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細菌性髄膜炎 - Wikipedia コンテンツにスキップ

細菌さいきんせいずいまくえん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

細菌さいきんせいずいまくえん(さいきんせいずいまくえん、えい: Bacterial meningitis)は、細菌さいきん感染かんせんによってこる中枢ちゅうすう神経しんけいけい感染かんせんしょう別名べつめいとして、化膿かのうせいずいまくえん(かのうせいずいまくえん、えい: Septic meningitis)ともばれる。通常つうじょう結核けっかくせいずいまくえんはこの細菌さいきんせいずいまくえんふくめない。

神経しんけい感染かんせんしょう総論そうろん

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発熱はつねつ原因げんいん中枢ちゅうすう神経しんけいうたがわれるとき、ずいえき検査けんさおこな細胞さいぼうすう増加ぞうかがあれば神経しんけい感染かんせんしょうかんがえる。神経しんけい感染かんせんしょうでは感染かんせん部位ぶいによって名称めいしょう症状しょうじょうことなる。

名称めいしょう 英語えいごめい 症状しょうじょう
脳炎のうえん encephalitis 頭痛ずつう発熱はつねつ痙攣けいれん意識いしき障害しょうがい神経しんけい局所きょくしょ症状しょうじょう
ずいまくえん meningitis 頭痛ずつう発熱はつねつ嘔吐おうと
ずいまく脳炎のうえん meningoencephalitis 脳炎のうえん症状しょうじょうずいまくえん症状しょうじょう
かたまくえん pachymeningitis 頭痛ずつう発熱はつねつ脳神経のうしんけい症状しょうじょう
脊髄せきずいえん myelitis 発熱はつねつたい麻痺まひ膀胱ぼうこう直腸ちょくちょう障害しょうがい

病態びょうたい

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ずいまくえん(meningitis)とは、くもまく、軟膜およびその両者りょうしゃかこまれたくもまく腔の炎症えんしょうしめす。ずいまくえん持続じぞくする頭痛ずつう発熱はつねつおもしるしとし、ずいまく刺激しげき症候しょうこうみとめ、ずいえき細胞さいぼう増加ぞうかしめす。炎症えんしょうがくもまく腔からのう実質じっしつおよぶと意識いしき障害しょうがい痙攣けいれんといった神経症しんけいしょうじょうこし、ずいまく脳炎のうえん(meningoencephalitis)にいたる。細菌さいきんせいずいまくえん日本にっぽんにおける年間ねんかん発生はっせいりつ年間ねんかんやく1500にんでありその75%ほどは小児しょうにであり25%が成人せいじんである。ほんしょう病態びょうたい細菌さいきん直接ちょくせつ浸潤しんじゅんだけではなくサイトカイン・ケモカイン・酸化さんか窒素ちっそなどのカスケードによる炎症えんしょう過程かてい亢進こうしんおおきく関与かんよする。

感染かんせん経路けいろ中耳炎ちゅうじえんふく鼻腔びこうえんなどの直接ちょくせつ波及はきゅう肺炎はいえんしんないまくえんなどからのきんしょうによる血行けっこうせい波及はきゅう。あるいは頭部とうぶ外傷がいしょう脳外科のうげか手術しゅじゅつなどが原因げんいんとなる。

ずいまくえんおこりえんきんとして代表だいひょうれいであるインフルエンザきんずいまくえんきん肺炎はいえん球菌きゅうきん代表だいひょうてき病態びょうたいしめす。初期しょきには病原びょうげんたいはなのど腔に付着ふちゃくしコロニーを形成けいせいする。そこから粘膜ねんまく上皮じょうひ障害しょうがいけつりゅうにはいる。血液けつえきなかのこった細菌さいきんがわのうしつ脈絡みゃくらくくさむらとおってずいえき腔に侵入しんにゅうし、べつ部位ぶいでは血液けつえきのう関門かんもん透過とうかせいえて侵入しんにゅうする。おこりえんきんずいえき侵入しんにゅうするとくもまく腔はたい免疫めんえきグロブリン、こうちゅうだまいずれも不十分ふじゅうぶんであるためにきん急速きゅうそく増加ぞうかする。きんたい破壊はかいされるとLPSなどきんたい成分せいぶんによって炎症えんしょうせいサイトカインが産出さんしゅつされる。とくにTNFが細菌さいきんせいずいまくえんでは重要じゅうようとされている。炎症えんしょう結果けっか血管けっかんえんこりのう梗塞こうそくいたることもある。

症状しょうじょう

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典型てんけいてき症状しょうじょう発熱はつねつ頭痛ずつう嘔吐おうと、羞明、こう硬直こうちょくかたぶけねむり錯乱さくらん昏睡こんすいである。発熱はつねつこう硬直こうちょく意識いしき障害しょうがいずいまくえんの3ちょうというがこれら3ちょうすべそろうのはずいまくえん患者かんじゃの2/3以下いかである。しばしば上気じょうきどう感染かんせんなどがずいまくえん症状しょうじょう先行せんこうしていることがある。細菌さいきんせいずいまくえん経過けいか急激きゅうげき発症はっしょうすることがおおいが高齢こうれいしゃのリステリアずいまくえんでは急性きゅうせい経過けいか発症はっしょうし、ずいまくえんきんせいずいまくえんでは電撃でんげきてき経過けいかしめし、ちょう急性きゅうせいてき発症はっしょうすることもある。

古典こてんてきには1962ねんのcarpenterとpetersdorfによる論文ろんぶんがよくられている。この報告ほうこくでは209れい細菌さいきんせいずいまくえん検討けんとうしている。そのうち63れい肺炎はいえん球菌きゅうきんによるもの、53れいずいまくえんきんによるもの、35れいがインフルエンザきんによるもので58れいがそのきんであった。細菌さいきんせいずいまくえんは3つのことなるパターンにけられる。だいいちぐん全体ぜんたいの25%であり24時間じかん以内いない入院にゅういん必要ひつようとするような頭痛ずつう錯乱さくらんかたぶけねむり意識いしき障害しょうがいなど急性きゅうせい発症はっしょうていした。だいぐん入院にゅういんまえの1〜7にちにわたってずいまくえん症状しょうじょう緩徐かんじょ進行しんこうした。だいぐん患者かんじゃおおくは上気じょうきどう症状しょうじょうともなっていた。だいさんぐん最初さいしょずいまくえん症状しょうじょう出現しゅつげんするまえ呼吸こきゅう感染かんせんが1〜3週間しゅうかんつづいていた。

