脳波のうは

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ヒトの脳波のうは

脳波のうは(のうは、えい: ElectroencephalogramEEG)は、ヒト動物どうぶつのうからしょうじる電気でんき活動かつどうを、頭皮とうひうえちょうがたこつそこ鼓膜こまくのうひょうのう深部しんぶなどにいた電極でんきょく記録きろくしたものである。英語えいご忠実ちゅうじつ訳語やくごとして、のうでん(のうでんず)というかたもあり、本来ほんらいは「脳波のうは」とぶべきであるが、一般いっぱんてきには「脳波のうは」と簡略かんりゃくしてばれることがおおい。脳波のうは測定そくてい記録きろくする装置そうち脳波のうはけい(Electroencephalograph:EEG)とび、それをもちいた脳波のうは検査けんさ(electroencephalography:EEG)は、医療いりょうでの臨床りんしょう検査けんさとして、また医学いがく生理学せいりがく心理しんりがく工学こうがく領域りょういきでの研究けんきゅう方法ほうほうとしてもちいられる。検査けんさ方法ほうほう検査けんさ機械きかい検査けんさ結果けっかのどれも略語りゃくごはEEGとなるので、使つかけに注意ちゅうい必要ひつようである。

個々ここ神経しんけい細胞さいぼう発火はっか観察かんさつする単一たんいつ細胞さいぼう電極でんきょくとはことなり、電極でんきょく近傍きんぼうあるいは遠隔えんかく神経しんけい細胞さいぼう集団しゅうだん電気でんき活動かつどう総和そうわ観察かんさつする(少数しょうすう例外れいがいのぞく)。脳波のうは起源きげんとしては視床ししょう[1]電気でんきシナプスによって時間じかんてき空間くうかんてき同期どうきした神経しんけい細胞さいぼうぐん活動かつどう大脳皮質だいのうひしつ投射とうしゃしたものが電気でんきてき観察かんさつされるとするせつ有力ゆうりょくである。

きんえんのものに、神経しんけい細胞さいぼう電気でんき活動かつどうともなってしょうじる磁場じば観察かんさつするのう磁図(のうじず、Magnetoencephalogram:MEG)がある。のう磁図では神経しんけい活動かつどうをミリ単位たんい部位ぶい精度せいどとミリびょう単位たんい時間じかん分解能ぶんかいのう観察かんさつすることが可能かのうである。

脳波のうは研究けんきゅう歴史れきし[編集へんしゅう]

最近さいきんなが

    • チャンネル
    • コンピュータの進歩しんぽにより双極そうきょく追跡ついせきほうなど様々さまざま解析かいせき可能かのうに。

脳波のうは観察かんさつ解析かいせき[編集へんしゅう]

波形はけい直接ちょくせつ記録きろくするものと、波形はけいなんらかの加工かこうおこなって解析かいせきするほうの2つにけられる。

記録きろく方法ほうほう[編集へんしゅう]

国際こくさい10-20ほう電極でんきょく配置はいち

脳波のうは導出どうしゅつには、電極でんきょく配置はいち位置いち、およびそれらの電極でんきょくわせという要素ようそかかわる。

電極でんきょく配置はいち位置いち[編集へんしゅう]

通常つうじょう検査けんさ実験じっけんでは、電極でんきょく国際こくさい10-20ほう(こくさいten twentyほう)にしたがって配置はいちするのがもっと一般いっぱんてきである。国際こくさい10-20ほうでは頭皮とうひを10%もしくは20%の等間隔とうかんかく区切くぎり、けい21個いっこ電極でんきょく配置はいち位置いち決定けっていする[注釈ちゅうしゃく 1]

電極でんきょくわせ[編集へんしゅう]

耳朶じだ(あるいははなあごなど)を電気でんきてき活性かっせいとみなし、耳朶じだ電極でんきょく無関むせき電極でんきょく)・頭皮とうひじょう電極でんきょく関係かんけい電極でんきょくあいだ電位差でんいさ変動へんどう記録きろくした場合ばあい、これをたんきょく導出どうしゅつぶ。頭皮とうひじょう電極でんきょくどうしの電位差でんいさ変動へんどう記録きろくした場合ばあい双極そうきょく導出どうしゅつぶ。たんきょく導出どうしゅつ場合ばあい関係かんけい電極でんきょく入力にゅうりょく無関むせき電極でんきょく入力にゅうりょくたい電気でんきてき陰性いんせい場合ばあい記録きろくのペンがうえれる。たんきょく導出どうしゅつほうでは基準きじゅん電極でんきょく活性かっせいなど問題もんだいもあるため平均へいきん電位でんい基準きじゅん電極でんきょく導出どうしゅつほう併用へいようすることがある。しかし平均へいきん電位でんい基準きじゅん導出どうしゅつほうではどこかの誘導ゆうどうこう電位でんい出現しゅつげんするとそれが全体ぜんたい影響えいきょうするという問題もんだいもある。

頭皮とうひ電極でんきょくのうひょう電極でんきょく[編集へんしゅう]

電極でんきょく通常つうじょう頭皮とうひじょう設置せっちされるが、ひらきあたましてのうひょう設置せっちされるケースもある。

  • 頭皮とうひじょう電極でんきょく
    • 21個いっこ電極でんきょく国際こくさい10-20ほうしたがって配置はいちすることがおおい。しかし研究けんきゅう目的もくてきなどではもっと多数たすう(60など)の電極でんきょく配置はいちしたり、モニタリング目的もくてきなどではぎゃくすうのみの電極でんきょく使用しようしたりする。
    • 電極でんきょく円盤えんばん電極でんきょくさらじょう電極でんきょく導電性どうでんせいペーストや特殊とくしゅ帽子ぼうし頭皮とうひ固定こていする場合ばあいと、はり電極でんきょくかわない挿入そうにゅうする場合ばあい、スポンジに電解でんかいしつ溶液ようえきたした電極でんきょくをバンドなどで固定こていする場合ばあいがある。
    • 長所ちょうしょは、はり電極でんきょく場合ばあいのぞ基本きほんてきおかせかさねせいがないこと、安価あんかなことである。しかし短所たんしょとして、しるべでんりつことなるのうかたまくのう脊髄せきずいえき頭蓋骨ずがいこつ皮膚ひふなどをとおして観察かんさつすることによる空間くうかん分解能ぶんかいのうひくさ、高周波こうしゅうは活動かつどう低減ていげん頭皮とうひとの接触せっしょく不良ふりょうによる雑音ざつおん混入こんにゅうすじでん混入こんにゅうなどがある。
  • のうひょう電極でんきょく
    • 設置せっちにはひらけあたま手術しゅじゅつ必要ひつようであり、おかせかさねおおきい。
    • しかし空間くうかん分解能ぶんかいのうたかい、頭皮とうひじょう電極でんきょくでは記録きろくしにくいのう底面ていめんなどの部位ぶいにも電極でんきょく配置はいちすることができるなどの長所ちょうしょがある。
    • 難治なんじせいてんかんの外科げかてき治療ちりょうじゅつぜん検査けんさなどとしておこなう。

電極でんきょく接触せっしょく抵抗ていこう[編集へんしゅう]

電極でんきょく接触せっしょく抵抗ていこう交流こうりゅうインピーダンスによる測定そくていおこなう。インピーダンスは10Hzにおけるをもって代表だいひょうとし、かく電極でんきょく接触せっしょくインピーダンスは10kΩおめが以下いかのぞましいとされている。

記録きろく[編集へんしゅう]

記録きろく速度そくど

標準ひょうじゅんてき記録きろく速度そくどは30mm/secで記録きろくされる場合ばあいおおい。

記録きろく感度かんど

50µV/5mmで記録きろくされることがおおい。機種きしゅによっては50µV/7mmのものもある。

脳波のうはモニター[編集へんしゅう]

すじ弛緩しかんざい使用しよう神経しんけい変性へんせい疾患しっかんなどの場合ばあい異常いじょうのう活動かつどう(てんかん発作ほっさ)があっても発見はっけんできない。このような場合ばあいに、3から5電極でんきょくもちいて持続じぞくてき脳波のうは監視かんしする。極端きょくたん鎮静ちんせい検出けんしゅつする目的もくてきもある。のう低温ていおん療法りょうほうなど、にちあまりわたすじ弛緩しかんざい使用しようする場合ばあい有用ゆうようである。

また装置そうち自体じたい安価あんか使用しよう容易よういなため、医学いがく以外いがい領域りょういきでののう研究けんきゅう使用しようされることもあるが、あくまで簡易かんい装置そうちであるため、その実験じっけん結果けっかのみをもとにした理論りろんゲームのうなど)には疑問ぎもんこえおおい。

波長はちょう指数しすう(BIS:bispectral index(en))は専用せんよう装置そうちもちいて計算けいさんする尺度しゃくどで、100が覚醒かくせい、0が脳死のうし状態じょうたいである。手術しゅじゅつちゅう麻酔ますい深度しんど管理かんり使用しようされる。全身ぜんしん麻酔ますいにおけるいたりてき鎮静ちんせいレベルは40 - 60といわれている。BISはフーリエ変換へんかん基本きほんとしているが、くわしいアルゴリズム公開こうかいされていない。

脳波のうは判読はんどく[編集へんしゅう]

正常せいじょう脳波のうは[編集へんしゅう]

基礎きそ律動りつどう[編集へんしゅう]

ほぼ全般ぜんぱんせい持続じぞくせい出現しゅつげんし、脳波のうはだい部分ぶぶん形成けいせいする特定とくてい脳波のうは活動かつどう基礎きそ律動りつどう背景はいけい脳波のうは)という。基礎きそ律動りつどう覚醒かくせい年齢ねんれい薬物やくぶつによって変化へんかし、基礎きそ律動りつどう異常いじょうしめ病態びょうたいもある。基礎きそ律動りつどうには周波数しゅうはすう帯域たいいきごとに以下いかのように名前なまえけられており、それぞれことなった生理学せいりがくてき意義いぎゆうしている(ギリシャ文字もじ周波数しゅうはすうじゅんになっていないてん留意りゅうい必要ひつようである)。

名称めいしょう 周波数しゅうはすう帯域たいいき
δでるたなみ デルタ 1-3Hzへるつ
θしーたなみ シータ 4-7Hzへるつ
αあるふぁなみ アルファ 8-13Hzへるつ
βべーたなみ ベータ 14-Hz[注釈ちゅうしゃく 2]

