ハワイ諸島しょとう

ハワイ諸島しょとう

ハワイ諸島しょとうの地図ちず
地理ちり
場所ばしょ	北きた太平洋たいへいよう
座標ざひょう	北緯ほくい19度どから29度ど
行政ぎょうせい
アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく ハワイ州しゅう

NASAの人工じんこう衛星えいせい写真しゃしんに基もとづくハワイ諸島しょとうの合成ごうせい画像がぞう（2002年ねん）

ハワイ諸島しょとう（ハワイしょとう、英えい: Hawaiian Islands）は、北緯ほくい19度どから29度どの間あいだ、北きた太平洋たいへいようの北西ほくせい部ぶ微ほろ南東なんとう部ぶ方向ほうこうにある、多数たすうの島しまと環礁かんしょうからなる諸島しょとうである。行政ぎょうせい上うえのハワイ諸島しょとうはアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくの領土りょうどであるが、地理ちり学がくによる六ろく大州おおずの分類ぶんるいではオセアニアに属ぞくし、オセアニアの海洋かいよう部ぶの分類ぶんるいではポリネシアに属ぞくしている（ハワイ諸島しょとう北西ほくせいにあるミッドウェー環礁かんしょうがポリネシアの最北端さいほくたんとされる）。

一直線いっちょくせんに並ならぶハワイ諸島しょとうは、ホットスポットによる火山かざん形成けいせいとプレート（太平洋たいへいようプレート）の移動いどうによって成立せいりつした。さらに北西ほくせいには水没すいぼつした火山かざん（海山みやま）も連つらなっており、ハワイ-天皇てんのう海山うみやま群ぐんを形成けいせいしている。

諸島しょとうの名なを日本にっぽんでは「ハワイ（諸島しょとう）」と呼よび倣ならわしているが、「ハワイ」のハワイ語ごはhawaiʻi[hawaiʔi]であり、iʻiは母音ぼいんの連続れんぞくではなく2つのiの間あいだに声門せいもん閉鎖へいさ音おんの子音しいんが挟はさまって「ハワイッイ」に近ちかい発音はつおんとなる。

歴史れきし

詳細しょうさいは「ハワイの歴史れきし」を参照さんしょう

ハワイ諸島しょとうは現在げんざいは、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく領りょうであるが、かつてはマルケサス諸島しょとうやタヒチから航海こうかいカヌーで来住きししたポリネシア系けいの人々ひとびとが幾いくつかの王国おうこくを造つくっていた。

最初さいしょにハワイ諸島しょとうへの植民しょくみんが行おこなわれた時期じきには諸説しょせつあるが、かつてコンピュータ・シミュレーションによって古代こだいポリネシア人じんの偶然ぐうぜん漂流ひょうりゅう説せつをほぼ論破ろんぱしたことでも知しられるポリネシア考古学こうこがくの権威けんいの一人ひとり、ジェフリー・アーウィンは8世紀せいきごろではないかとしている。

記録きろくに残のこっている限かぎり、この諸島しょとうに最初さいしょにヨーロッパ人じんが来航らいこうしたのは1778年ねんのジェームズ・クックに率ひきいられた探検たんけん隊たいであった。当時とうじイギリス海軍かいぐん本部ほんぶ管理かんり委員いいん会かいの長ちょうだった第だい4代だいサンドウィッチ伯爵はくしゃくジョン・モンタギューの名なを取とって、この諸島しょとうは「サンドイッチ諸島しょとう」と命名めいめいされた。

ハワイ諸島しょとうの島々しまじま

ハワイ諸島しょとうは以下いかの19の島しまおよび環礁かんしょうからなり、総そう面積めんせきは約やく28,313km²である。

8つの主要しゅようなハワイ諸島しょとう ：南みなみから順じゅんに掲載けいさい。カホオラウェ島とうには人間にんげんが住すんでいないという記述きじゅつも散見さんけんされるが、実際じっさいにはプロテクト・カホオラウェ・オハナ (Protect Kaho`olawe `Ohana) というNPOのスタッフがこの島しまに居住きょじゅうして環境かんきょう回復かいふく活動かつどうを行おこなっている。ウィンドワード（windward、風上かざかみ）諸島しょとうとも呼よばれる。