1980年代ねんだい報告ほうこくでは細菌さいきんせいずいまくまくえん患者かんじゃおおくの場合ばあい来院らいいん意識いしき障害しょうがいとなっている。50〜70%が錯乱さくらんかたぶけねむり状態じょうたいであるともいわれている。

検査けんさ

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頭痛ずつう(Jolt accentuation)

自覚じかくてきずいまく刺激しげき症状しょうじょうではもっともはやく出現しゅつげんする。Jolt accentuationという所見しょけん有名ゆうめいである。これは1秒間びょうかんに2〜3かいはやさで頭部とうぶ水平すいへい方向ほうこう回旋かいせんさせたとき頭痛ずつう増悪ぞうあくみとめられる現象げんしょうである。ずいまくえん診断しんだんでは感度かんど97%であり特異とくいは60%である。

ずいまく刺激しげき徴候ちょうこう

ずいまく刺激しげき徴候ちょうこうではこう硬直こうちょくケルニッヒ徴候ちょうこうブルジンスキー徴候ちょうこうラセーグ徴候ちょうこうなどがられている。 こう硬直こうちょく患者かんじゃ仰臥ぎょうがにしてまくらをはずしてけんしゃ後頭部こうとうぶにあてしずかに頭部とうぶあごぜん胸部きょうぶにつけるようにまえくっする。こう硬直こうちょくがあるときはそのうごきとともに抵抗ていこうがみられ、ぜんこごめ制限せいげんされこういたみがはしる。頸部をまえくっさせるときに抵抗ていこういたみがあり十分じゅうぶんまえこごめができない、すなわち胸部きょうぶあごがつかないとき陽性ようせいとする。こう硬直こうちょくずいまくえんのほか、くもまく出血しゅっけつ小脳しょうのうひらたももヘルニアをこしかけているのうあつ亢進こうしん状態じょうたい、テント空間くうかん占拠せんきょ病変びょうへん小脳しょうのう血腫けっしゅ腫瘍しゅよう)、がんせいあるいは白血病はっけつびょうずいまく浸潤しんじゅん悪性あくせい症候群しょうこうぐんなどでもみとめられる。高齢こうれいしゃではしばしばこう硬直こうちょく間違まちがえやすい頸部の異常いじょうがある。高齢こうれいしゃではくび他動的たどうてきうごかしたとき抵抗ていこうずいまくえんこう硬直こうちょく頚椎けいついしょう、パーキンソン症候群しょうこうぐん抵抗ていこうしょう(gegenhalten)といったすじ緊張きんちょう異常いじょうみとめられる。ずいまくえんこう硬直こうちょくでは頸部の屈曲くっきょくでは抵抗ていこうがあるが左右さゆうへの受動じゅどうてき回旋かいせんではズムーズである。ケルニッヒ徴候ちょうこう患者かんじゃ仰臥ぎょうがにしていちがわ下肢かし股関節こかんせつおよびひざ関節かんせつで90屈曲くっきょくさせついで下腿かたい動的どうてき進展しんてんさせると下腿かたいげてもひざ屈曲くっきょく下腿かたいを135以上いじょう進展しんてんできない場合ばあい陽性ようせいとする。原点げんてんではおこなっている。こしせんずいずいまく炎症えんしょうおよんだときみとめられる徴候ちょうこうである。ブルジンスキー徴候ちょうこう仰臥ぎょうが患者かんじゃあたま動的どうてき屈曲くっきょくさせるといちがわ、あるいは両側りょうがわ下肢かし股関節こかんせつひざ関節かんせつ屈曲くっきょくするものを陽性ようせいとする。ラセーグ徴候ちょうこう通常つうじょう坐骨ざこつ神経痛しんけいつうなどの試験しけんであるがずいまくえんのときは両側りょうがわせい出現しゅつげんする。こう硬直こうちょく感度かんど30%、特異とくい68%である。ケルニッヒ徴候ちょうこう、ブルジンスキー徴候ちょうこうでは感度かんど5%、特異とくい95%であった。細胞さいぼうすう1000/μみゅーl以上いじょう高度こうどずいまくえんのみで検討けんとうするとこう硬直こうちょく感度かんどおよび陰性いんせい的中てきちゅうは100%であった。

かわ

ずいまくえんきん肺炎はいえん球菌きゅうきんブドウ球菌きゅうきんなどのずいまくえんみとめられる。ずいまくえんきん広汎こうはんせいむらじょうおか疹が有名ゆうめいである。

脳神経のうしんけい麻痺まひ神経しんけい局所きょくしょ症状しょうじょう

もっとおお神経しんけい局所きょくしょ徴候ちょうこうかた麻痺まひ注視ちゅうし障害しょうがい脳神経のうしんけい障害しょうがいである。かた麻痺まひのう梗塞こうそくのう浮腫ふしゅかたまく膿瘍のうよう部分ぶぶん痙攣けいれんのトッド麻痺まひのいずれかのためである。

意識いしき精神せいしん状態じょうたい

興奮こうふん、せんもうなどの意識いしき障害しょうがいから昏睡こんすいいたるまで様々さまざま程度ていど意識いしき障害しょうがいがみられる。のう浮腫ふしゅ頭蓋とうがいないあつ亢進こうしん意識いしき障害しょうがいしゅ原因げんいんである。

痙攣けいれん

やく20〜40%でみとめられる。とく肺炎はいえん球菌きゅうきんせいずいまくえんおおい。入院にゅういんして24時間じかん以内いないおおい。原因げんいんとしては以下いかの6つの単独たんどくないしわせでこるとされている。それは発熱はつねつ局所きょくしょ動脈どうみゃくきょあるいは梗塞こうそく出血しゅっけつともな皮質ひしつ静脈じょうみゃく血栓けっせんていナトリウムしょう容積ようせき効果こうかともなかたまく漏出ろうしゅつえき抗生こうせい物質ぶっしつである。

