非ひ電化でんか

1. 電気でんきを用もちいないこと。発明はつめい家かの藤村ふじむら靖之やすゆきが提唱ていしょうする「非ひ電化でんか製品せいひんプロジェクト」や「非ひ電化でんか生活せいかつ」など。アーミッシュ#生活せいかつ等ひとしも参照さんしょう。
2. 電化でんかされていない鉄道てつどう路線ろせん、非ひ電化でんか路線ろせんのこと。本ほん項こうで記述きじゅつする。

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非ひ電化でんか路線ろせん（ひでんかろせん）は、その路線ろせんを走行そうこうする列車れっしゃの動力どうりょくに電気でんきを用もちいない、すなわち電化でんかされていない鉄道てつどう路線ろせんのことである。

使用しよう動力どうりょく

非ひ電化でんか路線ろせんの動力どうりょくとしては、黎明れいめい期きには馬うまや人力じんりきも使つかわれた例れいがあるが、初期しょきの段階だんかいでは蒸気じょうき機関きかんが中心ちゅうしんであった。20世紀せいき半なかば以降いこう、非ひ電化でんか区間くかんではおもに内燃ないねん機関きかんを用もちいた内燃ないねん機関きかん車しゃ、気動車きどうしゃが使用しようされている。機関きかん効率こうりつや安全あんぜん性せいにおいてディーゼルエンジンが最もっとも有利ゆうりとされ、多おおく採用さいようされている。ほかにガソリンエンジンやガスタービンエンジンを使用しようした例れいもある。将来しょうらいに向むけては、ハイブリッド気動車きどうしゃ・蓄電池ちくでんち電車でんしゃ・燃料ねんりょう電池でんち動どう車しゃの導入どうにゅう（日本にっぽんの電気でんき式しき気動車きどうしゃ#電気でんき式しきへの回帰かいきとその趨勢すうせい（ハイブリッド気動車きどうしゃ・新しん世代せだいの電気でんき式しき気動車きどうしゃ）も参照さんしょう）やバイオディーゼルの実用じつよう化か検討けんとう（いすみ鉄道てつどう・北条ほうじょう鉄道てつどう）などの取とり組くみが進すすめられている。

非ひ電化でんかの理由りゆう

鉄道てつどうは電化でんかした方ほうが使用しようエネルギーの効率こうりつが上あがり、列車れっしゃの高速こうそく化かも内燃ないねん機関きかんを使用しようした場合ばあいよりはるかに容易よういである。しかし、電化でんかには設備せつびの建設けんせつや維持いじに大おおきな投資とうしが必要ひつようになるほか、さまざまな条件じょうけんの制約せいやくを受うけることもあり、非ひ電化でんかのままとなっている例れいもある。

一般いっぱん的てきに輸送ゆそう量りょうが多おおい区間くかんほど電化でんかした方ほうが運行うんこう費ひが安価あんかとなるが、石油せきゆ燃料ねんりょうを安価あんかに供給きょうきゅうできているうえに列車れっしゃ本数ほんすうが少すくない国くにや、経済けいざい力りょくに比くらべて電気でんきの製造せいぞうコストが高たかい国くに、鉄道てつどうに十分じゅうぶんな投資とうしが難むずかしい一部いちぶの発展はってん途上とじょう国こくなどでは、幹線かんせんでもまったく電化でんかされていない国くにも多おおい。発展はってん途上とじょう国こくでは、乗客じょうきゃくの多おおい人口じんこう密集みっしゅう地ちにおいても無賃むちん乗車じょうしゃを目論もくろむ者ものが列車れっしゃの屋根やねに登のぼって感電かんでん事故じこを起おこすリスク、電化でんかに必要ひつような大だい規模きぼ電気でんき設備せつびの維持いじにまつわる技術ぎじゅつ的てきな問題もんだい、治安ちあん状況じょうきょうが悪わるい場合ばあいには電気でんき設備せつびや架線かせんが盗難とうなんに遭あうリスクやそれによる余計よけいなコストの発生はっせいなども、総合そうごう的てきに考慮こうりょする必要ひつようがある。

逆ぎゃくに、スイスなど電力でんりょくを安価あんかに供給きょうきゅう可能かのうな国くにでは、列車れっしゃ本数ほんすうの少すくない区間くかんでも大半たいはんを電化でんかしている。

需要じゅようの低ひくさ（費用ひよう対たい効果こうか）から非ひ電化でんかとなっている例れい

最もっとも一般いっぱん的てきな例れいである。電化でんかを行おこなうには路線ろせんへの投資とうし額がくが多おおくなるため、ある程度ていどの需要じゅようが継続けいぞく的てきに見込みこまれる都市とし周辺しゅうへん以外いがいでは、非ひ電化でんかのままとなっている路線ろせんが少すくなくない。

