(Translated by https://www.hiragana.jp/)
放散虫 - Wikipedia コンテンツにスキップ

放散ほうさんちゅう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
放散ほうさんちゅう
Cyrtoidea
"Cyrtoidea" from Ernst Haeckel's
Kunstformen der Natur, 1904
地質ちしつ時代じだい
先カンブリア時代せんかんぶりあじだい - 現代げんだい
分類ぶんるい
ドメイン : かく生物せいぶつ Eukaryota
さかい : リザリア Rhizaria
もん : 放散ほうさんちゅう Radiolaria
Müller, 1858 emend.
和名わみょう
放散ほうさんちゅう
英名えいめい
Radiolaria
下位かい分類ぶんるい
  • アカンタリアるい Acantharea
  • ポリキスティナるい Polycystinea
  • スチコロンケるい Sticholonchea

放散ほうさんちゅう(ほうさんちゅう、えい: Radiolaria: radiolus, radius放射状ほうしゃじょうぼう」の縮小しゅくしょう)とは、原生げんせい生物せいぶつ一群いちぐんである。しゅとしてうみプランクトンとして出現しゅつげんする単細胞たんさいぼう生物せいぶつで、珪酸けいさんしつなどからなる骨格こっかくつ。そのためほろ化石かせきとしても発見はっけんされ、地質ちしつ年代ねんだいがくにおいて岩石がんせき地層ちそう年代ねんだい推定すいていするしめせじゅん化石かせきとして利用りようされる[1]エルンスト・ヘッケル研究けんきゅうしたことでもよくられている。

形態けいたい

[編集へんしゅう]

外形がいけい様々さまざまであるが、球状きゅうじょうあるいは円錐えんすいがたなど回転かいてんたいてきかたちをしている。中心ちゅうしんから放射状ほうしゃじょう突出とっしゅつするほねはりや、外側そとがわおおからなどのかたちで、珪酸けいさんしつもしくは硫酸りゅうさんストロンチウムからなる骨格こっかくつ。

細胞さいぼうしつ中心ちゅうしんばれるまくのような構造こうぞうによって内外ないがいふたつの部分ぶぶんかれる。うちしつにはかくなどのオルガネラがあり、そとしつあわじょうえきあぶらしずくちていて浮力ふりょくあたえている。

微小びしょうかんたばとおった非常ひじょうほそはりじょうかりあしじくあし)をそとし、その表面ひょうめん微生物びせいぶつなどをらえる。一方いっぽう褐虫などの共生きょうせい藻類そうるいふくむものがあり、細胞さいぼうにエネルギーを供給きょうきゅうしているとかんがえられている。

化石かせきとその採取さいしゅ分析ぶんせき

[編集へんしゅう]

一般いっぱんには海産かいさんのプランクトンである。その骨格こっかく海底かいてい沈殿ちんでんして放散ほうさんちゅう軟泥(ほうさんちゅうなんでい、Radiolarian ooze)とばれる。化石かせき先カンブリア時代せんかんぶりあじだいから現在げんざいいたるまでのひろ範囲はんい発見はっけんされる。形態けいたい多様たようたねわりがはやいため、重要じゅうようしめせじゅん化石かせきとなる。チャート放散ほうさんちゅう骨格こっかく堆積たいせきによって形成けいせいされる場合ばあいもあり、良質りょうしつ砥石といしとしてもられる。

放散ほうさんちゅう化石かせき抽出ちゅうしゅつには、毒性どくせいつよフッ水素すいそさん使つかわれてきたが、日本にっぽん九州大学きゅうしゅうだいがくによりてい濃度のうど水酸化すいさんかナトリウム水溶液すいようえき使つか安全あんぜん手法しゅほう開発かいはつされた[2]

分類ぶんるい

[編集へんしゅう]

かつては原生動物げんせいどうぶつあしちゅうるい、あるいは肉質にくしつむち毛虫けむしるいなかで、ゆうじくかりあしむしるい一員いちいんとしてあつかわれていた。おなじくゆうじくかりあしむしるいでよくたものに太陽たいようちゅう(たいようちゅう)があるが、細胞さいぼうしつがはっきりとしたそうかれないこと、簡単かんたんからつものもあるが、ほねはり珪酸けいさんしつ丈夫じょうぶからたないことで区別くべつされる。

原生げんせい生物せいぶつおなじく、放散ほうさんちゅう微細びさい構造こうぞう観察かんさつ分子ぶんし系統けいとう解析かいせきすすむにつれて、その位置いち分類ぶんるい体系たいけい見直みなおされてきた。一時期いちじき系統けいとうてき放散ほうさんちゅうという自然しぜんぐん存在そんざいしないとかんがえられたこともある。現在げんざいリザリアなかふくめられ、珪酸けいさんしつ骨格こっかくつくポリキスティナるいあわるい)と硫酸りゅうさんストロンチウム骨格こっかくつくアカンタリアるいとげはりるい)に大別たいべつされる。それ以外いがいにも、従来じゅうらい中心ちゅうしん嚢がないため太陽たいようちゅうだとかんがえられてきたスチコロンケ(Sticholonche)も放散ほうさんちゅうふくめる。

なお伝統でんとうてきにはファエオダリアるいいろどりるいまたはさんあなるい)も放散ほうさんちゅうふくめていた。これは珪酸けいさん有機物ゆうきぶつ骨格こっかくち、かりあし中心ちゅうしん嚢にあるみっつのくちからるものである。しかし分子ぶんし系統けいとうではおなじリザリアではあるがケルコゾアふくまれる独立どくりつしたぐんとなり、形態けいたいじょう類似るいじせい収斂しゅうれん進化しんか結果けっかかんがえられる。

ポリキスティナるい
珪酸けいさんしつからつ。成長せいちょうのものはあついカプセルじょうまくつつまれる。
  • Spumellarida:Cenosphaera,Spongosphaera,Stylotrochus,Thalassicolla,Thalassolampe,Xiphospira
  • Nassellarida:Cyrtocalpis
アカンタリアるい
硫酸りゅうさんストロンチウムの骨格こっかく中心ちゅうしんでつながって放射状ほうしゃじょう規則きそくてきびる。
  • Holacanthida:Acantochiasma
  • Symphyacanthida:Haliommanthidium
  • Chaunacanthida:Amphiacon
  • Arthracanthida:Acanthometra,Phyllostaurus
スチコロンケるい
球形きゅうけい細胞さいぼうたい表面ひょうめん珪酸けいさんしつはりじょう骨格こっかくならぶ。
  • Taxopodida:Sticholonche
ファエオダリアるい
参考さんこう放散ほうさんちゅうではなくケルコゾアにふくめる)
  • Phaeogymnocellida:Phaeophaera
  • Phaeocystida:Aulacantha
  • Phaeosphaerida:Auloscena
  • Phaeocalpida:Tuscarora
  • Phaeogromida:Cadium
  • Phaeoconchida:Conchidium
  • Phaeodendrida:Coelodendrum

代表だいひょうてき放散ほうさんちゅう骨格こっかく

[編集へんしゅう]

エルンスト・ヘッケル Kunstformen der Natur(1904)より

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]

参考さんこう文献ぶんけん

[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]

放散ほうさんちゅう国立こくりつ科学かがく博物館はくぶつかん