一般いっぱん健常けんじょうしゃでは、安静あんせい・閉眼・覚醒かくせい状態じょうたいでは後頭部こうとうぶ中心ちゅうしんαあるふぁなみおお出現しゅつげんする。また睡眠すいみんふかさ(睡眠すいみん段階だんかい)は脳波のうは周波数しゅうはすうなどにもとづいて分類ぶんるいされている。健常けんじょう成人せいじん安静あんせい覚醒かくせい閉眼では、後頭部こうとうぶ優位ゆうい出現しゅつげんするαあるふぁなみ基礎きそ律動りつどうとなる。25~65さい正常せいじょう成人せいじんでは9~11Hzへるつαあるふぁ後頭部こうとうぶ優位ゆうい出現しゅつげんし、開眼かいがんひかりおと刺激しげきなどで抑制よくせいされる周波数しゅうはすう変動へんどうは1Hzへるつ以内いないである。

αあるふぁなみ基準きじゅんとしてそれよりも周波数しゅうはすうおそ波形はけいじょなみ周波数しゅうはすうはや波形はけいはやなみという。振幅しんぷく正常せいじょうじんは20µV - 70µVであり、これを中等ちゅうとう電位でんいという。20µV以下いかてい電位でんい、100µV以上いじょうこう電位でんいということがある。30mm/secで50µV/5mmで記録きろくされることがおおい。

覚醒かくせい
意識いしき障害しょうがい程度ていど調しらべるのに脳波のうは重要じゅうようであることがある。また覚醒かくせい自体じたいつね脳波のうは影響えいきょうあたえる。覚醒かくせい低下ていかすると後頭部こうとうぶαあるふぁなみ連続れんぞくせいとぼしくなり、その周波数しゅうはすうおそくなり、振幅しんぷく低下ていかする。にゅうねむりじょなみ出現しゅつげんした場合ばあい覚醒かくせいたかとき出現しゅつげんするじょなみくらべて病的びょうてき意義いぎすくない。
年齢ねんれい
出生しゅっしょうから思春期ししゅんきあいだは、脳波のうは基礎きそ律動りつどうおおむはやなみしていく。そして思春期ししゅんきから初老しょろうまで基礎きそ律動りつどう周波数しゅうはすうほとん変化へんかがなく、初老しょろう以降いこうおおむ年齢ねんれいとともにじょなみしていく傾向けいこうがある。
薬物やくぶつ
フェニトイン、フェノバルビタール、ベンゾジアゼピンけい薬物やくぶつによりぜん頭部とうぶはやなみ出現しゅつげんする。カルバマゼピンθしーた帯域たいいき混入こんにゅうする。フェノチアジンけいじょなみするどなみ混入こんにゅうする。

基礎きそ律動りつどうをつくる波形はけい意義いぎ[編集へんしゅう]

αあるふぁなみ

αあるふぁなみ頭部とうぶ後方こうほう部分ぶぶん覚醒かくせい出現しゅつげんする8Hzへるつ - 13Hzへるつ律動りつどうであり、精神せいしんてき比較的ひかくてき活動かつどうしていないときに出現しゅつげんする。注意ちゅうい精神せいしんてき努力どりょくによって抑制よくせい減衰げんすいする。よわいによりじょなみする傾向けいこうがある。αあるふぁなみ発生はっせいせつにはいくつか存在そんざいするが、Andersenらの仮説かせつでは皮質ひしつαあるふぁなみ視床ししょうからの入力にゅうりょくによるものであり、視床ししょうにおけるペースメーカーが皮質ひしつリズムを形成けいせいし、視床ししょうはんかいせい抑制よくせいニューロンがリズムの周波数しゅうはすうつくっているとしている。Nunezらのせつでは皮質ひしつ皮質ひしつあいだむすなが連合れんごう線維せんいによってしょうじるとされている。Andersenらの仮説かせつでは視床ししょうニューロンぐん発生はっせいするだつ分極ぶんきょく分極ぶんきょくからなるシナプス電位でんい律動りつどうせい振動しんどうによってつくられる。脳波のうは律動りつどう周波数しゅうはすう視床ししょうニューロンのまく電位でんい水準すいじゅん依存いぞんしている。開眼かいがんにより覚醒かくせいがるとだつ同期どうき状態じょうたいとなりβべーたなみ出現しゅつげんする。中等ちゅうとう分極ぶんきょく状態じょうたいでは睡眠すいみん紡錘ぼうすいふか分極ぶんきょくではδでるたなみとなる。この視床ししょうニューロンのまく電位でんい水準すいじゅん覚醒かくせいレベルを調節ちょうせつする脳幹のうかんもうさまたいニューロンの活動かつどうせい制御せいぎょされている。

βべーたなみ

βべーたなみは14Hzへるつ以上いじょう律動りつどうしめす。30Hzへるつ以上いじょうγがんまなみ分類ぶんるいすることもある。もっともよくみとめられるものはぜん頭部とうぶから中心ちゅうしん記録きろくされる。おおくは30μみゅーV以下いかである。その起源きげんひらたももたい海馬かいばかんがえられているがあきらかになっていない。

θしーたなみ

θしーたなみは4Hzへるつ - 8Hzへるつ律動りつどうしめす。αあるふぁなみじょなみして出現しゅつげんする場合ばあいこうあたま優位ゆういであり、かたぶけねむときがわあたま優位ゆうい出現しゅつげんする。

基礎きそ律動りつどう異常いじょう[編集へんしゅう]

基礎きそ活動かつどう異常いじょうとしては周波数しゅうはすう異常いじょう電位でんい異常いじょう分布ぶんぷ異常いじょうなどにけることができる。

周波数しゅうはすう異常いじょう
周波数しゅうはすう異常いじょうには基礎きそ律動りつどうじょなみなどがあげられる。限局げんきょくせいじょなみであればどの電極でんきょく近傍きんぼう腫瘍しゅよう炎症えんしょう、てんかん焦点しょうてんといった病変びょうへん存在そんざいする可能かのうせいがある。広範こうはんじょなみであればのう形成けいせい障害しょうがい広範こうはん病巣びょうそう脳症のうしょう病巣びょうそう多発たはつ内分泌ないぶんぴつ代謝たいしゃ異常いじょう外来がいらい物質ぶっしつ影響えいきょうのう変性へんせい疾患しっかん可能かのうせいがある。
電位でんい異常いじょう
分布ぶんぷ異常いじょう

睡眠すいみん脳波のうは[編集へんしゅう]

睡眠すいみん段階だんかい 特徴とくちょうてき波形はけい
stage W αあるふぁなみ
stage 1 αあるふぁなみ減少げんしょう、Vなみ(hump)
stage 2 睡眠すいみん紡錘ぼうすい(spindle)、Kふく合波あいば
stage 3 δでるたなみ(20% - 50%)
stage 4 δでるたなみ(50%以上いじょう
stage REM てい振幅しんぷく脳波のうは急速きゅうそく眼球がんきゅう運動うんどう(REMs)が出現しゅつげんする

ちゅうのうあみさまたい視床ししょう皮質ひしつ連絡れんらくによって波形はけいちは説明せつめいされる。睡眠すいみんふかくなるとなかのうもうさまたい視床ししょう皮質ひしつじゅん求心きゅうしんせい支配しはい順次じゅんじ減少げんしょうするとかんがえられている。突発とっぱつあやまりやすいものに睡眠すいみんだいいち段階だんかいみとめられるhumpがられている。いれねむときαあるふぁなみがほとんど消失しょうしつするためhumpの場合ばあい後頭部こうとうぶαあるふぁなみみとめられないといったてんなどが鑑別かんべつやくにたつ。

覚醒かくせい段階だんかい(stageW)
閉眼覚醒かくせいではαあるふぁなみのほか、こう振幅しんぷく持続じぞくせいすじでん急速きゅうそく眼球がんきゅう運動うんどう(REMs)やまどかもしばしば出現しゅつげんする。このαあるふぁなみ皮質ひしつ皮質ひしつあいだ神経しんけい発生はっせいするとかんがえられている。
睡眠すいみんだい1段階だんかい
まどろみにゅうねむりといわれる。うとうとした状態じょうたいである。覚醒かくせいみとめられたαあるふぁなみつらなりはリズムをうしな徐々じょじょ平坦へいたんしてくる。てい電位でんいじょなみすなわθしーたなみ不規則ふきそく出現しゅつげんβべーたなみざる。αあるふぁなみ覚醒かくせいの50%以下いかになると睡眠すいみんだい1とする。だいいち段階だんかい後半こうはんになると頭蓋とうがいいただきするど(humpまたはVなみ)が出現しゅつげんする。頭蓋とうがいいただきするど左右さゆう頭頂とうちょう優位ゆういにぶとがったこう電位でんいじょなみである。ちゅうのうもうさまたいからの視床ししょう皮質ひしつへの求心きゅうしんせい入力にゅうりょく減少げんしょうすることでαあるふぁなみ形成けいせい減少げんしょうするとかんがえられている。
睡眠すいみんだい2段階だんかい
かる寝息ねいきてるくらいの状態じょうたいである。睡眠すいみん紡錘ぼうすい(spindle)とKふく合波あいば(K complex)が出現しゅつげんする。睡眠すいみん紡錘ぼうすい頭頂とうちょう出現しゅつげんする12Hzへるつ - 14Hzへるつ程度ていど波形はけいである。Kふく合波あいば頭蓋とうがいいただきするど相性あいしょうのでこう振幅しんぷくじょなみとそれにつづはや構成こうせいされるふくごうである。睡眠すいみん紡錘ぼうすいあみさま視床ししょうかくがペースメーカーとなり、それが皮質ひしつ投射とうしゃされる、視床ししょう皮質ひしつ回路かいろ形成けいせいされている。ちゅうのうもうさまたい求心きゅうしんせい入力にゅうりょく減少げんしょうすることで視床ししょう皮質ひしつ神経しんけい独立どくりつせい睡眠すいみん紡錘ぼうすい形成けいせいするようになる。
睡眠すいみんだい3段階だんかい
2Hzへるつ以下いか頂点ちょうてんあいだ振幅しんぷくが75μみゅーV以上いじょうじょなみδでるたなみ)が、20%以上いじょう50%未満みまんめる段階だんかいである。かなりふか睡眠すいみんであり、よほどつよ刺激しげきでないと知覚ちかくされない。通常つうじょう脳波のうは検査けんさではこの段階だんかいまでいくのはまれである。だい3段階だんかいだい4段階だんかいわせてじょなみ睡眠すいみんという。視床ししょうからの求心きゅうしんせい入力にゅうりょく減少げんしょうすることで皮質ひしつ独立どくりつせいをもちかたちせいδでるたなみ形成けいせいする。
睡眠すいみんだい4段階だんかい
2Hzへるつ以下いか、75μみゅーV以上いじょうじょなみδでるたなみ)が50%以上いじょうめる状態じょうたいである。
REM睡眠すいみん
上記じょうき睡眠すいみん段階だんかいおもにノンレム睡眠すいみんである。レム睡眠すいみん脳波のうは睡眠すいみんだいいち段階だんかい類似るいじしたてい振幅しんぷくパターンが出現しゅつげんすること、急速きゅうそく眼球がんきゅう運動うんどう(REMs)が出現しゅつげんすること、身体しんたい姿勢しせいたもこう重力じゅうりょくすじすじ緊張きんちょう低下ていかさんしるしとする。脳波のうはのみでは睡眠すいみんだいいち段階だんかいとレム睡眠すいみん区別くべつ困難こんなんである。ナルコレプシー患者かんじゃでは覚醒かくせいから急速きゅうそくにレム睡眠すいみん移行いこうする。また、レム睡眠すいみんちゅう刺激しげきあたえ、こすとゆめていたとべることがおおい。

