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アルコール依存いぞんしょう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
アルコール依存いぞんしょう
『アルコールおうとその宰相さいしょう』(1820ねん)。よこに「貧困ひんこん悲惨ひさん犯罪はんざい」とあり、「宰相さいしょう」は死神しにがみ
概要がいよう
診療しんりょう 精神せいしん医学いがく, 医学いがく毒性どくせいがく[*], 心理しんりがく, 職業しょくぎょうリハビリテーション, 麻薬まやくがく[*]
分類ぶんるいおよび外部がいぶ参照さんしょう情報じょうほう
ICD-10 F10.2
ICD-9-CM 303
MedlinePlus alcoholism
MeSH D000437
世界せかい疾病しっぺい負荷ふか(WHO、2019ねん[1]
順位じゅんい 疾病しっぺい DALYs
まん
DALYs
(%)
DALYs
(10まんにんたり)
1 新生児しんせいじ疾患しっかん 20,182.1 8.0 2,618
2 きょせいこころ疾患しっかん 18,084.7 7.1 2,346
3 脳卒中のうそっちゅう 13,942.9 5.5 1,809
4 しも気道きどう感染かんせんしょう 10,565.2 4.2 1,371
5 下痢げりせい疾患しっかん 7,931.1 3.1 1,029
6 交通こうつう事故じこ 7,911.6 3.1 1,026
7 COPD 7,398.1 2.9 960
8 糖尿とうにょうびょう 7,041.1 2.8 913
9 結核けっかく 6,602.4 2.6 857
10 先天せんてん異常いじょう 5,179.7 2.0 672
11 背中せなかくびいた 4,653.2 1.8 604
12 うつびょうせい障害しょうがい 4,635.9 1.8 601
13 肝硬変かんこうへん 4,279.8 1.7 555
14 気管きかん気管支きかんしはいがん 4,137.8 1.6 537
15 腎臓じんぞうびょう 4,057.1 1.6 526
16 HIV / AIDS 4,014.7 1.6 521
17 その難聴なんちょう 3,947.7 1.6 512
18 墜死ついし 3,821.6 1.5 496
19 マラリア 3,339.8 1.3 433
20 裸眼らがん屈折くっせつ異常いじょう 3,198.1 1.3 415

アルコール依存いぞんしょう(アルコールいそんしょう、アルコールいぞんしょう、えい: alcoholism)、アルコール使用しよう障害しょうがい(アルコールしようしょうがい、alcohol use disorderAUD)とは、おも飲酒いんしゅによるアルコール摂取せっしゅこされる薬物やくぶつ依存いぞんしょう一種いっしゅ飲酒いんしゅによってられる精神せいしんてき肉体にくたいてき薬理やくり作用さようつよとらわれ、みずからの意思いし飲酒いんしゅ行動こうどうをコントロールできなくなり、強迫きょうはくてき飲酒いんしゅ行為こういかえ精神せいしん障害しょうがいである[2][3]以前いぜん慢性まんせいアルコール中毒ちゅうどく(まんせいアルコールちゅうどく)、略称りゃくしょうアル中あるちゅう(アルちゅう)、慢性まんせい酒精しゅせい中毒ちゅうどく(まんせいしゅせいちゅうどく)などとばれていたこともある[4]が、せん譫妄せんもうのような中毒ちゅうどく症状しょうじょうてから診断しんだんいたのでは手遅ておくれであり、かといって中毒ちゅうどく症状しょうじょうていない段階だんかいで「アルコール中毒ちゅうどく」と診断しんだんいたのでは患者かんじゃ反感はんかんう、という理由りゆうで「アルコール依存いぞんしょう」という名称めいしょう変更へんこうされたという歴史れきしがある[5]人体じんたいたいするアルコールの影響えいきょうについて最初さいしょ体系たいけいされたのは1849ねんで、スウェーデン医師いしマグヌス・フススウェーデンばんによる。

症状しょうじょう精神せいしんてき依存いぞん身体しんたいてき依存いぞんからっており、飲酒いんしゅ自分じぶん意志いしでコントロールできなくなる症状しょうじょう精神せいしんてき依存いぞんせんせんもうなどの退すさくすり症状しょうじょうアルコール離脱りだつ症候群しょうこうぐん、リバウンドともいう)を身体しんたいてき依存いぞん[4]患者かんじゃは、アルコールによってみずからの身体しんたいこわしてしまうのをはじめ、家族かぞく迷惑めいわくをかけたり、様々さまざま事件じけん事故じこ問題もんだいこしたりして社会しゃかいてき人間にんげんてき信用しんよううしなったりすることがある(アルコール乱用らんよう[3][6]

かつては、このような状態じょうたいになってしまうのは本人ほんにん意志いしよわく、道徳どうとく観念かんねん人間にんげんせいけているからだとのかんがかたまされて納得なっとくされてきていたが、最近さいきんでは社会しゃかいてき必要ひつようせいからも医学いがくのカバーする範囲はんいがより拡大かくだいされていくことにともなって、医学いがくてき見地けんちから精神せいしん障害しょうがいひとつとして治療ちりょううなが対象たいしょうかんがえられている[4]

世界せかい保健ほけん機関きかん(WHO)は、アルコール乱用らんよう依存いぞん治療ちりょうりつは78.1%であると推定すいていしている(2004ねん[7])。精神せいしん疾患しっかんなかでも罹患りかんりつたかく、各人かくじん性格せいかく意志いしにかかわらずだれでもかかる可能かのうせいがある病気びょうきであるともえる。日本にっぽん飲酒いんしゅ人口じんこうは6,000まんにん程度ていどわれているが、このうちアルコール依存いぞんしょう患者かんじゃは230まんにん程度ていどであるとわれている。なお、この230まんにんという人数にんずうはWHOの算出さんしゅつ方法ほうほうによりされたものである。

治療ちりょうほう支援しえんほうについては「アルコール依存いぞんしょう#管理かんり」を参照さんしょう

症状しょうじょう

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疾病しっぺいおよ関連かんれん保健ほけん問題もんだい国際こくさい統計とうけい分類ぶんるい(ICD)の診断しんだん基準きじゅんにおいては、渇望かつぼうセルフコントロール喪失そうしつ離脱りだつ症状しょうじょうたいせい飲酒いんしゅ中心ちゅうしん生活せいかつげられている[8]

