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フッ水素すいそさん

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フッ水素すいそさん
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識別しきべつ情報じょうほう
CAS登録とうろく番号ばんごう 7664-39-3
RTECS番号ばんごう MW7875000
特性とくせい
化学かがくしき HF
外観がいかん 無色むしょく溶液ようえき
密度みつど 1.15 g/mL(48%溶液ようえき
さん解離かいり定数ていすう pKa 3.15(in みず
危険きけんせい
おも危険きけんせい 毒性どくせい非常ひじょうたか
特記とっきなき場合ばあい、データは常温じょうおん (25 °C)・つねあつ (100 kPa) におけるものである。

フッ水素すいそさん(フッかすいそさん、英語えいご: Hydrofluoric acid)は、フッ水素すいそ水溶液すいようえきである。ぞくフッさん(フッさん)とばれ、工業こうぎょうてき重要じゅうようであるが、れるとはげしくからだ腐食ふしょくする危険きけん毒物どくぶつとしてもられる。

概要がいよう

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フッ水素すいそさんはフッ水素すいそともに、フッ素ふっそふくおおくの薬品やくひんじゅう合体がったいれいテフロン)および合成ごうせい繊維せんい前駆ぜんくたいである。

フッ水素すいそさん一般いっぱんガラス (SiO2) と反応はんのうしてかすことがよくられている。

ガラスを腐食ふしょくする性質せいしつのため、フッ水素すいそさんはポリエチレンまたはテフロン容器ようきれて保存ほぞんされる。また、フッ水素すいそさんおおくの金属きんぞく腐食ふしょくする。とく硝酸しょうさんとの混合こんごうさんさんたい耐食性たいしょくせいたかタンタルなども溶解ようかいする。

通常つうじょうは47〜48% (d=1.15 g cm−3, 27.6 mol dm−3) 程度ていど水溶液すいようえきとして市販しはんされ、毒物どくぶつおよげきぶつ取締とりしまりほう医薬いやくようがい毒物どくぶつ指定していされている。

製法せいほう

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フッカルシウムふくぼたるせき硫酸りゅうさんくわえて加熱かねつすると、反応はんのうしてフッ水素すいそしょうじるので、これをみず溶解ようかいする。

濃縮のうしゅくウランであるろくフッウラン加水かすい分解ぶんかいして、ウラン燃料ねんりょうとしての酸化さんかウラン(IV)とする工程こうていでは多量たりょうのフッ水素すいそさんふくせいする[1]

酸性さんせい

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フッ水素すいそさん水溶液すいようえきちゅうではさんおなじように解離かいりする。ハロゲン水素すいそさんとはことなり希薄きはく水溶液すいようえきちゅうでは弱酸じゃくさんとなる。

その電離でんり平衡へいこうたいするねつ力学りきがくてきもろりょう以下いかとおりである[2]

−12.55 kJ mol−1 18.03 kJ mol−1 −102.5 J mol−1K−1

HF分子ぶんし接近せっきんしたとき酸性さんせいつぎ平衡へいこうのため劇的げきてき増加ぞうかする。このためフッ水素すいそさん通常つうじょう弱酸じゃくさんとはことなり、0.1 mol dm−3程度ていど以上いじょう濃度のうどになるとこう濃度のうどとなっても電離でんりがあまり減少げんしょうしない。

アニオンは、水素すいそフッ素ふっそあいだ強力きょうりょく水素すいそ結合けつごうによって安定あんていされる。このイオンはじゅん液体えきたいフッ水素すいそのみならず、水溶液すいようえきちゅうでもこう濃度のうどであれば生成せいせいする。

用途ようと

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各種かくしゅフッ素ふっそ化合かごうぶつ原料げんりょうとして重要じゅうようであるほか、ガラス化学かがく加工かこうや、半導体はんどうたい製造せいぞうシリコン酸化さんかまくエッチング歯科しか技工ぎこう分野ぶんやもちいられる。ステンレスアルミニウム酸化さんか被膜ひまく除去じょきょには、硝酸しょうさんとのこんさん使用しようされる。

