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痙攣けいれん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
痙攣けいれん
概要がいよう
診療しんりょう 神経しんけいがく, 精神せいしん医学いがく
分類ぶんるいおよび外部がいぶ参照さんしょう情報じょうほう
ICD-10 R25.2
ICD-9-CM 728.85

痙攣けいれん(けいれん、convulsion)とは、随意ずいい筋肉きんにくはげしく収縮しゅうしゅくすることによってこる発作ほっさ痙攣けいれんのパターンは多種たしゅ多様たようであるが、おおきく全身ぜんしんせい場合ばあいからだ一部分いちぶぶんである場合ばあいとにけることができる。 痙攣けいれん新規しんき発症はっしょうした場合ばあいには、医療いりょう機関きかん受診じゅしんすることが重要じゅうようである。

疫学えきがく

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小児しょうに痙攣けいれんは、熱性ねっせい痙攣けいれん最多さいたである。とく乳幼児にゅうようじでは、発熱はつねつつづ熱性ねっせい痙攣けいれんがしばしばられる。熱性ねっせい痙攣けいれんは6かげつ - 5さいごろおおく、短時間たんじかん発作ほっさである場合ばあいがほとんどである。 成人せいじんでは60さいごろまでは、特発とくはつせいてんかん最多さいた。それ以降いこうのう血管けっかん障害しょうがいによる痙攣けいれんおおく、脳腫瘍のうしゅよう頻度ひんどえる。

痙攣けいれん概念がいねん

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痙攣けいれん (convulsion) とは、全身ぜんしんまたは一部いちぶ筋肉きんにく随意ずいいかつ発作ほっさてき収縮しゅうしゅくしめ症候しょうこうめいである。てんかん (epilepsy) とは病名びょうめいであり、別物べつものである。てんかんの本体ほんたい脳波のうは異常いじょうであり、かならずしも痙攣けいれんともなわない。事実じじつかけしん発作ほっさ痙攣けいれんせいであるが脳波のうは異常いじょうがありてんかんの一種いっしゅである。また脳腫瘍のうしゅようはてんかんではないが痙攣けいれんをおこす。またまぎらわしいことに痙攣けいれん発作ほっさ (seizure) という言葉ことばもある。これも症候しょうこうめいであり、てんかんや精神せいしん疾患しっかん臨床りんしょう症状しょうじょうで、てんかんをおもわせるいちかい痙攣けいれん発作ほっさという意味いみである。

症候しょうこうてき鑑別かんべつ必要ひつよう要素ようそ失神しっしん意識いしき障害しょうがいで、とく失神しっしんとの区別くべつ大切たいせつである。筋肉きんにく収縮しゅうしゅくがあるのか(失神しっしん主体しゅたいすじ脱力だつりょくである)、代謝たいしゃせいアシドーシス筋肉きんにく収縮しゅうしゅくはげしく嫌気いやけせい呼吸こきゅうがおこり代謝たいしゃせいアシドーシスがしょうじる)が存在そんざいするのか、失禁しっきんしつ便びんがあるのか、回復かいふく意識いしき障害しょうがいがあるのか、したんでいたりしないのか、これらは失神しっしんよりも痙攣けいれんつようたがうべき状況じょうきょうである。こういった状況じょうきょう聴取ちょうしゅするために本人ほんにん目撃もくげきしゃはなしをしっかりきくことが重要じゅうようである。これらの区別くべつおこな意義いぎとしては、原因げんいん疾患しっかんおおきくことなるてんにある。失神しっしん循環じゅんかん疾患しっかんおおいのにたいして、痙攣けいれん中枢ちゅうすう神経しんけい病変びょうへんかんがえられることがおおい。失神しっしん痙攣けいれん区別くべつできない場合ばあい意識いしき消失しょうしつ発作ほっさとし、失神しっしん痙攣けいれん両方りょうほう原因げんいん検索けんさくおこなう。また外傷がいしょう検索けんさく失神しっしん場合ばあいおなじようにおこなうことをわすれてはいけない。大抵たいてい意識いしき消失しょうしつともな痙攣けいれんであり、失神しっしん同様どうようたおれるからである。

痙攣けいれん直前ちょくぜん前駆症状ぜんくしょうじょう有無うむ悪心あくしん感覚かんかく異常いじょう)、発作ほっさのどの時点じてん意識いしきもどったのか(救急きゅうきゅうしゃなかか、道路どうろたおれていたか)、てんかん発作ほっさ誘発ゆうはつ因子いんし飲酒いんしゅ疲労ひろう睡眠すいみん不足ふそく女性じょせい場合ばあい月経げっけいとの関連かんれん)は本人ほんにんから聴取ちょうしゅできる。発作ほっさ四肢ししうごきの左右さゆう眼瞼がんけん眼球がんきゅう状態じょうたい、バイタルサインの推移すいいなどは入院にゅういんちゅう発作ほっさでなければわからないこともおおい。

原因げんいん

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痙攣けいれん原因げんいん検索けんさくにおいてもっと重要じゅうようなのがてんかんによるものか、その全身ぜんしんせい疾患しっかんによるものかの区別くべつである。病歴びょうれきにてんかんがない痙攣けいれん初発しょはつ患者かんじゃ場合ばあいはまずは症候しょうこうせいのものを否定ひていするような診断しんだんプランをてる。鉄則てっそくとしてはまずはてい血糖けっとう否定ひていすることである。というのも血糖けっとう検査けんさ最初さいしょおこなわないとわすれてしまううえ、ほかの検査けんさてい血糖けっとう示唆しさする所見しょけんというのはほとんどないからである。

頭部とうぶ
代謝たいしゃ内分泌ないぶんぴつけい

カリウム代謝たいしゃ異常いじょうこうカルシウムしょうでは痙攣けいれんこらない。

血液けつえき免疫めんえきけい
消化しょうかけい
呼吸こきゅうけい
  • てい酸素さんそ脳症のうしょう
神経しんけい皮膚ひふ疾患しっかんははむらしょう
あし脹脛ふくらはぎ(ふくらはぎ))

