(Translated by https://www.hiragana.jp/)
噴火警報 - Wikipedia コンテンツにスキップ

噴火ふんか警報けいほう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

噴火ふんか警報けいほう(ふんかけいほう)とは、日本にっぽんにおいて、火山かざん噴火ふんかによる重大じゅうだい災害さいがいこるおそれがある場合ばあい気象庁きしょうちょう発表はっぴょうする警報けいほうである。なお、噴火ふんか警戒けいかいレベル4以上いじょうまたは居住きょじゅう地域ちいき厳重げんじゅう警戒けいかい相当そうとう噴火ふんか警報けいほう特別とくべつ警報けいほうにあたる。国内こくないすべての活火山かっかざん対象たいしょうとして、気象庁きしょうちょう2007ねん平成へいせい19ねん12月1にちから発表はっぴょう開始かいしした[1]

噴火ふんか警報けいほう火山かざんによって、居住きょじゅう地域ちいきふくめた広域こういきたいする警報けいほうと、火口かこう周辺しゅうへんたいする警報けいほう火山かざん周辺しゅうへん海域かいいきたいする警報けいほうこまかくかれている。また、噴火ふんか警報けいほうぜん段階だんかいとして噴火ふんか予報よほうがある。

定義ていぎ

[編集へんしゅう]

気象きしょう業務ぎょうむほうだい13じょうさだめる一般いっぱん利用りよう適合てきごうする警報けいほうの1しゅには気象きしょう警報けいほう地震動じしんどう警報けいほう緊急きんきゅう地震じしん速報そくほう)、津波つなみ警報けいほうひとしがある)で、気象きしょう業務ぎょうむほう施行しこうれいだい4じょうにより「火山かざん現象げんしょう警報けいほう」として、またどうだい5じょうにより「火山かざん現象げんしょう特別とくべつ警報けいほう」として、それぞれさだめられている[2][3]

噴火ふんか警報けいほう開始かいし以前いぜんは、「緊急きんきゅう火山かざん情報じょうほう」「臨時りんじ火山かざん情報じょうほう」「火山かざん観測かんそく情報じょうほう」の3種類しゅるい情報じょうほう発表はっぴょうする体制たいせいとなっていた。これらは気象きしょう業務ぎょうむほうさだめられた「警報けいほう」ではなく、あくまで防災ぼうさいじょう注意ちゅうい事項じこうというあつかいであった。しかし、防災ぼうさいじょう必要ひつようせいから2007ねん法律ほうりつ改正かいせいされ、噴火ふんか警報けいほうへとえられると同時どうじに「警報けいほう」のあつかいとなった[1]

噴火ふんか警報けいほう噴火ふんか予報よほう区分くぶん基準きじゅん

[編集へんしゅう]

生命せいめい危険きけんおよぼすようなおおきな噴石火砕流かさいりゅう融雪ゆうせつがた火山かざんどろりゅうラハールとう短時間たんじかん到達とうたつすると予想よそうされる範囲はんいにより、噴火ふんか警報けいほうは2段階だんかいけられる[1]

警戒けいかい範囲はんいおも火口かこう周辺しゅうへんであって、前記ぜんきのような火砕流かさいりゅうとう発生はっせいしても居住きょじゅう地域ちいきまでは到達とうたつしないと予想よそうされる場合ばあいには警報けいほう相当そうとう噴火ふんか警報けいほう火口かこう周辺しゅうへん警報けいほう、または噴火ふんか警報けいほう周辺しゅうへん海域かいいき))が発表はっぴょうされる。一方いっぽう火砕流かさいりゅうとう発生はっせい居住きょじゅう地域ちいきまで到達とうたつすると予想よそうされる場合ばあいには特別とくべつ警報けいほう相当そうとう噴火ふんか警報けいほう噴火ふんか警報けいほう居住きょじゅう地域ちいき))が発表はっぴょうされる。噴火ふんか警戒けいかいレベル導入どうにゅうされておらず常時じょうじ監視かんし対象たいしょうではない海底かいてい火山かざんでは、特別とくべつ警報けいほう相当そうとう噴火ふんか警報けいほう設定せっていされていない[1]

なお噴火ふんか警報けいほうレベル5がはじめて適用てきようされたのは、2015ねん5がつ口永良部島くちのえらぶじまにおける火山かざん噴火ふんかのケースである[4]

