デング熱 でんぐねつ (デングねつ、まれにデンゲ熱 ねつ とも、英 えい : dengue fever [ˈdɛŋgi -] , breakbone fever )とは、デングウイルス(w:Dengue virus )が原因 げんいん の感染 かんせん 症 しょう であり、熱帯 ねったい 病 びょう の一 ひと つである。
蚊 か の吸血 きゅうけつ 活動 かつどう を通 つう じて、ウイルスが人 ひと から人 ひと へ移 うつ り、高熱 こうねつ に達 たっ することで知 し られる一過 いっか 性 せい の熱性 ねっせい 疾患 しっかん である。症状 しょうじょう には、発熱 はつねつ ・頭痛 ずつう ・筋肉 きんにく 痛 つう ・関節 かんせつ 痛 つう 、はしか の症状 しょうじょう に似 に た特徴 とくちょう 的 てき な皮膚 ひふ 発疹 はっしん を含 ふく む。
治療 ちりょう 方法 ほうほう は対症療法 たいしょうりょうほう が主体 しゅたい で、急性 きゅうせい デング熱 でんぐねつ にはいま起 お きている症状 しょうじょう を軽減 けいげん するための支持 しじ 療法 りょうほう (supportive therapy, supportive care)が用 もち いられ、軽度 けいど または中等 ちゅうとう 度 ど であれば、経口 けいこう もしくは点滴 てんてき による水分 すいぶん 補給 ほきゅう 、より重度 じゅうど の場合 ばあい は、点滴 てんてき 静脈 じょうみゃく 注射 ちゅうしゃ や輸血 ゆけつ といった治療 ちりょう が用 もち いられる。ただ稀 まれ ではあるが、生命 せいめい を脅 おびや かすデング出血 しゅっけつ 熱 ねつ に発展 はってん し、出血 しゅっけつ 、血小板 けっしょうばん の減少 げんしょう 、または血漿 けっしょう (けっしょう)漏出 ろうしゅつ を引 ひ き起 お こしたり、デングショック症候群 しょうこうぐん に発展 はってん して出血 しゅっけつ 性 せい ショック を引 ひ き起 お こすこともある。
主 おも な媒介 ばいかい 生物 せいぶつ はヤブカ属 ぞく の中 なか でも特 とく にネッタイシマカ (Aedes aegypti )やヒトスジシマカ (Aedes albopictus )などの蚊 か によって媒介 ばいかい される。このウイルスには4つの異 こと なる型 かた があり、ある型 かた に感染 かんせん すると、通常 つうじょう その型 かた に対 たい する終生 しゅうせい 免疫 めんえき を獲得 かくとく するが、他 た の型 かた に対 たい する免疫 めんえき は短期間 たんきかん にとどまる。また、異 こと なる型 かた に続 つづ けて感染 かんせん すると、重度 じゅうど の合併症 がっぺいしょう のリスクが高 たか まる。
デング熱 でんぐねつ が文献 ぶんけん に現 あらわ れるようになったのは1779年 ねん からであり、ウイルスが原因 げんいん であることや伝染 でんせん 経路 けいろ について解明 かいめい されたのは、20世紀 せいき 初頭 しょとう である。第 だい 二 に 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん 以降 いこう 、デング熱 でんぐねつ は世界 せかい 的 てき に広 ひろ まり、1960年代 ねんだい からその発生 はっせい 数 すう は急激 きゅうげき に増加 ぞうか している。現在 げんざい では、110か国 こく 以上 いじょう で毎年 まいとし およそ5000万 まん 人 にん から1億 おく 人 にん が感染 かんせん する風土病 ふうどびょう となっている。うち70%がアジア で、インド は全 ぜん 世界 せかい の34%を占 し める世界一 せかいいち の感染 かんせん 者 しゃ 数 すう を持 も つ。また「実際 じっさい の感染 かんせん 規模 きぼ は政府 せいふ 公表 こうひょう の数 すう 百 ひゃく 倍 ばい を超 こ える」とする専門 せんもん 家 か もいる[ 1] 。
主 おも な原因 げんいん として、急激 きゅうげき な都市 とし 化 か や地球 ちきゅう 温暖 おんだん 化 か 、また国際 こくさい 化 か による人 ひと の往来 おうらい の増加 ぞうか による感染 かんせん 拡大 かくだい が関与 かんよ していると考 かんが えられている。対策 たいさく としては、蚊 か の駆除 くじょ の他 ほか に、ワクチンの研究 けんきゅう やウイルスに直接 ちょくせつ 働 はたら きかける薬物 やくぶつ 治療 ちりょう の研究 けんきゅう が進 すす められている。
デング熱 でんぐねつ の症状 しょうじょう を示 しめ す略図 りゃくず
デングウイルスに感染 かんせん しても8割 わり は無 む 症状 しょうじょう であり、それ以外 いがい も軽度 けいど の症状 しょうじょう 、例 たと えば合併症 がっぺいしょう を伴 ともな わない発熱 はつねつ 症状 しょうじょう が現 あらわ れるだけがほとんどである[ 2] [ 3] [ 4] 。しかし、5%の感染 かんせん 者 しゃ では重症 じゅうしょう にまで発展 はってん し、さらにごく一部 いちぶ では生命 せいめい を脅 おびや かすこともある[ 2] [ 4] 。潜伏期 せんぷくき 間 あいだ (感染 かんせん してから症状 しょうじょう が出 で るまでの期間 きかん )は3日 にち から14日 にち であるが、ほとんどの場合 ばあい は4日 にち から7日 にち である[ 5] 。このため、デング熱 でんぐねつ の流行 りゅうこう 地域 ちいき から戻 もど ってきた旅行 りょこう 者 しゃ が、帰宅 きたく してから14日 にち 以上 いじょう 経 た った後 のち で、発熱 はつねつ やその他 た の症状 しょうじょう が出 で 始 はじ めた場合 ばあい 、デング熱 でんぐねつ である可能 かのう 性 せい は極 きわ めて低 ひく い[ 6] 。子供 こども の場合 ばあい 、風邪 かぜ や胃腸 いちょう 炎 えん (嘔吐 おうと や下痢 げり )とよく似 に た症状 しょうじょう がたびたび現 あらわ れ[ 7] 、症状 しょうじょう は一般 いっぱん 的 てき に大人 おとな よりも軽 かる いが[ 8] 、その一方 いっぽう で重度 じゅうど の合併症 がっぺいしょう に陥 おちい りやすい[ 6] [ 8] 。
デング熱 でんぐねつ の臨床 りんしょう 経過 けいか [ 9]
デング熱 でんぐねつ の症状 しょうじょう の特徴 とくちょう は、突然 とつぜん の発熱 はつねつ 、頭痛 ずつう (一般 いっぱん 的 てき に目 め の奥 おく の痛 いた み)、筋肉 きんにく や関節 かんせつ の痛 いた み、発疹 はっしん である。英語 えいご で別名 べつめい 「break-bone fever」と呼 よ ばれているが、デング熱 でんぐねつ に伴 ともな う筋肉 きんにく や関節 かんせつ の痛 いた みに由来 ゆらい している[ 2] [ 10] 。感染 かんせん には、発熱 はつねつ 、重症 じゅうしょう 、回復 かいふく の3段階 だんかい がある[ 11] 。
発熱 はつねつ 期 き には、40℃以上 いじょう の高熱 こうねつ が出 で ることがよくあり、全身 ぜんしん の痛 いた みや頭痛 ずつう を伴 ともな う。通常 つうじょう 、このような症状 しょうじょう が2日 にち から7日 にち 続 つづ く[ 9] [ 10] 。この段階 だんかい で発疹 はっしん の症状 しょうじょう が現 あらわ れるのは、50 - 80%である[ 10] [ 12] 。1日 にち 目 め または2日 にち 目 め に紅 べに 斑 まだら が現 あらわ れるか、さらに4日 にち から7日 にち 疾患 しっかん 段階 だんかい が経過 けいか した後 のち に、はしか に似 に た発疹 はっしん が現 あらわ れる[ 12] [ 13] 。またこの時点 じてん で、点 てん 状 じょう 出血 しゅっけつ (皮膚 ひふ を押 お したときに消 き えないまま残 のこ る小 ちい さな赤色 あかいろ の点 てん で、毛細血管 もうさいけっかん の破綻 はたん が原因 げんいん )がいくつか現 あらわ れ[ 9] 、口 くち や鼻 はな の粘膜 ねんまく から軽度 けいど の出血 しゅっけつ がある場合 ばあい もある[ 6] [ 10] 。基本 きほん 的 てき に、発熱 はつねつ 自体 じたい は1日 にち か2日 にち の間 あいだ で急 きゅう に熱 ねつ が上 あ がって下 さ がるという二 に 相性 あいしょう を示 しめ すが、どのような頻度 ひんど でこの二 に 相性 あいしょう 発熱 はつねつ が生 しょう じるかはまちまちである[ 13] [ 14] 。
