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ホットスポット (地学ちがく)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
プレート運動うんどうとホットスポット。一定いってい場所ばしょでマントルが上昇じょうしょうする。上昇じょうしょうするマントルは固体こたいである。プレート移動いどうによって海山みやま移動いどうする。

ホットスポット(hotspot)とは、プレート(リソスフェア)よりしたアセノスフェア生成せいせいげん存在そんざいすると推定すいていされる、マグマによる火山かざん活動かつどうきている場所ばしょう。マントル本体ほんたいも、その上昇じょうしょうりゅうであるプリュームも固体こたいである。マントル上昇じょうしょうによって温度おんどたもったまま圧力あつりょく減少げんしょうするので、マントルに部分ぶぶんてき溶融ようゆうこり、マグマが発生はっせいする。なお、溶融ようゆうりょう通常つうじょう10パーセント未満みまんである。

1990年代ねんだいまでホットスポットは、ほとんど位置いちえずに、おな場所ばしょ存在そんざいつづけるとかんがえられていたが、J・A・タルドゥーノらの天皇てんのう海山うみやまれつかんする研究けんきゅうにより、ハワイ・ホットスポットやく8000まんねんまえから5000まんねんまえあいだに、みなみやく1700 km移動いどうした可能かのうせい指摘してきされた[1][2]

以下いか記述きじゅつは、ホットスポットが不動点ふどうてんであることを前提ぜんていとしている。

ホットスポットの成因せいいん[編集へんしゅう]

プリュームテクトニクスと、ハワイがたおよびタヒチがたホットスポット。

プリュームテクトニクス仮説かせつによれば、地学ちがくでのホットスポットとは、マントルない上昇じょうしょうりゅうホットプリューム)の先端せんたんが、プレートけて地表ちひょうあらわれた火山かざん活動かつどう地形ちけいと、それに起因きいんする地面じめん高温こうおん現象げんしょうす。

大陸たいりくプレートよりも比重ひじゅうおも海洋かいようプレートは、しずたいでマントルないはいり、スラブ[注釈ちゅうしゃく 1]英語えいご:Slab)とばれる。しかし、およそ深度しんど670 kmよりもふかいマントルは、周囲しゅういねつ圧力あつりょく影響えいきょうで、結晶けっしょう構造こうぞうペロブスカイトそう遷移せんいする。するとスラブは周囲しゅういよりも比重ひじゅうかるくなるため、それ以上いじょうしずみづらく、ここで一時いちじ滞留たいりゅうした(スタグナント、英語えいご:Stagnant「よどんだ」の意味いみ)スラブとなる[3]大量たいりょう滞留たいりゅうしたスタグナントスラブの一部いちぶあい転移てんいして密度みつどし、そのおもくなったスラブは分裂ぶんれつし、マントルない下降かこうりゅうメガリスコールドプリューム)となって下部かぶマントルへとしずんでゆく。こうして発生はっせいしたコールドプリュームの挙動きょどう対流たいりゅうとなり、かくちか高温こうおんのマントルが上昇じょうしょうてんじてホットプリュームが発生はっせいする。

だい規模きぼなホットプリュームの上昇じょうしょうりゅうは、地表ちひょうたっすると中央ちゅうおう海嶺かいれい形成けいせいして水平すいへい拡大かくだいし、あらたな海洋かいようプレート成因せいいんとなる。しかし小規模しょうきぼなホットプリュームは、プレートの水平すいへいどうとは連動れんどうしない独立どくりつした熱源ねつげんとしてまることができる。これを地学ちがくでのホットスポットとぶ。ホットスポットじょうのプレートじょうには、プレートのうごきの方向ほうこう沿った火山かざんれつ形成けいせいする。ただし、うごきのおそいプレートの場合ばあいは、局所きょくしょてきだい規模きぼ火山かざん形成けいせいする。

ホットスポットの地球ちきゅう科学かがくでの意味いみ[編集へんしゅう]

きた太平洋たいへいよう海底かいてい地形ちけい。ハワイ諸島しょとうおよ天皇てんのう海山うみやまぐんなら様子ようすれる。

ホットスポットの地球ちきゅう科学かがくにおける意味いみは、マントル内部ないぶのプリュームテクトニクスが地表ちひょうかおしたものである以外いがいに、プレート運動うんどう証言しょうげんしゃという意味いみがある。