噴火ふんか警戒けいかいレベルが導入どうにゅうされている火山かざん

[編集へんしゅう]

[1][5][6][7]

呼称こしょう 区分くぶん 対応たいおうする
噴火ふんか警戒けいかいレベル
対象たいしょう範囲はんい 火山かざん活動かつどう 避難ひなんなど

噴火ふんか警報けいほう居住きょじゅう地域ちいき 別称べっしょう:噴火ふんか警報けいほう

特別とくべつ警報けいほう

  5
避難ひなん
火口かこう中心ちゅうしんとし、居住きょじゅう地域ちいきふくひろ地域ちいき 居住きょじゅう地域ちいき重大じゅうだい被害ひがいをもたらす火山かざん活動かつどう噴火ふんか)が発生はっせいした、あるいはそのおそれがたか切迫せっぱくした状態じょうたいにある。 危険きけん地域ちいきではすべての住民じゅうみん避難ひなんする。
  4
高齢こうれいしゃとう避難ひなん[ちゅう 1]
居住きょじゅう地域ちいき重大じゅうだい被害ひがいをもたらす火山かざん活動かつどう噴火ふんか)が発生はっせいすると予想よそうされ、そのおそれがたかまっている。 災害さいがいよう援護えんごしゃ避難ひなんする。危険きけん地域ちいきではほかの住民じゅうみん避難ひなん準備じゅんびおこなう。

噴火ふんか警報けいほう火口かこう周辺しゅうへん 別称べっしょう:火口かこう周辺しゅうへん警報けいほう

警報けいほう
  3
入山にゅうざん規制きせい
火口かこうない、および居住きょじゅう地域ちいきちか場所ばしょふく火口かこう周辺しゅうへん 生命せいめい危険きけんおよぼす火山かざん活動かつどう噴火ふんか)が発生はっせいし、居住きょじゅう地域ちいきちかくにもおよんだ、あるいはそのおそれがある。 状況じょうきょうおうじて、登山とざん禁止きんし入山にゅうざん規制きせいなどがおこなわれる。災害さいがいよう援護えんごしゃ避難ひなん準備じゅんびおこなわれる場合ばあいもある。
  2
火口かこう周辺しゅうへん規制きせい
火口かこうないから火口かこう周辺しゅうへんまで 火口かこうない火口かこう周辺しゅうへんで、生命せいめい危険きけんおよぼす火山かざん活動かつどう噴火ふんか)が発生はっせいした、あるいはそのおそれがある。 火口かこう周辺しゅうへんりが規制きせいされる。
噴火ふんか予報よほう 予報よほう
  1

活火山かっかざんであることに 留意りゅうい

火口かこうない 火山かざん活動かつどうはほぼ静穏せいおんだが、火山灰かざんばい噴出ふんしゅつするなど活動かつどう状態じょうたい変化へんかすることもある。火口かこうないでは生命せいめい危険きけんおよ可能かのうせいがある。 火口かこうないではりの規制きせいをする場合ばあいがある。

噴火ふんか警戒けいかいレベルが導入どうにゅうされていない陸上りくじょう火山かざん

[編集へんしゅう]

[1][5][6][7]

呼称こしょう 区分くぶん 警戒けいかい事項じこう呼称こしょう 対象たいしょう範囲はんい 火山かざん活動かつどう

噴火ふんか警報けいほう居住きょじゅう地域ちいき 別称べっしょう:噴火ふんか警報けいほう

特別とくべつ警報けいほう

  

居住きょじゅう地域ちいき厳重げんじゅう警戒けいかい

火口かこう中心ちゅうしんとし、居住きょじゅう地域ちいきまたは山麓さんろくふくひろ地域ちいき 居住きょじゅう地域ちいき重大じゅうだい被害ひがいをもたらす火山かざん活動かつどう噴火ふんか)が発生はっせいした、あるいはそのおそれがある。

噴火ふんか警報けいほう火口かこう周辺しゅうへん 別称べっしょう:火口かこう周辺しゅうへん警報けいほう

警報けいほう
  
入山にゅうざん危険きけん
火口かこうない、および居住きょじゅう地域ちいきちか場所ばしょふく火口かこう周辺しゅうへん 生命せいめい危険きけんおよぼす火山かざん活動かつどう噴火ふんか)が発生はっせいし、居住きょじゅう地域ちいきまたは山麓さんろくちかくにもおよんだ、あるいはそのおそれがある。
  