異常いじょう脳波のうは[編集へんしゅう]

異常いじょう脳波のうはには突発とっぱつせい異常いじょう突発とっぱつせい異常いじょうの2つがられて。突発とっぱつせい意味いみとは持続じぞくてき基礎きそ律動りつどう異常いじょうではなく、突然とつぜんはじまり、突然とつぜんわる一過いっかせい波形はけいという意味いみである。

突発とっぱつせい異常いじょう[編集へんしゅう]

突発とっぱつせい異常いじょうおも脳波のうは基礎きそ律動りつどう振幅しんぷく異常いじょうであるが実際じっさい問題もんだいとしてもっと重要じゅうようなのはじょなみである。

αあるふぁなみじょなみ
基礎きそ律動りつどうじょなみおおくの場合ばあいのう機能きのう低下ていかしめしている。前述ぜんじゅつのように分布ぶんぷ確認かくにんすることで原因げんいん推定すいていできることもある。開眼かいがんおと刺激しげきくわえてもαあるふぁなみ出現しゅつげんわるく、じょなみ出現しゅつげんする場合ばあい大脳皮質だいのうひしつ機能きのう低下ていかかんがえられる。成人せいじんでは安静あんせいδでるたなみ出現しゅつげんすればあきらかに異常いじょうであり、θしーたなみでもはっきり目立めだ程度ていど出現しゅつげんすれば軽度けいど異常いじょうである。
異常いじょうそくなみ
こう振幅しんぷくそく基礎きそ律動りつどうとなる場合ばあいがある。薬剤やくざいせいおおいが、内分泌ないぶんぴつ疾患しっかんなどでもおこりえる。基礎きそ律動りつどうとしてがわ異常いじょう脳波のうはとしてみなされるのは異常いじょうこう振幅しんぷくであるときのみである。
αあるふぁなみをはじめ正常せいじょう構成こうせい成分せいぶん異常いじょう
局所きょくしょせい振幅しんぷく減少げんしょう消失しょうしつ局所きょくしょせい振幅しんぷく増加ぞうか局所きょくしょせいじょなみ位相いそうみだれなどがみとめられることがある。障害しょうがい部位ぶいにおいては覚醒かくせい脳波のうはαあるふぁなみじょなみはやなど)の振幅しんぷく低下ていかしたり増大ぞうだいしたりする。睡眠すいみん脳波のうはでもはやなみ紡錘ぼうすいじょなみ、Kふく合波あいばなどが患側では振幅しんぷく減少げんしょうしたり、欠如けつじょする。こういった現象げんしょうlazy activityという。
組織そしき不良ふりょう

基礎きそ律動りつどう周波数しゅうはすう変動へんどうは1Hzへるつ以内いない正常せいじょうであり、それをえると脳波のうは不規則ふきそくえる。このとき組織そしき不良ふりょうという。

局所きょくしょせいじょなみ

半球はんきゅうせいしろしつないし皮質ひしつ障害しょうがいされた場合ばあいには持続じぞくせいかたちせいδでるた活動かつどう(PPDA)が出現しゅつげんする。PPDAは局所きょくしょせいのう病変びょうへんのマーカーである。振幅しんぷく周波数しゅうはすう持続じぞくせい刺激しげきたいする反応はんのうせい障害しょうがい程度ていど指標しひょうとなる。持続じぞくせいじょなみ重度じゅうどのう障害しょうがいを、間欠かんけつてきじょなみかるのう障害しょうがい示唆しさする。反応はんのうせいがないじょなみはより障害しょうがいつよい。

広汎こうはんせいじょなみ

広汎こうはんせい出現しゅつげんする不規則ふきそくじょなみ半球はんきゅうせいしろしつおよび皮質ひしつふくおおきな病変びょうへん観察かんさつされる。

両側りょうがわせい同期どうきせいじょなみ

ぜん頭部とうぶ間欠かんけつせい律動りつどうせいδでるた活動かつどう(FIRDA)に代表だいひょうされる律動りつどうせい活動かつどうがある。かつては上部じょうぶ脳幹のうかんあいだのう視床ししょうせい中部ちゅうぶ病変びょうへんによる投射とうしゃせいリズムとかんがえられていた。近年きんねん皮質ひしつおよび皮質ひしつはいしろしつ病変びょうへんおも原因げんいんとされている。

周期しゅうきせい脳波のうはパターン

PLEDsはいちがわせい出現しゅつげんするこう振幅しんぷくふくごうでありヘルペス脳炎のうえんじゅうあつし急性きゅうせいのう血管けっかん障害しょうがいみとめられる。広範こうはん皮質ひしつ興奮こうふんせい増大ぞうだいとそれにつづ皮質ひしつ発生はっせいする抑制よくせい周期しゅうきせいパターンの原因げんいんとされている。皮質ひしつはいしろしつでの機能きのう異常いじょうによる急激きゅうげき神経しんけい発射はっしゃこったのちなが持続じぞくする分極ぶんきょくしょうじてニューロンおうはい周期しゅうきせい形成けいせいされる。周期しゅうきせいのトリガーは皮質ひしつかんがえられている。バーストサプレッションはふか麻酔ますいあるいはてい酸素さんそ脳症のうしょう広範こうはん頭部とうぶ外傷がいしょうでみられる。これは視床ししょうからの入力にゅうりょく皮質ひしつニューロンの分極ぶんきょくにより遮断しゃだんされるが、内因ないいんせいペースメーカーにより視床ししょう皮質ひしつニューロンがさい活動かつどうして皮質ひしつ活動かつどう再開さいかいして周期しゅうきてきなパターンをていするとかんがえられている。

突発とっぱつ[編集へんしゅう]

突然とつぜんはじまり、急速きゅうそく最大さいだい振幅しんぷくたっし、突然とつぜんわるような出現しゅつげん様式ようしきをとる脳波のうは突発とっぱつという。突発とっぱつ判読はんどくもっと重要じゅうようなのはてんかんであり、てんかんの診断しんだん分類ぶんるい治療ちりょう効果こうか判定はんてい脳波のうはおこなわれることがある。突発とっぱつ異常いじょうには波形はけい異常いじょう出現しゅつげん仕方しかた出現しゅつげん場所ばしょなどの性状せいじょうられている。

波形はけい異常いじょう
とげするどなみとげじょなみとげじょなみなどがられている。とげ(spike)とは持続じぞく20msec - 70msec程度ていどとがった波形はけいであり、するど(sharp wave)とは持続じぞく70msec - 200msec程度ていど振幅しんぷくおおきなとがったなみである。とげひとつにじょなみひとつがわさるととげじょなみふくあい(spike-and-slow-wave complex)といい、するどなみひとつととじょなみひとつではするどじょなみふくあい(sharp-and-slow-wave complex)という。とげふくあいとげじょなみふくあいといったものも存在そんざいする。
出現しゅつげん仕方しかた
単発たんぱつ、2から3つらなって、群発ぐんぱつすうびょうつづく)といった出現しゅつげん仕方しかたられている。持続じぞくてき頻発ひんぱつ散発さんぱつ(sporadic)、律動りつどうせい(rhythmic)、律動りつどうせい律動りつどうせい周期しゅうきせい突発とっぱつせい両側りょうがわ同期どうきせい非同期ひどうきせいといった表現ひょうげんもちいられる。
出現しゅつげん場所ばしょ
焦点しょうてんせい半球はんきゅうせい全般ぜんぱんせいなどがられている。広域こういきせい広汎こうはんせい局在きょくざいせいいちがわせい両側りょうがわせい対称たいしょうせい非対称ひたいしょうせいといった言葉ことば使つかわれる。これらは左右さゆうなどに注目ちゅうもくするのが重要じゅうようである。
突発とっぱつせい異常いじょう[編集へんしゅう]

突発とっぱつせい脳波のうは異常いじょうは、とげなみならびにするどなみ突発とっぱつせい律動りつどうとに大別たいべつされる。

とげ(spike)

とげ突発とっぱつせい脳波のうは異常いじょうもっと基本きほんてきかたちであり、持続じぞくが20msec以上いじょう70msec未満みまんすなわち1/50~1/14びょう急峻きゅうしゅん波形はけいをもち、背景はいけい脳波のうはから区別くべつされる。前述ぜんじゅつのようにとげはその出現しゅつげん様式ようしきによって散発さんぱつせい律動りつどうせいにバースト(群発ぐんぱつ)を形成けいせいすることがある。とげ皮質ひしつニューロンの同期どうきせい発火はっかをあらわすものである。てんかん患者かんじゃ場合ばあいとげ成分せいぶんもっと特異とくいてき発作ほっさ発射はっしゃかんがえられている。孤立こりつせいとげがかなりなが間隔かんかくをおいて散発さんぱつするばあいは、それはてんかんげん焦点しょうてん局在きょくざいしめすだけであり臨床りんしょう症状しょうじょう出現しゅつげんしないのが普通ふつうである。

とげじょなみふくあい(spike and wave complex)

とげ持続じぞく200~500msecのじょなみつづいてあらわれる場合ばあいとげじょなみふくあいという。とげじょなみふくあい発生はっせいじょかんしては不明ふめいであるがじょなみ抑制よくせい過程かていあらわし、とげ表現ひょうげんされるつよ興奮こうふん過程かてい発現はつげんたいして、ただちにこれを抑制よくせいしようとする生体せいたい防御ぼうぎょ機構きこうはたらくためにとげつづいてじょなみ出現しゅつげんするというかんがかたもある。とげ単独たんどく出現しゅつげんするよりもてんかんげん損傷そんしょう広範こうはんであることがおおい。局在きょくざいせいとげじょなみふくあい全般ぜんぱんせい広汎こうはんせいとげじょなみふくあいとげじょなみふくあいなどがられている。局在きょくざいせいとげじょなみふくあい焦点しょうてんせいしめす。全般ぜんぱんせいとげじょなみふくあいにはかけしん発作ほっさの3Hzへるつとげじょなみ律動りつどうなどの有名ゆうめい波形はけいふくまれる。とげじょなみふくあいにはミオクロニー発作ほっさとの関連かんれんられている。

するど(sharp wave)

