海底かいてい扇状地せんじょうち

ベンガル湾わんとベンガル海底かいてい扇状地せんじょうち。地球ちきゅうで最大さいだいの海底かいてい扇状地せんじょうちとも言いわれ末端まったんはこの図ずよりもかなり南みなみにある。

海底かいてい扇状地せんじょうち（かいていせんじょうち、英語えいご: submarine fan）とは、大陸棚たいりくだななどの比較的ひかくてき浅あさい海底かいていから、海底かいてい谷だにを通とおって深海ふかうみ底そこへと流ながれ下くだる混こん濁流だくりゅうによって形成けいせいされた、海面かいめん下かに存在そんざいする扇状地せんじょうちのことである。なお、深海ふかうみ扇状地せんじょうちと呼よばれることもある。

成因せいいんと構造こうぞう

大陸たいりく斜面しゃめんのような海底かいていの中なかでも特とくに傾斜けいしゃが急きゅうな部分ぶぶんに堆積たいせきした堆積たいせき物ぶつは、しばしば海底かいていの斜面しゃめんを滑すべり落おちたり崩くずれ落おちたりすることがある。また、時ときには大陸棚たいりくだなの上うえの堆積たいせき物ぶつまでもが大陸たいりく斜面しゃめんを、一気いっきに流ながれ下くだることもある。この堆積たいせき物ぶつの流ながれ落おちは、地上ちじょうで起おこる泥どろ流りゅうや土石流どせきりゅうと似にているが、海中かいちゅうで起おこっていることなので、当然とうぜんながら海水かいすいと堆積たいせき物ぶつが混合こんごうした物ものが流ながれており、これを混こん濁流だくりゅうと呼よぶ。この混こん濁流だくりゅうが発生はっせいするきっかけとして地震じしんが挙あげられるが、他たに陸上りくじょうで起おきた洪水こうずいなどで一気いっきに大量たいりょうの土砂どしゃが海うみに流入りゅうにゅうすることなども、混こん濁流だくりゅう発生はっせいの引ひき金がねになり得えると考かんがえられている。

大陸たいりく斜面しゃめんには、陸上りくじょうの谷たにのようにえぐれた場所ばしょが所々ところどころに存在そんざいし、これを海底かいてい谷だにと呼よぶ。ここを混濁こんだく流りゅうが長ながい期間きかんに渡わたって幾度いくども流ながれ下くだると、ちょうど地上ちじょうにできる扇状地せんじょうちのように、この海底かいてい谷だにの部分ぶぶんを扇おうぎ頂いただきとする海底かいてい扇状地せんじょうちが形成けいせいされる。

こうしてできた海底かいていの扇状地せんじょうちは、陸上りくじょうの山岳さんがくから流ながれ下くだる河川かせんによって形成けいせいされた扇状地せんじょうちと出来でき方かたは似にているものの、陸上りくじょうにできる扇状地せんじょうちが多おおくの礫つぶてを含ふくんでいるのに対たいして、海底かいてい扇状地せんじょうちは砂すなや泥どろを多おおく含ふくんでいる点てんが異ことなる。つまり、陸上りくじょうの扇状地せんじょうちは主おもに礫つぶてや砂すなによって出来できているが、海底かいてい扇状地せんじょうちは主おもに砂層さそうと泥どろ層そうの繰くり返かえしによって出来できていると考かんがえられている。この違ちがいは、陸上りくじょうにある扇状地せんじょうちの多おおくは、河川かせんが山岳さんがくを直接ちょくせつ浸食しんしょくして出来できた礫つぶてなどを、河川かせんがそのまま運搬うんぱんしてきたものが、河川かせんの流りゅう路ろの傾斜けいしゃが緩ゆるくなって、河川かせんによる運搬うんぱん力りょくが落おちたために、そのまま礫つぶてなどが堆積たいせきしているのに対たいし、海底かいてい扇状地せんじょうちを形成けいせいする混こん濁流だくりゅうは、主おもに海底かいていに堆積たいせきした砂すなや泥どろと海水かいすいの混合こんごう物ぶつによる流ながれだからだと考かんがえられている。なお、海底かいてい扇状地せんじょうちは海底かいていに存在そんざいしているものなのにも拘かかわらず、放散ほうさん虫ちゅうや珪藻けいそうのような浮遊ふゆう性せいのプランクトンの死骸しがいの集あつまりである軟泥を主成分しゅせいぶんとしないのは、海底かいてい扇状地せんじょうちが比較的ひかくてき陸ろくに近ちかい所ところで形成けいせいされて、陸りくからの破砕はさい物ぶつが比較的ひかくてき多おおく供給きょうきゅうされるからだと考かんがえられている。

関連かんれん項目こうもく

• 扇状地せんじょうち
• 海底かいてい
• 大陸たいりく斜面しゃめん