神経しんけい変性へんせい疾患しっかん

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神経しんけい変性へんせい疾患しっかん(しんけいへんせいしっかん、neurodegenerative disease)とは、それぞれ特有とくゆう領域りょういき神経しんけい系統けいとうおかされ、神経しんけい細胞さいぼう中心ちゅうしんとする様々さまざま退行たいこうせい変化へんかていする疾患しっかんぐんである。臨床りんしょうてきには潜在せんざいてき発症はっしょうし、緩徐かんじょだがつね進行しんこうする神経症しんけいしょうじょうていし、血管けっかん障害しょうがい感染かんせん中毒ちゅうどくなどのようなあきらかな原因げんいんがつかめない一群いちぐん疾患しっかんしてきた。アルツハイマーびょうパーキンソンびょうすじ萎縮いしゅくせいがわさく硬化こうかしょう脊髄せきずい小脳しょうのう変性へんせいしょうなどがこの疾患しっかんぐんぞくする。

定義ていぎ[編集へんしゅう]

神経しんけい変性へんせい疾患しっかんの「変性へんせい」とはラテン語らてんごのdegeneratioに由来ゆらいし、組織そしきないしは細胞さいぼう組織そしきされた正常せいじょう活動かつどういとなんでいる状態じょうたい(high level)から低級ていきゅう状態じょうたい(low level)へ変化へんか退行たいこうしたことをしめ[1]神経しんけい変性へんせい疾患しっかんかんして普遍ふへんてき定義ていぎはないが、臨床りんしょうてきには潜在せんざいてき発症はっしょうし、緩徐かんじょだがつね進行しんこうする神経症しんけいしょうじょうていし、血管けっかん障害しょうがい感染かんせん中毒ちゅうどくなどのようなあきらかな原因げんいんがつかめない一群いちぐん疾患しっかんして神経しんけい変性へんせい疾患しっかんしょうしてきた。病理びょうりがくまとにはそれぞれの特有とくゆう領域りょういき神経しんけい系統けいとうおかされ、とくに神経しんけい細胞さいぼう中心ちゅうしん様々さまざま種類しゅるい退行たいこうせい変化へんかみとめる疾患しっかんぐんである。分子ぶんし遺伝いでんがくてき研究けんきゅうにより原因げんいん遺伝子いでんしやリスク因子いんし同定どうていされ、分子生物学ぶんしせいぶつがくてき研究けんきゅう発症はっしょう機構きこう分子ぶんしレベルで解明かいめいされた結果けっか関連かんれんする蛋白質たんぱくしつ構造こうぞう異常いじょう凝集ぎょうしゅう神経しんけい変性へんせい病態びょうたい根底こんていにあり、「蛋白質たんぱくしつ蓄積ちくせきびょう」という共通きょうつうメカニズムが存在そんざいしていることがあきらかになった。蛋白質たんぱくしつ構造こうぞう変化へんか要因よういんとなり、本来ほんらい除去じょきょされるべき異常いじょう蛋白質たんぱくしつ分子ぶんし老化ろうか細胞さいぼう機能きのう障害しょうがいなどによる蛋白質たんぱくしつ品質ひんしつ管理かんりシステムの破綻はたんにより、とく分裂ぶんれつ細胞さいぼうである神経しんけい細胞さいぼうにおいて形成けいせいされるとかんがえられている。さらに蓄積ちくせき蛋白質たんぱくしつ個体こたいから個体こたいへの伝播でんぱならびに個体こたいない細胞さいぼうから細胞さいぼう伝播でんぱするじょ解明かいめいされ、プリオン蛋白たんぱくさま感染かんせんしょうさま病態びょうたいとしての側面そくめん共通きょうつうメカニズムとして存在そんざいしている。

分類ぶんるい[編集へんしゅう]

古典こてんてきには神経しんけい変性へんせい疾患しっかん分類ぶんるい大脳だいのう大脳だいのう基底きていかく小脳しょうのう脊髄せきずい末梢まっしょう神経しんけいといった臨床りんしょう解剖かいぼうがくてき分類ぶんるいられている。近年きんねん神経しんけい細胞さいぼううち蓄積ちくせき蛋白質たんぱくしつ焦点しょうてんてて、同一どういつ病原びょうげん蛋白質たんぱくしつ共通きょうつう病態びょうたい惹起じゃっきするというプロテイノパチーという概念がいねんもとづいた分類ぶんるいがされる[2]プロテイノパチーとしてはタウオパチーTDP-43プロテイノパチー、FUSプロテイノパチー、αあるふぁシヌクレイノパチートリプレットリピートびょうなどがられている。

臨床りんしょう解剖かいぼうがくてき分類ぶんるい[編集へんしゅう]

大脳だいのう基底きていかく[編集へんしゅう]

小脳しょうのう[編集へんしゅう]

脊髄せきずい[編集へんしゅう]

末梢まっしょう神経しんけい[編集へんしゅう]

筋肉きんにく[編集へんしゅう]

特徴とくちょう[編集へんしゅう]

神経しんけい変性へんせい疾患しっかんは「発症はっしょう経過けいか」、「よわいせい変化へんかとの関係かんけいせい」、「部位ぶい選択せんたくせい」に特徴とくちょうがある。