とげているが、持続じぞくが70msec以上いじょう200msec未満みまんすなわち1/14~1/5びょう波形はけいするどなみという。とげとの意義いぎ大差たいさはない。なぜ持続じぞくとげよりながいかということにかんしてはとげくらべてニューロンの同期どうき不完全ふかんぜんであるというかんがかたがある。同期どうき不完全ふかんぜんになるには2つのじょられている。だい1にはその部位ぶい原発げんぱつ焦点しょうてんであっても、空間くうかんてきにてんかんげん損傷そんしょう部位ぶいひろ場合ばあいがある。この場合ばあいひろ領域りょういきにある多数たすうのニューロンが同期どうきするのにするどよりも時間じかんがかかるとかんがえられる。だい2に原発げんぱつ焦点しょうてんたいがわ半球はんきゅう皮質ひしつ深部しんぶ皮質ひしつしょかくなどにあって、そこから伝播でんぱしてくる神経しんけい衝撃しょうげきによって当該とうがい皮質ひしつ部位ぶいするどなみ誘発ゆうはつされる場合ばあいは、神経しんけい衝撃しょうげき時間じかんてき分散ぶんさん増大ぞうだいし、持続じぞくながくなるとかんがえられる。

するどじょなみふくあい(sharp and slow wave complex)

するどじょなみつづいて形成けいせいされる場合ばあいするどじょなみふくあいという。するどじょなみふくあい比較的ひかくてきひろいてんかんげん損傷そんしょう存在そんざいする部位ぶいから記録きろくされる。

突発とっぱつ律動りつどう(paroxysmal rhythmic activity)

とげするどなみふくむが波形はけいは、散発さんぱつせいはつせい出現しゅつげんする場合ばあい律動りつどうてき反復はんぷくする場合ばあい脳波のうはてきには発作ほっさ発射はっしゃである。とげするどなみふくまない場合ばあい振幅しんぷくおおきく、背景はいけい脳波のうはから際立きわだった律動りつどうせい群発ぐんぱつ律動りつどうせいバースト)をなして出現しゅつげんする場合ばあい発作ほっさ発射はっしゃとみなされる場合ばあいがあり突発とっぱつ律動りつどうという。3Hzへるつ、6Hzへるつじょなみ群発ぐんぱつ、10Hzへるつこう振幅しんぷく群発ぐんぱつはや群発ぐんぱつなどがられている。

てんかん発作ほっさ脳波のうは対応たいおう[編集へんしゅう]
発作ほっさめい 発作ほっさ脳波のうは 発作ほっさ脳波のうは
定型ていけいかけしん発作ほっさ 広汎こうはんせい3Hzへるつとげじょなみふくあい 広汎こうはんせい3Hzへるつとげじょなみふくあいみじかい)
定型ていけいかけしん発作ほっさ 広汎こうはんせいおそとげじょなみふくあい 広汎こうはんせいおそとげじょなみふくあいほか
ミオクロニー発作ほっさ 広汎こうはんせいとげじょなみふくあい 広汎こうはんせいとげじょなみふくあい
強直きょうちょく発作ほっさ 広汎こうはんせい漸増ぜんぞう律動りつどう 不定ふてい
強直きょうちょく間代まだい発作ほっさ 広汎こうはんせいとげとげじょなみ 広汎こうはんせいとげじょなみふくあいなど
部分ぶぶん発作ほっさ 局在きょくざいせいとげ律動りつどう 局在きょくざいせいとげとげじょなみじょなみあるいはじょなみ律動りつどう出現しゅつげんしないこともある)

その有名ゆうめいなものとしてWest症候群しょうこうぐんのヒプスアリスミアやLennox症候群しょうこうぐん発作ほっさの2Hzへるつ前後ぜんこうするどじょなみふくあい、irregularな1.5Hzへるつ - 2.5Hzへるつのsharp-and-slow-wave-complexなどがられている。

病的びょうてき意義いぎとぼしい突発とっぱつせい活動かつどう[編集へんしゅう]

下記かきべるものは病的びょうてき意義いぎとぼしい。にせせいてんかん発作ほっさともいわれる。

6&14Hzへるつ陽性ようせいとげ

陽性ようせい群発ぐんぱつ陽性ようせいとげともいう。振幅しんぷくは75μみゅーV以下いかのことがおおく、がわあたま後部こうぶ後頭部こうとうぶ優位ゆうい両側りょうがわせいいちがわせいないし左右さゆう交代こうたいせい睡眠すいみんだい1~2段階だんかい出現しゅつげんする。年齢ねんれい依存いぞんせいがあり4さいころから出現しゅつげんし、12~14さいころがピークであり成人せいじんになると減少げんしょうする。Gibbsらは自律じりつ神経症しんけいしょうじょうしめ視床ししょうあるいは視床ししょう下部かぶてんかん患者かんじゃ関連かんれんすると記載きさいしたがその小児しょうに思春期ししゅんき中心ちゅうしん健常けんじょうしゃ20~60%にみとめられることがわかった。正常せいじょうから境界きょうかい所見しょけんかんがえられる場合ばあいおおい。国際こくさい学会がっかいでは病的びょうてき意義いぎ確立かくりつしていないとしている。

しょうするどとげ(SSS・BETS)

にゅうねむりけい睡眠すいみん単発たんぱつせいしょうとげ出現しゅつげんすることがありしょうするどとげといわれた。てんかんとの関連かんれんがはっきりしないため良性りょうせいてんかんがた発射はっしゃ(BETS)ともいう。

6Hzへるつとげじょなみふくあい(ファントムとげじょなみ

かけしん発作ほっさみとめられる広汎こうはんせい3Hzへるつとげじょなみふくあい小型こがたしたような波形はけいであることからファントムとげじょなみともばれる。内因ないいんせい精神病せいしんびょうとく統合とうごう失調しっちょうしょうとの関連かんれん提唱ていしょうされている。しかしこれも健常けんじょうしゃでもみとめられる。左右さゆう対称たいしょうせいときに非対称ひたいしょうせい全般ぜんぱんせい出現しゅつげんするが、ぜん頭部とうぶ優位ゆうい後頭部こうとうぶ優位ゆういしめすこともある。睡眠すいみんだいみとめられることがおおいが、呼吸こきゅうひかり刺激しげき賦活ふかつされる。

律動りつどうせいちゅうがわ頭部とうぶ放電ほうでん(RMTD)

精神せいしん運動うんどう発作ほっさことがたともいう。うとうと状態じょうたいときがわ頭部とうぶ、とくにがわあたま中部ちゅうぶ中心ちゅうしん出現しゅつげんする4~7Hzへるつθしーたなみ群発ぐんぱつである。複雑ふくざつ部分ぶぶん発作ほっさ精神せいしん運動うんどう発作ほっさ)でみとめられる方形ほうけいているため精神せいしん運動うんどう発作ほっさことがたわれたが、てんかんせい異常いじょうではない。群発ぐんぱつ持続じぞくは10びょう以上いじょういちがわせいまたは交代こうたいせい出現しゅつげんする。

成人せいじん潜在せんざいせい律動りつどうせい脳波のうは発射はっしゃ(SREDA)

両側りょうがわまたはいちがわ頭頂とうちょうがわ頭部とうぶ優位ゆうい比較的ひかくてきこう振幅しんぷくの4~7Hzへるつじょなみまたはするどなみさま活動かつどう周波数しゅうはすうえながら律動りつどうてき出現しゅつげんすうじゅうびょうからすう分間ふんかん持続じぞくするパターンであり、このあいだ臨床りんしょう症状しょうじょうともなわない。臨床りんしょうてき意義いぎとぼしいとかんがえられている。

ウィケットとげ

いちがわとくひだり)ないし両側りょうがわがわあたま中部ちゅうぶからがわあたま前部ぜんぶ優位ゆうい出現しゅつげんする比較的ひかくてきこう振幅しんぷく律動りつどうせい6Hzへるつのアーチがたμみゅー律動りつどうさま波形はけいである。

頭頂とうちょうするどなみ
μみゅー律動りつどう

覚醒かくせいかたぶけねむときいちがわまたは両側りょうがわ中心ちゅうしん頭頂とうちょう出現しゅつげんする9~11Hzへるつ律動りつどう

後頭部こうとうぶ陽性ようせい鋭一えいいちなみ(POSTs)
ブリーチリズム

ほね欠損けっそん場合ばあいμみゅー律動りつどうさま波形はけい目立めだって出現しゅつげんすることがあり、ブリーチリズムといわれる。

脳波のうは賦活ふかつ[編集へんしゅう]

かぎられた検査けんさ時間じかんない効率こうりつよく異常いじょう誘発ゆうはつ観察かんさつするため、おも以下いか賦活ふかつほうもちいられる。

開閉かいへい賦活ふかつほう
安静あんせい閉眼開眼かいがん10びょうに閉眼させる。おもαあるふぁブロック(αあるふぁ attenuationまたはαあるふぁ blocking)をみるための賦活ふかつほうである。αあるふぁブロックは視床ししょう皮質ひしつ反響はんきょう回路かいろだつ同期どうきによるものとかんがえられている。いちがわ開眼かいがんによるαあるふぁブロックが欠如けつじょした場合ばあいはBancaud現象げんしょうといい半球はんきゅう機能きのう異常いじょう示唆しさされる。にゅうねむり開眼かいがんさせると覚醒かくせいがあがりぎゃくαあるふぁなみ出現しゅつげんする。じょなみがあったり、反応はんのうせいひく場合ばあい病的びょうてき意義いぎたかくなる。
呼吸こきゅう賦活ふかつほう(HV)
1分間ふんかんに20かい - 30かいはやさで3ふん - 4分間ふんかん連続れんぞくして呼吸こきゅうおこなわせる方法ほうほうである。呼吸こきゅうによって呼吸こきゅうせいアルカローシスになりのう血管けっかん収縮しゅうしゅく[5]安静あんせいられなかったじょなみ出現しゅつげんしたり、振幅しんぷくおおきくなることがある。このような変化へんかをbuild-upという。10さい以下いかではbuild-up自体じたい病的びょうてき意義いぎがないこともおおい。呼吸こきゅう中止ちゅうしし1ふん以内いないにbuild-upが消失しょうしつしなかったらそれも所見しょけんである。呼吸こきゅう中止ちゅうしするとじょなみ一度いちど減少げんしょう消失しょうしつしてふたたじょなみする場合ばあいをre-build upという。build-up、re-build upともにもやもやびょうなどウィリスの大動脈だいどうみゃく障害しょうがいにおける所見しょけんかんがえられている。
ひかり刺激しげき賦活ふかつほう(PS)
反復はんぷくこう刺激しげきにてこうあたま突発とっぱつ誘発ゆうはつさせる方法ほうほうである。こうあたまひかり刺激しげき周波数しゅうはすう一致いっちした、あるいは調和ちょうわした脳波のうは出現しゅつげんこう駆動くどうといわれる。いちがわせい出現しゅつげんしないときはその半球はんきゅう異常いじょう[5]
睡眠すいみん賦活ふかつほう
睡眠すいみんによって突発とっぱつ誘発ゆうはつさせる方法ほうほうである。自然しぜん睡眠すいみんおこな場合ばあい薬物やくぶつにより睡眠すいみん導入どうにゅうする場合ばあいもある。とげ賦活ふかつされやすい[5]
おと刺激しげき
背景はいけい脳波のうは変化へんかなどをる。脳死のうし判定はんていときおこなう(みぎみみひだりみみ、それぞれに、3かい以上いじょう大声おおごえ耳元みみもと近接きんせつして名前なまえぶ)。
いた刺激しげき
意識いしき障害しょうがい脳死のうし判定はんていときおこなう(顔面がんめんへの疼痛とうつう刺激しげき)。

