富士山 ふじさん
山 やま (やま)とは、周囲 しゅうい よりも高 たか く盛 も り上 あ がった地形 ちけい や場所 ばしょ のことをいう。地形 ちけい 学 がく では丘陵 きゅうりょう や「台地 だいち 」よりも周囲 しゅうい との相対 そうたい 的 てき 高度 こうど 差 さ (比 ひ 高 だか )や起伏 きふく が大 おお きいものを指 さ す。平地 ひらち と比 くら べ、傾斜 けいしゃ した地形 ちけい から成 な る[注 ちゅう 1] 。
蓼科山 たてしなやま
周囲 しゅうい とどの程度 ていど の高度 こうど 差 さ があれば山 やま と呼 よ ぶかについては、国 くに や地域 ちいき ごとの習慣 しゅうかん 、領域 りょういき や研究 けんきゅう 者 しゃ ごとに差異 さい があり、一概 いちがい に決 き まっているわけではない。たとえば日常 にちじょう 生活 せいかつ で人々 ひとびと は、ある盛 も り上 あ がった地形 ちけい を指 さ して、同 おな じ人々 ひとびと が、あるときは「山 やま 」と呼 よ んでみたり、またあるときは丘陵 きゅうりょう 、丘 おか 、岡 おか などと呼 よ んだりすることがあり、区別 くべつ は必 かなら ずしも明確 めいかく でない。
ブリタニカ百科 ひゃっか 事典 じてん では、相対 そうたい 的 てき に2,000フィート (610m)の高 たか さを持 も つものを山 やま としている。
国際 こくさい 連合 れんごう 環境 かんきょう 計画 けいかく において定義 ていぎ された「山岳 さんがく 環境 かんきょう 」は、以下 いか のいずれかの条件 じょうけん を満 み たす地点 ちてん を山岳 さんがく と定義 ていぎ している[2] 。
高度 こうど が少 すく なくとも2,500m以上 いじょう ある。
仰角 ぎょうかく が2度 ど を越 こ え、高度 こうど が少 すく なくとも1,500m以上 いじょう ある。
仰角 ぎょうかく が5度 ど を越 こ え、高度 こうど が少 すく なくとも1,000m以上 いじょう ある。
周囲 しゅうい 半径 はんけい 7km以内 いない で300m以上 いじょう 高度 こうど が上 あ がっている場合 ばあい 、高度 こうど が少 すく なくとも300m以上 いじょう ある。
この定義 ていぎ を使用 しよう した場合 ばあい 、山岳 さんがく 地帯 ちたい はユーラシアの33%、北 きた アメリカの24%、南 みなみ アメリカの19%、そしてアフリカの14%を占 し めている[3] 。また、地上 ちじょう の全 ぜん 陸地 りくち 面積 めんせき のおよそ24%が山岳 さんがく 地帯 ちたい と定義 ていぎ されることになる[4] 。日本 にっぽん では、国土 こくど 地理 ちり 院 いん が地図 ちず に示 しめ す名称 めいしょう に「山 やま 」をつける場合 ばあい 、地方自治体 ちほうじちたい の申請 しんせい をもって表示 ひょうじ するとしている[5] 。
山 やま の複 ふく 合 あい 的 てき なものを山岳 さんがく (連山 れんざん 、山地 さんち 、山脈 さんみゃく )と呼 よ ぶ[注 ちゅう 2] 。通常 つうじょう 、陸上 りくじょう のものは単 たん に「山 やま 」といい、海中 かいちゅう の山 やま は海山 みやま と言 い う。
起伏 きふく の程度 ていど によって分類 ぶんるい する方法 ほうほう もあり、低 てい 山 やま 性 せい 山地 さんち 、中山 なかやま 性 せい 山地 さんち 、高山 たかやま 性 せい 山地 さんち に分類 ぶんるい される。山地 さんち を形成 けいせい した営力によって分類 ぶんるい する方法 ほうほう もあり、
火山 かざん 作用 さよう で形成 けいせい された山地 さんち (火山 かざん 性 せい 山地 さんち )
浸食 しんしょく 作用 さよう で形成 けいせい された山地 さんち (残存 ざんそん 山地 さんち あるいは浸食 しんしょく 山地 さんち )
地殻 ちかく 運動 うんどう によって形成 けいせい された山地 さんち
などに大 おお きく分類 ぶんるい される。そしてそれらがまたさまざまな観点 かんてん から分類 ぶんるい されている。