皮膚ひふ痛覚つうかく閾値の低下ていか

かるさわっただけでもいたみとしてかんじることがある。

血液けつえき検査けんさ

一般いっぱんてき細菌さいきん感染かんせんしょう敗血症はいけつしょう同様どうよう白血球はっけっきゅうぞうかくひだりかた移動いどう赤沈せきちん亢進こうしん蛋白たんぱくぶんでの急性きゅうせい炎症えんしょうパターン、CRPの上昇じょうしょうなどがみとめられる。ずいえき培養ばいようほかに、血液けつえき培養ばいよう(50%の患者かんじゃ検出けんしゅつされる)もかならおこなう。

頭部とうぶCT

腰椎ようつい穿刺せんしによるずいえき採取さいしゅおこなまえに、頭蓋とうがいないあつ亢進こうしんのうヘルニアの除外じょがい診断しんだんのため頭部とうぶCTを撮影さつえいすることもすすめられている。[1]もしのうあつ亢進こうしんしていることが予想よそうされた場合ばあい腰椎ようつい穿刺せんしでは22ゲージのはり使つかい、1g/kgのマニトールを注射ちゅうしゃし30ふん〜60ふん以内いない実施じっしするべきとされている。ヘルニアがうたがわれるときはずいえきは3〜5ml以内いない摂取せっしゅにとどめるべきである。

ずいえき検査けんさ

ずいえきはつあつ細胞さいぼうすうぶんずいえきとう/血液けつえきとうずいえき蛋白たんぱくりょう、グラム染色せんしょく細菌さいきん培養ばいようおこなわれる。ずいえきとう/血液けつえきとうは0.6以下いか異常いじょうであり0.4以下いか細菌さいきんせいずいまくえんつようたが

えきあつ 外観がいかん 線維素せんいそ析出せきしゅつ 細胞さいぼうすう おも細胞さいぼう 蛋白質たんぱくしつ とう 塩素えんそ トリプトファン反応はんのう
基準きじゅん 70〜180mmH2O 無色むしょく透明とうめい なし 5/mm3以下いか たんかくだま 15〜45mg/dl 50〜80mg/dl 118〜130mEq/l なし
ウイルスせいずいまくえん 無色むしょく透明とうめい なし ↑〜↑↑ たんかくだま ± ± なし
結核けっかくせいずいまくえん ↑↑ 無色むしょく透明とうめい日光にっこう微塵みじん +(くもまくさま ↑↑↑(200〜500) たんかくだま ↑↑ ↓↓ ↓↓ ++
細菌さいきんせいずいまくえん ↑↑↑ まくさま混濁こんだく +++(まくさまかたまり ↑↑↑(1000以上いじょう かたちかくだま ↑↑ ↓↓ ↓↓ ++

細菌さいきんせいずいまくえんずいえき検査けんさ特徴とくちょう以下いかのようにまとめることができる。それははつあつ上昇じょうしょう多核たかく白血球はっけっきゅう増加ぞうかずいえきグルコースりょう低下ていかずいえき蛋白たんぱく増加ぞうかである。ずいえき白血球はっけっきゅうすう通常つうじょう100/μみゅーl以上いじょうであり典型てんけいてきには1000/μみゅーl以上いじょうちょあかり増加ぞうかする。抗菌こうきんやく開始かいし18〜36あいだにはずいえきちゅう白血球はっけっきゅうがさらに増加ぞうかすることがある。典型てんけいてきには細菌さいきんせいずいまくえんでは多核たかくだま優位ゆういでウイルスせいずいまくえんではたんかくだま優位ゆういであるが、初期しょきには細菌さいきんせいずいまくえんでもリンパだま優位ゆういであったり、エンテロウイルスずいまくえんでは初期しょきには多核たかくだま優位ゆうい経過けいか後半こうはんにリンパだま移行いこうするものもある。ウイルスせいずいまくえんずいえき検査けんさ最初さいしょ多核たかくだま優位ゆういのときには6〜8あいだ腰椎ようつい穿刺せんしたんかくだま優位ゆういになり診断しんだん可能かのうという報告ほうこくもあるが、エコーウイルスずいまくえんでは数時間すうじかん程度ていどのち腰椎ようつい穿刺せんししても多核たかくだま優位ゆういからたんかくだま優位ゆうい移行いこうしないという報告ほうこくもある。いずれにせよウイルスせいずいまくえんでは経過けいか後半こうはんではたんかくだま優位ゆういとなる。多核たかく白血球はっけっきゅう優位ゆういずいえき細胞さいぼうぞう所見しょけんたときは、経験けいけんてき抗菌こうきんやく投与とうよ開始かいしして、ずいえき培養ばいよう陰性いんせいになるまでつづけるべきである。無菌むきんせいずいまくえんうたがっているが2かいめのずいえき検査けんさたんかくだま優位ゆういへの移行いこうがみられないことがある この場合ばあい抗菌こうきんやく継続けいぞくするかは臨床りんしょう経過けいかとグラム染色せんしょく培養ばいよう結果けっか次第しだいである。ずいえき細胞さいぼうすうが1000/μみゅーl以下いかとき細菌さいきんせいずいまくえん、あるいはリステリアきんによる細菌さいきんせいずいまくえんずいえきのリンパだま増加ぞうか報告ほうこくされている。リンパだまぞうはリステリアきんせいずいまくえん症例しょうれいやく25%で報告ほうこくされている。

まれなれいではずいえき白血球はっけっきゅう増加ぞうかがみられない細菌さいきんせいずいまくえん報告ほうこくもある。未熟みじゅくや4しゅうまえ乳児にゅうじのほかアルコール中毒ちゅうどく高齢こうれい免疫めんえき抑制よくせいざい使用しよう報告ほうこくがある。ずいえきとう低下ていかずいえき蛋白たんぱく増加ぞうかずいえき培養ばいよう陽性ようせいによって診断しんだんされている。ずいまくえん罹患りかんしていないきんしょう小児しょうに施行しこうされた外傷がいしょうせい腰椎ようつい穿刺せんしずいえき生化学せいかがく白血球はっけっきゅうすう正常せいじょうでありながら、きんしょう血液けつえき汚染おせん結果けっか細菌さいきん培養ばいよう陽性ようせいとなり細菌さいきんせいずいまくえん診断しんだんされることがあり注意ちゅうい必要ひつようである。とく新生児しんせいじ乳児にゅうじ敗血症はいけつしょう原因げんいん細菌さいきんせいずいまくえんおおいため注意ちゅうい必要ひつようである。新生児しんせいじ敗血症はいけつしょうじつに20〜30%は細菌さいきんせいずいまくえん合併がっぺいしている。