中 なか には重症 じゅうしょう に発展 はってん する人 ひと もいる。重症 じゅうしょう に至 いた る場合 ばあい 、それは高熱 こうねつ から回復 かいふく した後 のち であり、通常 つうじょう 1日 にち から2日 にち 続 つづ く[ 9] 。この段階 だんかい で、毛細血管 もうさいけっかん の透過 とうか 性 せい が増 ま し、水分 すいぶん の漏 も れが増加 ぞうか することで、胸腔 きょうこう や腹腔 ふくこう に多量 たりょう の水分 すいぶん が溜 た まる場合 ばあい がある。これにより、血液 けつえき 量 りょう 減少 げんしょう が生 しょう じたり、循環 じゅんかん 性 せい ショック が生 しょう じたりする[ 9] 。またこの段階 だんかい では、臓器 ぞうき 障害 しょうがい や大量 たいりょう 出血 しゅっけつ が、一般 いっぱん 的 てき には消化 しょうか 器 き で起 お きることがある[ 6] [ 9] 。デングショック症候群 しょうこうぐん と呼 よ ばれる循環 じゅんかん 性 せい ショックやデング出血 しゅっけつ 熱 ねつ と呼 よ ばれる出血 しゅっけつ が発症 はっしょう する割合 わりあい は、全 ぜん 症例 しょうれい の5%未満 みまん であるが[ 6] 、以前 いぜん に他 た の血清 けっせい 型 がた のデングウイルスに感染 かんせん したことがある場合 ばあい (つまり、2回 かい 目 め の感染 かんせん の場合 ばあい )は、そのリスクが増 ふ える[ 6] [ 15] 。
引 ひ き続 つづ き、血 ち 流 りゅう に漏 も れた水分 すいぶん が再 ふたた び吸収 きゅうしゅう されることによって症状 しょうじょう は回復 かいふく していく[ 9] 。これは通常 つうじょう 2、3日 にち かかる[ 6] 。回復 かいふく は目覚 めざま しいが、激 はげ しい痒 かゆ み が発生 はっせい したり、徐 じょ 脈 みゃく (心拍 しんぱく が遅 おそ くなること)がよくある[ 6] [ 9] 。斑 むら 丘 おか 疹 または血管 けっかん 炎 えん 症候群 しょうこうぐん といった別 べつ の発疹 はっしん が現 あらわ れ、皮膚 ひふ が剥 む けてくる場合 ばあい もある[ 8] 。この段階 だんかい で、水分 すいぶん 過 か 負荷 ふか 状態 じょうたい になることがあり、これが脳 のう 浮腫 ふしゅ や意識 いしき レベルの低下 ていか 、てんかん を引 ひ き起 お こす[ 6] 。数 すう 週間 しゅうかん 、疲労 ひろう 感 かん が続 つづ く[ 8] 。
デング熱 でんぐねつ は人体 じんたい の他 ほか の部位 ぶい に影響 えいきょう を与 あた える場合 ばあい もある[ 9] 。それは、単独 たんどく の症状 しょうじょう で現 あらわ れることもあれば、典型 てんけい 的 てき なデング熱 でんぐねつ の症状 しょうじょう と共 とも に現 あらわ れる場合 ばあい もある[ 7] 。意識 いしき レベルの低下 ていか は、重 じゅう 症例 しょうれい の0.5 - 6%で発生 はっせい するが、ウイルス性 せい 脳炎 のうえん がその原因 げんいん の場合 ばあい もあれば、肝臓 かんぞう などの重要 じゅうよう な臓器 ぞうき の障害 しょうがい が間接 かんせつ 的 てき な起因 きいん となる場合 ばあい もある[ 7] [ 14] 。
その他 た の神経 しんけい 疾患 しっかん については、横断 おうだん 性 せい 脊髄 せきずい 炎 えん やギラン・バレー症候群 しょうこうぐん などがデング熱 でんぐねつ の合併症 がっぺいしょう として報告 ほうこく されている[ 7] 。心筋 しんきん 炎 えん や急性 きゅうせい 肝不全 かんふぜん は、稀 まれ に起 お こる合併症 がっぺいしょう の一 ひと つである[ 6] [ 9] 。
デングウイルス(DENV)は、フラビウイルス科 か フラビウイルス属 ぞく のRNAウイルス である。同 おな じ属 ぞく には、黄熱病 おうねつびょう ウイルス、ウエストナイルウイルス 、セントルイス脳炎 のうえん (St. Louis encephalitis )ウイルス、日本脳炎 にほんのうえん ウイルス、ダニ媒介 ばいかい 性 せい 脳炎 のうえん ウイルス(Tick-borne encephalitis virus )、キャサヌール森林 しんりん 病 びょう (Kyasanur forest disease )ウイルス、オムスク出血 しゅっけつ 熱 ねつ (Omsk hemorrhagic fever )ウイルスがある[ 14] 。これらのほとんどは、節足動物 せっそくどうぶつ (蚊 か やマダニ )が媒介 ばいかい しているため、アルボウイルス (節足動物 せっそくどうぶつ 媒介 ばいかい 性 せい ウイルス)とも呼 よ ばれている[ 14] 。
デングウイルスゲノム (全 ぜん 遺伝子 いでんし 情報 じょうほう )は、約 やく 11,000のヌクレオチド 塩基 えんき からなっている。その塩基 えんき 配列 はいれつ は、ウイルスの粒子 りゅうし 状 じょう 構造 こうぞう に必要 ひつよう な3種 しゅ のタンパク質 たんぱくしつ 分子 ぶんし (C、prM、E)と感染 かんせん した宿主 しゅくしゅ 細胞 さいぼう にのみ発現 はつげん し、ウイルスの複製 ふくせい に必要 ひつよう となる7種 しゅ のタンパク質 たんぱくしつ 分子 ぶんし (NS1、NS2a、NS2b、NS3、NS4a、NS4b、NS5)をコード している[ 15] [ 16] 。また、血清 けっせい 型 がた で4つのウイルス型 がた 、DENV-1、DENV-2、DENV-3、DENV-4に分類 ぶんるい される[ 3] 。これらの4つの血清 けっせい 型 がた はすべて、あらゆる症状 しょうじょう を引 ひ き起 お こす原因 げんいん となる[ 15] 。例 たと えば、ある血清 けっせい 型 がた に感染 かんせん すると、その血清 けっせい 型 がた に対 たい する終生 しゅうせい 免疫 めんえき を獲得 かくとく するが、他 た の血清 けっせい 型 がた に対 たい する防御 ぼうぎょ は短期間 たんきかん にとどまる[ 3] [ 10] 。
2度目 どめ の感染 かんせん で重度 じゅうど の合併症 がっぺいしょう が特 とく に起 お こりやすいのは、以前 いぜん 血清 けっせい 型 がた DENV-1に感染 かんせん した人 ひと が、血清 けっせい 型 がた DENV-2または血清 けっせい 型 がた DENV-3に感染 かんせん する場合 ばあい や、以前 いぜん 血清 けっせい 型 がた DENV-3に感染 かんせん した人 ひと が、血清 けっせい 型 がた DENV-2に感染 かんせん する場合 ばあい である[ 16] 。
栄養 えいよう 源 げん であるヒトに吸 す い付 つ くネッタイシマカ (Aedes aegypti )
デングウイルスは、主 おも にヤブカ 、とりわけネッタイシマカ (Aedes aegypti )によって媒介 ばいかい される[ 3] 。これらの蚊 か は通常 つうじょう 、北緯 ほくい 35度 ど から南緯 なんい 35度 ど の間 あいだ 、標高 ひょうこう 1,000メートル以下 いか の所 ところ に生息 せいそく している[ 3] 。刺 さ されるのは主 おも に日 ひ 中 ちゅう である[ 17] 。病気 びょうき を媒介 ばいかい するヤブカの種 たね には、他 た にヒトスジシマカ 、ポリネシアヤブカ(Aedes polynesiensis )、スクテラリスシマカ(Aedes scutellaris )がある[ 3] 。ウイルスは、主 おも にヒトを宿主 しゅくしゅ とするが[ 3] [ 14] 、ヒト以外 いがい のサル目 め にも伝染 でんせん する[ 18] 。たったひと刺 さ しで感染 かんせん し得 う る[ 19] 。デング熱 でんぐねつ に感染 かんせん した人 ひと からメスが吸血 きゅうけつ すると、蚊 か の腸 ちょう の内壁 ないへき 細胞 さいぼう にウイルスが感染 かんせん する。およそ8日 にち から10日 にち 後 ご 、ウイルスは他 た の組織 そしき にも広 ひろ がり、これが唾液腺 だえきせん にまで及 およ ぶと、ウイルスが唾液 だえき 中 ちゅう に放出 ほうしゅつ されるようになる。蚊 か はウイルスから有害 ゆうがい な影響 えいきょう を受 う けないようであり、生涯 しょうがい 感染 かんせん したままである。ネッタイシマカは、人工 じんこう の水 みず 容器 ようき を産卵 さんらん 場所 ばしょ として好 この むため、ヒトの近 ちか くに住 す み着 つ き、他 た の動物 どうぶつ よりもヒトから吸血 きゅうけつ することが多 おお い[ 20] 。ウイルスを保有 ほゆう する蚊 か が産卵 さんらん した場合 ばあい 、ヒトスジシマカでは約 やく 10%の割合 わりあい で卵 たまご にウイルスが垂直 すいちょく 伝播 でんぱ することが明 あき らかとされている[ 21] 。
通常 つうじょう 、人間 にんげん 同士 どうし の直接 ちょくせつ 感染 かんせん は起 お こらない。ただし、輸血 ゆけつ 、血液 けつえき 製剤 せいざい 、臓器 ぞうき 移植 いしょく は例外 れいがい である[ 22] [ 23] 。シンガポール などのデング熱 でんぐねつ が流行 りゅうこう している国々 くにぐに では、その感染 かんせん リスクは、10,000回 かい の輸血 ゆけつ のうち1.6 - 6回 かい と見積 みつ もられている[ 24] 。また、妊娠 にんしん 中 ちゅう もしくは出産 しゅっさん 時 じ に、母親 ははおや から子供 こども へ垂直 すいちょく 感染 かんせん することも報告 ほうこく されている[ 25] 。そのほか、まれに人 ひと から人 ひと へと感染 かんせん することも報告 ほうこく されている[ 10] 。