バレーボールマラソンサイクリングテニスなどのスポーツちゅうきることがある。筋肉きんにく疲労ひろう体内たいない水分すいぶん不足ふそくからだえによる血管けっかん縮小しゅくしょう原因げんいんである。スポーツちゅう以外いがいでも、普通ふつうあるいているときあしばしたときにもこる。現代げんだい医学いがくでは予防よぼうほうくわしい原因げんいん解明かいめいされていないが、ストレッチ柔軟じゅうなん運動うんどう水分すいぶん摂取せっしゅりゅう改善かいぜんなどが有効ゆうこう方法ほうほうおもわれる。「こむら(こむら)がえ」はこむらばら(ひふく)すじ異常いじょう緊張きんちょうによる痙攣けいれんこる。

その

痙攣けいれん(convulsion)の分類ぶんるい

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痙攣けいれん(convulsion)は大脳だいのうニューロンの過剰かじょう放電ほうでん由来ゆらいする急激きゅうげきかつ随意ずいいせいすじ収縮しゅうしゅくであり以下いかの3つがられる。

単純たんじゅん部分ぶぶん発作ほっさにおける痙攣けいれん

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部分ぶぶん発作ほっさでは大脳だいのうニューロンの過剰かじょう放電ほうでんこる部位ぶい発作ほっさ焦点しょうてん)におうじて大脳皮質だいのうひしつ機能きのう局在きょくざいもとづいた症状しょうじょうがおこる。運動うんどう発作ほっさ感覚かんかく発作ほっさ自律じりつ神経しんけい発作ほっさ精神せいしん発作ほっさられている。意識いしき障害しょうがいともなわない部分ぶぶん発作ほっさ単純たんじゅん部分ぶぶん発作ほっさがわあたまなどに発作ほっさ焦点しょうてんをもち意識いしき障害しょうがいともな複雑ふくざつ部分ぶぶん発作ほっさという。発作ほっさ焦点しょうてん前頭葉ぜんとうよう皮質ひしつ運動うんどう領野りょうやにあると部分ぶぶん発作ほっさとして痙攣けいれんしょうじうる。

いち運動うんどう中心ちゅうしん前回ぜんかい)に発作ほっさ焦点しょうてんがある場合ばあい対応たいおうする片側かたがわ顔面がんめん上肢じょうし下肢かし痙攣けいれんしょうじる。間代まだいせい痙攣けいれんは、すじ過剰かじょう収縮しゅうしゅく弛緩しかんをある程度ていど規則きそくてき反復はんぷくするガクガクとした痙攣けいれんである。過剰かじょうすじ収縮しゅうしゅく持続じぞくし、伸展しんてん、すなわちるような、あるいは屈曲くっきょく持続じぞくするのが強直きょうちょくせい痙攣けいれんである。強直きょうちょくせい痙攣けいれんから間代まだいせい痙攣けいれん移行いこうするのが強直きょうちょく間代まだいせい痙攣けいれんである。発作ほっさ焦点しょうてんからはじまった局所きょくしょてき大脳だいのうニューロン過剰かじょう放電ほうでんいち運動うんどうにそって波及はきゅうすると、たとえばかお片側かたがわはじまった痙攣けいれんどうがわ手指しゅしから前腕ぜんわん上腕じょうわん波及はきゅうしていくことがあるジャクソンマーチという。痙攣けいれんしたのち痙攣けいれんした一過いっかせい麻痺まひすることがあり、この状態じょうたいをトッドの麻痺まひという。前頭葉ぜんとうよう眼球がんきゅう運動うんどう発作ほっさ焦点しょうてんがある場合ばあい眼球がんきゅう頭部とうぶ病巣びょうそうたいがわ回旋かいせんするようなこうかい発作ほっさしょうじる。また補足ほそく運動うんどう発作ほっさ焦点しょうてんがあると、焦点しょうてんたいがわ上枝ほつえ伸展しんてんきょじょうしこれを見上みあげるように眼球がんきゅう頭部とうぶをむける姿勢しせい発作ほっさこることがある。

運動うんどう発作ほっさめい 発作ほっさ焦点しょうてん
焦点しょうてんせい運動うんどう発作ほっさ いち運動うんどう
Jacksonがた発作ほっさ いち運動うんどう
こうかい発作ほっさ 前頭葉ぜんとうようがわあたま頭頂とうちょう
姿勢しせい発作ほっさ 補足ほそく運動うんどう
音声おんせい発作ほっさ 補足ほそく運動うんどう
感覚かんかく発作ほっさめい 発作ほっさ焦点しょうてん
からだせい感覚かんかく発作ほっさ いちからだせい感覚かんかく
視覚しかく発作ほっさ こうあたま
聴覚ちょうかく発作ほっさ がわあたま聴覚ちょうかく
嗅覚きゅうかく発作ほっさ がわあたま内側うちがわ
味覚みかく発作ほっさ がわあたま内側うちがわ
回転かいてんせいめまい発作ほっさ 頭頂とうちょうがわあたま移行いこう

そのほか、がわあたま内側うちがわ発作ほっさ焦点しょうてんとする自律じりつ神経しんけい発作ほっさがわあたま焦点しょうてんとする精神せいしん発作ほっさられる。

複雑ふくざつ部分ぶぶん発作ほっさともな運動うんどう症状しょうじょう

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多少たしょうなりともまとまっているものの、適切てきせつ目的もくてきせい一連いちれん動作どうさ表情ひょうじょう行動こうどうなどが随意ずいいてき無意識むいしきしょうじることがあり自動じどうしょうとよばれる。代表だいひょうてきなものは、したなめずりや舌打したうち、もぐもぐとぐちうごかす、ごくんとむなどくち自動じどうしょうである。そのほか、かお身体しんたいをなでたり、こすったり、衣服いふくをまさぐったり、をもんだりなどのぶり自動じどうしょうもある。自動じどうしょう複雑ふくざつ部分ぶぶん発作ほっさちゅうあるいは発作ほっさもうろう状態じょうたいみとめられ、患者かんじゃ本人ほんにんはその記憶きおくがないか、あっても断片だんぺんてき部分ぶぶんてきである。

