし、及および急きゅうを要ようすると認みとめるときは、これらの者ものに対たいし、避難ひなんのための立退たちのきを指示しじすることができる。
• 2 前項ぜんこうの規定きていにより避難ひなんのための立退たちのきを勧告かんこくし、又または指示しじする場合ばあいにおいて、必要ひつようがあると認みとめるときは、市町村しちょうそん長ちょうは、その立退たちのき先さきを指示しじすることができる。
• 第だい61条じょう 前条ぜんじょう第だい1項こうの場合ばあいにおいて、市町村しちょうそん長ちょうが同どう項こうに規定きていする避難ひなんのための立退たちのきを指示しじすることができないと認みとめるとき、又または市町村しちょうそん長ちょうから要求ようきゅうがあつたときは、警察官けいさつかん又または海上かいじょう保安ほあん官かんは、必要ひつようと認みとめる地域ちいきの居住きょじゅう者しゃ、滞在たいざい者しゃその他たの者ものに対たいし、避難ひなんのための立退たちのきを指示しじすることができる。前条ぜんじょう第だい2項こうの規定きていは、この場合ばあいについて準用じゅんようする。
• 2 警察官けいさつかん又または海上かいじょう保安ほあん官かんは、前項ぜんこうの規定きていにより避難ひなんのための立退たちのきを指示しじしたときは、直ただちに、その旨むねを市町村しちょうそん長ちょうに通知つうちしなければならない。
• 第だい63条じょう 災害さいがいが発生はっせいし、又またはまさに発生はっせいしようとしている場合ばあいにおいて、人ひとの生命せいめい又または身体しんたいに対たいする危険きけんを防止ぼうしするため特とくに必要ひつようがあると認みとめるときは、市町村しちょうそん長ちょうは、警戒けいかい区域くいきを設定せっていし、災害さいがい応急おうきゅう対策たいさくに従事じゅうじする者もの以外いがいの者ものに対たいして当該とうがい区域くいきへの立入たちいりを制限せいげんし、若もしくは禁止きんしし、又または当該とうがい区域くいきからの退去たいきょを命めいずることができる。
• 2 前項ぜんこうの場合ばあいにおいて、市町村しちょうそん長ちょう若もしくはその委任いにんを受うけて同どう項こうに規定きていする市町村しちょうそん長ちょうの職権しょっけんを行おこなう市町村しちょうそんの吏員りいんが現場げんばにいないとき、又またはこれらの者ものから要求ようきゅうがあつたときは、警察官けいさつかん又または海上かいじょう保安ほあん官かんは、同どう項こうに規定きていする市町村しちょうそん長ちょうの職権しょっけんを行おこなうことができる。この場合ばあいにおいて、同どう項こうに規定きていする市町村しちょうそん長ちょうの職権しょっけんを行くだりなつたときは、警察官けいさつかん又または海上かいじょう保安ほあん官かんは、直ただちに、その旨むねを市町村しちょうそん長ちょうに通知つうちしなければならない。
• 第だい64条じょう 市町村しちょうそん長ちょうは、当該とうがい市町村しちょうそんの地域ちいきに係かかる災害さいがいが発生はっせいし、又またはまさに発生はっせいしようとしている場合ばあいにおいて、応急おうきゅう措置そちを実施じっしするため緊急きんきゅうの必要ひつようがあると認みとめるときは、政令せいれいで定さだめるところにより、当該とうがい市町村しちょうそんの区域くいき内ないの他人たにんの土地とち、建物たてものその他たの工作こうさく物ぶつを一時いちじ使用しようし、又または土石どせき、竹たけ木きその他たの物件ぶっけんを使用しようし、若もしくは収用しゅうようすることができる。