ずいえき特殊とくしゅ検査けんさ

ずいえきCRP、ずいえき乳酸にゅうさんずいえきTNF-αあるふぁずいえきプロカルシトニンは無菌むきんせいずいまくえんとの鑑別かんべつ有用ゆうようかんがえられている。

グラム染色せんしょく

肺炎はいえん球菌きゅうきんはグラム陽性ようせい双球菌そうきゅうきんであるが自己じこ融解ゆうかいするとグラム陰性いんせい染色せんしょくされることがある。ずいまくえんきんはグラム陰性いんせい球菌きゅうきん特徴とくちょうてきである。

特徴とくちょうあるおこりえんきん

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肺炎はいえん球菌きゅうきんせいずいまくえん

上気じょうきどう感染かんせん症状しょうじょうのちずいまくえん症状しょうじょう出現しゅつげんする場合ばあいおおい。みずあたましょう動脈どうみゃくせい静脈じょうみゃくせい血管けっかん障害しょうがい合併がっぺいなどがおおい。

リステリアずいまくえん

高齢こうれいしゃのリステリアずいまくえん急性きゅうせい経過けいか発症はっしょうすることがおおい。ほとんどの症例しょうれい意識いしき障害しょうがいともなゆうつうせい疾患しっかんとして発症はっしょうする。リステリアずいまくえんでは感染かんせん早期そうき痙攣けいれん局所きょくしょ神経症しんけいしょうじょう併発へいはつする頻度ひんどたかい。またリステリアきんによるずいまくえんではのう脊髄せきずいえきがリンパだま優位ゆういしめすこともある。リンパだま優位ゆういずいえき細胞さいぼうすう増加ぞうかずいえきとう低下ていかはリステリアずいまくえん結核けっかくせいずいまくえんきんせいずいまくえんみとめられる。リステリアきんによるずいまくえん頻度ひんどは60さい以上いじょうで5〜6.7%である。またグラム染色せんしょくでの検出けんしゅつりつひくい。だい3世代せだいのセフェムけい無効むこうであり抗菌こうきんやく選択せんたく注意ちゅうい必要ひつようである。

ずいまくえんきんせいずいまくえん

ずいまくえんきんせいずいまくえん世界せかいてき分布ぶんぷし、流行りゅうこう地域ちいきごとにきんのタイプ(血清けっせいがた)はことなる。世界せかい全体ぜんたいとしては毎年まいとし30まんにん患者かんじゃ発生はっせいし、3まんにん死亡しぼうれいている。流行りゅうこう多発たはつ地帯ちたいは、アフリカ中央ちゅうおう西にしセネガルからひがしエチオピアまでの地域ちいき該当がいとうし、当該とうがい地域ちいきは「ずいまくえんベルト」ともわれている。おも乾期かんき(12〜6がつ)のサバンナ地帯ちたいおおくの発症はっしょう報告ほうこくされる。欧米おうべい先進せんしんこくでもとき局地きょくちてき流行りゅうこうがある。世界せかいでは健常けんじょうしゃはな咽頭いんとうじょう5~20%の保菌ほきんじょうきょうたいし、日本にっぽんではやく0.4%程度ていどとされる[2]保菌ほきんりつがった理由りゆう不明ふめいであるものの、一般いっぱんてき衛生えいせい状態じょうたいがよくなったこと、また長年ながねん国内こくない抗菌こうきんやく濫用らんようされてきたことと関係かんけいしているとわれる。[3]。なお、アジアは抗生こうせい物質ぶっしつ処方しょほうりつ非常ひじょうたかく、抗生こうせい物質ぶっしつ乱用らんよう問題もんだい深刻しんこく報告ほうこくされている[4]。なおずいまくえんきん定着ていちゃくしているりつは、経済けいざいてき困窮こんきゅうしゃ様々さまざま地域ちいきからあつまったひとたちのあいだたかいと指摘してきされている[5]

ずいまくえんきんせいずいまくえん発症はっしょう急激きゅうげきなこと、かわともないやすいこと、ウォーターハウス・フリードリヒセン症候群しょうこうぐんというげきしょうがたずいまくえんきんせいずいまくえんDICふく腎不全じんふぜんともなう)などもられる。感染かんせんふせぐためにずいまくえんきんせいずいまくえん予防よぼうリファンピシンもちいることがある。

インフルエンザ桿菌かんきんずいまくえん

成人せいじんでは中耳炎ちゅうじえんふく鼻腔びこうえんちちさま突起とっきえんなどはたずいまく感染かんせんしょう咽頭いんとうえん肺炎はいえんずいえき漏出ろうしゅつひとしもなう頭部とうぶ外傷がいしょう免疫めんえき不全ふぜんなどの存在そんざい示唆しさされる。小児しょうにれいでもワクチンが普及ふきゅうしている欧米おうべいくらべて発生はっせいりつたかく、抗菌こうきんやくたいせいもすすんでいる。日本にっぽんではBLNARとよばれるざいたいせいのインフルエンザきん蔓延まんえんしている。ペニシリン結合けつごうタンパク(PBP)が変化へんかしているためβべーたラクタマーゼたんざい治療ちりょう困難こんなんである。カルバペネムけいとセフォタキシムの併用へいよう療法りょうほうなどで治療ちりょうされている。

シャント感染かんせん

シャント感染かんせんでは頭痛ずつう、嘔気、意識いしき障害しょうがいみとめられるがしばしば発熱はつねつみとめられない。

おこりえんきん

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細菌さいきんせいずいまくえん年齢ねんれい全身ぜんしん状態じょうたいによっておこりえんきんことなることで有名ゆうめいである。

