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デング熱でんぐねつ

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出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
デング熱でんぐねつ
デング熱でんぐねつられる典型てんけいてき発疹はっしん
概要がいよう
診療しんりょう 感染かんせんしょうない科学かがく
分類ぶんるいおよび外部がいぶ参照さんしょう情報じょうほう
ICD-10 A90
ICD-9-CM 061
DiseasesDB 3564
MedlinePlus 001374
eMedicine med/528
Patient UK デング熱でんぐねつ
デング熱でんぐねつ
別称べっしょう dengue fever
概要がいよう
診療しんりょう 感染かんせんしょう
症状しょうじょう 発熱はつねつ頭痛ずつう筋肉きんにくつう関節かんせつつう嘔吐おうと下痢げりなど
原因げんいん デングウイルス
合併症がっぺいしょう デング出血しゅっけつねつ心筋しんきんえん脳炎のうえんギラン・バレー症候群しょうこうぐんなど
治療ちりょう 輸液による全身ぜんしん状態じょうたい改善かいぜんなど
デング熱でんぐねつ全体ぜんたい致死ちしりつひくいが、デング出血しゅっけつねつ致死ちしりつたかい。
分類ぶんるいおよび外部がいぶ参照さんしょう情報じょうほう
Patient UK デング熱でんぐねつ

デング熱でんぐねつ(デングねつ、まれにデンゲねつとも、えい: dengue fever [ˈdɛŋgi -], breakbone fever)とは、デングウイルス(w:Dengue virus)が原因げんいん感染かんせんしょうであり、熱帯ねったいびょうひとつである。 吸血きゅうけつ活動かつどうつうじて、ウイルスがひとからひとうつり、高熱こうねつたっすることでられる一過いっかせい熱性ねっせい疾患しっかんである。症状しょうじょうには、発熱はつねつ頭痛ずつう筋肉きんにくつう関節かんせつつうはしか症状しょうじょう特徴とくちょうてき皮膚ひふ発疹はっしんふくむ。

治療ちりょう方法ほうほう対症療法たいしょうりょうほう主体しゅたいで、急性きゅうせいデング熱でんぐねつにはいまきている症状しょうじょう軽減けいげんするための支持しじ療法りょうほう (supportive therapy, supportive care)がもちいられ、軽度けいどまたは中等ちゅうとうであれば、経口けいこうもしくは点滴てんてきによる水分すいぶん補給ほきゅう、より重度じゅうど場合ばあいは、点滴てんてき静脈じょうみゃく注射ちゅうしゃ輸血ゆけつといった治療ちりょうもちいられる。ただまれではあるが、生命せいめいおびやかすデング出血しゅっけつねつ発展はってんし、出血しゅっけつ血小板けっしょうばん減少げんしょう、または血漿けっしょう(けっしょう)漏出ろうしゅつこしたり、デングショック症候群しょうこうぐん発展はってんして出血しゅっけつせいショックこすこともある。

おも媒介ばいかい生物せいぶつヤブカぞくなかでもとくネッタイシマカ(Aedes aegypti)やヒトスジシマカ(Aedes albopictus)などのによって媒介ばいかいされる。このウイルスには4つのことなるかたがあり、あるかた感染かんせんすると、通常つうじょうそのかたたいする終生しゅうせい免疫めんえき獲得かくとくするが、かたたいする免疫めんえき短期間たんきかんにとどまる。また、ことなるかたつづけて感染かんせんすると、重度じゅうど合併症がっぺいしょうのリスクがたかまる。

デング熱でんぐねつ文献ぶんけんあらわれるようになったのは1779ねんからであり、ウイルスが原因げんいんであることや伝染でんせん経路けいろについて解明かいめいされたのは、20世紀せいき初頭しょとうである。だい世界せかい大戦たいせん以降いこうデング熱でんぐねつ世界せかいてきひろまり、1960年代ねんだいからその発生はっせいすう急激きゅうげき増加ぞうかしている。現在げんざいでは、110かこく以上いじょう毎年まいとしおよそ5000まんにんから1おくにん感染かんせんする風土病ふうどびょうとなっている。うち70%がアジアで、インドぜん世界せかいの34%をめる世界一せかいいち感染かんせんしゃすうつ。また「実際じっさい感染かんせん規模きぼ政府せいふ公表こうひょうすうひゃくばいえる」とする専門せんもんもいる[1]

おも原因げんいんとして、急激きゅうげき都市とし地球ちきゅう温暖おんだん、また国際こくさいによるひと往来おうらい増加ぞうかによる感染かんせん拡大かくだい関与かんよしているとかんがえられている。対策たいさくとしては、駆除くじょほかに、ワクチンの研究けんきゅうやウイルスに直接ちょくせつはたらきかける薬物やくぶつ治療ちりょう研究けんきゅうすすめられている。

臨床りんしょうぞう

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デング熱の様々な段階で影響を受ける人体の部位を示した模式図
デング熱でんぐねつ症状しょうじょうしめ略図りゃくず

デングウイルスに感染かんせんしても8わり症状しょうじょうであり、それ以外いがい軽度けいど症状しょうじょうたとえば合併症がっぺいしょうともなわない発熱はつねつ症状しょうじょうあらわれるだけがほとんどである[2][3][4]。しかし、5%の感染かんせんしゃでは重症じゅうしょうにまで発展はってんし、さらにごく一部いちぶでは生命せいめいおびやかすこともある[2][4]潜伏期せんぷくきあいだ感染かんせんしてから症状しょうじょうるまでの期間きかん)は3にちから14にちであるが、ほとんどの場合ばあいは4にちから7にちである[5]。このため、デング熱でんぐねつ流行りゅうこう地域ちいきからもどってきた旅行りょこうしゃが、帰宅きたくしてから14にち以上いじょうったのちで、発熱はつねつやその症状しょうじょうはじめた場合ばあいデング熱でんぐねつである可能かのうせいきわめてひく[6]子供こども場合ばあい風邪かぜ胃腸いちょうえん嘔吐おうと下痢げり)とよく症状しょうじょうがたびたびあらわ[7]症状しょうじょう一般いっぱんてき大人おとなよりもかるいが[8]、その一方いっぽう重度じゅうど合併症がっぺいしょうおちいりやすい[6][8]

臨床りんしょう経過けいか

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デング熱でんぐねつ臨床りんしょう経過けいか[9]

デング熱でんぐねつ症状しょうじょう特徴とくちょうは、突然とつぜん発熱はつねつ頭痛ずつう一般いっぱんてきおくいたみ)、筋肉きんにく関節かんせついたみ、発疹はっしんである。英語えいご別名べつめい「break-bone fever」とばれているが、デング熱でんぐねつともな筋肉きんにく関節かんせついたみに由来ゆらいしている[2][10]感染かんせんには、発熱はつねつ重症じゅうしょう回復かいふくの3段階だんかいがある[11]

発熱はつねつには、40℃以上いじょう高熱こうねつることがよくあり、全身ぜんしんいたみや頭痛ずつうともなう。通常つうじょう、このような症状しょうじょうが2にちから7にちつづ[9][10]。この段階だんかい発疹はっしん症状しょうじょうあらわれるのは、50 - 80%である[10][12]。1にちまたは2にちべにまだらあらわれるか、さらに4にちから7にち疾患しっかん段階だんかい経過けいかしたのちに、はしか発疹はっしんあらわれる[12][13]。またこの時点じてんで、てんじょう出血しゅっけつ皮膚ひふしたときにえないままのこちいさな赤色あかいろてんで、毛細血管もうさいけっかん破綻はたん原因げんいん)がいくつかあらわ[9]くちはな粘膜ねんまくから軽度けいど出血しゅっけつがある場合ばあいもある[6][10]基本きほんてきに、発熱はつねつ自体じたいは1にちか2にちあいだきゅうねつがってがるという相性あいしょうしめすが、どのような頻度ひんどでこの相性あいしょう発熱はつねつしょうじるかはまちまちである[13][14]