全般ぜんぱん発作ほっさにおける痙攣けいれん

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全般ぜんぱん発作ほっさにおける大脳だいのうニューロン過剰かじょう放電ほうでんは、局所きょくしょせいではなく両側りょうがわせい広範こうはんにおこる。てんかん発作ほっさ局所きょくしょせい部分ぶぶん発作ほっさではじまり、異常いじょう放電ほうでん両側りょうがわせい、びまんせい波及はきゅうした結果けっか全般ぜんぱん発作ほっさしょうじることがある。これをせい全般ぜんぱんという。全般ぜんぱん発作ほっさ広範こうはんのう障害しょうがいのため意識いしき障害しょうがいともない、両側りょうがわせい強直きょうちょく間代まだいせい痙攣けいれんしょうじることがおおい。強直きょうちょく間代まだいせい痙攣けいれん経過けいかしめす。ますは意識いしき消失しょうしつともな突然とつぜん痙攣けいれんがおこる。これは開口かいこう開眼かいがん眼球がんきゅうじょううたて上枝ほつえそとてんきょじょうひじ屈曲くっきょく前腕ぜんわんかいないする。つぎ強直きょうちょくしょうであり、通常つうじょう持続じぞくは10~20びょうほどである。四肢しし伸展しんてんし、呼吸こきゅうすじ強直きょうちょくにより、はいからの空気くうき閉鎖へいさした声帯せいたいとおってつよ呼出よびだしされるさいさけごえをあげることがある。呼吸こきゅう停止ていしとチアノーゼがみとめられることがある。間代まだいしょう持続じぞくは30びょう前後ぜんこうおおい。間代まだいせい痙攣けいれん感覚かんかく次第しだいながくなり終焉しゅうえんする。咬舌はこの時期じきにおこる。自律じりつ神経症しんけいしょうじょうとしてしきみゃく血圧けつあつ上昇じょうしょう瞳孔どうこう散大さんだい流涎りゅうぜん発汗はっかん過多かたがみられる。ふか吸気きゅうきをもって間代まだいしょうわる。間代まだいしょうがおわると回復かいふくになる。このとき呼吸こきゅう再開さいかいし、たいひかり反射はんしゃ回復かいふくする。痙攣けいれん意識いしき障害しょうがい持続じぞくする。

痙攣けいれん患者かんじゃのマネジメント

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まず、患者かんじゃまえとき痙攣けいれん持続じぞくしているのかしていないのかを確認かくにんする。痙攣けいれん発作ほっさ大抵たいていすうふん消失しょうしつするが、なかにはすうじゅうふんつづ痙攣けいれんじゅうせきというものもある。痙攣けいれんちゅう呼吸こきゅう満足まんぞくにできないので、持続じぞくするとてい酸素さんそ脳症のうしょうこすおそれがある。30ふん以内いない停止ていしできなかった場合ばあいのう可逆かぎゃくてき変化へんかこる場合ばあいがある。そのため痙攣けいれんめる必要ひつようがある。痙攣けいれん発作ほっさちゅう患者かんじゃにはまずBLSACLSのアルゴリズムにしたが救命きゅうめいおこなう。てい血糖けっとう心室しんしつほそどう診断しんだんもこのときおこなう。てい血糖けっとうならば50%ブドウ糖ぶどうとう20mlを2A (40ml) をしずかちゅうし、心室しんしつほそどうならば電気でんきてきじょほそどうおこなう。つぎかんがえるのはヒステリーによるもの(にせ痙攣けいれんという)であるかだが、これは経験けいけんてき診断しんだんすることがおおい、うたがわしければアームドロップテストなどをおこなうこともある。にせ痙攣けいれん否定ひていされれば真性しんせい痙攣けいれん治療ちりょうとなる。

  • 酸素さんそ投与とうよ、あるいはバックバルブ換気かんきおこなう。
  • ホリゾン(10mg/2ml/A、ジアゼパム)を1Aすじちゅうあるいは0.5Aしずかちゅうする。とまらなければ、3 - 5ふんごとに5mgずつ、最大さいだい20mg (2A) まで投与とうよする。
  • 痙攣けいれんまったら痙攣けいれん再発さいはつ予防よぼうのためアレビアチン (250mg)(こう痙攣けいれんやくフェニトイン)を2A (500mg) 、生理せいりしょく塩水えんすい100mlに溶解ようかい点滴てんてきする。

ごくまれに、ホリゾンを20mg投与とうよしても痙攣けいれんおさまらない場合ばあいがある。この場合ばあいはアレビアチンの点滴てんてき開始かいしする。これでもまらなければチオペンタールラボナール)を50 - 100mg(1Aに500mgふくまれているので注意ちゅういしずかちゅうしたり、フェノバール (100mg/A) を1Aすじちゅうしたりすることもある。これでもダメなら、気管きかん挿管し、てい酸素さんそふせ専門医せんもんい相談そうだんするべきである。アレビアチン(フェニトイン)は2A以上いじょうでないと効果こうかがないとわれている。このくすりナトリウムチャネルかつ状態じょうたいから回復かいふくさせる頻度ひんどらす作用さようがある。よくもちいられるこうてんかんやくであるデパケン(バルプロさん)もこの作用さようゆうしているがこちらはカルシウムチャネルにも作用さようする。