1.の火山 かざん 性 せい 山地 さんち は、形態 けいたい や構造 こうぞう によって単式 たんしき 火山 かざん と複式 ふくしき 火山 かざん (複 ふく 成 なり 火山 かざん とも)に分類 ぶんるい される。単式 たんしき 火山 かざん には成層 せいそう 火山 かざん 、楯 だて 状 じょう 火山 かざん などが含 ふく まれ、複式 ふくしき 火山 かざん にはカルデラ や複数 ふくすう の単式 たんしき 火山 かざん の複 ふく 合 あい などが含 ふく まれる。そしてカルデラ火山 かざん はさらに二 に 重 じゅう 式 しき 火山 かざん や三重 みえ 式 しき 火山 かざん に分類 ぶんるい される。また火山 かざん 性 せい 山地 さんち はその噴出 ふんしゅつ 場所 ばしょ によって陸上 りくじょう 火山 かざん 、海底 かいてい 火山 かざん 、氷 こおり 底 そこ 火山 かざん に分類 ぶんるい される。
2.の浸食 しんしょく 山地 さんち の分類 ぶんるい としては、湿潤 しつじゅん 地域 ちいき で生 しょう じる「残 ざん 丘 おか 」、乾燥 かんそう 地域 ちいき で生 しょう じるインゼルベルク やボルンハルト がある。
3.のタイプの山地 さんち はさらに、褶曲 しゅうきょく 山地 さんち (しゅうきょく - )、曲 きょく 隆 たかし 山地 さんち 、ドーム状 じょう 山地 さんち 、断層 だんそう 山地 さんち 、傾 かたぶけ 動 どう 山地 さんち などに分類 ぶんるい できる[注 ちゅう 3] 。なお、人工 じんこう 的 てき に作 つく った山 やま は築山 つきやま という。
ヒマラヤ山脈 ひまらやさんみゃく
山 やま の高 たか さ(標高 ひょうこう )は、海面 かいめん の延長 えんちょう であるジオイド からの距離 きょり とすることが一般 いっぱん 的 てき であり、これを海抜 かいばつ (かいばつ)と言 い う。
地球 ちきゅう 上 うえ の最高峰 さいこうほう (もっとも高 たか い山 やま )はヒマラヤ山脈 ひまらやさんみゃく のエベレスト (海抜 かいばつ 8,848m)とされている[6] が、海抜 かいばつ 以外 いがい の指標 しひょう により最高峰 さいこうほう を選 えら ぶことも可能 かのう である。たとえば、地球 ちきゅう 中心 ちゅうしん から見 み た最高峰 さいこうほう は南米 なんべい アンデス山脈 あんですさんみゃく のチンボラソ山 さん (海抜 かいばつ 6,310m)である[7] 。
地球 ちきゅう は自転 じてん の遠心 えんしん 力 りょく により回転 かいてん 楕円 だえん 体 たい となっていて、赤道 あかみち 付近 ふきん がふくらんでいる。そのため、赤道 せきどう からわずか150kmにあるチンボラソ山 さん は、エベレストより2,150mも地球 ちきゅう 中心 ちゅうしん から見 み て高 たか くなっている。ハワイ のマウナ・ケア も海抜 かいばつ では4,205mだが、太平洋 たいへいよう 底 そこ から一気 いっき に10,203mもせり上 あ がっており、基盤 きばん 部分 ぶぶん からの標高 ひょうこう では世界 せかい 最高峰 さいこうほう となっている[8] 。
日本 にっぽん 国内 こくない では、最高峰 さいこうほう は富士山 ふじさん (標高 ひょうこう 3,776m)である。対 たい してもっとも低 ひく い山 やま は仙台 せんだい 市 し の日和山 ひよりやま (標高 ひょうこう 3m)[9] であるが、山 やま の定義 ていぎ や地形 ちけい 学 がく 的 てき 分類 ぶんるい あるいは地図 ちず 作成 さくせい 測量 そくりょう によりとらえ方 かた はさまざまであり、もっとも低 ひく い山 やま の決定 けってい が難 むずか しい。
地球 ちきゅう 以外 いがい の天体 てんたい では、ジオイドに相当 そうとう する面 めん からの距離 きょり を標高 ひょうこう とする。ただし、地球 ちきゅう 以外 いがい の天体 てんたい には海面 かいめん がないので、天体 てんたい ごとに恣意 しい 的 てき に定義 ていぎ する。たとえば、火星 かせい でジオイドに相当 そうとう するアレイドは、温度 おんど 0.01℃ で気圧 きあつ 610.5パスカル となる面 めん である。日本語 にほんご では地球 ちきゅう 上 じょう 、地球 ちきゅう 外 がい ともに「山 やま 」であるが、英語 えいご ではMonsといい、地球 ちきゅう の山 やま と区別 くべつ される。
