ナルコレプシー (narcolepsy, )とは、日 にち 中 ちゅう において場所 ばしょ や状況 じょうきょう を選 えら ばず起 お こる強 つよ い眠気 ねむけ の発作 ほっさ を主 おも な症状 しょうじょう とする睡眠 すいみん 障害 しょうがい である。日本語 にほんご で居眠 いねむ り病 びょう (いねむりびょう)と呼 よ ばれる。自発 じはつ 的 てき に覚醒 かくせい を維持 いじ する能力 のうりょく 、およびレム睡眠 すいみん を調節 ちょうせつ する機能 きのう の両者 りょうしゃ が阻害 そがい される[ 1] [ 2] 。
笑 わら い 、喜 よろこ び 、怒 いか り などの感情 かんじょう が誘因 ゆういん となる情動 じょうどう 脱力 だつりょく 発作 ほっさ を伴 ともな う患者 かんじゃ (ナルコレプシー1型 がた )も多 おお いが、その症状 しょうじょう が無 な い(ナルコレプシー2型 がた )患者 かんじゃ もいる[ 1] [ 注 ちゅう 1] 。
現在 げんざい 、ナルコレプシーの診断 しんだん 基準 きじゅん に大 おお きな問題 もんだい があり、日 にち 中 ちゅう において場所 ばしょ や状況 じょうきょう を選 えら ばず起 お こる強 つよ い眠気 ねむけ の発作 ほっさ 、後述 こうじゅつ のレム睡眠 すいみん を調節 ちょうせつ する機能 きのう の阻害 そがい 、金縛 かなしば り ・幻覚 げんかく ・幻聴 げんちょう 、の症状 しょうじょう はナルコレプシーに特有 とくゆう なものではなく重度 じゅうど の睡眠 すいみん 不足 ふそく やその他 た の睡眠 すいみん 障害 しょうがい と同一 どういつ 症状 しょうじょう である。
また、後述 こうじゅつ の睡眠 すいみん 障害 しょうがい 国際 こくさい 分類 ぶんるい 第 だい 3版 はん (ICSD-2) の診断 しんだん 基準 きじゅん も睡眠 すいみん 不足 ふそく と同一 どういつ の検査 けんさ 結果 けっか であり、反復 はんぷく 睡眠 すいみん 潜 せん 時 じ 検査 けんさ MSLTの検査 けんさ 基準 きじゅん は一般 いっぱん 人口 じんこう にも2 - 4 %(多 おお くはシフトワーカー や睡眠 すいみん 不足 ふそく )で診断 しんだん 基準 きじゅん を満 み たす者 もの が存在 そんざい する。
2018年 ねん の国際 こくさい 過 か 眠 ねむり 症 しょう 学会 がっかい で発表 はっぴょう された内容 ないよう によると、現在 げんざい 、日本 にっぽん のナルコレプシー2型 がた の疾患 しっかん の診断 しんだん を受 う ける患者 かんじゃ の多 おお くは普段 ふだん の睡眠 すいみん 時間 じかん が4時間 じかん 以下 いか で、受験 じゅけん 勉強 べんきょう や残業 ざんぎょう 等 とう で睡眠 すいみん 時間 じかん を多 おお く削 けず った後 のち に、強 つよ い眠気 ねむけ の発作 ほっさ 、レム睡眠 すいみん を調節 ちょうせつ する機能 きのう の阻害 そがい 、金縛 かなしば り・幻覚 げんかく ・幻聴 げんちょう を発症 はっしょう し、診断 しんだん を受 う けている。
ナルコレプシー患者 かんじゃ は、通常 つうじょう であればノンレム期 き を経 へ た後 のち で発生 はっせい するレム睡眠 すいみん が入 にゅう 眠 ねむ 直後 ちょくご に発生 はっせい してしまい、また入 にゅう 眠 ねむ 時 とき レム睡眠 すいみん 期 き (SOREMP) が出現 しゅつげん するため、入 いれ 眠 ねむ 時 とき に金縛 かなしば り・幻覚 げんかく ・幻聴 げんちょう の症状 しょうじょう が発生 はっせい する[ 1] 。更 さら に夜間 やかん はレム睡眠 すいみん とノンレム睡眠 すいみん の切 き り替 が わりで中途 ちゅうと 覚醒 かくせい を起 お こすため、目 め は覚 さ めても体 からだ を動 うご かそうとする脳 のう の一部 いちぶ が眠 ねむ っているために金縛 かなしば りを体験 たいけん することになる。入 にゅう 眠 ねむり 後 ご から起床 きしょう 時 じ までは、そのような状況 じょうきょう のため概 がい して睡眠 すいみん が浅 あさ くなりやすくなり、夢 ゆめ を見 み る回数 かいすう が増 ふ える。ほとんどが悪夢 あくむ で、現実 げんじつ とリアルな夢 ゆめ の境目 さかいめ が分 わ からずにうなされる場合 ばあい が多 おお い。