年齢ねんれい おこりえんきん
3かげつまで Bぐん溶連菌ようれんきん大腸菌だいちょうきんリステリアきんブドウ球菌きゅうきんみどりうみきん(グラム陰性いんせい桿菌かんきんおおい)
3かげつ以上いじょう6さい未満みまん インフルエンザ桿菌かんきん(Hibがおおい)、肺炎はいえん球菌きゅうきん
6さい以上いじょうから成人せいじん 肺炎はいえん球菌きゅうきんずいまくえんきん、インフルエンザ桿菌かんきん
65さい以上いじょう 肺炎はいえん球菌きゅうきんずいまくえんきんリステリアきん
全身ぜんしん状態じょうたい不良ふりょう免疫めんえき抑制よくせい 黄色おうしょくブドウ球菌きゅうきん、グラム陰性いんせいきん、リステリアきん
3ヶ月かげつまで

この時期じきみとめられる細菌さいきんせいずいまくえん出生しゅっしょう垂直すいちょくせい感染かんせんやそれを遠因えんいんとするものがおおい。具体ぐたいてきにはGBSや大腸菌だいちょうきんである。

6さいまで

免疫めんえきがくてき未熟みじゅく時期じきかんがえられる。細菌さいきんせいずいまくえん発生はっせいりつもっとたか年齢ねんれいそうである。この時期じき肺炎はいえん球菌きゅうきんやインフルエンザ桿菌かんきん(とくにHib)がおおい。乳児にゅうじ小児しょうに全体ぜんたい原因げんいんきんとしてもっとおおいのがbがたインフルエンザきん(Hib)、ずいまくえんきん肺炎はいえん球菌きゅうきんである。日本にっぽんでは相対そうたいてき欧米おうべいよりもずいまくえんきんによるずいまくえんすくない傾向けいこうがある。

成人せいじん

6さいぎると免疫めんえきがくてき成人せいじん同様どうようちかくなる。この時期じき細菌さいきんせいずいまくえんまれである。おこりえんきんの80%は肺炎はいえん球菌きゅうきんである。インフルエンザ桿菌かんきん激減げきげんし、ずいまくえんきん連鎖れんさ球菌きゅうきん散見さんけんされる。発症はっしょうれい半数はんすう慢性まんせい疾患しっかんゆうしている。ペニシリンたいせい肺炎はいえん球菌きゅうきん一部いちぶだいさん世代せだいセファロスポリンにもたいせいしめすためバンコマイシン併用へいようする。またセファロスポリンはリステリアきん無効むこうであり、リステリアきん考慮こうりょする場合ばあいアンピシリン追加ついかする。

65さい以上いじょう

感染かんせん防御ぼうぎょふたた低下ていかする。大腸菌だいちょうきんクレブシエラきんなどのちょうない細菌さいきんによるものなどもみとめられる。高齢こうれいしゃでは慢性まんせいふく鼻腔びこうえん中耳炎ちゅうじえん慢性まんせいはい疾患しっかんしん疾患しっかん慢性まんせい尿にょう感染かんせん慢性まんせい消耗しょうもうせい状態じょうたいアルコール依存いぞんしょう糖尿とうにょうびょう血液けつえき疾患しっかん悪性あくせい腫瘍しゅようなど)のような促進そくしん因子いんしが50%で存在そんざいする。死亡しぼうりつ若年じゃくねん成人せいじんよりもたかい。60さい以上いじょう肺炎はいえん球菌きゅうきん患者かんじゃ死亡しぼうりつは30〜40%である。

治療ちりょう

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抗菌こうきんやくによる強力きょうりょく治療ちりょう必要ひつようである。通常つうじょう感染かんせんしょうよりも大量たいりょう抗生こうせい物質ぶっしつ使用しようする(βべーたラクタムけい抗生こうせい物質ぶっしつもちいる場合ばあい常用じょうようりょうの2ばい程度ていどもちいる)必要ひつようがある。

先述せんじゅつしたとおり、治療ちりょう開始かいし翌日よくじつ再度さいど腰椎ようつい穿刺せんしおこない、培養ばいよう陰性いんせいであることを確認かくにんする必要ひつようがある (Second tap)。Second tapの培養ばいよう陽性ようせいとなった場合ばあいには、薬剤やくざい感受性かんじゅせいなどをもと抗菌こうきんやく増量ぞうりょうまたは変更へんこう追加ついか必要ひつようとする。患者かんじゃ小児しょうにである場合ばあい難聴なんちょう合併がっぺい予防よぼうするため、デキサメサゾン合成ごうせいステロイド)を2日間にちかん併用へいようすることがおおい。しかしデキサメサゾンの有効ゆうこうせいについてエビデンス(科学かがくてき根拠こんきょ)があるのは、インフルエンザ桿菌かんきんbがたによる細菌さいきんせいずいまくえん場合ばあいのみである。のう浮腫ふしゅおさえ、りゅう改善かいぜんするために糖類とうるいマンニトールグリセリン)の投与とうよおこなう。

成人せいじんのempiric therapy

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市中しちゅう発生はっせいではすうねんまえまではアンピシリン(ビクシリン)とセフトリアキソン(ロセフィン)であったがたいせいきん増加ぞうかともなカルバペネムけいもちいられる傾向けいこうがある。この場合ばあいはカルバペネムけいたんざい療法りょうほうとなる。

