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山小屋やまごや

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ピレネー山脈さんみゃく山小屋やまごや(20世紀せいき初頭しょとう
オーストリアTennen Mountainsにある(ごく普通ふつうの)山小屋やまごや Edelweißerhütte
スイスCabane du Trient
スイス・アルプス(Swiss Alps)の山小屋やまごやのひとつBertol Hut
日本にっぽんきたアルプス蝶ヶ岳ちょうがたけ蝶ヶ岳ちょうがたけヒュッテ
北米ほくべいカナディアン・ロッキーにあるElizabeth Parker hut

山小屋やまごや(やまごや、えい: mountain hutあるいはalpine hut、mountain shelter、mountain lodgeなど)とは、登山とざんもの宿泊しゅくはく休憩きゅうけい避難ひなんなどのために、やまなかてられた小屋こや[1]ヒュッテとも[1]

概要がいよう

やまにある宿泊しゅくはく休憩きゅうけい避難ひなん施設しせつである。登山とざんものやまハイキングするハイカーが、行程こうていちゅう宿泊しゅくはくしたり、休息きゅうそくしたり、あるいは緊急きんきゅう避難ひなんするためにむための建物たてものである。

小屋こやばん管理人かんりにん)のいる有人ゆうじん小屋こやと、小屋こやばんのいない「無人むじん小屋こや[2]」(あるいは「避難ひなん小屋こや」)に大別たいべつされる。

山小屋やまごや」という場合ばあい無人むじん小屋こや有人ゆうじん小屋こやもどちらもしうる。

ほんこうでは宿泊しゅくはく施設しせつ休憩きゅうけい場所ばしょ避難ひなん場所ばしょとしての山小屋やまごやについて解説かいせつする。

かた

ヒュッテ
ドイツヒュッテ (Hütte)が由来ゆらいである。これは広義こうぎには小屋こや全般ぜんぱんし、高山こうざん高原こうげんにある山小屋やまごやす。
日本語にほんごもちいられる「ヒュッテ」という言葉ことばは、1910ねんオーストリア陸軍りくぐんレルヒ少佐しょうさが、日本にっぽんスキーつたえたさいに、導入どうにゅうされた登山とざん用語ようごのひとつ。当時とうじ導入どうにゅうされたドイツには、いまでも登山とざんスキー用語ようごとしてもちいられているものもおおい。
ハット
英語えいご小屋こや意味いみするかたり「hut(ハット)」。これはドイツのヒュッテとどう語源ごげんである。なお、ファーストフードチェーンの「ピザハット」もPizza-Hutであって「ピザ小屋こや」の意味いみである。
西欧せいおう放牧ほうぼくよう山小屋やまごや

アルプスやピレネーなどにおいてなつ期間きかん放牧ほうぼくおこなわれるが、牛飼うしかいいやひつじいのための宿泊しゅくはくおよびチーズつくりの拠点きょてんとして利用りようされる山小屋やまごやがある。これらの山小屋やまごや地域ちいきごとにことなる言語げんご方言ほうげんもしくは慣習かんしゅうによる存在そんざいする。[3]

アルプスのサヴォワではシャレ (Chalet) とばれる。
ピレネーのベアルンではキュヤラ (Cujala) 、バスクではカイヨラール (Cayolar) 。
コースではフランス語ふらんすごカバーヌ (Cabane) 。オーヴェルニュではおおむねビュロン (Buron) とばれるが、東部とうぶのリヴラドワ(fr) ではジャスリー (Jasserie) とばれる。

欧州おうしゅう山小屋やまごや

北米ほくべい南米なんべい山小屋やまごや

アジアの山小屋やまごや

エベレストチョモランマ等々とうとう世界せかい有数ゆうすう山々やまやま多数たすうあり、世界中せかいじゅうから登山とざんしゃており、当然とうぜんさまざまな山小屋やまごやがある。

アフリカの山小屋やまごや

アフリカ最高峰さいこうほうキリマンジャロ中心ちゅうしんに、ヨーロッパしきのガイドツアーが主流しゅりゅうおおくのやまいき自然しぜん保護ほご観光かんこう資源しげんとして入山にゅうざん規制きせいがしかれる。

日本にっぽん山小屋やまごや

日本にっぽんでの初期しょき歴史れきし

日本にっぽん現存げんそん最古さいこ山小屋やまごや建築けんちくとうはいしゃけの宿泊しゅくはく施設しせつであった立山たてやま室堂むろどう小屋こやである[4]宗教しゅうきょう関連かんれんしない日本にっぽん最古さいこ営業えいぎょう山小屋やまごやは、1907ねん明治めいじ40ねん)に開業かいぎょうした白馬しろうま山荘さんそうである[5]。それにつづいて槍沢やりさわロッジ、つねねん小屋こやつばめ山荘さんそう穂高ほだかたけし山荘さんそう槍ヶ岳やりがだけ山荘さんそうなどが相次あいついで開業かいぎょうした。

個々ここ名称めいしょう

避難ひなん小屋こや場合ばあいは、基本きほんてきに「○○避難ひなん小屋こや」と名乗なのることになっている。

夏山なつやま診療しんりょうしょ

日本にっぽんでは、だい規模きぼ山小屋やまごや主要しゅよう山小屋やまごやでは、夏季かき大学だいがく医学部いがくぶなどが運営うんえいする臨時りんじ夏山なつやま診療しんりょうしょ併設へいせつされることがある。夏山なつやま診療しんりょうしょのある山小屋やまごやは、ほとんどがきたアルプス集中しゅうちゅうしており、それ以外いがいみなみアルプス北岳きただけ富士山ふじさん白山はくさんにあるが、かずすくない。立山たてやま剱岳付近ふきんにも夏山なつやま診療しんりょうしょはあるが、山小屋やまごやには併設へいせつされていない。