• ハワイ島とう（Island of Hawai‘i、または、Big Island）
• マウイ島とう（Maui Island）
• カホオラウェ島とう（Kaho‘olawe Island）
• ラナイ島とう（Lāna‘i Island）
• モロカイ島とう（Moloka‘i Island）
• オアフ島とう（O‘ahu Island）州都しゅうとホノルルの所在地しょざいち
• カウアイ島とう（Kaua‘i Island）
• ニイハウ島とう（Ni‘ihau Island）

詳細しょうさいは「ハワイ州しゅう#地理ちり」を参照さんしょう

小ちいさな島しま、環礁かんしょう、および、暗礁あんしょう（ニイハウ島とうの北西ほくせいに連つらなり、北西ほくせいハワイ諸島しょとう、リーワード（leeward、風下かざしも）諸島しょとうと呼よばれる。ミッドウェー環礁かんしょう以外いがいは現在げんざいは無人島むじんとうであるが、かつてはポリネシア人じんのコミュニティが存在そんざいした島しまもある）。

• カウラ島とう（Kaula Island）
• ニホア島とう（Nihoa Island）
• ネッカー島とう（Necker Island）
• ディサピアリング島とう（Disappearing Island）
• フレンチフリゲート瀬せ（Frenchi Frigate Shoals）
• ガードナー尖とんが礁（Gardner Pinnacles）
• マロ環礁かんしょう（Maro Reef）
• レイサン島とう（Laysan Island）
• リシアンスキー島とう（Lisianski Island）
• パールアンドハーミーズ環礁かんしょう（Pearl and Hermes Reef）
• ミッドウェー環礁かんしょう（Midway Atoll）
• クレ環礁かんしょう（Kure Atoll）

ミッドウェー環礁かんしょう以外いがいはハワイ州しゅうに属ぞくしている。

地質ちしつ

ハワイ諸島しょとうの3DCG図ず

太平洋たいへいようプレートが北西ほくせい方向ほうこうへ、100万まん年間ねんかんに51kmという速度そくどで移動いどうしているため、その上うえにある列島れっとうは北西ほくせいにある島しまほど古ふるく、侵食しんしょくされた期間きかんも長ながいために小ちいさい。

火山かざん

最近さいきん200年間ねんかんで活動かつどうした火山かざんは最さい南東なんとうのハワイ島とうにしかなく、さらにその南東なんとう海中かいちゅうにはロイヒ海山みやま（en）という海底かいてい火山かざんが成長せいちょうしている。アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく地質調査所ちしつちょうさしょのハワイ火山かざん観測かんそく所しょが最近さいきんの火山かざん活動かつどうを報告ほうこくし、画像がぞうと解析かいせき結果けっかを提供ていきょうしている。

ホットスポットで生成せいせいされるマグマのほとんどが玄武岩げんぶがん組成そせいを示しめし、ハワイの火山かざんのほとんどすべてが玄武岩げんぶがんや粗あら粒つぶの斑むられい岩がんで形成けいせいされる。ハワイ島とうはキラウエア火山かざん、マウナロア山さん、フアラライ山さん、マウナケア山さん、コハラ山地さんちの5つの火山かざんでできている。そのうち半分はんぶんを占しめるのがマウナロア山さんである。海抜かいばつ4,000mを超こえ、海中かいちゅう部分ぶぶんは5,000mに達たっする。噴火ふんかのタイプはハワイ式しきと呼よばれ、流動りゅうどう性せいのある玄武岩げんぶがん溶岩ようがんが流ながれ出だすもので、環太平洋かんたいへいよう地域ちいきで見みられる安山岩あんざんがんの激はげしく危険きけんな噴火ふんかと異ことなる。

最近さいきんの火山かざん活動かつどうとしては、日本にっぽん時間じかん2018年ねん5月がつ17日にち午後ごご11時じごろキラウェア火山かざんが噴火ふんかし9千せんメートル以上いじょうの高たかさにまで噴煙ふんえんが達たっした。

津波つなみ

太平洋たいへいよう海底かいてい下かで発生はっせいした地震じしんが引ひき起おこす津波つなみは時速じそく900kmもの速はやさで何なん千せんkmも離はなれた所ところまで伝つたわる。1960年ねんのチリ地震じしんによる津波つなみはハワイ島とうヒロで、その湾わん形がたによって波高はこうが10mに増幅ぞうふくされ、死者ししゃ61名めい、重傷じゅうしょう282名めいを出だした。ハワイ諸島しょとうの火山かざん活動かつどうや大だい規模きぼ地じすべりも原因げんいんになると考かんがえられる。ハワイ沿岸えんがんには津波つなみ注意ちゅういサイレンが設置せっちされている。

