賃貸ちんたい住宅じゅうたく

賃貸ちんたい住宅じゅうたく（ちんたいじゅうたく）とは、賃貸借ちんたいしゃくの契約けいやくに基もとづき他人たにんに貸かし出だすことを目的もくてきとした居住きょじゅう用よう建物たてもの全般ぜんぱんを指さす。不動産ふどうさん投資とうしの対象たいしょうとなる物件ぶっけん。

賃貸ちんたい住宅じゅうたくは大別たいべつして以下いかのようなものがある。

1. 新築しんちく時じから貸かし出だし目的もくてきで建築けんちくされるもの。
2. 住宅じゅうたくを購入こうにゅうした後のちに経済けいざい的てきな理由りゆうで手放てばなした物件ぶっけんを新あらたな購入こうにゅう者しゃが直接ちょくせつ住すまうことをせずに家賃やちん収入しゅうにゅうを得えるために一定いっていの要件ようけんで貸かし出だす建物たてもの。
3. 購入こうにゅう後ごに転勤てんきん等とうで直接ちょくせつ居住きょじゅうできず一定いっていの期間きかんだけ不動産ふどうさん業ぎょうに仲介ちゅうかいを依頼いらいし第三者だいさんしゃに貸かし出だす建物たてもの。

概要がいよう

不動産ふどうさん店てんの張はり紙がみ広告こうこく

住宅じゅうたくの所有しょゆう者しゃ（家主やぬし、大家たいか）と居住きょじゅう者しゃ（賃借ちんしゃく人じん、店子たなこ）が契約けいやくを結むすび、所有しょゆう者しゃに毎月まいつきの家賃やちんを払はらって居住きょじゅうする住宅じゅうたく。通常つうじょう、契約けいやく時じに、所有しょゆう者しゃに対たいする礼金れいきん、保証ほしょう金きん、敷金しききんといった費用ひようや、保証人ほしょうにんが必要ひつようとなるが、日本にっぽん国内こくないの商しょう慣習かんしゅうや地域ちいき差さにより前述ぜんじゅつの敷金しききんや礼金れいきんを必要ひつようとしない場合ばあいがある。また、入居にゅうきょ時じの一いち時じ金きんが比較的ひかくてき高額こうがくになるため賃貸ちんたい住宅じゅうたく建設けんせつを主しゅたる業務ぎょうむにしている事業じぎょう所しょでは入居にゅうきょ率りつを上あげるために敷金しききんや礼金れいきんを名目めいもく上じょうでは求もとめず毎月まいつきの家賃やちん分ぶんに計上けいじょうして相殺そうさいする場合ばあいがある。

所有しょゆう者しゃは、民間みんかん（企業きぎょう、個人こじん）と公的こうてき組織そしき（地方自治体ちほうじちたい、住宅供給公社じゅうたくきょうきゅうこうしゃ、都市とし再生さいせい機構きこうなど）に二分にぶんされる。 契約けいやく時じには、所有しょゆう者しゃが公的こうてき組織そしきの場合ばあいは直接ちょくせつ当該とうがい組織そしきと契約けいやくを交かわす形かたちになるが、所有しょゆう者しゃが民間みんかんの場合ばあい、不動産ふどうさん会社かいしゃを通とおして賃借ちんしゃく人じんと大家たいかが契約けいやくを結むすぶ形かたちが多おおい。

年齢ねんれい別べつの賃貸ちんたい住宅じゅうたくの割合わりあい

普通ふつう世帯せたいに占しめる借家しゃくやの割合わりあいを家計かけい主ぬしの年齢ねんれい階級かいきゅう別べつにみると，「25歳さい未満みまん」が95.9％と最もっとも高たかく，次ついで「25～29歳さい」が85.9％，「30～34歳さい」が67.9％などとなっており，年齢ねんれい階級かいきゅうが高たかくなるほど割合わりあいが低ひくくなっている。日本にっぽんでは持もち家いえ信仰しんこうもあり、年齢ねんれいが上あがるにつれて順次じゅんじ賃貸ちんたい住宅じゅうたくから持もち家いえに移行いこうしている。一般いっぱん的てきに35年ねんにもわたる住宅じゅうたくローンの完済かんさい時期じきを定年ていねん時点じてんで終おえることを考慮こうりょすれば、30代だい前半ぜんはんには住宅じゅうたくを購入こうにゅうするべきである。40代だい以降いこうの住宅じゅうたく購入こうにゅうなると、定年ていねんまでの期間きかんが短みじかくなり、老後ろうご資金しきんが大おおきく目減めべりする可能かのう性せいがある。