日本にっぽん無人むじん小屋こや避難ひなん小屋こや

日本にっぽん避難ひなん小屋こやには緊急きんきゅう避難ひなん専用せんよう小屋こやと、自炊じすい寝具しんぐ持参じさん宿泊しゅくはく念頭ねんとういた小屋こやがある。

緊急きんきゅう避難ひなん小屋こや

緊急きんきゅう避難ひなん専用せんよう小屋こやは、かみなり大雨おおあめ(ひょう)や強風きょうふう ひとしから一時いちじてき避難ひなんすることを念頭ねんとうつくられている。こうした無人むじん小屋こや手間てまとおかねをかけてつく管理かんりするひと組織そしきがあるおかげで毎年まいとしおおくの登山とざんしゃいのちすくわれているとえる。登山とざん計画けいかくてるときは、登山とざん途中とちゅう緊急きんきゅう避難ひなん小屋こやがあるのをつけたら、その位置いちをよくおぼえておくといざというとき自分じぶんいのちすくうことになる。

日本にっぽん有人ゆうじん小屋こや

有人ゆうじん小屋こやでは寝具しんぐそなけてある。

開設かいせつ期間きかんがい完全かんぜん閉鎖へいさする山小屋やまごやがほとんどであるが、一部いちぶのスペースを冬季とうき避難ひなん小屋こやとして開放かいほうするところもある。雪崩なだれ多発たはつする谷間たにま山小屋やまごやなかには、冬季とうき建物たてもの解体かいたいし、翌年よくねん初夏しょか組立くみたてなおすところもおおく、容易ようい解体かいたいできる構造こうぞうとなっており、プレハブ小屋こやそのものの山小屋やまごや存在そんざいする。

営業えいぎょう期間きかん

高山たかやま有人ゆうじん小屋こや場合ばあいきたアルプスなどおおくの登山とざんしゃおとずれる地域ちいきでは、営業えいぎょう期間きかんは、6がつ中旬ちゅうじゅんから10がつ中旬ちゅうじゅん(あるいは11がつはじめ)というところがおおいが、メインルートからはずれている小屋こやでは、登山とざんしゃおお夏季かきだけの営業えいぎょうのところもある。西にし山荘さんそうしん穂高ほたかロープウェイ通年つうねん運行うんこうしており、その山頂さんちょうえきからちか標高ひょうこう2,360 m高地こうち通年つうねん営業えいぎょうおこなっているきたアルプスちゅうでは唯一ゆいいつ山小屋やまごやである[6]。また、標高ひょうこうたか気象きしょう条件じょうけんきびしい富士山ふじさん山小屋やまごやは7・8がつの2ヶ月かげつしか営業えいぎょうしないところがおおい。ただし5ごうにある佐藤さとう小屋こや富士山ふじさん唯一ゆいいつ通年つうねん営業えいぎょうおこなっている[7]高山こうざんであっても、八ヶ岳やつがたけ一部いちぶ小屋こやのように、四季しきにわたって入山にゅうざん宿泊しゅくはくしゃ見込みこめる小屋こやでは、通年つうねん営業えいぎょうをしている場合ばあいもある。

予約よやく

従来じゅうらい予約よやくをせずに「み」利用りようをする利用りようしゃおおかった。これは、おおくの山小屋やまごやでは予約よやくをしても基本きほんてきには旅館りょかんホテルちがい、大部屋おおべや相部屋あいべやでの雑魚寝ざこねとなり、予約よやくしで宿泊しゅくはくした場合ばあい待遇たいぐうちがいに大差たいさがなかったからである。これは、山小屋やまごやがホテルや旅館りょかんとう宿泊しゅくはく施設しせつとはことなり、緊急きんきゅう避難ひなん場所ばしょ役割やくわりになっているという事情じじょうによる。かつて、おおくの山小屋やまごや基本きほんてきには宿泊しゅくはく希望きぼうしゃこばめないために、さい混雑こんざつ廊下ろうか食堂しょくどう布団ふとんいて就寝しゅうしんしたり、他人たにんおな布団ふとん就寝しゅうしんすることもこりうる。

しかし、新型しんがたコロナウイルス流行りゅうこう以降いこうみつけるため、おおくの山小屋やまごやでは定員ていいんせい導入どうにゅうし、予約よやく必須ひっすのところや予約よやく宿泊しゅくはくしゃ割高わりだか宿泊しゅくはくりょうとなるところが増加ぞうかした。

ただし、予約よやくしでも宿泊しゅくはく可能かのう山小屋やまごやであっても、午後ごご3ごろまでに到着とうちゃくすることが推奨すいしょうされる。目的もくてきへの到着とうちゃくおそくなるほど、みちまよった場合ばあいのリカバリーが困難こんなんになるほか、遭難そうなんした場合ばあい救助きゅうじょたいけつけられないリスクがたかまる[8]。また、やま天気てんき夕方ゆうがたかみなりあめとなることがおおい。早着そうちゃく山小屋やまごや宿泊しゅくはく基本きほんである。また、あまりおそ時間じかん到着とうちゃくすると夕食ゆうしょく提供ていきょうができなくなったり、相部屋あいべや人々ひとびと迷惑めいわくをかけるためマナーじょうからも問題もんだいとなる。