火口かこう周辺しゅうへん危険きけん
火口かこうないから火口かこう周辺しゅうへんまで 火口かこうない火口かこう周辺しゅうへんで、生命せいめい危険きけんおよぼす火山かざん活動かつどう噴火ふんか)が発生はっせいした、あるいはそのおそれがある。
噴火ふんか予報よほう 予報よほう
  

活火山かっかざんであることに 留意りゅうい

火口かこうない 火山かざん活動かつどうはほぼ静穏せいおんだが、火山灰かざんばい噴出ふんしゅつするなど活動かつどう状態じょうたい変化へんかすることもある。火口かこうないでは生命せいめい危険きけんおよ可能かのうせいがある。

居住きょじゅう地域ちいき明確めいかく場合ばあいは、警報けいほう呼称こしょうを「噴火ふんか警報けいほう山麓さんろく)」、警戒けいかい事項じこうとうを「山麓さんろく厳重げんじゅう警戒けいかい」とする。

噴火ふんか警戒けいかいレベルが導入どうにゅうされていない海底かいてい火山かざん

[編集へんしゅう]

[1][5][6][7]

呼称こしょう

区分くぶん

警戒けいかい事項じこう呼称こしょう 対象たいしょう範囲はんい 火山かざん活動かつどう

噴火ふんか警報けいほう周辺しゅうへん海域かいいき

警報けいほう
  
周辺しゅうへん海域かいいき警戒けいかい
周辺しゅうへん海域かいいき 海底かいてい火山かざんやその周辺しゅうへん海域かいいき重大じゅうだい影響えいきょうをもたらす火山かざん活動かつどう噴火ふんか)が発生はっせいした、あるいはそのおそれがある。
噴火ふんか予報よほう 予報よほう
  

活火山かっかざんであることに 留意りゅうい

火山かざん真上まうえ 火山かざん活動かつどうはほぼ静穏せいおんだが、海水かいすい変色へんしょくられるなど活動かつどう状態じょうたい変化へんかすることもある。

伝達でんたつ

[編集へんしゅう]

噴火ふんか警報けいほう発表はっぴょうされた場合ばあい住民じゅうみん行政ぎょうせい機関きかん周知しゅうち通知つうちは、気象きしょう業務ぎょうむほうだい15じょうおよびどうほう施行しこうれいだい7じょうによりさだめられ、一部いちぶ義務ぎむされている。気象庁きしょうちょうおよび気象庁きしょうちょうからの通知つうちけたかく機関きかんは、以下いかのルートで周知しゅうち通知つうちおこなうこととなっている[2][3]

  • 義務ぎむ気象庁きしょうちょう住民じゅうみん
  • 義務ぎむ気象庁きしょうちょうNHK
  • 義務ぎむ気象庁きしょうちょう都道府県とどうふけん消防庁しょうぼうちょうNTT東日本ひがしにっぽん西日本にしにほん
  • 義務ぎむ気象庁きしょうちょう海上保安庁かいじょうほあんちょう
  • 義務ぎむ気象庁きしょうちょう警察庁けいさつちょう
  • 努力どりょく義務ぎむ都道府県とどうふけん関係かんけい市町村しちょうそんちょう - ※特別とくべつ警報けいほう相当そうとうたる居住きょじゅう地域ちいき厳重げんじゅう警戒けいかいまたは噴火ふんか警戒けいかいレベル4および5の場合ばあいは、義務ぎむ
  • 努力どりょく義務ぎむ警察庁けいさつちょう消防庁しょうぼうちょう、NTT東日本ひがしにっぽん西日本にしにほん関係かんけい市町村しちょうそんちょう
  • 努力どりょく義務ぎむ海上保安庁かいじょうほあんちょう航海こうかいちゅうおよび入港にゅうこうちゅう船舶せんぱく
  • 義務ぎむNHK公衆こうしゅう
  • 努力どりょく義務ぎむ市町村しちょうそんちょう公衆こうしゅう官公かんこうしょ - ※特別とくべつ警報けいほう相当そうとうたる居住きょじゅう地域ちいき厳重げんじゅう警戒けいかいまたは噴火ふんか警戒けいかいレベル4および5の場合ばあいは、義務ぎむ

噴火ふんか警報けいほう補足ほそく

[編集へんしゅう]