なお、太陽系 たいようけい で知 し られている最高峰 さいこうほう は火星 かせい のオリンポス山 さん であり、標高 ひょうこう は約 やく 27,000m(27km)に達 たっ する。火星 かせい にはこのほかにもアルシア山 さん (標高 ひょうこう 19km)やアスクレウス山 さん (標高 ひょうこう 18km)、パボニス山 さん (標高 ひょうこう 14km)といった、地球 ちきゅう よりもはるかに高 たか い火山 かざん が存在 そんざい するが、これは火星 かせい にプレートテクトニクスが存在 そんざい せず、マグマの吹 ふ き出 だ すホットスポット が移動 いどう しないため溶岩 ようがん が同 おな じ場所 ばしょ に堆積 たいせき し続 つづ けたためと考 かんが えられている。
北 きた 太平洋 たいへいよう 海底 かいてい の地形 ちけい 図 ず 。画像 がぞう 右 みぎ 下 か のハワイ諸島 しょとう から西 にし に向 む けて北西 ほくせい ハワイ諸島 しょとう 、さらに北 きた に向 む きを変 か えて天皇 てんのう 海山 うみやま 群 ぐん と呼 よ ばれる島 しま および海山 みやま の列 れつ が確認 かくにん できる。
山 やま は、大陸 たいりく 移動 いどう (プレート移動 いどう ) にともなう褶曲 しゅうきょく や断層 だんそう 運動 うんどう 、隆起 りゅうき 、火山 かざん 活動 かつどう などの地理 ちり 的 てき 要因 よういん により形成 けいせい される。
このうち、もっとも大 だい 規模 きぼ な山岳 さんがく 形成 けいせい はプレート移動 いどう によってなされ、世界 せかい の2大 だい 造山 つくりやま 帯 たい であるアルプス・ヒマラヤ造山 つくりやま 帯 たい と環太平洋 かんたいへいよう 造山 つくりやま 帯 たい はいずれもプレート移動 いどう により形成 けいせい されたものである。アルプス ・ヒマラヤ 造山 つくりやま 帯 たい に属 ぞく するヒマラヤ山脈 ひまらやさんみゃく やアルプス山脈 あるぷすさんみゃく は、かつて2つの大陸 たいりく プレートに挟 はさ まれた浅 あさ い海 うみ だったが、大陸 たいりく プレート同士 どうし の衝突 しょうとつ により地面 じめん が押 お し上 あ げられて成立 せいりつ した。このような山 やま の成立 せいりつ 過程 かてい を造山 つくりやま 運動 うんどう という。ロシア のウラル山脈 さんみゃく や北米 ほくべい 東岸 とうがん のアパラチア山脈 さんみゃく は、ずっと以前 いぜん の造山 つくりやま 運動 うんどう の痕跡 こんせき である(造山 つくりやま 運動 うんどう 終了 しゅうりょう 後 ご に浸食 しんしょく などで削 けず られた)。環太平洋 かんたいへいよう 造山 つくりやま 帯 たい は太平洋 たいへいよう プレート が各 かく 大陸 たいりく プレートに沈 しず み込 こ みを起 お こして形成 けいせい されるものであり、その名 な の通 とお りアンデス山脈 あんですさんみゃく やロッキー山脈 さんみゃく 、日本 にっぽん 列島 れっとう など太平洋 たいへいよう を取 と り囲 かこ むようにして大 だい 山脈 さんみゃく が連続 れんぞく する形 かたち になっている。
この2つの造山 つくりやま 帯 たい はいずれもプレート同士 どうし の衝突 しょうとつ によって形成 けいせい されるものだが、そのほかにプレートが生 う み出 だ され広 ひろ がり続 つづ ける発散 はっさん 型 がた 境界 きょうかい においても山脈 さんみゃく が形成 けいせい される。この発散 はっさん 型 がた 境界 きょうかい の多 おお くは海底 かいてい に存在 そんざい し、海嶺 かいれい と呼 よ ばれることが多 おお い。大西洋 たいせいよう を南北 なんぼく に貫 つらぬ く大西洋 たいせいよう 中央 ちゅうおう 海嶺 かいれい などが代表 だいひょう 例 れい である。
火山 かざん の多 おお くはプレートの拡大 かくだい もしくは収縮 しゅうしゅく 地点 ちてん の側 がわ に存在 そんざい し、そのため上記 じょうき 造山 つくりやま 帯 たい の付近 ふきん にほとんどの火山 かざん が存在 そんざい するものの、まれにプレート境界 きょうかい とはまったく関係 かんけい ない場所 ばしょ においてマグマ が継続 けいぞく 的 てき に供給 きょうきゅう され火山 かざん が成立 せいりつ する場合 ばあい がある。これはホットスポット と呼 よ ばれ、ハワイ島 とう のマウナ・ケアなどが代表 だいひょう 例 れい である。このホットスポットはプレートの動 うご きとは無関係 むかんけい であるため、プレートが移動 いどう してもその地点 ちてん に山岳 さんがく を形成 けいせい し続 つづ ける。古 ふる い火山 かざん 島 とう はホットスポットから離 はな れるにしたがって波 なみ や風 ふう 、雨 あめ などによって浸食 しんしょく されていき、やがて海面 かいめん 下 か に没 ぼっ して海山 みやま となる[12] 。