重度 じゅうど の疾患 しっかん は、乳幼児 にゅうようじ により多 おお く見 み られ、多 おお くの他 ほか の感染 かんせん 症 しょう とは対照 たいしょう 的 てき に、比較的 ひかくてき 栄養 えいよう を多 おお く摂 と っている子供 こども たちの方 ほう が、なりやすい[ 6] 。また、男性 だんせい よりも女性 じょせい のほうがリスクが高 たか い[ 16] 。糖尿 とうにょう 病 びょう や気管支 きかんし 喘息 ぜんそく など持病 じびょう がある人 ひと がデング熱 でんぐねつ にかかると、命 いのち にかかわることがある[ 16] 。
特定 とくてい 遺伝子 いでんし における遺伝 いでん 的 てき 多 た 型 かた (通常 つうじょう 見 み られる遺伝 いでん 的 てき 差異 さい )は、重度 じゅうど のデング熱 でんぐねつ 合併症 がっぺいしょう のリスクを高 たか める。これには、腫瘍 しゅよう 壊死 えし 因子 いんし α あるふぁ (TNF-α あるふぁ )、マンナン結合 けつごう レクチン [ 2] 、細胞 さいぼう 障害 しょうがい 性 せい Tリンパ球 だま 抗原 こうげん 4(CTLA4 )、トランスフォーミング増殖 ぞうしょく 因子 いんし β べーた (TGFβ べーた )[ 15] 、樹 き 状 じょう 細胞 さいぼう 特異 とくい 的 てき ICAM-3結合 けつごう ノンインテグリン(DC-SIGN )などのタンパク質 たんぱくしつ をコードしている遺伝子 いでんし やヒト白血球 はっけっきゅう 型 がた 抗原 こうげん の特定 とくてい の遺伝子 いでんし 座 ざ が含 ふく まれる[ 16] 。また、アフリカで広 ひろ まっているグルコース-6-リン酸 さん 脱水 だっすい 素 もと 酵素 こうそ 欠損 けっそん 症 しょう と呼 よ ばれる遺伝子 いでんし 疾患 しっかん は、リスクを高 たか めるおそれがある[ 26] 。ビタミンD 受容 じゅよう 体 たい やFc受容 じゅよう 体 たい の遺伝子 いでんし 多 た 型 がた は、2度目 どめ にデングウイルスに感染 かんせん したときに重度 じゅうど の疾患 しっかん になることを防 ふせ ぐと言 い われている[ 16] 。
デングウイルスを運 はこ ぶ蚊 か が人 ひと を刺 さ すと、蚊 か の唾液 だえき と共 とも にウイルスが皮膚 ひふ に侵入 しんにゅう する。ウイルスは、白血球 はっけっきゅう と結合 けつごう してその中 なか に入 はい り、体内 たいない を移動 いどう しながら細胞 さいぼう 内 ない で増殖 ぞうしょく する。白血球 はっけっきゅう は、インターフェロン などの多 おお くのシグナルタンパク質 たんぱくしつ を生成 せいせい しながら応答 おうとう するが、それが発熱 はつねつ やインフルエンザのような症状 しょうじょう 、重度 じゅうど の痛 いた みなど多 おお くの症状 しょうじょう を引 ひ き起 お こす。重度 じゅうど の感染 かんせん の場合 ばあい 、体内 たいない でウイルス増殖 ぞうしょく が大幅 おおはば に増大 ぞうだい し、さらに多 おお くの臓器 ぞうき (例 たと えば肝臓 かんぞう や骨髄 こつづい )に影響 えいきょう を与 あた え、血 ち 流 りゅう から漏出 ろうしゅつ した液体 えきたい が、小 ちい さな血管 けっかん の壁 かべ を通 とお り体腔 たいこう へと流 なが れる。その結果 けっか 、血管 けっかん 内 ない で循環 じゅんかん する血液 けつえき が減少 げんしょう して血圧 けつあつ が下 さ がるため、主要 しゅよう な臓器 ぞうき に十分 じゅうぶん な血液 けつえき を送 おく ることができなくなる。さらに、骨髄 こつづい で機能 きのう 障害 しょうがい が起 お こると、有効 ゆうこう 血液 けつえき の凝固 ぎょうこ に必要 ひつよう な血小板 けっしょうばん の数 かず が減少 げんしょう する。これにより、出血 しゅっけつ や他 た の主要 しゅよう なデング熱 でんぐねつ 合併症 がっぺいしょう のリスクが高 たか まる[ 26] 。
デングウイルスは皮膚 ひふ に入 はい るとすぐに、ランゲルハンス細胞 さいぼう (皮膚 ひふ 内 ない にある樹 き 状 じょう 細胞 さいぼう の集合 しゅうごう 体 たい で、病原 びょうげん 体 たい を識別 しきべつ する)と結合 けつごう する[ 26] 。ウイルスは、ウイルスタンパク質 たんぱくしつ とランゲルハンス細胞 さいぼう 上 じょう の膜 まく タンパク質 たんぱくしつ 、特 とく にDC-SIGNやCLEC5AなどのC型 がた レクチン やマンノース 受容 じゅよう 体 たい と結合 けつごう した際 さい に生 しょう じるエンドサイトーシス という仕組 しく みによって細胞 さいぼう 内 ない に入 はい る[ 15] 。DC-SIGNは、樹 き 状 じょう 細胞 さいぼう 上 じょう にある異物 いぶつ を認識 にんしき する非特異 ひとくい 的 てき 受容 じゅよう 体 たい であり、ここが主 おも な進入 しんにゅう 口 こう とみられている[ 16] 。樹 き 状 じょう 細胞 さいぼう は、最 もっと も近 ちか いリンパ節 ぶし に移動 いどう する。一方 いっぽう ウイルスゲノムは、細胞 さいぼう の小 しょう 胞体上 うえ にある膜 まく 結合 けつごう 型 がた 小 しょう 胞で翻訳 ほんやく され、細胞 さいぼう のタンパク質 たんぱくしつ 合成 ごうせい 器官 きかん が、新 あたら しいウイルスタンパク質 たんぱくしつ を合成 ごうせい する。合成 ごうせい されたウイルスタンパク質 たんぱくしつ によってウイルスRNAは複製 ふくせい される。未熟 みじゅく なウイルス粒子 りゅうし は、ゴルジ体 たい へと送 おく られる。ゴルジ体 たい は細胞 さいぼう 内 ない 小 しょう 器官 きかん の一 ひと つで、いくつかのタンパク質 たんぱくしつ は糖 とう タンパク質 たんぱくしつ へと修飾 しゅうしょく される。こうして成熟 せいじゅく した新 あたら しいウイルスは、感染 かんせん した細胞 さいぼう の表面 ひょうめん 上 じょう で出芽 しゅつが し、エキソサイトーシス という仕組 しく みによって放出 ほうしゅつ され、単 たん 球 たま (Monocyte )やマクロファージ などの他 ほか の白血球 はっけっきゅう 内 ない に侵入 しんにゅう できるようになる[ 15] 。
感染 かんせん した細胞 さいぼう はすぐに、インターフェロン やサイトカイン を生成 せいせい するようになる。これらは、自然 しぜん 免疫 めんえき 系 けい を介 かい して、JAK-STAT経路 けいろ によって媒介 ばいかい されるタンパク質 たんぱくしつ グループの生成 せいせい を大幅 おおはば に増加 ぞうか し、ウイルス感染 かんせん に対 たい する様々 さまざま な防御 ぼうぎょ 機構 きこう を働 はたら かせ始 はじ める。デングウイルスの血清 けっせい 型 がた の中 なか には、この過程 かてい を遅 おく らせるメカニズムがみられる。また、インターフェロンは、獲得 かくとく 免疫 めんえき 系 けい を活性 かっせい 化 か して、ウイルスに対 たい する抗体 こうたい を生成 せいせい する他 ほか に、ウイルス感染 かんせん した細胞 さいぼう すべてを直接 ちょくせつ 攻撃 こうげき するT細胞 さいぼう も生成 せいせい する[ 15] 。このようにして様々 さまざま な抗体 こうたい が生成 せいせい される。ある抗体 こうたい は、ウイルスタンパク質 たんぱくしつ と密接 みっせつ に結合 けつごう し、食 しょく 細胞 さいぼう が食 しょく 作用 さよう によって取 と りこみ破壊 はかい する。しかし、抗体 こうたい がウイルスとしっかり結合 けつごう しないと、食 しょく 作用 さよう によって食 しょく 細胞 さいぼう に取 と り込 こ まれたウイルスは破壊 はかい されずに複製 ふくせい される[ 15] 。
2度目 どめ に異 こと なる血清 けっせい 型 がた のデングウイルスに感染 かんせん すると、デング出血 しゅっけつ 熱 ねつ やデングショック症候群 しょうこうぐん のリスクが高 たか まる理由 りゆう は、まだ解明 かいめい されていない。最 もっと も広 ひろ く受 う け入 い れられている仮説 かせつ に、抗体 こうたい 依存 いぞん 性 せい 感染 かんせん 増強 ぞうきょう (英 えい : Antibody-dependent enhancement 、ADE)がある。ADEの背景 はいけい にある正確 せいかく なメカニズムは不明 ふめい である。抗原 こうげん の破壊 はかい には関与 かんよ しない抗体 こうたい と弱 よわ く結合 けつごう することによって、破壊 はかい しようと取 と り込 こ まれたウイルスが白血球 はっけっきゅう 内 ない の別 べつ の区画 くかく に誤 あやま って運 はこ ばれることが原因 げんいん であるかもしれない[ 15] [ 16] 。ADEの他 ほか にも、重度 じゅうど のデング熱 でんぐねつ に付随 ふずい する合併症 がっぺいしょう を引 ひ き起 お こすメカニズムがあると言 い われており[ 2] 、様々 さまざま な研究 けんきゅう 結果 けっか はT細胞 さいぼう およびサイトカイン や補 ほ 体 たい などの可溶性 かようせい 因子 いんし の関与 かんよ を示唆 しさ している[ 26] 。