なかには重症じゅうしょう発展はってんするひともいる。重症じゅうしょういた場合ばあい、それは高熱こうねつから回復かいふくしたのちであり、通常つうじょう1にちから2にちつづ[9]。この段階だんかいで、毛細血管もうさいけっかん透過とうかせいし、水分すいぶんれが増加ぞうかすることで、胸腔きょうこう腹腔ふくこう多量たりょう水分すいぶんまる場合ばあいがある。これにより、血液けつえきりょう減少げんしょうしょうじたり、循環じゅんかんせいショックしょうじたりする[9]。またこの段階だんかいでは、臓器ぞうき障害しょうがい大量たいりょう出血しゅっけつが、一般いっぱんてきには消化しょうかきることがある[6][9]。デングショック症候群しょうこうぐんばれる循環じゅんかんせいショックやデング出血しゅっけつねつばれる出血しゅっけつ発症はっしょうする割合わりあいは、ぜん症例しょうれいの5%未満みまんであるが[6]以前いぜん血清けっせいがたのデングウイルスに感染かんせんしたことがある場合ばあい(つまり、2かい感染かんせん場合ばあい)は、そのリスクがえる[6][15]

つづき、りゅうれた水分すいぶんふたた吸収きゅうしゅうされることによって症状しょうじょう回復かいふくしていく[9]。これは通常つうじょう2、3にちかかる[6]回復かいふく目覚めざましいが、はげしいかゆ発生はっせいしたり、じょみゃく心拍しんぱくおそくなること)がよくある[6][9]むらおかまたは血管けっかんえん症候群しょうこうぐんといったべつ発疹はっしんあらわれ、皮膚ひふけてくる場合ばあいもある[8]。この段階だんかいで、水分すいぶん負荷ふか状態じょうたいになることがあり、これがのう浮腫ふしゅ意識いしきレベルの低下ていかてんかんこす[6]すう週間しゅうかん疲労ひろうかんつづ[8]

付随ふずいする症状しょうじょう

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デング熱でんぐねつ人体じんたいほか部位ぶい影響えいきょうあたえる場合ばあいもある[9]。それは、単独たんどく症状しょうじょうあらわれることもあれば、典型てんけいてきデング熱でんぐねつ症状しょうじょうともあらわれる場合ばあいもある[7]意識いしきレベルの低下ていかは、じゅう症例しょうれいの0.5 - 6%で発生はっせいするが、ウイルスせい脳炎のうえんがその原因げんいん場合ばあいもあれば、肝臓かんぞうなどの重要じゅうよう臓器ぞうき障害しょうがい間接かんせつてき起因きいんとなる場合ばあいもある[7][14]

その神経しんけい疾患しっかんについては、横断おうだんせい脊髄せきずいえんギラン・バレー症候群しょうこうぐんなどがデング熱でんぐねつ合併症がっぺいしょうとして報告ほうこくされている[7]心筋しんきんえん急性きゅうせい肝不全かんふぜんは、まれこる合併症がっぺいしょうひとつである[6][9]

病原びょうげんたい

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デングウイルス

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デングウイルス
デングウイルスの透過とうかがた電子でんし顕微鏡けんびきょう写真しゃしん
中央ちゅうおう付近ふきん密集みっしゅうしている黒点こくてんじょうのものがビリオン
分類ぶんるい
ぐん : だい4ぐん(1ほんくさりRNA +くさり
: フラビウイルス
ぞく : フラビウイルスぞく

デングウイルス(DENV)は、フラビウイルスフラビウイルスぞくRNAウイルスである。おなぞくには、黄熱病おうねつびょうウイルス、ウエストナイルウイルス、セントルイス脳炎のうえん(St. Louis encephalitis)ウイルス、日本脳炎にほんのうえんウイルス、ダニ媒介ばいかいせい脳炎のうえんウイルス(Tick-borne encephalitis virus)、キャサヌール森林しんりんびょう(Kyasanur forest disease)ウイルス、オムスク出血しゅっけつねつOmsk hemorrhagic fever)ウイルスがある[14]。これらのほとんどは、節足動物せっそくどうぶつマダニ)が媒介ばいかいしているため、アルボウイルス節足動物せっそくどうぶつ媒介ばいかいせいウイルス)ともばれている[14]

デングウイルスゲノムぜん遺伝子いでんし情報じょうほう)は、やく11,000のヌクレオチド塩基えんきからなっている。その塩基えんき配列はいれつは、ウイルスの粒子りゅうしじょう構造こうぞう必要ひつような3しゅタンパク質たんぱくしつ分子ぶんし(C、prM、E)と感染かんせんした宿主しゅくしゅ細胞さいぼうにのみ発現はつげんし、ウイルスの複製ふくせい必要ひつようとなる7しゅタンパク質たんぱくしつ分子ぶんし(NS1、NS2a、NS2b、NS3、NS4a、NS4b、NS5)をコードしている[15][16]。また、血清けっせいがたで4つのウイルスがた、DENV-1、DENV-2、DENV-3、DENV-4に分類ぶんるいされる[3]。これらの4つの血清けっせいがたはすべて、あらゆる症状しょうじょうこす原因げんいんとなる[15]たとえば、ある血清けっせいがた感染かんせんすると、その血清けっせいがたたいする終生しゅうせい免疫めんえき獲得かくとくするが、血清けっせいがたたいする防御ぼうぎょ短期間たんきかんにとどまる[3][10]

2度目どめ感染かんせん重度じゅうど合併症がっぺいしょうとくこりやすいのは、以前いぜん血清けっせいがたDENV-1に感染かんせんしたひとが、血清けっせいがたDENV-2または血清けっせいがたDENV-3に感染かんせんする場合ばあいや、以前いぜん血清けっせいがたDENV-3に感染かんせんしたひとが、血清けっせいがたDENV-2に感染かんせんする場合ばあいである[16]

感染かんせん経路けいろ

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ヒトの皮膚に噛み付いているネッタイシマカ(Aedes aegypti)をアップにした写真
栄養えいようげんであるヒトにネッタイシマカ(Aedes aegypti)

デングウイルスは、おもヤブカ、とりわけネッタイシマカ(Aedes aegypti)によって媒介ばいかいされる[3]。これらの通常つうじょう北緯ほくい35から南緯なんい35あいだ標高ひょうこう1,000メートル以下いかところ生息せいそくしている[3]されるのはおもちゅうである[17]病気びょうき媒介ばいかいするヤブカのたねには、ヒトスジシマカ、ポリネシアヤブカ(Aedes polynesiensis)、スクテラリスシマカ(Aedes scutellaris)がある[3]。ウイルスは、おもにヒトを宿主しゅくしゅとするが[3][14]、ヒト以外いがいサルにも伝染でんせんする[18]。たったひとしで感染かんせん[19]デング熱でんぐねつ感染かんせんしたひとからメスが吸血きゅうけつすると、ちょう内壁ないへき細胞さいぼうにウイルスが感染かんせんする。およそ8にちから10にち、ウイルスは組織そしきにもひろがり、これが唾液腺だえきせんにまでおよぶと、ウイルスが唾液だえきちゅう放出ほうしゅつされるようになる。はウイルスから有害ゆうがい影響えいきょうけないようであり、生涯しょうがい感染かんせんしたままである。ネッタイシマカは、人工じんこうみず容器ようき産卵さんらん場所ばしょとしてこのむため、ヒトのちかくにき、動物どうぶつよりもヒトから吸血きゅうけつすることがおお[20]。ウイルスを保有ほゆうする産卵さんらんした場合ばあい、ヒトスジシマカではやく10%の割合わりあいたまごにウイルスが垂直すいちょく伝播でんぱすることがあきらかとされている[21]