断層 だんそう 運動 うんどう により断層 だんそう 面 めん から見 み た一方 いっぽう が上昇 じょうしょう または下降 かこう することにより山 やま が形成 けいせい されることもあり、例 れい としては日本 にっぽん の六甲山地 ろっこうさんち [13] や養老山地 ようろうさんち などがある。地殻 ちかく 変動 へんどう にともなって地面 じめん が上昇 じょうしょう する隆起 りゅうき により山 やま が形成 けいせい された例 れい には、日本 にっぽん の北上 ほくじょう 山地 さんち 、阿武隈高地 あぶくまこうち などがある。
火山 かざん 活動 かつどう を成因 せいいん とする山 やま は、富士山 ふじさん や阿蘇山 あそさん のような活火山 かっかざん のほか、荒島岳 あらしまだけ のようにかつての火山 かざん が浸食 しんしょく されてできたものもある。
上記 じょうき のようにして形成 けいせい された山 やま は、またさまざまな理由 りゆう によって次第 しだい に低 ひく くなっていく。山 やま を形成 けいせい している岩石 がんせき は、山 やま の厳 きび しい気候 きこう や長 なが い年月 としつき などによって風化 ふうか していき、その積 つ み重 かさ ねによって山 やま は低 ひく くなっていく。また、浸食 しんしょく も山 やま を低 ひく くしていく大 おお きな要因 よういん の一 ひと つである。寒冷 かんれい 地 ち や高山 たかやま において形成 けいせい される氷河 ひょうが は、山 やま を侵食 しんしょく する大 おお きな原因 げんいん の一 ひと つである。より温暖 おんだん な地方 ちほう においては、河川 かせん が主 おも な山 やま 体 たい 浸食 しんしょく の原因 げんいん となる。このほか、風 ふう による風食 ふうしょく も浸食 しんしょく の要因 よういん となるが、氷河 ひょうが や河川 かせん に比 くら べればその役割 やくわり は小 ちい さなものである。また、地 じ すべりや崖崩 がけくず れなどによってより急激 きゅうげき に山 やま 体 たい が変化 へんか することもある。
山 やま の部分 ぶぶん 名称 めいしょう [ 編集 へんしゅう ]
上 うえ の部分 ぶぶん - 山頂 さんちょう 、頂 いただき (いただき)、剣 けん が峰 みね (けんがみね、火山 かざん の噴火口 ふんかこう の周縁 しゅうえん ・富士 ふじ 山頂 さんちょう )、山巓 さんてん (さんてん)
中間 ちゅうかん 部分 ぶぶん - 山腹 さんぷく (さんぷく)、中腹 ちゅうふく (ちゅうふく)
下 した の部分 ぶぶん - 山麓 さんろく (さんろく)、麓 ふもと (ふもと)、山 やま すそ
山 やま はそれぞれ特徴 とくちょう のある形状 けいじょう であり、それにちなんだ山名 やまな のものもある。
深田 ふかた 久弥 ひさや は『日本 にっぽん 百名山 ひゃくめいざん 』の著書 ちょしょ などで、それぞれの山 やま (槍ヶ岳 やりがだけ 、開聞岳 かいもんだけ 、恵那山 えなさん 、鹿島槍ヶ岳 かしまやりがだけ など)の山容 さんよう の特徴 とくちょう について詳 くわ しく記載 きさい している。
山 やま の形状 けいじょう の例 れい は以下 いか となる。
鋭 するど く尖 とが った山容 さんよう
槍ヶ岳 やりがたけ 、剱岳 、宝剣岳 ほうけんだけ 、利尻山 りしりざん 、冠山 かんざん 、高千穂峰 たかちほのみね など
円錐 えんすい 形 かたち
成層 せいそう 火山 かざん の富士山 ふじさん 、後方 こうほう 羊蹄山 ようていざん 、開聞岳 かいもんだけ など
なだらかな山容 さんよう
櫛 くし 形 かたち の櫛形山 くしがたやま 、恵那山 えなさん 、御池 おいけ 岳 たけし など
双 そう 耳 みみ 峰 ほう
2つの顕著 けんちょ なピークからなる鹿島槍ヶ岳 かしまやりがだけ 、笊ヶ岳 ざるががたけ 、池口 いけぐち 岳 たけし 、天狗岳 てんぐだけ 、由布岳 ゆふだけ など