めているあいだつねにアルコールにたいするつよ渇望かつぼうかんしょうじる。
強迫きょうはくてき飲酒いんしゅすすんでくると、つねにアルコールにった状態じょうたい体内たいないにアルコールがある状態じょうたいもとめ、調子ちょうしないとおもったりして、めているあいだんではいけないとき勤務きんむちゅう医者いしゃからめられているときなど)であろうとずっと飲酒いんしゅつづけるという「連続れんぞく飲酒いんしゅ発作ほっさ」がしばしばこることがある[8]会社かいしゃいんなど、昼間ひるま人目ひとめのつく場所ばしょ飲酒いんしゅができない場合ばあい、トイレなどでかくれて飲酒いんしゅをするれいがある。さらに症状しょうじょうすすむと身体しんたいてき限界げんかいるまでつねに「連続れんぞく飲酒いんしゅ」をつづけるようになり、からだがアルコールをけなくなるとしばらくだんしゅし、回復かいふくするとまた連続れんぞく飲酒いんしゅつづけるというパターンをかえす「やまがた飲酒いんしゅサイクル」に移行いこうすることがある。ここまで症状しょうじょうすすむとかなりの重度じゅうどである。
飲酒いんしゅ自分じぶん意志いしでコントロールできない。
にんがアルコールをふくもの切望せつぼうし、その飲酒いんしゅ制御せいぎょすることができない慢性まんせい疾患しっかん(ICD-9[9]
強迫きょうはくてき飲酒いんしゅ」とは以下いかのような状態じょうたいである。少量しょうりょうのアルコールの摂取せっしゅによってものう麻痺まひしてしまい、はじめたら、その飲酒いんしゅ制御せいぎょがほぼ不可能ふかのうとなるような状態じょうたいである[8]
アルコール依存いぞんしょうひとも、適量てきりょうのアルコールでませておこうとか、今日きょうまずにいようかとかんがえていることはおおい。しかし、はじめてしまうとアルコールの作用さようほうえらんでしまう[8]。また、アルコールを長期ちょうきてきまないことの利益りえきおおいが、アルコールの影響えいきょうあやまった思考しこう判断はんだんとなったり、目先めさき快感かいかんほう選択せんたくしてしまう。このようにかえされることで、状況じょうきょう悪化あっか症状しょうじょう進行しんこうするとはおもっていないため、必要ひつようせい見出みだせず、明確めいかく禁酒きんしゅ意志いしつことができず、アルコールによる快感かいかん選択せんたくしてしまう。そして、はじめたら酩酊めいていするまでんでしまう[8]
飲酒いんしゅ様々さまざまなトラブルをこしはげしく後悔こうかいするも、それをわすれようとまた飲酒いんしゅつづける。
社会しゃかいてきまたは職業しょくぎょうてき機能きのう深刻しんこく障害しょうがいこす、飲酒いんしゅパターンを特徴とくちょうとする障害しょうがい(ICD-9[9])
飲酒いんしゅりょう極端きょくたんえると、やがて自分じぶんからだこわしたり(内臓ないぞう疾患しっかんなど)、社会しゃかいてき経済けいざいてき問題もんだいこしたり、ドメスティック・バイオレンスなど家族かぞくとのトラブルをこしたりするようになる。それでさらにストレスをかんじたり、はげしく後悔こうかいしたりするものの、その精神せいしんてき苦痛くつうやわらげようとさらに飲酒いんしゅかえす。このように自分じぶんにとっての損失そんしつつよくなっているにもかかわらず飲酒いんしゅつづける行動こうどうを「ばっへの抵抗ていこう」とぶ。
せんせんもう (DT)
離脱りだつ症状しょうじょう退すさくすり禁断症状きんだんしょうじょう)がる。
アルコール摂取せっしゅ中断ちゅうだんしたさい様々さまざま症状しょうじょうしょうじる。かるいものであれば、頭痛ずつう不眠ふみん、イライラかん発汗はっかん手指しゅし全身ぜんしんふるえ(せん)、眩暈げんうんなどがあるが、重度じゅうどになってくると「だれかにねらわれている」といった妄想もうそうせんせんもう痙攣けいれん発作ほっさ(アルコール誘発ゆうはつせいてんかん)などもこるようになる[8][10]幻覚げんかく幻視げんし幻聴げんちょう)も頻繁ひんぱんこる症状しょうじょうで、ちいさなむしのようなものがえたり、いるはずのないひとえたり、耳鳴みみなりやひとこえこえたりと症状しょうじょう患者かんじゃによって様々さまざまであるが、幻覚げんかくまった経験けいけんしないひとおおくいる。患者かんじゃにとってこれらは苦痛くつうであるため、それからのがれるために飲酒いんしゅをすることになる。
また、急性きゅうせい離脱りだつ症状しょうじょうぎたのちでも、いかりっぽくなったり、そもそもうつ状態じょうたいになったりするなどの情動じょうどうせい不安定ふあんてい遷延せんえんせい離脱りだつ症候群しょうこうぐんとよばれる状態じょうたいすうげつつづ場合ばあいがある。
たいせい増大ぞうだい
おな酩酊めいていかんじるのにようする飲酒いんしゅりょう増大ぞうだいする[8]。または、おな飲酒いんしゅりょうでの酩酊めいていかんげんじゃくする[8]

合併症がっぺいしょう

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アルコール依存いぞんしょう患者かんじゃは、心身しんしんおおくの疾患しっかんかかえる危険きけんせいっている。ぎゃくに、精神せいしん障害しょうがいがアルコール依存いぞんしょう誘発ゆうはつすることがかっている。