意識いしき障害しょうがい脳波のうは[編集へんしゅう]

脳波のうは所見しょけん意識いしき障害しょうがい程度ていどかんしてはある程度ていど相関そうかんみとめられる。

障害しょうがい程度ていど 刺激しげきへの脳波のうは反応はんのう 基本きほん所見しょけん
軽度けいど あり 正常せいじょう基礎きそ律動りつどうあり
    正常せいじょう基礎きそ律動りつどうじょなみ
    びまんせい間欠かんけつせいじょなみ出現しゅつげん
    IRDA (intermittent rhythmic dekta activity)
    さんそう
    びまんせい持続じぞくせいかたちせいじょなみ
    周期しゅうきせいパターン
    αあるふぁ昏睡こんすい
    てい振幅しんぷく持続じぞくせいじょなみ
    burst suppression
    background suppression pattern(<10μみゅーl)
高度こうど 消失しょうしつ 電気でんきてき大脳だいのう活動かつどう(electrocerebral inactivity)(<2μみゅーl)

目安めやすとしては以下いかのように評価ひょうかすることもある。

程度ていど 状態じょうたい
軽度けいど意識いしき障害しょうがい 意識いしき清明せいめい場合ばあい開眼かいがんによってαあるふぁなみ抑制よくせいされるが、眠気ねむけがありかる意識いしき混濁こんだくみとめられると開眼かいがんしてもαあるふぁなみ持続じぞくしてあらわれる。
中等ちゅうとう意識いしき障害しょうがい てい振幅しんぷく脳波のうは広汎こうはんせいじょなみしめす。おと刺激しげきなどで脳波のうは反応はんのうすることがあり、この場合ばあい回復かいふく可能かのうせいがある
高度こうど意識いしき障害しょうがい θしーたなみなどのほかに、さんそう、PLEDs、supression-burst,αあるふぁ-comaなどがみとめられる。

意識いしき障害しょうがい特徴とくちょうてき波形はけい[編集へんしゅう]

延髄えんずい障害しょうがいでは脳波のうは正常せいじょうであるがはしちゅうのう障害しょうがいでは紡錘ぼうすいこう振幅しんぷく不規則ふきそくじょなみ出現しゅつげんする。あいだのう障害しょうがいではこう振幅しんぷく不規則ふきそくじょなみ出現しゅつげんする。

αあるふぁ昏睡こんすい
脳幹のうかん障害しょうがいてい酸素さんそ脳症のうしょう薬物やくぶつ中毒ちゅうどくみとめられる。8~12Hzへるつαあるふぁなみ優位ゆういであり昏睡こんすい初期しょきられることがおおい。脳幹のうかん障害しょうがいによるものはこうあたま優位ゆういαあるふぁなみ出現しゅつげんするがてい酸素さんそ脳症のうしょうでは広汎こうはんせいかつぜん頭部とうぶ優位ゆうい傾向けいこうがある。不良ふりょうれいおお
βべーた昏睡こんすい
ぜん誘導ゆうどうにわたるてい振幅しんぷくそく特徴とくちょうてきである。椎骨ついこつのうそこ動脈どうみゃく閉塞へいそく脳幹のうかん出血しゅっけつさいみとめられる。薬物やくぶつ中毒ちゅうどくでの出現しゅつげんれい報告ほうこくもある。病変びょうへん部位ぶいαあるふぁ昏睡こんすい同様どうようであり、なぜ脳波のうは所見しょけんことなるのかは不明ふめい
θしーた昏睡こんすい
意識いしき障害しょうがいぜん頭部とうぶまたは前頭まえがしら中心ちゅうしん優位ゆうい出現しゅつげんするθしーたなみ主成分しゅせいぶんとした脳波のうは所見しょけんである。視床ししょうもうさまたい脳幹のうかんもうさまたい一方いっぽうまたは両方りょうほう破壊はかい出現しゅつげんするとかんがえられている。
δでるた昏睡こんすい
このパターンの脳波のうはもっともよくみとめられる。脳波のうは所見しょけん意識いしき障害しょうがい程度ていど相関そうかんする。脳炎のうえん代謝たいしゃ障害しょうがい中毒ちゅうどくてい酸素さんそ場合ばあい脳幹のうかんもうさまたい直接ちょくせつ障害しょうがいにより、占拠せんきょせい病変びょうへん場合ばあいのうあつ亢進こうしんによるてきあみさまたい機能きのう異常いじょうでおこるとされている。
さんそう
当初とうしょきもせい脳症のうしょうみとめられると報告ほうこくされたが、その病態びょうたいでも出現しゅつげんする。じょなみ主体しゅたい脳波のうはであり、かげかげさんそうなみがほぼ同期どうきし、頭部とうぶ前方ぜんぽう優勢ゆうせいあらわれる。頭部とうぶ前方ぜんぽうから後方こうほうにかけてなみ時間じかんのずれがられる。またバーストやぐんとしてあらわれ、振幅しんぷく減衰げんすい抑圧よくあつみとめられることもある。
PLEDs
とげするどなみ、あるいはふく合波あいばが1びょう - 2びょう間隔かんかく片側かたがわせいかえあらわれる場合ばあいをPLEDs(プレズ)という。両側りょうがわみとめられる場合ばあいをBiPLEDsという。

てんかんの脳波のうは[編集へんしゅう]

てんかん研究けんきゅう臨床りんしょう脳波のうはがくにおける中心ちゅうしん課題かだいひとつであり脳波のうはもっと威力いりょく発揮はっきするのも、てんかんの領域りょういきである。国際こくさいこうてんかん連盟れんめい(ILAE)のてんかんおよびてんかん症候群しょうこうぐんの1989ねん分類ぶんるい本稿ほんこう説明せつめいする。1989ねん分類ぶんるいでは、てんかんをまず全般ぜんぱんてんかん(全般ぜんぱん発作ほっさをもつてんかん)と局在きょくざい関連かんれん部分ぶぶん焦点しょうてん)てんかん(部分ぶぶん発作ほっさあるいは焦点しょうてん発作ほっさをもつてんかん)にける。他方たほう病因びょういんによって本態ほんたいせい原発げんぱつせい)てんかん、症候しょうこうせいてんかん、潜在せんざいせいてんかんにけ、りょう要因よういんわせて診断しんだんする。

部分ぶぶん発作ほっさ[編集へんしゅう]

部分ぶぶん発作ほっさとは最初さいしょあらわれる臨床りんしょうてきならびに脳波のうはてき変化へんかが、いちがわあるいは両側りょうがわ半球はんきゅう一部いちぶ限局げんきょくした解剖かいぼうがくてきあるいは機能きのうてきニューロンけい賦活ふかつこっていることをしめしている発作ほっさである。意識いしき障害しょうがいされないときは単純たんじゅん部分ぶぶん発作ほっさ分類ぶんるいし、意識いしき障害しょうがいされるときは複雑ふくざつ部分ぶぶん発作ほっさ分類ぶんるいする。

単純たんじゅん部分ぶぶん発作ほっさ[編集へんしゅう]

単純たんじゅん部分ぶぶん発作ほっさ焦点しょうてん局在きょくざい部位ぶいによって、運動うんどう徴候ちょうこうをともなうもの自律じりつ神経症しんけいしょうじょうをともなうものからだせい感覚かんかく症状しょうじょうあるいは特殊とくしゅ感覚かんかく症状しょうじょうともなうもの精神せいしん症状しょうじょうともなうもの分類ぶんるいされる。単純たんじゅん部分ぶぶん発作ほっさ発作ほっさ脳波のうは対応たいおうする皮質ひしつ機能きのう局在きょくざい領野りょうや始発しはつする局在きょくざいせい反対はんたいがわせい発射はっしゃであるが頭皮とうひじょうからつね記録きろくできるとはかぎらない。発作ほっさ発射はっしゃ(seizure discharge)はとげ律動りつどうてき発射はっしゃ場合ばあいもあり、それよりおそ種々しゅじゅ周波数しゅうはすう突発とっぱつせい律動りつどうであることもありえる。臨床りんしょうじょう単純たんじゅん部分ぶぶん発作ほっさであっても発作ほっさあるいは発作ほっさ間欠かんけつ脳波のうはじょう焦点しょうてんせい突発とっぱつがみられない場合ばあいすくなくない。単純たんじゅん部分ぶぶん発作ほっさ間欠かんけつ脳波のうは簡単かんたんにいうと局在きょくざいせい反対はんたいがわ発射はっしゃである。焦点しょうてん発作ほっさ部位ぶいべつ出現しゅつげん頻度ひんどではがわあたま前部ぜんぶ焦点しょうてん半球はんきゅうせいがわ頭部とうぶ多発たはつせい後頭部こうとうぶ頭頂とうちょうぜん頭部とうぶじゅんみとめられる。

Jasperによる1954ねん検討けんとうでは単純たんじゅん部分ぶぶん発作ほっさ焦点しょうてんせい発作ほっさせい脳波のうは異常いじょうは3つに分類ぶんるいすることができる。

局在きょくざいせいひょうざいせい皮質ひしつ焦点しょうてん
頭皮とうひじょう長径ちょうけい3~4cmの範囲はんいない散発さんぱつせい持続じぞくみじかとげ出現しゅつげんし、領域りょういきにはほぼ正常せいじょう脳波のうはみとめられる場合ばあいにはおもてざいせい皮質ひしつ焦点しょうてん想定そうていされる。
埋没まいぼつ焦点しょうてんせい両側りょうがわ同期どうき
はたじょう焦点しょうてんいちがわ大脳だいのう半球はんきゅう内側うちがわ)、もと底部ていぶ焦点しょうてん大脳だいのう半球はんきゅう下面かめん)、大脳だいのうない焦点しょうてんなどがられている。
広汎こうはんせいてんかんげん領域りょういき

複雑ふくざつ部分ぶぶん発作ほっさ[編集へんしゅう]