山 やま の気候 きこう と生物 せいぶつ [ 編集 へんしゅう ]
タトラ山脈 さんみゃく (ザコパネ 、ポーランド)
山 やま の気候 きこう は平地 ひらち と大 おお きく異 こと なる。山 やま では気象 きしょう が変化 へんか しやすく、風 ふう も強 つよ く、降水 こうすい 量 りょう も多 おお い[20] 。山 やま は起伏 きふく が激 はげ しいため地上 ちじょう 付近 ふきん の暖 あたた かい空気 くうき と高所 こうしょ の寒 さむ い空気 くうき が混 ま じりあい、雲 くも が発生 はっせい しやすいためである。
また、標高 ひょうこう が100m上昇 じょうしょう するごとに気温 きおん は0.6度 ど (摂氏 せっし )低 ひく くなるとされており、そのため、標高 ひょうこう が高 たか くなれば植生 しょくせい や生態 せいたい 系 けい も異 こと なってくる。標高 ひょうこう が上 あ がるにつれて植生 しょくせい はより寒冷 かんれい に適応 てきおう したものとなっていくため、山麓 さんろく の低地 ていち が熱帯 ねったい であるのに山頂 さんちょう の植生 しょくせい が温帯 おんたい 性 せい や冷 ひや 帯 たい 性 せい を示 しめ したり、さらには森林 しんりん の生育 せいいく できる温度 おんど を下回 したまわ ってしまいツンドラ や氷河 ひょうが が広 ひろ がっているということもありうる。
例 れい として、ほぼ赤道 あかみち 直下 ちょっか にあるキリマンジャロ 山 やま においては、山麓 さんろく の標高 ひょうこう 1,900mくらいまではサバンナ が広 ひろ がっているのに対 たい し、標高 ひょうこう 2,500m程度 ていど までは熱帯 ねったい 雨林 うりん 、3,000m付近 ふきん までは雲霧 くもぎり 林 りん となり、それより上 うえ になると森林 しんりん 限界 げんかい を迎 むか えてしまうため樹木 じゅもく が生育 せいいく できず、まばらな低木 ていぼく や草原 そうげん が広 ひろ がるようになる。4,400m以上 いじょう では植物 しょくぶつ の生育 せいいく が不可能 ふかのう になり、5,500m以上 いじょう では赤道 せきどう 直下 ちょっか にもかかわらず氷河 ひょうが が存在 そんざい する。
特 とく に海抜 かいばつ 数 すう 千 せん メートルの高山 こうざん では気象 きしょう 環境 かんきょう は過酷 かこく であり、ある程度 ていど の標高 ひょうこう 以上 いじょう では気温 きおん が低 ひく すぎてもはや樹木 じゅもく が生育 せいいく できず、そのような環境 かんきょう に適応 てきおう した特殊 とくしゅ な植物 しょくぶつ ・動物 どうぶつ が生息 せいそく している。これを高山 たかやま 植物 しょくぶつ ・高山 たかやま 動物 どうぶつ という。この樹木 じゅもく が生育 せいいく できなくなる地点 ちてん のことを森林 しんりん 限界 げんかい というが、これは基本 きほん 的 てき には標高 ひょうこう によって決定 けってい されるものの、その地表 ちひょう の諸 しょ 条件 じょうけん に大 おお きく左右 さゆう されるために、必 かなら ずしも直線 ちょくせん 的 てき に限界 げんかい 線 せん が続 つづ いているわけではない。
また、森林 しんりん 限界 げんかい は気温 きおん によって左右 さゆう されるため、場所 ばしょ によってその高度 こうど は大 おお きく異 こと なり、基本 きほん 的 てき には緯度 いど が低 ひく いほど森林 しんりん 限界 げんかい の高度 こうど は高 たか く、緯度 いど が高 たか いほどその高度 こうど は低 ひく くなる。寒帯 かんたい にある山岳 さんがく の場合 ばあい 、麓 ふもと から山頂 さんちょう までツンドラや氷雪 ひょうせつ に覆 おお われていることは珍 めずら しくない。
また、標高 ひょうこう の高 たか い山岳 さんがく においては斜面 しゃめん に雨雲 あまぐも がぶつかるため、山麓 さんろく に降雨 こうう をもたらすことが多 おお い。この場合 ばあい 、山脈 さんみゃく を越 こ えた空気 くうき は乾燥 かんそう することとなり、山 やま の反対 はんたい 側 がわ にフェーン現象 げんしょう をもたらすことがある。