パニペネム・ベタミプロン(カルベニン):1かい1g、1にち4かい合計ごうけい4g/day(保険ほけん適用てきようは2g/dayまで)
メロペネム(メロペン):1かい2g、1にち3かい合計ごうけい6g/day
院内いんない発生はっせい免疫めんえき抑制よくせい(50さい以上いじょうやアルコール依存いぞんしゃ)ではMRSAやリステリアもカバーするため以下いかの3ざい併用へいようとすることがある。なおセフトリアキソン(ロセフィン)はセファチキシム(クラフォラン)1かい2g、1にち4かい合計ごうけい8g/day(保険ほけん適応てきおうは4g/dayまで)に変更へんこう可能かのうである。
セフトリアキソン(ロセフィン):1かい2g、1にち2かい合計ごうけい4g/day(保険ほけん適応てきおうは4g/dayまで)
バンコマイシン(バンコマイシン):1かい0.5g、1にち4かい合計ごうけい2g/day(保険ほけん適応てきおうは2g/dayまで)
アンピシリン(ビクシリン):1かい2g、1にち6かい合計ごうけい12g/day(保険ほけん適応てきおうは4g/dayまで)
またみどりうみきんによる細菌さいきんせいずいまくえんたいしてはセフタジジム(モダシン)やセフェピム(マキシピーム)をもちいることがある。
セフタジジム(モダシン):1かい2g、1にち3かい合計ごうけい6g/day
セフェピム(マキシピーム):1かい2g、1にち3かい合計ごうけい6g/day
また抗生こうせい物質ぶっしつ投与とうよまえ10〜20ふんまたは同時どうじ投与とうよでデキサメタゾンを投与とうよすることがガイドラインでは推奨すいしょうされている。
デキサメサゾン(デカドロン):0.15mg/Kgで1にち6あいだごと (36mg/60Kg/day) を2〜4にち投与とうよ
治療ちりょう中止ちゅうしはガイドラインじょうずいえき所見しょけん正常せいじょうさらに1週間しゅうかん投与とうよをしたら終了しゅうりょうとされている。ずいえき細胞さいぼう50/mm3以下いか血清けっせいCRP正常せいじょう投与とうよ中止ちゅうししても再燃さいねんしないという報告ほうこくもある。再発さいはつ予防よぼうとしては原因げんいんとなった疾患しっかん中耳炎ちゅうじえんふく鼻腔びこうえん脊椎せきついかたまく膿瘍のうようのうしつシャント、カテーテル、手術しゅじゅつそう)などを可能かのうなかぎり治療ちりょう除去じょきょするといったことである。
微生物びせいぶつ 治療ちりょうやく 標準ひょうじゅんてき治療ちりょう期間きかん
streptococcus agalactiae アンピシリンまたはペニシリンG 14〜21日間にちかん
E.coli セフトリアキソン(またはセフォタキシム) 21日間にちかん
Listeria monocytogenes アンピシリン、STごうざい 21日間にちかん以上いじょう
Klebsiella pneumoniae セフトリアキソン(またはセフォタキシム) 21日間にちかん
streptococcus agalactiae アンピシリンまたはペニシリンG 14〜21日間にちかん
Haemophilus influenzae type b セフトリアキソン(またはセフォタキシム) 7日間にちかん
streptococcus pneumoniae バンコマイシン+セフトリアキソン 10〜14日間にちかん
Neisseria meningitidis セフトリアキソン 7日間にちかん

内科ないかでしばしば遭遇そうぐうする細菌さいきんせいずいまくえんうたがいの初期しょき治療ちりょう成人せいじん60さい体重たいじゅう50Kg以上いじょうじん機能きのう正常せいじょう場合ばあいは、デキサメタゾン9.9g(0.15mg/kg)を6あいだごとで4日間にちかん、セフトリアキソン2gを12あいだごと、バンコマイシン500mgを6あいだごと、アンピシリン2gを4あいだごと、アシクロビル500mg(10mg/kg)を8あいだごと投与とうよとなる。

副腎ふくじんステロイド

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一言ひとことでいうとサイトカインストーム抑制よくせいする。TNF-αあるふぁ、IL-1、PAFといった炎症えんしょうせいメディエーターの産出さんしゅつ抑制よくせいし、結果けっかとしてのう浮腫ふしゅ減少げんしょうし、誘導ゆうどうされうる酸化さんか窒素ちっそ産出さんしゅつ抑制よくせいする。最終さいしゅうてきには神経しんけい障害しょうがい転帰てんき不能ふのう改善かいぜんさせる可能かのうせいがある。しかし、じゅうあつし敗血症はいけつしょう基盤きばん発症はっしょうしてきているずいまくえん、すでに抗菌こうきんやく開始かいししている症例しょうれい適切てきせつ抗菌こうきんやく投与とうよされていない細菌さいきんせいずいまくえんでは投与とうよけるべきである。

再発さいはつ予防よぼう

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細菌さいきんせいずいまくえんかえ場合ばあい原因げんいん検索けんさく原因げんいん治療ちりょう必要ひつようである。

局所きょくしょ感染かんせんしょう

中耳炎ちゅうじえんふく鼻腔びこうえんなどが細菌さいきんせいずいまくえん原因げんいんとなることはめずらしくない。

ずいえき

ずいえき瘻が細菌さいきんせいずいまくえん原因げんいんとなることがあり手術しゅじゅつ必要ひつようとなる。

全身ぜんしん疾患しっかん

糖尿とうにょうびょう慢性まんせい腎不全じんふぜん、HIV感染かんせんなどがリスクとなる。

鑑別かんべつ疾患しっかん

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鑑別かんべつ診断しんだんとしては頭痛ずつう発熱はつねつ局所きょくしょ脳症のうしょうじょう、あるいは意識いしき障害しょうがい関連かんれんする疾患しっかんがあげられる。細菌さいきん以外いがい感染かんせんせいずいまくえんのほか、単純たんじゅんヘルペス脳炎のうえんかたまく膿瘍のうようなど局所きょくしょてき感染かんせんせい占拠せんきょせい病変びょうへん、くもまく出血しゅっけつ、ライムびょう、リケッチア感染かんせんきん感染かんせん悪性あくせい症候群しょうこうぐんなどががられる。

ウイルスせいずいまくえん

ずいえき検査けんさでは初期しょき多核たかくだま優位ゆうい細胞さいぼうすう増加ぞうかしめすことがあり、細菌さいきんせいずいまくえんとの鑑別かんべつ必要ひつようとなる。Spanosらはずいえきとう/血糖けっとう<0.23、ずいえき蛋白たんぱく>220mg/dl、多核たかく白血球はっけっきゅう>1180/mm3、そう白血球はっけっきゅう>2000/mm3の3項目こうもくのうち1つでもあればウイルスせいずいまくえんではなく細菌さいきんせいずいまくえんべている。Nigrovicらの小児しょうに検討けんとうではずいえきのグラム染色せんしょく陽性ようせいずいえき蛋白たんぱく>80mg/dl、末梢まっしょうこうちゅうだますう>10000/mm3、痙攣けいれんにて発症はっしょうずいえき多核たかく白血球はっけっきゅう>1000/mm3の5項目こうもくでグラム染色せんしょく陽性ようせいが2ポイントで項目こうもくを1ポイントとすると、2ポイントで87%の感度かんど細菌さいきんせいずいまくえん予知よちし、0ポイントは100%の感度かんど細菌さいきんせいまくえん否定ひていした。