複雑ふくざつ部分ぶぶん発作ほっさ意識いしき障害しょうがいともない、あとに健忘けんぼうのこ発作ほっさである。単純たんじゅん部分ぶぶん発作ほっさではじまり、途中とちゅうから意識いしき障害しょうがいこす場合ばあい最初さいしょから意識いしき障害しょうがいともな場合ばあいがある。精神せいしん運動うんどう発作ほっさとほぼ同義どうぎであるが一部いちぶかさならないてんもある。複雑ふくざつ部分ぶぶん発作ほっさはふつうはがわ頭部とうぶあるいは前頭まえがしらがわ頭部とうぶ皮質ひしつ皮質ひしつ領域りょういき(嗅脳、あたりえんけいふくむ)のいちがわせいまたは両側りょうがわせい損傷そんしょうによっておこる。がわあたまてんかんとの関連かんれん重要じゅうようである。がわあたまてんかんでは発作ほっさ発射はっしゃがわあたま皮質ひしつしまなどの皮質ひしつからあたりえんけい海馬かいばひらたももたい)にいたる投射とうしゃ限局げんきょくせいおかせかさねすると単純たんじゅん部分ぶぶん発作ほっさ、すなわち精神せいしん発作ほっさ錯覚さっかく幻覚げんかく)などが出現しゅつげんする。これを外側そとがわがわあたま発作ほっさという。発射はっしゃあたりえんけいひろがると複雑ふくざつ部分ぶぶん発作ほっさとくに自動じどうしょうともなうことになる。これをひらたももたい海馬かいば発作ほっさという。複雑ふくざつ部分ぶぶん発作ほっさ発作ほっさ間欠かんけつ脳波のうはいちがわせいあるいは両側りょうがわせいの、ふつうは非同期ひどうきせい焦点しょうてんがあり、焦点しょうてんはふつうはがわ頭部とうぶあるいはぜん頭部とうぶ出現しゅつげんする。発作ほっさ脳波のうはいちがわせいの、あるいは両側りょうがわせい発射はっしゃ広汎こうはんせいあるいはがわ頭部とうぶがわあたまぜん頭部とうぶ焦点しょうてんせい出現しゅつげんする。

せい全般ぜんぱん[編集へんしゅう]

せい全般ぜんぱん発作ほっさ部分ぶぶん発作ほっさからてき全般ぜんぱんした発作ほっさであり、おもあらわれる発作ほっさ強直きょうちょく間代まだい発作ほっさである。せい全般ぜんぱん発作ほっさ単純たんじゅん部分ぶぶん発作ほっさから強直きょうちょく間代まだい発作ほっさこる場合ばあい複雑ふくざつ部分ぶぶん発作ほっさから強直きょうちょく間代まだい発作ほっさこる場合ばあい単純たんじゅん部分ぶぶん発作ほっさから複雑ふくざつ部分ぶぶん発作ほっさ強直きょうちょく間代まだい発作ほっさとなる場合ばあいの3パターンがかんがえられる。単純たんじゅん部分ぶぶん発作ほっさ複雑ふくざつ部分ぶぶん発作ほっさ明確めいかく区別くべつできない場合ばあいもある。

全般ぜんぱん発作ほっさ[編集へんしゅう]

全般ぜんぱん発作ほっさ最初さいしょ臨床りんしょうてき徴候ちょうこうが、発作ほっさ開始かいし両側りょうがわ半球はんきゅうおかせかさねされていることをしめ発作ほっさである。意識いしき障害しょうがいされることがあり、この意識いしき障害しょうがい発作ほっさ開始かいし症状しょうじょうであることもある。運動うんどう現象げんしょう両側りょうがわせいである。発作ほっさ脳波のうはぞう発作ほっさ開始かいし両側りょうがわせいであり、これはおそらく両側りょうがわ半球はんきゅう広汎こうはんひろがっているニューロン発射はっしゃ反映はんえいしている。全般ぜんぱんせいてんかんは、てんかんの国際こくさい分類ぶんるいでは特発とくはつせい発症はっしょう年齢ねんれい依存いぞんせいのもの、潜在せんざいせいあるいは症候しょうこうせいのもの、症候しょうこうせいのものの3つにかれる。特発とくはつせい発症はっしょう年齢ねんれい依存いぞんせいのものにはかけしんてんかん、若年じゃくねんかけしんてんかん、ミオクロニーてんかん、だい発作ほっさてんかんなどがふくまれる。症候しょうこうせいのものにはウエスト症候群しょうこうぐんレノックス症候群しょうこうぐん、ミオクロニー・しつてんかん、ミオクロニーかけしんてんかんがふくまれる。てんかん発作ほっさ国際こくさい分類ぶんるいでは全般ぜんぱん発作ほっさかけしん発作ほっさ定型ていけい定型ていけい)、ミオクロニー発作ほっさ間代まだい発作ほっさ強直きょうちょく発作ほっさ強直きょうちょく間代まだい発作ほっさしつりつ発作ほっさ分類ぶんるいできる。本稿ほんこうではてんかん発作ほっさ分類ぶんるいしたが解説かいせつする。

かけしん発作ほっさ[編集へんしゅう]

かけしん発作ほっさ純粋じゅんすいかたは、前兆ぜんちょうなく突然とつぜんはじまりすうびょうから20びょうほど持続じぞくし、突然とつぜん終了しゅうりょうする。それまでおこなっていたしょ活動かつどう中断ちゅうだん空虚くうきょ凝視ぎょうし場合ばあいによっては短時間たんじかん眼球がんきゅうじょうてんみとめられる。患者かんじゃはなしをしていればはなしは中断ちゅうだんされ、歩行ほこうちゅうならばそのちすくみ、食事しょくじちゅうならば食物しょくもつくちはこばれる途中とちゅうまる。発作ほっさちゅうはなしかけると場合ばあいによってはぶつぶつとつぶやくことはあるが普通ふつう応答おうとうできない。かけしん発作ほっさには6つのがたがあり、意識いしき障害しょうがいだけをしめすもの、意識いしき障害しょうがい自動じどうしょうしめすもの、ミオクロニー要素ようそともなうもの、脱力だつりょく要素ようそつもの、強直きょうちょく要素ようそつもの、自律じりつ神経しんけい要素ようそつものがられている。かくがた単独たんどくふくあいもある。いずれの発作ほっさがたでも普通ふつう発作ほっさちゅう規則正きそくただしい左右さゆう対称たいしょうせいの3Hzへるつとげじょなみふくあい出現しゅつげんする。2~4Hzへるつとげじょなみのことやとげじょなみふくあいのこともある。異常いじょう脳波のうは両側りょうがわせいである。発作ほっさ間欠かんけつはふつう基礎きそ律動りつどう正常せいじょうであるが、とげとげじょなみのような突発とっぱつ出現しゅつげんすることもある。脳波のうは異常いじょう賦活ふかつされやすく呼吸こきゅう容易ようい誘発ゆうはつされる。また睡眠すいみんやPentetrazolやbemegrideでも誘発ゆうはつできる。
定型ていけいかけしん発作ほっさ定型ていけいかけしん発作ほっさよりも顕著けんちょすじ緊張きんちょう変化へんかともなうことがおおく、発作ほっさおこりはじめ終了しゅうりょう突然とつぜんではないという特徴とくちょうがある。脳波のうは定型ていけい失神しっしん発作ほっさよりも多彩たさいである。

ミオクロニー発作ほっさ[編集へんしゅう]

ミオクロニー発作ほっさはミオクロニー痙攣けいれん間代まだい発作ほっさけられる。

ミオクロニー痙攣けいれん
ミオクロニー痙攣けいれんは、突然とつぜんこる短時間たんじかん衝撃しょうげきさますじ収縮しゅうしゅく全般ぜんぱんせいのこともあり、顔面がんめんからだみき、1つあるいはそれ以上いじょう個々ここすじあるいはすじぐん限局げんきょくすることもある。この発作ほっさ急速きゅうそく反復はんぷくすることも比較的ひかくてき孤立こりつして出現しゅつげんすることもある。普通ふつう意識いしきうしなわないがときに1~2びょう意識いしき消失しょうしつともなうことがある。ミオクロニー痙攣けいれん単独たんどくこることもあるが、同時どうじ全般ぜんぱん強直きょうちょく間代まだい発作ほっさつものもおおい。ミオクロニー痙攣けいれん発作ほっさ脳波のうはとして普通ふつうとげじょなみあるいはときとげじょなみするどじょなみ出現しゅつげんする。発作ほっさ間欠かんけつにも発作ほっさ同様どうよう突発とっぱつみとめられるため、脳波のうはじょう突発とっぱつみとめられても発作ほっさこっているとはかぎらない。ミオクロニー痙攣けいれん外的がいてき刺激しげきによって誘発ゆうはつされやすい。突然とつぜん音響おんきょう睡眠すいみん誘発ゆうはつされるがひかり刺激しげきたいしてとく敏感びんかんである。ミオクロニー発作ほっさこすてんかんには乳児にゅうじ良性りょうせいミオクロニーてんかん、若年じゃくねんミオクロニーてんかん、ミオクロニーかけしんてんかん、ミオクロニーしつてんかん、乳児にゅうじ重症じゅうしょうミオクロニーてんかんがられている。乳児にゅうじ良性りょうせいミオクロニーてんかんは1~2さいこり睡眠すいみん初期しょき全般ぜんぱんせいとげじょなみみじか群発ぐんぱつみとめられる。若年じゃくねんミオクロニーてんかん(衝撃しょうげきしょう発作ほっさ)は思春期ししゅんきこり発作ほっさ間欠かんけつ発作ほっさ周波数しゅうはすうはや全般ぜんぱんせいとげじょなみあるいはとげじょなみである。ひかり過敏かびんせいであることがおおい。ミオクロニーかけしんてんかんでは小児しょうにかけしんてんかんと同様どうよう両側りょうがわ同期どうきせい対称たいしょうせいの3Hzへるつとげじょなみ出現しゅつげんする。ミオクロニーしつてんかんでは最初さいしょは4~7Hzへるつ律動りつどうほか正常せいじょうであるが不規則ふきそくせいとげじょなみあるいはとげじょなみしめす。乳児にゅうじ重症じゅうしょうミオクロニーてんかんでは全般ぜんぱんせいあるいはいちがわせい間代まだい発作ほっさ、ミオクロニー痙攣けいれんをもち、脳波のうは全般ぜんぱんせいとげじょなみとげじょなみ焦点しょうてんせい異常いじょうひかり過敏かびんせいしめきわめて難治なんじせいである。
間代まだい発作ほっさ
間代まだい発作ほっさはミオクロニー痙攣けいれん律動りつどうてき反復はんぷくするものである。発作ほっさ脳波のうはは10Hzへるつ以上いじょうはやなみじょなみ場合ばあいによってはとげじょなみであり発作ほっさ間欠かんけつにはとげじょなみあるいはとげじょなみ出現しゅつげんする。
ミオクローヌスてんかん
ミオクロニー発作ほっさ区別くべつ必要ひつよう用語ようごである。初期しょきはミオクロニー発作ほっさ区別くべつがつきにくいがミオクローヌスてんかんは症候群しょうこうぐんであり、じょうかくあかかくあわあおだまルイからだ萎縮いしゅくしょう若年じゃくねんがたがこの症候群しょうこうぐんていする。ミオクロニー痙攣けいれん全身ぜんしんせい痙攣けいれん認知にんちしょうなどをしめす。

