船舶せんぱくほう

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船舶せんぱくほう
日本国政府国章(準)
日本にっぽん法令ほうれい
通称つうしょう略称りゃくしょう なし
法令ほうれい番号ばんごう 明治めいじ32ねん法律ほうりつだい46ごう
種類しゅるい 行政ぎょうせい手続てつづきほう
効力こうりょく 現行げんこうほう
成立せいりつ 1899ねん2がつ28にち
公布こうふ 1899ねん3がつ8にち
所管しょかん逓信ていしんしょう→)
運輸うんゆ通信つうしんしょう→)
運輸省うんゆしょう→)
国土こくど交通省こうつうしょう
海運かいうん総局そうきょく船舶せんぱくきょく海上かいじょう交通こうつうきょく海事かいじきょく
おも内容ないよう 船舶せんぱくについて
関連かんれん法令ほうれい 漁船ぎょせんほう
船員せんいんほう
船舶せんぱく職員しょくいんおよ小型こがた船舶せんぱく操縦そうじゅうしゃほう
国旗こっき国歌こっかほう
条文じょうぶんリンク 船舶せんぱくほう - e-Gov法令ほうれい検索けんさく
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船舶せんぱくほう(せんぱくほう、明治めいじ32ねん法律ほうりつだい46ごう)は、日本にっぽん船舶せんぱくたいする行政ぎょうせいてき保護ほご取締とりしまり目的もくてきとして、日本にっぽん船舶せんぱく国籍こくせき要件ようけんとその法的ほうてき効果こうか船舶せんぱく登記とうき船舶せんぱく登録とうろく船舶せんぱく国籍こくせき証書しょうしょなどについてさだめた日本にっぽん法律ほうりつ1899ねん明治めいじ32ねん)3がつ8にち公布こうふされた。

船舶せんぱくほう適用てきよう[編集へんしゅう]

船舶せんぱく定義ていぎ[編集へんしゅう]

船舶せんぱくほうにおいては、船舶せんぱく定義ていぎ規定きていされていないが、日本にっぽん船舶せんぱく国籍こくせき取得しゅとく趣旨しゅしおよ船舶せんぱくほうだい20じょう小型こがた船舶せんぱく例示れいじからかんがえて、「社会しゃかい通念つうねんじょう船舶せんぱく」をすものとされる[1]

社会しゃかい通念つうねんじょう船舶せんぱくとは、「もの浮揚ふようせい利用りようして、水上すいじょう航行こうこうするようきょうされる一定いってい構造こうぞうぶつ」をいう[1]。このてんにおいて、船舶せんぱくを「商行為しょうこういをする目的もくてき航海こうかいようきょうする船舶せんぱく」(商行為しょうこういせんかつ航海こうかいせん[2])と定義ていぎする商法しょうほうだい684じょう定義ていぎとはことなる。

船舶せんぱくほうおよ商法しょうほうにおける登記とうき登録とうろくとう義務ぎむは、船舶せんぱくほうだい1じょう日本にっぽん船舶せんぱくにあっても、推進すいしんそうとうみずか航行こうこうできる機能きのうこうせいゆうしない船舶せんぱくにはせられない[1]沈没ちんぼつせん座礁ざしょうせん船舶せんぱくである[よう出典しゅってん]。なお、推進すいしんゆうしない浚渫船しゅんせつせんは、船舶せんぱくほう施行しこう細則さいそくだい2じょうにより船舶せんぱくとはみなされない。たいせん作業さぎょうせんなども自力じりき航行こうこうちからがなくくにでは船舶せんぱくとしてあつかわない。しょ外国がいこくではこれらも船舶せんぱくとしてあつか[よう出典しゅってん]

適用てきよう除外じょがい[編集へんしゅう]