• 9 警察官けいさつかん、海上かいじょう保安ほあん官かん又または災害さいがい派遣はけんを命めいぜられた部隊ぶたい等とうの自衛じえい官かんは、第だい7項こうにおいて準用じゅんようする前条ぜんじょう第だい2項こう又または前項ぜんこうにおいて準用じゅんようする第だい2項こう前段ぜんだんの規定きていにより工作こうさく物ぶつ等とうを除去じょきょしたときは、当該とうがい工作こうさく物ぶつ等とうを当該とうがい工作こうさく物ぶつ等とうが設置せっちされていた場所ばしょを管轄かんかつする警察けいさつ署長しょちょう等ひとし又または内閣ないかく府ふ令れいで定さだめる自衛隊じえいたい法ほう第だい8条じょうに規定きていする部隊ぶたい等とうの長ちょう（以下いかこの条じょうにおいて「自衛隊じえいたいの部隊ぶたい等とうの長ちょう」という。）に差さし出ださなければならない。この場合ばあいにおいて、警察けいさつ署しょ長等ながら又または自衛隊じえいたいの部隊ぶたい等とうの長ちょうは、当該とうがい工作こうさく物ぶつ等とうを保管ほかんしなければならない。
• 第だい84条じょう 市町村しちょうそん長又ながまたは警察官けいさつかん、海上かいじょう保安ほあん官かん若もしくは災害さいがい派遣はけんを命めいぜられた部隊ぶたい等とうの自衛じえい官かんが、第だい65条じょう第だい1項こう（同どう条じょう第だい3項こうにおいて準用じゅんようする場合ばあいを含ふくむ。）の規定きてい又または同どう条じょう第だい2項こうにおいて準用じゅんようする第だい63条じょう第だい2項こうの規定きていにより、当該とうがい市町村しちょうそんの区域くいき内ないの住民じゅうみん又または応急おうきゅう措置そちを実施じっしすべき現場げんばにある者ものを応急おうきゅう措置そちの業務ぎょうむに従事じゅうじさせた場合ばあいにおいて、当該とうがい業務ぎょうむに従事じゅうじした者ものがそのため死亡しぼうし、負傷ふしょうし、若もしくは疾病しっぺいにかかり、又または障害しょうがいの状態じょうたいとなつたときは、当該とうがい市町村しちょうそんは、政令せいれいで定さだめる基準きじゅんに従したがい、条例じょうれいで定さだめるところにより、その者もの又またはその者ものの遺族いぞく若もしくは被ひ扶養ふよう者しゃがこれらの原因げんいんによつて受うける損害そんがいを補償ほしょうしなければならない。
• 第だい116条じょう 次じの各号かくごうのいずれかに該当がいとうする者ものは、10万まん円えん以下いかの罰金ばっきん又または拘留こうりゅうに処しょする。
  • 1 第だい52条じょう第だい1項こうの規定きていに基もとづく内閣ないかく府ふ令れいによつて定さだめられた防災ぼうさいに関かんする信号しんごうをみだりに使用しようし、又またはこれと類似るいじする信号しんごうを使用しようした者もの
  • 2 第だい63条じょう第だい1項こうの規定きていによる市町村しちょうそん長ちょう（第だい73条じょう第だい1項こうの規定きていにより市町村しちょうそん長ちょうの事務じむを代行だいこうする都道府県とどうふけん知事ちじを含ふくむ。）の、第だい63条じょう第だい2項こうの規定きていによる警察官けいさつかん若もしくは海上かいじょう保安ほあん官かんの又または同どう条じょう第だい3項こうにおいて準用じゅんようする同どう条じょう第だい１項こうの規定きていによる災害さいがい派遣はけんを命めいぜられた部隊ぶたい等とうの自衛じえい官かんの禁止きんし若もしくは制限せいげん又または退去たいきょ命令めいれいに従したがわなかつた者もの