空あき家や増加ぞうかと家賃やちん下落げらくの関係かんけい性せい

日本にっぽんの人口じんこう減少げんしょうに起因きいんする空あき家やの増加ぞうかと家賃やちんの下落げらくの関係かんけい性せいについて、リクルート住すまい研究所けんきゅうじょ所長しょちょうの宗そう健けんは、「空あき家や率りつが家賃やちんに与あたえる影響えいきょうを試算しさんしたところ、空あき家や率りつが1％上あがると家賃やちんが約やく1％下さがります。その位くらいしか下さがりませんから、空あき家やの増加ぞうかによる家賃やちんの暴落ぼうらくはたぶん起おきないと思おもいます。」と、空あき家や増加ぞうかに伴ともなう家賃やちんの暴落ぼうらくが起おきないことを指摘してきしている。不動産ふどうさん全般ぜんぱんの価格かかく暴落ぼうらくについても、リーマン・ショックなどの非常ひじょうに重大じゅうだいな局面きょくめんですら起おきていないため、不動産ふどうさん価格かかく暴落ぼうらくへの期待きたいや危機きき感かんを煽あおるような主張しゅちょうはかなり信頼しんらい性せいが低ひくい。

賃貸ちんたい住宅じゅうたくへの居住きょじゅうを続つづけるリスク

持もち家いえと比較ひかくして引ひっ越こしが容易たやすかつ長期ちょうきローンの契約けいやくも維持いじ管理かんりも不要ふようで手軽てがるではあるが、老後ろうごも含ふくめた長期間ちょうきかんの居住きょじゅうにおいては下記かきのような多数たすうのリスクが考かんがえられる。可能かのうな限かぎり若年じゃくねんの内うちに持もち家いえを購入こうにゅうする方ほうが、固定こてい資産しさん税ぜいや修繕しゅうぜん費ひを加味かみしても生涯しょうがいの住宅じゅうたく費用ひようを抑おさえられ、老後ろうごの不安ふあんも大幅おおはばに減へる傾向けいこうにある。一般いっぱんには「持もち家いえはファミリー層そうが購入こうにゅうするもの」というイメージがあるため、独身どくしんの場合ばあいは危機きき感かんが持もてず惰性だせいで賃貸ちんたいを継続けいぞくしてしまいがちである。最もっとも一般いっぱん的てきな35年ねんの住宅じゅうたくローンを組くむ場合ばあい、金融きんゆう機関きかんで融資ゆうしを受うけられる年齢ねんれい上限じょうげんが45歳さいまでとなることが一般いっぱん的てきであるが、45歳さいで35年ねんの住宅じゅうたくローンの融資ゆうしを受うけた場合ばあい、老後ろうご資金しきんの大おおきな減少げんしょうを招まねく危険きけん性せいがある（あるいは、定年ていねん時じの完済かんさいを目指めざした住宅じゅうたくローンの繰くり上あげ返済へんさいの場合ばあいには毎月まいつきの支払しはらい負担ふたんが大おおきくなる危険きけん性せいがある）。住宅じゅうたくローンの借かり入いれは長期ちょうきにわたって足枷あしかせになるため無謀むぼうであると言いわれることがあるが、実際じっさいは賃貸ちんたい住宅じゅうたくで家賃やちんの掛かけ捨すてを続つづける方ほうが自身じしんの資産しさんにならない点てんで様々さまざまなリスクを生しょうじることになる。

