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郊外こうがい

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米国べいこくコロラドスプリングス周辺しゅうへん郊外こうがい開発かいはつ

郊外こうがい(こうがいか、えい: suburbanization)とは、都市としすすんだ結果けっか都市とし周辺しゅうへん地域ちいき郊外こうがい)において都市としてき要素ようそ農村のうそんてき要素ようそ混在こんざいするようになるまでの変化へんかプロセスのことである[1]

概要がいよう

郊外こうがい原因げんいんとして、中心ちゅうしん都市としにおける超過ちょうか人口じんこうの溢出、所得しょとく向上こうじょう中心ちゅうしん都市とし環境かんきょう悪化あっか中心ちゅうしん都市とし郊外こうがいあいだ交通こうつう機関きかん発展はってん過密かみつ対策たいさく都市とし政策せいさくなどがげられる[2]

郊外こうがいにより、都市とし周辺しゅうへん村落そんらくにおいて、人口じんこう変化へんか土地とち利用りよう変化へんか都市としてき要素ようそ増大ぞうだい農村のうそんてき要素ようそ減少げんしょうなどの変化へんか発生はっせいする[3]郊外こうがいによる人口じんこう変化へんかとして、人口じんこう人口じんこう密度みつど増加ぞうかだいだいさん産業さんぎょう人口じんこうやその割合わりあい増加ぞうかだいいち産業さんぎょう人口じんこうやその割合わりあい減少げんしょうなどの変化へんかげられる[3]土地とち利用りよう変化へんかとして、農村のうそんてき土地とち利用りようから都市としてき土地とち利用りようへの変化へんか発生はっせいする[3]都市としてき要素ようそ増大ぞうだいれいとして住宅じゅうたく開発かいはつ工場こうじょう移転いてんなどが、農村のうそんてき要素ようそ減少げんしょうれいとして農家のうか農地のうち減少げんしょうなどがげられる[3]

郊外こうがいさいしては、都心としん業務ぎょうむ地区ちくへの通勤つうきん交通こうつう手段しゅだんとして、高速こうそく交通こうつう手段しゅだん大衆たいしゅうしていることが前提ぜんてい条件じょうけんである。19世紀せいき後半こうはんから20世紀せいきにかけてうま馬車ばしゃわり、欧米おうべい日本にっぽんなどの一部いちぶで、大量たいりょう輸送ゆそう可能かのう頻繁ひんぱん運行うんこうする鉄道てつどう路面ろめん電車でんしゃインターアーバン地下鉄ちかてつ通勤つうきん鉄道てつどうなど)が登場とうじょうし、鉄道てつどう沿線えんせん住宅じゅうたくすすんだ。つづいて、Tがたフォード代表だいひょうされる大衆たいしゅうしゃ普及ふきゅう自動車じどうしゃよう道路どうろ整備せいびされることで、移動いどう格段かくだん自由じゆうになり、通勤つうきん鉄道てつどうのない都市とし鉄道てつどう沿線えんせん以外いがいでも郊外こうがい住宅じゅうたく開発かいはつされた。

郊外こうがい指標しひょう

人口じんこう郊外こうがい指標しひょうとして、富田とみた (1995)では増加ぞうかりつほう郊外こうがいりつ増加ぞうか寄与きよりつほう郊外こうがい進展しんてん指数しすうげられている[4]

  1. 増加ぞうかりつほう
    • 時期じきからまでの周辺しゅうへん都市としにおける人口じんこう増加ぞうかりつ中心ちゅうしん都市としよりも上回うわまわるかどうかで、一般いっぱん郊外こうがい進行しんこう場合ばあい周辺しゅうへん都市としのほうが中心ちゅうしん都市としよりも人口じんこう増加ぞうかりつたかくなる[5]
  2. 郊外こうがいりつ
    • 時期じきからまでの周辺しゅうへん地域ちいき人口じんこう増加ぞうかりつから中心ちゅうしん都市とし人口じんこう増加ぞうかりつげんじた使用しようする方法ほうほうで、Frey and Speare (1988)により提唱ていしょうされた[6]
  3. 増加ぞうか寄与きよりつほう
    • 時期じきからまでの大都市だいとしけん全体ぜんたい人口じんこう増加ぞうかりょうのうち中心ちゅうしん都市とし周辺しゅうへん都市とし増加ぞうか寄与きよりつ使用しようする方法ほうほうで、郊外こうがい進行しんこうしている場合ばあいは、周辺しゅうへん地域ちいき増加ぞうか寄与きよりつ時期じきにおける大都市だいとしけん全体ぜんたいにおける周辺しゅうへん地域ちいき人口じんこう割合わりあいよりもたかくなる[7]
  4. 郊外こうがい進展しんてん指数しすう
    • 郊外こうがい進展しんてん指数しすうとは、における周辺しゅうへん地域ちいき人口じんこう割合わりあいにおける周辺しゅうへん地域ちいき人口じんこう割合わりあいのことである[8]大都市だいとしけん全体ぜんたい人口じんこうにおける周辺しゅうへん地域ちいき人口じんこう割合わりあい変化へんか着目ちゃくもくする方法ほうほうで、郊外こうがい進展しんてんしている場合ばあいはこのせいとなる[8]

