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海嶺かいれい

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

海嶺かいれい(かいれい)には、以下いかの2つの用法ようほうがある。

  • 広義こうぎでは、海洋かいようそこにおいてうみぼんけているような、細長ほそなが山脈さんみゃくじょう地形ちけいのこと。海洋かいようそこにおいて傾斜けいしゃともなった地形ちけいたかまりが細長ほそながつらなっている、いわば海底かいてい山脈さんみゃくのような場所ばしょ全般ぜんぱんす。海面かいめん地殻ちかくプレートマグマホットスポットうえ移動いどうしているあいだに、海山みやま次々つぎつぎ生成せいせいされることにより海底かいてい山脈さんみゃく英語えいご: seamount chain)となっている(しま諸島しょとうとなることもある)。
  • 狭義きょうぎでは、海洋かいようプレート両側りょうがわられるためにしょうじた地表ちひょう直下ちょっかマントル固体こたい)の上昇じょうしょうによってうめられ、マントルの断熱だんねつ上昇じょうしょうのために部分ぶぶん融解ゆうかいこりマグマ発生はっせいし、火山かざん活動かつどうこり、あたらしいプレートと海洋かいよう地殻ちかく生成せいせいされるだい規模きぼ海底かいてい山脈さんみゃくのこと。中央ちゅうおう海嶺かいれいえい: oceanic ridge)。

中央ちゅうおう海嶺かいれい

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海嶺かいれい構造こうぞう
大西洋たいせいよう中央ちゅうおう海嶺かいれい

中央ちゅうおう海嶺かいれい(ちゅうおうかいれい、えい: Mid-Oceanic ridge)は、大洋たいよう中央ちゅうおうはしだか2~3 kmながすうせんkmの海底かいてい山脈さんみゃくプレートテクトニクスでは、マントル対流たいりゅうスラブプル英語えいごばんリッジプッシュ英語えいごばんなどよってプレートがかれ、マントル地下ちか深部しんぶからがり、あらたな海洋かいよう地殻ちかく形成けいせいされている場所ばしょ解釈かいしゃくされる。海嶺かいれいじく左右さゆう対称たいしょうてきで、じくかって直角ちょっかく方向ほうこうトランスフォーム断層だんそうだんきれたい)が発達はったつする。この中央ちゅうおう海嶺かいれい地殻ちかくねつ流量りゅうりょうおおきく、固体こたい地球ちきゅう内部ないぶから放出ほうしゅつされるねつエネルギーのだい部分ぶぶん中央ちゅうおう海嶺かいれいから火山かざん活動かつどうとして放出ほうしゅつされる[注釈ちゅうしゃく 1]

おも中央ちゅうおう海嶺かいれい

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海洋かいようそこ拡大かくだいせつ

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1972ねんまではマントル対流たいりゅう上昇じょうしょうりゅう地殻ちかくにぶつかり一部いちぶ地殻ちかくそのものとなって海嶺かいれいひろげているとする海洋かいようそこ拡大かくだいせつしんじられていたが、海嶺かいれいおおきなフリーエア重力じゅうりょく異常いじょうがないため、海嶺かいれいがマントル対流たいりゅう上昇じょうしょうする場所ばしょであるというかんがえは否定ひていされた。重力じゅうりょく異常いじょうがあるのはホットスポットであり、ホットスポットこそがマントル対流たいりゅう能動のうどうてきにマントル中部ちゅうぶやマントル下部かぶから上昇じょうしょうする場所ばしょである。この意見いけんは1990ねん以降いこうのマントルトモグラフィーで証明しょうめいされた。海嶺かいれいでおこるマントル上昇じょうしょう消極しょうきょくてきなものであり、両側りょうがわからられた空隙くうげきめる活動かつどうである。そのため、マントルトモグラフィーから観察かんさつされる上昇じょうしょうりゅうは100 kmにたっしないあさいものである。

プレートテクトニクスの証拠しょうこ

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以上いじょうべてきた地殻ちかくうごきやぶつかりごういは、プレートテクトニクスとして理論りろんされている。海嶺かいれいでの海洋かいようそこ拡大かくだいは、プレートテクトニクスの有力ゆうりょく証拠しょうことされる。海洋かいようそこ拡大かくだいはどのようにして確認かくにんされたか以下いかべる。