発作ほっさまったら原因げんいん検索けんさく外傷がいしょう検索けんさくおこなう。採血さいけつおこなさん生化学せいかがくアルコール濃度のうどこうてんかんやくちゅう濃度のうどはかり、動脈血どうみゃくけつえきガスにて代謝たいしゃせいアシドーシスを確認かくにんする。頭部とうぶCTや尿にょうちゅう薬物やくぶつ検査けんさおこなう。これらの検査けんさ異常いじょうがあれば症候しょうこうせいてんかんと診断しんだんされ、異常いじょうがなければ真性しんせいてんかんである。

診断しんだんができればそれにもとづいて治療ちりょうおこなうことができる。原則げんそくとして初発しょはつ痙攣けいれんでは入院にゅういんによる精査せいさのぞましい。しかし患者かんじゃ希望きぼうによっては後日ごじつ脳波のうは検査けんさとなる。てんかん発作ほっさがたによって治療ちりょうやくことなるのだが、この場合ばあいこうてんかんやく予防よぼう投与とうよとなる。それ以外いがい真性しんせいてんかんで受診じゅしんとなるケースとしてはコントロール不良ふりょう場合ばあいがある、これは非常ひじょう危険きけんなので入院にゅういん精査せいさ必要ひつようである。だるやく場合ばあいはアレビアチン投与とうよ服薬ふくやく再開さいかいする。いままでコントロール良好りょうこうであったのに痙攣けいれんした場合ばあいこうてんかんやく増量ぞうりょうおこない、かかりつけ受診じゅしんさせるという方法ほうほうもある。症候しょうこうせいてんかんの場合ばあい原因げんいん疾患しっかん治療ちりょうすれば完治かんじできる可能かのうせいがある。可能かのうならばはら疾患しっかん治療ちりょうし、こうてんかんやく投与とうよそして診断しんだんわせて後日ごじつ専門医せんもんい受診じゅしんさせればよい。てんかんでもっとこわいのは痙攣けいれん外傷がいしょうである。危険きけんかんじたらためらわず入院にゅういんさせる。

不思議ふしぎなことにてんかんはある一定いってい時期じきぎると痙攣けいれんしなくなることがある、すなわち退すさくすり可能かのうとなる。こういった判断はんだんあおぐために専門医せんもんい受診じゅしんはかかせない。

痙攣けいれん発作ほっさ血清けっせいマーカー

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痙攣けいれん発作ほっさ血清けっせいマーカーとしてはCKほか乳酸にゅうさんプロラクチンられている[1]強直きょうちょく間代まだい発作ほっさ場合ばあい、CK上昇じょうしょう感度かんど86%、特異とくい75%であり、プロラクチン上昇じょうしょう感度かんど47~76%、特異とくい85~100%と報告ほうこくされている[2][3]。プロラクチンは痙攣けいれん15ふんから60ふんほどで上昇じょうしょうみとめられ基準きじゅんの2ばい以上いじょう異常いじょうかんがえられている[4]

しんいんせい発作ほっさ

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にせ痙攣けいれん(pseudoseizure)、しんいんせい発作ほっさはてんかん患者かんじゃの5 - 35%もみとめられるとされている。薬剤やくざい無効むこう発作ほっさの35%程度ていどしんいんせい発作ほっさともいわれている。痙攣けいれんしんいんせい発作ほっさ鑑別かんべつてん以下いかにまとめる。ある発作ほっさしんいんせい診断しんだんできたとしてもどう一個人いっこじんのすべての発作ほっさしんいんせい診断しんだんすることはできないため注意ちゅうい必要ひつようである。くび規則きそくてき反復はんぷくてき左右さゆうへのよこふり、発作ほっさ最中さいちゅうに閉眼している場合ばあい発作ほっさちゅう場合ばあい発作ほっさ出現しゅつげん先行せんこうして1ふん以上いじょうの閉眼や動作どうさ停止ていしともな擬似ぎじ睡眠すいみん状態じょうたい出現しゅつげんする場合ばあいしんいんせい発作ほっさ可能かのうせいたかい。また発作ほっさちゅうのプロラクチン濃度のうど上昇じょうしょうしている場合ばあい痙攣けいれんであった可能かのうせいがある。

痙攣けいれん しんいんせい発作ほっさ
頭部とうぶうご しばしばかたほうられるようにうご しばしば左右さゆうにふる(中央ちゅうおうえて左右さゆうにふる)
四肢ししうご 通常つうじょう同調どうちょうりつうご しばしばバラバラにうご
骨盤こつばんうご 通常つうじょうない しばしば前後ぜんごうご
瞳孔どうこう 散大さんだいたいひかり反射はんしゃ消失しょうしつ 正常せいじょう
開眼かいがん操作そうさたいして 通常つうじょう抵抗ていこうなし しばしば抵抗ていこうする
あたま変換へんかん眼球がんきゅう逃避とうひ なし あり
アームドロップテスト 通常つうじょう回避かいひなし 通常つうじょう回避かいひ
腹筋ふっきん緊張きんちょう あり なし
くち 開口かいこうしていることがおお ぎゅっとじている
発作ほっさちゅうはな 絶対ぜったいにない しばしばある
痙攣けいれんもうろう状態じょうたい あり しばしばなし
痙攣けいれん記憶きおく なし しばしばあり
した咬傷こうしょう したえんでみられることがおお 舌先したさきおお
尿にょう失禁しっきん ありえる ありえる
便びん失禁しっきん ありえる 通常つうじょうなし

小児科しょうにか領域りょういき痙攣けいれん

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とく重要じゅうよう小児しょうに科学かがく分野ぶんや疾患しっかんとしては熱性ねっせい痙攣けいれんずいまくえんがあげられる。