通常つうじょう人間にんげん同士どうし直接ちょくせつ感染かんせんこらない。ただし、輸血ゆけつ血液けつえき製剤せいざい臓器ぞうき移植いしょく例外れいがいである[22][23]シンガポールなどのデング熱でんぐねつ流行りゅうこうしている国々くにぐにでは、その感染かんせんリスクは、10,000かい輸血ゆけつのうち1.6 - 6かい見積みつもられている[24]。また、妊娠にんしんちゅうもしくは出産しゅっさんに、母親ははおやから子供こども垂直すいちょく感染かんせんすることも報告ほうこくされている[25]。そのほか、まれにひとからひとへと感染かんせんすることも報告ほうこくされている[10]

傾向けいこう

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重度じゅうど疾患しっかんは、乳幼児にゅうようじによりおおられ、おおくのほか感染かんせんしょうとは対照たいしょうてきに、比較的ひかくてき栄養えいようおおっている子供こどもたちのほうが、なりやすい[6]。また、男性だんせいよりも女性じょせいのほうがリスクがたか[16]糖尿とうにょうびょう気管支きかんし喘息ぜんそくなど持病じびょうがあるひとデング熱でんぐねつにかかると、いのちにかかわることがある[16]

特定とくてい遺伝子いでんしにおける遺伝いでんてきかた通常つうじょうられる遺伝いでんてき差異さい)は、重度じゅうどデング熱でんぐねつ合併症がっぺいしょうのリスクをたかめる。これには、腫瘍しゅよう壊死えし因子いんしαあるふぁ (TNF-αあるふぁ)、マンナン結合けつごうレクチン[2]細胞さいぼう障害しょうがいせいTリンパだま抗原こうげん4(CTLA4)、トランスフォーミング増殖ぞうしょく因子いんしβべーた(TGFβべーた)[15]じょう細胞さいぼう特異とくいてきICAM-3結合けつごうノンインテグリン(DC-SIGN)などのタンパク質たんぱくしつをコードしている遺伝子いでんしヒト白血球はっけっきゅうがた抗原こうげん特定とくてい遺伝子いでんしふくまれる[16]。また、アフリカでひろまっているグルコース-6-リンさん脱水だっすいもと酵素こうそ欠損けっそんしょうばれる遺伝子いでんし疾患しっかんは、リスクをたかめるおそれがある[26]ビタミンD受容じゅようたいFc受容じゅようたい遺伝子いでんしがたは、2度目どめにデングウイルスに感染かんせんしたときに重度じゅうど疾患しっかんになることをふせぐとわれている[16]

発症はっしょう機構きこう

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デングウイルスをはこひとすと、唾液だえきともにウイルスが皮膚ひふ侵入しんにゅうする。ウイルスは、白血球はっけっきゅう結合けつごうしてそのなかはいり、体内たいない移動いどうしながら細胞さいぼうない増殖ぞうしょくする。白血球はっけっきゅうは、インターフェロンなどのおおくのシグナルタンパク質たんぱくしつ生成せいせいしながら応答おうとうするが、それが発熱はつねつやインフルエンザのような症状しょうじょう重度じゅうどいたみなどおおくの症状しょうじょうこす。重度じゅうど感染かんせん場合ばあい体内たいないでウイルス増殖ぞうしょく大幅おおはば増大ぞうだいし、さらにおおくの臓器ぞうきたとえば肝臓かんぞう骨髄こつづい)に影響えいきょうあたえ、りゅうから漏出ろうしゅつした液体えきたいが、ちいさな血管けっかんかべとお体腔たいこうへとながれる。その結果けっか血管けっかんない循環じゅんかんする血液けつえき減少げんしょうして血圧けつあつがるため、主要しゅよう臓器ぞうき十分じゅうぶん血液けつえきおくることができなくなる。さらに、骨髄こつづい機能きのう障害しょうがいこると、有効ゆうこう血液けつえき凝固ぎょうこ必要ひつよう血小板けっしょうばんかず減少げんしょうする。これにより、出血しゅっけつ主要しゅようデング熱でんぐねつ合併症がっぺいしょうのリスクがたかまる[26]

ウイルス複製ふくせい

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デングウイルスは皮膚ひふはいるとすぐに、ランゲルハンス細胞さいぼう皮膚ひふないにあるじょう細胞さいぼう集合しゅうごうたいで、病原びょうげんたい識別しきべつする)と結合けつごうする[26]。ウイルスは、ウイルスタンパク質たんぱくしつとランゲルハンス細胞さいぼうじょうまくタンパク質たんぱくしつとくにDC-SIGNやCLEC5AなどのCがたレクチンマンノース受容じゅようたい結合けつごうしたさいしょうじるエンドサイトーシスという仕組しくみによって細胞さいぼうないはい[15]。DC-SIGNは、じょう細胞さいぼうじょうにある異物いぶつ認識にんしきする非特異ひとくいてき受容じゅようたいであり、ここがおも進入しんにゅうこうとみられている[16]じょう細胞さいぼうは、もっとちかリンパぶし移動いどうする。一方いっぽうウイルスゲノムは、細胞さいぼうしょう胞体うえにあるまく結合けつごうがたしょう胞で翻訳ほんやくされ、細胞さいぼうタンパク質たんぱくしつ合成ごうせい器官きかんが、あたらしいウイルスタンパク質たんぱくしつ合成ごうせいする。合成ごうせいされたウイルスタンパク質たんぱくしつによってウイルスRNAは複製ふくせいされる。未熟みじゅくなウイルス粒子りゅうしは、ゴルジたいへとおくられる。ゴルジたい細胞さいぼうないしょう器官きかんひとつで、いくつかのタンパク質たんぱくしつとうタンパク質たんぱくしつへと修飾しゅうしょくされる。こうして成熟せいじゅくしたあたらしいウイルスは、感染かんせんした細胞さいぼう表面ひょうめんじょう出芽しゅつがし、エキソサイトーシスという仕組しくみによって放出ほうしゅつされ、たんたまMonocyte)やマクロファージなどのほか白血球はっけっきゅうない侵入しんにゅうできるようになる[15]

感染かんせんした細胞さいぼうはすぐに、インターフェロンサイトカイン生成せいせいするようになる。これらは、自然しぜん免疫めんえきけいかいして、JAK-STAT経路けいろによって媒介ばいかいされるタンパク質たんぱくしつグループの生成せいせい大幅おおはば増加ぞうかし、ウイルス感染かんせんたいする様々さまざま防御ぼうぎょ機構きこうはたらかせはじめる。デングウイルスの血清けっせいがたなかには、この過程かていおくらせるメカニズムがみられる。また、インターフェロンは、獲得かくとく免疫めんえきけい活性かっせいして、ウイルスにたいする抗体こうたい生成せいせいするほかに、ウイルス感染かんせんした細胞さいぼうすべてを直接ちょくせつ攻撃こうげきするT細胞さいぼう生成せいせいする[15]。このようにして様々さまざま抗体こうたい生成せいせいされる。ある抗体こうたいは、ウイルスタンパク質たんぱくしつ密接みっせつ結合けつごうし、しょく細胞さいぼうしょく作用さようによってりこみ破壊はかいする。しかし、抗体こうたいがウイルスとしっかり結合けつごうしないと、しょく作用さようによってしょく細胞さいぼうまれたウイルスは破壊はかいされずに複製ふくせいされる[15]