発症はっしょう経過けいか[編集へんしゅう]

おおくの神経しんけい変性へんせい疾患しっかん発症はっしょう同定どうていすることが困難こんなんである。潜在せんざいてき発症はっしょうして、なが時間じかんをかけて正常せいじょう神経しんけいけい機能きのうたもったのち緩徐かんじょ進行しんこうせい進行しんこうするという経過けいかをたどる。しばしば、患者かんじゃ家族かぞく外傷がいしょう感染かんせん外科げかてき処置しょちなど記憶きおくのこ出来事できごと付随ふずいして機能きのう障害しょうがい症状しょうじょう突然とつぜん出現しゅつげんしたとはなすことがある。丁寧ていねい病歴びょうれき聴取ちょうしゅするとわずかな症状しょうじょうがそのまえから出現しゅつげんしていることが判明はんめいする。症状しょうじょう発症はっしょうまえ明確めいかく臨床りんしょうマーカーがないため、疾患しっかん発症はっしょう確実かくじつとらえることは困難こんなんであり、ぜん臨床りんしょう期間きかん神経しんけい変性へんせい過程かてい進行しんこう速度そくど依存いぞんしていて、数ヶ月すうかげつからすうねんはばがあるものとかんがえられている。

神経しんけい変性へんせい疾患しっかんにおいて急激きゅうげき症状しょうじょう悪化あっかとき観察かんさつされることがある。神経しんけい変性へんせい過程かてい急激きゅうげき悪化あっか可能かのうせい排除はいじょできないが、おおくは感染かんせんしょうなどの身体しんたい疾患しっかん症状しょうじょう影響えいきょうしている場合ばあいおおいとかんがえられている。神経しんけい変性へんせい進行しんこう速度そくど自然しぜん経過けいかちゅうにおいてはがいして一様いちようである。しかし、神経しんけい細胞さいぼう残存ざんそん程度ていど臨床りんしょう症状しょうじょう程度ていど関係かんけいせい直線ちょくせんてき関係かんけいではない。おおくの神経しんけい細胞さいぼう脱落だつらくしたとしてもある一定いってい期間きかん臨床りんしょう症状しょうじょう増悪ぞうあくはないが、機能きのうてきな閾値を下回したまわるほどの神経しんけい細胞さいぼう脱落だつらくをきたしたときに、症状しょうじょう進行しんこう悪化あっかするとかんがえられている。すべての神経しんけい変性へんせい疾患しっかん進行しんこう緩徐かんじょであり、すうねん終末しゅうまついたるという経過けいかをたどる。神経しんけい変性へんせい緩徐かんじょ進行しんこうする理由りゆう完全かんぜんには解明かいめいされていないがすべての神経しんけい細胞さいぼう一様いちよう機能きのう低下ていかし、緩徐かんじょ細胞さいぼうかって進行しんこうしているわけではない。やまい経過けいかちゅう、どの時期じきにおいてもわずかなかず神経しんけい細胞さいぼう比較的ひかくてき急速きゅうそく神経しんけい細胞さいぼうこして脱落だつらくつづけていくため、臨床りんしょう症状しょうじょう画像がぞう検査けんさなどで臨床りんしょう評価ひょうかされた機能きのう緩徐かんじょ進行しんこうしているとかんがえられている。

よわいせい変化へんかとの関係かんけいせい[編集へんしゅう]

神経しんけい変性へんせい疾患しっかん初老しょろう老年ろうねん発症はっしょうすることがおおく、遺伝いでんせい神経しんけい変性へんせい疾患しっかんにおいても、発症はっしょう年齢ねんれいはつせい疾患しっかん比較ひかくして若年じゃくねんする傾向けいこうはあるもののよわいとの関係かんけいせいつよい。一時いちじてき神経しんけい細胞さいぼう変性へんせいというてんではよわい変化へんか共通きょうつうしているが、神経しんけい変性へんせい機構きこうはきわめて多種たしゅ多様たようなものであり、すべてが単純たんじゅん老化ろうかであるというだけでは解釈かいしゃくがたい。

部位ぶい選択せんたくせい[編集へんしゅう]

それぞれの神経しんけい変性へんせい疾患しっかんごとに特徴とくちょうてき神経しんけい変性へんせい系統けいとうおかされており、臨床りんしょう症状しょうじょうおかされた神経しんけいけい関連かんれんする症状しょうじょうあらわれる。たとえば、すじ萎縮いしゅくせいがわさく硬化こうかしょうでは障害しょうがいされたがわさくぜんかく細胞さいぼうと、障害しょうがいまぬかれたのちさくこう神経しんけいぶし細胞さいぼうがあるようにおかされる神経しんけい系統けいとうには見事みごと選択せんたくせい存在そんざいする。しかしなぜ部位ぶい選択せんたくせいがあるのかは不明ふめいてんおおい。

発症はっしょう要因よういん[編集へんしゅう]