熱性ねっせい痙攣けいれん

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熱性ねっせい痙攣けいれん発熱はつねつともなっておこる痙攣けいれんである。中枢ちゅうすう神経しんけい感染かんせんしょう電解でんかいしつ血糖けっとう異常いじょうなどが否定ひていされた機会きかい痙攣けいれんのひとつである。男児だんじこうはっし、小児しょうに痙攣けいれんの50%がほんしょうである。6かげつから6さい初発しょはつおおく、通常つうじょうは7さい以降いこう自然しぜん消失しょうしつする単純たんじゅんがたである。7さいまでの発症はっしょうりつ日本にっぽんで7 - 10%であり米国べいこくで2 - 5%とされている。単純たんじゅんがた熱性ねっせい痙攣けいれんは15ふん未満みまんおおくは5ふん以内いない)の短時間たんじかん発作ほっさであり、全般ぜんぱんせい発作ほっさ典型てんけいてきにはだい発作ほっさ強直きょうちょく間代まだい発作ほっさ)をしめし、左右さゆう対称たいしょうであり、症状しょうじょうともなわない。24時間じかん以内いないに1かい痙攣けいれんであり頻発ひんぱつせず、意識いしき障害しょうがいみじかい。ふくごうがた熱性ねっせい痙攣けいれんは15ふん以上いじょう長時間ちょうじかん発作ほっさであり、局所きょくしょせい神経しんけいがくてき症候しょうこうともなう。24時間じかん以内いないに2かい以上いじょう再発さいはつせい痙攣けいれんであり、てんかん家族かぞくれきつことがおおい。再発さいはつ因子いんしとしては、初発しょはつ1さい未満みまんいち親等しんとう熱性ねっせい痙攣けいれん定型ていけい熱性ねっせい痙攣けいれん神経しんけいがくてき異常いじょういち親等しんとう熱性ねっせい発作ほっさ既往きおうなどがあげられる。典型てんけいてきには3ふんほどで覚醒かくせいするので病院びょういん受診じゅしんした時点じてんでは覚醒かくせいしている。発熱はつねつともなっている場合ばあい自律じりつ神経しんけい作用さようによるせんをしばしば不慣ふなれなおや痙攣けいれん間違まちがえる。せん寒冷かんれい四肢ししのふるえと基本きほんてきにはおなじであり持続じぞくてき病的びょうてき印象いんしょうとぼしい。

熱性ねっせい痙攣けいれん再発さいはつ因子いんしとして、

  • A) 初回しょかい発作ほっさが12かげつ未満みまん場合ばあい再発さいはつりつ50%(初回しょかい発作ほっさが12かげつ以降いこう場合ばあい再発さいはつりつ30% つまり初回しょかい発作ほっさのみのが7わり
  • B) 2かい発作ほっさがあれば3かい以上いじょう発作ほっさがあるかくりつは50%

げられる。その再発さいはつりつ関連かんれんするリスクとしては

  • A) 両親りょうしん片親かたおや既往きおう再発さいはつりつ50%)
  • B) 発熱はつねつから痙攣けいれんまでの時間じかんみじか
  • C) 38℃前後ぜんこう比較的ひかくてき軽度けいど発熱はつねつ痙攣けいれんする。

この3つすべてがはままれば再発さいはつりつは80%である。

てんかんの発症はっしょう統計とうけいてき関与かんよしているのは、

  • A) 12かげつ未満みまん初回しょかい発作ほっさ
  • B) ふくすうかい発作ほっさ既往きおう
  • C) てんかんの家族かぞくれきがある。

このいずれかをたすと、てんかんの発症はっしょうりつはややたかい(2.4%)。そのに、

  • A) 神経しんけいがくてき異常いじょうもしくは発達はったつ遅滞ちたい
  • B) 複雑ふくざつがた熱性ねっせい発作ほっさ
  • C) てんかんの家族かぞくれき

の3つの因子いんしのうち2つ以上いじょうがあると10%程度ていどまで上昇じょうしょうする。

熱性ねっせい痙攣けいれん自体じたいこう頻度ひんど良性りょうせい疾患しっかんであるが、その疾患しっかんとの鑑別かんべつ非常ひじょう重要じゅうようとなる。注意ちゅうい必要ひつよう痙攣けいれん発作ほっさは5ふん - 10ふん以上いじょう継続けいぞくする時間じかんなが痙攣けいれん保護ほごしゃながかんじるので注意ちゅうい必要ひつよう)、1かい発熱はつねつかい以上いじょう痙攣けいれんこす場合ばあい熱性ねっせい痙攣けいれん意識いしきがなかなかもどらない場合ばあい生後せいごはじめての痙攣けいれん片側かたがわせい痙攣けいれんなどがあげられる。痙攣けいれん自体じたい対処たいしょほうとしてはポジショニングである。発作ほっさつづいている場合ばあい胸元むなもとけてらく姿勢しせいとし、かたまくらをする。この目的もくてき気道きどう確保かくほおこない、あやまえんあやまいん防止ぼうしすることである。痙攣けいれんしたむことはほとんどなく、はし、タオル、スプーンといったものをませることに意義いぎはない。むしろ、したきずつけ、タオルにかんしては呼吸こきゅう困難こんなんこし、嘔吐おうと窒息ちっそく原因げんいんとなる可能かのうせいもある。急性きゅうせい治療ちりょうとしてはジアゼパム座薬ざやく(ダイアップ)挿入そうにゅうであり、これですうふんまる。効果こうかがないときはジアゼパムの注射ちゅうしゃえきを0.3 - 0.5mg/kgを2 - 3ふんしずかちゅうする。