精神せいしん神経しんけい疾患しっかん

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うつびょう[8]
アルコール依存いぞんしょうによってうつびょうこされる場合ばあいがある[3][6]ぎゃくに、うつびょうによってアルコール依存いぞんしょうおちいることもある(あやまったセルフメディケーション)。ゆう病者びょうしゃの30-40%が、一生いっしょうのうちにうつびょう診断しんだん基準きじゅんたす[2]
不安ふあん障害しょうがい[8]
パニック障害しょうがい社交しゃこう不安ふあん障害しょうがいなど。
双極そうきょくせい感情かんじょう障害しょうがい躁鬱病そううつびょう
双極そうきょくせい感情かんじょう障害しょうがい患者かんじゃ自己じこ治療ちりょうてき飲酒いんしゅつづけた結果けっか、アルコール依存いぞんしょうおちい場合ばあいがある。
統合とうごう失調しっちょうしょう
統合とうごう失調しっちょうしょう患者かんじゃ自己じこ治療ちりょうてき飲酒いんしゅつづけた結果けっか、アルコール依存いぞんしょうおちい場合ばあいがある。
ウェルニッケ‐コルサコフ症候群しょうこうぐん[8]
チアミン(ビタミンB1)の欠乏けつぼうによって発症はっしょうする疾患しっかんで、急性きゅうせい症状しょうじょうウェルニッケ脳症のうしょう(アルコールせい脳症のうしょう)、慢性まんせい状態じょうたいコルサコフ症候群しょうこうぐんという。ウェルニッケ脳症のうしょう可逆かぎゃくてきすう週間しゅうかん以内いない自然しぜん消失しょうしつすることがあるが、コルサコフ症候群しょうこうぐん進展しんてんすれば80パーセントが回復かいふくしないが、生命せいめい危険きけんすくない。意識いしき障害しょうがいそとすじ麻痺まひ記憶きおく障害しょうがい小脳しょうのう失調しっちょうしつ見当けんとう症状しょうじょうがでる。コルサコフ症候群しょうこうぐんでは記憶きおく障害しょうがい結果けっかとして、記憶きおく不確ふたしかな部分ぶぶんさくばなしおぎなおうとすることがられる。チアミン投与とうよ有効ゆうこうである。
アルコール幻覚げんかくしょう
被害ひがいてき内容ないよう幻聴げんちょうえいauditory hallucination)をおもとする幻覚げんかくが、飲酒いんしゅ中止ちゅうし大量たいりょう飲酒いんしゅ急性きゅうせい急性きゅうせい出現しゅつげんする。飲酒いんしゅ中止ちゅうしすることで、すう週間しゅうかん以内いない消失しょうしつすることがおおい。幻覚げんかくにより殺人さつじんいたるケースもきている[11]
アルコールせい妄想もうそう状態じょうたい
アルコール依存いぞんしょうでみられ、了解りょうかい可能かのう嫉妬しっと妄想もうそうおもだんしゅによって次第しだい消失しょうしつする。
ニコチンさん欠乏けつぼう脳症のうしょうペラグラ
ニコチンさんナイアシン)の欠乏けつぼうによって発症はっしょうする。幻覚げんかく妄想もうそうやせんもう症状しょうじょうがでる。
小脳しょうのう変性へんせいしょう
文字通もじどお小脳しょうのうがアルコールの影響えいきょう変性へんせいすることで発症はっしょうする。歩行ほこう障害しょうがいなど下肢かし失調しっちょうこる。
アルコールせい認知にんちしょう
アルコール自体じたい認知にんちしょう原因げんいんとなりうるのかは不明ふめいであるが、臨床りんしょうてきにはアルコール摂取せっしゅ背景はいけいになっているとられる認知にんちしょうたしかに存在そんざいする。画像がぞう検査けんさでは、のうしつけい拡大かくだい大脳皮質だいのうひしつ萎縮いしゅくられる。
アルコールせい多発たはつ神経しんけいえん末梢まっしょう神経しんけいえん
アルコールが原因げんいん栄養えいよう障害しょうがい(ビタミンBぐんニコチンさん欠乏けつぼう)により発症はっしょうする。四肢しし異常いじょう感覚かんかくいたみ、感覚かんかく鈍麻どんま疼痛とうつう手足てあし筋肉きんにく脱力だつりょくころびやすい、はしりにくいなどの症状しょうじょう。コルサコフ症候群しょうこうぐん合併がっぺいすれば「アルコールせい多発たはつ神経しんけいえんせい精神病せいしんびょう」とばれる。

身体しんたいてき疾患しっかん

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身体しんたいてき疾患しっかんはアルコールによりこされているものなので、さけつことにより回復かいふくするケースもある。しかし数日すうじつ単位たんいでの回復かいふく無理むりで、すうげつからなが場合ばあいではすうねんほど回復かいふく期間きかんがかかることがおおい。また、のう身体しんたい可逆かぎゃくてきにダメージをけある程度ていど以上いじょう治癒ちゆしないケースもある。

高血圧こうけつあつ[3][8]
不整脈ふせいみゃく[8]
悪性あくせい腫瘍しゅよう
口腔こうくうがん肝臓かんぞうがんちょうがん乳癌にゅうがん[3]
アルコールせいきも疾患しっかん
アルコールせい脂肪しぼうきも[8] - 肝臓かんぞう脂肪しぼう蓄積ちくせきされ、放置ほうちすると肝硬変かんこうへん肝臓かんぞうがんへとすす危険きけんつ。自覚じかく症状しょうじょうはほとんどない。
アルコールせい肝炎かんえん[8] - 肝臓かんぞう炎症えんしょうこし、かん細胞さいぼう破壊はかいされる病気びょうき全身ぜんしん倦怠けんたいかんうえ腹部ふくぶいたみ、黄疸おうだん腹水ふくすいひとし症状しょうじょうる。
アルコールせい肝硬変かんこうへん[3] - かん細胞さいぼう破壊はかい広範こうはんこり細胞さいぼう繊維せんいされる病気びょうき肝炎かんえん類似るいじ症状しょうじょうがでる。日本にっぽん国内こくない患者かんじゃすうは4.5まんにんいるとわれる。
アルコールせい胃炎いえん
粘膜ねんまく炎症えんしょうである。慢性まんせいして、胃潰瘍いかいよう発展はってんする場合ばあいもある。胃痛いつうむねやけ、吐血とけつとう症状しょうじょう
アルコールせい膵炎[8]
膵臓すいぞう炎症えんしょうで、慢性まんせい膵炎のやく半数はんすうがアルコールせいのものとわれている。腹部ふくぶ背中せなかいたみ、発熱はつねつとう症状しょうじょう急性きゅうせい膵炎や慢性まんせい膵炎の急性きゅうせい増悪ぞうあくでは、落命らくめいすることもある。
食道しょくどう静脈じょうみゃくこぶ
肝硬変かんこうへん副次的ふくじてき症状しょうじょうとしてあらわれる。本来ほんらい肝臓かんぞうながれるべきりゅうが、食道しょくどう静脈じょうみゃくながれることにより、こぶじょうふくらみができる。まんいち破裂はれつすると大量たいりょう出血しゅっけついのちかかわることがある。
アルコールせい心筋しんきんしょう
アルコールの影響えいきょう心筋しんきんがびまんせい萎縮いしゅくして線維せんい進行しんこうしん収縮しゅうしゅくりょくよわまり血液けつえきおく機能きのう低下ていかする。
マロリー・ワイス症候群しょうこうぐん
飲酒いんしゅかえ嘔吐おうとするため、出血しゅっけつこす。

アルコール離脱りだつ

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アルコール依存いぞんからの離脱りだつは、適切てきせつ管理かんりともなわなければ、バルビツールさんけいベンゾジアゼピンけいといった催眠さいみん鎮静ちんせいやく同様どうよう致命ちめいてきとなる可能かのうせいがある[12]。アルコールのおも作用さようは、GABAA受容じゅようたいへの刺激しげき増加ぞうかさせ、中枢ちゅうすう神経しんけい抑制よくせいうながすことである。アルコールの大量たいりょう消費しょうひかえすとこの受容じゅようたい感度かんど減少げんしょうし、またかずる。そのために薬物やくぶつたいせい身体しんたいせい依存いぞんこる。アルコールを急速きゅうそくだんさけすると、中枢ちゅうすう神経しんけいけいシナプス発火はっかのコントロールをうしなう。これによって不安ふあん致命ちめいてき発作ほっさたたかえ、せんもう幻覚げんかく心不全しんふぜんなどをまね[13][14]。その中枢ちゅうすう神経しんけいけいでは、おもドーパミンNMDAグルタミン酸ぐるたみんさん関係かんけいしている[15]