神経しんけい変性へんせい疾患しっかん発症はっしょう要因よういんには遺伝子いでんし変異へんい、エピゲノム異常いじょうRNA代謝たいしゃ蛋白たんぱく凝集ぎょうしゅう、プリオンさま伝播でんぱ蛋白質たんぱくしつ品質ひんしつ管理かんり機構きこう、ミトコンドリア異常いじょうグリア細胞さいぼう異常いじょうなどがられている。

遺伝子いでんし変異へんい[編集へんしゅう]

おおくの神経しんけい変性へんせい疾患しっかん遺伝子いでんし疾患しっかんであり分子生物学ぶんしせいぶつがくてき手法しゅほう進化しんかによってあらたな原因げんいん遺伝子いでんし同定どうていされている。

エピゲノム異常いじょう[編集へんしゅう]

遺伝子いでんし疾患しっかん遺伝子いでんし発現はつげん調節ちょうせつ機構きこう(エピゲノム)異常いじょうとしては遺伝子いでんし重複じゅうふくなどがられている。具体ぐたいてきには家族かぞくせいアルツハイマーびょうにおけるアミロイド前駆ぜんく蛋白質たんぱくしつのduplicationや家族かぞくせいパーキンソンびょうにおけるαあるふぁシヌクレイン遺伝子いでんしのduplicationやtriplicationの遺伝子いでんし重複じゅうふくれい発見はっけんされている。遺伝子いでんし変異へんいゆうさないはつせい疾患しっかんにおいてDNAヒストン修飾しゅうしょくやDNAのシトシンざんもと修飾しゅうしょくなどの遺伝子いでんし発現はつげん調節ちょうせつ機構きこう(エピゲノム)と神経しんけい変性へんせい関連かんれんせい検討けんとうされている[3]

RNA代謝たいしゃ[編集へんしゅう]

RNA代謝たいしゃ異常いじょうとしてはトリプレットリピートびょうにおけるRNA代謝たいしゃ異常いじょうとリピート関連かんれんATG依存いぞんせい翻訳ほんやくRNA結合けつごう蛋白質たんぱくしつ代謝たいしゃ異常いじょうなどがられている。

トリプレットリピートびょうにおけるRNA代謝たいしゃ異常いじょう

トリプレットリピートびょうでもイントロンや翻訳ほんやく領域りょういき(UTR)にリピート伸長しんちょうみとめる疾患しっかん発見はっけんされ、ポリグルタミンびょうなど異常いじょう蛋白たんぱく蓄積ちくせきするトリプレットリピートびょうとはことなるじょによる神経しんけい変性へんせい想定そうていされるようになった。RNA代謝たいしゃ障害しょうがい主因しゅいんとするかんがかたすじ強直きょうちょくせいジストロフィー研究けんきゅうすすみ、その1がたではDMPK遺伝子いでんしの3'UTRちゅうにUCGリピートが異常いじょう伸長しんちょうしていて、転写てんしゃされた異常いじょう伸長しんちょうリピートをつRNAがヘアピン構造こうぞうなどの異常いじょう高次こうじ構造こうぞうをとり、様々さまざまなRNA結合けつごう蛋白質たんぱくしつ結合けつごうしてRNA fociとばれる凝集ぎょうしゅうかたまり形成けいせい蓄積ちくせきする[4]。これによりスプライシング制御せいぎょ因子いんし発現はつげん亢進こうしんして、様々さまざま遺伝子いでんしスプライシング異常いじょうこることが病態びょうたい根底こんていにあると証明しょうめいされた。RNA fociは脆弱ぜいじゃくX関連かんれんせん運動うんどう失調しっちょう症候群しょうこうぐん(FXTAS)、ハンチントンびょう類縁るいえん2がた、SCA8、SCA31、ALSの一部いちぶ検出けんしゅつされている[5][6]

リピート関連かんれんATG依存いぞんせい翻訳ほんやく

蓄積ちくせきした異常いじょうRNA自体じたいによる毒性どくせいによるじょかんがえられている。異常いじょう伸長しんちょうしたリピート配列はいれつ翻訳ほんやく領域りょういき存在そんざいし、翻訳ほんやく開始かいし必須ひっす開始かいしコドンATGをくにもかかわらず、異常いじょう伸長しんちょうリピートRNAコードされているポリペプチドが翻訳ほんやくされていることが発見はっけんされた。リピート関連かんれんATG依存いぞんせい翻訳ほんやく(repeat associated non-ATG(RAN) translation)というあたらしい概念がいねん提唱ていしょうされている[7]。このRAN translationにより産出さんしゅつされたポリペプチドが神経しんけい毒性どくせい発揮はっきすることもあきらかとなっており、SCA8、FXTASやC9ORF72ALS/FTDのほか、ポリグルタミンびょうでもその関与かんよ想定そうていされている[8]