ホットスポットの典型てんけいれいとしてげられるのは、ハワイ諸島しょとうおよ天皇てんのう海山うみやまぐんである。ハワイ諸島しょとうおよ天皇てんのう海山うみやまぐんは、アリューシャン列島れっとうカムチャツカ半島はんとう部分ぶぶんからハワイ諸島しょとうまで「く」の横倒よこだおしにしたようにならふる海底かいてい火山かざん海山みやま)と火山かざんとうれつであり、北端ほくたんでは7000まんねんまえ海山みやまれつがる北緯ほくい40付近ふきんでは、4200まんねんまえであると判明はんめいしている。つまりきたからじゅんふる海底かいてい火山かざん海山みやま)と火山かざんとうならんでいると証明しょうめいされた。このように岩石がんせき生成せいせい年代ねんだいからホットスポットの軌跡きせきえがかれているとかんがえられる場所ばしょは、地球ちきゅうじょうで20ヶ所かしょほど存在そんざいするとかんがえられている。Minsterは、それらのホットスポットの軌跡きせきのある場所ばしょがプレートのうご方向ほうこう一致いっちしているか検証けんしょうした結果けっか、ほぼ一致いっちするという結果けっかられたばかりか、太平洋たいへいようプレートココスプレートナスカプレートインドプレートうごきがのプレートのうごきよりもはやいと判明はんめいした[4]反面はんめん同時どうじに、ハワイ諸島しょとうおよ天皇てんのう海山うみやまぐんがホットスポットによって生成せいせいされた海底かいてい火山かざん火山かざんとう成長せいちょうし、それがプレートの移動いどうによって活動かつどう停止ていしし、ベルトコンベアーせられたように順次じゅんじ北西ほくせい方向ほうこうへと移動いどうしながら、次第しだい侵食しんしょくされて海山みやまになった結果けっか、ホットスポットからてプレートの運動うんどう方向ほうこうならんだ海山みやまれつとして、海底かいていのこったこと証明しょうめいされた。

現在げんざいホットスポットが所在しょざいするおも場所ばしょ[編集へんしゅう]

世界せかいおもなホットスポットの位置いち

ホットスポットの発生はっせいは、大陸たいりく移動いどうには影響えいきょうされないとかんがえられてきた。一方いっぽうで、ホットスポットがプレート内部ないぶおお発生はっせいした結果けっかとして、大陸たいりく移動いどう契機けいきになりるとかんがえられている。つまり、ホットスポットができると、プレートには放射状ほうしゃじょうができ、そのようなホットスポットが多数たすう存在そんざいすると、同士どうし連続れんぞくして、中央ちゅうおう海嶺かいれい成因せいいんになるということである。実際じっさいに、現在げんざい大西洋たいせいよう中央ちゅうおう海嶺かいれいはホットスポットと重複じゅうふくしている場所ばしょおお確認かくにんされている。また、グレート・リフト・バレーアフリカスーパープリューム地表ちひょう部分ぶぶんすホットスポットであり、巨大きょだい形成けいせいされて大陸たいりく分裂ぶんれつし、将来しょうらいてき中央ちゅうおう海嶺かいれい形成けいせいされるだろうとかんがえられている。

アメリカ[編集へんしゅう]

太平洋たいへいよう[編集へんしゅう]

インド洋いんどよう[編集へんしゅう]

アフリカ[編集へんしゅう]

大西おおにしひろし[編集へんしゅう]

南極なんきょく[編集へんしゅう]

ホットスポットの種類しゅるいおよ形状けいじょう[編集へんしゅう]

ホットスポットの形状けいじょう

ホットスポットの種類しゅるいは、おおきくけて2しゅあるとかんがえられる。地震じしんトモグラフィー画像がぞうによって、南太平洋みなみたいへいよう海底かいていしたのマントルが非常ひじょう高温こうおんであることと、その高温こうおんいきがハワイにえだじょうにつながっていることあきらかになった。つまりタヒチ南太平洋みなみたいへいよう高温こうおんいきである下部かぶマントルのスーパープリュームが部分ぶぶんてき地表ちひょう直接的ちょくせつてきあらわれた姿すがたであり、ハワイはスーパープリュームの影響えいきょうけつつ、上部じょうぶマントルのだい3ホットプリュームが表出ひょうしゅつした姿すがたであるとかんがえられるようになった。