急性きゅうせい離脱りだつ症状しょうじょうは、1〜3週間しゅうかんほどつづくことがおおい。じゅうあつしではない症状しょうじょう不眠ふみん不安ふあん快感かいかんしょう)は、遷延せんえんせい離脱りだつ症候群しょうこうぐんとして1ねん、またそれ以上いじょうだんしゅにより、徐々じょじょ改善かいぜんされていく[16][17][18]離脱りだつ症状しょうじょうは、からだ中枢ちゅうすう神経しんけいけいがアルコールたいせいとGABA機能きのうについて正常せいじょうかって復元ふくげんされるまでつづ[19][20]

形成けいせい特徴とくちょう

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通常つうじょう飲酒いんしゅ行動こうどうを、おもにアルコールによってられる肉体にくたいてき精神せいしんてき変容へんようもとめることがおおいが、初期しょき毎日まいにちむわけではなく、なにかの機会きかい時々ときどきむだけという機会きかい飲酒いんしゅからはじまる。しかし、なんらかの原因げんいん毎日まいにち習慣しゅうかんせい飲酒いんしゅ移行いこうすることもおおく、習慣しゅうかんせい飲酒いんしゅとなるとおなりょう飲酒いんしゅではおなじようにうことができなくなり、次第しだい飲酒いんしゅりょうえていくことになる(たいせい形成けいせい)。つまり、アルコール依存いぞんしょうになることはこの「習慣しゅうかんせい飲酒いんしゅ」とふか関係かんけいがあるということになる。もちろん、習慣しゅうかんせい飲酒いんしゅをするものすべてがアルコール依存いぞんしょう患者かんじゃであるとはえないが、なんらかのきっかけがあればさらに飲酒いんしゅりょうえ、いつのにか依存いぞんしょうおちいってしまうという危険きけんせい充分じゅうぶんはらんでいるとえる。

一見いっけんすると本人ほんにん自分じぶん判断はんだんこのんで飲酒いんしゅしているようにみえ、患者かんじゃ自身じしんきで飲酒いんしゅしていると錯誤さくごしている場合ばあいおおい。そのため、患者かんじゃにアルコール依存いぞんしょうのことをげると「自分じぶんちがう」などとはげしく拒絶きょぜつをされることも多々たたあり、否認ひにん病気びょうきともわれている[4]。しかし、依存いぞん重度じゅうどになるとだんしゅによって肉体にくたいてき精神せいしんてき離脱りだつ症状しょうじょう禁断症状きんだんしょうじょう)がるため、たのしむためではなく離脱りだつ症状しょうじょうける目的もくてき飲酒いんしゅかえすことになる[4]。このような状態じょうたいおちいってしまうと、もはや自分じぶん意志いしだけでさけつことがきわめて困難こんなんとなる(セルフコントロールの喪失そうしつ[4]

また、アルコール依存いぞんしょう形成けいせい助長じょちょうするものとして、本人ほんにん周囲しゅういには、酒代さかだいになりうる小遣こづかいを提供ていきょうしたり、過度かど飲酒いんしゅしょうじる社会しゃかいてき数々かずかず始末しまつ他人たにん迷惑めいわくをかける、物品ぶっぴんこわす、ひとし)にたいして本人ほんにんになりわり謝罪しゃざいしたり、飲酒いんしゅしている本人ほんにんしりぬぐいをする家族かぞくなど、イネーブラー(enabler)が存在そんざいすることがおお[21]。イネーブラーは飲酒いんしゅしている当人とうにん反省はんせい必要ひつようとさせず、延々えんえん過度かど飲酒いんしゅすることを可能かのうにしてしまうとされる。ぎゃくに、一切いっさいのイネーブラーがいなくなったり、医師いしから宣告せんこくされたりしたことをきっかけに、本人ほんにんが「そこつき体験たいけん」(「どんぞこ体験たいけん」ともターニング・ポイントともんだりする[21]。“このままでは大変たいへんなことになる”という意識いしき発生はっせい)をし、それをきっかけにアルコール依存いぞんしょうからなおることがある[21](セルフコントロール不能ふのうアクセプタンス[4]

さらに、アルコール依存いぞんしょうしゃ配偶はいぐうしゃなどには、アルコール依存いぞんしょうしゃ必要ひつようとされることを必要ひつようとするきょう依存いぞん(co-dependency) の状態じょうたいおちいっているひともいる[4][21]。そのため、アルコール依存いぞんしょうしゃ本人ほんにん以外いがい家族かぞく問題もんだいとなっている可能かのうせいもあり、アルコール依存いぞんしょうしゃ本人ほんにん治療ちりょうだけでなく、その配偶はいぐうしゃなどにたいしてもただしいカウンセリングなどが必要ひつようとなるケースもある[4][21]

このほかにも、アルコール依存いぞんしょう患者かんじゃ症状しょうじょうおよびその周囲しゅうい社会しゃかいへの影響えいきょうから、この病気びょうきつぎのような特徴とくちょうっている。