JR北海道ほっかいどうが代表だいひょう的てきな事例じれいである。人口じんこう密度みつどの希薄きはくな地域ちいきが多おおいことから駅えき間あいだ距離きょりが長ながく、輸送ゆそう密度みつどが低ひくい。また、北海道ほっかいどうの場合ばあいは機器ききや架線かせんの雪ゆきや寒さむさによる故障こしょうも頻繁ひんぱんに起おこりやすい。その結果けっか、たとえその区間くかんの需要じゅようが高たかくても、電化でんかに関かかわる投資とうし額がくや維持いじ・修理しゅうりのためのコストが高たかくなる割わりに、鉄道てつどう電化でんかのメリットを発揮はっきしにくいことが挙あげられる。

高山本線たかやまほんせんや宗谷本線そうやほんせんなどは当初とうしょは電化でんかする予定よていであったものの、その時期じきが国鉄こくてつ末期まっきの財政ざいせい難なんも重かさなり、電化でんかを断念だんねんし、両者りょうしゃとも非ひ電化でんかのまま特急とっきゅう列車れっしゃを通過つうかさせるための高速こうそく化か改良かいりょうに移行いこうした。

物理ぶつり的てき理由りゆう（断面だんめんの小ちいさいトンネル）から非ひ電化でんかとなっている例れい

途中とちゅう区間くかんの既存きそんのトンネルが電化でんかを前提ぜんていに設計せっけいされておらず、断面だんめんが小ちいさく架線かせんを張はることが困難こんなんであるという理由りゆうで、非ひ電化でんかとなっている路線ろせんもある。

JR四国しこくが代表だいひょう的てきな事例じれいである。土讃線どさんせんのうち、琴平ことひら駅えきまでは電化でんかされているが、それ以南いなんは電化でんかされていない。また、高徳線こうとくせんに至いたっては起点きてんの高松たかまつ市し内うちに小しょう断面だんめんのトンネルが存在そんざいすることから、香川かがわ県けん内うちだけの電化でんかすらできず非ひ電化でんかのままである。

軍事ぐんじ的てき事情じじょうから非ひ電化でんかとなっている例れい

戦争せんそう状態じょうたいに陥おちいった場合ばあい、自国じこく土どの発電はつでん所しょや変電へんでん所しょ・送電そうでん線せんなどは敵てき国くににとっての攻撃こうげき・破壊はかいの上位じょうい対象たいしょうとなってくる。電化でんか済ずみの鉄道てつどうの場合ばあい、これらが武力ぶりょく攻撃こうげきで破壊はかいされて電力でんりょく供給きょうきゅうが絶たたれるうえ、停電ていでんすると電気でんき車両しゃりょうの運行うんこうは不可能ふかのうとなる。このため、軍事ぐんじ的てきな理由りゆう（変電へんでん所しょへの攻撃こうげきを避さけるなど）で大だい部分ぶぶんの路線ろせんが非ひ電化でんかのところもある。

また、弾丸だんがん列車れっしゃ計画けいかくは同様どうようの理由りゆうで東京とうきょう - 静岡しずおか間あいだは長大ちょうだいな新しん丹那になトンネルを有ゆうすることから電化でんかが計画けいかくされ、それ以外いがいの区間くかんは、非ひ電化でんかで計画けいかくされたが、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん後のちに建設けんせつされた東海道とうかいどう・山陽新幹線さんようしんかんせんは、電車でんしゃ（交流こうりゅう25,000ボルト）による運行うんこうである。

なお、非ひ電化でんかであっても信号しんごうやCTC、踏切ふみきりなどの設備せつびは電力でんりょくを得えて動作どうさしており、停電ていでんすれば運行うんこうできなくなる可能かのう性せいがある。戦争せんそうではないが、東北とうほく地方ちほう太平洋たいへいよう沖おき地震じしん（東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさい）に伴ともなう計画けいかく停電ていでんの際さいには、関東かんとう地方ちほうの非ひ電化でんか路線ろせんにおいても運休うんきゅうや減げん便びんといった影響えいきょうが発生はっせいした。

その他たの例れい

茨城いばらき県けん筑波山つくばさん付近ふきんの石岡いしおか市し柿岡かきおかにある気象庁きしょうちょう地磁気ちじき観測かんそく所しょの周辺しゅうへん地域ちいきは、直流ちょくりゅう電化でんかを行おこなうと直流ちょくりゅうの電流でんりゅうが磁場じばを発生はっせいさせる現象げんしょう（ビオ・サバールの法則ほうそく）により測定そくていが正確せいかくにできなくなり、一方いっぽうで交流こうりゅう電化でんかを行おこなうと、電化でんか工事こうじは直流ちょくりゅうに比くらべて低ていコストだが交流こうりゅう型がた電車でんしゃの増ぞう備が高こうコストとなる。そのため、この地域ちいきを通とおる鉄道てつどうのうち、交流こうりゅう電化でんかに伴ともなう費用ひようの捻出ねんしゅつの難むずかしい関東かんとう鉄道てつどうは非ひ電化でんかとなっている。かつて、磁気じきを発生はっせいさせない直直じきじきデッドセクション方式ほうしきによる直流ちょくりゅう電化でんか実験じっけんが行おこなわれたことがあったが、やはりコスト面めんから直流ちょくりゅう電化でんかも断念だんねんしている。戦前せんぜんには水戸みと電気でんき鉄道てつどうがこの影響えいきょうで電化でんかを行おこなえずに当初とうしょの計画けいかくの挫折ざせつに追おい込こまれ、後のちに廃はい線せんとなった例れいもある。