RNA結合けつごう蛋白質たんぱくしつ

脊髄せきずいせいすじ萎縮いしゅくしょう(SMA)は遺伝子いでんし異常いじょうによりRNA結合けつごうのうゆうするsurvival of motor neurons(SMN)蛋白質たんぱくしつ減少げんしょうしていて、スプライシングのう低下ていか関与かんよしているとかんがえられている[9]。ALS/FTLDにおいて封入ふうにゅうたい凝集ぎょうしゅうしているTDP-43やFUSもRNA結合けつごう蛋白質たんぱくしつである。TDP-43の主要しゅよう局在きょくざいかくであるが、ALS/FTLDでは様々さまざまなRNA結合けつごう蛋白たんぱくんで細胞さいぼうしつちゅうのストレス顆粒かりゅう蓄積ちくせきして、不溶化ふようかして封入ふうにゅうたいになるとかんがえられている。蛋白質たんぱくしつ凝集ぎょうしゅう蓄積ちくせきによる毒性どくせい獲得かくとくのほかに、封入ふうにゅうたい形成けいせいまえにすでに、局在きょくざい異常いじょうによる機能きのう喪失そうしつRNAの転写てんしゃ異常いじょうやスプライシング、輸送ゆそう翻訳ほんやく機能きのうなどのRNA代謝たいしゃ異常いじょうしょうじて神経しんけい変性へんせいをもたらしているとかんがえられる[10][11]

蛋白たんぱく凝集ぎょうしゅう[編集へんしゅう]

新生しんせいされた蛋白質たんぱくしつ細胞さいぼうないりたたみをけて正常せいじょう立体りったい構造こうぞう(コンホメーション)をとり、適切てきせつ局在きょくざいして機能きのうすることが必要ひつようであるが、いくつかの神経しんけい変性へんせい疾患しっかんではβべーたシート構造こうぞうんだ「アミロイド線維せんい」とばれる線維せんい構造こうぞう凝集ぎょうしゅうたい形成けいせいされる。

プリオンさま伝播でんぱ[編集へんしゅう]

神経しんけい変性へんせい疾患しっかん関連かんれんする異常いじょう蛋白質たんぱくしつは、異常いじょうがたプリオン蛋白質たんぱくしつのように自己じこ増殖ぞうしょくし、細胞さいぼうあいだえて伝播でんぱすることが実証じっしょうされ、「プリオンさま伝播でんぱ」は特徴とくちょうてき神経しんけい細胞さいぼうぐん変性へんせいする「選択せんたくせい」や経過けいかともなって悪化あっかする「進行しんこうせい」を説明せつめいする仮説かせつとして注目ちゅうもくされる。

蛋白質たんぱくしつ品質ひんしつ管理かんり機構きこう[編集へんしゅう]

神経しんけい変性へんせい疾患しっかん分子ぶんしシャペロン、ユビキチンプロテアソームけいオートファジーなどの蛋白たんぱく品質ひんしつ管理かんり機構きこう破綻はたんとの関連かんれんせいしめされている。

ミトコンドリア異常いじょう[編集へんしゅう]

パーキンソンびょう一部いちぶ症例しょうれいではミトコンドリア品質ひんしつ管理かんり機構きこう破綻はたんによって発症はっしょうするとかんがえられている。

グリア細胞さいぼうかかわり[編集へんしゅう]

神経しんけい変性へんせい疾患しっかん病巣びょうそうでは、疾患しっかん進行しんこうともなってグリア細胞さいぼう活性かっせいぞうせいがみられる[12]。これまで、グリア細胞さいぼう病態びょうたい神経しんけい変性へんせいともなてき反応はんのうというかんがかた主流しゅりゅうであったが、グリア細胞さいぼうにおける病的びょうてき変化へんか神経しんけい細胞さいぼう積極せっきょくてき関与かんよすることがあきらかにされ、神経しんけい変性へんせいにおけるグリア細胞さいぼう役割やくわり注目ちゅうもくされている。神経しんけい細胞さいぼう神経しんけい細胞さいぼう自身じしん異常いじょうともなって自律じりつてきしょうじるのではなく、神経しんけい細胞さいぼうであるグリア細胞さいぼう関与かんよするという自律じりつせい神経しんけい細胞さいぼうという概念がいねんられている[13]神経しんけい炎症えんしょうともわれる[14]活性かっせいしたミクログリアアルツハイマーびょうパーキンソンびょうすじ萎縮いしゅくせいがわさく硬化こうかしょうなど神経しんけい変性へんせい疾患しっかん病因びょういん寄与きよしている[15][16][17]。ミクログリアが複数ふくすうTLRかいして自然しぜん免疫めんえきおよび獲得かくとく免疫めんえき応答おうとう開始かいしする。すなわちTLRが神経しんけい変性へんせい疾患しっかん病因びょういん関連かんれんしている。また神経しんけい変性へんせい疾患しっかん自己じこ抗体こうたい関連かんれん注目ちゅうもくされている[18][19]神経しんけい変性へんせい疾患しっかんたいする免疫めんえき治療ちりょう可能かのうせい検討けんとうされている[20]

分子ぶんし遺伝いでんがく[編集へんしゅう]

