リヤド (モロッコ)

リヤドのパティオ（マラケシュ）

右側みぎがわのパティオと左側ひだりがわの部屋へやとをつなぐ回廊かいろう部分ぶぶん

リヤド、リアド (riad, ryad, riyad) は、モロッコに見みられる宿泊しゅくはく施設しせつの種別しゅべつ。リヤドとはアラビア語ご(رياض‎)で「庭にわ」や「邸宅ていたく」を意味いみし、その名前なまえの通とおり、古ふるくなった邸宅ていたくをリノベーションし宿泊しゅくはく施設しせつとしたもの。マラケシュ、フェズ、エッサウィラなどにあるリヤドが知しられる。

ベースとなる邸宅ていたくの起源きげんについて、現地げんち観光かんこうガイド専門せんもん学校がっこうの講師こうしサクシィ・モハメッドによると年代ねんだいは12 - 15世紀せいきあたりにさかのぼり、レコンキスタの進展しんてんにともなってイベリア半島はんとうを追おい出だされ対岸たいがんのモロッコへ移住いじゅうしてきた人々ひとびとのうち、裕福ゆうふくだった人々ひとびとが建設けんせつした邸宅ていたくであるという。イベリア半島はんとうのアンダルスとモロッコのテイストの混まざり合あった建築けんちくが特徴とくちょうとされる。それ以降いこうも有力ゆうりょく者しゃがこの手ての邸宅ていたくを建設けんせつするケースはあったが、維持いじ管理かんりにかかるコストが無視むしできないレベルのため、20世紀せいき末まつまでは相続そうぞくしても手放てばなしたり放置ほうちしたりする者ものたちも多おおかった。この金かね食ぐい虫むしを宿泊しゅくはく施設しせつとして利用りようしようと考かんがえたのは、フェズでラ・メゾン・ブルーを経営けいえいするメヘディ・エル・アバディという人物じんぶつが最初さいしょで、1997年ねんのことであったとされる。邸宅ていたくを転用てんようし宿泊しゅくはく施設しせつにするアイデアはヒットし、2017年ねんにはフェズだけで150軒けんほどのリヤドが見みられるようになっており、マラケシュ周辺しゅうへんでは欧米おうべい人じんが経営けいえいするリヤドも増ふえている。ラ・メゾン・ブルーの最初さいしょの客きゃくは日本人にっぽんじんだったというが、エキゾチックな雰囲気ふんいきに魅みせられた欧州おうしゅうからの富裕ふゆう層そうが主要しゅようなターゲットとなっている。数かずが増ふえれば玉たまも石いしも増ふえるということか、必かならずしもエキゾチックやフレンドリーなだけではなく、手頃てごろな価格かかく帯たいのリヤドでは押おし売うりなどといったトラブルも発生はっせいしているそうである。

施設しせつの構成こうせいについて、リヤドは基本きほん的てきにパティオをもつ。ほとんどのリヤドは高層こうそうではなく2階かい建だて程度ていどまでであり、おおむね 6 - 8メートルの高たかさである。外壁がいへきは装飾そうしょくのほとんど（場合ばあいによっては窓まどすらも）ない分厚ぶあつい壁かべ体たいからなる。外壁がいへきに開ひらいた入いり口くちから細ほそい屋内おくない型がたの通路つうろを経由けいゆしてパティオに至いたる。パティオは吹ふき抜ぬけの明あかるい空間くうかんとなっており、内壁ないへきには装飾そうしょくがほどこされ、いくつかのアイテムが設置せっちされていたりもする。内壁ないへきの装飾そうしょくはたとえばカリグラフィーなどで、床ゆか面めんには噴水ふんすいや植物しょくぶつといったアイテムが設置せっちされている。各かく部屋へやへはこのパティオからアクセスできる。食事しょくじはパティオを共用きょうようしてとるので、スタッフや他たの宿泊しゅくはく者しゃとの交流こうりゅうも必然ひつぜん的てきに行おこなわれることとなり、これもまた人気にんきの理由りゆうのひとつとなっている。

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