重度 じゅうど の疾患 しっかん では、2つの問題 もんだい が現 あらわ れる。血管 けっかん 内皮 ないひ (血管 けっかん 内 ない に並 なら ぶ細胞 さいぼう )の機能 きのう 障害 しょうがい と血液 けつえき 凝固 ぎょうこ 障害 しょうがい である[ 7] 。血管 けっかん 内皮 ないひ 障害 しょうがい は、血液 けつえき が血管 けっかん から胸腔 きょうこう や腹腔 ふくこう へ漏出 ろうしゅつ する原因 げんいん となり、血液 けつえき 凝固 ぎょうこ 障害 しょうがい は、出血 しゅっけつ 性 せい 合併症 がっぺいしょう を引 ひ き起 お こす。重度 じゅうど の疾患 しっかん は、血 ち 中 ちゅう でのウイルス増加 ぞうか と骨髄 こつづい や肝臓 かんぞう などの臓器 ぞうき が影響 えいきょう を受 う けることによるものである。感染 かんせん した臓器 ぞうき の細胞 さいぼう は死 し に、サイトカインの放出 ほうしゅつ や線 せん 溶系 (血液 けつえき 凝固 ぎょうこ とは反対 はんたい 向 む きにはたらく血栓 けっせん 分解 ぶんかい )の活性 かっせい 化 か に至 いた る。この結果 けっか 、内皮 ないひ 機能 きのう 障害 しょうがい や血液 けつえき 凝固 ぎょうこ 障害 しょうがい をもたらす[ 26] 。
デング熱 でんぐねつ の診断 しんだん は一般 いっぱん 的 てき に、報告 ほうこく された症状 しょうじょう と診察 しんさつ に基 もと づいて、臨床 りんしょう 的 てき に行 おこな われる。これは、特 とく に流行 りゅうこう 地域 ちいき であてはまる[ 2] 。しかし、初期 しょき の疾患 しっかん は、他 た のウイルス 感染 かんせん 症 しょう との識別 しきべつ が困難 こんなん なことがある[ 6] 。推定 すいてい 診断 しんだん は、発熱 はつねつ の症状 しょうじょう と次 つぎ の中 なか から2つの症状 しょうじょう を確認 かくにん することで行 おこな われる。吐 は き気 け や嘔吐 おうと 、発疹 はっしん 、全身 ぜんしん の痛 いた み、白血球 はっけっきゅう 数 かず の減少 げんしょう 、ターニケット試験 しけん (Tourniquet test )で陽性 ようせい の場合 ばあい 、または風土病 ふうどびょう が警告 けいこく されている地域 ちいき に住 す んでいて、警戒 けいかい 兆候 ちょうこう (表 ひょう を参照 さんしょう )が見 み られる場合 ばあい である[ 27] 。警戒 けいかい 兆候 ちょうこう は通常 つうじょう 、重度 じゅうど のデング熱 でんぐねつ が発症 はっしょう する前 まえ に現 あらわ れる[ 9] 。ターニケット試験 しけん は容易 ようい に実施 じっし できるので、臨床 りんしょう 検査 けんさ が不可能 ふかのう な状況 じょうきょう において特 とく に有用 ゆうよう である。試験 しけん では、血圧 けつあつ 計 けい カフを5分間 ふんかん 使用 しよう し、点 てん 状 じょう 出血 しゅっけつ を数 かぞ える。その数 かず が多 おお いほど、デング熱 でんぐねつ である可能 かのう 性 せい が高 たか いと診断 しんだん される[ 9] 。
熱帯 ねったい または亜熱帯 あねったい 地域 ちいき に滞在 たいざい して2週間 しゅうかん 以内 いない に発熱 はつねつ した場合 ばあい は、診断 しんだん を受 う ける必要 ひつよう がある[ 28] 。デング熱 でんぐねつ は、チクングニア熱 ねつ との識別 しきべつ が難 むずか しい。チクングニア熱 ねつ は、デング熱 でんぐねつ とよく似 に たウイルス感染 かんせん 症 しょう で、共通 きょうつう する症状 しょうじょう が数多 かずおお くあり、同様 どうよう の地域 ちいき で発生 はっせい している[ 10] 。また、マラリア 、レプトスピラ症 しょう 、腸 ちょう チフス 、細菌 さいきん 性 せい 髄 ずい 膜 まく 炎 えん などもデング熱 でんぐねつ と似 に たような症状 しょうじょう をもたらすため、それらの病気 びょうき を除外 じょがい するための検査 けんさ が必要 ひつよう となることも多 おお い[ 6] 。
臨床 りんしょう 検査 けんさ で一番 いちばん 早 はや く変化 へんか が検出 けんしゅつ されるのは、白血球 はっけっきゅう の減少 げんしょう で、続 つづ いて血小板 けっしょうばん 減少 げんしょう や代謝 たいしゃ 性 せい アシドーシス が見 み られることが多 おお い[ 6] 。重度 じゅうど の疾患 しっかん では、血漿 けっしょう 漏出 ろうしゅつ の結果 けっか 、血液 けつえき 濃縮 のうしゅく (ヘマトクリット値 ち の上昇 じょうしょう )や低 てい アルブミン血 ち 症 しょう が起 お きる[ 6] 。胸水 きょうすい や腹水 ふくすい は、診察 しんさつ 時 じ に胸部 きょうぶ や腹部 ふくぶ が膨隆していることで検出 けんしゅつ することも可能 かのう ではあるが[ 6] 、超 ちょう 音波 おんぱ 検査 けんさ で流体 りゅうたい を確認 かくにん することはデングショック症候群 しょうこうぐん の早期 そうき 発見 はっけん に役立 やくだ つ[ 2] [ 6] 。しかし、検査 けんさ 装置 そうち は、入手 にゅうしゅ 困難 こんなん な場合 ばあい も多 おお く、その使用 しよう は限 かぎ られる[ 2] 。
2009年 ねん 、世界 せかい 保健 ほけん 機関 きかん (WHO)はデング熱 でんぐねつ の分類 ぶんるい 法 ほう を見直 みなお し、合併症 がっぺいしょう のないものと重度 じゅうど のものという2種類 しゅるい にした[ 2] [ 27] 。それは、1997年 ねん のWHOの分類 ぶんるい があまりにも制約 せいやく が多 おお かったため、今 いま でも幅広 はばひろ く使用 しよう されてはいるものの、単純 たんじゅん 化 か する必要 ひつよう があったためである[ 27] 。1997年 ねん の分類 ぶんるい では、デング熱 でんぐねつ を原因 げんいん 不明 ふめい の発熱 はつねつ 、デング熱 でんぐねつ 、デング出血 しゅっけつ 熱 ねつ に分 わ けていた[ 6] [ 29] 。デング出血 しゅっけつ 熱 ねつ は、さらにグレードI - IVに細分 さいぶん されていた。グレードIは、発熱 はつねつ が見 み られて、内出血 ないしゅっけつ しやすい状態 じょうたい やターニケット試験 しけん で陽性 ようせい 反応 はんのう が出 で た場合 ばあい のみで、グレードIIは、特発 とくはつ 性 せい 出血 しゅっけつ が皮膚 ひふ や他 た の箇所 かしょ で起 お こる場合 ばあい である。グレードIIIは、臨床 りんしょう 的 てき にショック が認 みと められた場合 ばあい で、グレードIVは、ショックがあまりにも重 じゅう 篤 あつし なため、血圧 けつあつ や拍 はく 動 どう が計測 けいそく 不可能 ふかのう な場合 ばあい である[ 29] 。グレードIIIとIVは、「デングショック症候群 しょうこうぐん 」とも呼 よ ばれる[ 27] [ 29] 。
デング熱 でんぐねつ は、微生物 びせいぶつ 学 がく 的 てき 臨床 りんしょう 検査 けんさ で診断 しんだん が可能 かのう である[ 27] 。検査 けんさ は、細胞 さいぼう 培養 ばいよう によるウイルス分離 ぶんり 、ポリメラーゼ連鎖 れんさ 反応 はんのう (PCR)による核酸 かくさん 検出 けんしゅつ 、ウイルス抗原 こうげん 検出 けんしゅつ や特異 とくい 抗体 こうたい などの血清 けっせい 学 がく 的 てき 検査 けんさ によって行 おこな われる[ 16] [ 30] 。ウイルス分離 ぶんり や核酸 かくさん 検出 けんしゅつ は、ウイルス抗原 こうげん 検出 けんしゅつ よりも正確 せいかく ではあるが、より費用 ひよう がかかるためあまり用 もち いられていない[ 30] 。また、これらの検査 けんさ はどれも、疾患 しっかん の初期 しょき 段階 だんかい では陰性 いんせい を示 しめ すこともある[ 6] [ 16] 。PCRとウイルス抗原 こうげん 検出 けんしゅつ は、最初 さいしょ の7日間 にちかん により正確 せいかく な結果 けっか が出 で る[ 8] 。インフルエンザ診断 しんだん と同 おな じ機器 きき が使用 しよう できるPCR検査 けんさ が2012年 ねん に導入 どうにゅう されたが、今後 こんご ますます活用 かつよう されると予想 よそう される[ 31] 。