強直きょうちょく発作ほっさ[編集へんしゅう]

すうびょう程度ていど比較的ひかくてき短時間たんじかん強直きょうちょく状態じょうたいこる発作ほっさであり、普通ふつう意識いしき障害しょうがいされるが回復かいふくはやい。普通ふつう眼球がんきゅう頭部とうぶいちがわへんし、胸部きょうぶ強直きょうちょく痙攣けいれん呼吸こきゅう停止ていしすることがある。乳幼児にゅうようじてんかんにおおく、代表だいひょう疾患しっかんはウエスト症候群しょうこうぐんとレノックスガストー症候群しょうこうぐんである。ウエスト症候群しょうこうぐん発作ほっさてい振幅しんぷくそくなみないし脳波のうはだつ同期どうき間欠かんけつはヒプスアリスミアがみとめられる。レノックスガストー症候群しょうこうぐん発作ほっさは20Hzへるつ前後ぜんこうはやなみせい同期どうきなみ漸増ぜんぞう律動りつどうみとめられ間欠かんけつするどじょなみ多少たしょうとも律動りつどうてき発射はっしゃ出現しゅつげんする。

強直きょうちょく間代まだい発作ほっさ[編集へんしゅう]

強直きょうちょく間代まだい発作ほっさにて特発とくはつせい全般ぜんぱんせいてんかんによるものと症候しょうこうせい全般ぜんぱんせいてんかんによるものとがある。部分ぶぶん発作ほっさ発展はってんしててき全般ぜんぱんして強直きょうちょく間代まだい発作ほっさしめすこともある。従来じゅうらい部分ぶぶん発作ほっさせい全般ぜんぱんによる発作ほっさ強直きょうちょく間代まだい発作ほっさとし、部分ぶぶん発作ほっさ症状しょうじょう前兆ぜんちょうとしてあつかっていたが、国際こくさい分類ぶんるいではせい全般ぜんぱんはあくまで部分ぶぶん発作ほっさとしてあつかい、最初さいしょから全般ぜんぱんせいにはじまる強直きょうちょく間代まだい発作ほっさ区別くべつしている。患者かんじゃ一部いちぶ発作ほっさ先立さきだ形容けいようしがたい予告よこく体験たいけんするが、だい部分ぶぶん患者かんじゃではなんら予告よこく症状しょうじょうなしに意識いしきうしなう。突然とつぜん急激きゅうげき強直きょうちょくせいすじ収縮しゅうしゅくこり、地上ちじょうたおれ、したんだり、失禁しっきんしたりする。チアノーゼがこることもある。その間代まだい痙攣けいれん段階だんかい移行いこうする。間代まだい痙攣けいれんすじ弛緩しかん意識いしき障害しょうがいとなる。発作ほっさは10Hzへるつあるいはそれ以上いじょう律動りつどう強直きょうちょくあいだ次第しだい周波数しゅうはすうげん振幅しんぷくやし、間代まだいになるとじょなみによって中断ちゅうだんされるというパターンをとる。発作ほっさ間欠かんけつにはとげじょなみあるいはとげじょなみするどじょなみ発射はっしゃみとめられる。全般ぜんぱん強直きょうちょく間代まだい発作ほっさだけを患者かんじゃでは発作ほっさがたくらべて突発とっぱつ出現しゅつげんりつもっとひくく、1952ねんのギブスの検討けんとうでは安静あんせい22%、睡眠すいみん46%にしか突発とっぱつみとめられなかった。

脱力だつりょく発作ほっさ[編集へんしゅう]

脱力だつりょく発作ほっさとはすじ緊張きんちょう突然とつぜんげんじゃくこるものである。部分ぶぶんてき頭部とうぶまえにたれあごがゆるんだり、四肢ししひとつがだらりとしたりする場合ばあいもある。すべてのすじ緊張きんちょうカタレプシーよう消失しょうしつして地上ちじょうたおれてしまうなどする。これらの発作ほっさきわめてみじかとき転倒てんとう発作ほっさという。意識いしき消失しょうしつするとしてもみじかい。持続じぞくなが脱力だつりょく発作ほっさでは律動りつどうてき連続れんぞくてき弛緩しかん進行しんこうするというかたち進行しんこうする。かけしん発作ほっさ症状しょうじょうとしてこることもある。発作ほっさ脳波のうはとげじょなみ平坦へいたんあるいはてい振幅しんぷくそく出現しゅつげんする。発作ほっさ間欠かんけつとげじょなみ出現しゅつげんする。

認知にんちしょう脳波のうは[編集へんしゅう]

アルツハイマーがた認知にんちしょう患者かんじゃでは脳波のうは以下いかのように推移すいいすることがられている。コリンエステラーゼ阻害そがいやくによってじょなみ減少げんしょうすることがられている。

  • 正常せいじょう波形はけい
  • αあるふぁなみ貧困ひんこんθしーたなみ混在こんざい
  • ていちゅう振幅しんぷくθしーたなみ主体しゅたいじょなみ
  • なかこう振幅しんぷくθしーたδでるたなみδでるたバーストをともなだいじょなみ
  • だいじょなみてい振幅しんぷく不規則ふきそく
  • 平坦へいたん

脳波のうはによる診断しんだん[編集へんしゅう]

画像がぞう診断しんだんがく発達はったつしたため、2012ねん時点じてん脳波のうは検査けんさでは特異とくい意義いぎたか脳波のうは所見しょけん判読はんどくもとめられている。特異とくいたか脳波のうは所見しょけんはその所見しょけん病態びょうたい診断しんだん可能かのうなものであり、意義いぎたか脳波のうは所見しょけんはその所見しょけん大脳だいのう広範こうはん障害しょうがいがあることをしめすものである。

特異とくい意義いぎたか脳波のうは所見しょけん
てんかんせい放電ほうでん連続れんぞくせい不規則ふきそくじょなみはや局所きょくしょせい振幅しんぷく低下ていかさんそう周期しゅうきせい同期どうきせい放電ほうでん、PLEDs、burst suppression、全般ぜんぱんせい振幅しんぷく低下ていか電気でんきてき大脳だいのう活動かつどうなどがあげられる。ぎゃく非特異ひとくいてき脳波のうは所見しょけんとしては基礎きそ律動りつどうじょなみ間欠かんけつてき不規則ふきそくじょなみ、びまんせいはやぞうだか、sleep onset REMなどがある。連続れんぞくせい不規則ふきそくじょなみはびまんせいならば全般ぜんぱんせい大脳皮質だいのうひしつ機能きのう低下ていかしめし、局在きょくざいせいならば器質きしつてき局在きょくざい異常いじょうをしめすため臨床りんしょうじょう有用ゆうようである。間欠かんけつせい不規則ふきそくじょなみ局在きょくざいせいならば、その情報じょうほう特異とくいたかいがびまんせいならば大脳皮質だいのうひしつ機能きのう低下ていか示唆しさする程度ていどであり有効ゆうこう情報じょうほうとはいえない。sleep onset REMはナルコレプシーうたがった場合ばあい有効ゆうこう情報じょうほうとなる。

特異とくいおよび意義いぎたか脳波のうは所見しょけん臨床りんしょうてき相関そうかん[編集へんしゅう]

てんかんせい放電ほうでん
かく所見しょけんおうじたてんかん発作ほっさがた、あるいはてんかん症候群しょうこうぐん示唆しさする。
局所きょくしょせい連続れんぞくせい不規則ふきそくじょなみ
当該とうがい領域りょういきにおける器質きしつてき障害しょうがい示唆しさする。
びまんせい連続れんぞくせい不規則ふきそくじょなみ
δでるた昏睡こんすいθしーた昏睡こんすいαあるふぁ昏睡こんすいβべーた昏睡こんすい紡錘ぼうすい昏睡こんすいなどがこれにあたる。臨床りんしょうてき急性きゅうせい混迷こんめいあるいは昏睡こんすい状態じょうたいでこの所見しょけん場合ばあいは、急性きゅうせい高度こうどのう機能きのう障害しょうがい示唆しさする。αあるふぁ昏睡こんすいてい酸素さんそ脳症のうしょうはし病変びょうへんβべーた昏睡こんすい薬物やくぶつ中毒ちゅうどくとの関連かんれんがあり紡錘ぼうすい昏睡こんすい比較的ひかくてき良好りょうこうとみなされる。
はや局所きょくしょせい振幅しんぷく低下ていか
当該とうがい部位ぶい皮質ひしつ器質きしつてき障害しょうがい示唆しさする。
さんそう
中等ちゅうとう代謝たいしゃせい脳症のうしょう出現しゅつげんする。とく肝不全かんふぜんでの出現しゅつげんりつたかい。10さい以下いかでは出現しゅつげんしない。
周期しゅうきせい同期どうきせい放電ほうでん
クロイツフェルト・ヤコブびょう急性きゅうせい硬化こうかせいぜん脳炎のうえんにおいて、たん周期しゅうきおよびちょう周期しゅうき放電ほうでんとしてみとめられることがおおいが、急性きゅうせいてい酸素さんそ脳症のうしょうでも出現しゅつげんする。
PLEDs
急性きゅうせい皮質ひしつおよびしろしつ破壊はかいせい病変びょうへん、あるいは部分ぶぶんてんかんじゅうせき状態じょうたい反映はんえいする。
burst suppression
高度こうど急性きゅうせいてい酸素さんそ脳症のうしょうあるいは中毒ちゅうどくせい脳症のうしょう反映はんえいして、通常つうじょう不良ふりょうのことがおおい。
全般ぜんぱんせい振幅しんぷく低下ていか
臨床りんしょうてき昏睡こんすい状態じょうたい患者かんじゃにおいては、高度こうどのびまんせいのう障害しょうがい反映はんえいして、通常つうじょう不良ふりょうのことがおおい。
電気でんきてき大脳だいのう活動かつどう
臨床りんしょうてき脳死のうし状態じょうたい対応たいおうする。

のう活動かつどう周波数しゅうはすう変化へんか[編集へんしゅう]

安静あんせい・閉眼出現しゅつげんしていた後頭部こうとうぶ優位ゆういαあるふぁなみ開眼かいがんするとすみやかに振幅しんぷく減衰げんすいする。このように、感覚かんかく入力にゅうりょくからだせい感覚かんかく聴覚ちょうかく視覚しかくなど)、運動うんどう覚醒かくせい状態じょうたい変化へんか認知にんち活動かつどうなどによって周波数しゅうはすう成分せいぶんわることがられており、生理学せいりがく心理しんりがく研究けんきゅう応用おうようされている。高速こうそくフーリエ変換へんかん周波数しゅうはすうフィルタなどの信号しんごう処理しょり技術ぎじゅつ必要ひつようとなる。