治療ちりょうについては15ふん以内いないにおさまる熱性ねっせい痙攣けいれんたいして医学いがくてきには予防よぼう治療ちりょう必要ひつようはない。15ふん以上いじょうなが痙攣けいれんこさないようにするのが治療ちりょうのゴールである。しきかい熱性ねっせい痙攣けいれんこしていたり、病院びょういんへのアクセスが困難こんなんたとえおや不安ふあんつよ場合ばあいこうてんかんやくによる予防よぼうおこなうことになる。その場合ばあいはジアゼパム座薬ざやく(ダイアップ)挿入そうにゅう指導しどうおこなう。痙攣けいれんちゅう以外いがい投与とうよ意味いみはないが再発さいはつ予防よぼうとしていちにち2かいまで(8時間じかん以上いじょう間隔かんかくをあけて)、発熱はつねつも3かい以上いじょう投与とうよしないとして予防よぼうおこなうこともあるが通常つうじょうたむろふく十分じゅうぶんである。予防よぼうとしてよくおこなわれる方法ほうほうは37.5以上いじょう発熱はつねつでダイアップを挿入そうにゅうし、8あいだに38以上いじょう場合ばあいに2かいのダイアップをもちいる。24あいだ経過けいかしたら3かい使用しよう可能かのうだが通常つうじょうもちいない。2年間ねんかん予防よぼうおこない、5さいくらいで退すさくすりこころみるのが通常つうじょうである。解熱剤げねつざい座薬ざやく併用へいようする場合ばあいは、解熱剤げねつざいさき挿入そうにゅうするとダイアップの吸収きゅうしゅう阻害そがいされるため併用へいようする場合ばあいはダイアップ使用しよう30ふん以上いじょう経過けいかしてから解熱剤げねつざい挿入そうにゅうする。

家庭かていにて治療ちりょうをした場合ばあいずいまくえん脳炎のうえん否定ひていのために受診じゅしんのぞまれる。ダイアップを使用しようして熱性ねっせい痙攣けいれん予防よぼうしたとしても、てんかんへの移行いこうへの防止ぼうし効果こうかはなく、解熱剤げねつざいはやめに使つかったとしても熱性ねっせい痙攣けいれん予防よぼう効果こうかもない。

熱性ねっせい痙攣けいれん病院びょういん受診じゅしんする重要じゅうようなことはずいまくえん脳炎のうえん代謝たいしゃせい疾患しっかんによる痙攣けいれん見逃みのがさないためである。AAPガイドラインでは6かげつ以下いか乳児にゅうじ熱性ねっせい痙攣けいれん患者かんじゃではさん生化学せいかがく検査けんさ必要ひつようとしている。熱性ねっせい痙攣けいれんずいまくえん合併がっぺいするかくりつは2~5%である。ずいまく刺激しげき症状しょうじょうは30%でみとめられない。AAPガイドラインでは12かげつ以下いか乳児にゅうじ初回しょかいふくごうがた熱性ねっせい痙攣けいれん場合ばあい意識いしき障害しょうがいがある場合ばあい熱性ねっせい痙攣けいれんじゅうせき場合ばあいずいえき検査けんさおこなうことを推奨すいしょうしている。

熱性ねっせい痙攣けいれん診断しんだん帰宅きたくさせたのち、そのままいれねむらしてしまい、意識いしき障害しょうがい区別くべつがつかないこともある。この場合ばあい痙攣けいれんじゅうせきうたがうのならば覚醒かくせいさせるのが基本きほんである。全身ぜんしんせい痙攣けいれんがあれば素人しろうとでもあきらかにわかる。またてんかんでは運動うんどう症状しょうじょうがなく意識いしき障害しょうがいがおこるものもあり判断はんだんなやむこともある。しかし、ある程度ていど目安めやすとなる所見しょけんというものもある。それは、自律じりつ神経症しんけいしょうじょう局所きょくしょてき痙攣けいれんうごきである。自律じりつ神経症しんけいしょうじょう脈拍みゃくはく瞳孔どうこう調しらべる。瞳孔どうこう散大さんだいし、発熱はつねつだけでは説明せつめいできないしきみゃくみとめられれば痙攣けいれん持続じぞくしている可能かのうせいたかくなる。時間じかん経過けいかうことも重要じゅうようでありいったんちぢみひとみし、ひとみするようであれば自律じりつ神経しんけい変動へんどうしており発作ほっさこっている可能かのうせいがある。局所きょくしょてき瞬間しゅんかんてきなぴくつきにも注意ちゅういはらう。これは間代まだいせい痙攣けいれん特徴とくちょうである。眼球がんきゅうへん重要じゅうよう徴候ちょうこうである。片側かたがわへんしていたりまたうえころがしている場合ばあい発作ほっさ継続けいぞくしている可能かのうせいたかい。とく眼球がんきゅうへんともなって一部いちぶちからはい不自然ふしぜんとなってすじ緊張きんちょう亢進こうしんしている場合ばあい痙攣けいれん発作ほっさである可能かのうせいたかい。こういった場合ばあいこう痙攣けいれんやく人工じんこう呼吸こきゅうふくめた全身ぜんしん管理かんりおこない、ずいまくえん脳炎のうえん出血しゅっけつといった原因げんいん精査せいさおこなう。

ずいまくえん

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ずいまくえん原因げんいん微生物びせいぶつによって細菌さいきんせいずいまくえん無菌むきんせいずいまくえん結核けっかくせいずいまくえんかれる。ずいえき所見しょけんによってこれらを鑑別かんべつするのが一般いっぱんてきである。細菌さいきんせいずいまくえん緊急きんきゅう治療ちりょうおこなわなければ後遺症こういしょうのこ小児しょうに救急きゅうきゅう疾患しっかんである。結核けっかくせいずいまくえん治療ちりょうおこなわないと後遺症こういしょうのこるがこちらは進行しんこうおそいという特徴とくちょうがある。ずいまくえんでは嘔吐おうと腹痛はらいたともなうことも非常ひじょうおおい。こう硬直こうちょく非常ひじょう重要じゅうよう所見しょけんであるがりにくいこともおおい。その場合ばあいすわくらいひざて(体育たいいくずわ)でがくひざにつけられるかで判定はんていすることもある。

細菌さいきんせいずいまくえん

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細菌さいきんせいずいまくえんおこりえんきん年齢ねんれいによってことなるのが特徴とくちょうてきである。