ただし、宿泊しゅくはくしゃ制限せいげんすることにより入山にゅうざんしゃ総量そうりょう制限せいげんおこなっている尾瀬おぜや、夜間やかん登山とざんさかんで夜間やかんでもみちまよ心配しんぱいすくない富士山ふじさん伊吹山いぶきやま交通こうつうととのっている上高地かみこうちなど登山とざんこう山小屋やまごやなどは以前いぜんから定員ていいん以上いじょう宿泊しゅくはくけていない。このような山小屋やまごやにおいては予約よやくをしないと宿泊しゅくはくできない場合ばあいもありうるほか、宿泊しゅくはくできても食事しょくじ提供ていきょうけられない場合ばあいがある。大峰山おおみねさん地域ちいき山小屋やまごやのように、登山とざんこう予約よやくがない場合ばあい宿泊しゅくはくができないことを看板かんばんなどで明示めいじしている場合ばあいもある。また、個室こしつ利用りよう希望きぼうする場合ばあいも、予約よやくがないと満室まんしつ場合ばあいがある。団体だんたい利用りようする場合ばあいはどのような小屋こやでも、基本きほんてきには予約よやく必要ひつようとする。何人なんにん以上いじょうだと予約よやく必要ひつようかは小屋こやによってことなるので、あらかじわせたほうがい。ぎゃく予約よやくをしたからといって、暴風雨ぼうふううといったきわめて悪条件あくじょうけんなか無理むりをして予約よやくれた山小屋やまごやかうことは禁物きんもつである。警報けいほう場合ばあい交通こうつう機関きかんがストップした場合ばあいは、ほぼすべての山小屋やまごや当日とうじつのキャンセルであっても違約いやくきん請求せいきゅうしないが、携帯けいたい電話でんわ山小屋やまごや公衆こうしゅう電話でんわなどで連絡れんらくがつけられる場合ばあいはキャンセルの連絡れんらくれるべきなのは当然とうぜんである。悪天候あくてんこう程度ていどでの当日とうじつキャンセルはおおくの山小屋やまごやはキャンセルりょう必要ひつようとする。

山小屋やまごや食堂しょくどう売店ばいてん

有人ゆうじん小屋こや昼間ひるま時間じかんたい食堂しょくどう売店ばいてん営業えいぎょうすることがおおく、登山とざんしゃ昼食ちゅうしょく提供ていきょうしたり清涼飲料水せいりょういんりょうすい菓子かしるい販売はんばいしている。これらの施設しせつ利用りようすると少々しょうしょう価格かかくたかいことを考慮こうりょしても、食事しょくじとう荷物にもつらすことができるメリットがある。また、みず確保かくほ困難こんなん稜線りょうせんじょう登山とざんにおいては飲料いんりょうすい販売はんばいしており、トイレ利用りよう可能かのうのため、登山とざんしゃにとってはルートじょう宿泊しゅくはく以外いがい小屋こやかせない存在そんざいであるが、営業えいぎょう期間きかん営業えいぎょうおよび、昼食ちゅうしょく売店ばいてん営業えいぎょう有無うむ営業えいぎょう時間じかん確認かくにん必要ひつようである。

富山とやまけん立山たてやまだいなんじ休憩きゅうけいしょ休憩きゅうけい専用せんよう山小屋やまごや

山小屋やまごやでの食事しょくじ

福島ふくしまけん安達太良山あだたらやまくろがね小屋こやカレーライス夕食ゆうしょく

大抵たいてい有人ゆうじん小屋こやは1はく2しょくづけ宿泊しゅくはくができるため、希望きぼうしゃには夕食ゆうしょくおよび朝食ちょうしょく提供ていきょうされる。かつての山小屋やまごや夕食ゆうしょくつくきが容易よういカレーライス定番ていばんであった。現在げんざいはカレーライスを夕食ゆうしょく山小屋やまごや少数しょうすうになったが、それでも富士山ふじさんおおくの山小屋やまごやみなみアルプスや東北とうほく地方ちほうなどの一部いちぶ山小屋やまごやや、不便ふべん場所ばしょにある小規模しょうきぼ山小屋やまごや一部いちぶではいまでも毎日まいにちカレーライスがされる。ただ、おおくの山小屋やまごやではヘリコプターなどにより、比較的ひかくてき生鮮せいせん食料しょくりょうひん輸送ゆそうらくになったことや、だい規模きぼ自家じか発電はつでんおこなうことにより冷蔵れいぞう可能かのうになったことなどにより、バラエティにんだ夕食ゆうしょく提供ていきょうできるようになった。山小屋やまごやによっては予約よやくすることにより、本格ほんかくてきなコース料理りょうりすところさえある。ただ、最盛さいせいおおくの宿泊しゅくはくしゃ対応たいおうするために、おおくの小屋こやでは味噌汁みそしるスープのぞいては、なんあいだまえからあらかじさらることができるつめたいおかずがメインとなる。

最盛さいせい食堂しょくどう収容しゅうようしゃすうすうばい宿泊しゅくはくしゃ対応たいおうするために、山小屋やまごや到着とうちゃくした順番じゅんばんすう交代こうたいせい時間じかんめて夕食ゆうしょく場合ばあいもあり、食後しょくご食堂しょくどうビールなどをんでゆっくりとできない時期じきもある。そのような時期じきは、最終さいしゅうかい夕食ゆうしょくにすぐ翌朝よくあさ朝食ちょうしょく準備じゅんびはじまることがおおく、食堂しょくどう談話だんわしつとしての利用りよう時間じかん制限せいげんされることがある。もちろんシーズンオフや宿泊しゅくはくしゃすくない小規模しょうきぼ山小屋やまごやでは、ゆっくりと小屋こやのオーナーや管理人かんりにんなどとかたらいながらの食事しょくじができる場合ばあいもある。

山小屋やまごやでは素泊すどまりや1しょくのみの利用りよう可能かのうである。それらの利用りようしゃのために自炊じすいスペースを用意よういした小屋こやもあるが、自炊じすいスペースがない小屋こや場合ばあい食堂しょくどう片隅かたすみ自炊じすいみとめるところや、晴天せいてん屋外おくがいのベンチとうでしか自炊じすいみとめないところもある。