地震じしん

ハワイ州しゅうはアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくで第だい3位いの地震じしん発生はっせい州しゅうである。地震じしんはもっぱら火山かざん性せいのもので、最近さいきんでは2006年ねん10月15日にちにハワイ島とう北西ほくせい海岸かいがんでマグニチュード6.7の地震じしんが発生はっせいし、5分ふん後ごに5.7の余震よしんがあった。道路どうろや建物たてものに被害ひがいが生しょうじ、240km離はなれたホノルルでも有ゆう感かんであった。いくつかの島しまで停電ていでんになった。全ぜん州しゅうで災害さいがい宣言せんげんがなされ、津波つなみ警報けいほうが発はっせられたが、死者ししゃや重傷じゅうしょう者しゃは出でなかった。 日本にっぽん時間じかんで2018年ねん5月がつ5日にち7時じ32分ふん頃ごろハワイ諸島しょとうにてM6.9の地震じしんが観測かんそくされた。

気候きこう

「風上かざかみと風下かざしも」（Windward and Leeward）は、ハワイ諸島しょとう・オアフ島とうのバスの行いき先さき表示ひょうじ（左側ひだりがわ）での分類ぶんるいにも使つかわれている（アラモアナセンター付近ふきんで）

ハワイ諸島しょとうは北緯ほくい20度ど前後ぜんこうにあり、温暖おんだんな気候きこうの晴天せいてんが続つづく。北東ほくとう貿易ぼうえき風ふうが年間ねんかんを通つうじて卓越たくえつし、一般いっぱんに4月がつ～9月がつが乾季かんき、10月～3月がつが雨季うきといわれるが、各かく島しまによって違ちがう。結果けっかとして、世界せかい的てきに稀少きしょうな熱帯ねったい夏季かき少雨しょうう気候きこう（As）がハワイ諸島しょとうの大だい部分ぶぶんを占しめる。

ハワイ島とうやマウイ島とうなどの中央ちゅうおうに高たかい山やまがある島しまでは、北東ほくとう貿易ぼうえき風ふうが山やまにぶつかり雨雲あまぐもを発生はっせいさせるために、島しまの北東ほくとう側がわ斜面しゃめん（例たとえばハワイ島とうのヒロ）は湿潤しつじゅんで雨量うりょうが極きわめて多おおく、他方たほうで島しまの南西なんせい側がわ斜面しゃめん（コナ）では雨量うりょうが少すくなく乾燥かんそうする。しかし雨季うきといっても日本にっぽんの梅雨つゆのように雨あめが降ふり続つづくことはなく、また昼間ひるま晴はれていても午後ごご遅おそくにはスコールで大雨おおあめが降ふり、そのあとは晴天せいてんになることが多おおい。

各かく島しまで「風上かざかみと風下かざしも」の考かんがえ方かたは日常にちじょう生活せいかつにも普及ふきゅうしていて、オアフ島とうのバスの行いき先さきに風上かざかみ方面ほうめん（北東ほくとう）の何なに々行いき、風下かざしも方面ほうめん（南西なんせい）の何なに々行いきなどと表示ひょうじされている。

ハリケーン

7月がつから12月がつにかけて、メキシコのカリフォルニア半島はんとう沖おきで発生はっせいした熱帯ねったい低てい気圧きあつが西にしに進すすんで、ハワイ諸島しょとうを襲おそうことがある。しかし、海水温かいすいおんが比較的ひかくてき低ひくい東ひがし太平洋たいへいようを移動いどうするうちに弱よわまるため、ハリケーンクラスで襲おそったものは過去かこ63年間ねんかんに4回かいしかなく、それより弱よわい熱帯ねったい低てい気圧きあつが多おおい。