噴火ふんか予報よほう噴火ふんか警報けいほう火山かざん活動かつどうを5段階だんかい区分くぶん警戒けいかい避難ひなん体制たいせいとリンクさせた気象庁きしょうちょう警報けいほうだが、よりこまかな変化へんかや、避難ひなん必要ひつようとしない降灰こうかい予報よほう日々ひび火山かざん活動かつどうじょうきょうなどは、以下いかげるべつ情報じょうほうとして発表はっぴょうされる。とくに、登山とざん火口かこう周辺しゅうへんへのりが可能かのう噴火ふんか予報よほう噴火ふんか警戒けいかいレベル1)の段階だんかいで、火山かざん活動かつどうたかまったものの噴火ふんか警報けいほう噴火ふんか警戒けいかいレベル2以上いじょう)へのげにはおよばないような場合ばあい、「火山かざん状況じょうきょうかんする解説かいせつ情報じょうほう」でそのむねつたえられるため、留意りゅうい必要ひつようである。

  • 火山かざん状況じょうきょうかんする解説かいせつ情報じょうほう - 火山かざん活動かつどう活発かっぱつしているさい臨時りんじにまたは定期ていきてき発表はっぴょう火山かざんせい地震じしん火山かざんせい微動びどう回数かいすう噴火ふんか噴煙ふんえんなどの活動かつどうじょうきょう報告ほうこく注意ちゅうい事項じこう警戒けいかい事項じこう説明せつめい[9]
  • 噴火ふんかかんする火山かざん観測かんそくほう - 噴火ふんかさい逐次ちくじ発生はっせい時刻じこく噴煙ふんえんたかさなどを報告ほうこく[10]
  • 火山かざん活動かつどう解説かいせつ資料しりょう - 通常つうじょう定期ていきてきに(毎月まいつき)、必要ひつようおうじて臨時りんじ発表はっぴょう図表ずひょうもちいて、火山かざん活動かつどうじょうきょう報告ほうこくし、警戒けいかい事項じこう説明せつめい[11]
  • 週間しゅうかん火山かざん概況がいきょう月間げっかん火山かざん概況がいきょう地震じしん火山かざん月報げっぽう防災ぼうさいへん) - 火山かざん活動かつどう状況じょうきょう警戒けいかい事項じこう定期ていきてきに、全国ぜんこくまとめて、あるいは地方ちほうごと報告ほうこく[11]
  • 降灰こうかい予報よほう - 噴火ふんか火山かざんからはなれた地域ちいき火山灰かざんばい降下こうか予想よそうされるさい臨時りんじにまたは定期ていきてき発表はっぴょう[12]
  • 火山かざんガス予報よほう - 噴火ふんか居住きょじゅう地域ちいき有毒ゆうどく火山かざんガスが到達とうたつすると予想よそうされるさい発表はっぴょう[13]

詳細しょうさい気象庁きしょうちょうのページ「気象庁きしょうちょう発表はっぴょうする火山かざんかんする情報じょうほう資料しりょう解説かいせつ」を参照さんしょう

噴火ふんか警報けいほう噴火ふんか予報よほう意味いみ防災ぼうさい

[編集へんしゅう]

噴火ふんか警報けいほう運用うんよう開始かいし以前いぜんは、災害さいがい危険きけんせい情報じょうほう意味いみかりやすくするため、おおむね「緊急きんきゅう火山かざん情報じょうほう」が警報けいほう、「臨時りんじ火山かざん情報じょうほう」が注意報ちゅういほう、「火山かざん観測かんそく情報じょうほう」が危険きけんひく場合ばあい情報じょうほうという具合ぐあいあつかわれてきた。しかし、情報じょうほうかりにくさはのこっていたため「緊急きんきゅう-」と「臨時りんじ-」の混同こんどうきていた。また、噴火ふんか予知よち精度せいどひくかったため、噴火ふんか情報じょうほう発表はっぴょうのタイミングがまちまちとなり、避難ひなん開始かいし立入禁止たちいりきんし設定せっていなどがはやぎたりおそぎたりというれい発生はっせいしていた。2000ねん有珠山うすざん噴火ふんかのように「緊急きんきゅう火山かざん情報じょうほう」で的確てきかく避難ひなんおこなわれたれいもあれば、同年どうねん三宅島みやけじま雄山おやま噴火ふんかのように「緊急きんきゅう火山かざん情報じょうほう」がはやくからされながらもおおきな噴火ふんかきず、一方いっぽう災害さいがい発生はっせいするおそれがあるような活動かつどうさいに「緊急きんきゅう火山かざん情報じょうほう」がされなかったれいもあった。

