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肝硬変 かんこうへん (かんこうへん)は、肝 かん 細胞 さいぼう が繰 く り返 かえ し大量 たいりょう に死 し んで減少 げんしょう し、その補修 ほしゅう の際 さい に線維 せんい 組織 そしき によって置換 ちかん (線維 せんい 化 か )された結果 けっか 、肝臓 かんぞう が硬 かた く変化 へんか し、さらに線維 せんい 組織 そしき によって残存 ざんそん している肝 きも 細胞 さいぼう まで締 し め付 つ けられ、本来 ほんらい は滑 なめ らかな肝臓 かんぞう の表面 ひょうめん がデコボコに変形 へんけい した状態 じょうたい である。肝硬変 かんこうへん になると、肝臓 かんぞう に残存 ざんそん する肝 きも 細胞 さいぼう の数 かず が限 かぎ られる上 うえ に、硬 かた くなった肝臓 かんぞう への血 ち 流量 りゅうりょう は減少 げんしょう するために、肝 きも 機能 きのう は低下 ていか する。ただし、生体 せいたい の恒常 こうじょう 性 せい は保 たも てる程度 ていど の肝 かん 機能 きのう 低下 ていか で済 す んでいる代償 だいしょう 性 せい 肝硬変 かんこうへん と、もはや生体 せいたい の恒常 こうじょう 性 せい を保 たも ち切 き れないほどに肝 かん 機能 きのう 低下 ていか が進 すす んだ非 ひ 代償 だいしょう 性 せい 肝硬変 かんこうへん がある。いずれにしても、肝硬変 かんこうへん は慢性 まんせい 肝 きも 疾患 しっかん の終末 しゅうまつ 像 ぞう で不 ふ 可逆 かぎゃく 的 てき な病変 びょうへん であり、治癒 ちゆ は望 のぞ めず、その先 さき に待 ま っているのは肝不全 かんふぜん に引 ひ き続 つづ いての死 し である。なお、肝硬変 かんこうへん になると、肝臓 かんぞう がん も発生 はっせい しやすい状態 じょうたい となる他 ほか 、様々 さまざま な合併症 がっぺいしょう も出現 しゅつげん してくることが普通 ふつう であり、合併症 がっぺいしょう によって死亡 しぼう することもある。したがって、肝硬変 かんこうへん になる前 まえ に、肝硬変 かんこうへん を引 ひ き起 お こす原因 げんいん を取 と り除 のぞ く治療 ちりょう を行 おこな って、肝硬変 かんこうへん を予防 よぼう することが重要 じゅうよう である。肝硬変 かんこうへん になっていなければ、肝臓 かんぞう は再生 さいせい 能力 のうりょく が高 たか い臓器 ぞうき であるため治癒 ちゆ も望 のぞ める。肝硬変 かんこうへん になってからの治療 ちりょう は、線維 せんい 化 か した細胞 さいぼう は正常 せいじょう な肝 かん 細胞 さいぼう に戻 もど る事 こと はないため、残存 ざんそん する肝 きも 機能 きのう を可能 かのう な限 かぎ り長 なが く維持 いじ し、合併症 がっぺいしょう の出現 しゅつげん を防止 ぼうし する、延命 えんめい 治療 ちりょう が中心 ちゅうしん となる。
ウイルス性 せい 肝炎 かんえん (B型 がた 肝炎 かんえん 、C型 がた 肝炎 かんえん など)、アルコール性 せい 肝 きも 疾患 しっかん 、原発 げんぱつ 性 せい 胆汁 たんじゅう 性 せい 胆 きも 管 かん 炎 えん 、原発 げんぱつ 性 せい 硬化 こうか 性 せい 胆 きも 管 かん 炎 えん 、鉄 てつ の過剰 かじょう による臓器 ぞうき 損傷 そんしょう [1] 、自己 じこ 免疫 めんえき 性 せい 肝炎 かんえん 、ウィルソン病 びょう などの慢性 まんせい 肝 きも 疾患 しっかん が原因 げんいん となり、あるいはこれらの疾患 しっかん が進行 しんこう した終末 しゅうまつ 像 ぞう である[2] 。2002年 ねん 現在 げんざい 、日本 にっぽん には約 やく 40万 まん 人 にん の肝硬変 かんこうへん 患者 かんじゃ がおり、60%がC型 がた 肝硬変 かんこうへん 、15%がB型 がた 肝硬変 かんこうへん 、12%がアルコール性 せい 肝硬変 かんこうへん である[3] 。かつては日本 にっぽん でも日本 にっぽん 住 じゅう 血 ち 吸虫 の有 ゆう 病 びょう 地 ち において、虫 むし 卵 たまご と栄養 えいよう 不良 ふりょう を原因 げんいん とする肝硬変 かんこうへん もみられた。最近 さいきん ではメタボリックシンドローム に関連 かんれん した非 ひ アルコール性 せい 脂肪 しぼう 性 せい 肝炎 かんえん (NASH) が原因 げんいん として注目 ちゅうもく されている。
症状 しょうじょう ・所見 しょけん [ 編集 へんしゅう ]
肝硬変 かんこうへん になった肝臓 かんぞう の顕微鏡 けんびきょう 写真 しゃしん 。トリクローム染色 せんしょく (英語 えいご 版 ばん ) によって線維 せんい 組織 そしき を青 あお く染 そ めてある。肝 きも 細胞 さいぼう が線維 せんい 組織 そしき によって締 し め付 つ けられている様子 ようす が見 み て取 と れる。
アルコール性 せい 肝硬変 かんこうへん になった肝臓 かんぞう の顕微鏡 けんびきょう 写真 しゃしん 。トリクローム染色 せんしょく によって線維 せんい 組織 そしき を青 あお く染 そ めてある。こちらも肝 きも 細胞 さいぼう が線維 せんい 組織 そしき によって締 し め付 つ けられている。さらに、過度 かど の飲酒 いんしゅ 者 しゃ にありがちな脂肪 しぼう 肝 きも の所見 しょけん である脂肪 しぼう 空 そら 胞(赤 あか く見 み える肝 きも 細胞 さいぼう の中 なか に見 み える丸 まる く抜 ぬ けた白 しろ い場所 ばしょ )も見 み える。