つぎかかげる船舶せんぱくには、船舶せんぱくほう全部ぜんぶまた一部いちぶ適用てきようがない。

  1. 防衛大学校ぼうえいだいがくこうふく海上かいじょう自衛隊じえいたい船舶せんぱくについては、船舶せんぱくほう全部ぜんぶ適用てきようされない(自衛隊じえいたいほうだい109じょうだい2こう)。
  2. 日本にっぽん船舶せんぱくのうち、そうトン数とんすう20トン未満みまん船舶せんぱくはしぶね、ろかいふねとうについては、船舶せんぱくほうのうち、船舶せんぱく登記とうき船舶せんぱく登録とうろくとうかか規定きてい適用てきようされない(船舶せんぱくほうだい20じょう)。
    • このうち、総トン数そうとんすう20トン未満みまん漁船ぎょせんほううえ漁船ぎょせんについては、総トン数そうとんすう1トン未満みまん動力どうりょく漁船ぎょせんのぞき、小型こがた漁船ぎょせん総トン数そうとんすう測度そくどかんする政令せいれいおよ省令しょうれいにより、船舶せんぱく総トン数そうとんすう測度そくどおよふねめい標示ひょうじについてのみ適用てきようがある(漁船ぎょせんほうだい22じょう)。

総トン数そうとんすう20トン以上いじょう船舶せんぱくについては、漁船ぎょせんであっても、船舶せんぱくほう適用てきようがある。総トン数そうとんすう20トン以上いじょう日本にっぽん船舶せんぱく所有しょゆうしゃは、日本にっぽん国内こくない船籍せんせきみなとさだめ、船籍せんせきみなと管轄かんかつするかんうみ官庁かんちょう総トン数そうとんすう測度そくど申請しんせいし、船舶せんぱく登記とうきおよ登録とうろくをして船舶せんぱく国籍こくせき証書しょうしょの受有をしなければ、船舶せんぱく航行こうこうようきょうすることはできない[3]

小型こがた船舶せんぱく[編集へんしゅう]

漁船ぎょせんのぞ総トン数そうとんすう20トン未満みまん船舶せんぱく小型こがた船舶せんぱく)の登録とうろくおよ総トン数そうとんすう測度そくどかんする事務じむ登録とうろく測度そくど事務じむ)は、小型こがた船舶せんぱく登録とうろくとうかんする法律ほうりつ小型こがた船舶せんぱく登録とうろくほう)に規定きていされている。

小型こがた船舶せんぱく登録とうろく測度そくど事務じむは、どうほうもとづき、くにわって小型こがた船舶せんぱく検査けんさ事務じむとうおこな日本にっぽん小型こがた船舶せんぱく検査けんさ機構きこう(JCI)が実施じっししている(どうほうだい21じょうだい1こう)。

小型こがた船舶せんぱく所有しょゆうしゃは、日本にっぽん小型こがた船舶せんぱく検査けんさ機構きこうたいして登録とうろく測度そくど申請しんせいし、小型こがた船舶せんぱく登録とうろく原簿げんぼ登録とうろくされなければ、小型こがた船舶せんぱく航行こうこうようきょうすることはできない(どうほうだい3じょう本文ほんぶん)。ただし、小型こがた船舶せんぱく登録とうろく原簿げんぼ登録とうろくされるまえであっても、臨時りんじ航行こうこう許可きょかしょう交付こうふけた場合ばあいとうは、このかぎりでない(どうじょうただししょ)。

日本にっぽん船舶せんぱく国籍こくせき要件ようけん[編集へんしゅう]

国際こくさいほううえ船舶せんぱく国籍こくせき船籍せんせき)をもたなければならない。公海こうかい条約じょうやく1958ねんだい5じょう国連こくれん海洋かいようほう条約じょうやくだい94じょうで、国籍こくせき取得しゅとく条件じょうけんとして船舶せんぱくはたこくとのあいだに「真正しんせい関係かんけい」(genuine link)が存在そんざいしなければならないと規定きていされているが、国連こくれん海洋かいようほう条約じょうやく国籍こくせき付与ふよ要件ようけん基準きじゅんについては介入かいにゅうしないとする立場たちばをとり、各国かっこく国内こくないほうゆだねられている。日本にっぽんにおいては、船舶せんぱく所有しょゆうけん全部ぜんぶ必要ひつようとする所有しょゆうしゃ主義しゅぎをとっており[4]具体ぐたいてきには、以下いか要件ようけんたす必要ひつようがある(船舶せんぱくほうだい1じょう)。