仙石せんごく東北とうほくラインは直流ちょくりゅう電化でんかの仙石線せんせきせんと交流こうりゅう電化でんかの東北本線とうほくほんせんを結むすんでいるが、立地りっち上じょうデッドセクションが設置せっちできないことから連絡れんらく線せんは非ひ電化でんかとなっており、直通ちょくつう列車れっしゃはHB-E210系けい気動車きどうしゃで運行うんこうされている。

平成へいせい時代じだいに新規しんき開業かいぎょうした路線ろせんはほとんどが電化でんか路線ろせんとして開業かいぎょうしているが、日本鉄道建設公団にほんてつどうけんせつこうだん建設けんせつ線せんを開業かいぎょうした第だい三さんセクター鉄道てつどうは、電車でんしゃによるJRからの特急とっきゅう「はくたか」が乗のり入いれるために電化でんかされた北越ほくえつ急行きゅうこうほくほく線せん以外いがいは、ほとんどが非ひ電化でんかとなっている。特とくに井原いはら鉄道てつどう井原線いはらせんは、両りょう端はしで接続せつぞくするJR伯備線はくびせんと福塩線ふくえんせんが井原線いはらせん開業かいぎょう時じの1999年ねん時点じてんで電化でんかされていたにもかかわらず、非ひ電化でんかで開業かいぎょうしている。

電化でんかの廃止はいし

「鉄道てつどうの電化でんか#電化でんか設備せつびの撤去てっきょ」も参照さんしょう

鉄道てつどうの需要じゅようが少すくなくなると、採算さいさん性せい改善かいぜんの可能かのう性せいを求もとめて、鉄道てつどうの運行うんこう事業じぎょう者しゃが電化でんかの廃止はいしを選択せんたくする場合ばあいがある。これは、変電へんでん所しょや架線かせんなどの電化でんか設備せつびの維持いじコストと気動車きどうしゃの運用うんようコストを比較ひかくした場合ばあいに、電化でんかを廃止はいししたほうがコストを削減さくげんできると判断はんだんされたためである。池田いけだ鉄道てつどうや羽後うご交通こうつう雄勝線おがちせん、玉野たまの市営しえい電気でんき鉄道てつどう、名鉄めいてつ三河線みかわせんの一部いちぶと八百津線やおつせん、くりはら田園でんえん鉄道てつどう線せん、JR九州きゅうしゅう長崎本線ながさきほんせんなどがその例れいであるが、それでも採算さいさんが取とれずに廃はい線せんに至いたった路線ろせんも少すくなくない。

また、電化でんか設備せつびは維持いじしたままでも、主おもに普通ふつう列車れっしゃの運行うんこうコストを削減さくげんするため、電気でんき車しゃを気動車きどうしゃなどに置おき換かえる例れいもある（会津あいづ鉄道てつどう、肥こえ薩おれんじ鉄道てつどう、えちごトキめき鉄道てつどう日本海にほんかいひすいラインなど）。これは、JRでも主おもに県境けんきょうを跨またぐ区間くかんや路線ろせん末まつ端はしの閑散かんさん区間くかん、交流こうりゅう・直流ちょくりゅう電化でんかの接続せつぞく区間くかんで顕著けんちょに見みられるほか、電化でんかに際さいして高価こうかな電車でんしゃの新しん製せいコストを抑おさえるため、電化でんか以前いぜんから使用しようされていた車両しゃりょうをそのまま使つかい続つづける例れいも見みられる。

戦前せんぜんの日本にっぽんの私鉄してつの中なかには、阿波あわ電気でんき軌道きどうや善光寺ぜんこうじ白馬はくば電鉄でんてつのように将来しょうらいの電化でんかを構想こうそうし、非ひ電化でんかのまま「電気でんき鉄道てつどう（軌道きどう）」や「電鉄でんてつ」を社名しゃめいに冠かんした例れいもあったが、その多おおくは実際じっさいの電化でんかを果はたせないまま、廃止はいしや改名かいめいに追おい込こまれている。また、非ひ電化でんか私鉄してつが既存きそんの電化でんか私鉄してつに合併がっぺいされた結果けっか、電気でんき鉄道てつどう会社かいしゃに所属しょぞくする非ひ電化でんか路線ろせんとなった例れいもある。

関連かんれん項目こうもく

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