肝硬変 かんこうへん であっても、代償 だいしょう 性 せい 肝硬変 かんこうへん の段階 だんかい であれば、肝臓 かんぞう などに異常 いじょう 所見 しょけん はあっても、患者 かんじゃ にはほとんど症状 しょうじょう が出 で ないこともあれば、食欲 しょくよく 不振 ふしん 、易 えき 疲労 ひろう 感 かん (疲 つか れやすくなる)と言 い った、幾 いく つかの症状 しょうじょう が見 み られる程度 ていど であったりすることもある。肝臓 かんぞう は能力 のうりょく に余裕 よゆう のある臓器 ぞうき であり、たとえ肝 かん 細胞 さいぼう が少々 しょうしょう 減少 げんしょう したり、機能 きのう 低下 ていか したりしても、ある程度 ていど はホメオスタシス を保 たも てるためである。しかし、肝 きも 機能 きのう の低下 ていか が限界 げんかい を超 こ えて、非 ひ 代償 だいしょう 性 せい 肝硬変 かんこうへん に進行 しんこう すると、患者 かんじゃ は多彩 たさい な症状 しょうじょう に襲 おそ われる[4] 。
肝硬変 かんこうへん が進行 しんこう すると、体重 たいじゅう 減少 げんしょう 、手 て 掌 てのひら 紅 べに 斑 まだら (palmer erythema、掌 てのひら の小指 こゆび 側 がわ の紅潮 こうちょう )が見 み られる場合 ばあい もある。腹部 ふくぶ 超 ちょう 音波 おんぱ 検査 けんさ などで肝硬変 かんこうへん に至 いた った肝臓 かんぞう を見 み た場合 ばあい 、本来 ほんらい は比較的 ひかくてき 滑 なめ らかな表面 ひょうめん をしているはずの肝臓 かんぞう は、表面 ひょうめん に凹凸 おうとつ が見 み られるようになる。肝硬変 かんこうへん はヒト以外 いがい の動物 どうぶつ にも起 お こり得 え る病変 びょうへん であり、動物 どうぶつ 種 しゅ によって肝臓 かんぞう の形状 けいじょう にこそ違 ちが いはあるものの、肝硬変 かんこうへん になると肝臓 かんぞう の表面 ひょうめん に凹凸 おうとつ が現 あらわ れるのは共通 きょうつう である。なお、肝硬変 かんこうへん に至 いた ったヒトの肝臓 かんぞう は、左 ひだり 葉 は が腫 しゅ 大 だい し、右 みぎ 葉 は が萎縮 いしゅく した形状 けいじょう に変化 へんか しているのが観察 かんさつ される。場合 ばあい によっては、鳩尾 みずおち (みぞおち)付近 ふきん に、硬 かた く変形 へんけい した肝臓 かんぞう を、皮膚 ひふ の上 うえ からでも触 さわ 知 ち 可能 かのう なこともある。また、肝臓 かんぞう が硬 かた く変化 へんか したために、特 とく に門 もん 脈 みゃく から肝臓 かんぞう への血液 けつえき が流入 りゅうにゅう しにくくなるため、門 もん 脈 みゃく 圧 あつ 亢進 こうしん 症 しょう が起 お きてくる。脾臓 ひぞう からの血液 けつえき は門 もん 脈 みゃく へと流 なが れ込 こ むようになっている関係 かんけい で、門 もん 脈 みゃく 圧 あつ 亢進 こうしん によって脾腫 と呼 よ ばれる状態 じょうたい になることもある。その上 うえ 、門 もん 脈 みゃく に溜 た まった血液 けつえき は、硬 かた くなった肝臓 かんぞう を迂回 うかい して心臓 しんぞう に戻 もど るべく挙動 きょどう するため、痔核 じかく 、食道 しょくどう 静脈 じょうみゃく 瘤 こぶ 、メデューサの頭 あたま と呼 よ ばれる腹部 ふくぶ 静脈 じょうみゃく の怒張 どちょう 、クモ状 じょう 血管腫 けっかんしゅ (vascular spider)が見 み られることもある。さらに、門 もん 脈 みゃく から血漿 けっしょう 成分 せいぶん が血管 けっかん 外 がい に出 で るなどして、腹水 ふくすい を生 しょう じ、腹部 ふくぶ が膨満することもある。肝 きも 機能 きのう の低下 ていか に伴 ともな って、肝臓 かんぞう で合成 ごうせい されるアルブミンなどの血漿 けっしょう タンパク質 たんぱくしつ の合成 ごうせい 量 りょう が減少 げんしょう してくると、血液 けつえき の正常 せいじょう な浸透 しんとう 圧 あつ を維持 いじ できなくなり、血液 けつえき からは水分 すいぶん が血管 けっかん 外 がい へと出 で てゆきやすくなるわけだが、これも腹水 ふくすい を増加 ぞうか させ、胸水 きょうすい まで見 み られるようになる場合 ばあい もある。血液 けつえき からの血管 けっかん 外 がい へ水分 すいぶん が出 で やすくなったことに伴 ともな って浮腫 ふしゅ が見 み られるようになり、特 とく に下肢 かし の浮腫 ふしゅ は目立 めだ ってくる。肝硬変 かんこうへん に伴 ともな う血液 けつえき の異常 いじょう はこれに留 と まらない。脾腫に伴 ともな って、脾臓 ひぞう の機能 きのう が亢進 こうしん するために、赤血球 せっけっきゅう 破壊 はかい の亢進 こうしん や血小板 けっしょうばん の分布 ぶんぷ 異常 いじょう [5] [6] などにより惹起 じゃっき される、汎 ひろし 血球 けっきゅう 減少 げんしょう 症 しょう を来 き たすこともある。赤血球 せっけっきゅう の破壊 はかい 亢進 こうしん によって、貧血 ひんけつ やビリルビン の大量 たいりょう 遊離 ゆうり が起 お きてくる。さらに、血小板 けっしょうばん の分布 ぶんぷ 異常 いじょう によって生 しょう じる循環 じゅんかん 血液 けつえき 内 ない の血小板 けっしょうばん 減少 げんしょう に加 くわ えて、肝臓 かんぞう による血液 けつえき 凝固 ぎょうこ 因子 いんし の合成 ごうせい 量 りょう も低下 ていか するために、出血 しゅっけつ 傾向 けいこう となり、鼻血 はなぢ 、歯茎 はぐき からの出血 しゅっけつ 量 りょう 増加 ぞうか 、皮下 ひか 出血 しゅっけつ に伴 ともな う紫斑 しはん (purpura)、消化 しょうか 管 かん からの出血 しゅっけつ によるタール便 びん (tarry stool)などが見 み られることもある。そして、これらの出血 しゅっけつ によって、貧血 ひんけつ はさらに悪化 あっか する。また、食道 しょくどう 静脈 じょうみゃく 瘤 こぶ の破裂 はれつ などに伴 ともな う消化 しょうか 管 かん 出血 しゅっけつ は、しばしば大量 たいりょう 出血 しゅっけつ を引 ひ き起 お こし、これによって死亡 しぼう する場合 ばあい もある。消化 しょうか 管 かん 出血 しゅっけつ による死 し は免 まぬか れても、吐血 とけつ や下 しも 血 ち 、酷 ひど い匂 にお いのタール便 びん 、貧血 ひんけつ の悪化 あっか などに苦 くる しむことになる。
