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うみぼん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
うみぼん発達はったつ横断おうだんめん。A. リフトまえ火山かざんあつ火山かざんせい堆積たいせきぶつおおわれている。B. リフト前期ぜんきでマグマ分裂ぶんれつはじめる。C. リフト後期こうきうみぼん拡大かくだいしマグマさい形成けいせいされる。D. マグマ成長せいちょうによる海洋かいようそこ拡大かくだいともなうみぼん急速きゅうそく拡大かくだいする。うみぼんにおける非対称ひたいしょう堆積たいせき作用さよう継続けいぞくする。残存ざんそんとうはリフトまえの(プレートじょうの)位置いちしめす。

うみぼん(はいこかいぼん、えい: back-arc basin略称りゃくしょうBAB別名べつめいretro-arc basin)とは、地質ちしつがくてき事象じしょうであり、そのちにおいてしましずたい関連かんれんがある海面かいめんした盆地ぼんちである。別名べつめい縁海えんかいという[1]西にし太平洋たいへいよう比較的ひかくてきあたらしい時代じだい集積しゅうせきされた複数ふくすうプレート境界きょうかい領域りょういきでこれらをることができる。そのおおくは海溝かいこうにプレートをちからたいするかえしの反発はんぱつりょくしょうじたものである。うみぼん成立せいりつプレートテクトニクス理論りろんされたわけではないが、地球ちきゅうねつ消失しょうしつかんする主流しゅりゅうモデルとは矛盾むじゅんしない。

特徴とくちょう

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うみぼんすうひゃくすうせんkmながさがあるが、これにしてはばすうひゃくkmとせまいことがおおい。うみぼんはばは、マグマ活動かつどうみず依存いぞんするという事実じじつと、マントル対流たいりゅう誘発ゆうはつせい制約せいやくされるらしいが、これらふたつはしずたい近傍きんぼう集中しゅうちゅうしてみられる。拡大かくだい速度そくどはさまざまで、おそいものはマリアナトラフ年数ねんすうcmから、はやいものではラウうみぼんとし15cmなどはばがある。ここでの海嶺かいれい中央ちゅうおう海嶺かいれい同様どうよう玄武岩げんぶがん噴出ふんしゅつするが、うみぼん玄武岩げんぶがんには多量たりょうのマグマすいふくまれる(みず重量じゅうりょう1〜1.5%)のにたいし、中央ちゅうおう海嶺かいれい玄武岩げんぶがんしつマグマは乾燥かんそうしている(どう0.3%未満みまん)のがおおきなちがいである。うみぼん玄武岩げんぶがんしつマグマが含有がんゆうする多量たりょうみずは、しずたいまれた海水かいすい上部じょうぶマントルのくさびちゅう揮発きはつ放出ほうしゅつされたものとかんがえられる。中央ちゅうおう海嶺かいれいおなじくうみぼんには深海しんかいねつすいあながあり、微生物びせいぶつによる有機物ゆうきぶつ合成ごうせい活発かっぱつおこなわれている。

日本にっぽん本土ほんどうみぼんによりアジア大陸たいりくへだてられている。

非対称ひたいしょうせい

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うみぼん生成せいせい通常つうじょう中央ちゅうおう海嶺かいれいちがいは、非対称ひたいしょう海洋かいようそこ拡大かくだいにある。たとえばマリアナトラフ中央ちゅうおうでは現在げんざい拡大かくだい速度そくど西側にしがわあたりえん比較ひかくして2ばいから3ばいはや[2]、マリアナトラフ南端なんたん火山かざん前線ぜんせん近接きんせつする拡大かくだい中心ちゅうしん位置いちから、地殻ちかく付着ふちゃく成長せいちょう全体ぜんたいがほぼ100%非対称ひたいしょうであることがわかる[3]。この状態じょうたいはやはり非対称ひたいしょうがみられる北部ほくぶでも同様どうようである[4]。ラウうみぼんなどそのうみぼんではだい規模きぼなリフト上昇じょうしょうがみられ、拡大かくだい中心ちゅうしん火山かざんとおくらいからきん移動いどうするという増殖ぞうしょくてき事態じたい進行しんこうしてきた[5]一方いっぽうあたらしい調査ちょうさによれば拡大かくだい速度そくど比較的ひかくてき対称たいしょうてき傾向けいこうをみせ、小規模しょうきぼなリフト上昇じょうしょうともなうらしい[6]うみぼん非対称ひたいしょう拡大かくだいする理由りゆうはまだよくわかっていない。そこで拡大かくだいじくをはさむ非対称ひたいしょうせい原因げんいんを、マグマ溶融ようゆうさんせい過程かていねつ流量りゅうりょうスラブしずみプレート)からの距離きょりみず作用さよう変化へんか関係かんけい・マントルのくさび効果こうか・リフトから拡大かくだいへの進化しんかもとめるのが一般いっぱんてきかんがかたになった[7][8][9]