トイレ

トイレ排泄はいせつぶつ処理しょり苦労くろうしている山小屋やまごやおおく、宿泊しゅくはくしゃ以外いがいからは使用しようりょう徴収ちょうしゅうすることがおおい。従来じゅうらいはほとんどがながしきであった[9]便びんそうもなく、直接ちょくせつやま斜面しゃめん谷川たにがわ放流ほうりゅうされるものや、一旦いったん便びんそう貯蔵ちょぞうして、あき小屋こやめのとき便びんそうないみずめてから一斉いっせい放流ほうりゅうする方法ほうほうなどがあった。常時じょうじ放流ほうりゅうしきのトイレのなかには、かわみず常時じょうじ便器べんきないながすという、かけは非常ひじょう清潔せいけつなものも存在そんざいする。従来じゅうらいがた便びんそうしき場合ばあい便びんそうかべそこコンクリートなどではなく石垣いしがきひとし隙間すきまのあるものにし、液体えきたいはある程度ていど周辺しゅうへん浸透しんとうさせることがおおい。いずれにせよ周辺しゅうへん環境かんきょうあたえる問題もんだい美観びかん悪臭あくしゅう問題もんだいがあったものの、もし便びんそうそらにしないままふゆむかえると、便びんそう内容ないようぶつ完全かんぜん凍結とうけつし、翌年よくねん使用しようできなくなる問題もんだいがあったため、放流ほうりゅうむをなかっためんがある。ただ、利用りようしゃすくないトイレの常時じょうじ少量しょうりょう放流ほうりゅう場合ばあい自然しぜんにある程度ていど分解ぶんかいするのも事実じじつである。

その環境かんきょう意識いしきたかまりや富士山ふじさんにおける世界せかい遺産いさん登録とうろく問題もんだいもあり、すこしずつ環境かんきょう配慮はいりょがたトイレが登場とうじょうしている[9]1999ねん平成へいせい11ねん)から環境省かんきょうしょうによる「山岳さんがく環境かんきょうとう浄化じょうか安全あんぜん対策たいさく緊急きんきゅう事業じぎょう」で、くに費用ひよう半額はんがく補助ほじょして環境かんきょう対策たいさくおこなわれている[9]おもなものは焼却しょうきゃくがたバイオがた簡易かんい浄化槽じょうかそうがた内容ないようぶつ輸送ゆそうがたなどがある。焼却しょうきゃくがた石油せきゆプロパンガス内容ないようぶつ焼却しょうきゃくする方法ほうほうであるが、燃料ねんりょうコストがおおきくなるうえに、化石かせき燃料ねんりょう大量たいりょう使用しよう地球ちきゅう環境かんきょう全体ぜんたいにはけっして「環境かんきょう配慮はいりょ」とはいえない欠点けってんがある。バイオがた簡易かんい浄化槽じょうかそうがたは、低温ていおん高山こうざんにおいてはそのままでは微生物びせいぶつ活動かつどう充分じゅうぶん期待きたいできない欠点けってんがあり、あまりおおくの利用りようしゃがあるトイレには利用りようできない。そのため常時じょうじ自家じか発電はつでん運転うんてんして保温ほおんするなどの対策たいさくてられているトイレもあるが、燃料ねんりょうコストと化石かせき燃料ねんりょう大量たいりょう使用しよう問題もんだいが、焼却しょうきゃくがた同様どうよう発生はっせいする。内容ないようぶつ輸送ゆそうがた便びんそうごとヘリコプターなどで輸送ゆそうする方法ほうほうであるが、維持いじコストが非常ひじょうおおきくなるうえにヘリコプターが化石かせき燃料ねんりょうおお消費しょうひすることは焼却しょうきゃくがたおなじである。山小屋やまごやでのトイレ維持いじ管理かんりのコスト対策たいさくとして、チップせい導入どうにゅうしている山小屋やまごやもある[10]

あたらしくつくられたトイレは、従来じゅうらい山小屋やまごやのトイレのイメージをくつがえすものもおおく、簡易かんい水洗すいせんトイレ洋式ようしきトイレはもちろん、シャワートイレウォシュレットひとし)を設置せっちするれいもあり、山小屋やまごやのトイレはくさい・きたない・くらいというイメージはすこしずつ改善かいぜんされつつある。トイレがない山小屋やまごややまいきでは携帯けいたいトイレ利用りようをする場所ばしょ設置せっちされ、その使用しよう推奨すいしょうしているれいもある[10]

いずれにせよトイレによっては、指示しじしたがってトイレットペーパーをそなけのゴミ箱ごみばこてたり、宿泊しゅくはくしゃ以外いがい利用りよう料金りょうきんかならはらうなど、登山とざんしゃがわ協力きょうりょく大切たいせつである。また、自然しぜん環境かんきょうたいする悪影響あくえいきょうをできるだけすくなくするために、トイレ以外いがいでの用便ようべん緊急きんきゅう以外いがいつつしむべきである。

従来じゅうらいがた便びんそうしきトイレは、低温ていおんにより微生物びせいぶつはたらきがよわいため、トイレのアンモニアにおいがひどく、大抵たいてい山小屋やまごや宿泊しゅくはくとう食堂しょくどうからははなれててられており、深夜しんや場合ばあい雨天うてん場合ばあい非常ひじょう面倒めんどうである。けわしい場所ばしょにある山小屋やまごやなかには、トイレにくためには岩場いわばすこくだらないと到達とうたつできないため、小屋こやそなけのサンダルきではすこ危険きけんなところもある。