こういったことから、既存きそん情報じょうほう体制たいせいたいする非難ひなんつよくなり、げんわざわい目指めざしてあたらしい情報じょうほう体制たいせい構築こうちくすることとなった。

現在げんざい噴火ふんか警報けいほう噴火ふんか予報よほうは、気象きしょう業務ぎょうむほう規定きていする「警報けいほう」「予報よほう」と明瞭めいりょう対応たいおうしている。噴火ふんか警報けいほうは「警報けいほう」、噴火ふんか予報よほうは「予報よほう」にたる。「注意報ちゅういほう」にかんしては、現在げんざい科学かがくでは、注意報ちゅういほう発表はっぴょうするにふさわしい状況じょうきょう警報けいほう発表はっぴょうするにふさわしい状況じょうきょう区別くべつすることがむずかしい(=事例じれいによって可能かのう不可能ふかのうがある)ことから、注意報ちゅういほう発表はっぴょうするにふさわしい状況じょうきょうでもそく警報けいほう」となり、噴火ふんか警報けいほうがその役割やくわりすべてカバーしている。

噴火ふんか警報けいほう火山かざん防災ぼうさい体制たいせい

[編集へんしゅう]

火山かざん災害さいがい軽減けいげんはかるには、火山かざん噴火ふんか情報じょうほう発表はっぴょう体制たいせい確立かくりつとともに、情報じょうほう地元じもと自治体じちたい中心ちゅうしんとなった住民じゅうみんとう避難ひなん体制たいせい構築こうちくすることが重要じゅうようである。しかし、2007ねん11がつ以前いぜん火山かざん情報じょうほうについては「火山かざん活動かつどうじょうきょうのみで表現ひょうげんされていて、住民じゅうみんたいする避難ひなん勧告かんこく発令はつれいなど具体ぐたいてき防災ぼうさい対応たいおうとの関連かんれん明確めいかくではない」「火山かざん活動かつどうじょうきょう避難ひなん行動こうどう開始かいし時期じきとうをリンクさせた具体ぐたいてき避難ひなん計画けいかく避難ひなんかんする検討けんとう体制たいせい整備せいびされていない」といった指摘してきがあった。

このため、2006ねん11月より内閣ないかくとうの「火山かざん情報じょうほうとう対応たいおうした火山かざん防災ぼうさい対策たいさく検討けんとうかい」において、気象庁きしょうちょう火山かざん情報じょうほう改善かいぜん地元じもと自治体じちたい機関きかんとう中心ちゅうしんとした火山かざん防災ぼうさい体制たいせいのありかたについて検討けんとうおこなわれ、2007ねん6がつには、気象庁きしょうちょう発表はっぴょうする火山かざん情報じょうほうとして、火山かざん活動かつどうじょうきょうおうじて必要ひつよう防災ぼうさい対応たいおうを「平常へいじょう」「火口かこう周辺しゅうへん規制きせい」「入山にゅうざん規制きせい」「避難ひなん準備じゅんび」「避難ひなん」の5段階だんかい区分くぶんしてしめした防災ぼうさい情報じょうほうである「噴火ふんか警戒けいかいレベル」を導入どうにゅうするよう提言ていげんがなされた。こうしたあらたなかんがかたまえ。気象庁きしょうちょうでは気象きしょう業務ぎょうむほう改正かいせいし、2007ねん12月から、全国ぜんこく火山かざん対象たいしょう噴火ふんか警報けいほうが、噴火ふんか警報けいほうたいする入山にゅうざん規制きせい避難ひなん勧告かんこく対象たいしょう地域ちいきとう地域ちいき防災ぼうさい計画けいかくさだめられた火山かざんから噴火ふんか警戒けいかいレベルの提供ていきょう開始かいしされることとなった。そのどう検討けんとうかいでは、2008ねん3がつに、噴火ふんか警報けいほう体制たいせいとして、噴火ふんかとう住民じゅうみん避難ひなんかんして平常へいじょうから関係かんけい機関きかん共同きょうどう検討けんとうするための火山かざん防災ぼうさい協議きょうぎかい都道府県とどうふけん市町村しちょうそん気象台きしょうだい砂防さぼう部局ぶきょく火山かざん専門せんもんとうから構成こうせいされる)の設置せっちとうについて記述きじゅつした「噴火ふんかとう避難ひなんかか火山かざん防災ぼうさい体制たいせい指針ししん」がりまとめられ、2008ねん4がつ中央ちゅうおう防災ぼうさい会議かいぎ報告ほうこくされた。その、この「指針ししん」と2011ねんの「霧島山きりしまやま新燃岳しんもえだけ)にかんする政府せいふ支援しえんチームの活動かつどう」をまえて、同年どうねん12がつ27にち中央ちゅうおう防災ぼうさい会議かいぎにおいて改訂かいていされたくに全体ぜんたい防災ぼうさい基本きほん計画けいかくにおいて「都道府県とどうふけんによる火山かざん防災ぼうさい協議きょうぎかい設置せっち」「平常へいじょうからの火山かざん防災ぼうさい協議きょうぎかいでの検討けんとう結果けっかもとづく噴火ふんか警報けいほう避難ひなん勧告かんこく実施じっしとう明確めいかくさだめられた。