意識いしき清明せいめいずいえきグラム染色せんしょく陰性いんせいずいえきとう/血糖けっとう>0.4かつずいえき蛋白たんぱく<100mg/dlであれば無菌むきんせいずいまくえん診断しんだん抗菌こうきんやく投与とうよせず経過けいか観察かんさつ可能かのうであるが、上記じょうき基準きじゅんたさないならば細菌さいきんせいずいまくえん否定ひていできないため抗菌こうきんやく投与とうよする。またずいえき検査けんさかえおこな必要ひつようがある。

結核けっかくせいずいまくえんきんせいずいまくえん

急激きゅうげき発症はっしょうし、かつ急速きゅうそく悪化あっかする細菌さいきんせいずいまくえん比較ひかくして、結核けっかくせいずいまくえんまたはきんせいずいまくえん倦怠けんたいかん微熱びねつ間欠かんけつせい頭痛ずつうなど全身ぜんしん症状しょうじょう前駆ぜんくする。徐々じょじょはげしい頭痛ずつう、嘔気、歩行ほこう困難こんなん行動こうどう異常いじょう意識いしき障害しょうがい痙攣けいれん進展しんてんする。HIV感染かんせん結核けっかく既往きおう、アルコール依存いぞん慢性まんせい疾患しっかん悪性あくせい腫瘍しゅよう、ステロイド内服ないふくありなどは結核けっかくせいずいまくえんきんせいずいまくえんのリスクとなる。身体しんたい所見しょけんではこう硬直こうちょくくわえて脳神経のうしんけい麻痺まひ(Ⅲ、Ⅳ、Ⅵ、Ⅷがおおい)、神経しんけい局在きょくざい徴候ちょうこうみとめる頻度ひんどおおい。ずいえきはリンパだま優位ゆうい細胞さいぼう増加ぞうか蛋白たんぱく増加ぞうかとう低下ていかみとめられる。Kumarらの小児しょうにれいずいまくえんから結核けっかくせいずいまくえん識別しきべつする検討けんとうをした。7にち以上いじょう前駆ぜんく視神経ししんけい萎縮いしゅく局所きょくしょ神経しんけい脱落だつらく症状しょうじょうきり体外たいがい症状しょうじょうずいえき細胞さいぼうちゅうかたちかく白血球はっけっきゅうが50%未満みまんの5項目こうもくをあげ、すくなくとも1項目こうもく陽性ようせいで98.4%の感度かんど結核けっかくせいずいまくえん予知よちし、3項目こうもく以上いじょう陽性ようせいは98.3%の特異とくい結核けっかくせいずいまくえん予知よちする。

単純たんじゅんヘルペス脳炎のうえん
占拠せんきょせい病変びょうへん

のう膿瘍のうようとしてはかたまく膿瘍のうようかたまくがい膿瘍のうようがある。には脳腫瘍のうしゅようなど鑑別かんべつにあがる。

ライムびょう

スピロヘータ感染かんせんしょうであるライムびょうはつ発症はっしょうじょう慢性まんせい移動いどうせいべにまだらおおい。ライムびょうずいまくえん明確めいかくずいまく刺激しげき症状しょうじょうのうあつ亢進こうしんずいえきとう減少げんしょうをきたす。顔面がんめん神経しんけい麻痺まひ両側りょうがわせいこる

リケッチア感染かんせん
悪性あくせい症候群しょうこうぐん

合併症がっぺいしょう

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播種はしゅせい血管けっかんない凝固ぎょうこ症候群しょうこうぐん (Disseminated intravascular coagulation: DIC)
ずいまくえん発症はっしょうした当日とうじつから1-2にち程度ていど、まだ病勢びょうせいつよ時期じきこる合併症がっぺいしょう血管けっかんなかちいさな血液けつえきかたまりがたくさんできるため、血小板けっしょうばん凝固ぎょうこ因子いんしかためるタンパク質たんぱくしつ)が減少げんしょうし、出血しゅっけつしやすい状態じょうたいになる。微小びしょう血栓けっせんふさがせんすることにより、各種かくしゅ臓器ぞうききょ障害しょうがい懸念けねんされる。
血液けつえき凝固ぎょうこおさえるくすり蛋白たんぱく分解ぶんかい酵素こうそ阻害そがいやく)による治療ちりょうおこなう。
こう利尿りにょうホルモン不適合ふてきごう分泌ぶんぴつ症候群しょうこうぐん (SIADH)
尿にょうりょう減少げんしょうさせるバソプレッシン (Vasopressin, Anti-diuretic hormone: ADH) というホルモンが、からだ状態じょうたいたいして不適切ふてきせつおお分泌ぶんぴつされてしまう状態じょうたい血液けつえきちゅう電解でんかいしつ希釈きしゃくされるため、水分すいぶん制限せいげん必要ひつようになる。
のう梗塞こうそく
ずいまくえん発症はっしょうしてから数日すうじつ経過けいかし、治療ちりょう順調じゅんちょうであればねつがり意識いしき障害しょうがいなどの症状しょうじょうがなくなったころこる合併症がっぺいしょうごくまれな合併症がっぺいしょうであるが、致命ちめいてきになったり麻痺まひなどの後遺症こういしょうのこ危険きけんがある。血栓けっせんせい動脈どうみゃくえんや、血管けっかん攣縮血管けっかん平滑へいかつすじ痙攣けいれんてき収縮しゅうしゅくし、血管けっかんうち腔がいちじるしくせまくなる)が原因げんいんになるとかんがえられる。
かたまく水腫すいしゅ膿瘍のうよう
発症はっしょうから1-2週間しゅうかんでみられる、クモまくかたまくあいだに、液体えきたいうみ(うみ)がまってしまう合併症がっぺいしょうとくうみまっている場合ばあいには、手術しゅじゅつによりはいうみする必要ひつようこることもある。また、水腫すいしゅ場合ばあいでもりょうおおく、のう圧迫あっぱくしてしまうような場合ばあい液体えきたい腹腔ふくこうがすシャントというかん挿入そうにゅうする手術しゅじゅつ必要ひつようになることもある。