風呂ふろ

露天風呂ろてんぶろ温泉おんせんからながめられる貴重きちょう山小屋やまごや白馬しろうまやり温泉おんせん

当然とうぜんのことながら、ごく一部いちぶ例外れいがいのぞいて、山小屋やまごや宿泊しゅくはくしゃよう風呂ふろシャワーはない。みず貴重きちょう稜線りょうせんじょう小屋こやはもちろん、谷川たにがわ沿いのみず豊富ほうふ山小屋やまごやでも燃料ねんりょう輸送ゆそう問題もんだいにより、宿泊しゅくはくきゃくよう風呂ふろはないことがほとんどである(#みず確保かくほ参照さんしょうされたい)。

例外れいがい尾瀬おぜだい部分ぶぶん山小屋やまごや上高地かみこうちエリアの槍沢やりさわロッヂや横尾よこお山荘さんそう富山とやまけんけん山荘さんそうなどの谷川たにがわめんした山小屋やまごやのごく一部いちぶや、御嶽山おんたけさんいけ周辺しゅうへん小屋こやのように高山たかやまみず使用しようできる小屋こやさん小屋こや温泉おんせんあかだけ鉱泉こうせん本沢ほんさわ温泉おんせん白馬しろうまやり温泉おんせん法華ほっけいん温泉おんせんなど温泉おんせん鉱泉こうせん山小屋やまごやなどがげられるが、きわめてまれれいではあるが、八ヶ岳やつがだけあかだけ天望てんぼうそう富山とやまけん仙人せんにん小屋こや大峰山おおみねさん山上ヶ岳さんじょうがだけ宿坊しゅくぼうぐんのように稜線りょうせんじょう小屋こやにもかかわらず宿泊しゅくはくしゃよう風呂ふろそなえたところや、徳島とくしまけん剣山けんざん頂上ちょうじょうヒュッテのように山頂さんちょうにもかかわらず宿泊しゅくはくしゃよう風呂ふろそなえたところもある。小屋こやちかくに残雪ざんせつのこっているあいだだけ風呂ふろ提供ていきょうする山小屋やまごやもある。剣沢つるぎさわ小屋こやなどシャワーをそなえた小屋こや増加ぞうか傾向けいこうである。ただし、排水はいすい自然しぜん環境かんきょうあたえる影響えいきょうすくなくするため、およびお使用しようりょうをできるだけすくなくするために、宿泊しゅくはくしゃ石鹸せっけんシャンプー使用しようきんじられている。なお、上高地かみこうち山小屋やまごや一部いちぶ登山とざんこう山小屋やまごや一部いちぶなどは、石鹸せっけんるい使用しよう可能かのうのところもあるが例外れいがいてきである。

なお、従業じゅうぎょういんよう風呂ふろは、富士山ふじさんのようにみずきわめて不足ふそくしているやまいきのぞくほぼすべての山小屋やまごやにあるが、みず貴重きちょう山小屋やまごや燃料ねんりょう輸送ゆそうむずかしい山小屋やまごやでは従業じゅうぎょういん入浴にゅうよく回数かいすう制限せいげんされる。

宿泊しゅくはく料金りょうきん

有人ゆうじん小屋こや
避難ひなん小屋こや維持いじ周辺しゅうへん環境かんきょう保全ほぜんのために協力きょうりょくきん(1000えん)をけている空木うつぎひら避難ひなん小屋こや

有人ゆうじん小屋こや宿泊しゅくはく料金りょうきんやまいきによっておおきくことなるものの、素泊すどまり相部屋あいべや食事しょくじ寝具しんぐ自弁じべん宿泊しゅくはく)ではいちはく5000~13000えん程度ていど、2しょくつき相部屋あいべやでは7000~17000えん程度ていどである(一般いっぱんには輸送ゆそうコストのおおきな高山こうざん奥山おくやまほど高額こうがくになるが、やまいきによって宿泊しゅくはく料金りょうきん統一とういつしているところもおおく、その場合ばあい稜線りょうせんじょうであろうと登山とざんこうであろうとおな宿泊しゅくはく料金りょうきんになる)。個室こしつそなえた山小屋やまごやもあるが、かなり高額こうがく個室こしつ利用りようりょう必要ひつようとなることおおい。

山小屋やまごやによっては閑散かんさんにはグループごとに部屋へやけてくれて事実じじつじょう個室こしつにするところもあり、この場合ばあい個室こしつりょう不要ふようだが、おおくの小屋こや閑散かんさんでも清掃せいそう問題もんだいから一部いちぶ部屋へやだけに傾向けいこうがある。

休憩きゅうけいするだけの登山とざんしゃちゃ茶請ちゃうけを無料むりょう提供ていきょうするところもあるが、出来できれば茶代ちゃだいはらうことがのぞましい。

山小屋やまごや宿泊しゅくはくりょう施設しせつやサービス内容ないようわり高価こうかになるのは、ふゆ営業えいぎょうできなくなる小屋こやおおいうえ、なつの2ヶ月かげつほどしかきゃくおおくないにもかかわらず、緊急きんきゅう避難ひなん場所ばしょとしての役割やくわりもあるため、ゆき閑散かんさん営業えいぎょうする小屋こやおおく、それらの維持いじコストが加算かさんされているからである。安全あんぜんやまたびのためにはやむをない価格かかく設定せっていかんがえざるをえない。

避難ひなん小屋こや

避難ひなん小屋こや一般いっぱんには無料むりょう利用りようできる。ただし、利用りよう料金りょうきんがかかるところ、あるいは「寄付きふ」をけているところもある。利用りよう料金りょうきんがかかる避難ひなん小屋こや場合ばあい事前じぜん山麓さんろく所有しょゆうしゃ管理人かんりにんたく代金だいきん支払しはらってかぎ必要ひつようのあるところもある。この場合ばあい下山げざんかぎ返却へんきゃく必要ひつようになる。避難ひなん小屋こやのうち、時期じきによっては管理人かんりにんはい小屋こや場合ばあいは、その期間きかんのみ有料ゆうりょうになることがおおい。