他 ほか にも、肝 きも 機能 きのう の低下 ていか に伴 ともな って、ビリルビンの処理 しょり や排泄 はいせつ も滞 とどこお り、眼球 がんきゅう の結膜 けつまく が黄色 きいろ くなるといった黄疸 おうだん が現 あらわ れてくる。黄疸 おうだん が酷 ひど くなると、皮膚 ひふ は黄 き 褐色 かっしょく になったり、ややどす黒 ぐろ い色調 しきちょう を示 しめ すようになる。これに対 たい して、肝臓 かんぞう 自体 じたい は胆汁 たんじゅう の鬱 うつ 滞 とどこお によって緑色 みどりいろ を帯 お びてくることがある[7] 。また、胆汁 たんじゅう として排泄 はいせつ されるべき物 もの の排泄 はいせつ が上手 うま くゆかなくなったことで老廃 ろうはい 物 ぶつ が全身 ぜんしん を巡 めぐ り、結果 けっか として、患者 かんじゃ は全身 ぜんしん の痒 かゆ みなどを訴 うった えることもある。肝臓 かんぞう における女性 じょせい ホルモンの処理 しょり 能力 のうりょく も落 お ちるため、男性 だんせい の場合 ばあい は女性 じょせい 化 か 乳房 ちぶさ や精巣 せいそう の萎縮 いしゅく などが起 お こることもある。その他 た の物質 ぶっしつ を肝臓 かんぞう で処理 しょり する能力 のうりょく も落 お ち、タンパク質 たんぱくしつ の代謝 たいしゃ の結果 けっか 生 しょう ずるアンモニア の処理 しょり が滞 とどこお ったことや、主 おも に肝臓 かんぞう で代謝 たいしゃ される芳香 ほうこう 族 ぞく アミノ酸 あみのさん の処理 しょり も滞 とどこお ったことなどが原因 げんいん で、肝 きも 性 せい 脳症 のうしょう を合併 がっぺい し、羽 は ばたき振 ぶ 戦 せん (flapping tremor)が現 あらわ れたり、見当 けんとう 識障害 しょうがい などが出 で ることもあれば、昏睡 こんすい 状態 じょうたい に陥 おちい る場合 ばあい もある。なお、肝不全 かんふぜん が原因 げんいん で死亡 しぼう することもある。その上 うえ 、肝硬変 かんこうへん になった肝臓 かんぞう は肝 かん がん を発症 はっしょう しやすい状態 じょうたい にあり、しばしば肝 かん がんを合併 がっぺい し、肝 かん がんも死因 しいん となり得 え る。
肝硬変 かんこうへん に至 いた った肝臓 かんぞう は、すでに肝 かん 細胞 さいぼう の数 かず が減少 げんしょう していることもあり、何 なん らかの原因 げんいん で新 あら たに肝 かん 細胞 さいぼう が破壊 はかい されたことによって血 ち 中 ちゅう に遊離 ゆうり してくるALT やAST は、軽度 けいど の上昇 じょうしょう に留 とど まっていることが多 おお い。このため、肝硬変 かんこうへん の程度 ていど をはかる指標 しひょう としてALTなどの逸脱 いつだつ 酵素 こうそ を用 もち いることは不適切 ふてきせつ である。
肝硬変 かんこうへん の程度 ていど を見 み る指標 しひょう としては、むしろ肝不全 かんふぜん にどれだけ近 ちか いかを見 み る血液 けつえき 検査 けんさ 項目 こうもく が注目 ちゅうもく される。血小板 けっしょうばん は肝硬変 かんこうへん 早期 そうき から減少 げんしょう 傾向 けいこう を示 しめ し、肝不全 かんふぜん に近 ちか くなると各種 かくしゅ 老廃 ろうはい 物 ぶつ の肝臓 かんぞう での処理 しょり や排泄 はいせつ や無毒 むどく 化 か が遅 おく れるために、肝臓 かんぞう でのビリルビン の処理 しょり や排泄 はいせつ が滞 とどこお ったことによる血 ち 中 ちゅう の総 そう ビリルビン濃度 のうど が上昇 じょうしょう したり、肝臓 かんぞう での尿素 にょうそ 回路 かいろ が充分 じゅうぶん に動 うご いていないことによる血 ち 中 ちゅう のアンモニア濃度 のうど が上昇 じょうしょう したりする。また、肝不全 かんふぜん に近 ちか くなると肝臓 かんぞう でのタンパク質 たんぱくしつ 合成 ごうせい 能力 のうりょく も落 お ちるために、肝臓 かんぞう で合成 ごうせい される血 ち 中 ちゅう タンパク質 たんぱくしつ が低下 ていか してくる。すなわち、血 ち 中 ちゅう のアルブミン の濃度 のうど 低下 ていか 、血 ち 中 ちゅう のブチリルコリンエステラーゼ の濃度 のうど 低下 ていか などが起 お こる。さらに、肝臓 かんぞう で合成 ごうせい される血液 けつえき 凝固 ぎょうこ 因子 いんし も減少 げんしょう するために、プロトロンビン時間 じかん の延長 えんちょう も起 お きてくる。このように肝臓 かんぞう で合成 ごうせい される血 ち 中 ちゅう タンパク質 たんぱくしつ は、総 そう じて低下 ていか 傾向 けいこう となるために、血清 けっせい 総 そう タンパク (Serum total protein )も低下 ていか 傾向 けいこう となるため、その代償 だいしょう として、γ がんま グロブリン が上昇 じょうしょう してくることもある[8] 。