このような臨床 りんしょう 検査 けんさ は、血清 けっせい 学 がく 的 てき なものを除 のぞ き、疾患 しっかん の急性 きゅうせい 期 き に限 かぎ って診断 しんだん の役 やく に立 た つ。デングウイルス特異 とくい 抗体 こうたい 、免疫 めんえき グロブリンG (IgG)型 がた および免疫 めんえき グロブリンM (IgM)型 がた の検査 けんさ は、感染 かんせん の後期 こうき において診断 しんだん を確認 かくにん するのに役立 やくだ つ。IgGとIgMは共 とも に、5 - 7日 にち 後 ご に生成 せいせい される。IgMの最高 さいこう レベル(力 ちから 価 か )は最初 さいしょ の感染 かんせん 後 ご に現 あらわ れるが、IgMは2度目 どめ または3度目 どめ の感染 かんせん でも生成 せいせい される。またIgMは、最初 さいしょ の感染 かんせん 後 ご 30 - 90日 にち で検出 けんしゅつ されなくなるが、すぐに再 さい 感染 かんせん が起 お きた場合 ばあい は、再 ふたた び検出 けんしゅつ される。対照 たいしょう 的 てき にIgGは、60年 ねん 以上 いじょう もの間 あいだ 検出 けんしゅつ され、症状 しょうじょう がない場合 ばあい 、過去 かこ の感染 かんせん 歴 れき を知 し るのに有用 ゆうよう である。血 ち 中 ちゅう のIgGは、最初 さいしょ の感染 かんせん の14 - 21日 にち 後 ご にピークに達 たっ する。その後 ご の再 さい 感染 かんせん では、より早 はや い段階 だんかい でピークに達 たっ し、力 ちから 価 か は通常 つうじょう さらに高 たか くなる。IgGとIgMは共 とも に、感染 かんせん したウイルスの血清 けっせい 型 がた に対 たい する防御 ぼうぎょ 免疫 めんえき を提供 ていきょう する。IgGおよびIgM抗体 こうたい を用 もち いる臨床 りんしょう 検査 けんさ は、黄 き 熱 ねつ ウイルスなどの他 ほか のフラビウイルスと交差 こうさ 反応 はんのう を起 お こすため、このような血清 けっせい 学 がく 的 てき 検査 けんさ では判断 はんだん が困難 こんなん な場合 ばあい もある[ 10] [ 16] [ 32] 。IgG検出 けんしゅつ のみでは通常 つうじょう 診断 しんだん を下 くだ さないが、14日 にち 後 ご に血液 けつえき サンプルを再 さい 収集 しゅうしゅう し、特異 とくい 的 てき IgGのレベルが4倍 ばい 以上 いじょう 増加 ぞうか した場合 ばあい はその限 かぎ りではない。デング熱 でんぐねつ の症状 しょうじょう が見 み られる場合 ばあい は、IgM検出 けんしゅつ で診断 しんだん は確定 かくてい する[ 32] 。
溜 た まり水 すい を取 と り除 のぞ く作業 さぎょう をしている1920年代 ねんだい の写真 しゃしん 。このようにして蚊 か の個体 こたい 数 すう を減 へ らしていた。
デングウイルスには、2009年 ねん 時点 じてん では認可 にんか されたワクチン は存在 そんざい しない[ 2] 。2015年 ねん 時点 じてん で可能 かのう な予防 よぼう 法 ほう は、ウイルスを媒介 ばいかい する蚊 か に刺 さ されないように、身 み を守 まも ることである[ 17] [ 33] [ 34] 。
世界 せかい 保健 ほけん 機構 きこう は、以下 いか の5点 てん で構成 こうせい される『総合 そうごう 的 てき 媒介 ばいかい 動物 どうぶつ 制御 せいぎょ プログラム』を奨励 しょうれい している[ 17] 。
公衆 こうしゅう 衛生 えいせい 機関 きかん と社会 しゃかい 共同 きょうどう 体 たい を強化 きょうか するための提唱 ていしょう 、社会 しゃかい 的 てき 動員 どういん や法律 ほうりつ の制定 せいてい
官民 かんみん 挙 あ げて公衆 こうしゅう 衛生 えいせい 部門 ぶもん と他 た の部門 ぶもん が連携 れんけい すること
資源 しげん を最大限 さいだいげん に活用 かつよう するための疾患 しっかん 制御 せいぎょ への統合 とうごう 的 てき な取 と り組 く み
すべての予防 よぼう 方法 ほうほう が目的 もくてき に適 かな っていることを確実 かくじつ にするための根拠 こんきょ ある意思 いし 決定 けってい
現地 げんち の状況 じょうきょう に対 たい して適切 てきせつ に対応 たいおう するための能力 のうりょく 向上 こうじょう
ネッタイシマカを駆除 くじょ するための方法 ほうほう は、生息 せいそく 地 ち を減 へ らすことである[ 17] 。その方法 ほうほう として、ボウフラ が生息 せいそく する水 みず の入 はい った容器 ようき を空 そら にしたり、蚊 か の生息 せいそく 地 ち に殺虫 さっちゅう 剤 ざい や生物 せいぶつ 的 てき 防除 ぼうじょ 剤 ざい を撒 ま く方法 ほうほう が挙 あ げられるが[ 17] 、リン酸 さん エステル やピレスロイド の殺虫 さっちゅう 剤 ざい を事前 じぜん 散布 さんぷ しても、予防 よぼう 効果 こうか はないと考 かんが えられている[ 4] 。
また殺虫 さっちゅう 剤 ざい は、健康 けんこう にマイナスの影響 えいきょう を与 あた える懸念 けねん があり、防除 ぼうじょ 剤 ざい は運搬 うんぱん がかなり困難 こんなん なため、環境 かんきょう 改善 かいぜん を通 つう じて、ボウフラが生息 せいそく する水 みず の溜 た まり場 ば を減 へ らすことが、駆除 くじょ 方法 ほうほう として最 もっと も好 この ましい[ 17] 。個人 こじん 対策 たいさく としては、皮膚 ひふ を覆 おお う服 ふく を着用 ちゃくよう したり、休息 きゅうそく 時 じ に蚊帳 かや を使用 しよう し、防虫 ぼうちゅう 剤 ざい (ディート (DEET)が最 もっと も効果 こうか 的 てき である)を利用 りよう して、蚊 か に刺 さ されないようにする[ 19] 。
デング熱 でんぐねつ 対策 たいさく として、イギリス のバイオテクノロジー企業 きぎょう オキシテック(Oxytec)が、遺伝子 いでんし 組 ぐみ 換 か え技術 ぎじゅつ により、致死 ちし 性 せい 遺伝子 いでんし を組 く み込 こ んだオス蚊 か を開発 かいはつ し、ブラジル のジェアゼイロで1000万 まん 匹 ひき 以上 いじょう が放出 ほうしゅつ された。マレーシア でも実施 じっし の段階 だんかい に入 はい っており、アメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく フロリダ州 しゅう 南部 なんぶ の島 しま でも放出 ほうしゅつ される計画 けいかく がある。メキシコ でも、カリフォルニア大学 だいがく のアンソニー・ジェームズの研究 けんきゅう チームが飛 と べないように改造 かいぞう したメスの遺伝子 いでんし 組 く み換 か え蚊 か を使 つか った実験 じっけん が行 おこな われた[ 35] 。
蚊 か の駆除 くじょ 以外 いがい の手段 しゅだん として、ネッタイシマカにボルバキア を共生 きょうせい させ、蚊 か の体内 たいない におけるデングウイルスの増殖 ぞうしょく を抑 おさ えることで、感染 かんせん 率 りつ を下 さ げる試 こころ みが行 おこな われている。ボルバキアは節足動物 せっそくどうぶつ の体内 たいない に高 こう 頻度 ひんど で見 み いだされる共生 きょうせい 細菌 さいきん だが、ネッタイシマカとは共生 きょうせい していない。これを蚊 か の卵 たまご に直接 ちょくせつ 感染 かんせん させることで共生 きょうせい 個体 こたい を作 つく りだし、その子孫 しそん に十 じゅう 数 すう 代 だい に渡 わた って共生 きょうせい 状態 じょうたい を受 う け継 つ がさせることに成功 せいこう している。
ボルバキア は、蚊 か の唾液 だえき 管 かん 径 みち よりも大 おお きいため、直接 ちょくせつ 人体 じんたい や他 た の哺乳 ほにゅう 動物 どうぶつ に感染 かんせん することもなく、また環境 かんきょう にありふれた存在 そんざい で、人体 じんたい 等 とう に対 たい して悪影響 あくえいきょう を及 およ ぼすこともない。デングウイルスの増殖 ぞうしょく を抑 おさ えるプロセスは明 あき らかにされていないが、ボルバキアに共生 きょうせい した個体 こたい 群 ぐん を野 の に放 はな ち、共生 きょうせい 体 たい がネッタイシマカの集団 しゅうだん 内 ない に広 ひろ まっていくことで、デング熱 でんぐねつ の感染 かんせん リスクが低下 ていか することが期待 きたい されている。
既 すで に、オーストラリア やベトナム 、インドネシア で小規模 しょうきぼ な定着 ていちゃく 実験 じっけん が実施 じっし されており、成功裏 せいこうり に終 お わっている[ 36] 。2021年 ねん からはブラジル でボルバキアに感染 かんせん させた蚊 か を週 しゅう に160万 まん 匹 ひき ずつ放 ひ 虫 むし するプログラムが開始 かいし されている[ 37] 。
デング熱 でんぐねつ に対 たい する特別 とくべつ な治療 ちりょう 法 ほう はなく、対症療法 たいしょうりょうほう が行 おこな われる[ 2] 。治療 ちりょう は症状 しょうじょう によって異 こと なり、自宅 じたく で経口 けいこう 補 ほ 水 すい 療法 りょうほう を行 おこな いながら経過 けいか を見 み る場合 ばあい から、入院 にゅういん して点滴 てんてき 静脈 じょうみゃく 注射 ちゅうしゃ や輸血 ゆけつ を行 おこな う場合 ばあい まで様々 さまざま である[ 38] 。入院 にゅういん が必要 ひつよう かどうかの決定 けってい は一般 いっぱん 的 てき に、上記 じょうき の表 ひょう にある「警戒 けいかい 兆候 ちょうこう 」の有無 うむ に基 もと づいて行 おこな われ、特 とく に既往症 きおうしょう のある患者 かんじゃ は入院 にゅういん が必要 ひつよう になることがある[ 6] 。
