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診察しんさつ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

診察しんさつ(しんさつ)とは、医師いし歯科しか医師いし患者かんじゃ病状びょうじょう判断はんだんするために、質問しつもんをしたりからだ調しらべたりすること。医療いりょう行為こういひとつである。医療いりょうけい国家こっか資格しかくしゃ以外いがいおこなうことができない[1]

診察しんさつ検査けんさ結果けっかをもとに医師いし歯科しか医師いし診断しんだんおこない、治療ちりょう方針ほうしん決定けっていする。

診察しんさつ内容ないよう

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1978ねん発刊はっかんよし利和としかず内科ないか診断しんだんがくテキストには、武内たけうちしげる五郎ごろう編集へんしゅう内科ないか診断しんだんがくとちがって、診察しんさつ定義ていぎ記述きじゅつしている項目こうもくがある。それには、臨床りんしょう検査けんさ・レントゲン検査けんさとう診察しんさつ項目こうもくはいっている。したがって、医師いしが、自分じぶん自身じしんはだか状態じょうたいゆびみみとう五感ごかんによってだけでする行為こうい診察しんさつではなく、体温計たいおんけい聴診ちょうしんしたあつ血圧けつあつけいづち音叉おんさ眼底がんていきょう検尿けんにょうテストテープ顕微鏡けんびきょうとお沈器ひとし比較的ひかくてき安価あんか診断しんだん機器きき使用しようして診察しんさつすることは、狭義きょうぎ診察しんさつ前提ぜんていとなっている。ただし、最先端さいせんたん4Dちょう音波おんぱ診断しんだん装置そうち乃至ないし、PET,MRI,MDCT(Flat Panel 274れつ CT) とったちょう高額こうがく診断しんだん機器きき使用しようしないで診察しんさつ診断しんだんすることに限定げんていすべきでもないという意見いけんおおい。診察しんさつには、下記かき内容ないようふくまれる。なお、医科いか歯科しかでは、それほど診察しんさつ仕方しかたちがうわけではなく、とも初診しょしんにおける患者かんじゃ情報じょうほう把握はあくため重要じゅうよう医療いりょう行為こういであり、保険ほけん点数てんすう算定さんてい対象たいしょうである。

医療いりょう面接めんせつ

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医療いりょう面接めんせつは、通常つうじょう診察しんさつ最初さいしょおこなわれる。医師いし歯科しか医師いしはまず患者かんじゃうったえをき、その必要ひつよう情報じょうほうをききだすために質問しつもんくわえる。

医師いし歯科しか医師いし症状しょうじょうつたえるときのポイントは「いつから、どんなきっかけで症状しょうじょう出現しゅつげんしそれはどれくらいつづいたか、どうしたら症状しょうじょうらくになるか、そのさい一緒いっしょたほかの症状しょうじょうはないか、そのどんなときにどれくらいの頻度ひんど症状しょうじょうがあり、現在げんざいまで症状しょうじょう変化へんかがあるかどうか」を正確せいかくつたえることである。服用ふくようしているくすりがあれば、かなら現物げんぶつ持参じさんする(薬局やっきょくからされる薬剤やくざい説明せつめいしょがあれば、それも有用ゆうようである)。

医療いりょう面接めんせつられた情報じょうほう以下いかのように分類ぶんるいされ記録きろくされる。

しゅ
患者かんじゃしゅたるうったえ、症状しょうじょう
げん病歴びょうれき
発症はっしょうのきっかけから現在げんざいいたるまでの経過けいか
既往きおうれき
これまでにかかったことがある病気びょうき、けが。手術しゅじゅつれき輸血ゆけつアレルギー有無うむとく大切たいせつである。
薬剤やくざいれき
現在げんざい服用ふくようちゅうくすり健康けんこう食品しょくひんなど。またこれまでに薬剤やくざい副作用ふくさようこしたことがあるかどうか。
家族かぞくれき
配偶はいぐうしゃ血縁けつえんしゃがかかったことがある病気びょうき
生活せいかつれき
喫煙きつえん飲酒いんしゅ習慣しゅうかんなど。
職業しょくぎょうれき
これまでに経験けいけんした職業しょくぎょう
渡航とこうれき
最近さいきんの(とく外国がいこくへの)旅行りょこう有無うむ。その土地とち特有とくゆう感染かんせんしょうなどをうたがうきっかけになる。
動物どうぶつ飼育しいくれき
人畜じんちく共通きょうつう感染かんせんしょうやアレルギー疾患しっかん考慮こうりょするうえで必要ひつようとなる。

身体しんたい所見しょけん

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医師いし五感ごかんもちいて患者かんじゃ異常いじょう有無うむ調しらべる方法ほうほう理学りがく所見しょけん (えい: physical examination)ともいう。Physicalを身体しんたいではく、物理ぶつりかいしたための誤訳ごやくであるとするせつもあったが、診断しんだんがく発展はってん客観きゃっかんてき所見しょけん、すなわち器具きぐもちいたり打診だしんおこなったりと「物理ぶつりてき」な所見しょけん重要じゅうようされた時期じきもあることから、間違まちがいとまではえない、とされている[2]