他 た に、肝硬変 かんこうへん 特有 とくゆう の検査 けんさ として、肝臓 かんぞう の線維 せんい 化 か マーカーであるヒアルロン酸 さん やIV型 がた コラーゲン7S,プロコラーゲンIIIペプチド(P-III-P)も用 もち いられる。これらの異常 いじょう は肝硬変 かんこうへん であることを強 つよ く示唆 しさ する。排泄 はいせつ 能 のう の評価 ひょうか にはインドシアニングリーン静 せい 注 ちゅう 後 ご 15分 ぶん の停滞 ていたい 率 りつ を測定 そくてい することが多 おお い(略号 りゃくごう ICG15 )。
それから、肝硬変 かんこうへん に伴 ともな って門 もん 脈 みゃく から肝臓 かんぞう への血 ち 流 りゅう が入 はい りにくくなった結果 けっか 、門 もん 脈 みゃく 圧 あつ が上昇 じょうしょう したことによって、しばしば脾腫 を生 しょう ずる。脾腫に伴 ともな って、しばしば脾臓 ひぞう の機能 きのう は亢進 こうしん し、結果 けっか として、必要 ひつよう 以上 いじょう に血球 けっきゅう が破壊 はかい され、すなわち、赤血球 せっけっきゅう 、血小板 けっしょうばん などが総 そう じて減少 げんしょう 傾向 けいこう となる汎 ひろし 血球 けっきゅう 減少 げんしょう 症 しょう が見 み られる場合 ばあい もある。
他 た に特筆 とくひつ すべきこととして、肝硬変 かんこうへん 患者 かんじゃ は糖尿 とうにょう 病 びょう を合併 がっぺい する場合 ばあい があるため、糖尿 とうにょう 病 びょう の指標 しひょう が注目 ちゅうもく されることもある。血糖 けっとう 値 ち を下 さ げるホルモンであるインスリンが肝硬変 かんこうへん になった肝臓 かんぞう に来 き たとしても、肝臓 かんぞう でグリコーゲンを合成 ごうせい するなどして血糖 けっとう 値 ち を下 さ げることが難 むずか しくなることが一因 いちいん である。この結果 けっか 、食後 しょくご 高 だか 血糖 けっとう が起 お こりやすくなり、HbA1c(ヘモグロビンA1c分 ぶん 画 が )の上昇 じょうしょう も見 み られることがある。ただし、肝硬変 かんこうへん 患者 かんじゃ は低 てい 血糖 けっとう も起 お こしやすくなる。これは、肝硬変 かんこうへん になった肝臓 かんぞう は、グルカゴン、成長 せいちょう ホルモン、糖 とう 質 しつ コルチコイドといった血糖 けっとう 値 ち を上昇 じょうしょう させるホルモンが来 き ても、肝臓 かんぞう に蓄 たくわ えることのできるグリコーゲンの量 りょう が減少 げんしょう するためグリコーゲンの分解 ぶんかい による血糖 けっとう 値 ち 維持 いじ を続 つづ けることが難 むずか しくなる上 うえ に、肝臓 かんぞう においてコリ回路 かいろ をはじめとする糖 とう 新生 しんせい の能力 のうりょく も低下 ていか するためである。
なお、肝硬変 かんこうへん の原因 げんいん を探 さぐ るための血液 けつえき 検査 けんさ 項目 こうもく としては、ウイルス学 がく 的 てき 検査 けんさ (HBV 抗原 こうげん ・抗体 こうたい , HCV 抗体 こうたい など)、自己 じこ 免疫 めんえき 学 がく 的 てき 検査 けんさ (ANA(Anti-Nuclear Antibody :抗 こう 核 かく 抗体 こうたい )、AMA(Anti-Mitochondrial Antibody :抗 こう ミトコンドリア抗体 こうたい )、AMA-M2分 ふん 画 が =抗 こう PDH抗体 こうたい など)などを行 おこな う。
線維 せんい 化 か の進展 しんてん を予測 よそく できる指標 しひょう として FIB-4 index がある[9] [10] 。
FIB-4 index 算出 さんしゅつ 方法 ほうほう
( AST
×
{\displaystyle \times }
年齢 ねんれい )
÷
{\displaystyle \div }
( 血小板 けっしょうばん 数 すう
×
A
L
T
{\displaystyle {\rm {\times {\sqrt {ALT}}}}}
)
注記 ちゅうき :AST 及 およ び ALT は、IU/L。血小板 けっしょうばん 数 すう は、109 /L (0.1万 まん /μ みゅー L)
2.67以上 いじょう 、肝 かん 線維 せんい 化 か 確実 かくじつ で NASH の可能 かのう 性 せい が高 たか い。要 よう 肝 きも 生 せい 検 けん [11]
ALT値 ち が基準 きじゅん 値 ち 内 ない であっても NAFLD の場合 ばあい は、1.659以上 いじょう (≧)、肝 きも 線維 せんい 化 か の可能 かのう 性 せい [12]
1.3以下 いか 、肝 かん 線維 せんい 化 か なし。経過 けいか 観察 かんさつ [11]
肝 きも 生 せい 検 けん では、再生 さいせい 結節 けっせつ を伴 ともな う線維 せんい 化 か した肝 かん 組織 そしき を認 みと める。再生 さいせい 結節 けっせつ の大 おお きさが3 mmより小 ちい さいものは小 しょう 結節 けっせつ 性 せい 肝硬変 かんこうへん と分類 ぶんるい され、アルコール性 せい 肝硬変 かんこうへん に多 おお くみられる。3 mm以上 いじょう のものは大 だい 結節 けっせつ 性 せい 肝硬変 かんこうへん と分類 ぶんるい され、ウイルス性 せい 肝硬変 かんこうへん に多 おお く見 み られる。ただし、超 ちょう 音波 おんぱ 検査 けんさ や腹部 ふくぶ CT検査 けんさ などの非 ひ 侵 おかせ 襲 かさね 的 てき な画像 がぞう 診断 しんだん 技術 ぎじゅつ の進歩 しんぽ に伴 ともな い、侵 おかせ 襲 かさね 的 てき な肝 きも 生 せい 検 けん は、肝硬変 かんこうへん に診断 しんだん において意義 いぎ が薄 うす れつつある。肝 きも 生 せい 検 けん が必要 ひつよう とされるのは、肝硬変 かんこうへん に伴 ともな って肝 かん がんと見 み られる腫瘍 しゅよう 組織 そしき らしきものが画像 がぞう 診断 しんだん で発見 はっけん された時 とき である。
上部 じょうぶ 消化 しょうか 管 かん 内視鏡 ないしきょう 検査 けんさ [ 編集 へんしゅう ]