  1. 日本にっぽん官庁かんちょうくに機関きかん)またはおおやけしょ地方ちほう公共こうきょう団体だんたい機関きかん)の所有しょゆうぞくする船舶せんぱく
  2. 日本にっぽん国民こくみん所有しょゆうぞくする船舶せんぱく
  3. 日本にっぽん法令ほうれいにより設立せつりつした会社かいしゃで、代表だいひょうしゃ全員ぜんいんおよ業務ぎょうむ執行しっこう役員やくいんの3ぶんの2以上いじょう日本にっぽん国民こくみんであるものの所有しょゆうぞくする船舶せんぱく(この要件ようけんについては、日本にっぽん企業きぎょうでも外国がいこくじん経営けいえい参画さんかくすることがおおくなってきたことから、平成へいせい11ねん一部いちぶ改正かいせいにより要件ようけん緩和かんわされた[注釈ちゅうしゃく 1]。)
  4. 上記じょうき3.以外いがい法人ほうじんであって、日本にっぽん法令ほうれいにより設立せつりつし、代表だいひょうしゃ全員ぜんいん日本にっぽん国民こくみんであるものの所有しょゆうぞくする船舶せんぱく

日本にっぽん船舶せんぱく特権とっけん義務ぎむ[編集へんしゅう]

日本にっぽん船舶せんぱく特権とっけん[編集へんしゅう]

国旗こっき掲揚けいようけん[編集へんしゅう]

国際こくさいほうじょう国旗こっき掲揚けいようは、その船舶せんぱくがそのくに国籍こくせきつことを推定すいていさせる効果こうかがある(船舶せんぱくほうだい2じょう[5]

開港かいこうじょうへの寄港きこうおよ沿岸えんがん貿易ぼうえきけん[編集へんしゅう]

日本にっぽん船舶せんぱくでなければ、開港かいこうじょう寄港きこうし、また日本にっぽんかくみなとあいだにおいて物品ぶっぴんまた旅客りょかく運送うんそうをすることができない(船舶せんぱくほうだい3じょう本文ほんぶん)。ただし、法律ほうりつしくは条約じょうやく別段べつだんさだめがあるとき、海難かいなんしくは捕獲ほかくけようとするときまた国土こくど交通こうつう大臣だいじん特許とっきょたときは、このかぎりでない(どうじょうただししょ)。このように、日本にっぽん船舶せんぱくは、日本にっぽん開港かいこうじょう寄港きこうする権利けんりおよ日本にっぽんかくみなとあいだ旅客りょかくおよ貨物かもつ輸送ゆそうする権利けんり付与ふよされている[5]

開港かいこうじょうとは、関税かんぜいほう施行しこうれい別表べっぴょう1にかかげるみなと以外いがいみなとをいう[5]

これらの特権とっけん行使こうしするためには、船舶せんぱく国籍こくせき証書しょうしょ交付こうふけていなければならない[5]開港かいこうじょうへの寄港きこうおよ沿岸えんがん貿易ぼうえきけん自国じこく船舶せんぱくのみにみとめているのは、国内こくない海運かいうんぎょう保護ほごするためであるとされる[5]

日本にっぽん船舶せんぱく義務ぎむ[編集へんしゅう]

登記とうき登録とうろく義務ぎむ[編集へんしゅう]

日本にっぽん船舶せんぱく所有しょゆうしゃは、日本にっぽん船籍せんせきみなとさだめ、その船籍せんせきみなと管轄かんかつするかんうみ官庁かんちょう船舶せんぱく総トン数そうとんすう測度そくど申請しんせいしなければならない(船舶せんぱくほうだい4じょうだい1こう)。そして、日本にっぽん船舶せんぱく所有しょゆうしゃは、登記とうきをしたのち船籍せんせきみなと管轄かんかつするかんうみ官庁かんちょうそなえた船舶せんぱく原簿げんぼ登録とうろくしなければならない(船舶せんぱくほうだい5じょうだい1こう)。このように、わがくにでは、船舶せんぱく登記とうき船舶せんぱく登録とうろくげん制度せいど採用さいようされている[6]