飲酒いんしゅしゃ辿たど過程かてい』(1846ねん)。アルコール依存いぞん貧困ひんこん犯罪はんざい自殺じさつみちびくことをえがいた。
進行しんこうせい疾患しっかん
自分じぶん依存いぞんてき飲酒いんしゅしていると気付きづかずにそれをつづけるとさらに飲酒いんしゅりょうえて症状しょうじょう悪化あっかし、悪循環あくじゅんかんおちいる。
慢性まんせい疾患しっかん
一度いちど依存いぞんおちいると回復かいふくきわめて困難こんなんである。いわゆる「上手じょうずさけむ」ということができなくなる。
人格じんかく変化へんかこす疾患しっかん[4]
依存いぞんおちいったことを否認ひにんするため、周囲しゅういのせいにしたりして攻撃こうげきてきばってき自己じこ中心ちゅうしんてき性格せいかくになる[4]他人たにんへの関心かんしんうしない、手段しゅだんとして使つかうようになる[4]。あるいはぎゃく自分じぶんのせいにして自虐じぎゃくてきになり、後悔こうかい不安ふあん孤独こどくさいなまれるようになる。また、アルコールのはいっていない状態じょうたいであってもっているときおなじような言動げんどうをする「ドライドランク」とばれる状態じょうたいになることもしばしばある。これらの結果けっかとして、周囲しゅういひと本人ほんにんと「えなく」なってしまい、社会しゃかいせいうしな[4]
不治ふち疾患しっかん
アルコール依存いぞんしょうになったものもと機会きかい飲酒いんしゅしゃもどることはほとんど不可能ふかのうであるとされている。たとえ身体しんたいてき回復かいふくし、すうねんにわたるだんしゅつづけていたものであっても、いちくちでも飲酒いんしゅをすることによってふたたもと強迫きょうはくてき飲酒いんしゅ状態じょうたいもどってしまう可能かのうせい非常ひじょうたかい。そして、進行しんこうせい病気びょうきであるためにさらに症状しょうじょう悪化あっかしていく。つまり、わるくなることはあっても、けっしてくなることはない病気びょうきであり、寛解かんかい(かんかい)の状態じょうたい再発さいはつつまりさい飲酒いんしゅをどうふせぐかが治療ちりょう重要じゅうようてんとなる。
いた疾患しっかん
適切てきせつ対処たいしょをしなければ、内臓ないぞう疾患しっかんあるいは精神せいしんストレスなどによる自殺じさつまたは事故死じこしなど、なんらかのかたちいた場合ばあいおおい。アルコール依存いぞんしょうしゃ10ねん死亡しぼうりつは30 - 40%と非常ひじょうたかく、節酒せっしゅこころみた患者かんじゃ通常つうじょう飲酒いんしゅした患者かんじゃとでは死亡しぼうりつられず、だんさけすることによってのみ生存せいぞんりつたかまる[22]
機能きのう不全ふぜん家族かぞく形成けいせい要因よういん
飲酒いんしゅによる問題もんだい行動こうどうにより、その家族かぞくつねにストレスにさいなまれることになる。家族かぞくつね飲酒いんしゅをやめさせることばかりかんがえるようになり、家族かぞくまで精神せいしん疾患しっかん罹患りかんしてしまうケースもすくなくない。家族かぞくとの信頼しんらい関係かんけい亀裂きれつはじまり、別居べっきょ離婚りこんへと発展はってんして家族かぞく崩壊ほうかいする原因げんいんとなったりする[4]
アダルトチルドレン(AC、Adult Children of Alcoholics アルコール依存いぞんしょうおやのもとでそだち、成人せいじんした人々ひとびと)の語源ごげんとなっているように、アルコール依存いぞんしょうしゃのいる家庭かていでの家族かぞくあたえる影響えいきょう多大ただいなものであり、とくおやからへアルコール依存いぞんなどの嗜癖問題もんだい世代せだいあいだ伝播でんぱする現象げんしょうがよくられる。そのため、アルコール依存いぞんしょう患者かんじゃ本人ほんにんだけの問題もんだいではなく、家族かぞく全体ぜんたいみ、とく機能きのう不全ふぜん家族かぞく形成けいせい助長じょちょうする。

男女だんじょ

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女性じょせいは、男性だんせいくら一般いっぱんてきからだちいさいこと、体内たいない水分すいぶんりつ男性だんせいよりひくいこと、女性じょせいホルモンはアルコール代謝たいしゃ阻害そがいする要因よういんとなることなどから、おなりょうのアルコールを摂取せっしゅしても男性だんせいよりも少量しょうりょう摂取せっしゅ影響えいきょうがでる[23]。アルコール依存いぞんしょう患者かんじゃは、飲酒いんしゅれき長期ちょうきわたっているのが特徴とくちょうであるが、女性じょせい場合ばあい短期たんき飲酒いんしゅれきでかつ飲酒いんしゅりょう比較的ひかくてき少量しょうりょうでも急速きゅうそくにアルコール依存いぞんしょうとなってしまう危険きけんがある。ギリシャで“さけわない”というところから、アルコール依存いぞんしょうになった女性じょせいをアメシストとぶこともある。

一説いっせつによると、習慣しゅうかん飲酒いんしゅからアルコール依存いぞんしょうへの進行しんこう期間きかん男性だんせいやく10ねん女性じょせいではやく6ねんであるともわれている[だれによって?]

診断しんだん

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診断しんだんスケールには以下いかのものがある[24]

軽度けいど依存いぞん(SADQスコア15以下いか)の場合ばあい、たいてい離脱りだつ支援しえん必要ひつようとしない[3]ちゅう依存いぞん(SADQスコア15-30)の場合ばあいは、離脱りだつ支援しえん必要ひつようであるが、にリスクがければ外来がいらい治療ちりょうできる[3]重度じゅうど依存いぞん(SADQスコア30以上いじょう)の場合ばあいは、大抵たいてい入院にゅういん治療ちりょう必要ひつようとなる。

管理かんり

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飲酒いんしゅをやめて、短時間たんじかんふるえるなどせんこる場合ばあいには、身体しんたいせい依存いぞん形成けいせいされており、その数日すうじつにはアルコール離脱りだつ症候群しょうこうぐん最大さいだいとなり、このさいせんせんもういたると死亡しぼう危険きけんせいがある。こうした場合ばあいには、離脱りだつ症状しょうじょう医学いがくてき管理かんり必要ひつようであり、飲酒いんしゅをやめないままアルコール外来がいらいなどを受診じゅしんすることになる。

精神せいしんにおいて自助じじょグループへの参加さんか奨励しょうれいするとともに、こうさけざい使用しようにより、アルコール摂取せっしゅ禁止きんしして治療ちりょうすすめる病院びょういんおおい。都道府県とどうふけん精神せいしん保健ほけん福祉ふくしセンター保健所ほけんじょではアルコール依存いぞんしょうかんする無料むりょう相談そうだんけており、せんもん病院びょういん紹介しょうかいすることもある。

英国えいこく国立こくりつ医療いりょう技術ぎじゅつ評価ひょうか機構きこう(NICE)は、軽度けいどのアルコール依存いぞん場合ばあい心理しんり療法りょうほう提供ていきょうする[25]。その場合ばあいは、認知にんち行動こうどう療法りょうほうではしゅう1かい60ぶんのセッションを12しゅう行動こうどう療法りょうほうではしゅう1かい60ぶんのセッションを12しゅうおこなうとされる[25]

またNICEは、ちゅう重度じゅうどのアルコール依存いぞん場合ばあいは、離脱りだつアカンプロサートもしくはナルトレキソン投薬とうやくと、個人こじん精神療法せいしんりょうほう認知にんち行動こうどう療法りょうほう行動こうどう療法りょうほう社会しゃかいネットワーク・環境かんきょうベース療法りょうほう)をわせるとしている[26]ジスルフィラムはそれら薬物やくぶつのセカンドラインとして提案ていあんしている[26]

援助えんじょ方針ほうしん

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だんしゅ三本みもとはしら[27]
  • 通院つういん
  • こうさけざい
  • 自助じじょグループへの参加さんか
HALTの法則ほうそく飲酒いんしゅ欲求よっきゅうしょうじる要因よういん
  • H - ハングリー(hungry、おなからさない)
  • A - アングリー(angryおこらない)
  • L - ロンリー(lonelyひとりにならない)
  • T - タイアード(tiredつかれない)

アルコール依存いぞんしょう治療ちりょうでまず肝心かんじんなことは「本人ほんにん認識にんしき」である。おおくのケースでは依存いぞんみとめてしまうと飲酒いんしゅができなくなるため、患者かんじゃ自分じぶんがアルコール依存いぞんしょうであることをみとめたがらない。なによりもまず、本人ほんにん疾患しっかん自覚じかくやまい)と治療ちりょう意志いしたせることが大切たいせつであり、回復かいふくへの第一歩だいいっぽとなる[21]心身しんしん生活せいかつへの影響えいきょうをなるべくおさえるためには、早期そうき治療ちりょう開始かいしのぞましい[28]