上部 じょうぶ 消化 しょうか 管 かん 内視鏡 ないしきょう 検査 けんさ にて、食道 しょくどう や胃 い の静脈 じょうみゃく 瘤 こぶ を定期 ていき 的 てき に調 しら べることは、静脈 じょうみゃく 瘤 こぶ 破裂 はれつ に伴 ともな う大 だい 出血 しゅっけつ による突然 とつぜん 死 し を防 ふせ ぐために、必要 ひつよう だとされている。
画像 がぞう 診断 しんだん (CT、超 ちょう 音波 おんぱ など)[ 編集 へんしゅう ]
腫 しゅ 大 たい した肝 きも 左 ひだり 葉 は と萎縮 いしゅく した肝 かん 右 みぎ 葉 は 、mesh pattern (小網 こあみ 目 め 状 じょう )の実質 じっしつ 、鈍化 どんか した辺 あたり 縁 えん 、肝 かん 表面 ひょうめん の凹凸 おうとつ が 腹部 ふくぶ 超 ちょう 音波 おんぱ 検査 けんさ や腹部 ふくぶ CT検査 けんさ で共通 きょうつう にみられる典型 てんけい 的 てき な肝硬変 かんこうへん 像 ぞう である。左 ひだり 葉 は の腫 しゅ 大 だい については、腹部 ふくぶ 超 ちょう 音波 おんぱ 検査 けんさ で尾 お 状 じょう 葉 は (S1)が大動脈 だいどうみゃく の位置 いち まで達 たっ していれば、左 ひだり 葉 は 腫 しゅ 大 だい と判定 はんてい する。なお、「アルコール性 せい 肝硬変 かんこうへん 」では、再生 さいせい 結節 けっせつ が小 ちい さく均一 きんいつ に分布 ぶんぷ するため、両 りょう 葉 は が腫 しゅ 大 だい し、実質 じっしつ は粗 あら くなく、表面 ひょうめん の凹凸 おうとつ も目立 めだ たない。
腹部 ふくぶ 超 ちょう 音波 おんぱ 検査 けんさ では、肝臓 かんぞう の再生 さいせい 結節 けっせつ 、門 もん 脈 みゃく 圧 あつ 亢進 こうしん を反映 はんえい した胆嚢 たんのう 壁 かべ の肥厚 ひこう を認 みと める。これは胆嚢 たんのう 静脈 じょうみゃく が、門 もん 脈 みゃく に還流 かんりゅう するためである。門 もん 脈 みゃく 圧 あつ 亢進 こうしん に伴 ともな って、傍 はた 臍 ほぞ 静脈 じょうみゃく や左 ひだり 胃 い 静脈 じょうみゃく の拡張 かくちょう ・脾後腹膜 ふくまく 短 たん 路 ろ など、側 がわ 副 ふく 血行 けっこう 路 ろ の形成 けいせい も認 みと める。また、しばしば腹水 ふくすい が見 み られる。
肝硬変 かんこうへん にはしばしば肝 かん 細胞 さいぼう 癌 がん が合併 がっぺい するが、造影 ぞうえい 剤 ざい を用 もち いたダイナミックCT・MRI検査 けんさ や超 ちょう 音波 おんぱ ドップラー法 ほう などで、癌 がん 組織 そしき 内 ない の血 ち 流 りゅう を評価 ひょうか する検査 けんさ が癌 がん の診断 しんだん に有用 ゆうよう である。
残存 ざんそん 肝 きも 機能 きのう の程度 ていど を評価 ひょうか するものとして以下 いか の 「Child-Pugh (チャイルド・ピュー) 分類 ぶんるい 」または「肝 きも 障害 しょうがい 度 ど 分類 ぶんるい 」が一般 いっぱん 的 てき に用 もち いられている[13] 。
Child-Pugh分類 ぶんるい (Child-Turcotte分類 ぶんるい 改 あらため )
1点 てん
2点 てん
3点 てん
肝 きも 性 せい 脳症 のうしょう
無 な し
軽度 けいど
昏睡 こんすい あり
腹水 ふくすい
無 な し
少量 しょうりょう
中 ちゅう 等量 とうりょう 以上 いじょう
アルブミン (Alb:g/dl)
3.5 超 ちょう
3.5-2.8
2.8 未満 みまん
プロトロンビン 時間 じかん (PT:%)
70 超 ちょう <
70-40
40 未満 みまん
ビリルビン (T-Bil:mg/dl)
2.0 未満 みまん
2.0-3.0
3.0 超 ちょう
合計 ごうけい 点 てん で、A : 5-6 , B : 7-9 , C : 10-15 の分類 ぶんるい を行 おこな う。
MELD score(Model for end-stage liver disease)
血清 けっせい ビリルビン 値 ね ・クレアチニン 値 ね ・プロトロンビン 時間 じかん (PT-INR)によって算出 さんしゅつ される肝 きも 機能 きのう 予 よ 後 ご 評価 ひょうか 式 しき 。メイヨークリニック のサイトで自動 じどう 計算 けいさん 可能 かのう 。また血清 けっせい ナトリウム (Na)を加味 かみ するものもある。
肝 かん 障害 しょうがい 度 ど 分類 ぶんるい [14]
肝 かん 障害 しょうがい 度 ど
A
B
C
腹水 ふくすい
ない
治療 ちりょう 効果 こうか あり
治療 ちりょう 効果 こうか 少 すく ない
血清 けっせい ビリルビン値 ち (mg/dL)
2.0未満 みまん
2.0-3.0
3.0超 ちょう
血清 けっせい アルブミン値 ち (g/dL)
3.5 超 ちょう
3.0-3.5
3.0未満 みまん
ICGR15(%)
15未満 みまん
15-40
40超 ちょう
プロトロンビン活性 かっせい 値 ち (%)
80超 ちょう
50-80
50未満 みまん
2項目 こうもく 以上 いじょう に該当 がいとう した肝 かん 障害 しょうがい 度 ど が2カ所 かしょ 以上 いじょう にある場合 ばあい は、高 たか い方 ほう の肝 かん 障害 しょうがい 度 ど に分類 ぶんるい される。
主 おも な合併症 がっぺいしょう [ 編集 へんしゅう ]
最 もっと も多 おお い合併症 がっぺいしょう は門 もん 脈 みゃく 圧 あつ 亢進 こうしん 症 しょう 。ほかに、肺 はい 高 だか 血圧 けつあつ 症 しょう や血液 けつえき 疾患 しっかん など。