船舶せんぱく原簿げんぼ登録とうろくしたときは、かんうみ官庁かんちょうは、船舶せんぱく国籍こくせき証書しょうしょ交付こうふしなければならず(船舶せんぱくほうだい5じょうだい2こう)、交付こうふけた船舶せんぱく国籍こくせき証書しょうしょは、船長せんちょうが、船内せんないそなかなければならない(船員せんいんほうだい18じょうだい1こうだい1ごう)。

国旗こっき掲揚けいよう標示ひょうじ義務ぎむ[編集へんしゅう]

日本にっぽん船舶せんぱくは、法令ほうれいさだめるところにしたがい、日章旗にっしょうきかかげ、かつ、その名称めいしょう船籍せんせきこう番号ばんごう総トン数そうとんすう喫水きっすい尺度しゃくどその事項じこう標示ひょうじしなければならない(船舶せんぱくほうだい7じょう国旗こっきおよ国歌こっかかんする法律ほうりつ附則ふそく)。

なお、つぎ場合ばあいには、国旗こっき船舶せんぱく後部こうぶ掲揚けいようしなければならない(船舶せんぱくほう施行しこう細則さいそくだい43じょう)。

  1. 日本にっぽんこく灯台とうだいまた海岸かいがん望楼ぼうろうから要求ようきゅうされたとき
  2. 外国がいこくみなと出入でいりするとき
  3. 外国がいこく貿易ぼうえきせん日本にっぽんこくみなと出入でいりするとき
  4. 法令ほうれい別段べつだんさだめがあるとき
  5. かんうみ官庁かんちょうから指示しじがあったとき
  6. 海上保安庁かいじょうほあんちょう船舶せんぱくまた航空機こうくうきから要求ようきゅうされたとき

また、ふねめい標示ひょうじについては、船首せんしゅりょうふなばた外部がいぶふねめい船尾せんび外部がいぶ見易みやす場所ばしょふねめいおよ船籍せんせきみなとめいを10センチメートル以上いじょう漢字かんじ平仮名ひらがな片仮名かたかな、アラビア数字すうじマ字まじまた国土こくど交通こうつう大臣だいじん指定していする記号きごうしるさなければならない(船舶せんぱくほう施行しこう細則さいそくだい44じょうだい1こうだい1ごう)。

船舶せんぱく国籍こくせき証書しょうしょけんみとめける義務ぎむ[編集へんしゅう]

日本にっぽん船舶せんぱく所有しょゆうしゃは、国土こくど交通こうつう大臣だいじんさだめる期日きじつまでに、船舶せんぱく国籍こくせき証書しょうしょをその船舶せんぱく船籍せんせきみなと管轄かんかつするかんうみ官庁かんちょう(その船舶せんぱく運航うんこうじょう都合つごうによってやむをない事由じゆうがあるときは、最寄もよりのかんうみ官庁かんちょう)に提出ていしゅつし、そのけんみとめけなければならない(船舶せんぱくほうだい5じょうの2だい1こう)。

上記じょうき期日きじつは、船舶せんぱく種別しゅべつによって、つぎのとおりことなる(船舶せんぱくほうだい5じょうの2だい2こう)。

  • 総トン数そうとんすうひゃくトン以上いじょうはがねせい船舶せんぱく - 船舶せんぱく国籍こくせき証書しょうしょ交付こうふけたまた船舶せんぱく国籍こくせき証書しょうしょについて前回ぜんかいけんみとめけたから4ねん経過けいかした
  • 総トン数そうとんすうひゃくトン未満みまんはがねせい船舶せんぱく - 船舶せんぱく国籍こくせき証書しょうしょ交付こうふけたまた船舶せんぱく国籍こくせき証書しょうしょについて前回ぜんかいけんみとめけたから2ねん経過けいかした
  • 木製もくせい船舶せんぱく - 船舶せんぱく国籍こくせき証書しょうしょ交付こうふけたまた船舶せんぱく国籍こくせき証書しょうしょについて前回ぜんかいけんみとめけたから1ねん経過けいかした

船舶せんぱく公示こうじ識別しきべつ[編集へんしゅう]

船舶せんぱく公示こうじ[編集へんしゅう]