視診ししん

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視診ししんは、異常いじょうがないか調しらべる。診察しんさつしつはいるときのあるかた表情ひょうじょうからはじまり、体格たいかく栄養えいよう状態じょうたい皮膚ひふいろ・つや、れ、変形へんけいかわ有無うむ粘膜ねんまく状態じょうたいなどが観察かんさつされる。

聴診ちょうしん

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聴診ちょうしんは、聴診ちょうしんおといて異常いじょうがないか調しらべる。心音しんおん呼吸こきゅうおん腸管ちょうかん蠕動ぜんどうおんなどが聴取ちょうしゅされる。

触診しょくしん

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触診しょくしんは、さわって異常いじょうがないか調しらべる。手触てざわり、温度おんどかたさ、弾力だんりょくしゅこぶ有無うむあつつう有無うむなど、様々さまざま所見しょけんがとられる。

打診だしん

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打診だしんは、器具きぐでたたいて調しらべる。胸部きょうぶゆびでたたいて反響はんきょうおんたしかめたり、関節かんせつちかくをハンマーでたたいて反射はんしゃたしかめたりする。1761ねんオーストリアレオポルト・アウエンブルッガー医師いし発見はっけんした直接ちょくせつ打診だしんほうからだひょう直接ちょくせつたた方法ほうほう)と間接かんせつ打診だしんほうからだひょううえまたは打診だしんばんいて、そのうえからたた方法ほうほう)がある。また、打診だしんしたさい打診だしんおん種類しゅるい以下いかのようになる。

清音せいおん共鳴きょうめいおん
おおきいおとんだおと正常せいじょうはいかれる。
絶対ぜったいてき濁音だくおん
心臓しんぞう直接ちょくせつぜん胸壁きょうへきせっしている部分ぶぶん聴取ちょうしゅされる。
比較的ひかくてき濁音だくおん
心臓しんぞう一部いちぶはいおおわれている部分ぶぶん聴取ちょうしゅされる。
平坦へいたんおん
大腿だいたいなどで聴取ちょうしゅされる。
濁音だくおん
ちいさいおと肝臓かんぞう心臓しんぞうなどの実質じっしつ臓器ぞうきかれる。はい胸水きょうすい腹水ふくすい胸膜炎きょうまくえんこころ嚢液貯留ちょりゅうなどがかんがえられる。
おん
おおきいおと太鼓たいこさまおと腸管ちょうかんなどでかれる。空洞くうどう嚢胞のうほう気胸ききょう肺気腫はいきしゅなどがかんがえられる。
共鳴きょうめいおん共鳴きょうめい亢進こうしんおん
おん別名べつめい気胸ききょう肺気腫はいきしゅなどでかれる。
ねこおん
心臓しんぞう弁膜べんまくしょう聴取ちょうしゅされる。
コマおん
けい静脈じょうみゃく聴取ちょうしゅされる静脈じょうみゃくおん甲状腺こうじょうせん機能きのう亢進こうしんしょうバセドウびょう)、てつ欠乏けつぼうせい貧血ひんけつなどのたか貧血ひんけつなどで聴取ちょうしゅされる。

その

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専門せんもんによっては眼底がんてい検査けんさ内診ないしん神経しんけいがくてき所見しょけんなど特殊とくしゅ診察しんさつおこなわれる。

東洋とうよう医学いがく診察しんさつよん

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よんとはもち、聞診、問診もんしんきりから東洋とうよう医学いがく独特どくとく診察しんさつ方法ほうほうである。現在げんざいでは経絡けいらく治療ちりょうをおこなう鍼灸しんきゅうはりきゅう)が使つか診察しんさつほう

  • もちとは体型たいけい皮膚ひふいろ光沢こうたくとう診察しんさつする方法ほうほうしたもちふくまれる)
  • 聞診とはこえ状態じょうたい体臭たいしゅういで診察しんさつする方法ほうほう
  • 問診もんしんとは病理びょうり関連かんれんしたやまいしょううて診察しんさつする方法ほうほう
  • せつとは患者かんじゃれて診察しんさつする方法ほうほうみゃくはら経絡けいらく触診しょくしん、察診)

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ D1-Law.com判例はんれい体系たいけい 文書ぶんしょ番号ばんごう28166751 東京とうきょう地裁ちさい平成へいせいねんとくわ)1602ごうによればあんマッサージ指圧しあつもその正当せいとう業務ぎょうむ範囲はんいないでは問診もんしん触診しょくしんなどの診察しんさつ行為こうい可能かのうである。
  2. ^ 西嶋にしじまたすく太郎たろう医学いがく用語ようごかんがかた, 使つかかた中外ちゅうがい医学いがくしゃ東京とうきょう、2022ねん5がつ、118ぺーじISBN 978-4-498-14822-2OCLC 1335744017https://www.worldcat.org/oclc/1335744017 

外部がいぶリンク

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