門 もん 脈 みゃく 圧 あつ 亢進 こうしん 症 しょう により食道 しょくどう 、胃 い 、直腸 ちょくちょう 静脈 じょうみゃく 瘤 こぶ からの消化 しょうか 管 かん 出血 しゅっけつ や門 もん 脈 みゃく 圧 あつ 亢進 こうしん 性 せい 胃 い 症 しょう 腹水 ふくすい 、急性 きゅうせい 腎 じん 障害 しょうがい などの症状 しょうじょう が現 あらわ れる[4] 。
心 こころ 血管 けっかん 系 けい 合併症 がっぺいしょう により、血管 けっかん 拡張 かくちょう 、肺 はい 内 ない 右左 みぎひだり 短絡 たんらく 、低 てい 酸素 さんそ 症 しょう (肝 きも 肺 はい 症候群 しょうこうぐん )[4] 。
肺 はい 高 だか 血圧 けつあつ 症 しょう
血液 けつえき 疾患 しっかん により、貧血 ひんけつ 、脾機能 きのう 亢進 こうしん 症 しょう 、慢性 まんせい 消化 しょうか 管 かん 出血 しゅっけつ 、葉酸 ようさん 欠乏症 けつぼうしょう [4] 。
肝硬変 かんこうへん に至 いた った肝臓 かんぞう を元 もと に戻 もど すことは不可能 ふかのう なため、その治療 ちりょう は基本 きほん 的 てき に対症療法 たいしょうりょうほう が行 おこな われ、合併症 がっぺいしょう の発生 はっせい を避 さ けるといったことが主 おも に行 おこな われる。また、食事 しょくじ 制限 せいげん を行 おこな うことによって、肝硬変 かんこうへん の進行 しんこう を少 すこ しでも遅 おく らせたり、合併症 がっぺいしょう を防 ふせ ぐといったことも行 おこな われる。これらによって肝硬変 かんこうへん 患者 かんじゃ の延命 えんめい を図 はか る。なお、肝硬変 かんこうへん に至 いた った原因 げんいん によっては、それに応 おう じた治療 ちりょう が行 おこな われることもある。
一般 いっぱん 的 てき な治療 ちりょう [ 編集 へんしゅう ]
肝不全 かんふぜん 用 よう のアミノ酸 あみのさん 製剤 せいざい の例 れい
肝硬変 かんこうへん は、一般 いっぱん に飲酒 いんしゅ によって悪化 あっか するため、食事 しょくじ 制限 せいげん の1つとして、節酒 せっしゅ ではなく一切 いっさい の飲酒 いんしゅ を禁 きん ずる断 だん 酒 しゅ が含 ふく まれることが通常 つうじょう である。他 ほか にも、肝臓 かんぞう において尿素 にょうそ 回路 かいろ が充分 じゅうぶん に機能 きのう しないために高 こう アンモニア血 ち 症 しょう (英語 えいご 版 ばん ) を生 しょう じないように、体内 たいない でのアンモニアの発生 はっせい を減 へ らす処置 しょち が行 おこな われる場合 ばあい がある。よって、タンパク質 たんぱくしつ がエネルギーとして利用 りよう された時 とき に生 しょう ずるアンモニアを減 へ らすための食事 しょくじ 制限 せいげん も行 おこな われ得 え る。さらに、ラクツロース を経口 けいこう 投与 とうよ することで、これが腸 ちょう 内 ない で分解 ぶんかい されて腸 ちょう 内 ない のpHを低下 ていか させることによって、腸 ちょう 内 ない のアンモニアをイオン化 いおんか させて吸収 きゅうしゅう されにくくするといったことも行 おこな われる。他 た に、腸管 ちょうかん 内 ない で腸 ちょう 内 ない 細菌 さいきん によってアンモニアが遊離 ゆうり されることを防 ふせ ぐために、経口 けいこう 投与 とうよ してもほとんど吸収 きゅうしゅう されない抗菌 こうきん 薬 やく を経口 けいこう 投与 とうよ して腸 ちょう 内 ない 細菌 さいきん を殺菌 さっきん するといったことが行 おこな われる場合 ばあい もある。
また、肝硬変 かんこうへん に伴 ともな う高 こう アンモニア血 ち 症 しょう の他 ほか に、肝臓 かんぞう でのアミノ酸 あみのさん 代謝 たいしゃ 能力 のうりょく が低下 ていか したことによって、芳香 ほうこう 族 ぞく 性 せい の側 がわ 鎖 くさり を持 も ったアミノ酸 あみのさん が蓄積 ちくせき したことなども合 あ わさって発症 はっしょう する肝 きも 性 せい 脳症 のうしょう を防 ふせ ぐために、上記 じょうき の他 ほか に、分岐 ぶんき 鎖 くさり アミノ酸 あみのさん を多 おお く含 ふく み、芳香 ほうこう 族 ぞく アミノ酸 あみのさん の含量が少 すく ない、肝不全 かんふぜん 用 よう のアミノ酸 あみのさん 製剤 せいざい が投与 とうよ される場合 ばあい もある。
肝硬変 かんこうへん に伴 ともな って発生 はっせい した門 もん 脈 みゃく 圧 あつ 亢進 こうしん 症 しょう によって発生 はっせい した脾腫などの結果 けっか として生 しょう ずる、貧血 ひんけつ の改善 かいぜん のためには、鉄剤 てつざい を用 もち いることもあるものの、肝硬変 かんこうへん の原因 げんいん によっては鉄 てつ 過剰 かじょう によって肝 かん 細胞 さいぼう が打撃 だげき を受 う ける可能 かのう 性 せい があるため、慎重 しんちょう さが求 もと められる。また、脾腫による血小板 けっしょうばん 減少 げんしょう と、肝臓 かんぞう による血液 けつえき 凝固 ぎょうこ 因子 いんし 合成 ごうせい 量 りょう の減少 げんしょう に伴 ともな う出血 しゅっけつ 傾向 けいこう については、軽度 けいど であればビタミンK の補充 ほじゅう によって肝臓 かんぞう での血液 けつえき 凝固 ぎょうこ 因子 いんし 合成 ごうせい を促進 そくしん する方法 ほうほう もあるものの、もはや肝臓 かんぞう による血液 けつえき 凝固 ぎょうこ 因子 いんし 合成 ごうせい が望 のぞ めない場合 ばあい は、血液 けつえき 凝固 ぎょうこ 因子 いんし を補充 ほじゅう するために新鮮 しんせん 凍結 とうけつ 血漿 けっしょう の輸血 ゆけつ が行 おこな われることもある。新鮮 しんせん 凍結 とうけつ 血漿 けっしょう の輸血 ゆけつ によって、肝硬変 かんこうへん の肝臓 かんぞう では合成 ごうせい が不足 ふそく しがちになるアルブミンも補充 ほじゅう できる。ただし、この治療 ちりょう を行 おこな うと、輸血 ゆけつ に伴 ともな う感染 かんせん 症 しょう のリスクを患者 かんじゃ は負 お うことになる。