重度じゅうど疾患しっかん

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2度目どめことなる血清けっせいがたのデングウイルスに感染かんせんすると、デング出血しゅっけつねつやデングショック症候群しょうこうぐんのリスクがたかまる理由りゆうは、まだ解明かいめいされていない。もっとひろれられている仮説かせつに、抗体こうたい依存いぞんせい感染かんせん増強ぞうきょうえい: Antibody-dependent enhancement、ADE)がある。ADEの背景はいけいにある正確せいかくなメカニズムは不明ふめいである。抗原こうげん破壊はかいには関与かんよしない抗体こうたいよわ結合けつごうすることによって、破壊はかいしようとまれたウイルスが白血球はっけっきゅうないべつ区画くかくあやまってはこばれることが原因げんいんであるかもしれない[15][16]。ADEのほかにも、重度じゅうどデング熱でんぐねつ付随ふずいする合併症がっぺいしょうこすメカニズムがあるとわれており[2]様々さまざま研究けんきゅう結果けっかT細胞さいぼうおよびサイトカインたいなどの可溶性かようせい因子いんし関与かんよ示唆しさしている[26]

重度じゅうど疾患しっかんでは、2つの問題もんだいあらわれる。血管けっかん内皮ないひ血管けっかんないなら細胞さいぼう)の機能きのう障害しょうがい血液けつえき凝固ぎょうこ障害しょうがいである[7]血管けっかん内皮ないひ障害しょうがいは、血液けつえき血管けっかんから胸腔きょうこう腹腔ふくこう漏出ろうしゅつする原因げんいんとなり、血液けつえき凝固ぎょうこ障害しょうがいは、出血しゅっけつせい合併症がっぺいしょうこす。重度じゅうど疾患しっかんは、ちゅうでのウイルス増加ぞうか骨髄こつづい肝臓かんぞうなどの臓器ぞうき影響えいきょうけることによるものである。感染かんせんした臓器ぞうき細胞さいぼうに、サイトカインの放出ほうしゅつせん溶系血液けつえき凝固ぎょうことは反対はんたいきにはたらく血栓けっせん分解ぶんかい)の活性かっせいいたる。この結果けっか内皮ないひ機能きのう障害しょうがい血液けつえき凝固ぎょうこ障害しょうがいをもたらす[26]

診断しんだん

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警戒けいかい兆候ちょうこう[27]
腹痛はらいた
つづ嘔吐おうと
きもしゅだい
粘膜ねんまく出血しゅっけつ
血小板けっしょうばん減少げんしょうともな
ヘマトクリット上昇じょうしょう
倦怠けんたいかん

デング熱でんぐねつ診断しんだん一般いっぱんてきに、報告ほうこくされた症状しょうじょう診察しんさつもとづいて、臨床りんしょうてきおこなわれる。これは、とく流行りゅうこう地域ちいきであてはまる[2]。しかし、初期しょき疾患しっかんは、ウイルス感染かんせんしょうとの識別しきべつ困難こんなんなことがある[6]推定すいてい診断しんだんは、発熱はつねつ症状しょうじょうつぎなかから2つの症状しょうじょう確認かくにんすることでおこなわれる。嘔吐おうと発疹はっしん全身ぜんしんいたみ、白血球はっけっきゅうかず減少げんしょう、ターニケット試験しけんTourniquet test)で陽性ようせい場合ばあい、または風土病ふうどびょう警告けいこくされている地域ちいきんでいて、警戒けいかい兆候ちょうこうひょう参照さんしょう)がられる場合ばあいである[27]警戒けいかい兆候ちょうこう通常つうじょう重度じゅうどデング熱でんぐねつ発症はっしょうするまえあらわれる[9]。ターニケット試験しけん容易ようい実施じっしできるので、臨床りんしょう検査けんさ不可能ふかのう状況じょうきょうにおいてとく有用ゆうようである。試験しけんでは、血圧けつあつけいカフを5分間ふんかん使用しようし、てんじょう出血しゅっけつかぞえる。そのかずおおいほど、デング熱でんぐねつである可能かのうせいたかいと診断しんだんされる[9]

熱帯ねったいまたは亜熱帯あねったい地域ちいき滞在たいざいして2週間しゅうかん以内いない発熱はつねつした場合ばあいは、診断しんだんける必要ひつようがある[28]デング熱でんぐねつは、チクングニアねつとの識別しきべつむずかしい。チクングニアねつは、デング熱でんぐねつとよくたウイルス感染かんせんしょうで、共通きょうつうする症状しょうじょう数多かずおおくあり、同様どうよう地域ちいき発生はっせいしている[10]。また、マラリアレプトスピラしょうちょうチフス細菌さいきんせいずいまくえんなどもデング熱でんぐねつたような症状しょうじょうをもたらすため、それらの病気びょうき除外じょがいするための検査けんさ必要ひつようとなることもおお[6]

臨床りんしょう検査けんさ一番いちばんはや変化へんか検出けんしゅつされるのは、白血球はっけっきゅう減少げんしょうで、つづいて血小板けっしょうばん減少げんしょう代謝たいしゃせいアシドーシスられることがおお[6]重度じゅうど疾患しっかんでは、血漿けっしょう漏出ろうしゅつ結果けっか血液けつえき濃縮のうしゅくヘマトクリット上昇じょうしょう)やていアルブミンしょうきる[6]胸水きょうすい腹水ふくすいは、診察しんさつ胸部きょうぶ腹部ふくぶが膨隆していることで検出けんしゅつすることも可能かのうではあるが[6]ちょう音波おんぱ検査けんさ流体りゅうたい確認かくにんすることはデングショック症候群しょうこうぐん早期そうき発見はっけん役立やくだ[2][6]。しかし、検査けんさ装置そうちは、入手にゅうしゅ困難こんなん場合ばあいおおく、その使用しようかぎられる[2]

分類ぶんるい

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2009ねん世界せかい保健ほけん機関きかん(WHO)はデング熱でんぐねつ分類ぶんるいほう見直みなおし、合併症がっぺいしょうのないものと重度じゅうどのものという2種類しゅるいにした[2][27]。それは、1997ねんのWHOの分類ぶんるいがあまりにも制約せいやくおおかったため、いまでも幅広はばひろ使用しようされてはいるものの、単純たんじゅんする必要ひつようがあったためである[27]。1997ねん分類ぶんるいでは、デング熱でんぐねつ原因げんいん不明ふめい発熱はつねつデング熱でんぐねつ、デング出血しゅっけつねつけていた[6][29]。デング出血しゅっけつねつは、さらにグレードI - IVに細分さいぶんされていた。グレードIは、発熱はつねつられて、内出血ないしゅっけつしやすい状態じょうたいやターニケット試験しけん陽性ようせい反応はんのう場合ばあいのみで、グレードIIは、特発とくはつせい出血しゅっけつ皮膚ひふ箇所かしょこる場合ばあいである。グレードIIIは、臨床りんしょうてきショックみとめられた場合ばあいで、グレードIVは、ショックがあまりにもじゅうあつしなため、血圧けつあつはくどう計測けいそく不可能ふかのう場合ばあいである[29]。グレードIIIとIVは、「デングショック症候群しょうこうぐん」ともばれる[27][29]