各国かっこくでの事例じれい

日本にっぽん

明治めいじ末期まっきから昭和しょうわ初期しょきにかけて、田園でんえん都市とし構想こうそう影響えいきょうけた民間みんかん鉄道てつどう会社かいしゃ私鉄してつ)が、環境かんきょうすぐれた郊外こうがいいえ取得しゅとくし、電気でんき鉄道てつどう電車でんしゃ)で都心としん通勤つうきんするというライフスタイル提案ていあんした。各社かくしゃ東京とうきょう大阪おおさか都心としんから郊外こうがいへの鉄道てつどう路線ろせん建設けんせつし、その沿線えんせん住宅じゅうたくなどの開発かいはつおこなった。

関西かんさいにおける阪急電鉄はんきゅうでんてつによる開発かいはつ先駆せんくてきなもので、阪急電鉄はんきゅうでんてつ沿線えんせん芦屋あしやなどがその典型てんけいである。それに影響えいきょうけ、関東かんとうでも田園でんえん都市とし東急とうきゅう電鉄でんてつ[9]により、東急とうきゅう沿線えんせん洗足せんそく田園でんえん都市とし[9]開発かいはつすすめられた。

だい世界せかい大戦たいせんこうは、いえ政策せいさくすすめられた高度こうど成長せいちょうさん大都市だいとしけんなどでの鉄道てつどう沿線えんせんスプロールすすみ、ドーナツ現象げんしょうばれる郊外こうがいしょうじた。日本にっぽん場合ばあいおも通勤つうきん手段しゅだん自家用じかよう自動車じどうしゃではなく鉄道てつどうであるてん特徴とくちょうてきであったが、次第しだい高速こうそく道路どうろバイパス道路どうろ整備せいびされ、自動車じどうしゃ通勤つうきん自動車じどうしゃでのもの一般いっぱんてきになった。全国ぜんこくでの道路どうろ建設けんせつにより、これまで郊外こうがいにあまりえんかった地方ちほう急速きゅうそく郊外こうがいし、住宅じゅうたく商業しょうぎょううすひろ郊外こうがい建設けんせつされていった。

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは、1950年代ねんだい自動車じどうしゃ普及ふきゅうともな郊外こうがい加速かそくした。だい世界せかい大戦たいせんから復員ふくいん結婚けっこんしたわか人々ひとびと家族かぞくめるひろ住宅じゅうたくほっし、郊外こうがいでの広々ひろびろとした住宅じゅうたく開発かいはつ自家用じかよう自動車じどうしゃ普及ふきゅう自動車じどうしゃ専用せんよう道路どうろ整備せいびがこうしたニーズにこたえた。アメリカがた郊外こうがい生活せいかつは、都市とし大量たいりょう労働ろうどうしゃかかえる世界せかい大都市だいとし波及はきゅうし、郊外こうがい住宅じゅうたく高速こうそく道路どうろおおくのくに大都市だいとしつくられた。

アメリカでは住宅じゅうたく郊外こうがいつづいて、商業しょうぎょう業務ぎょうむ郊外こうがいきている。大勢おおぜい自家用車じかようしゃあつまりやすいインターチェンジ周辺しゅうへん大型おおがたショッピングモール出現しゅつげんし、やがて工場こうじょうだけでなく企業きぎょうのオフィスも、土地とち建物たてもの賃料ちんりょうやす自動車じどうしゃ通勤つうきんのできる郊外こうがい移転いてんした。通信つうしん技術ぎじゅつやIT、配送はいそうサービスの進化しんか普及ふきゅうは、都心としんからはなれた場所ばしょでのビジネスを容易よういにしたため、アメリカの企業きぎょう本社ほんしゃ郊外こうがい立地りっちえていった。