国民こくみん保護ほご法ほう（関連かんれん部分ぶぶんのみ抜粋ばっすい）

「武力ぶりょく攻撃こうげき事態じたい等とうにおける国民こくみんの保護ほごのための措置そちに関かんする法律ほうりつ」も参照さんしょう

• 第だい63条じょう 前条ぜんじょう第だい1項こうの場合ばあいにおいて、市町村しちょうそん長ちょうは、避難ひなん住民じゅうみんを誘導ゆうどうするため必要ひつようがあると認みとめるときは、警察けいさつ署長しょちょう、海上かいじょう保安ほあん部長ぶちょう等ひとし又または自衛隊じえいたい法ほう第だい七なな76条じょう第だい1項こう、第だい78条じょう第だい1項こう若もしくは第だい81条じょう第だい2項こうの規定きていにより出動しゅつどうを命めいぜられた自衛隊じえいたいの部隊ぶたい等とうのうち国民こくみんの保護ほごのための措置そちの実施じっしを命めいぜられた自衛隊じえいたいの部隊ぶたい等ひとし若もしくは同どう法ほう第だい77条じょうの4第だい1項こうの規定きていにより派遣はけんを命めいぜられた自衛隊じえいたいの部隊ぶたい等とう（以下いか「出動しゅつどう等とうを命めいぜられた自衛隊じえいたいの部隊ぶたい等とう」という。）の長ちょう（政令せいれいで定さだめる自衛隊じえいたいの部隊ぶたい等とうの長ちょうに限かぎる。）に対たいし、警察官けいさつかん、海上かいじょう保安ほあん官かん又または自衛じえい官かん（以下いか「警察官けいさつかん等とう」という。）による避難ひなん住民じゅうみんの誘導ゆうどうを行おこなうよう要請ようせいすることができる。この場合ばあいにおいて、市町村しちょうそん長ちょうは、その旨むねを当該とうがい市町村しちょうそんの属ぞくする都道府県とどうふけんの知事ちじに通知つうちするものとする。
• 第だい66条じょう 避難ひなん住民じゅうみんを誘導ゆうどうする警察官けいさつかん等ひとし又または第だい62条じょう第だい1項こう若もしくは第だい2項こう（同どう条じょう第だい5項こうにおいて準用じゅんようする場合ばあいを含ふくむ。）の規定きていにより避難ひなん住民じゅうみんを誘導ゆうどうする者ものは、避難ひなんに伴ともなう混雑こんざつ等とうにおいて危険きけんな事態じたいが発生はっせいするおそれがあると認みとめるときは、当該とうがい危険きけんな事態じたいの発生はっせいを防止ぼうしするため、危険きけんを生しょうじさせ、又または危害きがいを受うけるおそれのある者ものその他た関係かんけい者しゃに対たいし、必要ひつような警告けいこく又または指示しじをすることができる。
• 2 前項ぜんこうの場合ばあいにおいて、警察官けいさつかん又または海上かいじょう保安ほあん官かんは、特とくに必要ひつようがあると認みとめるときは、危険きけんな場所ばしょへの立入たちいりを禁止きんしし、若もしくはその場所ばしょから退去たいきょさせ、又または当該とうがい危険きけんを生しょうずるおそれのある道路どうろ上じょうの車両しゃりょうその他たの物件ぶっけんの除去じょきょその他た必要ひつような措置そちを講こうずることができる。
• 3 前項ぜんこうの規定きていは、警察官けいさつかん及および海上かいじょう保安ほあん官かんがその場ばにいない場合ばあいに限かぎり、避難ひなん住民じゅうみんを誘導ゆうどうしている消防しょうぼう吏員りいん又または自衛じえい官かんの職務しょくむの執行しっこうについて準用じゅんようする。
• 第だい98条じょう 武力ぶりょく攻撃こうげき災害さいがいの兆候ちょうこうを発見はっけんした者ものは、遅滞ちたいなく、その旨むねを市町村しちょうそん長ちょう又または消防しょうぼう吏員りいん、警察官けいさつかん若もしくは海上かいじょう保安ほあん官かん（次項じこう及および第だい4項こうにおいて「消防しょうぼう吏員りいん等とう」という。）に通報つうほうしなければならない。
• 第だい102条じょう 都道府県とどうふけん知事ちじは、武力ぶりょく攻撃こうげき事態じたい等とうにおいて、武力ぶりょく攻撃こうげき災害さいがいの発生はっせい又またはその拡大かくだいを防止ぼうしするため、次つぎの各号かくごうのいずれかに該当がいとうする施設しせつで政令せいれいで定さだめるもの（以下いかこの条じょうにおいて「生活せいかつ関連かんれん等とう施設しせつ」という。）のうち当該とうがい都道府県とどうふけんの区域くいき内ないに所在しょざいするものの安全あんぜんの確保かくほが特とくに必要ひつようであると認みとめるときは、関係かんけい機関きかんの意見いけんを聴きいて、当該とうがい生活せいかつ関連かんれん等とう施設しせつの管理かんり者しゃに対たいし、当該とうがい生活せいかつ関連かんれん等とう施設しせつの安全あんぜんの確保かくほのため必要ひつような措置そちを講こうずるよう要請ようせいすることができる。
• 7 警察官けいさつかん又または海上かいじょう保安ほあん官かんは、第だい5項こうの立入たちいり制限せいげん区域くいきが指定していされたときは、特とくに生活せいかつ関連かんれん等とう施設しせつの管理かんり者しゃの許可きょかを得えた者もの以外いがいの者ものに対たいし、当該とうがい立入たちいり制限せいげん区域くいきへの立入たちいりを制限せいげんし、若もしくは禁止きんしし、又または当該とうがい立入たちいり制限せいげん区域くいきからの退去たいきょを命めいずることができる。
• 第だい193条じょう 第だい102条じょう第だい7項こう（第だい183条じょうにおいて準用じゅんようする場合ばあいを含ふくむ。）の規定きていによる警察官けいさつかん若もしくは海上かいじょう保安ほあん官かんの制限せいげん若もしくは禁止きんし若もしくは退去たいきょ命令めいれい又または第だい114条じょう（第だい183条じょうにおいて準用じゅんようする場合ばあいを含ふくむ。）の規定きていによる市町村しちょうそん長ちょう、都道府県とどうふけん知事ちじ、警察官けいさつかん若もしくは海上かいじょう保安ほあん官かん若もしくは出動しゅつどう等とうを命めいぜられた自衛隊じえいたいの部隊ぶたい等とうの自衛じえい官かんの制限せいげん若もしくは禁止きんし若もしくは退去たいきょ命令めいれいに従したがわなかった者ものは、三さん十じゅう万まん円えん以下いかの罰金ばっきん又または拘留こうりゅうに処しょする。

外部がいぶリンク

• 海上保安庁かいじょうほあんちょう
• 海上保安庁かいじょうほあんちょう法ほう - e-Gov法令ほうれい検索けんさく
• 海上かいじょう保安ほあん学校がっこう
• 海上保安大学校かいじょうほあんだいがっこう