わがくにでは、船舶せんぱく登記とうき船舶せんぱく登録とうろくげん制度せいど採用さいようされているが、船舶せんぱく登記とうき趣旨しゅしは、船舶せんぱくかんする権利けんり変動へんどう公示こうじして取引とりひき安全あんぜんはかるという私法しほうじょう目的もくてきから登記とうきしょ法務局ほうむきょく)にぞくさせるてんにあり、船舶せんぱく登録とうろく趣旨しゅしは、船舶せんぱく国籍こくせき証明しょうめいして行政ぎょうせいじょう取締とりしまりおよ管理かんりおこなうという公法こうほうじょう目的もくてきからかんうみ官庁かんちょうぞくさせるてんにある[6]

船舶せんぱく識別しきべつ[編集へんしゅう]

船籍せんせきみなと[編集へんしゅう]

船籍せんせきみなと(port of registry)は、船舶せんぱく登録とうろくおこない、船舶せんぱく国籍こくせき証書しょうしょ交付こうふされるしめし、日本にっぽん船舶せんぱくしゅたる根拠地こんきょち意味いみする[6]

船籍せんせきみなとは、当該とうがい船舶せんぱく所有しょゆうしゃ住所じゅうしょさだめなければならないが、住所じゅうしょ日本にっぽんにない場合ばあいまた船籍せんせきこうとすべき市町村しちょうそん船舶せんぱく航行こうこうべき水面すいめんせっしていない場合ばあいそのやむをない事由じゆうがある場合ばあいは、住所じゅうしょ以外いがいさだめることができる(船舶せんぱくほう施行しこう細則さいそくだい3じょうだい3こう)。

船長せんちょうは、船籍せんせき港外こうがいにおいては、船舶せんぱくについて抵当ていとうけん設定せっていすることおよ借財しゃくざいをすることをのぞき、船舶せんぱく所有しょゆうしゃわって航海こうかいのために必要ひつよう一切いっさい裁判さいばんじょうまた裁判さいばんがい行為こういをする権限けんげんゆうする(商法しょうほうだい708じょうだい1こう[注釈ちゅうしゃく 2]。そのため、船籍せんせきみなとは、船長せんちょう代理だいりけん範囲はんいさだめる標準ひょうじゅんともなる[8]

船舶せんぱく総トン数そうとんすう[編集へんしゅう]

船舶せんぱくおおきさの指標しひょうについては、「1969ねん船舶せんぱくトン数とんすう測度そくどかんする国際こくさい条約じょうやく」(TONNAGE条約じょうやく)にもとづき、船舶せんぱくトン数とんすう測度そくどかんする法律ほうりつトン数とんすうほう)がさだめられている。

トン数とんすうほうは、国際こくさい総トン数そうとんすう総トン数そうとんすうじゅんトン数とんすうおよ載貨さいか重量じゅうりょうトン数とんすうの4種類しゅるいトン数とんすうさだめている。国際こくさいトン数とんすうおよじゅんトン数とんすうは、国際こくさいトン数とんすう証書しょうしょ記載きさいされ(トン数とんすうほうだい3じょうだい5こう)、総トン数そうとんすうは、船舶せんぱく国籍こくせき証書しょうしょ記載きさいされる。載貨さいか重量じゅうりょうトン数とんすうは、造船ぞうせん契約けいやく用船ようせん契約けいやくとうにおいてひろ使用しようされている[8]

総トン数そうとんすうは、船舶せんぱく個性こせいまた同一どういつせい識別しきべつするものであって、船舶せんぱく登記とうき登録とうろくけるための基礎きそ事項じこうとなるのみならず、船舶せんぱくかんする法令ほうれい適用てきよう基準きじゅんや、課税かぜい手数料てすうりょう徴収ちょうしゅう基準きじゅんとなっている[8]

船舶せんぱく国籍こくせき証書しょうしょ[編集へんしゅう]

船舶せんぱく国籍こくせき証書しょうしょは、その船舶せんぱく日本にっぽん国籍こくせきゆうすることおよ船舶せんぱく個性こせいまた同一どういつせい証明しょうめいする公文書こうぶんしょであり、かんうみ官庁かんちょう日本にっぽん船舶せんぱく船舶せんぱく原簿げんぼ登録とうろくしたのち、その所有しょゆうしゃたいして交付こうふされる(船舶せんぱくほうだい5じょう)。