生物せいぶつ相しょう

一般いっぱんに海洋かいよう島とうは他たの陸りく塊かたまりとの連絡れんらくを持もつことがないため、そこに棲息せいそくする生物せいぶつは海うみを越こえて到着とうちゃくすることの出来できる限かぎられたものに由来ゆらいし、それがその地ちで独自どくじに種たね分化ぶんかした結果けっかとなる。したがってその生物せいぶつ相しょうは大陸たいりくのそれにくらべて大おおきく偏かたよりがあり、また少数しょうすうの種たねのみしか存在そんざいしない環境かんきょうで種たね分化ぶんかが繰くり返かえされる結果けっかとして大おおきな適応てきおう放散ほうさんが見みられる例れいが多おおい。ハワイ諸島しょとうはその著いちじるしい例れいでもあり、きわめて多おおくの固有こゆう種しゅを持もっていた。ただし、現在げんざいでは広範囲こうはんいに移入いにゅう種しゅが広ひろがり、原生げんせい自然しぜんはひどく損害そんがいを受うけている。移入いにゅうは偶発ぐうはつ的てきなものもあるが、積極せっきょく的てきに人ひとの手てで行おこなわれた例れいも多おおい。

鳥類ちょうるいでは海鳥うみどりを別べつにすると、在来ざいらいの種たねが77種しゅあるが、1種しゅをのぞいて固有こゆう種しゅである。特とくにハワイミツスイ類るいはすべて固有こゆう種しゅで、45種しゅがある。時ときに科かとしてまとめられることがあり、その場合ばあい、科かのレベルで固有こゆうとなる。他方たほうでほ乳類にゅうるいでは在来ざいらい種しゅはコウモリの1種しゅしかなく、それ以外いがいのすべてのものは人間にんげんが持もち込こんだものである。

陸くが産さん貝類かいるいは1000種しゅ以上いじょうの固有こゆう種しゅがある。これらは10科か37属ぞくに分類ぶんるいされ、そのうち19属ぞくがこの諸島しょとうに固有こゆうである。

クモ類るいでは世界せかいの科か100あまりの内うちでわずか10科かしかなく（琉球りゅうきゅう列島れっとうには45科か）、中なかでもヒメグモ科かイソウロウグモ属ぞくやアシナガグモ科かアシナガグモ属ぞく、カニグモ科かハナグモ属ぞくで大だい規模きぼな適応てきおう放散ほうさんが見みられる。

昆虫こんちゅうでは分類ぶんるい群ぐん毎ごとのバランスが崩くずれているのが大おおきな特徴とくちょうとなっている。たとえばコウチュウ目めの重要じゅうような群ぐんであるカミキリムシ科かとハムシ科かは、多おおくの地域ちいきで同どう程度ていどの種たね数すうを抱かかえるが、この地域ちいきではカミキリムシ科かに1000種しゅ以上いじょうの固有こゆう種しゅがあるのに対たいして、ハムシ科かでは固有こゆう種しゅがない。また、セミが完全かんぜんに欠かける。

植物しょくぶつでは自生じせい種しゅが1800種しゅほど、そのうちシダ植物しょくぶつが200種しゅほどである。その内うちの85%がこの諸島しょとうの固有こゆう種しゅである。特とくに適応てきおう放散ほうさんが著いちじるしいのがキキョウ科か（あるいはサワギキョウ科か）のキアネア Cyanea 属ぞくとイワタバコ科かのミズビワソウ属ぞくである。前者ぜんしゃでは背せの低ひくい多年草たねんそうからヤシのような外見がいけんの高たかさ10mに達たっする高木たかぎまでがある。

熱帯ねったい雨林うりんから砂漠さばく地帯ちたいの低木ていぼく林りん、汀線ていせんから高山こうざんまでの様々さまざまな生態せいたい系けいがあるため、ハレアカラ国立こくりつ公園こうえんとハワイ火山かざん国立こくりつ公園こうえん一帯いったいは1980年ねんにユネスコの生物せいぶつ圏けん保護ほご区くに指定していされた。近年きんねんはカナリア諸島かなりあしょとう、アゾレス諸島しょとう原産げんさんのミリカ・ファヤが外来がいらい種しゅとして侵入しんにゅうしている。

参考さんこう文献ぶんけん

• 木元きもと新作しんさく『南みなみの島しまの生いきものたち 島とうの生物せいぶつ地理ちり学がく』(1979)・科学かがくブックス（共立きょうりつ出版しゅっぱん）
• 小野おの幹雄みきお、『孤島ことうの生物せいぶつたち　－ガラパゴスと小笠原おがさわら－』、(1994)、岩波書店いわなみしょてん（岩波いわなみ新書しんしょ）

関連かんれん項目こうもく

• 島しまの一覧いちらん