また、海岸 かいがん から高 たか い山脈 さんみゃく にさえぎられた反対 はんたい 側 がわ では山脈 さんみゃく の方 ほう から吹 ふ き込 こ む卓越 たくえつ 風 ふう の風下 かざしも となり、すでに水分 すいぶん のほとんどを雨 あめ として落 お としてしまっているため、極度 きょくど に乾燥 かんそう した気候 きこう となることがある。これを雨 あめ 陰 かげ 効果 こうか と呼 よ び、タクラマカン砂漠 さばく やグレートベースン などがこの要因 よういん によって砂漠 さばく となっている。逆 ぎゃく に山岳 さんがく の風上 かざかみ 側 がわ においては乾燥 かんそう 地 ち においても降雨 こうう をもたらすことはよくある。
山 やま の神 かみ (新潟 にいがた 県 けん 見附 みつけ 市 し )
古代 こだい 史 し において「山 やま は隔 へだ て、海 うみ は結 むす ぶ」という言葉 ことば があるように、海 うみ は交通 こうつう 路 ろ として遠隔 えんかく 地 ち を結 むす びつける役割 やくわり を果 は たす一方 いっぽう 、山 やま は逆 ぎゃく に交通 こうつう の障害 しょうがい として隣接 りんせつ する地域 ちいき 同士 どうし を隔 へだ てる役割 やくわり を持 も った。近代 きんだい に入 はい り交通 こうつう 網 もう が整備 せいび されるようになるまで山 やま 、特 とく に山脈 さんみゃく は人々 ひとびと の交流 こうりゅう を妨 さまた げることが多 おお く、山脈 さんみゃく を一 ひと つ隔 へだ てた両側 りょうがわ で文化 ぶんか 、さらには言語 げんご や民族 みんぞく にいたるまで異 こと なっていることは珍 めずら しいことではなかった。こうしたことから自治体 じちたい や国家 こっか の境界 きょうかい 線 せん は山 やま の尾根 おね の線 せん に置 お かれることが多 おお くなっており、地政学 ちせいがく においても山岳 さんがく はしばしば望 のぞ ましい自然 しぜん 国境 こっきょう であるとみなされている[26] [27] 。
居住 きょじゅう と利用 りよう [ 編集 へんしゅう ]
国際 こくさい 連合 れんごう 環境 かんきょう 計画 けいかく が定義 ていぎ した山岳 さんがく の条件下 じょうけんか では、世界 せかい 陸地 りくち 面積 めんせき の24%が山岳 さんがく となっており、世界 せかい 人口 じんこう の12%がその地帯 ちたい に居住 きょじゅう している。地球 ちきゅう 上 じょう の陸地 りくち 面積 めんせき の7%が標高 ひょうこう 2,500m以上 いじょう の高度 こうど に属 ぞく し、およそ1億 おく 4,000万 まん 人 にん がその高度 こうど 帯 たい に居住 きょじゅう している[29] 。標高 ひょうこう 3,000m以上 いじょう の土地 とち にはおよそ200万 まん から300万 まん 人 にん が居住 きょじゅう している[30] 。こうした山岳 さんがく 居住 きょじゅう 人口 じんこう のおよそ半分 はんぶん はアンデス、中央 ちゅうおう アジア、およびアフリカに居住 きょじゅう している。
インフラへのアクセスが限 かぎ られるために、高度 こうど 4,000m以上 いじょう の地帯 ちたい には少数 しょうすう の居住 きょじゅう 者 しゃ しか存在 そんざい しないが、4,150mの地点 ちてん にあるボリビアのエルアルト 市 し は例外 れいがい であり、盛 さか んな商業 しょうぎょう と多様 たよう な工業 こうぎょう 、そしてほぼ100万 まん 人 にん の人口 じんこう を有 ゆう する[31] 。
世界 せかい でもっとも高 たか い地点 ちてん に存在 そんざい する都市 とし はペルーのラ・リンコナダ であり、標高 ひょうこう 5,100mの地点 ちてん に位置 いち する金 きむ 鉱山 こうざん の都市 とし である[32] 。
ヒトの定住 ていじゅう が可能 かのう である高度 こうど は約 やく 5,950mが限度 げんど とされている[33] 。標高 ひょうこう の非常 ひじょう に高 たか い場所 ばしょ では、呼吸 こきゅう のために必要 ひつよう な酸素 さんそ が非常 ひじょう に少 すく なく、また日光 にっこう に含 ふく まれる紫外線 しがいせん からもあまり保護 ほご されない。特 とく に標高 ひょうこう 8,000m以上 いじょう の地点 ちてん では人類 じんるい の生息 せいそく に必要 ひつよう なだけの酸素 さんそ が存在 そんざい しない。この高度 こうど の地帯 ちたい はデスゾーン と呼 よ ばれ[34] 、エベレストやK2の山頂 さんちょう がこれに含 ふく まれる。