噴火ふんか警報けいほう導入どうにゅうはじめて死者ししゃ火山かざん災害さいがいとなった2014ねん9がつ27にち御嶽山みたけさん噴火ふんかでは、噴火ふんか警報けいほう発表はっぴょうしない噴火ふんか予報よほう噴火ふんか警戒けいかいレベル1の「平常へいじょう」)の段階だんかい水蒸気すいじょうき噴火ふんかマグマともなわない砕屑ぶつ噴出ふんしゅつ)とられる噴火ふんか発生はっせい紅葉こうようシーズンの土曜日どようび昼間ひるまおおくの登山とざんもの山頂さんちょう付近ふきんたことなどもあり、だい世界せかい大戦たいせん日本にっぽん火山かざん災害さいがいでは最悪さいあくとなる50にん以上いじょう死者ししゃした。この噴火ふんかでは、2週間しゅうかんほどまえから火山かざんせい地震じしん増加ぞうか観測かんそく気象庁きしょうちょうは「火山かざん状況じょうきょうかんする解説かいせつ情報じょうほう」を発表はっぴょうする一方いっぽうで、やまたい膨張ぼうちょう火山かざんせい微動びどう観測かんそくされず火山かざんせい地震じしんもその減少げんしょうしたことなどから噴火ふんか警戒けいかいレベルをげず噴火ふんか警報けいほう発表はっぴょういたらなかった。毎日新聞まいにちしんぶん報道ほうどうによれば、噴火ふんかの11ふんまえ火山かざんせい微動びどう、7ふんまえやまたい膨張ぼうちょう観測かんそくされて警戒けいかいレベルをげる準備じゅんびはじめた矢先やさき噴火ふんかであったという。これにたいして、警戒けいかいレベルのかたさい検証けんしょうすべきという意見いけんがメディアと火山かざん学者がくしゃ双方そうほうからがった[14][15]

この教訓きょうくんけて、火山かざん噴火ふんか予知よち連絡れんらくかいは「火山かざん情報じょうほう提供ていきょうかんする検討けんとうかい」を設置せっちし、かりやすい火山かざん情報じょうほうのありかた活動かつどう変化へんかさい情報じょうほう伝達でんたつ方法ほうほう検討けんとうおこない、2015ねん3がつ最終さいしゅう報告ほうこくをまとめた[16]。また気象庁きしょうちょうは、対象たいしょう火山かざん活動かつどうする場合ばあい活火山かっかざんであることを意識いしきできるよう、2015ねん5がつ18にちから噴火ふんか予報よほう噴火ふんか警戒けいかいレベル1)にてていたキーワード「平常へいじょう」を「活火山かっかざんであることに留意りゅうい」とする表現ひょうげん変更へんこうおこなった。また、2015ねん8がつから、噴火ふんか発生はっせいした場合ばあい登山とざんしゃなどに迅速じんそく通知つうちおこなう「噴火ふんか速報そくほう」の発表はっぴょう開始かいしする予定よていである[17]