有 ゆう 病 びょう 率 りつ は米国 べいこく では4000人 にん に1人 ひとり ほど[ 1] 。現在 げんざい 、確定 かくてい 診断 しんだん を受 う けた患者 かんじゃ 数 すう は日本 にっぽん 国内 こくない においておよそ2000人 にん 前後 ぜんこう (2009年 ねん 12月 がつ 現在 げんざい )であるが、決 けっ して珍 めずら しい病気 びょうき ではなく、日本 にっぽん では600人 にん に1人 ひとり 程度 ていど (0.16%)[ 3] [ 4] は罹患 りかん していると想定 そうてい されている。なお、世界 せかい の有 ゆう 病 びょう 率 りつ の平均 へいきん は2000人 にん に1人 ひとり 程度 ていど (0.05 %)であり、その4倍 ばい 近 ちか い日本人 にっぽんじん の有 ゆう 病 びょう 率 りつ は世界 せかい 最高 さいこう であるという[ 4] 。ちなみに日本人 にっぽんじん と遺伝子 いでんし の近 ちか いアジア 諸国 しょこく の有 ゆう 病 びょう 率 りつ には、日本 にっぽん のナルコレプシーのような有意 ゆうい 差 さ が見 み られない。従 したが って、世界一 せかいいち の短時間 たんじかん 睡眠 すいみん 国 こく の日本 にっぽん のナルコレプシーの有 ゆう 病 びょう 率 りつ は実際 じっさい はナルコレプシーではない患者 かんじゃ (多 おお くは睡眠 すいみん 不足 ふそく の誤診 ごしん )が統計 とうけい に組 く み込 こ まれている事 こと が指摘 してき されている。
治療 ちりょう は対症療法 たいしょうりょうほう である[ 1] 。また、治療 ちりょう を行 おこな っていない状態 じょうたい で機械 きかい や自動車 じどうしゃ の運転 うんてん 中 ちゅう などに発作 ほっさ が起 お こると重大 じゅうだい な事故 じこ の原因 げんいん となりうるため、日本 にっぽん 睡眠 すいみん 学会 がっかい では、運転 うんてん 中 ちゅう の居眠 いねむ り や事故 じこ 経験 けいけん によっては、治療 ちりょう によって改善 かいぜん されるまでは車両 しゃりょう 運転 うんてん を控 ひか えるべきであることを医師 いし が伝 つた える必要 ひつよう があるとしている[ 4] 。
具体 ぐたい 的 てき な治療 ちりょう 法 ほう については、「ナルコレプシー#治療 ちりょう 」を参照 さんしょう 。
日 にち 中 ちゅう の過度 かど の眠気 ねむけ
100%の患者 かんじゃ に発現 はつげん [ 1] 。日 にち 中 ちゅう 、突然 とつぜん に耐 た え難 がた い眠気 ねむけ に襲 おそ われるという発作 ほっさ [ 1] 。
情動 じょうどう 脱力 だつりょく 発作 ほっさ (カタプレキシー )
76%ほど[ 1] 。笑 わら い、喜 よろこ び、あるいは自尊心 じそんしん がくすぐられるなど感情 かんじょう が昂 のぼる ぶった際 さい 、突然 とつぜん に抗 こう 重力 じゅうりょく 筋 すじ が脱力 だつりょく するという発作 ほっさ [ 1] 。全身 ぜんしん にわたり、倒 たお れてしまう発作 ほっさ のほか、膝 ひざ の力 ちから が抜 ぬ けてしまう、呂律 ろれつ がまわらなくなる、手 て に持 も っているものを落 お とす、眼瞼 がんけん 下垂 かすい 、口 くち の半開 はんびら きなどの部分 ぶぶん 発作 ほっさ もある。
ナルコレプシーが独立 どくりつ 疾患 しっかん として命名 めいめい された頃 ころ は、睡眠 すいみん 発作 ほっさ と情動 じょうどう 脱力 だつりょく 発作 ほっさ を明確 めいかく に区別 くべつ することはなかったが、20世紀 せいき 初頭 しょとう にこれらを区別 くべつ するようになり、1916年 ねん にカタプレキシーと名付 なづ けられた[ 4] 。
カタプレキシーはナルコレプシー1型 がた に特有 とくゆう な症状 しょうじょう であり、2型 がた はカタプレキシーを伴 ともな わない。
入 いれ 眠 ねむ 時 とき 幻覚 げんかく
68%ほど[ 1] 。睡眠 すいみん 発作 ほっさ により睡眠 すいみん に陥 おちい った際 さい 、及 およ び夜間 やかん の入 いれ 眠 ねむ 時 とき に現実 げんじつ 感 かん の強 つよ い幻覚 げんかく を見 み ることがある[ 1] 。これは、入 いれ 眠 ねむ 直後 ちょくご にレム睡眠 すいみん 状態 じょうたい になるために大脳皮質 だいのうひしつ の前頭 まえがしら 前野 まえの が覚醒 かくせい 時 じ と同様 どうよう に活動 かつどう していることにより非常 ひじょう に現実 げんじつ 感 かん を伴 ともな った夢 ゆめ をみている状態 じょうたい であると考 かんが えられている。また、このとき筋肉 きんにく は脱力 だつりょく 状態 じょうたい にあるため金縛 かなしば り状態 じょうたい となり非常 ひじょう に現実 げんじつ 感 かん を伴 ともな った夢 ゆめ が入 いれ 眠 ねむ 時 とき 幻覚 げんかく として体験 たいけん されることになる[ 5] 。寝入 ねい り際 さい に幽霊 ゆうれい を見 み た、幽体 ゆうたい 離脱 りだつ といった類 るい の心霊 しんれい 現象 げんしょう を訴 うった えることがあるが、これも入 いれ 眠 ねむ 時 とき 幻覚 げんかく によって見 み ることができる。