分子ぶんし遺伝いでんがくによって遺伝いでんせい神経しんけい変性へんせい疾患しっかん原因げんいん遺伝子いでんし解明かいめい急速きゅうそくにすすみ、病態びょうたいじょ解明かいめいにより原因げんいん療法りょうほう開発かいはつ射程しゃていはいったものもおおい。単一たんいつ遺伝子いでんし疾患しっかんだけでなく、遺伝いでんせい明確めいかくでないはつせい疾患しっかんたいしても分子ぶんし遺伝いでんがくてき研究けんきゅうすすみ、だれでももっているようなかたせい疾患しっかん発症はっしょう関与かんよするせつがあり、ゲノムワイド関連かんれん解析かいせき(GWAS)が実用じつようてき戦略せんりゃくとなっている。GWASによる多数たすう疾患しっかん感受性かんじゅせい遺伝子いでんし遺伝いでん要因よういん全体ぜんたい一部いちぶしか説明せつめいできず、単一たんいつ遺伝子いでんし疾患しっかん退院たいいん疾患しっかんあいだにはオッズたか変異へんい関与かんよするcommon disease-multiple rare variantsせつがある。

単一たんいつ遺伝子いでんし疾患しっかん[編集へんしゅう]

単一たんいつ遺伝子いでんし疾患しっかんは1つの遺伝子いでんし変異へんいにより発症はっしょうする。単一たんいつ遺伝子いでんし疾患しっかんメンデル遺伝いでん形式けいしきしたがうというおおきな特徴とくちょうがある。これまでられている単一たんいつ遺伝子いでんし疾患しっかんは、Vector A.McKusickによる著書ちょしょである「Mendelian Inheritance in Man」に記載きさいされており、ほとんどの単一たんいつ遺伝子いでんし疾患しっかんまれなものである。しかし単一たんいつ遺伝子いでんし疾患しっかんぐんとしてみると、およそ2%のひと生涯しょうがいのいずれかの時期じき単一たんいつ遺伝子いでんし疾患しっかん罹患りかんしていることにがつくという報告ほうこくもある。小児しょうに発症はっしょうするじゅうあつ単一たんいつ遺伝子いでんし疾患しっかん頻度ひんどは0.36%であり、入院にゅういんしている小児しょうに疾患しっかんの6~8%は単一たんいつ遺伝子いでんし疾患しっかん罹患りかんしていると推定すいていされている。小児しょうに疾患しっかんおおいが単一たんいつ遺伝子いでんし疾患しっかんの10%以下いかだが思春期ししゅんき以降いこう症状しょうじょう発現はつげんし、1%は生殖せいしょく期間きかんわったのち発症はっしょうするものもある。単一たんいつ遺伝子いでんし疾患しっかん診断しんだん家系かけい構成こうせいいん健康けんこうおおきく影響えいきょうするてん非常ひじょう重要じゅうようとなる。 DNA配列はいれつ変異へんいによる疾患しっかんとしてはじめてあきらかにされたのは1983ねんハンチントン舞踏ぶとうびょうのHTT遺伝子いでんしのCAGリピート伸長しんちょうである[21]

単一たんいつ遺伝子いでんし疾患しっかんしたがうメンデル遺伝いでんがくではつね染色せんしょくたい優性ゆうせい遺伝いでんつね染色せんしょくたい劣性れっせい遺伝いでんX連鎖れんさせい優性ゆうせい遺伝いでんX連鎖れんさせい劣性れっせい遺伝いでんの4つが基本きほん形式けいしきになる。

つね染色せんしょくたい劣性れっせい遺伝いでん[編集へんしゅう]

劣性れっせい遺伝いでん古典こてんてき定義ていぎホモ接合せつごうたいでのみ発現はつげんし、ヘテロ接合せつごうたいでは発現はつげんしない表現ひょうげんがたのことである。劣性れっせい遺伝いでん疾患しっかんおおくは、遺伝いでんせい産物さんぶつ機能きのうげんじるか消失しょうしつさせる変異へんい、いわゆる機能きのう喪失そうしつがた(loss-of-function)が原因げんいんである。つね染色せんしょくたい劣性れっせい遺伝いでん疾患しっかん罹患りかんしゃ両親りょうしん通常つうじょう変異へんいアレル症候しょうこうせいいんしゃである。近親きんしんこんがある場合ばあいつね染色せんしょくたい劣性れっせい遺伝いでん疾患しっかん発症はっしょうリスクがたかくなる。インドや中東ちゅうとう諸国しょこく、アジアの一部いちぶではいまだに血族けつぞくこんがあふれている地域ちいきもある。血族けつぞくこんではないにもかかわらず偶然ぐうぜん症候しょうこうせいいんしゃ同士どうし結婚けっこんしたことが劣性れっせい遺伝いでんせい疾患しっかんでは一番いちばんおお原因げんいんになる。劣性れっせい遺伝いでん形式けいしき集団しゅうだんにおいてこう頻度ひんど保持ほじされている場合ばあいもあるため、家族かぞくれき聴取ちょうしゅする場合ばあい血族けつぞくこん有無うむほかにカップルが似通にかよった民族みんぞくもしくは地理ちりてき起源きげんがないかにかんしても聴取ちょうしゅする必要ひつようがある。新生しんせい突然変異とつぜんへんいつね染色せんしょくたい劣性れっせい遺伝いでんせい疾患しっかん発症はっしょうする可能かのうせいきわめてひくい。このてん優性ゆうせい遺伝いでんせい疾患しっかんとX連鎖れんさせい疾患しっかん状況じょうきょうおおきくことなるてんである。以下いかつね染色せんしょくたい劣性れっせい遺伝いでん特徴とくちょうをまとめる。