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく

[編集へんしゅう]
  1. ^ 水害すいがい土砂どしゃ災害さいがいなどにおいて地方ちほう公共こうきょう団体だんたい市区しく町村ちょうそん)が発令はつれいする避難ひなん情報じょうほう名称めいしょう変更へんこう対応たいおうして、2021ねんれい3ねん12月6にちに「避難ひなん準備じゅんび」から変更へんこう[8]

出典しゅってん

[編集へんしゅう]
  1. ^ a b c d e f g 噴火ふんか警報けいほう予報よほう説明せつめい気象庁きしょうちょう、2014ねん11月2にち閲覧えつらん
  2. ^ a b 気象きしょう業務ぎょうむほう昭和しょうわじゅうななねん法律ほうりつだいひゃくろくじゅうごう)」”. e-Gov法令ほうれい検索けんさく. 総務そうむしょう行政ぎょうせい管理かんりきょく (2017ねん5がつ31にち). 2019ねん12月30にち閲覧えつらん。 “2019ねん4がつ1にち施行しこうぶん
  3. ^ a b 気象きしょう業務ぎょうむほう施行しこうれい昭和しょうわじゅうななねん政令せいれいだいよんひゃくななじゅういちごう)」”. e-Gov法令ほうれい検索けんさく. 総務そうむしょう行政ぎょうせい管理かんりきょく. 2019ねん12月30にち閲覧えつらん
  4. ^ 5月29にち発生はっせいしたくちえいりょう噴火ふんか活動かつどうについて(2015ねん5がつ29にち閲覧えつらん)
  5. ^ a b c 噴火ふんか警戒けいかいレベルの説明せつめい気象庁きしょうちょう、2014ねん11月2にち閲覧えつらん
  6. ^ a b c 気象庁きしょうちょうホームページにおける気象きしょう情報じょうほう配色はいしょくかんする設定せってい指針ししん (PDF) 」5ぺーじ気象庁きしょうちょう、2012ねん5がつ24にち、2019ねん3がつ19にち閲覧えつらん
  7. ^ a b c 防災ぼうさい情報じょうほう噴火ふんか警報けいほう噴火ふんか速報そくほう”. 気象庁きしょうちょう. 2021ねん4がつ19にち閲覧えつらん
  8. ^ 噴火ふんか警戒けいかいレベル4のキーワード変更へんこうについて - 気象庁きしょうちょう、2021ねん11月18にち発表はっぴょう
  9. ^ 火山かざん状況じょうきょうかんする解説かいせつ情報じょうほう説明せつめい気象庁きしょうちょう、2015ねん5がつ22にち閲覧えつらん
  10. ^ 噴火ふんかかんする火山かざん観測かんそくほう説明せつめい気象庁きしょうちょう、2015ねん5がつ22にち閲覧えつらん
  11. ^ a b 気象庁きしょうちょう発表はっぴょうする火山かざんかんする情報じょうほう資料しりょう解説かいせつ気象庁きしょうちょう、2015ねん5がつ22にち閲覧えつらん
  12. ^ 降灰こうかい予報よほう説明せつめい気象庁きしょうちょう、2015ねん5がつ22にち閲覧えつらん
  13. ^ 火山かざんガス予報よほう説明せつめい気象庁きしょうちょう、2015ねん5がつ22にち閲覧えつらん
  14. ^ 時論じろん公論こうろん 「御嶽山みたけさん噴火ふんか ~なぜおおきな被害ひがいに~」”. NHKアーカイブス (2014ねん9がつ30にち). 2014ねん11月2にち閲覧えつらん
  15. ^ 御嶽山みたけさん噴火ふんか:気象庁きしょうちょう警戒けいかいレベル1維持いじ検討けんとうかさねた裏側うらがわ毎日新聞まいにちしんぶん、2014ねん10がつ6にちづけ
  16. ^ 火山かざん噴火ふんか予知よち連絡れんらくかい 火山かざん情報じょうほう提供ていきょうかんする検討けんとうかい(2014ねん~2015ねん気象庁きしょうちょう、2015ねん3がつ31にちづけ、2015ねん5がつ22にち閲覧えつらん
  17. ^ 御嶽山みたけさん噴火ふんか災害さいがいまえた火山かざん情報じょうほう見直みなおしについて~「火山かざん状況じょうきょうかんする解説かいせつ情報じょうほうとう変更へんこう気象庁きしょうちょう、2015ねん5がつ12にちづけ、2015ねん5がつ22にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]