通常 つうじょう 、点滴 てんてき は、1 - 2日間 にちかん だけ必要 ひつよう となる[ 38] 。輸液の速度 そくど は、0.5 - 1 mL/kg・hの排尿 はいにょう 量 りょう 、安定 あんてい したバイタルサイン 、さらに正常 せいじょう なヘマトクリット値 ち が得 え られるように調節 ちょうせつ される[ 6] 。経 けい 鼻 はな 挿管 、筋肉 きんにく 内 ない 注射 ちゅうしゃ 、そして動脈 どうみゃく 穿刺 せんし などの侵 おかせ 襲 かさね 的 てき な医療 いりょう 処置 しょち は、出血 しゅっけつ のリスクがあるため避 さ けられる[ 6] 。
患者 かんじゃ の不快 ふかい 感 かん 低減 ていげん のために、解熱 げねつ 薬 やく や鎮痛 ちんつう 薬 やく として、アセトアミノフェン が使用 しよう される。イブプロフェン やアスピリン(アセチルサリチル酸 さん )、ロキソニン(ロキソプロフェン )などサリチル酸 さりちるさん の非 ひ ステロイド性 せい 抗 こう 炎症 えんしょう 薬 やく は、出血 しゅっけつ 傾向 けいこう やアシドーシス を助長 じょちょう することから、禁忌 きんき である[ 38] 。
ヘマトクリット値 ち が減少 げんしょう し、不安定 ふあんてい なバイタルサインが見 み られる場合 ばあい 、ヘモグロビン濃度 のうど が輸血 ゆけつ を開始 かいし すべき所定 しょてい の値 ね まで下 さ がるのを待 ま つことなく、早急 そうきゅう に輸血 ゆけつ が開始 かいし される[ 39] 。輸血 ゆけつ には、濃厚 のうこう 赤血球 せっけっきゅう や全 ぜん 血 ち が奨励 しょうれい され、血小板 けっしょうばん や新鮮 しんせん 凍結 とうけつ 血漿 けっしょう は、通常 つうじょう 薦 すす められていない[ 39] 。
回復 かいふく 期 き に入 はい ると、静脈 じょうみゃく 内 ない 点滴 てんてき は水分 すいぶん 過 か 負荷 ふか 状態 じょうたい を避 さ けるために中止 ちゅうし される[ 6] 。水分 すいぶん 過 か 負荷 ふか が起 お きた場合 ばあい 、バイタルサインが安定 あんてい しているのであれば、水分 すいぶん 補給 ほきゅう を中止 ちゅうし するだけでよい[ 39] 。重症 じゅうしょう 期 き でなければ、循環 じゅんかん している余分 よぶん な水分 すいぶん を取 と り除 のぞ くために、フロセミド などのループ利尿 りにょう 剤 ざい が使用 しよう されることもある[ 39] 。
デング熱 でんぐねつ の分布 ぶんぷ (2006年 ねん 時点 じてん )赤 あか : デング熱 でんぐねつ の流行 りゅうこう 地域 ちいき とネッタイシマカの生息 せいそく 域 いき 青 あお : ネッタイシマカの生息 せいそく 域 いき のみ
デング熱 でんぐねつ にかかった人 ひと は、ほとんどの場合 ばあい 、問題 もんだい なく順調 じゅんちょう に回復 かいふく する[ 27] 。治療 ちりょう せずに死亡 しぼう に至 いた る割合 わりあい は1 - 5%で[ 6] 、適切 てきせつ な治療 ちりょう を行 おこな えば、その割合 わりあい は1%を下回 したまわ る[ 27] 。しかし、重 じゅう 症例 しょうれい における死亡 しぼう 率 りつ は26%に及 およ ぶ[ 6] 。デング熱 でんぐねつ は、110か国 こく 以上 いじょう で風土病 ふうどびょう となっている[ 6] 。世界中 せかいじゅう で毎年 まいとし 5000万 まん から1億 おく 人 にん が感染 かんせん していて、そのうち約 やく 50万 まん 人 にん が入院 にゅういん し[ 2] 、およそ12,500 - 25,000人 にん が死亡 しぼう している[ 7] [ 40] 。
デング熱 でんぐねつ は節足動物 せっそくどうぶつ によって媒介 ばいかい されるウイルス性 せい 疾患 しっかん では最 もっと も一般 いっぱん 的 てき で[ 15] 、100万 まん 人 にん 当 あ たり1600障害 しょうがい 調整 ちょうせい 生命 せいめい 年 ねん の疾病 しっぺい 負荷 ふか と推定 すいてい されており、これは、結核 けっかく などの他 ほか の小児 しょうに 病 びょう や熱帯 ねったい 病 びょう と同等 どうとう である[ 16] 。熱帯 ねったい 病 びょう のひとつであるデング熱 でんぐねつ は、マラリア に次 つ ぎ2番目 ばんめ に重要 じゅうよう 視 し されていて[ 6] 、世界 せかい 保健 ほけん 機構 きこう は、デング熱 でんぐねつ を16ある顧 かえり みられない病気 びょうき のひとつとしている[ 41] 。
デング熱 でんぐねつ の発生 はっせい 率 りつ は、1960年 ねん - 2010年 ねん の間 あいだ で30倍 ばい に増加 ぞうか した[ 42] 。これは、都市 とし 化 か 、人口 じんこう 増加 ぞうか 、海外 かいがい 旅行 りょこう の増加 ぞうか 、地球 ちきゅう 温暖 おんだん 化 か が原因 げんいん と考 かんが えられる[ 2] [ 43] 。デング熱 でんぐねつ が流行 りゅうこう している地域 ちいき は赤道 あかみち 付近 ふきん に分布 ぶんぷ しており、そこに住 す んでいる人々 ひとびと は合計 ごうけい 25億 おく 人 にん にのぼり、このうち7割 わり 以上 いじょう の約 やく 18億 おく 人 にん がアジアと太平洋 たいへいよう の流行 りゅうこう 地域 ちいき に住 す んでいる[ 42] 。流行 りゅうこう 地域 ちいき で発熱 はつねつ してアメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく に帰国 きこく した人 ひと のうち、デング熱 でんぐねつ に感染 かんせん したと診断 しんだん される人 ひと の割合 わりあい は2.9 - 8.0%であり[ 19] 、これは、同 おな じ症状 しょうじょう を呈 てい する帰国 きこく 者 しゃ の中 なか で、マラリア感染 かんせん に次 つ いで2番目 ばんめ に多 おお い[ 10] 。
2003年 ねん までデング熱 でんぐねつ は、潜在 せんざい 的 てき な生物 せいぶつ 兵器 へいき に分類 ぶんるい されていたが、その後 ご 、この分類 ぶんるい からは取 と り除 のぞ かれた。伝染 でんせん させるのはあまりにも難 むずか しく、出血 しゅっけつ 熱 ねつ を引 ひ き起 お こす割合 わりあい が比較的 ひかくてき 低 ひく いからである[ 44] 。
多 おお くのアルボウイルス と同様 どうよう にデングウイルスは、吸血 きゅうけつ 媒介 ばいかい 動物 どうぶつ や脊椎動物 せきついどうぶつ 宿主 しゅくしゅ の周 まわ りに自然 しぜん と集 あつ まる。ウイルスは、メスのヤブカ(ネッタイシマカ以外 いがい の種 たね )から、その子孫 しそん や下等 かとう 霊長 れいちょう 類 るい へと伝播 でんぱ することで、東南 とうなん アジア やアフリカ の森林 しんりん に留 と まる。ウイルスがいる農村 のうそん 部 ぶ では、ネッタイシマカやヒトスジシマカ などその他 た のヤブカの種 たね によって、ウイルスがヒトへと伝播 でんぱ する。都市 とし 部 ぶ では、家屋 かおく に潜 ひそ むネッタイシマカによって、主 おも にウイルスがヒトへと伝播 でんぱ する。下等 かとう 霊長 れいちょう 類 るい やヒトが感染 かんせん した場合 ばあい 、伝播 でんぱ するデングウイルスの数 かず は大幅 おおはば に増加 ぞうか する。これを遺伝子 いでんし 増幅 ぞうふく と呼 よ ぶ[ 45] 。ヒトへの感染 かんせん にとってもっとも大 おお きな脅威 きょうい となっているのは、都市 とし におけるデングウイルスの寄生 きせい と感染 かんせん のサイクルであり、このため、デング熱 でんぐねつ 感染 かんせん 症 しょう は、主 おも に町 まち や都市 とし に限 かぎ られている[ 46] 。ここ数 すう 十 じゅう 年 ねん で、流行 りゅうこう 地域 ちいき の村 むら 、町 まち 、都市 とし が拡大 かくだい し、ヒトの移動 いどう が増加 ぞうか したことによって、ウイルスの流行 りゅうこう と伝播 でんぱ するウイルスの数 かず が増 ふ え続 つづ けている。デング熱 でんぐねつ は、かつて東南 とうなん アジアに限定 げんてい されていたが、現在 げんざい は中国 ちゅうごく 南部 なんぶ 、太平洋 たいへいよう やアメリカ諸国 しょこく にまで広 ひろ まっている[ 46] 。2007年 ねん 雨季 うき にはアンコール遺跡 いせき 観光 かんこう 拠点 きょてん の町 まち シェムリアプ などで主 おも に子供 こども を中心 ちゅうしん として流行 りゅうこう が認 みと められた[ 47] 。2007年 ねん 10月 がつ 、台湾 たいわん (中華民国 ちゅうかみんこく )南部 なんぶ の台 たい 南市 みなみいち において511人 にん の感染 かんせん が報告 ほうこく された[ 48] 。特 とく に2010年 ねん はインドネシアが79例 れい (うち51例 れい がバリ島 ばりとう )で、その他 た インド、フィリピン、タイでの感染 かんせん 事例 じれい が多 おお く報告 ほうこく された[ 49] 。ハワイ では1940年代 ねんだい にネッタイシマカが根絶 こんぜつ されて[ 50] デング熱 でんぐねつ も60年間 ねんかん 発生 はっせい していなかったが[ 51] 、2001から2002年 ねん にかけて流行 りゅうこう し、122人 にん の患者 かんじゃ が発生 はっせい した[ 52] 。2014年 ねん にはフィジー においても発症 はっしょう が広 ひろ まり1万 まん 人 にん 以上 いじょう が感染 かんせん し11人 にん が死亡 しぼう した[ 53] 。