ヒトにとって山 やま は必 かなら ずしも生活 せいかつ しやすい場所 ばしょ ではない。気象 きしょう 変動 へんどう は激 はげ しく、さらに標高 ひょうこう が高 たか くなると空気 くうき が薄 うす くなり酸素 さんそ が不足 ふそく するため、約 やく 2,500m付近 ふきん からは高山病 こうざんびょう にかかるものもあらわれはじめる。山岳 さんがく の大 だい 部分 ぶぶん は地面 じめん が傾斜 けいしゃ しているため、居住 きょじゅう にはあまり適 てき さず、また広 ひろ い平地 ひらち を確保 かくほ できないために大 だい 規模 きぼ な農地 のうち を設 もう けることが難 むずか しく、食料 しょくりょう 生産 せいさん 効率 こうりつ も低地 ていち に比 くら べ一般 いっぱん に劣 おと る。
一方 いっぽう で、山岳 さんがく は決 けっ して不毛 ふもう の地 ち ではなく、豊 ゆた かな植生 しょくせい に恵 めぐ まれ動物 どうぶつ や植物 しょくぶつ が豊富 ほうふ なところも多 おお いことから、山岳 さんがく 地帯 ちたい に居住 きょじゅう する人々 ひとびと もかなりの数 かず にのぼる。可耕地 かこうち に乏 とぼ しい日本 にっぽん の山村 さんそん において山 やま は材木 ざいもく や燃料 ねんりょう などの林産物 りんさんぶつ を産出 さんしゅつ し、狩猟 しゅりょう や交易 こうえき 、鉱山 こうざん の経営 けいえい など山 やま 稼 かせ ぎは山村 さんそん の生業 せいぎょう における重要 じゅうよう な要素 ようそ であった。また、傾斜 けいしゃ の緩 ゆる やかな地点 ちてん を切 き り開 ひら いて焼畑 やきばた を行 おこな ったり、段々畑 だんだんばたけ 、棚田 たなだ を建設 けんせつ して農耕 のうこう を行 おこな うことも世界中 せかいじゅう に広 ひろ くみられる。
また、特 とく に低 てい 緯度 いど 地帯 ちたい においては標高 ひょうこう の高 たか い山岳 さんがく 地帯 ちたい は気温 きおん の高 たか い低地 ていち に比 くら べ温和 おんわ な気候 きこう となるため、標高 ひょうこう による空気 くうき の薄 うす さを考慮 こうりょ しても必 かなら ずしも暮 く らしにくい地域 ちいき ではない。このため、アンデス山脈 あんですさんみゃく やメキシコ高原 こうげん 、エチオピア高原 こうげん といった地域 ちいき は古 ふる くから栄 さか え、独自 どくじ の文明 ぶんめい を築 きず いてきた。現代 げんだい においてもこれら地域 ちいき は大 おお きな人口 じんこう を抱 かか え、メキシコシティ やボリビア のラパス 、エチオピア のアジスアベバ などの大都市 だいとし も存在 そんざい している。
また、ユーラシア大陸 たいりく 中央 ちゅうおう 部 ぶ のチベット高原 こうげん は標高 ひょうこう が高 たか く寒冷 かんれい な地域 ちいき であるが、牧畜 ぼくちく を中心 ちゅうしん に古 ふる くから人類 じんるい が居住 きょじゅう し、一 ひと つの文化 ぶんか 圏 けん を形成 けいせい してきた。こうした山岳 さんがく 地 ち においては標高 ひょうこう によって気温 きおん が変 か わるため土地 とち 利用 りよう が異 こと なっており、特 とく にアンデス山脈 あんですさんみゃく においてはやや標高 ひょうこう の低 ひく く温暖 おんだん な地域 ちいき ではトウモロコシ 、やや標高 ひょうこう の高 たか い地域 ちいき ではジャガイモ 、それより標高 ひょうこう の高 たか い地域 ちいき では放牧 ほうぼく を行 おこな うなど、高度 こうど によって明確 めいかく に異 こと なった土地 とち 利用 りよう を行 おこな っている。
このほか、人々 ひとびと が山岳 さんがく 地帯 ちたい に居住 きょじゅう する理由 りゆう としては鉱物 こうぶつ 資源 しげん の存在 そんざい がある。農耕 のうこう に不適 ふてき で本来 ほんらい 人間 にんげん が居住 きょじゅう できない地点 ちてん においても、高価 こうか な鉱物 こうぶつ 資源 しげん の存在 そんざい によって鉱山 こうざん が開 ひら かれ多 おお くの人々 ひとびと が生活 せいかつ していることは珍 めずら しくない。