このタヒチがたとハワイがたちがいは、地震じしんトモグラフィーの画像がぞうのほかに、双方そうほう火山かざん噴出ふんしゅつぶつちがいからも明確めいかくである。ハワイで噴出ふんしゅつする玄武岩げんぶがんは、地表ちひょうからのふかさ200 kmよりもあさ海嶺かいれい玄武岩げんぶがんもとになる物質ぶっしつと、200 kmよりもふかい「はじめげんてき」ともうべきマントルの物質ぶっしつ混合こんごうぶつである。一方いっぽうでタヒチのそれは、なまり極端きょくたんすくない玄武岩げんぶがんで「はじめげんてき」なマントルの物質ぶっしつしたものである。タヒチのほかにはセントヘレナられている。タヒチの噴出ふんしゅつぶつである玄武岩げんぶがんなまりすくない理由りゆうは、プレートがしず段階だんかいなまりうしなわれるというせつと、かくなまり吸収きゅうしゅうされるというせつるものの、その本当ほんとう理由りゆう判明はんめいしていない。

一方いっぽう、ホットスポットには多様たよう形状けいじょうられる。

  • ハワイがた - 断続だんぞくてきにマグマのかたまりげてくる。
  • オントンジャワがた - オントンジャワうみだいは、現在げんざいニューギニアとう東方とうほう海底かいていで1おく2せんねんまえ中生代ちゅうせいだい)に活動かつどうおこなっていた海底かいてい火山かざんである。スーパープリュームの先端せんたん部分ぶぶんリソスフェアやぶって、だい規模きぼ熔岩ようがんし、巨大きょだいうみだい形成けいせいした。オントンジャワの噴出ふんしゅつ規模きぼ周辺しゅうへんうみだいわせると8000まん m3および、これはデカン高原こうげんの200まん m3の40ばいもの規模きぼである。
  • ナウルうみぼんがた - ハワイがたとオントンジャワがたなかあいだであり、オントンジャワほどだい規模きぼではないものの、プリュームがげる物質ぶっしつすうかいに2〜3かいにわたって多量たりょう噴出ふんしゅつする。
  • 中部ちゅうぶ太平洋たいへいよう海山うみやまれつがた - プリュームがげるなか散在さんざいてき高温こうおんのマグマ部分ぶぶんって、それがげて散在さんざいてき海底かいてい火山かざん海山みやま火山かざんとう形成けいせいする。
  • 東経とうけい90海嶺かいれいがた - 東経とうけい90海嶺かいれいは、インド洋いんどようベンガルわん南方なんぽう海底かいていにある。連続れんぞくてきにマグマがげてくる。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ スラブとは、元々もともと登山とざん用語ようごで“一枚岩いちまいいわ”をしていた。地震じしんがくではマントルないしずんだ海洋かいようプレートをう。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ J・A・タルドゥーノ (4 2008). “ホットスポットはうごいていた”. 日経にっけいサイエンス 38 (5): 64. ISSN 0917-009X. 
  2. ^ サイエンスポータル【 2012ねん11月29にち 地球ちきゅう内部ないぶ個別こべつ移動いどうするホットスポット 】、2016ねん3がつ4にち最終さいしゅう閲覧えつらん
  3. ^ 日本にっぽん地震じしん学会がっかい広報こうほうVol61「コンピュータでメガリスをつくる」
  4. ^ Minster et.al., 1974
  5. ^ Scientific Party of cruise SO-65 of F.S. Sonne「Active Pitcairn hotspot found」。1990ねん
  6. ^ Gunn Interactive「Pacific Oceanic Island OIBS」。2005ねんアーカイブ。

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 上田うえだ まこと也・佐藤さとう つとむひろしへん)『岩波いわなみ講座こうざ地球ちきゅう科学かがく11 変動へんどうする地球ちきゅうII―海洋かいようそこ―』 岩波書店いわなみしょてん、1979ねんISBN 4000102818
  • 都城みやこのじょう 秋穂あきほ安芸あき 敬一けいいちへん)『岩波いわなみ講座こうざ地球ちきゅう科学かがく12 変動へんどうする地球ちきゅうIII―造山つくりやま運動うんどう―』 岩波書店いわなみしょてん、1979ねんISBN 4000102826
  • 丸山まるやま 茂徳しげのり伊藤いとう しょうへん)『朝日あさひワンテーママガジン11 最新さいしん地球ちきゅうがく朝日新聞社あさひしんぶんしゃ、1993ねん、T602011111300。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

  • プチスポット - 北西ほくせい太平洋たいへいようなどで発見はっけんされた、ごく小規模しょうきぼ海底かいてい火山かざん