地磁気ちじき逆転ぎゃくてん海洋かいようそこ拡大かくだい

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中央ちゅうおう海嶺かいれいはさんで対称たいしょうてきひろがる磁気じき異常いじょうたい
  • 地球ちきゅう中心ちゅうしん溶融ようゆう金属きんぞくかく対流たいりゅうにより磁気じきびている。これを地磁気ちじきという。地磁気ちじきすうまんねん単位たんい方向ほうこうぎゃくになることかえしている。
  • 岩石がんせきなか一般いっぱんてきふくまれる鉱物こうぶつである磁鉄鉱じてっこうは、そのとお常温じょうおん磁気じきびている。磁鉄鉱じてっこう加熱かねつしていくと、キュリー温度おんど磁気じきがなくなり、冷却れいきゃくすると再度さいど磁気じきびる。このとき磁鉄鉱じてっこうびる磁気じき周辺しゅうへん磁場じば地磁気ちじき)の方向ほうこうしたがう。海洋かいようそこ鉱物こうぶつにも微量びりょう磁鉄鉱じてっこうふくまれており、海嶺かいれいでマントル成分せいぶんやされて、海洋かいようそこ生成せいせいされたとき磁気じきびている。
  • だい大戦たいせん海中かいちゅうにひそむ潜水せんすいかん探索たんさくするための磁気じき探査たんさ機器きき性能せいのうがり、海洋かいようそこ磁気じき分析ぶんせきすすんだ。その結果けっか海嶺かいれい両側りょうがわ岩石がんせき磁気じきまった対称たいしょうてき逆転ぎゃくてんかえしていることが判明はんめいした。これは『海嶺かいれい海洋かいようそこ拡大かくだいしている』証拠しょうことされた[よう出典しゅってん]

海嶺かいれい広義こうぎ

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海嶺かいれい(かいれい、えい: ridge)は、ながくてせま海底かいていたかまりのうち両側りょうがわ斜面しゃめん急峻きゅうしゅんでかつ不規則ふきそく地形ちけいをいう[1]傾斜けいしゃゆるやかではばひろいものはうみえい: Rise)という[1]。また、成因せいいんわない。

成因せいいん

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プレートのしずみに起因きいんする海嶺かいれいは、うみぼん拡大かくだいによってできる。

プレートがしずむと、しずたい大陸たいりくプレートがわ上側うわがわ)には付加ふかたい火山かざん活動かつどうによってしまができる。このとき、マグマしま沿って細長ほそなが分布ぶんぷするため、これをマグマという。なんらかの原因げんいんでマグマ分裂ぶんれつすると、しま同様どうよう分裂ぶんれつし、そのあいだ海洋かいようそこ拡大かくだいはじまる。このとき、しずたいちかいほうは火山かざん前線ぜんせんともなしまとしてのこり、もう1ぽう火山かざん活動かつどう停止ていししてあつ地殻ちかくのこるだけの海嶺かいれいとなって、そのなか拡大かくだいするうみぼんはさんでおたがいにはなれていく。

このほかの成因せいいんとしては、さまざまなものがかんがえられる。火山かざん活動かつどうによって形成けいせいされ、やがて活動かつどう停止ていしして海底かいていしずんだしまあとふる時代じだい形成けいせいされたるい周囲しゅういのプレートの活動かつどうともな海底かいてい隆起りゅうきによってできたものなどがある。

海嶺かいれい片側かたがわあつ地殻ちかくがあり、片側かたがわだけがきゅう斜面しゃめんとなったような地形ちけいも、海嶺かいれいとする。

おも海嶺かいれい

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インド洋いんどよう
北極ほっきょく
太平洋たいへいよう
日本にっぽん近海きんかい

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 地熱じねつエネルギーよりも地球ちきゅうたる太陽光たいようこうねつエネルギーのほうがはるかにおおきいので、地熱じねつ放出ほうしゅつによって地球ちきゅう全体ぜんたい海水温かいすいおん大気たいき温度おんど基本きほんてきにほとんど影響えいきょうはない。

出典しゅってん

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  1. ^ a b 跡部あとべおさむ海底かいてい地名ちめい決定けってい」『地学ちがく雑誌ざっしだい84かんだい1ごう東京とうきょう地学ちがく協会きょうかい、41-45ぺーじdoi:10.5026/jgeography.84.412019ねん12月16にち閲覧えつらん 
  2. ^ Scientific Party of cruise SO-65 of F.S. Sonne: “Active Pitcairn hotspot found” (1990ねん). 2019ねん12月16にち閲覧えつらん
  3. ^ Gunn Interactive: “Pacific Oceanic Island OIBS”. 2005ねん11月23にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2022ねん12月1にち閲覧えつらん
  4. ^ Volcanoes - Hawaii and Yellowstone”. 地球ちきゅう科学かがく講座こうざ. オレゴン州立しゅうりつ大学だいがく. 2015ねん10がつ16にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2022ねん12月1にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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50おとじゅん

外部がいぶリンク

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