長野ながのけん木曽きそ駒ケ岳こまがたけ頂上ちょうじょう木曽きそ小屋こや

物資ぶっし輸送ゆそう

登山とざんこう山小屋やまごやとう車道しゃどうつうじている山小屋やまごやや、ロープウェイ・リフトがつうじている山小屋やまごやべつとして、おおくの山小屋やまごやにとって物資ぶっし輸送ゆそう重要じゅうよう問題もんだいである。

人力じんりきによる輸送ゆそう
従来じゅうらいからおもおこなわれて、現在げんざいでも小規模しょうきぼ山小屋やまごや中心ちゅうしんおこなわれているのが、人力じんりきによる輸送ゆそうである。山小屋やまごや従業じゅうぎょういんアルバイト物資ぶっし専門せんもん職業しょくぎょうとしているひとボッカ)が登山とざんこうから物資ぶっし人力じんりきかつげる。訓練くんれんされたひとでは100kgをえる物資ぶっしいちかつげることができる。ヘリコプター輸送ゆそう併用へいようし、ガスボンベや石油せきゆとう食品しょくひん以外いがいべいなどのおもくてくさらないものは小規模しょうきぼ小屋こやでもヘリコプターを使つかってまとめて輸送ゆそうし、生鮮せいせん食料しょくりょうひん人力じんりき輸送ゆそうするところいまでもおおい。
ヘリコプターによる輸送ゆそう
すこ規模きぼおおきい小屋こやや、小規模しょうきぼ山小屋やまごやでもおおきな荷物にもつやまとまったりょう物資ぶっし輸送ゆそう使つかわれるのがヘリコプター輸送ゆそうである。山麓さんろくヘリポートから山小屋やまごやまで物資ぶっしげて輸送ゆそうし、山小屋やまごや敷地しきち物資ぶっしろす。この方法ほうほう欠点けってんゆう視界しかい飛行ひこうたよるために、視界しかい強風きょうふうではないあめらないしか輸送ゆそうできないことである。天候てんこうわるつづいたときは、生鮮せいせん食料しょくりょうひん中心ちゅうしん人力じんりき輸送ゆそうおこなわざるをなくなる。また、距離きょりによって運搬うんぱん料金りょうきんおおきくわるために、できるだけ山奥やまおくにヘリポートがつくられるが、それでも輸送ゆそうコストはおおきい。
特殊とくしゅ車輌しゃりょう(ブルドーザーとう)による輸送ゆそう
富士山ふじさん山小屋やまごや場合ばあいブルドーザーによる物資ぶっし輸送ゆそうおこなわれている。そのために登山とざんこうから山頂さんちょういたるブルドーザー専用せんよう通行つうこうつくられている。ブルドーザーの維持いじ減価げんか償却しょうきゃく燃料ねんりょう、ブルドーザーどう借地しゃくちりょうなども輸送ゆそうコストになる。大分おおいたけん法華ほっけいん温泉おんせん山荘さんそうなどのように、山道さんどう通行つうこうできる小型こがた車両しゃりょう物資ぶっし輸送ゆそうしているケースもある。
専用せんよう索道さくどうによる輸送ゆそう
かずすくないが、道路どうろから山小屋やまごやまで(あるいは途中とちゅうまで)専用せんよう荷物にもつよう索道さくどう設置せっちし、物資ぶっし輸送ゆそう使つかっているれいもある。この場合ばあい索道さくどう運転うんてん費用ひようほか索道さくどう維持いじ費用ひよう索道さくどう通過つうか用地ようち借地しゃくちりょうなども山小屋やまごや輸送ゆそうコストになる。

どの方法ほうほうでも輸送ゆそうコストは非常ひじょうおおきくなる。そのことは宿泊しゅくはく料金りょうきん売店ばいてんられている商品しょうひん販売はんばい価格かかく反映はんえいされる。商品しょうひん場合ばあいはメーカー希望きぼう小売こうり価格かかくでなく、重量じゅうりょうおおきさにより加算かさんがくおおきくなるために、ハンカチガムなどよりも清涼飲料水せいりょういんりょうすいかんビールなどの値段ねだんがメーカー希望きぼう小売こうり価格かかくよりもたかくなる。これらかん飲料いんりょうかんふもとろすコストも販売はんばい代金だいきんくわえられている。

みず確保かくほ

谷川たにがわ沿いの山小屋やまごやべつとして、おおくの山小屋やまごやではみず確保かくほ大変たいへん苦労くろうしており、登山とざんしゃは“みず貴重きちょうひんである”との認識にんしき節水せっすいこころがけるようにしたい。