アルコール依存いぞんしょうひと過剰かじょう飲酒いんしゅは「意志いしよわいから」「道徳どうとくかんひくいから」とわれたり、不幸ふこう心理しんりてき社会しゃかいてき問題もんだい原因げんいんであるとかんがえられたりしがちだが実際じっさいはそうではなく、おおくの場合ばあいこの病気びょうき結果けっかであることがおおい。つまり、アルコールによって病的びょうてき変化へんか身体しんたい精神せいしんしょうじ、そのために過剰かじょう飲酒いんしゅ行動こうどうこるということである。このことをまず本人ほんにん周囲しゅういもの理解りかいし、みとめることが、この病気びょうきから回復かいふくするじょうでのかせない第一歩だいいっぽとなる。しかし援助えんじょしゃは、治療ちりょうという名目めいもく処罰しょばつあたえてはならない[29]

アルコール離脱りだつ症候群しょうこうぐんまでにいたっていなければ、飲酒いんしゅりょうらすげんしゅもある程度ていど有効ゆうこうであるが、一度いちどアルコール依存いぞんしょうになってしまうと、基本きほんてき対処たいしょさけ一切いっさいまないだんしゅしかない[28]。しかし本人ほんにん意志いしだけでは解決かいけつすることがむずかしいため、周囲しゅうい理解りかい協力きょうりょくもとめられる。重度じゅうど場合ばあい入院にゅういん治療ちりょう必要ひつよう場合ばあいもある。しかし完治かんじすることはない不治ふち疾患しっかんともばれることがあり、だんしゅをしてなんねんじゅうなんねん長期間ちょうきかん経過けいかしたのちでも、たった一口ひとくちしゅんだだけで、おそかれはやかれまた以前いぜん状態じょうたい逆戻ぎゃくもどりしてしまうケースがおお[21]。そのため、治療ちりょうによって回復かいふくした場合ばあいであっても、アルコール依存いぞんしょうしゃ一生いっしょう涯断しゅつづけることは大変たいへん努力どりょくようする。

急性きゅうせい管理かんり

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急性きゅうせいアルコール離脱りだつ症候群しょうこうぐん管理かんりには、ベンゾジアゼピンクロルジアゼポキシドジアゼパム)、カルバマゼピンもちいられる[29][30][31]。NICEはクロメチアゾール選択肢せんたくしひとつであるが、入院にゅういん患者かんじゃかぎって注意深ちゅういぶか使用しようすべきであり[30]乱用らんようリスクがあるため外来がいらいでは処方しょほうしてはならないとしている[32]せんせんもう管理かんりには、ロラゼパムだいいち選択肢せんたくしである[30]こう精神病せいしんびょうやくは、精神病せいしんびょう症状しょうじょうている期間きかんかぎって使用しようできる[29]

また外来がいらい治療ちりょう場合ばあいオーバードーズ転用てんようリスクがあるため、つねに2にちぶん以上いじょうくすり患者かんじゃ保持ほじしないよう処方しょほうすべきである[31]

心理しんり社会しゃかいてきケア

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治療ちりょうほう現在げんざいのところだんしゅ以外いがいにない[21]。しかし、依存いぞんせい薬物やくぶつであるアルコールをつことは並大抵なみたいてい努力どりょくではなく、いち生涯しょうがいこれをつづけることは想像そうぞう以上いじょう困難こんなんまたは精神せいしんてき苦痛くつうともなう。このため、だんしゅをサポートする様々さまざまこころみがなされている。

すべてのアルコール乱用らんようしゃには、すべからく自助じじょグループたとえばアルコホーリクス・アノニマスSMART Recovery英語えいごばんなど)の情報じょうほう提供ていきょうおこなうべきであり、かつそれらに参加さんか支援しえん奨励しょうれいされるべきである[33][29]

アルコホーリクス・アノニマス(AA)
アルコール依存いぞんしょう患者かんじゃ自助じじょグループ。だんしゅかい原型げんけいである。1930年代ねんだいアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくはじまり、世界せかい180かこく以上いじょうひろがっている。基本きほんテキストである通称つうしょうビッグブックは、70かこく以上いじょう翻訳ほんやくされている。アルコール依存いぞんからの回復かいふくのために「ミーティング」とばれるグループワークや、「12ステップ」という回復かいふくのプログラムをもちいる。プライバシーをまもるため、また、個人こじんよりも原理げんり優先ゆうせんさせるために、フルネームは名乗なのらない。よってだんしゅかいとはことなり、名簿めいぼ会費かいひもなく組織そしきもされない。アルコール依存いぞんしょうしゃのみが参加さんかできるクローズド・ミーティングと、家族かぞく医療いりょう関係かんけいしゃなど外部がいぶひと参加さんかできるオープン・ミーティングがある。さらには女性じょせいだけのミーティングや若者わかものだけのミーティングもある。マーティ・マンはこのかい女性じょせいとしてはじめてだんしゅ成功せいこうしたとわれている[34]
だんしゅかい
アルコール依存いぞんしょう患者かんじゃとその家族かぞくによってつくられた自助じじょグループ。会費かいひせいで、組織そしきされており、外部がいぶたいしてもオープンな姿勢しせいっている日本にっぽん独自どくじ団体だんたいだんしゅつづけることをたがいにサポートしい、さけがいをはじめ、アルコール依存いぞんたいするただしい理解りかい知識ちしきひろ啓蒙けいもうする活動かつどうおこなっている。

また、ストレス解消かいしょうのために飲酒いんしゅがなされることもあることから、飲酒いんしゅわるストレス対処たいしょ方法ほうほう(「ストレス管理かんり」「リラクゼーション」も参照さんしょう)をにつけるための支援しえん・サポートの必要ひつようせい示唆しさされる[35]

薬物やくぶつ療法りょうほう

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ウェルニッケ脳症のうしょう防止ぼうしのため、チアミン100mgを毎日まいにち摂取せっしゅする[29]

こうさけざい

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アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼアセトアルデヒド脱水だっすいもと酵素こうそ)のはたらきを阻害そがいする薬品やくひんで、服用ふくようすると飲酒いんしゅちゅうアセトアルデヒド濃度のうどたかまるため、不快ふかいかん多量たりょう飲酒いんしゅができなくなる。つまり「少量しょうりょう飲酒いんしゅ悪酔わるよいさせるくすり」であり、「飲酒いんしゅ欲求よっきゅうそのものをおさえるくすりではない」[21]こうさけざいんで大量たいりょう飲酒いんしゅをするといのちにかかわる危険きけんがあるため、医師いし指導しどうした本人ほんにんへの充分じゅうぶん説明せつめいだんしゅ決意けついおこなったうえでの服用ふくよう必須ひっすである[21]。アルコール依存いぞんしゃられぬようひそかに投与とうよするようなことは厳禁げんきんである[21]