世界 せかい の河川 かせん の多 おお くは山岳 さんがく 地帯 ちたい を源流 げんりゅう としており、山岳 さんがく に降 ふ り積 つ もった雪 ゆき は下流 かりゅう の住民 じゅうみん のために水 みず を貯蔵 ちょぞう する機能 きのう を果 は たしている[38] 。人類 じんるい の半数 はんすう 以上 いじょう は山 やま からの水 みず に依存 いぞん して生活 せいかつ している[39] [40] 。
山岳 さんがく は上記 じょうき のように降雨 こうう を多 おお くもたらすため、多 おお くの国々 くにぐに で山岳 さんがく 地帯 ちたい にダム を設 もう け水 すい 資源 しげん 確保 かくほ や発電 はつでん を行 おこな っている。こうした山岳 さんがく 流水 りゅうすい のエネルギーは古 ふる くから水車 みずぐるま などで利用 りよう されており、20世紀 せいき 後半 こうはん 以降 いこう は小規模 しょうきぼ 水力 すいりょく 発電 はつでん が各所 かくしょ に設 もう けられるようになった。
また、超 ちょう 短波 たんぱ 以上 いじょう の周波数 しゅうはすう で発射 はっしゃ する送信 そうしん 所 しょ の多 おお くは山 やま に設置 せっち されている。
信仰 しんこう と観光 かんこう [ 編集 へんしゅう ]
世界 せかい の多 おお くの地域 ちいき では、神聖 しんせい な山 やま として山 やま に対 たい する信仰 しんこう が生 う まれている。
日本 にっぽん では富士山 ふじさん をはじめ主要 しゅよう な山々 やまやま で山岳 さんがく 信仰 しんこう が存在 そんざい し、浅間 あさま 信仰 しんこう や白山 しろやま 信仰 しんこう のように神道 しんとう と結 むす びついて神格 しんかく 化 か されるようになった[42] 。山岳 さんがく 信仰 しんこう は特 とく に修験 しゅげん 道 どう と結 むす びつき[43] 、信仰 しんこう の興隆 こうりゅう にともない庶民 しょみん の登山 とざん も盛 さか んとなって、登山 とざん 者 しゃ に宿所 しゅくしょ などを提供 ていきょう する御 ご 師 し が成立 せいりつ した[44] 。また、民間 みんかん 信仰 しんこう においても山 やま は異 こと 界 かい へ通 つう じる恐 おそ れの対象 たいしょう であると同時 どうじ に、天候 てんこう や生業 せいぎょう に関 かか わる神性 しんせい な世界 せかい としても認識 にんしき され、山 やま の神 かみ や雨乞 あまご い などに山 やま に関 かん する民俗 みんぞく が存在 そんざい している。山岳 さんがく 信仰 しんこう には、山 やま へ登 のぼ るという形態 けいたい もあれば、山 やま を敬遠 けいえん して眺 なが めるだけという形態 けいたい もあった。
やがて近代 きんだい に入 はい ると、ヨーロッパにおいて山 やま の自然 しぜん の美 うつく しさがしだいに認 みと められるようになり、18世紀 せいき 末 まつ には探検 たんけん やスポーツ としての登山 とざん が盛 さか んに行 おこな われるようになった[45] 。これにより、山 やま は余暇 よか ・娯楽 ごらく の場 ば としてとらえられるようになっていった。現代 げんだい では登山 とざん のみならず、スキー 、キャンプ など多様 たよう な余暇 よか 活動 かつどう が行 おこな われている。
また、山 やま を眺 なが めることについても信仰 しんこう 色 しょく が薄 うす まっていき、現代 げんだい では山岳 さんがく 展望 てんぼう という新 あら たな余暇 よか 活動 かつどう として楽 たの しむ人 ひと が増 ふ えている。最近 さいきん ではパワースポット の一 ひと つとして、富士山 ふじさん などの山 やま がその対象 たいしょう の一 ひと つとなっている[46] 。
各 かく 大州 おおず の高峰 こうほう [ 編集 へんしゅう ]
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全般 ぜんぱん 方法 ほうほう 山岳 さんがく 項目 こうもく 装備 そうび ・道具 どうぐ
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