1990年代ねんだい以降いこうブーンバーブばれるたか成長せいちょうげた大型おおがた郊外こうがい都市としや、エッジ・シティばれる都市とし外郭がいかく高速こうそく道路どうろ沿いにうすひろ展開てんかいした業務ぎょうむ中心ちゅうしんが、西海岸にしかいがん南部なんぶ中西部ちゅうせいぶなどの都市としけん出現しゅつげんした。またこれと並行へいこうして、住宅じゅうたくがさらに郊外こうがいのほぼ農村のうそんえる地帯ちたいにまで進出しんしゅつしている。

大韓民国だいかんみんこく

大韓民国だいかんみんこくでは、軍事ぐんじ境界きょうかいせんなどにより開発かいはつがあまりすすまなかったソウル北郊ほっこうにまで、1990年代ねんだい後半こうはんからニュータウンの開発かいはつすすみ、マンションなどがてられている。それにともない、それまで電化でんかカル線かるせんがほとんどであった北郊ほっこう方面ほうめんKORAIL各線かくせん電化でんか複線ふくせんされ、そのおおくが首都しゅとけん電鉄でんてつまれた。一戸建いっこだ住宅じゅうたくよりも高層こうそうマンションによる住宅じゅうたく開発かいはつおおいことが特徴とくちょうてきである。

郊外こうがい問題もんだい

郊外こうがい日本にっぽんのみならず、おおくのくに都市とし問題もんだいとなっている。[よう出典しゅってん]

郊外こうがいにより、都市とし周辺しゅうへん農村のうそん森林しんりん水辺みずべ空間くうかん住宅じゅうたく開発かいはつやモール開発かいはつのため破壊はかいされる。

郊外こうがい都市とし活動かつどうひろがることにより、道路どうろ上下水道じょうげすいどう公共こうきょうサービスを整備せいびしなければならない面積めんせきえ、自治体じちたい負担ふたんえる。

移動いどう距離きょりびることで、移動いどう時間じかんやエネルギーをおお使つかう。

郊外こうがいともない、自家用車じかようしゃ利用りようしゃえ、石油せきゆ資源しげん枯渇こかつ地球ちきゅう温暖おんだん進行しんこう懸念けねんされる。

郊外こうがいから中心ちゅうしん都市としへの移動いどうえるため、公共こうきょう交通こうつう機関きかん混雑こんざつ道路どうろ渋滞じゅうたいなどが発生はっせいする[1]

郊外こうがいによる生活せいかつけんひろがり、地域ちいきコミュニティの希薄きはくにより、郊外こうがいがた犯罪はんざい発生はっせい懸念けねんされる。

産業さんぎょう郊外こうがいともない、雇用こよう郊外こうがい流出りゅうしゅつする。

子供こども貧困ひんこんもの、お年寄としよりや障害しょうがいしゃなど、自動車じどうしゃ運転うんてんできない交通こうつう弱者じゃくしゃにとって不便ふべんである。→もの難民なんみん医療いりょう難民なんみん

郊外こうがいすすんだ現在げんざい中心ちゅうしん市街地しがいち空洞くうどうシャッターどお)のほか、様々さまざま問題もんだいてん郊外こうがいかんして提起ていきされている。ぎゃくだい規模きぼ店舗てんぽ業者ぎょうしゃがわからは、中心ちゅうしん市街地しがいち努力どりょく不足ふそくや、政府せいふ自治体じちたいによる郊外こうがいでの過大かだい道路どうろ開発かいはつ公的こうてき施設しせつ移転いてんなど、郊外こうがいかたよった公共こうきょう工事こうじ問題もんだいであると反駁はんばくされている。

そうしたなかで、日本にっぽんでは2000ねんだい以降いこう大都市だいとしけん地価ちか下落げらくなどを反映はんえいし、おおきな都市としでは郊外こうがいとはぎゃく都心としん回帰かいき発生はっせいしている。またいくつかの地方ちほうにおいては、郊外こうがい整備せいび費用ひようらすため、また徒歩とほ自転車じてんしゃでも移動いどうしやすく交通こうつう弱者じゃくしゃ生活せいかつしやすいまちにするために都市とし機能きのう中心ちゅうしんさい集積しゅうせきさせる「コンパクトシティ」へのうごきもある。