肝硬変 かんこうへん による門 もん 脈 みゃく 圧 あつ 亢進 こうしん 症 しょう の結果 けっか 、脾腫以外 いがい にも様々 さまざま な合併症 がっぺいしょう が現 あらわ れるために、それらの対処 たいしょ が求 もと められる場合 ばあい もある。門 もん 脈 みゃく の流 なが れが悪 わる くなったことなどによって発生 はっせい する腹水 ふくすい については、体液 たいえき 貯留 ちょりゅう を防 ふせ ぐためにも塩分 えんぶん 制限 せいげん を患者 かんじゃ に課 か し、利尿 りにょう 薬 やく の投与 とうよ が試 こころ みられるものの、効果 こうか が不充分 ふじゅうぶん であれば、腹部 ふくぶ に針 はり を刺 さ して直接 ちょくせつ 腹水 ふくすい を抜 ぬ き取 と る場合 ばあい もある。門 もん 脈 みゃく に溜 た まった血液 けつえき が無理 むり に心臓 しんぞう に戻 もど ろうとした結果 けっか 、しばしば痔核 じかく や食道 しょくどう 静脈 じょうみゃく 瘤 こぶ を形成 けいせい する。このうち食道 しょくどう 静脈 じょうみゃく 瘤 こぶ 破裂 はれつ による出血 しゅっけつ は、致死 ちし 的 てき である場合 ばあい もあるために、食道 しょくどう 静脈 じょうみゃく 瘤 こぶ 破裂 はれつ を防止 ぼうし する処置 しょち が試 こころ みられる場合 ばあい もある。これらのように、門 もん 脈 みゃく 圧 あつ 亢進 こうしん は様々 さまざま な合併症 がっぺいしょう を引 ひ き起 お こすため、TIPS(経 けい 頚 けい 静脈 じょうみゃく 的 てき 肝 きも 内 ない 静脈 じょうみゃく 短絡 たんらく 術 じゅつ )が試 こころ みられる場合 ばあい もある。この他 ほか 、肝硬変 かんこうへん に伴 ともな って肝 かん がん が発生 はっせい した場合 ばあい は、その治療 ちりょう が試 こころ みられることもある。
ただし、いずれの治療 ちりょう も肝硬変 かんこうへん の病 やまい 期 き の進行 しんこう に伴 ともな って治療 ちりょう は困難 こんなん になりがちであり、死亡 しぼう に至 いた ることもある。これを避 さ けるために、肝 かん 移植 いしょく が行 おこな われる場合 ばあい もあるものの、仮 かり に肝 きも 移植 いしょく が成功 せいこう したとしても、拒絶 きょぜつ 反応 はんのう を防止 ぼうし するために生涯 しょうがい にわたって免疫 めんえき 抑制 よくせい 剤 ざい を使用 しよう し続 つづ ける必要 ひつよう があるため、患者 かんじゃ は日和見 ひよりみ 感染 かんせん 症 しょう を含 ふく めて感染 かんせん 症 しょう 全般 ぜんぱん に注意 ちゅうい せねばならない。また移植 いしょく 後 ご の長期 ちょうき 経過 けいか の中 なか で、移植 いしょく された肝臓 かんぞう の機能 きのう 低下 ていか など更 さら なる問題 もんだい が出 で てくる場合 ばあい もある。
原因 げんいん 別 べつ の治療 ちりょう [ 編集 へんしゅう ]
以上 いじょう に加 くわ えて、肝硬変 かんこうへん が発生 はっせい した原因 げんいん によって、以下 いか の治療 ちりょう が試 こころ みられたり、特 とく に患者 かんじゃ に強 つよ い食事 しょくじ 制限 せいげん を課 か したりする場合 ばあい がある。
アルコール性 せい 肝硬変 かんこうへん では、まず禁酒 きんしゅ こそが最 もっと も重要 じゅうよう であり、患者 かんじゃ は直 ただ ちに断 だん 酒 しゅ をしなければならない。例 たと えば、アルコール性 せい 脂肪 しぼう 肝 きも であれば可逆 かぎゃく 的 てき なので、一時 いちじ 的 てき な禁酒 きんしゅ によって脂肪 しぼう 肝 きも が解消 かいしょう されれば、適量 てきりょう の飲酒 いんしゅ ならば許 ゆる されるようになる場合 ばあい があるのに対 たい して、肝硬変 かんこうへん に至 いた った肝臓 かんぞう は不 ふ 可逆 かぎゃく 的 てき であるために生涯 しょうがい の断 だん 酒 しゅ が求 もと められる。残存 ざんそん している肝 きも 機能 きのう を可能 かのう な限 かぎ り長 なが く維持 いじ しておくために、断 だん 酒 しゅ は避 さ けられない。なお、その他 た の原因 げんいん による肝硬変 かんこうへん であっても禁酒 きんしゅ は予 よ 後 ご を改善 かいぜん するため、いずれにしても肝硬変 かんこうへん になった場合 ばあい は断 だん 酒 しゅ が求 もと められる。
B型 がた 肝炎 かんえん の結果 けっか 発生 はっせい した肝硬変 かんこうへん では、HBV-DNA陽性 ようせい の場合 ばあい にはエンテカビル などによる、抗 こう B型 がた 肝炎 かんえん ウイルス治療 ちりょう が試 こころ みられる[15] 。なお、5年間 ねんかん にわたるテノフォビル 投与 とうよ により、HBVによる肝硬変 かんこうへん 患者 かんじゃ の約 やく 75%は、肝硬変 かんこうへん が改善 かいぜん していた[16] 。
他 た の病気 びょうき の治療 ちりょう への影響 えいきょう [ 編集 へんしゅう ]
肝硬変 かんこうへん に陥 おちい った患者 かんじゃ は、肝 きも 機能 きのう が低下 ていか するために、もしも、肝硬変 かんこうへん 患者 かんじゃ が肝臓 かんぞう 以外 いがい にも疾患 しっかん を抱 かか えていて、何 なん らかの治療 ちりょう を行 おこな っていた場合 ばあい には、その治療 ちりょう にまで影響 えいきょう を及 およ ぼす場合 ばあい がある。例 たと えば、その疾患 しっかん の治療 ちりょう のために使用 しよう していた薬物 やくぶつ が、肝臓 かんぞう で代謝 たいしゃ されたり、胆汁 たんじゅう へと排泄 はいせつ されることが必要 ひつよう な薬物 やくぶつ であった場合 ばあい 、その薬物 やくぶつ が使用 しよう 不能 ふのう になる可能 かのう 性 せい があるといった具合 ぐあい である。