• 居住きょじゅう者しゃにおいて、同おなじ条件じょうけんで生涯しょうがい掛かかる費用ひようを比較ひかくした場合ばあい、賃貸ちんたい住宅じゅうたくよりも持もち家いえの方ほうが安やすく済すむ。現役げんえき時代じだいは管理かんりの手間てまが掛かからない賃貸ちんたい住宅じゅうたくで暮くらし、定年ていねん時ときに終おわりの棲家とする持もち家いえを一括払いっかつばらいで買かうという折衷せっちゅう案あんとした場合ばあいでも、早期そうきの持もち家いえ購入こうにゅうと比較ひかくすれば家賃やちんの掛かけ捨すてをした分ぶんだけ無駄むだな費用ひようを生しょうじやすい。従したがって、「転勤てんきん族ぞくで頻繁ひんぱんな引ひっ越こしが必要ひつよう」などの賃貸ちんたい住宅じゅうたくのメリットが活かつかせるような理由りゆうも無ないままに賃貸ちんたい住宅じゅうたくに長年ながねん住すみ続つづけることは大おおきな金銭きんせん的てき損失そんしつを招まねく。
• 老後ろうごに賃貸ちんたい住宅じゅうたくが借かりられなくなる可能かのう性せいがある。大家たいかは居住きょじゅう者しゃの死亡しぼうによる事故じこ物件ぶっけん化かや遺品いひんの整理せいり、警察けいさつや行政ぎょうせい関係かんけい者しゃへの連絡れんらくなどの後始末あとしまつを何なによりも嫌きらうため、「人口じんこう減少げんしょうにより将来しょうらい的てきに空あき家やが増加ぞうかして高齢こうれい者しゃも賃貸ちんたい住宅じゅうたくを借かりやすくなる」といった予測よそくには何なんら明確めいかくな根拠こんきょがない。更さらに独身どくしんであれば入居にゅうきょに必要ひつような連帯れんたい保証人ほしょうにんを立たてることが難むずかしくなる場合ばあいもある。独身どくしんで賃貸ちんたい住宅じゅうたくへの入居にゅうきょを続つづける場合ばあい、殆ほとんどの場合ばあいで身元みもと保証ほしょう会社かいしゃのサービスに加入かにゅうする必要ひつようがあるが、現役げんえき時代じだいにその費用ひようまで貯蓄ちょちくしなければならない（数すう百ひゃく万まん単位たんいの資金しきんが必要ひつよう）。
• 老後ろうごに賃貸ちんたい住宅じゅうたくが借かりられても収入しゅうにゅうが大幅おおはばに減少げんしょうしているため家賃やちんの支払しはらいが難むずかしくなる可能かのう性せいがある。この場合ばあい、収入しゅうにゅうに対たいする家賃やちんの負担ふたんが大おおきくなり困窮こんきゅうした生活せいかつを送おくることになるか、老後ろうご破産はさんの後のちに住居じゅうきょを失うしなう（あるいは生活せいかつ保護ほご受給じゅきゅう者しゃとなる）危険きけん性せいが高たかい。生涯しょうがい賃貸ちんたいを選択せんたくした場合ばあいに定年ていねんまでに必要ひつような貯蓄ちょちく額がくは家賃やちんを含ふくめた老後ろうご資金しきんとして約やく5,000万まん円えんが必要ひつようとの試算しさんがあり、持もち家いえ前提ぜんていで最低限さいていげん必要ひつような老後ろうご資金しきんである約やく2,000万まん円えんと比較ひかくした場合ばあいには、約やく3,000万まん円えんもの差額さがくが生しょうじる。従したがって、老後ろうごに掛かかる家賃やちんだけで一般いっぱん的てきな持もち家いえが土地とち付つきで買かえることになる。更さらにインフレリスクを考慮こうりょすると、持もち家いえ派はより倍額ばいがく以上いじょうという前提ぜんていで、より多おおくの老後ろうご資金しきんの積つみ立たてが必要ひつようになる危険きけん性せいもある。

上記じょうきのリスクにより、持もち家いえに掛かかる固定こてい資産しさん税ぜいや修繕しゅうぜん費ひを加味かみしたとしても(そもそも固定こてい資産しさん税ぜいや修繕しゅうぜん費ひは家賃やちんに含ふくまれており、賃貸ちんたい住宅じゅうたくに住すむことで支払しはらいを回避かいひできるわけではない)、定年ていねん前まえの段階だんかいで（それも可能かのうな限かぎり早はやくに）賃貸ちんたい住宅じゅうたくへの入居にゅうきょを止とめて残ざん債さいの無ない状態じょうたいの持もち家いえを所有しょゆうする方ほうが、賃貸ちんたいを続つづけるより無駄むだな出費しゅっぴが少すくない上うえに、非常ひじょうに有効ゆうこうな老後ろうご対策たいさくにもなる。持もち家いえ購入こうにゅうを見送みおくる根拠こんきょの1つに挙あがりやすい不動産ふどうさん全般ぜんぱんの価格かかく暴落ぼうらくの可能かのう性せいについても、リーマン・ショックなどの非常ひじょうに重大じゅうだいな局面きょくめんですら起おきていないため殆ほとんど期待きたいできず、単たんに持もち家いえ購入こうにゅうを遅おくらせるだけで金利きんり上昇じょうしょう，家賃やちんの掛かけ捨すて，住宅じゅうたくローン完済かんさい時期じきの遅おくれ（定年ていねん後ごにローン支払しはらいで困窮こんきゅうする）などの余計よけいなリスクを抱かかえることになる。

形態けいたい

• 賃貸ちんたい集合しゅうごう住宅じゅうたく
  • 賃貸ちんたいアパート
  • 賃貸ちんたいマンション
    • ワンルームマンション
    • ファミリー向むけ
  • （短期たんき賃貸ちんたいマンション = ウイークリーマンション、マンスリーマンションの類るい）
• 貸家かしや（一戸建いっこだての賃貸ちんたい住宅じゅうたく）
• 貸かし室しつ（分譲ぶんじょうマンションの1室しつを賃貸ちんたい）

関連かんれん項目こうもく

• 都市とし再生さいせい機構きこう（UR賃貸ちんたい住宅じゅうたく、旧きゅう公団こうだん住宅じゅうたく）
• 地方ちほう住宅供給公社じゅうたくきょうきゅうこうしゃ
• 公営こうえい住宅じゅうたく
• 不動産ふどうさん会社かいしゃ
• 地上ちじょう権けん
• 借地しゃくち借家しゃくや法ほう
• 借家しゃくや人じん運動うんどう
• 家賃やちん保証ほしょう会社かいしゃ
• 持家もちいえ派は