  • シアナミドジスルフィラム商品しょうひんめいは「シアナマイド」と「ノックビン」)の2しゅ日本にっぽんでは認可にんかされている。

治療ちりょうやく

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こうさけざいとはべつに、飲酒いんしゅ欲求よっきゅうそのものを抑制よくせいする薬剤やくざい物質ぶっしつとしてのアカンプロサート商品しょうひんめい「レグテクト」)が2013ねんから日本にっぽんでも使用しようされはじめた。服用ふくようさいしては自助じじょグループや精神療法せいしんりょうほうとの併用へいよう効果こうかてきのぞましい。

  • アカンプロサート - のうない伝達でんたつ物質ぶっしつ飲酒いんしゅ欲求よっきゅうにスイッチをれる物質ぶっしつ)であるグルタミン酸ぐるたみんさんによってこされるのうない過剰かじょう欲求よっきゅう緩和かんわする。すなわち、アカンプロサートが、神経しんけい細胞さいぼう受容じゅようたい(スイッチによる命令めいれいれる部署ぶしょ)を封鎖ふうさして、伝達でんたつ物質ぶっしつグルタミン酸ぐるたみんさん分子ぶんし受容じゅようたいへの付着ふちゃく防止ぼうしすることで欲求よっきゅう命令めいれい伝達でんたつふせぐ。アルコール依存いぞんしょうしゃのうにはこのグルタミン酸ぐるたみんさんとく多量たりょうられる(原因げんいん不明ふめい)。すべての患者かんじゃ効能こうのうみとめられるわけではないが、アルコール依存いぞんしょうしゃ治療ちりょうにアカンプロサートが投薬とうやくされ、一定いってい成果せいかげている[26][29]
  • ナルメフェン飲酒いんしゅまえ服用ふくようすることで、飲酒いんしゅりょうらす効果こうかがある。げんしゅ目的もくてきとした治療ちりょう有効ゆうこうであり、日本にっぽんでは2019ねん承認しょうにんされた(商品しょうひんめい:セリンクロ)[36]
  • ナルトレキソン[26][29]
  • バクロフェン - 海外かいがい有効ゆうこうせい報告ほうこくされている。日本にっぽんではアルコール依存いぞんしょう適応てきおうとしてたない。
  • ゾニサミド - こうてんかんやくパーキンソンびょう治療ちりょうやく海外かいがい有効ゆうこうせい報告ほうこくされている。日本にっぽんではアルコール依存いぞんしょう適応てきおうとしてたない。
  • ベンゾジアゼピンは、急性きゅうせいアルコール離脱りだつ管理かんり有用ゆうよう一方いっぽう長期ちょうきてき使用しようした場合ばあいはアルコール依存いぞんしょう悪化あっかさせる[8]。ガイドラインでは、原則げんそく7にち以内いないとし、遷延せんえんせい離脱りだつ症候群しょうこうぐんのケースであっても4週間しゅうかんえてはならない[8]。アルコール依存いぞんしょうたいして慢性まんせいてきにベンゾジアゼピンけい処方しょほうした場合ばあい服用ふくようしていないケースよりもアルコール断絶だんぜつ達成たっせいできるかくりつひくい。しかし、この種類しゅるいくすりは、一般いっぱんてき不眠ふみん不安ふあん管理かんりのために、アルコール依存いぞんしょうしゃ処方しょほうされている[37]。ベンゾジアゼピンまたは鎮静ちんせい催眠さいみんやく回復かいふく過程かてい投与とうよされた患者かんじゃは、鎮静ちんせい催眠さいみんやく処方しょほうされたのち再発さいはつするかくりつたかく、4ばい以上いじょうであった。ベンゾジアゼピンの長期ちょうきてき服用ふくようしゃ急激きゅうげきだんやくをすべきではない。それは重度じゅうど不安ふあんとパニックがしょうじる可能かのうせいがあり、アルコール乱用らんよう再発さいはつ危険きけん因子いんしであるとられている。6〜12かげつげんやくが、離脱りだつ強度きょうど減少げんしょうさせ、もっと成功せいこうしやすいことが判明はんめいしている[38][39]
  • 1960年代ねんだいと1970年代ねんだいの6けん研究けんきゅう遡及そきゅうてき分析ぶんせきによれば、LSD補助ほじょ心理しんり療法りょうほうはアルコール依存いぞんしょう治療ちりょうとしての可能かのうせいがある[40]

心理しんり療法りょうほう

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治療ちりょうしゃ初診しょしんではまず、受診じゅしんしたことをおおきないちとしてしっかりとねぎらい、患者かんじゃこまりごとを丁寧ていねい傾聴けいちょうし、その解決かいけつ優先ゆうせんしてサポートするという姿勢しせいで、信頼しんらい関係かんけい構築こうちくすることが重要じゅうようである[41]。そのうえで、以下いかのような心理しんり療法りょうほうおこなっていく。

動機どうきづけ面接めんせつほう

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アルコール依存いぞんしょうをはじめ、依存いぞんしょう全般ぜんぱん動機どうきづけ面接めんせつほう有効ゆうこうせい確認かくにんされている[42]動機どうきづけ面接めんせつほうすすめていくなかで、患者かんじゃ治療ちりょうしゃあいだ共通きょうつう理解りかいえ、治療ちりょう同盟どうめい構築こうちく可能かのうになる[42]動機どうきづけ面接めんせつほうによる対決たいけつてきかかわりと治療ちりょう同盟どうめい治療ちりょうしゃ患者かんじゃ共感きょうかんてき理解りかいしようとするあたたかいまなざしは、たか治療ちりょう効果こうか[42]くわえて、人生じんせい目標もくひょう実現じつげんしたりきなことにんだりできるというだんしゅのメリットを実感じっかんできるよう支援しえんするとともに、短期間たんきかんだんしゅやささいな変化へんか賞賛しょうさんして成功せいこう体験たいけんとして認識にんしきできるようサポートし、患者かんじゃいながらだんしゅへの動機どうき形成けいせい援助えんじょしていく[43]

認知にんち行動こうどう療法りょうほう

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認知にんち行動こうどう療法りょうほう有効ゆうこうせいふるくから確認かくにんされてきた[42]認知にんち行動こうどう療法りょうほうでは、みずからの飲酒いんしゅ衝動しょうどう飲酒いんしゅ行動こうどうのメカニズムをり、衝動しょうどう回避かいひ方法ほうほうやストレスへの対処たいしょ方法ほうほうとうにつけることなどをサポートする[42]。なお、治療ちりょうにあたっては、認知にんち行動こうどう療法りょうほう単独たんどく実施じっしするのではなく、認知にんち行動こうどう療法りょうほう治療ちりょうほう薬物やくぶつ療法りょうほう動機どうきづけ面接めんせつほう自助じじょグループへの参加さんかなど)とわせて実施じっしすることが推奨すいしょうされる[42]