臨床りんしょう検査けんさ

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デング熱でんぐねつは、微生物びせいぶつがくてき臨床りんしょう検査けんさ診断しんだん可能かのうである[27]検査けんさは、細胞さいぼう培養ばいようによるウイルス分離ぶんりポリメラーゼ連鎖れんさ反応はんのう(PCR)による核酸かくさん検出けんしゅつ、ウイルス抗原こうげん検出けんしゅつ特異とくい抗体こうたいなどの血清けっせいがくてき検査けんさによっておこなわれる[16][30]。ウイルス分離ぶんり核酸かくさん検出けんしゅつは、ウイルス抗原こうげん検出けんしゅつよりも正確せいかくではあるが、より費用ひようがかかるためあまりもちいられていない[30]。また、これらの検査けんさはどれも、疾患しっかん初期しょき段階だんかいでは陰性いんせいしめすこともある[6][16]。PCRとウイルス抗原こうげん検出けんしゅつは、最初さいしょの7日間にちかんにより正確せいかく結果けっか[8]。インフルエンザ診断しんだんおな機器きき使用しようできるPCR検査けんさが2012ねん導入どうにゅうされたが、今後こんごますます活用かつようされると予想よそうされる[31]

このような臨床りんしょう検査けんさは、血清けっせいがくてきなものをのぞき、疾患しっかん急性きゅうせいかぎって診断しんだんやくつ。デングウイルス特異とくい抗体こうたい免疫めんえきグロブリンG(IgG)がたおよび免疫めんえきグロブリンM(IgM)がた検査けんさは、感染かんせん後期こうきにおいて診断しんだん確認かくにんするのに役立やくだつ。IgGとIgMはともに、5 - 7にち生成せいせいされる。IgMの最高さいこうレベル(ちから)は最初さいしょ感染かんせんあらわれるが、IgMは2度目どめまたは3度目どめ感染かんせんでも生成せいせいされる。またIgMは、最初さいしょ感染かんせん30 - 90にち検出けんしゅつされなくなるが、すぐにさい感染かんせんきた場合ばあいは、ふたた検出けんしゅつされる。対照たいしょうてきにIgGは、60ねん以上いじょうものあいだ検出けんしゅつされ、症状しょうじょうがない場合ばあい過去かこ感染かんせんれきるのに有用ゆうようである。ちゅうのIgGは、最初さいしょ感染かんせんの14 - 21にちにピークにたっする。そのさい感染かんせんでは、よりはや段階だんかいでピークにたっし、ちから通常つうじょうさらにたかくなる。IgGとIgMはともに、感染かんせんしたウイルスの血清けっせいがたたいする防御ぼうぎょ免疫めんえき提供ていきょうする。IgGおよびIgM抗体こうたいもちいる臨床りんしょう検査けんさは、ねつウイルスなどのほかのフラビウイルスと交差こうさ反応はんのうこすため、このような血清けっせいがくてき検査けんさでは判断はんだん困難こんなん場合ばあいもある[10][16][32]。IgG検出けんしゅつのみでは通常つうじょう診断しんだんくださないが、14にち血液けつえきサンプルをさい収集しゅうしゅうし、特異とくいてきIgGのレベルが4ばい以上いじょう増加ぞうかした場合ばあいはそのかぎりではない。デング熱でんぐねつ症状しょうじょうられる場合ばあいは、IgM検出けんしゅつ診断しんだん確定かくていする[32]

予防よぼう

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溝にたまった水をくみ出す人々の黒白写真
まりすいのぞ作業さぎょうをしている1920年代ねんだい写真しゃしん。このようにして個体こたいすうらしていた。

デングウイルスには、2009ねん時点じてんでは認可にんかされたワクチン存在そんざいしない[2]。2015ねん時点じてん可能かのう予防よぼうほうは、ウイルスを媒介ばいかいするされないように、まもることである[17][33][34]

世界せかい保健ほけん機構きこうは、以下いかの5てん構成こうせいされる『総合そうごうてき媒介ばいかい動物どうぶつ制御せいぎょプログラム』を奨励しょうれいしている[17]

  1. 公衆こうしゅう衛生えいせい機関きかん社会しゃかい共同きょうどうたい強化きょうかするための提唱ていしょう社会しゃかいてき動員どういん法律ほうりつ制定せいてい
  2. 官民かんみんげて公衆こうしゅう衛生えいせい部門ぶもん部門ぶもん連携れんけいすること
  3. 資源しげん最大限さいだいげん活用かつようするための疾患しっかん制御せいぎょへの統合とうごうてき
  4. すべての予防よぼう方法ほうほう目的もくてきかなっていることを確実かくじつにするための根拠こんきょある意思いし決定けってい
  5. 現地げんち状況じょうきょうたいして適切てきせつ対応たいおうするための能力のうりょく向上こうじょう

ネッタイシマカを駆除くじょするための方法ほうほうは、生息せいそくらすことである[17]。その方法ほうほうとして、ボウフラ生息せいそくするみずはいった容器ようきそらにしたり、生息せいそく殺虫さっちゅうざい生物せいぶつてき防除ぼうじょざい方法ほうほうげられるが[17]リンさんエステルピレスロイド殺虫さっちゅうざい事前じぜん散布さんぷしても、予防よぼう効果こうかはないとかんがえられている[4]

また殺虫さっちゅうざいは、健康けんこうにマイナスの影響えいきょうあたえる懸念けねんがあり、防除ぼうじょざい運搬うんぱんがかなり困難こんなんなため、環境かんきょう改善かいぜんつうじて、ボウフラが生息せいそくするみずまりらすことが、駆除くじょ方法ほうほうとしてもっとこのましい[17]個人こじん対策たいさくとしては、皮膚ひふおおふく着用ちゃくようしたり、休息きゅうそく蚊帳かや使用しようし、防虫ぼうちゅうざいディート(DEET)がもっと効果こうかてきである)を利用りようして、されないようにする[19]

デング熱でんぐねつ対策たいさくとして、イギリスのバイオテクノロジー企業きぎょうオキシテック(Oxytec)が、遺伝子いでんしぐみ技術ぎじゅつにより、致死ちしせい遺伝子いでんしんだオス開発かいはつし、ブラジルのジェアゼイロで1000まんひき以上いじょう放出ほうしゅつされた。マレーシアでも実施じっし段階だんかいはいっており、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくフロリダしゅう南部なんぶしまでも放出ほうしゅつされる計画けいかくがある。メキシコでも、カリフォルニア大学だいがくのアンソニー・ジェームズの研究けんきゅうチームがべないように改造かいぞうしたメスの遺伝子いでんし使つかった実験じっけんおこなわれた[35]

駆除くじょ以外いがい手段しゅだんとして、ネッタイシマカにボルバキア共生きょうせいさせ、体内たいないにおけるデングウイルスの増殖ぞうしょくおさえることで、感染かんせんりつげるこころみがおこなわれている。ボルバキアは節足動物せっそくどうぶつ体内たいないこう頻度ひんどいだされる共生きょうせい細菌さいきんだが、ネッタイシマカとは共生きょうせいしていない。これをたまご直接ちょくせつ感染かんせんさせることで共生きょうせい個体こたいつくりだし、その子孫しそんじゅうすうだいわたって共生きょうせい状態じょうたいがさせることに成功せいこうしている。

ボルバキアは、唾液だえきかんみちよりもおおきいため、直接ちょくせつ人体じんたい哺乳ほにゅう動物どうぶつ感染かんせんすることもなく、また環境かんきょうにありふれた存在そんざいで、人体じんたいとうたいして悪影響あくえいきょうおよぼすこともない。デングウイルスの増殖ぞうしょくおさえるプロセスはあきらかにされていないが、ボルバキアに共生きょうせいした個体こたいぐんはなち、共生きょうせいたいがネッタイシマカの集団しゅうだんないひろまっていくことで、デング熱でんぐねつ感染かんせんリスクが低下ていかすることが期待きたいされている。

すでに、オーストラリアベトナムインドネシア小規模しょうきぼ定着ていちゃく実験じっけん実施じっしされており、成功裏せいこうりわっている[36]。2021ねんからはブラジルでボルバキアに感染かんせんさせたしゅうに160まんひきずつむしするプログラムが開始かいしされている[37]