年齢ねんれい おこりえんきん 治療ちりょうやく
3かげつまで Bぐん溶連菌ようれんきん大腸菌だいちょうきんリステリアきん、ブドウ球菌きゅうきんみどりうみきん(グラム陰性いんせい桿菌かんきんおおい) ABPC+GMorだいさん世代せだいセフェムけい(セフォタキシムけい
3かげつ以上いじょう6さい未満みまん インフルエンザ桿菌かんきん肺炎はいえん球菌きゅうきん ABPC+だいさん世代せだいセフェムけい(セフォタキシムけい
6さい以上いじょうから成人せいじん 肺炎はいえん球菌きゅうきんずいまくえんきん、インフルエンザ桿菌かんきん ABPC+だいさん世代せだいセフェムけい(セフォタキシムけい
65さい以上いじょう 肺炎はいえん球菌きゅうきんずいまくえんきん、リステリアきん ABPC+だいさん世代せだいセフェムけい(セフォタキシムけい
全身ぜんしん状態じょうたい不良ふりょう免疫めんえき抑制よくせい 黄色おうしょくブドウ球菌きゅうきん、グラム陰性いんせいきん、リステリアきん MCIPC+だいさん世代せだいセフェムけい(セフォタキシムけい)+アミノはいとうからだ

発熱はつねつ頭痛ずつう嘔吐おうと意識いしき障害しょうがい痙攣けいれんといったしゅ訴で来院らいいんする場合ばあいおおい。機嫌きげんわるい、なんとなく元気げんきがないといった非特異ひとくいてき症状しょうじょうでも可能かのうせいはある。こう硬直こうちょくケルニッヒ徴候ちょうこうといったずいまく刺激しげき症状しょうじょうSIADH合併がっぺいした場合ばあい大泉おおいずみもん膨隆といった所見しょけんみとめられることがある。発熱はつねつ痙攣けいれん熱性ねっせい痙攣けいれんとの鑑別かんべつ重要じゅうようとなる。典型てんけいてき病歴びょうれきとしては発熱はつねつたたかえ嘔吐おうと頭痛ずつう羞明などの症状しょうじょう出現しゅつげんし、徐々じょじょ進行しんこう意識いしき障害しょうがい痙攣けいれんにいたるというものである。ゆう熱性ねっせい痙攣けいれん意識いしき障害しょうがい遷延せんえんしたり、乳児にゅうじ早期そうき痙攣けいれんなど、熱性ねっせい痙攣けいれんこうはつ時期じきことなる場合ばあい細菌さいきんせいずいまくえん鑑別かんべつれるべきである。重症じゅうしょう感染かんせんしょうとく見逃みのがしてはならない疾患しっかんとしては感染かんせんせいしんないまくえん(IE)と細菌さいきんせいずいまくえんがあげられる。とく新生児しんせいじでは経過けいか急激きゅうげきであり半数はんすうちかくが神経しんけいがくてき後遺症こういしょうのこし、やく1わり死亡しぼうするためすみやかな治療ちりょうもとめられる。ずいえきはBBBをえなければ移行いこうできないという薬物やくぶつ動態どうたいがくてき事情じじょうがあるため、こう用量ようりょう抗菌こうきんやく投与とうよ必要ひつようである。細菌さいきんせいずいまくえん可能かのうせい否定ひていされるまではずいまくえん用量ようりょう投与とうよするということはよくやる方法ほうほうである。

細菌さいきんせいずいまくえんうたがわれた場合ばあい原則げんそくとしては抗菌こうきんやく投与とうよまえ腰椎ようつい穿刺せんしおこなう。いちがわあるいは両側りょうがわ瞳孔どうこう固定こてい散大さんだいじょのう硬直こうちょくじょ皮質ひしつ硬直こうちょくチェーンストークス呼吸こきゅう固定こていした眼球がんきゅうへんがありのうヘルニアがあるとうたがわれた場合ばあいとげ入部にゅうぶ局所きょくしょ感染かんせんがある場合ばあい血液けつえき凝固ぎょうこ異常いじょうがある場合ばあいなどは一般いっぱんてきずいえき検査けんさ禁忌きんきとなる。この場合ばあい血液けつえき培養ばいよう施行しこう頭部とうぶCTにてのうヘルニアの除外じょがいができれば腰椎ようつい穿刺せんしとなる。血液けつえき培養ばいよう陽性ようせい重症じゅうしょう感染かんせんしょう評価ひょうかするためである。またショック症状しょうじょうみとめられ全身ぜんしん状態じょうたい改善かいぜん急務きゅうむ場合ばあいかんがえられる。この場合ばあい最低限さいていげん全身ぜんしん状態じょうたい改善かいぜん腰椎ようつい穿刺せんしおこなう。腰椎ようつい穿刺せんしにて必要ひつよう検体けんたい摂取せっしゅができればすみやかに治療ちりょうにうつる。検査けんさ結果けっか治療ちりょう反応はんのうせい典型てんけいではない場合ばあい想定そうていし、適宜てきぎ参照さんしょうおこなう。in vitroでは感受性かんじゅせいのある抗菌こうきんやく使用しようした場合ばあい、ほとんどのケースで開始かいし36あいだずいえき無菌むきんすることがられている。抗菌こうきんやく投与とうよ翌日よくじつ腰椎ようつい穿刺せんしおこなうと細胞さいぼうすう蛋白たんぱくりょうはむしろ増加ぞうかしていることがしばしば観察かんさつされるがこれはきんたい破壊はかいによる炎症えんしょう反応はんのう亢進こうしんである場合ばあいもあり一概いちがいずいまくえん悪化あっかとはかんがえられない。ずいまくえんかぎらず、重症じゅうしょう感染かんせんしょうでは発熱はつねつくわえて、意識いしき障害しょうがい痙攣けいれん循環じゅんかん呼吸こきゅう障害しょうがい電解でんかいしつ代謝たいしゃ異常いじょう脱水だっすい出血しゅっけつ傾向けいこうなどの問題もんだいかかえていることがおおい。いち治療ちりょうでは循環じゅんかん呼吸こきゅう状態じょうたいをはじめとする全身ぜんしん状態じょうたい安定あんてい支持しじ療法りょうほうけられることがおおく、抗菌こうきんやく以外いがい臨床りんしょう症状しょうじょう改善かいぜんする因子いんしがある。しかし一般いっぱんてきには抗菌こうきんやくがなければ支持しじ療法りょうほうのみでは臨床りんしょう症状しょうじょう改善かいぜん限定げんていてきである。小児しょうにずいまくえんにおける臨床りんしょう症状しょうじょう改善かいぜんねつもなく、痙攣けいれんもなく、意識いしきがあり、機嫌きげんもよいといった状態じょうたいである。2かい腰椎ようつい穿刺せんし目的もくてき抗菌こうきんやくによるずいえき無菌むきん確認かくにんであり、入院にゅういん2にちであっても3にちであっても問題もんだいはない。あきらかな改善かいぜんみとめられれば省略しょうりゃくすることも可能かのうである。ただしこのような経過けいか比較的ひかくてきすくない。適切てきせつ治療ちりょうおこなってもにいたることもあり、生存せいぞんしゃの1/3程度ていど聴力ちょうりょく障害しょうがい神経しんけい合併症がっぺいしょうといった後遺症こういしょうのこしている。そのため、すこしでも回復かいふく十分じゅうぶんではないとかんがえればずいえき検査けんさおこなうべきとかんがえられている。ぎゃく臨床りんしょう症状しょうじょう悪化あっかした場合ばあいのうヘルニアの発生はっせい考慮こうりょして頭部とうぶCTを施行しこう再度さいど腰椎ようつい穿刺せんしをする。