船舶せんぱく国籍こくせき証書しょうしょ交付こうふされる船舶せんぱくは、総トン数そうとんすう20トン以上いじょう日本にっぽん船舶せんぱくである。小型こがた船舶せんぱくについては、国籍こくせき証明しょうめいしょ交付こうふけることができる(小型こがた船舶せんぱく登録とうろくほうだい25じょう)。船舶せんぱくほうおよ小型こがた船舶せんぱく登録とうろくほう適用てきようがない日本にっぽん船舶せんぱくたいしては、日本にっぽん船舶せんぱくであることの証明しょうめいしょ交付こうふ規則きそく平成へいせい14ねん5がつ1にち国土こくど交通省こうつうしょう告示こくじだい351ごう)にもとづき、「日本にっぽん船舶せんぱくであることの証明しょうめいしょ」の交付こうふけることができる。

船舶せんぱく国籍こくせき証書しょうしょは、船舶せんぱく国籍こくせき証明しょうめいするとともに、船舶せんぱく総トン数そうとんすうおよ尺度しゃくど証明しょうめいする機能きのうゆうする[9]

船舶せんぱく登録とうろく制度せいど適用てきようがある船舶せんぱくは、法令ほうれい別段べつだんさだめがある場合ばあいのぞき、船舶せんぱく国籍こくせき証書しょうしょまたかり船舶せんぱく国籍こくせき証書しょうしょ交付こうふけたのちでなければ、日本にっぽん国旗こっき掲揚けいようし、また航行こうこうさせることができない(船舶せんぱくほうだい6じょう)。

船舶せんぱく国籍こくせき証書しょうしょへの記載きさいは、船舶せんぱく登記とうきとともに、船舶せんぱく所有しょゆうけん移転いてん対抗たいこう要件ようけんとなっている(商法しょうほうだい687じょう船舶せんぱくほうだい35じょうだい1こう)。

船舶せんぱく国籍こくせき証書しょうしょ記載きさい事項じこう変更へんこうしょうじたときは、船舶せんぱく所有しょゆうしゃがその事実じじつったから2週間しゅうかん以内いないしょかわ申請しんせいをしなければならない(船舶せんぱくほうだい11じょう)。

船舶せんぱく日本にっぽん国籍こくせきゆうすることおよ船舶せんぱく個性こせいまた同一どういつせい証明しょうめいする公文こうぶんしょとしては、船舶せんぱく国籍こくせき証書しょうしょのほか、かり船舶せんぱく国籍こくせき証書しょうしょ存在そんざいする。

かり船舶せんぱく国籍こくせき証書しょうしょ交付こうふ要件ようけんは、つぎのとおりである。

  1. 船舶せんぱく国籍こくせき証書しょうしょまたかり船舶せんぱく国籍こくせき証書しょうしょ滅失めっしつしくは毀損きそんし、またはこれ記載きさいした事項じこう変更へんこうしょうじたとき
    1. 外国がいこくみなと碇泊ていはくするあいだ - その領事りょうじ交付こうふする(船舶せんぱくほうだい13じょうだい1こうだい19じょうだい32じょうだい1こう
    2. 外国がいこく航行こうこうする途中とちゅう - 最初さいしょいたあらわした領事りょうじ交付こうふする(船舶せんぱくほうだい13じょうだい2こうだい19じょうだい32じょうだい1こう
    3. ぜん2こう規定きていしたがってかり船舶せんぱく国籍こくせき証書しょうしょ交付こうふけることができないとき - その最初さいしょいたあらわした領事りょうじ交付こうふする(船舶せんぱくほうだい13じょうだい3こうだい19じょうだい32じょうだい1こう
  2. 日本にっぽんにおいて船舶せんぱく取得しゅとくしたものがその取得しゅとく管轄かんかつするかんうみ官庁かんちょう管轄かんかつ区域くいきない船籍せんせきみなとさだめないとき - 取得しゅとくかんうみ官庁かんちょう交付こうふする(船舶せんぱくほうだい15じょう
  3. 外国がいこくにおいて船舶せんぱく取得しゅとくしたもの - その領事りょうじ交付こうふする(船舶せんぱくほうだい16じょうだい1こうだい32じょうだい1こう