治療ちりょう

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デング熱でんぐねつたいする特別とくべつ治療ちりょうほうはなく、対症療法たいしょうりょうほうおこなわれる[2]治療ちりょう症状しょうじょうによってことなり、自宅じたく経口けいこうすい療法りょうほうおこないながら経過けいか場合ばあいから、入院にゅういんして点滴てんてき静脈じょうみゃく注射ちゅうしゃ輸血ゆけつおこな場合ばあいまで様々さまざまである[38]入院にゅういん必要ひつようかどうかの決定けってい一般いっぱんてきに、上記じょうきひょうにある「警戒けいかい兆候ちょうこう」の有無うむもとづいておこなわれ、とく既往症きおうしょうのある患者かんじゃ入院にゅういん必要ひつようになることがある[6]

通常つうじょう点滴てんてきは、1 - 2日間にちかんだけ必要ひつようとなる[38]。輸液の速度そくどは、0.5 - 1 mL/kg・hの排尿はいにょうりょう安定あんていしたバイタルサイン、さらに正常せいじょうヘマトクリットられるように調節ちょうせつされる[6]けいはな挿管筋肉きんにくない注射ちゅうしゃ、そして動脈どうみゃく穿刺せんしなどのおかせかさねてき医療いりょう処置しょちは、出血しゅっけつのリスクがあるためけられる[6]

患者かんじゃ不快ふかいかん低減ていげんのために、解熱げねつやく鎮痛ちんつうやくとして、アセトアミノフェン使用しようされる。イブプロフェンやアスピリン(アセチルサリチルさん)、ロキソニン(ロキソプロフェン)などサリチル酸さりちるさんステロイドせいこう炎症えんしょうやくは、出血しゅっけつ傾向けいこうアシドーシス助長じょちょうすることから、禁忌きんきである[38]

ヘマトクリット減少げんしょうし、不安定ふあんていなバイタルサインがられる場合ばあい、ヘモグロビン濃度のうど輸血ゆけつ開始かいしすべき所定しょていまでがるのをつことなく、早急そうきゅう輸血ゆけつ開始かいしされる[39]輸血ゆけつには、濃厚のうこう赤血球せっけっきゅうぜん奨励しょうれいされ、血小板けっしょうばん新鮮しんせん凍結とうけつ血漿けっしょうは、通常つうじょうすすめられていない[39]

回復かいふくはいると、静脈じょうみゃくない点滴てんてき水分すいぶん負荷ふか状態じょうたいけるために中止ちゅうしされる[6]水分すいぶん負荷ふかきた場合ばあい、バイタルサインが安定あんていしているのであれば、水分すいぶん補給ほきゅう中止ちゅうしするだけでよい[39]重症じゅうしょうでなければ、循環じゅんかんしている余分よぶん水分すいぶんのぞくために、フロセミドなどのループ利尿りにょうざい使用しようされることもある[39]

流行りゅうこう

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ネッタイシマカの生息域とデング熱の流行地域を示した世界地図
デング熱でんぐねつ分布ぶんぷ(2006ねん時点じてん
あか: デング熱でんぐねつ流行りゅうこう地域ちいきとネッタイシマカの生息せいそくいき
あお: ネッタイシマカの生息せいそくいきのみ

デング熱でんぐねつにかかったひとは、ほとんどの場合ばあい問題もんだいなく順調じゅんちょう回復かいふくする[27]治療ちりょうせずに死亡しぼういた割合わりあいは1 - 5%で[6]適切てきせつ治療ちりょうおこなえば、その割合わりあいは1%を下回したまわ[27]。しかし、じゅう症例しょうれいにおける死亡しぼうりつは26%におよ[6]デング熱でんぐねつは、110かこく以上いじょう風土病ふうどびょうとなっている[6]世界中せかいじゅう毎年まいとし5000まんから1おくにん感染かんせんしていて、そのうちやく50まんにん入院にゅういん[2]、およそ12,500 - 25,000にん死亡しぼうしている[7][40]

デング熱でんぐねつ節足動物せっそくどうぶつによって媒介ばいかいされるウイルスせい疾患しっかんではもっと一般いっぱんてき[15]、100まんにんたり1600障害しょうがい調整ちょうせい生命せいめいねん疾病しっぺい負荷ふか推定すいていされており、これは、結核けっかくなどのほか小児しょうにびょう熱帯ねったいびょう同等どうとうである[16]熱帯ねったいびょうのひとつであるデング熱でんぐねつは、マラリアぎ2番目ばんめ重要じゅうようされていて[6]世界せかい保健ほけん機構きこうは、デング熱でんぐねつを16あるかえりみられない病気びょうきのひとつとしている[41]

デング熱でんぐねつ発生はっせいりつは、1960ねん - 2010ねんあいだで30ばい増加ぞうかした[42]。これは、都市とし人口じんこう増加ぞうか海外かいがい旅行りょこう増加ぞうか地球ちきゅう温暖おんだん原因げんいんかんがえられる[2][43]デング熱でんぐねつ流行りゅうこうしている地域ちいき赤道あかみち付近ふきん分布ぶんぷしており、そこにんでいる人々ひとびと合計ごうけい25おくにんにのぼり、このうち7わり以上いじょうやく18おくにんがアジアと太平洋たいへいよう流行りゅうこう地域ちいきんでいる[42]流行りゅうこう地域ちいき発熱はつねつしてアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく帰国きこくしたひとのうち、デング熱でんぐねつ感染かんせんしたと診断しんだんされるひと割合わりあいは2.9 - 8.0%であり[19]、これは、おな症状しょうじょうていする帰国きこくしゃなかで、マラリア感染かんせんいで2番目ばんめおお[10]

2003ねんまでデング熱でんぐねつは、潜在せんざいてき生物せいぶつ兵器へいき分類ぶんるいされていたが、その、この分類ぶんるいからはのぞかれた。伝染でんせんさせるのはあまりにもむずかしく、出血しゅっけつねつこす割合わりあい比較的ひかくてきひくいからである[44]

おおくのアルボウイルス同様どうようにデングウイルスは、吸血きゅうけつ媒介ばいかい動物どうぶつ脊椎動物せきついどうぶつ宿主しゅくしゅまわりに自然しぜんあつまる。ウイルスは、メスのヤブカ(ネッタイシマカ以外いがいたね)から、その子孫しそん下等かとう霊長れいちょうるいへと伝播でんぱすることで、東南とうなんアジアアフリカ森林しんりんまる。ウイルスがいる農村のうそんでは、ネッタイシマカやヒトスジシマカなどそののヤブカのたねによって、ウイルスがヒトへと伝播でんぱする。都市としでは、家屋かおくひそむネッタイシマカによって、おもにウイルスがヒトへと伝播でんぱする。下等かとう霊長れいちょうるいやヒトが感染かんせんした場合ばあい伝播でんぱするデングウイルスのかず大幅おおはば増加ぞうかする。これを遺伝子いでんし増幅ぞうふく[45]。ヒトへの感染かんせんにとってもっともおおきな脅威きょういとなっているのは、都市としにおけるデングウイルスの寄生きせい感染かんせんのサイクルであり、このため、デング熱でんぐねつ感染かんせんしょうは、おもまち都市としかぎられている[46]。ここすうじゅうねんで、流行りゅうこう地域ちいきむらまち都市とし拡大かくだいし、ヒトの移動いどう増加ぞうかしたことによって、ウイルスの流行りゅうこう伝播でんぱするウイルスのかずつづけている。デング熱でんぐねつは、かつて東南とうなんアジアに限定げんていされていたが、現在げんざい中国ちゅうごく南部なんぶ太平洋たいへいようやアメリカ諸国しょこくにまでひろまっている[46]。2007ねん雨季うきにはアンコール遺跡いせき観光かんこう拠点きょてんまちシェムリアプなどでおも子供こども中心ちゅうしんとして流行りゅうこうみとめられた[47]。2007ねん10がつ台湾たいわん中華民国ちゅうかみんこく南部なんぶたい南市みなみいちにおいて511にん感染かんせん報告ほうこくされた[48]とくに2010ねんはインドネシアが79れい(うち51れいバリ島ばりとう)で、そのインド、フィリピン、タイでの感染かんせん事例じれいおお報告ほうこくされた[49]ハワイでは1940年代ねんだいにネッタイシマカが根絶こんぜつされて[50]デング熱でんぐねつも60年間ねんかん発生はっせいしていなかったが[51]、2001から2002ねんにかけて流行りゅうこうし、122にん患者かんじゃ発生はっせいした[52]。2014ねんにはフィジーにおいても発症はっしょうひろまり1まんにん以上いじょう感染かんせんし11にん死亡しぼうした[53]