肝硬変 かんこうへん は、肝臓 かんぞう の不可 ふか 逆 ぎゃく 病変 びょうへん であり、治癒 ちゆ しない。そして肝不全 かんふぜん に陥 おちい った場合 ばあい 、死 し を避 さ けることは難 むずか しい。したがって、残存 ざんそん している肝 きも 機能 きのう をどれだけ維持 いじ できるか、いかに代償 だいしょう 性 せい 肝硬変 かんこうへん の状態 じょうたい を長 なが く維持 いじ できるかによって、予 よ 後 ご は左右 さゆう される。この他 ほか に、腎 じん 機能 きのう が低下 ていか した患者 かんじゃ や、肺 はい 機能 きのう が低下 ていか した患者 かんじゃ では予 よ 後 ご が極 きわ めて悪 わる い。さらに、肝硬変 かんこうへん は肝 かん がん を発症 はっしょう しやすい状態 じょうたい であるため、肝 かん がんを発症 はっしょう して死亡 しぼう に至 いた るケースもある。また、肝硬変 かんこうへん に伴 ともな う出血 しゅっけつ 傾向 けいこう によって、消化 しょうか 管 かん 出血 しゅっけつ 、特 とく に、食道 しょくどう 静脈 じょうみゃく 瘤 こぶ の破裂 はれつ によって急死 きゅうし する場合 ばあい もある。なお、非 ひ 代償 だいしょう 性 せい 肝硬変 かんこうへん に至 いた ったとしても、肝 きも 移植 いしょく が成功 せいこう した患者 かんじゃ の生命 せいめい 予 よ 後 ご は改善 かいぜん される。しかしながら、肝 きも 移植 いしょく を行 おこな った場合 ばあい 、HLA が完全 かんぜん に一致 いっち しない限 かぎ り拒絶 きょぜつ 反応 はんのう を抑 おさ えるための免疫 めんえき 抑制 よくせい を生涯 しょうがい 行 おこな う必要 ひつよう が出 で てくるなど、問題 もんだい もある。
出典 しゅってん ・脚注 きゃくちゅう [ 編集 へんしゅう ]
^ ヘモクロマトーシス 慶應義塾大学 けいおうぎじゅくだいがく 病院 びょういん KOMPAS
^ 肝 かん 疾患 しっかん 診療 しんりょう 実践 じっせん マニュアル 文光 ぶんこう 堂 どう 1995
^ 新 しん 臨床 りんしょう 内 ない 科学 かがく 第 だい 8版 はん
^ a b c d 肝硬変 かんこうへん - 02. 肝胆 かんたん 道 どう 疾患 しっかん MSDマニュアル プロフェッショナル版 ばん
^ 内科 ないか 学 がく 第 だい 10版 はん アプリケーション版 ばん 朝倉書店 あさくらしょてん
^ 河田 かわた 真由子 まゆこ , 川中 かわなか 美和 みわ , 石井 いしい 克憲 かつのり , 勝又 かつまた 諒 りょう , 谷川 たにがわ 朋弘 ともひろ , 浦田 うらた 矩 のり 代 だい , 西野 にしの 謙 けん , 末廣 すえひろ 満彦 みつひこ , 春 はる 間 あいだ 賢 けん , 河本 かわもと 博文 ひろぶみ 「6回 かい の肝 きも 生 せい 検 けん によりNASH肝硬変 かんこうへん への進展 しんてん を血液 けつえき 検査 けんさ と肝 きも 組織 そしき 像 ぞう で対比 たいひ できた1例 れい 」『日本 にっぽん 消化 しょうか 器 き 病 びょう 学会 がっかい 雑誌 ざっし 』第 だい 119巻 かん 第 だい 12号 ごう 、日本 にっぽん 消化 しょうか 器 き 病 びょう 学会 がっかい 、2022年 ねん 12月、1103-1111頁 ぺーじ 、CRID 1390575882595340800 、doi :10.11405/nisshoshi.119.1103 、ISSN 0446-6586 。
^ 10.肝臓 かんぞう (12)肝 かん 細胞 さいぼう 癌 がん (肝硬変 かんこうへん と肝臓 かんぞう がんを併発 へいはつ した肝臓 かんぞう の写真 しゃしん )
^ 今日 きょう の診断 しんだん 指針 ししん 第 だい 6版 はん 医学書院 いがくしょいん 2010
^ 小林 こばやし 伸行 のぶゆき , 都築 つづき 隆 たかし , 萬 まん 造 づくり 時 じ 知子 ともこ ほか、「【原著 げんちょ 】脂肪 しぼう 肝 きも 症例 しょうれい における肝 きも 線維 せんい 化 か 指標 しひょう FIB4 Indexの経時 きょうじ 的 てき 変化 へんか 」 『人間 にんげん ドック (Ningen Dock)』 2014年 ねん 29巻 かん 1号 ごう p.34-41, doi :10.11320/ningendock.29.34
^ FIB-4 index計算 けいさん サイトのご案内 あんない (EAファーマ 提供 ていきょう )(医療 いりょう 従事 じゅうじ 者 しゃ 向 む け) 日本 にっぽん 肝臓 かんぞう 学会 がっかい
^ a b 非 ひ アルコール性 せい 脂肪 しぼう 肝炎 かんえん (NASH:ナッシュ)の 拾 ひろ い上 あ げ第 だい 2 弾 だん “Fib-4 index” (PDF ) 福井県済生会病院 ふくいけんさいせいかいびょういん
^ 脂肪 しぼう 肝 きも の肝硬変 かんこうへん ・肝 かん 細胞 さいぼう 癌 がん への進展 しんてん Web医事 いじ 新報 しんぽう 日本 にっぽん 医事 いじ 新報 しんぽう 社 しゃ
^ 肝 かん がんとともに 日経 にっけい メディカル
^ 一般 いっぱん 向 む け がん情報 じょうほう サービス 肝 きも 細胞 さいぼう がん 国立 こくりつ がんセンター
^ 今日 きょう の治療 ちりょう 指針 ししん 医学書院 いがくしょいん 2009
^ Lancet 2012 Dec 10; [e-pub ahead of print].