危険きけんせい

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ほね血液けつえきちゅうカルシウムイオンと容易ようい結合けつごうすることにより、ほねおかていカルシウムしょう原因げんいんともなる。応急おうきゅう処置しょちには、接触せっしょく部位ぶい流水りゅうすい洗浄せんじょうののちグルコンさんカルシウム使用しようされる。

おも事故じこ事件じけん

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  • 2013ねん1月と5がつ韓国かんこくサムスン電子でんしはなじょう事業じぎょうじょうでフッさん漏出ろうしゅつ事故じこ相次あいついで発生はっせいし、わせて1人ひとり死亡しぼう7にん負傷ふしょうした[5]
  • 2013ねん3がつ静岡しずおかけんでフッさんられたくついた女性じょせいが、あし壊疽えそ(えそ)をこし、5ほんゆびすべてを切断せつだんする重傷じゅうしょう事件じけんきた[6]。これは故意こいられたもので、犯人はんにん殺人さつじん未遂みすい容疑ようぎ逮捕たいほされた[6]検察けんさつ判断はんだん傷害しょうがいざいえて起訴きそされ[7]傷害しょうがいざい有罪ゆうざい判決はんけつけた。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 村田むらた徳治とくじしんてい廃棄はいきぶつのやさしい化学かがく だい3かん はいさんはいアルカリ・汚泥おでいまき日報にっぽう出版しゅっぱん、2004ねん、83-91ぺーじISBN 978-4-89086-235-1 
  2. ^ D.D. Wagman, W.H. Evans, V.B. Parker, R.H. Schumm, I. Halow, S.M. Bailey, K.L. Churney, R.I. Nuttal, K.L. Churney and R.I. Nuttal, The NBS tables of chemical thermodynamics properties, J. Phys. Chem. Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982)
  3. ^ 1982ねん4がつ22にち・24にちづけ毎日新聞まいにちしんぶん縮刷しゅくさつばん
  4. ^ 昭和しょうわ57ねん(1982ねん)4がつ22にち水曜日すいようび読売新聞よみうりしんぶん
  5. ^ 三星みつぼし(サムスン) ふたたびフッさん事故じこ…3ヶ月かげつぶり‘おな場所ばしょおな原因げんいん’”. ハンギョレ. (2013ねん5がつ2にち). http://japan.hani.co.kr/arti/politics/14615.html 
  6. ^ a b くつどく,同僚どうりょう女性じょせいあしゆび切断せつだん殺人さつじん未遂みすい容疑ようぎおとこ逮捕たいほ. 朝日新聞あさひしんぶん (朝日新聞社あさひしんぶんしゃ). (2013ねん3がつ28にち). オリジナルの2013ねん3がつ28にち時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130328055009/http://www.asahi.com/national/update/0328/TKY201303280109.html 2013ねん3がつ29にち閲覧えつらん 
  7. ^ “「女性じょせいくつどく」で同僚どうりょうおとこ起訴きそ 地検ちけん沼津ぬまづ支部しぶ傷害しょうがいざいで”. 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん (日本経済新聞社にほんけいざいしんぶんしゃ). (2013ねん5がつ8にち). https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG08049_Y3A500C1CC1000/ 
  8. ^ 山口組やまぐちぐみのごみから猛毒もうどくのフッ水素すいそ検出けんしゅつ、14にん軽症けいしょう山口組やまぐちぐみ総本部そうほんぶ家宅かたく捜索そうさくへ”. 産経新聞さんけいしんぶん. (2015ねん8がつ25にち). https://web.archive.org/web/20150825062129/http://www.sankei.com/west/news/150825/wst1508250054-n1.html 
  9. ^ 猛毒もうどく「フッ水素すいそさん」か、こぼれ異臭いしゅう 東京とうきょう秋葉原あきはばら路上ろじょう、けがにんなし”. 毎日新聞まいにちしんぶん. (2020ねん6がつ4にち). https://mainichi.jp/articles/20200604/k00/00m/040/156000c 

関連かんれん項目こうもく

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