デング熱 でんぐねつ は、さらにヨーロッパ にまで脅威 きょうい をもたらす可能 かのう 性 せい がある[ 4] 。
日本 にっぽん でも第 だい 二 に 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん 中 なか 、南方 なんぽう の戦地 せんち から持 も ち帰 かえ られたウイルスが、日本 にっぽん にも生息 せいそく するヒトスジシマカ によって媒介 ばいかい され、長崎 ながさき 市 し 、佐世保 させぼ 市 し 、広島 ひろしま 市 し 、神戸 こうべ 市 し 、大阪 おおさか 市 し など西日本 にしにほん で流行 りゅうこう し20万 まん 人 にん が発病 はつびょう したことがある[ 54] [ 55] 。長崎 ながさき での流行 りゅうこう は、当時 とうじ 堀田 ほった 進 すすむ らが報告 ほうこく した[ 56] 。また、堀田 ほった らは、長崎 ながさき のデング熱 でんぐねつ 患者 かんじゃ からデングウイルスを分離 ぶんり することに成功 せいこう した[ 57] 。
その後 ご 、2014年 ねん まで日本 にっぽん 国内 こくない での流行 りゅうこう は無 な かったが、世界 せかい からの輸入 ゆにゅう 感染 かんせん 症 しょう (海外 かいがい で感染 かんせん してデング熱 でんぐねつ を発症 はっしょう する症例 しょうれい )は、毎年 まいとし 100例 れい 前後 ぜんこう (2010年 ねん は245症例 しょうれい )報告 ほうこく されている[ 58] 。2014年 ねん には約 やく 70年 ねん ぶりにデング熱 でんぐねつ の国内 こくない 感染 かんせん が確認 かくにん された[ 59] 。
デング熱 でんぐねつ と見 み られる症例 しょうれい について最初 さいしょ に記録 きろく されたのは、晋 すすむ で書 か かれた医学 いがく 百科 ひゃっか 事典 じてん で、デング熱 でんぐねつ に関連 かんれん する飛 と ぶ虫 むし について「水 みず 毒 どく 」と言及 げんきゅう している[ 60] [ 61] 。17世紀 せいき に、デング熱 でんぐねつ の流行 りゅうこう について説明 せつめい されたが、もっともな報告 ほうこく が最初 さいしょ に発表 はっぴょう されたのは、1779 - 1780年 ねん のことである。この時 とき 、アジア、アフリカ、北米 ほくべい で大 だい 流行 りゅうこう していた[ 61] 。それ以降 いこう 1940年 ねん までは、流行 りゅうこう はあまり見 み られなかった[ 61] 。
1906年 ねん になると、デング熱 でんぐねつ がヤブカによって媒介 ばいかい されることが確認 かくにん され、1907年 ねん には、黄熱病 おうねつびょう に次 つ いで2番目 ばんめ に早 はや く、ウイルスが原因 げんいん の疾患 しっかん であると発表 はっぴょう された[ 62] 。その後 ご 、ジョン・バートン・クレランド (John Burton Cleland)とジョゼフ・フランクリン・サイラー(Joseph Franklin Siler )によってさらに調査 ちょうさ が進 すす められ、デング熱 でんぐねつ の伝染 でんせん に関 かん する基本 きほん 的 てき な理解 りかい が確立 かくりつ された[ 62] 。
日本語 にほんご の文献 ぶんけん では、1922年 ねん (大正 たいしょう 11年 ねん )に台湾 たいわん 軍 ぐん 軍医 ぐんい 部 ぶ がまとめた『熱帯 ねったい 衛生 えいせい 並 なみ ニ熱帯 ねったい 病 びょう 提要 ていよう 』に、1915年 ねん (大正 たいしょう 4年 ねん )5月 がつ から10月 がつ にかけて、台湾 たいわん 全土 ぜんど でデング熱 でんぐねつ が流行 りゅうこう し、台湾 たいわん 軍 ぐん 内 ない では、141名 めい が罹患 りかん したことが記録 きろく されている[ 63] 。
第 だい 二 に 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん 中 なか や戦後 せんご になると、デング熱 でんぐねつ は著 いちじる しく広 ひろ まり、生態 せいたい に混乱 こんらん を来 き たしている。これと同 おな じ流 なが れで、デング熱 でんぐねつ の異 こと なる血清 けっせい 型 がた が新 あたら しい地域 ちいき に普及 ふきゅう し、デング出血 しゅっけつ 熱 ねつ が出現 しゅつげん した。1953年 ねん に、デング熱 でんぐねつ の重症 じゅうしょう 型 がた が初 はじ めてフィリピン で報告 ほうこく された。1970年代 ねんだい になると、デング出血 しゅっけつ 熱 ねつ は乳幼児 にゅうようじ 死亡 しぼう 率 りつ を引 ひ き上 あ げる要因 よういん となり、太平洋 たいへいよう 地域 ちいき やアメリカ大陸 あめりかたいりく に現 あらわ れるようになった[ 61] 。さらに1981年 ねん には、デング出血 しゅっけつ 熱 ねつ やデングショック症候群 しょうこうぐん が、初 はじ めて中南米 ちゅうなんべい で確認 かくにん されたが、それは数 すう 年 ねん 前 まえ にはDENV-1に感染 かんせん した人 ひと がDENV-2にも感染 かんせん したためである[ 14] 。
台湾 たいわん の「天狗 てんぐ 熱 ねつ 」の用例 ようれい (台 たい 南市 みなみいち )
「デング(dengue 英語 えいご : [ˈdɛŋgi] フランス語 ふらんすご : [dɛ̃g] ドイツ語 ご : [ˈdɛŋge] )」の語源 ごげん は明 あき らかではないが、スペイン語 ご : dengue ([ˈdeŋge] 、引 ひ きつり・こわばり)が由来 ゆらい という説 せつ や、スワヒリ語 ご で「霊魂 れいこん に取 と り付 つ かれた状態 じょうたい 」を意味 いみ する言葉 ことば に由来 ゆらい するという説 せつ もある[ 60] 。デング熱 でんぐねつ に苦 くる しんでいた西 にし インド諸島 しょとう の奴隷 どれい たちが、ダンディ な(気取 きど った)姿勢 しせい や歩 ある き方 かた をしていたと言 い われていて、「ダンディ熱 ねつ (dandy fever)」とも呼 よ ばれるようになった[ 64] [ 65] 。台湾 たいわん 語 ご では日本 にっぽん 統治 とうち 時代 じだい から「天狗 てんぐ 熱 ねつ 」(thian-káu-jia̍t )という名称 めいしょう を使 つか い続 つづ ける[ 66] [ 67] 。
英語 えいご ではデング熱 でんぐねつ はbreak-bone fever(骨 ほね に激 はげ しい痛 いた みを伴 ともな う発熱 はつねつ )とも呼 よ ばれるが、この用語 ようご が初 はじ めて使 つか われたのは1789年 ねん のことで、医師 いし だったアメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく 建国 けんこく の父 ちち ベンジャミン・ラッシュ (Benjamin Rush)が、1780年 ねん フィラデルフィア で起 お きた流行 りゅうこう を記述 きじゅつ した報告 ほうこく 書 しょ の中 なか で使用 しよう した。実際 じっさい には、その報告 ほうこく 書 しょ の中 なか で彼 かれ は、より正式 せいしき な用語 ようご である「胆汁 たんじゅう 性 せい 寛解 かんかい 型 がた 発熱 はつねつ (bilious remitting fever)」の方 ほう を多用 たよう している[ 44] [ 68] 。デング熱 でんぐねつ という用語 ようご が一般 いっぱん 的 てき に使 つか われるようになったのは、1828年 ねん 以降 いこう のことである[ 65] 。そのほか、過去 かこ に使用 しよう された用語 ようご に「激 はげ しい発熱 はつねつ (breakheart fever)」や「ラ・デング(la dengue)」がある[ 65] 。重度 じゅうど の疾患 しっかん を示 しめ す用語 ようご には、「感染 かんせん 性 せい 血小板 けっしょうばん 減少 げんしょう 性 せい 紫斑 しはん 病 びょう (infectious thrombocytopenic purpura)」や「フィリピン出血 しゅっけつ 熱 ねつ 」、「タイ出血 しゅっけつ 熱 ねつ 」、「シンガポール出血 しゅっけつ 熱 ねつ 」がある[ 65] 。
予防 よぼう ワクチンならびに治療 ちりょう 薬 やく の研究 けんきゅう 開発 かいはつ [ 編集 へんしゅう ]
媒介 ばいかい 動物 どうぶつ 駆除 くじょ の一環 いっかん として、グッピー(P. reticulata )の稚魚 ちぎょ をブラジル・ブラジリア 地区 ちく にあるラーゴ・ノルテ(Lago Norte )のため池 いけ に放 はな つ公衆 こうしゅう 衛生 えいせい 担当 たんとう 者 しゃ