形成けいせい堆積たいせき

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うみぼんしまなが方向ほうこう分裂ぶんれつして形成けいせいされるが、これはおおむねしまれつのマグマじく沿ってこる。この過程かていでマグマ分裂ぶんれつして残存ざんそんとう形成けいせいされると、これはつぎ形成けいせい過程かていはいったしまじくからはなれて漂流ひょうりゅうする。うみぼん海洋かいようそこ拡大かくだいともな拡大かくだい成長せいちょうする。堆積たいせき作用さようはきわめて非対称ひたいしょうであるが、その理由りゆう堆積たいせきぶつのほとんどが活発かっぱつなマグマから供給きょうきゅうされるためである。うみぼん拡大かくだいすうせん年間ねんかん程度ていどつづいたのち活動かつどう停止ていしし、うみぼんとしてのむかえるか縁海えんかいぼんになるというのが典型てんけいてき推移すいいかんがえられる。

世界せかい活動かつどうちゅううみぼん

位置いち

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活動かつどうちゅううみぼんはマリアナ・トンガ=ケルマディック・みなみスコシア・マヌス・きたフィジー・ティレニアをはじめとする海域かいいきでみられるが、西太平洋にしたいへいよう一帯いったいおおい。しずたいかならずしもうみぼん形成けいせいするわけではない。そのれいとしてアンデス山脈あんですさんみゃく中部ちゅうぶ圧縮あっしゅくむすびついている。さらに消滅しょうめつしたり拡大かくだい停止ていししたうみぼんおおい。パレスベラ=四国しこくかいぼん日本海にほんかいクリル(千島ちしまうみぼんなどがこれにあたる。

うみぼん研究けんきゅう歴史れきし

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プレートテクトニクス理論りろん発達はったつ過程かていでは、プレート境界きょうかいえん圧縮あっしゅくたいであるから、しずたいうえには強力きょうりょく拡大かくだいたいうみぼん)など期待きたいできないとするかんがかた主流しゅりゅうだったらしい。あるプレート境界きょうかいえん活発かっぱつ拡大かくだいしているという仮説かせつは、1970年代ねんだい前半ぜんはんにスクリップス海洋かいよう研究所けんきゅうじょのDan Karigが提唱ていしょうし、以来いらい西太平洋にしたいへいようでの海洋かいよう地質ちしつ調査ちょうさ幾度いくど実施じっしされてきた。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ うみじん自然しぜん 東海大学とうかいだいがく博物館はくぶつかん研究けんきゅう報告ほうこく No.14 2018ねん3がつ > 17/90=P12 とう-海溝かいこうけい形成けいせい
  2. ^ Deschamps, A., and T. Fujiwara (2003), Asymmetric accretion along the slow-spreading Mariana Ridge, Geochem., Geophys., Geosyst., 4, doi:10.1029/2003GC000537.
  3. ^ F. Martinez, P. Fryer, N. Becker, (2000), Geophysical Characteristics of the Southern Mariana Trough, 11N-13N, J. Geophys. Res., 105, 16591-16607.
  4. ^ T. Yamazaki, N. Seama, K. Okino, K. Kitada, M. Joshima, H. Oda, J. Naka, (2003), Spreading process of the northern Mariana Trough: Rifting-spreading transition at 22 N, Geochem., Geophys., Geosyst. 4, doi:10.1029/2002GC000492.
  5. ^ L.M. Parson, J.A. Pearce, B.J. Murton, R.A. Hodkinson, RRS Charles Darwin Scientific Party, Role of ridge jumps and ridge propagation in the tectonic evolution of the Lau back-arc basin, southwest Pacific, Geology 18(1990) 470-473.
  6. ^ K.E. Zellmer, B. Taylor, (2001) A three-plate kinematic model for Lau Basin opening, Geochem., Geophys., Geosyst. 2, Paper number 2000GC000106.
  7. ^ P.F. Barker, I.A. Hill, 1980, Asymmetric spreading in back-arc basins, Nature 285. 652-654.
  8. ^ F. Martinez, P. Fryer, N.A. Baker, T. Yamazaki, (1995) Evolution of backarc rifting: Mariana Trough, 20-24N, J. Geophys. Res., 100, 3807-3827.
  9. ^ P. Molnar, T. Atwater (1978), Interarc spreading and Cordilleran tectonics as alternates related to the age of subducted oceanic lithosphere, Earth Planet. Sci. Lett. 41, 330-340.

関連かんれん項目こうもく

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