ずいまくえん治療ちりょう抗菌こうきんやく投与とうよだいいちであるが、その補助ほじょ療法りょうほうとして副腎ふくじんステロイド、浸透しんとうあつせい利尿りにょうやくなどがあげられる。改善かいぜん効果こうかみとめられるのは副腎ふくじんステロイドのデキサメタゾンである。これは抗菌こうきんやく投与とうよによるきんたい破壊はかいによる炎症えんしょう反応はんのう亢進こうしん阻害そがいすることで治療ちりょう効果こうかがあるとかんがえられている。インフルエンザ桿菌かんきんによる小児しょうに細菌さいきんせいずいまくえん肺炎はいえん球菌きゅうきんによる成人せいじん細菌さいきんせいずいまくえんでは改善かいぜん効果こうか報告ほうこくされているが肺炎はいえん球菌きゅうきんによる小児しょうに細菌さいきんせいずいまくえんには効果こうかがないとされている。投与とうよ方法ほうほうしずかちゅうで0.15mg/kg/かいで6あいだごとで4日間にちかんまでである。抗菌こうきんやく投与とうよの20ふんまえおそくとも抗菌こうきんやく同時どうじ投与とうよとされている。治療ちりょう効果こうかからかんがえると3かげつ以上いじょう6さい未満みまん小児しょうに成人せいじん場合ばあいしか積極せっきょくてき投与とうよとなるが、この時点じてんおこりえんきんまで予測よそくできることはほとんどない。副作用ふくさようはデキサメタゾン投与とうよ中止ちゅうしによる再発さいはつねつ消化しょうかかん出血しゅっけつである。またさい発熱はつねつもそうだが、検査けんさ数値すうち変化へんかさせる治療ちりょうのため、その経過けいか観察かんさつむずかしくなる。

そのほか、のうヘルニア防止ぼうしのうあつ改善かいぜん目的もくてきとして浸透しんとうあつせい利尿りにょうやく(グリセオールやマンニトール)をはじめ各種かくしゅ治療ちりょうほうがあるが、劇的げきてき効果こうか期待きたいできない。

ウイルスせいずいまくえん無菌むきんせいずいまくえん

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幼児ようじから学童がくどうおおく、ムンプスウイルス、コクサッキーウイルス、ポリオインフルエンザウイルス、ヘルペスウイルスによるものがある。ずいえき検査けんさによって細菌さいきんせいずいまくえん区別くべつされるが比較的ひかくてき軽症けいしょう場合ばあいおおい。ヘルペスウイルスによる場合ばあいこうウイルスやく存在そんざいするがそれ以外いがいかんしてはずいえき移行いこうせいがあるこうウイルスやく存在そんざいせず、対症療法たいしょうりょうほうおこなう。

結核けっかくせいずいまくえん

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2さい以下いか乳幼児にゅうようじ発生はっせいしやすい。肺結核はいけっかく合併がっぺいすることがおおい。進行しんこうおそいが脳神経のうしんけい症状しょうじょうみとめられたりし、治療ちりょうおこなわないとにいたることもある。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Neuroendocrinology. 1989 Jan;49(1):33-9. PMID 2716948
  2. ^ Neurology. 2005 Sep 13;65(5):668-75. PMID 16157897
  3. ^ Neurology. 2006 Aug 8;67(3):544-5. PMID 16894135
  4. ^ Emergency Medicine Clinical Essentials p858 ISBN 9781437735482

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 問題もんだい解決かいけつがた 救急きゅうきゅう初期しょき診療しんりょう ISBN 426012255X
  • Step By Step! 初期しょき診療しんりょうアプローチ(だい3かんISBN 4903331679
  • 神経しんけい内科ないかケーススタディ ISBN 4880024252
  • Q&Aとイラストでまな神経しんけい内科ないか ISBN 4880024635
  • かんがえる技術ぎじゅつ 臨床りんしょうてき思考しこう分析ぶんせきする ISBN 9784822261092
  • 神経しんけい診察しんさつ 実際じっさいとその意義いぎ ISBN 9784498128866

関連かんれん項目こうもく

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