一方いっぽう郊外こうがい終焉しゅうえんしたわけではなく、2007ねん平成へいせい19ねん現在げんざいにおいては、首都しゅとけんでは旺盛おうせい住宅じゅうたく事情じじょう反映はんえいして、つくばエクスプレス首都圏新都市鉄道しゅとけんしんとしてつどう)やJR武蔵野線むさしのせん東武とうぶ野田線のだせん沿線えんせんなどを中心ちゅうしんに、現在げんざいでも郊外こうがいがた開発かいはつつづいている。また、関西かんさいけんでも大阪おおさかモノレール近鉄きんてつけいはんなせん沿線えんせんなどで宅地たくち開発かいはつすすみ、住宅じゅうたく事情じじょう改善かいぜん貢献こうけんしている。一方いっぽうで、流山ながれやまおおたかのもりえき開業かいぎょうともな市野谷いちのやもり伐採ばっさいされるなど都市とし近郊きんこう貴重きちょう緑地りょくち破壊はかいされ、しんせん開業かいぎょうともな過大かだい都市とし開発かいはつ自治体じちたい財政ざいせい状況じょうきょう影響えいきょうあたえるなどの社会しゃかい問題もんだい発生はっせいしており、移動いどう距離きょり増加ぞうかともなって使用しようするエネルギーの増加ぞうか懸念けねんされる。

利点りてん問題もんだいてん

利点りてん

オフィスの賃料ちんりょうやすく、中心ちゅうしん市街地しがいち機能きのう移転いてん維持いじ管理かんりにかかる費用ひよう削減さくげんできる[10]

郊外こうがいへのひと流失りゅうしつによってコンパクトシティすす地方ちほう再生さいせいにつながる[11]

地方ちほう都市としリノベーション事業じぎょうにより、建造けんぞうぶつえのさいに、都市とし機能きのう集約しゅうやくさせ効率こうりつはかることが可能かのう[11]

問題もんだいてん

都市とし郊外こうがいによる自動車じどうしゃ利用りよう助長じょちょうにより、環境かんきょうへの負荷ふか増大ぞうだいする[12]

郊外こうがいともな郊外こうがい施設しせつ発展はってんにより、中心ちゅうしん市街地しがいちへの人口じんこう流入りゅうにゅうすう減少げんしょうする[12]

中心ちゅうしん市街地しがいち衰退すいたいにより集積しゅうせきしていた都市とし機能きのう分散ぶんさんし、社会しゃかい基盤きばん設備せつび動作どうさ効率こうりつ悪化あっかする[12]

中心ちゅうしん市街地しがいち人口じんこう減少げんしょうにより、人々ひとびと交流こうりゅう機会きかい減少げんしょうする[13]

脚注きゃくちゅう

参考さんこう文献ぶんけん

  • Frey, W. H.; Speare, A. Jr. (1988). Regional and Metropolitan Growth and Decline in the United States. Russell Sage Foundation 
  • 石川いしかわ雄一ゆういち郊外こうがいからみた都市としけん空間くうかん 郊外こうがい核化かくかのゆくえ』うみあおしゃ、2008ねんISBN 978-4-86099-247-7 
  • 富田とみたかずあきら大都市だいとしけん構造こうぞうてき変容へんよう古今ここん書院しょいん、1995ねんISBN 4-7722-1844-0 
  • 藤塚ふじつか吉浩よしひろ ちょ郊外こうがい・スプロール」、藤塚ふじつか吉浩よしひろ高柳たかやなぎちょうただし へん図説ずせつ 日本にっぽん都市とし問題もんだい古今ここん書院しょいん、2016ねん、90-91ぺーじISBN 978-4-7722-4197-7 
  • 山鹿やまがまこと ちょ郊外こうがい」、日本にっぽん地誌ちし研究所けんきゅうじょ へん へん地理ちりがく辞典じてん 改訂かいていばん二宮にのみや書店しょてん、1989ねん、193ぺーじISBN 4-8176-0088-8 
  • 高見たかみ淳史あつし 土木どぼく計画けいかくがく研究けんきゅう論文ろんぶんしゅう/15かん抄録しょうろく。1998ねん217-255ぺーじ
  • 鈴木すずき敏幸としゆき武藤むとう真一しんいち小川おがわ敬一けいいち 土木どぼく計画けいかくがく研究けんきゅう論文ろんぶんしゅう/19かん 2002ねん195-201ぺーじ
  • 佐藤さとう英人ひでと 人文じんぶん地理ちりジャーナル/53かん 2002ねんだい4ごう
  • いね雄次ゆうじ 総合そうごう政策せいさく論集ろんしゅう 2009ねん65‐71ぺーじ
  • 久留くるべい工業こうぎょう大学だいがく コンパクトシティとは?あたらしいまちづくりの事例じれいからるコンパクトシティのメリット

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