  • つね染色せんしょくたい劣性れっせい表現ひょうげんがた2人ふたり以上いじょう家系かけい構成こうせいいん出現しゅつげんするならば、典型てんけいてきには発端ほったんしゃ同胞どうほうぐんにのみみられ、両親りょうしん血縁けつえんしゃにみられない。
  • ほとんどのつね染色せんしょくたい劣性れっせい遺伝いでん疾患しっかん男女だんじょひとしく罹患りかんする。
  • 罹患りかんした両親りょうしんは、変異へんいアレルの症候しょうこうせいいんしゃである。
  • 罹患りかんしゃ両親りょうしん近親きんしんせいをもつことがある。これは、その疾患しっかん責任せきにん遺伝子いでんし集団しゅうだんないまれならば、とく可能かのうせいたかい。
  • 発端ほったんしゃ同胞どうほう再発さいはつりつはそれぞれ1/4である。

つね染色せんしょくたい優性ゆうせい遺伝いでん[編集へんしゅう]

変異へんいアレルがホモ接合せつごうたいでもヘテロ接合せつごうたいでも発現はつげんする場合ばあい優性ゆうせい遺伝いでんという。完全かんぜん優性ゆうせいでは変異へんいアレルがホモ接合せつごうたいでもヘテロ接合せつごうたいでも同様どうよう症状しょうじょうしめす。しかし完全かんぜん優性ゆうせい実際じっさい医療いりょうにおいてはまれである。おおくの優性ゆうせい遺伝いでん疾患しっかんでは通常つうじょうはヘテロ接合せつごうたいよりもホモ接合せつごうたいほう症状しょうじょうじゅうあつしになる。ホモ接合せつごうがヘテロ接合せつごうたいよりじゅうあつしになる場合ばあい不完全ふかんぜん優性ゆうせいという。つね染色せんしょくたい優性ゆうせい遺伝いでん疾患しっかん罹患りかんりつすくなくとも特定とくてい地域ちいきではたかい。きたヨーロッパけい集団しゅうだんではハンチントンびょうが2500にんから3000にん1人ひとりである。つね染色せんしょくたい優性ゆうせい遺伝いでん疾患しっかん遺伝いでんするというてんおおきな特徴とくちょうである。また医学いがくてき重要じゅうようせいをもつおおくの優性ゆうせい遺伝いでんおおくは、おやから変異へんいアレルをぐことで罹患りかんするのみではなく、変異へんいアレルをたないおやからも自然しぜん発生はっせい新生しんせい突然変異とつぜんへんいしょうじることで罹患りかんする。つね染色せんしょくたい優性ゆうせい遺伝いでん特徴とくちょう下記かきにまとめる。浸透しんとうりつ(ある遺伝子いでんしなんらかの表現ひょうげんがた発現はつげんするかくりつ)の低下ていか表現ひょうげんがた軽度けいどづかれていない場合ばあいなどもあり、家系かけいつね染色せんしょくたい優性ゆうせい遺伝いでんらしかぬようにえることもある。

  • 優性ゆうせい遺伝いでん表現ひょうげんがた通常つうじょうどの世代せだいにも出現しゅつげんし、かく罹患りかんしゃ罹患りかんしたおやをもつ。
  • 罹患りかんしたおやのどのも、その形質けいしつぐリスクは50%である。
  • 表現ひょうげんがた正常せいじょう家系かけい構成こうせいいんは、疾患しっかん表現ひょうげんがた伝達でんたつしない。
  • 男女だんじょひとしくいずれのせいにも表現ひょうげんがた伝達でんたつする。とくおとこおとこ伝達でんたつがありえるし、弾性だんせい罹患りかんむすめつことがある。
  • はつれいだい部分ぶぶん新生しんせい突然変異とつぜんへんいによる。疾患しっかん適応てきおうひくい(子孫しそんのこせない)ほど新生しんせい突然変異とつぜんへんい割合わりあいおおきくなる。

X連鎖れんさ遺伝いでん[編集へんしゅう]

男性だんせいはX染色せんしょくたいは1ほんしかたないが、女性じょせいは2ほんつ。男性だんせい野生やせいがたアレルのヘミ接合せつごうか、変異へんいがたアレルのヘミ結合けつごうの2つの可能かのうせいがある。女性じょせい野生やせいがたアレルのホモ結合けつごう変異へんいがたアレルのホモ結合けつごう野生やせいがたアレルと変異へんいがたアレルのヘテロ結合けつごうの3つの可能かのうせいがある。正常せいじょう女性じょせいからだ細胞さいぼうではどちらか1ほんのX染色せんしょくたいかつされるため、男性だんせいでも女性じょせいでもX連鎖れんさ遺伝子いでんし発現はつげん同等どうとうである。このX遺伝子いでんしかつのため、X連鎖れんさ遺伝いでん疾患しっかん女性じょせいヘテロたいでは組織そしきごとに異常いじょうアレルが発現はつげんされる細胞さいぼう割合わりあいことなり、臨床りんしょう症状しょうじょうことなる場合ばあいがある。X連鎖れんさせい遺伝いでん優性ゆうせい劣性れっせい遺伝いでん形式けいしきは、ヘテロ接合せつごうたい女性じょせい表現ひょうげんがたもとづいて区別くべつされる。ヘテロ接合せつごうたい女性じょせい表現ひょうげんがたしめせば優性ゆうせいであり、しめさなければ劣性れっせいである。しかしX染色せんしょくたいかつによって表現ひょうげんがたしめさないこともあり、優性ゆうせい劣性れっせいという表現ひょうげんもちいないほうがよいという意見いけんもある。