ある周波数しゅうはすう成分せいぶん刺激しげきなどの事象じしょう前後ぜんごして増加ぞうかすることを「事象じしょう関連かんれん同期どうき」(event-related synchronization : ERS)とび、減少げんしょうすることを「事象じしょう関連かんれんだつ同期どうき」(event-related desynchronization : ERD)とぶ。

また周波数しゅうはすう変化へんか利用りようしてロボットアームなどをうごかす研究けんきゅう(brain-computer interface : BCI)の研究けんきゅうすすめられており、義手ぎしゅなどへの応用おうよう期待きたいされる(後述こうじゅつ)。

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周期しゅうきてき刺激しげきにより特定とくてい周波数しゅうはすうたい脳波のうは増強ぞうきょうされる現象げんしょうえい: entrainment)という[6]点滅てんめつするかり(フリッカー)や特定とくてい周波数しゅうはすう成分せいぶんのみからなる音声おんせい脳波のうはみをこすことがられている。

加算かさん平均へいきんほう様々さまざま解析かいせき[編集へんしゅう]

たとえば正中せいちゅう神経しんけい刺激しげきおこなうと、やく20msたいがわいち感覚かんかく神経しんけい細胞さいぼう反応はんのうする。この反応はんのうは、背景はいけい脳波のうはくらべて電位でんいがかなりちいさいので直接ちょくせつ波形はけい観察かんさつしても見分みわけることはできない。これを解決かいけつするために、正中せいちゅう神経しんけい刺激しげきふくすうかい(100かいなど)かえし、刺激しげき時間じかんそろえて加算かさん平均へいきん(average)すると、正中せいちゅう神経しんけい刺激しげき関連かんれんした電位でんい変化へんかのみ観察かんさつできる。これは背景はいけい脳波のうは電気でんき刺激しげきとは無関係むかんけいにランダムに発生はっせいしているとかんがえられるためふくすうかい平均へいきんすることでしあうことを利用りようしたものである。

加算かさん平均へいきん応用おうようした方法ほうほうとして、からだせい感覚かんかく誘発ゆうはつ電位でんい(SEP)、聴覚ちょうかく脳幹のうかん誘発ゆうはつ電位でんい(BAEP、ABR)、視覚しかく誘発ゆうはつ電位でんい(VEP)、様々さまざま事象じしょう関連かんれん電位でんい聴性脳幹のうかん反応はんのうなどがある。

意思いし伝達でんたつやBMIへの利用りよう[編集へんしゅう]

脳波のうはを、意思いし伝達でんたつのほか、義手ぎしゅ機械きかい、コンピューターを制御せいぎょするブレイン・マシン・インタフェース(BMI)利用りようする技術ぎじゅつ開発かいはつすすめられており、一部いちぶ実験じっけん成功せいこうしている。すじ萎縮いしゅくせいがわさく硬化こうかしょう(ALS)やのう梗塞こうそくなどで四肢しし機能きのう障害しょうがいったひとリハビリテーション生活せいかつ補助ほじょへの利用りよう目的もくてきとしているが、のうへの「不正ふせいアクセス」が可能かのうになりかねないことへの懸念けねん指摘してきされている[7][8][9]

table. 脳波のうはもちいたBMIれい
発表はっぴょうねん 内容ないよう 開発かいはつしゃ 備考びこう doi
1988 文字もじ入力にゅうりょく L.A. Farwell, et al. P300 speller 10.1016/0013-4694(88)90149-6
1991 コンピュータカーソルの1次元じげん操作そうさ Jonathan R Wolpaw, et al. μみゅーなみ利用りよう 10.1016/0013-4694(91)90040-B
1999 脊髄せきずい損傷そんしょう患者かんじゃによる物体ぶったい把持はじ Richard T. Lauer, et al. βべーたなみ検知けんち外部がいぶからの筋肉きんにく刺激しげきによる物体ぶったい把持はじ 10.1097/00001756-199906030-00026
2004 コンピュータカーソルの2次元じげん操作そうさ Jonathan R Wolpaw, et al. μみゅーなみ左右さゆうじくに、βべーたなみ上下じょうげじく利用りよう 10.1073/pnas.0403504101
2011 ドローン仮想かそう空間くうかんにおける3次元じげん操縦そうじゅう Alexander J. Doud, et al. 運動うんどう想起そうき(4しゅわせけい6パターン)によるμみゅーなみ変化へんか利用りよう 10.1371/journal.pone.0026322
2013 ドローンの現実げんじつ空間くうかんにおける操縦そうじゅう Karl LaFleur, et al. 10.1088/1741-2560/10/4/046003

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 国際こくさい10-20ほう電極でんきょく配置はいち位置いち以下いかのようにめられる。まずはな(N)とこうあたまきょく(I)をむすせんを10%、20%、20%、20%、20%、10%に分割ぶんかつし、ぜん頭部とうぶからじゅんにFpz,Fz,Cz,Pz,Ozとする。外耳がいじあなまたはみみかいまえてんみみたまのすぐ前方ぜんぽう頬骨ほおぼねれるおちい凹部)をA1(ひだり)、A2(みぎ)としN、I、Aをむすせんをつくる。Aから10%だけCzにかうてんがT3とT4である。T3,T4とFpz、Ozをむすせんつくり、左右さゆうにNから10%、20%、20%、20%、20%、10%と分割ぶんかつする。ひだりならば、NがわからじゅんにFpz,Fp1,F7,T3,T5,O1,Ozとなる。T3、T4から20%CzにかうとC3、C4となる。このてん中心ちゅうしんみぞ直上ちょくじょうかんがえられている。F7,Fz,F8をむすせんでFzとF7の中点ちゅうてんがF3、FzとF8の中点ちゅうてんがF4である。T5,Pz,T6をむすせんでPzとT5の中点ちゅうてんがP3、PzとT6の中点ちゅうてんがP4である。Fpz、Ozに探査たんさ電極でんきょくらないので、基準きじゅん電極でんきょくをA1,A2に場合ばあいは21個いっこ電極でんきょくることになる。正中せいちゅうしめすzはzeroであり、奇数きすうならば左側ひだりがわ偶数ぐうすうならば右側みぎがわというルールになっている。かく電極でんきょく以下いかのようにもばれる。
    Fpz 前頭まえがしらごくせい中部ちゅうぶ F3 左前ひだりまえ頭部とうぶ O2 みぎ後頭部こうとうぶ
    Fz 正中せいちゅうぜん頭部とうぶ F4 右前みぎまえ頭部とうぶ F7 左側ひだりがわあたま前部ぜんぶ
    Cz 正中せいちゅう中心ちゅうしん C3 ひだり中心ちゅうしん F8 右側みぎがわあたま前部ぜんぶ
    Pz 正中せいちゅう頭頂とうちょう C4 みぎ中心ちゅうしん T3 左側ひだりがわあたま中央ちゅうおう
    Oz こうあたま中央ちゅうおう P3 ひだり頭頂とうちょう T4 右側みぎがわあたま中央ちゅうおう
    Fp1 ひだり前頭まえがしらきょく P4 みぎ頭頂とうちょう T5 左側ひだりがわあたま後部こうぶ
    Fp2 みぎ前頭まえがしらきょく O1 ひだり後頭部こうとうぶ T6 右側みぎがわあたま後部こうぶ
  2. ^ βべーたγがんま帯域たいいき境界きょうかい周波数しゅうはすうは28Hzへるつとするものなど諸説しょせつある。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ Condorelli D.F.Trovato-Salinaro A.Mudo G.Mirone M.B.Belluardo N.fCellular expression of connexins in the rat brain neuronal localization, effects of kainate-induced seizures and expression in apoptotic neuronal cells.Eur. J. Neurosci. 2003; 18: 1807-1827
  2. ^ Adrian ED, Yamagiwa K. (1935). The origin of the berger rhythm. Brain. 58:323-351. DOI: 10.1093/brain/58.3.323
  3. ^ JIS T 1203日本にっぽん産業さんぎょう標準ひょうじゅん調査ちょうさかい経済けいざい産業さんぎょうしょう
  4. ^ Nunez (1981). The electric fields of the brain. Oxford University Press. ISBN 978-0195027969
  5. ^ a b c 脳波のうはたのしくむためのミニガイド (PDF) 九州大学きゅうしゅうだいがく大学院だいがくいん医学いがく研究けんきゅういん臨床りんしょう神経しんけい生理学せいりがく教室きょうしつ(2001ねん2がつ1にち
  6. ^ "ふたつの周期しゅうきてき振動しんどう現象げんしょう振動しんどう)が相互そうご作用さようしあう結果けっか元来がんらいことなった周波数しゅうはすう振動しんどうをしているのに,ある条件下じょうけんか自発じはつてき振動しんどうのリズムが一致いっちする場合ばあいがある.この現象げんしょう振動しんどう同期どうき (synchronization),あるいはみ (entrainment)とばれる." 北城ほくじょう, 山口やまぐち (2007). 脳波のうは位相いそう同期どうき解析かいせきによる知覚ちかく研究けんきゅう.
  7. ^ 【Disruption 断絶だんぜつさきに】だい8 となりのロボ(3)あなたの一念いちねん、ロボをうごかす日本経済新聞にほんけいざいしんぶん朝刊ちょうかん2019ねん11がつ20日はつか(11めん)2021ねん1がつ2にち閲覧えつらん
  8. ^ たつおか 鉄郎てつお特集とくしゅう:「生体せいたいセンシング入門にゅうもん」『インターフェース (雑誌ざっし)』、CQ出版しゅっぱん、2015ねん4がつASIN B00S5TLDKY 
  9. ^ たつおか 鉄郎てつお脳波のうは計測けいそく」『トランジスタ技術ぎじゅつ』、CQ出版しゅっぱん、2013ねん10がつ 

参考さんこう図書としょ[編集へんしゅう]

  • 石山いしやまようごと脳波のうはゆめ』コロナしゃとしISBN 4-339-07675-9
  • 市川いちかわ忠彦ただひこ脳波のうはたびへのさそだい2はん星和せいわ書店しょてん、2006ねんISBN 9784791105991
  • 宮坂みやさか松衛まつえ福沢ふくさわひとし『プリンシパル 臨床りんしょう脳波のうはかた中心ちゅうしんに』日本にっぽん医事いじ新報しんぽうしゃ、1999ねんISBN 9784784920143
  • 大熊おおくま輝雄てるお臨床りんしょう脳波のうはがく医学書院いがくしょいん、1999ねんISBN 4260118374
  • 大熊おおくま輝雄てるお脳波のうは判読はんどくstep by step 入門にゅうもんへん医学書院いがくしょいん、2006ねんISBN 9784260002998
  • けんもとひろしゆう『てんかんがくハンドブック』医学書院いがくしょいん、2006ねんISBN 9784260001168

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]