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緊急速報メール(きんきゅうそくほうメール)とは、緊急地震速報に加えて国や自治体が発信する「災害・避難情報」や「津波警報」などを携帯電話へ発信するサービスの名称。
NTTドコモは「エリアメール」、KDDI/沖縄セルラー電話とソフトバンクモバイルのSoftBankブランドおよびY!mobileブランド(イー・アクセス・ウィルコム旧契約を含む)、及び楽天モバイルは「緊急速報メール」の名称でサービスを提供している。
送信方式等、差異もあるため、オペレータごとの詳細については、以下の具体例を参照。
気象庁は大雨・暴風や火山の噴火などといった特別警報発表時も配信について、防災ラジオや防災アプリなどが普及してきたことから、2021年10月28日に配信を終了する事を発表した[1]。しかし、「避難に必要な情報が得られなくなるのではないか」などの意見が寄せられたことに加え、気象庁も地方自治体が住民に対して避難情報を適切に提供しているか調査した上で改めて配信継続の可否についての判断を行いたいとして一旦終了を延期することになったが[2]、最終的に2022年末に廃止となった[3]。
訓練やテストのために送信を行う場合は、送信する対象地域への事前周知と送信メール内に「訓練」「テスト」であることを明記する必要がある[4]。
ただし、訓練の周知を目的とした送信は携帯各社の利用規約や手引きで行わないよう求めている[5]。
- エリアメール…NTTドコモ。
- 緊急速報メール (au)
- 緊急速報メール (SoftBank)…ディズニー・モバイル、旧・イー・アクセス契約の端末のうち、EMOBILE 4G-Sによるサービス、および旧ウィルコムがWILLCOM CORE 3Gの音声ネットワークで提供しているサービス(および、Y!mobileの「電話サービス(タイプ1・3)」対応端末)は、こちらを参照。
- 緊急速報メール (Y!mobile)…端末により、緊急速報メール (SoftBank)ないしは、後述の2つの計3つのうち、いずれか1つが利用可能。
- 緊急速報メール (イー・アクセス)…ただし、EMOBILE 4G-Sの端末については、本サービスの対象外(「電話サービス(タイプ2)」対応端末は、こちらを参照)。
- 緊急速報メール (ウィルコム)…PHS回線を利用したサービス。上述のように、MVNO契約(PHSと3G回線とのデュアルモード端末を含む)によるものは、ソフトバンクモバイルが提供するものに準じて提供されるため、PHS回線が入っている端末でも対象外。
緊急速報メールは、送信時間に対象の地域にいれば受信される。
大阪府では2012年から年1回、府民の防災意識を高めることを目的に緊急速報メールを利用した「大阪880万人訓練」が実施されている。
2020年5月2日に神奈川県は、同県知事・黒岩祐治の名前で「GWはがまんのウイークです」とする外出自粛を要請する緊急速報メールを配信した。当時は2019新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が出されており、携帯電話各社が自治体に協力して緊急速報メールを活用できるようにしたことが背景にあったが、神奈川県には批判的な問い合わせが相次ぎ、黒岩が謝罪する事態となった[6]。さらに2022年1月16日には誤動作で神奈川県民に津波の警告が大量に送付され「眠れなかった」などと苦情が相次いだ[7]。
茨城県は、2023年9月20日に行われたJアラートの情報伝達訓練を周知するため前日の19日9時30分に緊急速報メールを送信した。しかし、「びっくりした」などの問い合わせが十数件あり、訓練を所轄する消防庁は携帯各社の規約に反しているとしてルールを順守するよう指摘した。消防庁は、訓練周知のための送信により「受信者が設定をオフにしてしまうことで、実際の災害時にメールを届けられずに利用者を命の危険にさらしてしまう恐れがある」として茨城県に送信した経緯を確認しルールを順守するよう指摘している[5]。