デング熱でんぐねつは、さらにヨーロッパにまで脅威きょういをもたらす可能かのうせいがある[4]

日本にっぽんでの流行りゅうこう

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日本にっぽんでもだい世界せかい大戦たいせんなか南方なんぽう戦地せんちからかえられたウイルスが、日本にっぽんにも生息せいそくするヒトスジシマカによって媒介ばいかいされ、長崎ながさき佐世保させぼ広島ひろしま神戸こうべ大阪おおさかなど西日本にしにほん流行りゅうこうし20まんにん発病はつびょうしたことがある[54][55]長崎ながさきでの流行りゅうこうは、当時とうじ堀田ほったすすむらが報告ほうこくした[56]。また、堀田ほったらは、長崎ながさきデング熱でんぐねつ患者かんじゃからデングウイルスを分離ぶんりすることに成功せいこうした[57]

その、2014ねんまで日本にっぽん国内こくないでの流行りゅうこうかったが、世界せかいからの輸入ゆにゅう感染かんせんしょう海外かいがい感染かんせんしてデング熱でんぐねつ発症はっしょうする症例しょうれい)は、毎年まいとし100れい前後ぜんこう(2010ねんは245症例しょうれい報告ほうこくされている[58]。2014ねんにはやく70ねんぶりにデング熱でんぐねつ国内こくない感染かんせん確認かくにんされた[59]

歴史れきし

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デング熱でんぐねつられる症例しょうれいについて最初さいしょ記録きろくされたのは、すすむかれた医学いがく百科ひゃっか事典じてんで、デング熱でんぐねつ関連かんれんするむしについて「みずどく」と言及げんきゅうしている[60][61]。17世紀せいきに、デング熱でんぐねつ流行りゅうこうについて説明せつめいされたが、もっともな報告ほうこく最初さいしょ発表はっぴょうされたのは、1779 - 1780ねんのことである。このとき、アジア、アフリカ、北米ほくべいだい流行りゅうこうしていた[61]。それ以降いこう1940ねんまでは、流行りゅうこうはあまりられなかった[61]

1906ねんになると、デング熱でんぐねつがヤブカによって媒介ばいかいされることが確認かくにんされ、1907ねんには、黄熱病おうねつびょういで2番目ばんめはやく、ウイルスが原因げんいん疾患しっかんであると発表はっぴょうされた[62]。そのジョン・バートン・クレランド(John Burton Cleland)とジョゼフ・フランクリン・サイラー(Joseph Franklin Siler)によってさらに調査ちょうさすすめられ、デング熱でんぐねつ伝染でんせんかんする基本きほんてき理解りかい確立かくりつされた[62]

日本語にほんご文献ぶんけんでは、1922ねん大正たいしょう11ねん)に台湾たいわんぐん軍医ぐんいがまとめた『熱帯ねったい衛生えいせいなみ熱帯ねったいびょう提要ていよう』に、1915ねん大正たいしょう4ねん)5がつから10がつにかけて、台湾たいわん全土ぜんどデング熱でんぐねつ流行りゅうこうし、台湾たいわんぐんないでは、141めい罹患りかんしたことが記録きろくされている[63]

だい世界せかい大戦たいせんなか戦後せんごになると、デング熱でんぐねついちじるしくひろまり、生態せいたい混乱こんらんたしている。これとおなながれで、デング熱でんぐねつことなる血清けっせいがたあたらしい地域ちいき普及ふきゅうし、デング出血しゅっけつねつ出現しゅつげんした。1953ねんに、デング熱でんぐねつ重症じゅうしょうがたはじめてフィリピン報告ほうこくされた。1970年代ねんだいになると、デング出血しゅっけつねつ乳幼児にゅうようじ死亡しぼうりつげる要因よういんとなり、太平洋たいへいよう地域ちいきアメリカ大陸あめりかたいりくあらわれるようになった[61]。さらに1981ねんには、デング出血しゅっけつねつやデングショック症候群しょうこうぐんが、はじめて中南米ちゅうなんべい確認かくにんされたが、それはすうねんまえにはDENV-1に感染かんせんしたひとがDENV-2にも感染かんせんしたためである[14]

語源ごげん

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台湾たいわんの「天狗てんぐねつ」の用例ようれいたい南市みなみいち

「デング(dengue 英語えいご: [ˈdɛŋgi] フランス語ふらんすご: [dɛ̃g] ドイツ[ˈdɛŋge])」の語源ごげんあきらかではないが、スペイン: dengue[ˈdeŋge]きつり・こわばり)が由来ゆらいというせつや、スワヒリで「霊魂れいこんかれた状態じょうたい」を意味いみする言葉ことば由来ゆらいするというせつもある[60]デング熱でんぐねつくるしんでいた西にしインド諸島しょとう奴隷どれいたちが、ダンディな(気取きどった)姿勢しせいあるかたをしていたとわれていて、「ダンディねつ(dandy fever)」ともばれるようになった[64][65]台湾たいわんでは日本にっぽん統治とうち時代じだいから「天狗てんぐねつ」(thian-káu-jia̍t)という名称めいしょう使つかつづける[66][67]

英語えいごではデング熱でんぐねつはbreak-bone fever(ほねはげしいいたみをともな発熱はつねつ)ともばれるが、この用語ようごはじめて使つかわれたのは1789ねんのことで、医師いしだったアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく建国けんこくちちベンジャミン・ラッシュ(Benjamin Rush)が、1780ねんフィラデルフィアきた流行りゅうこう記述きじゅつした報告ほうこくしょなか使用しようした。実際じっさいには、その報告ほうこくしょなかかれは、より正式せいしき用語ようごである「胆汁たんじゅうせい寛解かんかいがた発熱はつねつ(bilious remitting fever)」のほう多用たようしている[44][68]デング熱でんぐねつという用語ようご一般いっぱんてき使つかわれるようになったのは、1828ねん以降いこうのことである[65]。そのほか、過去かこ使用しようされた用語ようごに「はげしい発熱はつねつ(breakheart fever)」や「ラ・デング(la dengue)」がある[65]重度じゅうど疾患しっかんしめ用語ようごには、「感染かんせんせい血小板けっしょうばん減少げんしょうせい紫斑しはんびょう(infectious thrombocytopenic purpura)」や「フィリピン出血しゅっけつねつ」、「タイ出血しゅっけつねつ」、「シンガポール出血しゅっけつねつ」がある[65]

予防よぼうワクチンならびに治療ちりょうやく研究けんきゅう開発かいはつ

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二人の男性が袋から魚を放流している。魚が蚊の幼虫を食べる。
媒介ばいかい動物どうぶつ駆除くじょ一環いっかんとして、グッピー(P. reticulata)の稚魚ちぎょをブラジル・ブラジリア地区ちくにあるラーゴ・ノルテ(Lago Norte)のためいけはな公衆こうしゅう衛生えいせい担当たんとうしゃ