多重たじゅう中毒ちゅうどく

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アルコール依存いぞんでは、そのこう精神せいしんやく依存いぞん治療ちりょうをも必要ひつようなことがある[2][44]患者かんじゃもっとおお共通きょうつうした依存いぞんベンゾジアゼピン依存いぞんしょうであり、研究けんきゅうでは10-20%のアルコール依存いぞん患者かんじゃベンゾジアゼピン乱用らんよう併発へいはつしていた。ベンゾジアゼピンけいはアルコールへの欲求よっきゅう増加ぞうかさせ、また飲酒いんしゅりょうやす[45]。ベンゾジアゼピン依存いぞんベンゾジアゼピン離脱りだつ症候群しょうこうぐんやその健康けんこう問題もんだいけるために注意深ちゅういぶかげんやくおこな必要ひつようがある。

その鎮静ちんせい催眠さいみんやくへの依存いぞんゾルピデムゾピクロンオピエート違法いほう薬物やくぶつなどもアルコール依存いぞんしょうでは一般いっぱんてきである。

アルコールは鎮静ちんせい催眠さいみんやくであり、バルビツールさんベンゾジアゼピンベンゾジアゼピンけいなど鎮静ちんせい催眠さいみんざい交差こうさたいせいがある。催眠さいみん鎮静ちんせいやくからの離脱りだつ医学いがくてき重症じゅうしょうであり、慎重しんちょう管理かんりなしでは精神病せいしんびょうまたは発作ほっさ危険きけんせいがある。

疫学えきがく

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アルコール使用しよう障害しょうがいによる10まんにんあたり障害しょうがい調整ちょうせい生命せいめいねん(2004ねん

WHOは2010ねんに、世界せかいのアルコール依存いぞん患者かんじゃは2おく800まんにん(15さい以上いじょう人口じんこうの4.1%)との推定すいてい発表はっぴょうしている[46][47]

米国べいこく患者かんじゃすうは200まんにん推定すいていされ、毎年まいとし8.8まんにん死者ししゃしている[2]

英国えいこくでは、成人せいじん人口じんこうの24%以上いじょう危険きけん飲酒いんしゅパターンにあるとされ、成人せいじんの4%はアルコール依存いぞん男性だんせい6%、女性じょせい2%)であるが、しかし年間ねんかんやく6%しか治療ちりょうにつながっていない[3]労働ろうどうしゃのアルコール依存いぞんによる労働ろうどう時間じかん逸失いっしつは、英国えいこくでは年間ねんかんおよそ110まんにち(12おくポンド)にのぼると推定すいていされている[48]

日本にっぽんでは、2003ねん精神せいしん病院びょういんにおける「アルコール使用しようによる精神せいしんおよ行動こうどう障害しょうがい」による入院にゅういん患者かんじゃすうは2,751にんであった[49]。アルコール依存いぞんによる生活せいかつ保護ほご受給じゅきゅうしゃは1まんにんほど、平均へいきん年齢ねんれいは57さいであった(2015ねん[50]

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2002ねん米国べいこく国立こくりつアルコール乱用らんよう依存いぞんしょう研究所けんきゅうじょは、アルコール依存いぞんしょう会合かいごう参加さんかする4,422にんのグループにたいして調査ちょうさおこなった。結果けっか、1ねんには一部いちぶ人々ひとびとていリスクの飲酒いんしゅおこなっていると著者ちょしゃ判断はんだんしたが、いまだ25.5%のグループは治療ちりょうけていた。詳細しょうさいは、25%はいま依存いぞんのまま、27.3%はいくつか症状しょうじょうのこっており部分ぶぶん寛解かんかい、11.8%は症状しょうじょうあらわれることなく飲酒いんしゅつづけている(飲酒いんしゅ再発さいはつ可能かのうせい増加ぞうかさせる)、35.9%完全かんぜん回復かいふく、17.7%はていリスク飲酒いんしゅしゃ、18.2%はだんしゅ[51]

社会しゃかいてき状況じょうきょう

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15さい以上いじょう成人せいじん人口じんこうあたり年間ねんかん飲酒いんしゅりょう(リットル)[52]

フランススウェーデンなど複数ふくすう先進せんしんこくにおいては、企業きぎょうがアルコール飲料いんりょうをテレビCMによって販売はんばい促進そくしんすることを法律ほうりつによって禁止きんししている。北欧ほくおう諸国しょこくでは、アルコールは国営こくえい企業きぎょうによる専売せんばいせいである。なお酒類しゅるい自動じどう販売はんばい日本にっぽんにしか存在そんざいしない[4]

ベラルーシではアルコール依存いぞんしょう社会しゃかい問題もんだいになっており[53]、2010ねんのWHOの統計とうけいによるとアルコール依存いぞんしょう患者かんじゃ割合わりあいぜん国民こくみんちゅう11%と統計とうけい対象たいしょうとなる190ヶ国かこくちゅう1偏差へんさにして102.1という深刻しんこく状況じょうきょうにあった。アルコール依存いぞんしょうによる無業者むぎょうしゃ問題もんだいとなっていたため、2015ねんにはすくなくとも半年はんとしあいだしょくかず、納税のうぜいしていない国民こくみん罰金ばっきんあらたな法令ほうれい成立せいりつした。罰金ばっきんすくなくとも252あめりかドルやく3まんえん)で、支払しはらわない場合ばあい拘束こうそくされ、地域ちいき社会しゃかいでの奉仕ほうし活動かつどうめいじられる[54]

日本にっぽんでは2014ねん1がつアルコール健康けんこう障害しょうがい対策たいさく基本きほんほう成立せいりつし、くにおよび都道府県とどうふけんは、アルコール問題もんだいへの対策たいさく計画けいかく策定さくていすることがもとめられることとなった(12、14じょう)。また国民こくみんは、アルコール関連かんれん問題もんだい(アルコール健康けんこう障害しょうがいおよびこれに関連かんれんしてしょうずる飲酒いんしゅ運転うんてん暴力ぼうりょく虐待ぎゃくたい自殺じさつとう問題もんだい)にかんする関心かんしん理解りかいふかめ、アルコール健康けんこう障害しょうがい予防よぼう必要ひつよう注意ちゅういはらうようつとめなければならないとされた(7じょう)。11月10にちから16にちまでが、アルコール関連かんれん問題もんだい啓発けいはつ週間しゅうかんさだめられている(10じょう)。

アルコール依存いぞんしょうをテーマにした作品さくひん

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脚注きゃくちゅう

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参考さんこう文献ぶんけん

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臨床りんしょうガイドライン
国際こくさい機関きかん政府せいふ機関きかん

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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自助じじょグループ, 治療ちりょう共同きょうどうたい