よくられたX連鎖れんさ疾患しっかんの40%ちかくは、女性じょせいヘテロ接合せつごうたいのほとんどが発症はっしょうしない(浸透しんとうりつすう未満みまん)ため劣性れっせい分類ぶんるいされる。30%は女性じょせいヘテロ接合せつごうたいだい多数たすう(>85%)が発症はっしょうするため優性ゆうせい分類ぶんるいされる。のこり30%はいくらか(15 - 85%)の女性じょせいヘテロ接合せつごうたい発症はっしょうするため優性ゆうせい劣性れっせいのいずれにも分類ぶんるいできない。このような実情じつじょうであるが、慣習かんしゅうじょうX連鎖れんさせい疾患しっかんでも優性ゆうせい劣性れっせいという分類ぶんるい使つかわれつづけている。

X連鎖れんさ劣性れっせい遺伝いでん

X連鎖れんさ劣性れっせい遺伝いでん表現ひょうげんがた遺伝いでん特徴とくちょうてきである。X連鎖れんさ劣性れっせい変異へんい典型てんけいてきには、変異へんいいだすべての男性だんせい症状しょうじょう出現しゅつげんするが、女性じょせいではホモ接合せつごうたいいだ場合ばあいのみ症状しょうじょう出現しゅつげんする。そのためX連鎖れんさ劣性れっせい遺伝いでん疾患しっかん男性だんせい限定げんていされ、女性じょせいみとめられることはまれになる。ただしホモ接合せつごうたい女性じょせい均等きんとうなX遺伝子いでんしかつにより症状しょうじょう発現はつげんするヘテロ接合せつごうたい女性じょせいで、症状しょうじょうみとめられることがある。神経しんけい変性へんせい疾患しっかんではデュシェンヌがたきんジストロフィー有名ゆうめいである。呼吸こきゅう管理かんり進歩しんぽやステロイド治療ちりょう近年きんねん平均へいきん寿命じゅみょう延長えんちょうしたが、かつてはデュシェンヌがたきんジストロフィーの男性だんせいは20さい以前いぜん死亡しぼうし、生殖せいしょく不可能ふかのうであった。女性じょせいいんしゃしか生殖せいしょく不可能ふかのうであった。それにもかかわらずこの疾患しっかん一定いってい割合わりあい推移すいいしたのは、罹患りかん男性だんせい生殖せいしょくできないことでうしなわれた変異へんいアレルが、新生しんせい突然変異とつぜんへんいえずえられてきたためとかんがえられている。以下いかにX連鎖れんさせい劣性れっせい遺伝いでん特徴とくちょうをまとめる。

  • 形質けいしつ発生はっせいりつ女性じょせいより男性だんせいほうたかい。
  • ヘテロ接合せつごう女性じょせい通常つうじょう罹患りかんしないが、Xかつパターンにより決定けっていされる様々さまざま重症じゅうしょう疾患しっかん発現はつげんする場合ばあいがある。
  • 疾患しっかん責任せきにん遺伝子いでんし罹患りかん男性だんせいからむすめすべてに伝達でんたつされる。むすめのどの息子むすこ遺伝子いでんし可能かのうせいは50%である。
  • 変異へんいアレルは通常つうじょうちちから息子むすこ直接ちょくせつ伝達でんたつされることはないが、罹患りかんした男性だんせいからむすめにすべてに伝達でんたつされる。
  • 変異へんいアレルはいんしゃ女性じょせいかいしてなに世代せだい伝達でんたつされることがある。そのような場合ばあい罹患りかん男性だんせい女性じょせいかいしての一族いちぞく一員いちいんである。
  • はつれい場合ばあい新生しんせい突然変異とつぜんへんいによるものがかなり存在そんざいする。
X連鎖れんさ優性ゆうせい遺伝いでん

X連鎖れんさせい優性ゆうせい遺伝いでん男性だんせいから男性だんせい伝達でんたつみとめないため、つね染色せんしょくたい優性ゆうせい遺伝いでん区別くべつできる。完全かんぜん浸透しんとうのX連鎖れんさ優性ゆうせい家系かけいでは罹患りかん男性だんせいのすべてのむすめ罹患りかんえだ、すべての息子むすこ罹患りかんしないのが特徴とくちょうとなる。女性じょせいかいしての遺伝いでん形式けいしきは、つね染色せんしょくたい優性ゆうせい遺伝いでんちがいはない。ほとんどのX連鎖れんさせい優性ゆうせい遺伝いでん疾患しっかん不完全ふかんぜん優性ゆうせいであり、罹患りかん女性じょせいのほとんどがヘテロ接合せつごうたい症状しょうじょう軽度けいどである。X連鎖れんさせい優性ゆうせい遺伝いでんしめ疾患しっかんまれである。X連鎖れんさせい優性ゆうせい遺伝いでん特徴とくちょう以下いかにまとめる。