水源すいげんがある場合ばあい
谷川たにがわ沿いの小屋こや場合ばあい谷川たにがわみず使つかう。ただし本流ほんりゅう大抵たいてい場合ばあい、さらに上流じょうりゅうにある山小屋やまごやのトイレなどが原因げんいん細菌さいきん汚染おせんされており、ささえさわおく水源すいげんから長大ちょうだいなゴムホースで飲料いんりょうすいているところがおおく、大雨おおあめのちなどは取水しゅすい地点ちてん修復しゅうふく必要ひつようになる。またあき水源すいげんれることもあり、この場合ばあい稜線りょうせんじょう山小屋やまごやおな苦労くろうをすることになる。
ポンプ(電動でんどう
稜線りょうせんじょう小屋こや場合ばあい白馬しろうま山荘さんそうなどだい規模きぼ山小屋やまごやなかには、だい規模きぼ自家じか発電はつでんによりられた電気でんき使つかってだい規模きぼみずのポンプアップをおこなっており、比較的ひかくてきみず豊富ほうふなところもある。
雨水あまみず
小規模しょうきぼ稜線りょうせんじょう山小屋やまごやおお採用さいようされている方法ほうほう天水てんすい雨水あまみず)の貯蔵ちょぞうである。山小屋やまごや屋根やねった雨水あまみずとい使つかってたくさんのドラム缶どらむかん貯蔵ちょぞうする方法ほうほう一般いっぱんてきである。この場合ばあい飲用いんようにする場合ばあい煮沸しゃふつ必要ひつようになる。
ヘリコプターによる輸送ゆそう
極端きょくたん渇水かっすいとしなどは、あき水源すいげんれることがまれにある。このような場合ばあい飲料いんりょうすいヘリコプター輸送ゆそうする山小屋やまごやもある。
ボッカによる輸送ゆそう
大都市だいとし近郊きんこう山小屋やまごやなかには、大気たいき汚染おせんにより保健所ほけんじょから天水てんすい飲用いんよう許可きょかがおりず、天水てんすい飲用いんよう以外いがい用途ようとのみに利用りようし、飲用いんようすい水源すいげんからボッカによりているところもある。
残雪ざんせつ利用りよう
ちかくに残雪ざんせつがある山小屋やまごやなかには、残雪ざんせつえるまではみず豊富ほうふ使つかえるところもある。

みず貴重きちょう小屋こやにおいては、みずといえども無料むりょうとはかぎらない。宿泊しゅくはくしゃたいしてはみず無料むりょうにしているところもあるが、一定いっていりょうまでは無料むりょうでそれ以上いじょうになると有料ゆうりょうになるところおおい。また、そのような小屋こやでは宿泊しゅくはくしゃ以外いがいおおくの場合ばあい有料ゆうりょうとなり、みず極端きょくたん不足ふそくしている小屋こやでは宿泊しゅくはくしゃ以外いがいにはみずらない小屋こやもある。

電気でんき通信つうしん

電気でんき

夜間やかん照明しょうめいは、ディーゼル発電はつでんによる自家じか発電はつでんによって、日没にちぼつこう午後ごご9くらいまで時間じかんかぎって電灯でんとうをつける小屋こやおおい。

近年きんねんおおくの小屋こやで、自然しぜんエネルギー活用かつようがなされている。尾根おねすじ小屋こやでは風力ふうりょく発電はつでんさわすじ小屋こやでは小規模しょうきぼ水力すいりょく屋根やねうえ太陽たいよう電池でんち設置せっちして、蓄電池ちくでんち併用へいようして夜間やかん照明しょうめいとしている事例じれいもある。白馬しろうま山荘さんそうのようにNEDO補助ほじょきんけ、風力ふうりょく太陽光たいようこうのハイブリッドシステムを採用さいよう電力でんりょくのかなりの部分ぶぶんまかなっている小屋こやもある。

小規模しょうきぼ小屋こやなかにはいまだに石油せきゆランプ使つかうところもあり、自家じか発電はつでん普通ふつうになった現代げんだいにおいては、ぎゃくに「ランプの小屋こや」をものにしている小屋こやもある。

消灯しょうとう時間じかんくらになって懐中かいちゅう電灯でんとうかせない小屋こやと、蓄電池ちくでんち石油せきゆランプにより最低限さいていげん常夜灯じょうやとう点灯てんとうするところがあるので、利用りようさいあらかじたしかめたほうい。ただし、蓄電池ちくでんち高性能こうせいのうと、しょう電力でんりょくなLED電球でんきゅう普及ふきゅうにより、常夜灯じょうやとう点灯てんとうされる小屋こやえている。くらになる小屋こやでは就寝しゅうしん枕元まくらもと懐中かいちゅう電灯でんとうひとおおい。

登山とざんこう山小屋やまごや近辺きんぺん自動車じどうしゃどうつうじている山小屋やまごやなかには、送電そうでんせんつうじていて通常つうじょう電気でんき供給きょうきゅうされているところもある。

例外れいがいてきには富士山ふじさん一部いちぶ山小屋やまごや徳島とくしまけん剣山けんざん頂上ちょうじょうヒュッテのように、ちかくの測候所そっこうじょ電気でんき供給きょうきゅうする地下ちかケーブルが設置せっちされたために、山小屋やまごやにも通常つうじょう電気でんき供給きょうきゅうされているところもある。

通信つうしん

従来じゅうらいから一部いちぶ山小屋やまごやには電話でんわ設置せっちされている。登山とざんこう山小屋やまごやべつとして、以前いぜん無線むせん電話でんわ一般いっぱんてきだった。そのため天候てんこうなどにより音質おんしつ劣化れっかした。いま通信つうしん衛星えいせい静止せいし衛星えいせい)を利用りようしたNTTドコモ衛星えいせい電話でんわワイドスター)が一般いっぱんてきであるため、パラボラアンテナさえあればどこでも電話でんわ設置せっちできるようになり音質おんしつ安定あんていしたが、衛星えいせいまで36,000kmもあるため衛星えいせい中継ちゅうけい同様どうよう応答おうとう遅延ちえん時間じかんおおきくなり、通話つうわりょう無線むせん電話でんわよりもたかくなるのが欠点けってんである。なお、公衆こうしゅう電話でんわ山小屋やまごや業務ぎょうむよう電話でんわは、回線かいせん共通きょうつうの1回線かいせんだけの場合ばあいがほとんどなので、山小屋やまごやわせの電話でんわはいったとき山小屋やまごやがわ電話でんわ使用しようちゅうときなどは、公衆こうしゅう電話でんわ使つかえなくなる。小屋こやによっては受付うけつけカウンターに公衆こうしゅう電話機でんわき設置せっちし、その電話機でんわき業務ぎょうむようにも併用へいようしているケースもおおい。