デング熱でんぐねつ予防よぼうおよび治療ちりょうのための研究けんきゅうは、様々さまざま手段しゅだんもちいて、媒介ばいかい動物どうぶつ駆除くじょ[69]、ワクチンやこうウイルスやく開発かいはつ尽力じんりょくしている[70]

媒介ばいかい動物どうぶつ駆除くじょとして、生態せいたいすうらすためにあらたな方法ほうほうられ、なかにはグッピーPoecilia reticulata)やカイアシるい水中すいちゅうはなし、幼虫ようちゅうべさせることで、成功せいこうしているものもある[69]集団しゅうだんボルバキアぞく細菌さいきん感染かんせんさせるこころみもつづけられており、このようにしてかずらし、デングウイルスに対抗たいこうしている[8]

デングワクチン

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DENVの4しゅ血清けっせいがた存在そんざいし、すべての血清けっせいがた対応たいおうしたワクチンでいと、ことなる血清けっせいがたのウイルスに2度目どめ感染かんせんした場合ばあいに1度目どめ感染かんせんよりも重症じゅうしょうする現象げんしょう抗体こうたい依存いぞんせい感染かんせん増強ぞうきょう)が発生はっせいする[33][71]。また、デング熱でんぐねつ場合ばあい血清けっせいがたことなるとワクチンは効力こうりょくゆうしない[33]したがって4ワクチンの開発かいはつもとめられている。

2016ねんデング熱でんぐねつ一部いちぶ有効ゆうこうなワクチンがフィリピンとインドネシアで市販しはんされるようになった[72][73]。 メキシコ、ブラジル、エルサルバドル、コスタリカ、シンガポール、パラグアイ、ヨーロッパのだい部分ぶぶん、および米国べいこく使用しよう承認しょうにんされている[73][74][75]。このワクチンは、デング熱でんぐねつ過去かこ感染かんせんしたことのあるひと、または9さいまでにほとんどのひと(80%以上いじょう)が感染かんせんしている集団しゅうだんにのみ推奨すいしょうされている[76][76][77]過去かこ感染かんせんしたことのないひとには、その感染かんせん悪化あっかさせる可能かのうせいがあるというエビデンスがある[74][76][78]。このような理由りゆうから、フランスPrescrireLa Revue Prescrire)は、このワクチンは、この病気びょうき一般いっぱんてき地域ちいきであっても、だい規模きぼ予防よぼう接種せっしゅにはてきしていないとしている[79]

ワクチンはサノフィしゃによって製造せいぞうされており、デングバクシア英語えいごばん(Dengvaxia)というブランドめい販売はんばいされている[80]。このワクチンは、黄熱病おうねつびょうウイルスと4つのデング熱でんぐねつ血清けっせいがたのそれぞれの弱体じゃくたいしたわせにもとづいている[81][82]。ワクチンの研究けんきゅうでは、66%の効果こうかがあり、重症じゅうしょうした症例しょうれいの80~90%以上いじょう予防よぼうできることがわかった[77]。これは一部いちぶひとのぞんでいたものよりもひく効果こうかである[83]。インドネシアでは、推奨すいしょうされる3かい接種せっしゅやく207 USドルかかる[73]

現在げんざいのワクチンには限界げんかいがあるため、ワクチンの研究けんきゅう継続けいぞくされており、だい5の血清けっせいがたまれる可能かのうせいがある[77]懸念けねん事項じこうの1つは、ワクチンが抗体こうたい依存いぞんせい感染かんせん増強ぞうきょう(antibody-dependent enhancement; ADE)をかいして重症じゅうしょうのリスクをたかめる可能かのうせいがあることである[84]理想りそうてきなワクチンは、安全あんぜんで、1かいまたは2かい注射ちゅうしゃ効果こうかがあり、すべての血清けっせいがたをカバーし、ADEに寄与きよせず、輸送ゆそうおよび保存ほぞん容易よういであり、手頃てごろ価格かかく費用ひようたい効果こうかたかいものである[84]

2015ねん時点じてんおもなものとして以下いか開発かいはつおこなわれている。

  • キメラデング 4ワクチン(サノフィー・パスツールしゃ[85]
  • CYD-TDV
  • かつワクチン
  • 遺伝子いでんしぐみ弱毒じゃくどくせい 4デングワクチン(CYD-TDV)[86][87] : 接種せっしゅ回数かいすうは3かい接種せっしゅ間隔かんかくは6カ月かげつ皮下ひか接種せっしゅ投与とうよする[71]。ワクチン接種せっしゅ抗体こうたい陽性ようせいしゃ, またはデング熱でんぐねつ検査けんさ診断しんだんされた既往きおうのあるもののみを対象たいしょうとすべきと推奨すいしょうされている[71]。2019ねん11月、武田薬品たけだやくひんがドイツに建設けんせつちゅう工場こうじょう完成かんせいしたと報道ほうどうされた[88]感染かんせん拡大かくだいにて、2024ねん2がつ武田薬品工業たけだやくひんこうぎょうあらたにインドでデング熱でんぐねつワクチンを製造せいぞうすると発表はっぴょうした[89]

治療ちりょうやく

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ヤブカがひろまるのを制御せいぎょしたり、デング熱でんぐねつのためのワクチンを開発かいはつするこころみとはべつに、こうウイルスやく開発かいはつ努力どりょく進行しんこうちゅうで、将来しょうらいてきデング熱でんぐねつ治療ちりょう重度じゅうど合併症がっぺいしょう防止ぼうし使用しようされるだろう[90][91]。ウイルスタンパク質たんぱくしつ構造こうぞう発見はっけんしたことは、有効ゆうこうくすり開発かいはつ役立やくだ[91]有効ゆうこうおもわれるターゲットのタンパク質たんぱくしつ以下いかとおりである。だい1に、NS5遺伝子いでんしにコードされているウイルスのRNA依存いぞんせいRNAポリメラーゼ阻害そがいするためのみである。NS5は、ヌクレオシド類似るいじたいNucleoside analog)でウイルスの遺伝いでん物質ぶっしつ複製ふくせいする。だい2に、NS3遺伝子いでんしにコードされているウイルスのプロテアーゼ特異とくいてき酵素こうそ阻害そがいざい開発かいはつである。NS3は、ウイルスタンパク質たんぱくしつタンパク質たんぱくしつスプライシングする[92]最後さいごに、侵入しんにゅう阻害そがいざい開発かいはつである。これにより、ウイルスが細胞さいぼう侵入しんにゅうするのをふせいだり、ウイルス複製ふくせい必要ひつようなRNAの5'末端まったん修飾しゅうしょく阻害そがいする[90]

新薬しんやく開発かいはつのために分散ぶんさんコンピューティングもちいるWorld Community Gridでも、テキサス大学だいがく医学部いがくぶ主催しゅさいのもと2010ねんからデング熱でんぐねつ、Cがた肝炎かんえん西にしナイルねつ、およびねつ新薬しんやく開発かいはつおこなわれている[93]日本にっぽん医学いがく生物せいぶつがく研究所けんきゅうじょも、大阪大学おおさかだいがくなどと共同きょうどう完全かんぜんヒトがたこうデングウイルス抗体こうたい臨床りんしょう試験しけんけた研究けんきゅう実施じっし発表はっぴょうしている[94][95]

出典しゅってん

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  1. ^ デング熱でんぐねつ、インドでだい流行りゅうこう 外資がいし感染かんせん拡大かくだい懸念けねん 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん 2015/10/22
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参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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