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細菌さいきんせいずいまくえんは2008ねん現在げんざいでも世界せかいてきには死亡しぼうりつが10〜30%とたか神経しんけい救急きゅうきゅう疾患しっかんである。1920年代ねんだい抗菌こうきんやくによる治療ちりょうおこなわなかったれいでは78にんちゅう77にん死亡しぼうという検討けんとうもある。早期そうき治療ちりょう関連かんれんしめされており、病院びょういん到着とうちゃくから抗菌こうきんやく投与とうよまでの時間じかん死亡しぼうりつ関係かんけいする。病院びょういん到着とうちゃく2時間じかん以内いない投与とうよで5%、2〜4あいだで6%、6〜8あいだで45%、8〜10あいだで75%の死亡しぼうりつとされている。

肺炎はいえん球菌きゅうきんによる場合ばあいは30%で後遺症こういしょう永続えいぞくするという報告ほうこくがある。後遺症こういしょう内容ないようみずあたましょう、てんかん、脳神経のうしんけい麻痺まひ知的ちてき障害しょうがいおおい。かた麻痺まひ失語しつご小脳しょうのう失調しっちょうなどのう実質じっしつ障害しょうがいはまれである。おも後遺症こういしょうをまとめる。

みずあたましょう

軟膜、くもまく炎症えんしょう進展しんてんによりこれらが肥厚ひこうし、癒着ゆちゃくする。のう底部ていぶの軟膜、くもまく癒着ゆちゃくだい4のうしつからのずいえき流出りゅうしゅつさまたすいあたましょうとなる。

てんかん

急性きゅうせい発作ほっさがなかったとしてもおそはつせい発作ほっさこる場合ばあいもある(2.4%)。

脳神経のうしんけい麻痺まひ

ろうめくら眼球がんきゅう運動うんどう障害しょうがいなどの脳神経のうしんけい麻痺まひは、ずいまく炎症えんしょう反応はんのう線維せんい脳神経のうしんけいにそって進展しんてんすることや神経しんけい栄養えいよう動脈どうみゃく血栓けっせんかでおこるとかんがえられている。急性きゅうせい細菌さいきんせいずいまくえん経過けいかちゅう発生はっせいした脳神経のうしんけい障害しょうがい通常つうじょうだいⅢ、Ⅵ、Ⅶ、Ⅷ脳神経のうしんけいをおかし、おおくはだい脳神経のうしんけいせい聴覚ちょうかく障害しょうがい例外れいがいのぞずいまくえん治癒ちゆすると軽快けいかい傾向けいこうとなる。

知的ちてき機能きのう障害しょうがい

皮質ひしつせい認知にんち機能きのう障害しょうがいるい維持いじした認知にんち機能きのう障害しょうがいが70%以上いじょう患者かんじゃ後遺症こういしょうとしてしょうじるという報告ほうこくがある。

のう実質じっしつ障害しょうがい

細菌さいきんせいずいまくえん急性きゅうせいにはずいえき炎症えんしょう血管けっかんけいへの波及はきゅうによってだい血管けっかんでは血管けっかん攣縮をしょう血管けっかんでは血管けっかんえん結果けっか梗塞こうそく出血しゅっけつなどの血管けっかん障害しょうがいこす。

免疫めんえき不全ふぜんとの関連かんれん

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担癌患者かんじゃなどでは様々さまざま免疫めんえき不全ふぜんによって細菌さいきんせいずいまくえん原因げんいんになりえる。その免疫めんえき不全ふぜんとして指摘してきされているのが脾臓ひぞう摘出てきしゅつである。脾臓ひぞう摘出てきしゅつけた患者かんじゃは、さいかちまくゆうする細菌さいきんにより数時間すうじかん死亡しぼうするようなげきしょう敗血症はいけつしょうずいまくえんこす可能かのうせいがある。脾臓ひぞうでは宿主しゅくしゅ細菌さいきん侵入しんにゅうから保護ほごす2つの役割やくわりがある。ひとつは脾臓ひぞう非常ひじょう効率こうりつてき貪食どんしょく細胞さいぼうるい上皮じょうひほらならんでおり細菌さいきん濾過ろか重要じゅうよう役割やくわりになっていること、2つはIgMオプソニン抗体こうたい産出さんしゅつしていることである。

細菌さいきんせいずいまくえん予防よぼう

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関連かんれん法規ほうき

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日本にっぽんでは細菌さいきんずいまくえん(インフルエンザきんずいまくえんきん肺炎はいえん球菌きゅうきん原因げんいんとして同定どうていされた場合ばあいのぞく。)は感染かんせんしょうほうにより5るい感染かんせんしょう定点ていてん把握はあく)に指定していされている(2021ねん4がつ1にち現在げんざい[6]

出典しゅってん

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  1. ^ Hasbun R, et al. Computed tomography of the head before lumbar pucture in adults with suspected meningitis. N Engl J Med 2001; 345'1727.
  2. ^ ずいまくえんきんせいずいまくえんとは”. 国立こくりつ感染かんせんしょう研究所けんきゅうじょ. 2020ねん8がつ16にち閲覧えつらん
  3. ^ 濃厚のうこう接触せっしょくによる家族かぞくないでの感染かんせんも。医師いしかたずいまくえん”. open doctors. 2020ねん8がつ16にち閲覧えつらん
  4. ^ 韓国かんこくなどアジア各国かっこく抗生こうせい物質ぶっしつ乱用らんよう深刻しんこく”. wow koria. 2020ねん8がつ16にち閲覧えつらん
  5. ^ ずいまくえんきんせいずいまくえんについて”. 横浜よこはま. 2020ねん8がつ16にち閲覧えつらん
  6. ^ 感染かんせんしょう発生はっせい動向どうこう調査ちょうさ対象たいしょう疾患しっかんれい3ねん4がつ1にち現在げんざい 神戸こうべ、2022ねん4がつ14にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

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外部がいぶリンク

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