稜線りょうせん山小屋やまごやなどでは携帯けいたい電話でんわ電波でんぱ送受信そうじゅしんできることがおおくなり、このような小屋こやでは以前いぜんほど通信つうしん苦労くろうしなくなった。ただ、このような小屋こやにおいてもすべての携帯けいたい電話でんわ会社かいしゃ電波でんぱ送受信そうじゅしん可能かのうではないことがおおい。以前いぜんおな会社かいしゃでも2G3Gちがいで、片方かたがただけしか電波でんぱ送受信そうじゅしんできない場合ばあいがあった。

電話でんわもなく、携帯けいたい電話でんわ送受信そうじゅしんできない小屋こや通信つうしん主流しゅりゅうになっているものは、専用せんよう無線むせん通信つうしんである。山小屋やまごや山小屋やまごやのオーナーや管理人かんりにん自宅じたく・あるいはチェーン山小屋やまごや場合ばあい本社ほんしゃとをむすんでいる無線むせん通信つうしんである。このような山小屋やまごや緊急きんきゅう連絡れんらくりたい場合ばあいは、連絡れんらくさき電話でんわをすると、無線むせん通信つうしん用件ようけんつたえてくれる。ひる自家じか発電はつでんおこなわない山小屋やまごやがほとんどであるため、無線むせんには蓄電池ちくでんちかせない。

季語きご

季語きごとしての山小屋やまごや(やまごや)は、なつ季語きご晩夏ばんか季語きご)である[11]分類ぶんるい行事ぎょうじ/人事じんじ[12][* 1]類似るいじ季語きごとして、登山とざん小屋こや(とざんごや。登山とざんしゃのための小屋こや)と登山とざん宿やど(とざんやど。登山とざんしゃのための宿やど)があり[11]、「山小屋やまごや」「登山とざん小屋こや」「登山とざん宿やど」は季語きご登山とざん」の季語きご[* 2]である[11]くわしくは、おや季語きごである「登山とざん」を参照さんしょうのこと。

脚注きゃくちゅう

注釈ちゅうしゃく

  1. ^ 行事ぎょうじ」も「人事じんじ」も、季語きごとしては「人間にんげんおこな事柄ことがら」をす。
  2. ^ ある主要しゅよう季語きごについてべつ表現ひょうげん位置付いちづけされる季語きごを、親子おやこ関係かんけいになぞらえて、おや季語きごたいする「季語きご」という。「傍題ぼうだい」ともいうが、傍題ぼうだい本来ほんらい季題きだい」の対義語たいぎごである。なお、季語きごぶし分類ぶんるいおや季語きごじゅんずる。「山小屋やまごや」が行事ぎょうじ/人事じんじ分類ぶんるいされているのも、おや季語きごじゅんじているからである。

出典しゅってん

  1. ^ a b デジタル大辞泉だいじせん山小屋やまごや
  2. ^ [1]
  3. ^ ほん段落だんらく下記かき文献ぶんけんによる。
    • 本間ほんまるみ; 増井ますい和子かずこ; 山田やまだ友子ゆうこ ちょ文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう へん『チーズ図鑑ずかん』 182かん(7はん)、株式会社かぶしきがいしゃ文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう文春ぶんしゅん新書しんしょ〉、2009ねん、25ぺーじISBN 4-16-660182-2 
  4. ^ くに重要じゅうよう文化財ぶんかざい 日本にっぽん最古さいこ山小屋やまごや 「立山たてやま室堂むろどう”. 立山たてやまこう (2009ねん9がつ28にち). 2011ねん4がつ15にち閲覧えつらん
  5. ^ 日本にっぽん登山とざんやま溪谷社けいこくしゃ、2005ねん10がつ、pp.172-173ぺーじISBN 4635178145 
  6. ^ 西にし山荘さんそう”. 西にし山荘さんそう. 2011ねん4がつ15にち閲覧えつらん
  7. ^ 佐藤さとう小屋こや”. 佐藤さとう小屋こや. 2011ねん4がつ15にち閲覧えつらん
  8. ^ 4にん死亡しぼう山岳さんがく遭難そうなん 「やめたほうがいいのでは」旅館りょかんぬしこえをかけた”. 朝日新聞あさひしんぶんDIGITAL (2023ねん10がつ14にち). 2023ねん10がつ14にち閲覧えつらん
  9. ^ a b c 山岳さんがく環境かんきょうとう浄化じょうか安全あんぜん対策たいさく緊急きんきゅう事業じぎょう補助ほじょ」の概要がいよう” (PDF). 環境省かんきょうしょう. 2013ねん2がつ4にち閲覧えつらん
  10. ^ a b 信州しんしゅう山岳さんがく環境かんきょう保全ほぜんのありかた研究けんきゅうかいだい1報告ほうこくしょ山岳さんがくにおけるトイレ対策たいさく” (PDF). 信州しんしゅう山岳さんがく環境かんきょう保全ほぜんのありかた研究けんきゅうかい (2002ねん11月). 2013ねん2がつ4にち閲覧えつらん
  11. ^ a b c 登山とざん”. 季語きご歳時記さいじき-きごさい歳時記さいじき. 季語きご歳時記さいじきかい (2010ねん3がつ25にち). 2018ねん2がつ25にち閲覧えつらん
  12. ^ 日外にちがいアソシエーツ季語きご季題きだい辞典じてん

関連かんれん図書としょ

関連かんれん項目こうもく

外部がいぶリンク