デング熱 でんぐねつ の予防 よぼう および治療 ちりょう のための研究 けんきゅう は、様々 さまざま な手段 しゅだん を用 もち いて、媒介 ばいかい 動物 どうぶつ の駆除 くじょ [ 69] 、ワクチンや抗 こう ウイルス薬 やく の開発 かいはつ に尽力 じんりょく している[ 70] 。
媒介 ばいかい 動物 どうぶつ の駆除 くじょ として、蚊 か の生態 せいたい 数 すう を減 へ らすために新 あら たな方法 ほうほう が採 と られ、中 なか にはグッピー (Poecilia reticulata )やカイアシ類 るい を水中 すいちゅう に放 はな し、蚊 か の幼虫 ようちゅう を食 た べさせることで、成功 せいこう しているものもある[ 69] 。蚊 か の集団 しゅうだん をボルバキア 属 ぞく の細菌 さいきん に感染 かんせん させる試 こころ みも続 つづ けられており、このようにして蚊 か の数 かず を減 へ らし、デングウイルスに対抗 たいこう している[ 8] 。
DENVの4種 しゅ 血清 けっせい 型 がた が存在 そんざい し、全 すべ ての血清 けっせい 型 がた に対応 たいおう したワクチンで無 な いと、異 こと なる血清 けっせい 型 がた のウイルスに2度目 どめ 感染 かんせん した場合 ばあい に1度目 どめ の感染 かんせん よりも重症 じゅうしょう 化 か する現象 げんしょう (抗体 こうたい 依存 いぞん 性 せい 感染 かんせん 増強 ぞうきょう )が発生 はっせい する[ 33] [ 71] 。また、デング熱 でんぐねつ の場合 ばあい は血清 けっせい 型 がた が異 こと なるとワクチンは効力 こうりょく を有 ゆう しない[ 33] 。従 したが って4価 か ワクチンの開発 かいはつ が求 もと められている。
2016年 ねん 、デング熱 でんぐねつ の一部 いちぶ 有効 ゆうこう なワクチンがフィリピンとインドネシアで市販 しはん されるようになった[ 72] [ 73] 。 メキシコ、ブラジル、エルサルバドル、コスタリカ、シンガポール、パラグアイ、ヨーロッパの大 だい 部分 ぶぶん 、および米国 べいこく で使用 しよう が承認 しょうにん されている[ 73] [ 74] [ 75] 。このワクチンは、デング熱 でんぐねつ に過去 かこ に感染 かんせん したことのある人 ひと 、または9歳 さい までにほとんどの人 ひと (80%以上 いじょう )が感染 かんせん している集団 しゅうだん にのみ推奨 すいしょう されている[ 76] [ 76] [ 77] 。過去 かこ に感染 かんせん したことのない人 ひと には、その後 ご の感染 かんせん を悪化 あっか させる可能 かのう 性 せい があるというエビデンスがある[ 74] [ 76] [ 78] 。このような理由 りゆう から、フランスPrescrire 誌 し (La Revue Prescrire )は、このワクチンは、この病気 びょうき が一般 いっぱん 的 てき な地域 ちいき であっても、大 だい 規模 きぼ な予防 よぼう 接種 せっしゅ には適 てき していないとしている[ 79] 。
ワクチンはサノフィ 社 しゃ によって製造 せいぞう されており、デングバクシア (英語 えいご 版 ばん ) (Dengvaxia)というブランド名 めい で販売 はんばい されている[ 80] 。このワクチンは、黄熱病 おうねつびょう ウイルスと4つのデング熱 でんぐねつ 血清 けっせい 型 がた のそれぞれの弱体 じゃくたい 化 か した組 く み合 あ わせに基 もと づいている[ 81] [ 82] 。ワクチンの研究 けんきゅう では、66%の効果 こうか があり、重症 じゅうしょう 化 か した症例 しょうれい の80~90%以上 いじょう を予防 よぼう できることがわかった[ 77] 。これは一部 いちぶ の人 ひと が望 のぞ んでいたものよりも低 ひく い効果 こうか である[ 83] 。インドネシアでは、推奨 すいしょう される3回 かい の接種 せっしゅ で約 やく 207 USドルかかる[ 73] 。
現在 げんざい のワクチンには限界 げんかい があるため、ワクチンの研究 けんきゅう は継続 けいぞく されており、第 だい 5の血清 けっせい 型 がた が織 お り込 こ まれる可能 かのう 性 せい がある[ 77] 。 懸念 けねん 事項 じこう の1つは、ワクチンが抗体 こうたい 依存 いぞん 性 せい 感染 かんせん 増強 ぞうきょう (antibody-dependent enhancement; ADE)を介 かい して重症 じゅうしょう 化 か のリスクを高 たか める可能 かのう 性 せい があることである[ 84] 。理想 りそう 的 てき なワクチンは、安全 あんぜん で、1回 かい または2回 かい の注射 ちゅうしゃ で効果 こうか があり、すべての血清 けっせい 型 がた をカバーし、ADEに寄与 きよ せず、輸送 ゆそう および保存 ほぞん が容易 ようい であり、手頃 てごろ な価格 かかく で費用 ひよう 対 たい 効果 こうか が高 たか いものである[ 84] 。
2015年 ねん 時点 じてん 、主 おも なものとして以下 いか の開発 かいはつ が行 おこな われている。
キメラデング 4価 か ワクチン(サノフィー・パスツール社 しゃ )[ 85] 。
CYD-TDV
不 ふ 活 かつ 化 か ワクチン
遺伝子 いでんし 組 ぐみ 換 か え弱毒 じゃくどく 生 せい 4価 か デングワクチン(CYD-TDV)[ 86] [ 87] : 接種 せっしゅ 回数 かいすう は3回 かい 、 接種 せっしゅ 間隔 かんかく は6カ月 かげつ で皮下 ひか 接種 せっしゅ で投与 とうよ する[ 71] 。ワクチン接種 せっしゅ は抗体 こうたい 陽性 ようせい 者 しゃ , またはデング熱 でんぐねつ が検査 けんさ 診断 しんだん された既往 きおう のある者 もの のみを対象 たいしょう とすべきと推奨 すいしょう されている[ 71] 。2019年 ねん 11月、武田薬品 たけだやくひん がドイツに建設 けんせつ 中 ちゅう の工場 こうじょう が完成 かんせい したと報道 ほうどう された[ 88] 。感染 かんせん 拡大 かくだい にて、2024年 ねん 2月 がつ に武田薬品工業 たけだやくひんこうぎょう は新 あら たにインドでデング熱 でんぐねつ ワクチンを製造 せいぞう すると発表 はっぴょう した[ 89] 。
ヤブカが広 ひろ まるのを制御 せいぎょ したり、デング熱 でんぐねつ のためのワクチンを開発 かいはつ する試 こころ みとは別 べつ に、抗 こう ウイルス薬 やく の開発 かいはつ 努力 どりょく も進行 しんこう 中 ちゅう で、将来 しょうらい 的 てき にデング熱 でんぐねつ の治療 ちりょう や重度 じゅうど の合併症 がっぺいしょう の防止 ぼうし に使用 しよう されるだろう[ 90] [ 91] 。ウイルスタンパク質 たんぱくしつ の構造 こうぞう を発見 はっけん したことは、有効 ゆうこう な薬 くすり の開発 かいはつ に役立 やくだ つ[ 91] 。有効 ゆうこう と思 おも われるターゲットのタンパク質 たんぱくしつ は以下 いか の通 とお りである。第 だい 1に、NS5遺伝子 いでんし にコードされているウイルスのRNA依存 いぞん 性 せい RNAポリメラーゼ を阻害 そがい するための取 と り組 く みである。NS5は、ヌクレオシド類似 るいじ 体 たい (Nucleoside analog )でウイルスの遺伝 いでん 物質 ぶっしつ を複製 ふくせい する。第 だい 2に、NS3遺伝子 いでんし にコードされているウイルスのプロテアーゼ に特異 とくい 的 てき な酵素 こうそ 阻害 そがい 剤 ざい の開発 かいはつ である。NS3は、ウイルスタンパク質 たんぱくしつ をタンパク質 たんぱくしつ スプライシング する[ 92] 。最後 さいご に、侵入 しんにゅう 阻害 そがい 剤 ざい の開発 かいはつ である。これにより、ウイルスが細胞 さいぼう に侵入 しんにゅう するのを防 ふせ いだり、ウイルス複製 ふくせい に必要 ひつよう なRNAの5'末端 まったん の修飾 しゅうしょく を阻害 そがい する[ 90] 。
新薬 しんやく 開発 かいはつ のために分散 ぶんさん コンピューティング を用 もち いるWorld Community Grid でも、テキサス大学 だいがく 医学部 いがくぶ が主催 しゅさい のもと2010年 ねん からデング熱 でんぐねつ 、C型 がた 肝炎 かんえん 、西 にし ナイル熱 ねつ 、および黄 き 熱 ねつ の新薬 しんやく 開発 かいはつ が行 おこな われている[ 93] 他 た 、日本 にっぽん の医学 いがく 生物 せいぶつ 学 がく 研究所 けんきゅうじょ も、大阪大学 おおさかだいがく などと共同 きょうどう の完全 かんぜん ヒト型 がた 抗 こう デングウイルス抗体 こうたい の臨床 りんしょう 試験 しけん に向 む けた研究 けんきゅう の実施 じっし を発表 はっぴょう している[ 94] [ 95] 。
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