  • 罹患りかん男性だんせい正常せいじょう配偶はいぐうしゃあいだには、罹患りかんした息子むすこおよび正常せいじょうむすめ存在そんざいしない。
  • 女性じょせいいんしゃ男女だんじょともに表現ひょうげんがたぐリスクが50%である。女性じょせいいんしゃ付近ふきん家系かけいつね染色せんしょくたい優性ゆうせい遺伝いでん場合ばあい同様どうようである。
  • 罹患りかん女性じょせい罹患りかん男性だんせいやく2ばいだが、罹患りかん女性じょせい典型てんけいてきにはより軽度けいどな(変化へんかむが)表現ひょうげんがた発現はつげんする。

因子いんし遺伝いでん疾患しっかん[編集へんしゅう]

因子いんし遺伝いでんはほとんどの疾患しっかん原因げんいん関与かんよしている。因子いんし遺伝いでん単一たんいつ遺伝子いでんし疾患しっかんみとめられる特徴とくちょうてき遺伝いでん形式けいしきしめさなくとも、罹患りかんしゃ血縁けつえんしゃにおける再発さいはつりつたかいことやいちたまごせいそう胎においておな疾患しっかん罹患りかんする頻度ひんどたかいことによりしめされる。因子いんし遺伝いでん疾患しっかんにはアルツハイマーびょうパーキンソンびょう該当がいとうする。

自然しぜん免疫めんえきけい神経しんけい変性へんせい疾患しっかんかかわり[編集へんしゅう]

中枢ちゅうすう神経しんけいけいにおける活性かっせいされた自然しぜん免疫めんえきけい神経しんけい変性へんせい疾患しっかんにおいて重要じゅうよう役割やくわりたしている[22][23][24][25][26]のうにおける急性きゅうせい炎症えんしょう病原びょうげんたい細胞さいぼう残骸ざんがい除去じょきょし、組織そしき修復しゅうふくにつながるため、のう保護ほごてきである。しかし神経しんけい変性へんせい疾患しっかんではのうない炎症えんしょう長期ちょうきし、可逆かぎゃくてき神経しんけい細胞さいぼう消失しょうしつにつながることが報告ほうこくされている[27]のう免疫めんえき細胞さいぼうであるミクログリア神経しんけい炎症えんしょう中心ちゅうしんてき細胞さいぼうである。ミクログリアが病原びょうげんたい関連かんれん分子ぶんしパターン内因ないいんせいリガンドを認識にんしきすると、自然しぜん免疫めんえき応答おうとう強力きょうりょく活性かっせいされ、炎症えんしょうせいメディエーターの産出さんしゅつ適応てきおう免疫めんえき活性かっせいこされる。TLRシグナルの活性かっせいがミクログリアを活性かっせいし、神経しんけい細胞さいぼう有害ゆうがい反応はんのうこし神経しんけい変性へんせい疾患しっかん発症はっしょう寄与きよするという証拠しょうこ蓄積ちくせきされている[28]とくにTLR2とアダプタータンパク質たんぱくしつMyD88[29]かいした神経しんけい炎症えんしょう反応はんのう神経しんけい変性へんせい疾患しっかん共通きょうつうするメカニズムという意見いけんもある[30]アルツハイマーびょうパーキンソンびょうすじ萎縮いしゅくせいがわさく硬化こうかしょう系統けいとう萎縮いしゅくしょう脊髄せきずい小脳しょうのう変性へんせいしょう6がた[30]でTLRシグナルの活性かっせい発症はっしょう寄与きよするという報告ほうこくがある[28]将来しょうらいてきにはTLRとそのシグナルけい標的ひょうてきとした薬剤やくざい神経しんけい変性へんせい疾患しっかん治療ちりょうすることも可能かのうかんがえられる[28]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

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  4. ^ Hum Mol Genet. 2001 Sep 15;10(19):2165-70. PMID 11590133
  5. ^ Neuropathology. 2013 Dec;33(6):600-11. PMID 23607545
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  7. ^ Hum Mol Genet. 2013 Oct 15;22(R1):R45-51. PMID 23918658
  8. ^ Neuron. 2015 Nov 18;88(4):667-77. PMID 26590344
  9. ^ Hum Mol Genet. 1999 May;8(5):775-82. PMID 10196366
  10. ^ Hum Mol Genet. 2013 Oct 15;22(20):4136-47. PMID 23740936
  11. ^ What is the key player in TDP‐43 pathology in ALS Disappearance from the nucleus or inclusion formation in the cytoplasm?
  12. ^ Science. 2016 Aug 19;353(6301):777-83. PMID 27540165
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  30. ^ a b Hum Mol Genet. 2015 Sep 1;24(17):4780-91. PMID 26034136

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]