かり船舶せんぱく国籍こくせき証書しょうしょ有効ゆうこう期限きげんは、外国がいこくにおいて交付こうふする場合ばあいは1ねん以内いない日本にっぽんにおいて交付こうふする場合ばあいは6月以内いないとされる(船舶せんぱくほうだい17じょうだい1こうだい2こう)。やむをない事由じゆうがあるときは、さらにかり船舶せんぱく国籍こくせき証書しょうしょ交付こうふけることができる(どうじょうだい3こう)。

船舶せんぱく船籍せんせきみなといたあらわしたときは、かり船舶せんぱく国籍こくせき証書しょうしょは、有効ゆうこう期間きかん満了まんりょうまえであってもその効力こうりょくうしなう(船舶せんぱくほうだい18じょう)。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 船舶せんぱくほう一部いちぶ改正かいせいする法律ほうりつ平成へいせい11ねん法律ほうりつだい67ごうだい145かい国会こっかい参議院さんぎいん交通こうつう情報じょうほう通信つうしん委員いいんかい平成へいせい11ねん4がつ13にち)における川崎かわさき二郎じろう運輸うんゆ大臣だいじん提案ていあん理由りゆうによれば、「近年きんねんそと航海こうかいうんをめぐる国際こくさい競争きょうそう激化げきかなかで、くに海運かいうん企業きぎょうにおいても外国がいこく企業きぎょうとの提携ていけい役員やくいん派遣はけん外国がいこくせき人材じんざい活用かつようとうのニーズがたかまっているところでありますが、日本にっぽん船舶せんぱく要件ようけんさだめたこの規定きていとの関係かんけいくに海運かいうん企業きぎょう外国がいこくじん取締役とりしまりやく就任しゅうにんさせることができない状況じょうきょうにあります。このため、日本にっぽん船舶せんぱく要件ようけん緩和かんわし、こうしたニーズにこたえる必要ひつようがあります。」と説明せつめいされている。だい145かい国会こっかい参議院さんぎいん交通こうつう情報じょうほう通信つうしん委員いいんかい会議かいぎろくだい6ごう参照さんしょう
  2. ^ 平成へいせい30ねん改正かいせいまえ商法しょうほうだい713じょうだい2こうは、船籍せんせきみなとにおいては、船長せんちょうが、船員せんいんやといいれやといとめおこな権限けんげんのみをゆうするむね規定きていしていたが、どう改正かいせいによって、削除さくじょされた。また、平成へいせい30ねん改正かいせいまえ商法しょうほうだい713じょうだい1こうは、船籍せんせき港外こうがいにおいては、船長せんちょうが、航海こうかいのために必要ひつよう一切いっさい裁判さいばんじょうおよ裁判さいばんがい行為こうい船員せんいんやといいれやといどめ水先みずさきじん使用しよう船舶せんぱく艤装ぎそう航海こうかい必需ひつじゅひん調達ちょうたつ船舶せんぱく修繕しゅうぜん救助きゅうじょ契約けいやくとう)をおこな権限けんげんゆうするむね規定きていしていたが、どう改正かいせいによって、削除さくじょされた[7]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c 神戸大学こうべだいがく 2022, p. 4.
  2. ^ 松井まつい, しんけん大野おおの, 晃宏あきひろいちもんいちとう平成へいせい30ねん商法しょうほう改正かいせい商事しょうじ法務ほうむ、2018ねん、57ぺーじISBN 978-4-7857-2678-2 
  3. ^ 神戸大学こうべだいがく 2022, p. 5.
  4. ^ 神戸大学こうべだいがく 2022, p. 6.
  5. ^ a b c d e 神戸大学こうべだいがく 2022, p. 7.
  6. ^ a b c 神戸大学こうべだいがく 2022, p. 8.
  7. ^ 神戸大学こうべだいがく 2022, p. 376.
  8. ^ a b c 神戸大学こうべだいがく 2022, p. 9.
  9. ^ 神戸大学こうべだいがく 2022, p. 11.

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]