睡眠 すいみん 麻痺 まひ
64%ほど[ 1] 。いわゆる金縛 かなしば り と呼 よ ばれる症状 しょうじょう 。開眼 かいがん し意識 いしき はあるものの随意筋 ずいいきん を動 うご かすことができない状態 じょうたい 。
以上 いじょう の4症状 しょうじょう は4大 だい 症状 しょうじょう と呼 よ ばれる[ 1] 。うち、下 した の3つはREM睡眠 すいみん と密接 みっせつ に関連 かんれん しており、REM睡眠 すいみん 関連 かんれん 症状 しょうじょう と呼 よ ばれることがある[ 1] 。REM睡眠 すいみん が発見 はっけん された1953年 ねん から数 すう 年 ねん 後 ご 、ナルコレプシーでは入 いれ 眠 ねむ 時 とき レム睡眠 すいみん 期 き (SOREMP) が出現 しゅつげん することが1960年 ねん に発見 はっけん され、続 つづ いてSOREMPが入 いれ 眠 ねむ 時 とき 幻覚 げんかく や睡眠 すいみん 麻痺 まひ に影響 えいきょう を与 あた えていることが発見 はっけん された[ 4] 。
睡眠 すいみん 障害 しょうがい
87%ほど[ 1] 。中途 ちゅうと 覚醒 かくせい 、熟睡 じゅくすい 困難 こんなん など。夜間 やかん 就寝 しゅうしん 中 ちゅう に頻 しき 回 かい に目 め が覚 さ めたり、幻覚 げんかく や睡眠 すいみん 麻痺 まひ があること、また、睡眠 すいみん 構築 こうちく の乱 みだ れもあるため熟睡 じゅくすい が困難 こんなん である。てんかん やびっくり病 びょう は要 よう 鑑別 かんべつ 疾患 しっかん である。
自動 じどう 症 しょう
眠 ねむ った感覚 かんかく がないにもかかわらず、直前 ちょくぜん に行 い った行為 こうい の記憶 きおく がない状態 じょうたい 。逆 ぎゃく に言 い えば無意識 むいしき に寝 ね てしまい、寝 ね ながら行為 こうい を続 つづ けている状態 じょうたい 。
原因 げんいん は解明 かいめい されていない[ 2] 。ナルコレプシーの発症 はっしょう に強 つよ く関与 かんよ していると考 かんが えられている主 おも な遺伝 いでん 的 てき 要因 よういん には、ヒト白血球 はっけっきゅう 抗原 こうげん (HLA)複 ふく 合体 がったい として知 し られる6番 ばん 染色 せんしょく 体 たい の領域 りょういき が関係 かんけい している[ 6] [ 7] 。
ナルコレプシーの病因 びょういん として特定 とくてい されているものには、オレキシン の欠乏 けつぼう がある[ 1] [ 4] 。オレキシンは視床 ししょう 下部 かぶ から分泌 ぶんぴつ される神経 しんけい 伝達 でんたつ 物質 ぶっしつ で、1998年 ねん に櫻井 さくらい 武 たけし (現 げん ・筑波大学 つくばだいがく 医学 いがく 医療 いりょう 系 けい 教授 きょうじゅ )と柳沢 やなぎさわ 正史 せいし (当時 とうじ ・テキサス大学 だいがく サウスウェスタン医学 いがく センター教授 きょうじゅ 、現 げん ・筑波大学 つくばだいがく 国際 こくさい 統合 とうごう 睡眠 すいみん 医 い 科学 かがく 研究 けんきゅう 機構 きこう 教授 きょうじゅ )らのグループによって発見 はっけん された[ 8] 。
オレキシン遺伝子 いでんし を破壊 はかい したノックアウトマウス には、ナルコレプシー症状 しょうじょう が現 あらわ れることが明 あき らかになっている[ 9] 。また、任意 にんい のヒトのナルコレプシー患者 かんじゃ においても、視床 ししょう 下部 かぶ のオレキシンを作 つく る神経 しんけい 細胞 さいぼう が消滅 しょうめつ していることが明 あき らかになっている[ 10] 。さらに、オレキシン神経 しんけい 細胞 さいぼう を破壊 はかい し人為 じんい 的 てき にナルコレプシーを引 ひ き起 お こしたノックアウトマウス[ 11] に、オレキシン遺伝子 いでんし を導入 どうにゅう したり、脳 のう 内 ない にオレキシンを投与 とうよ することで、ナルコレプシー症状 しょうじょう が改善 かいぜん されることも明 あき らかにされた[ 12] 。
オレキシンは、覚醒 かくせい レベルの維持 いじ 、睡眠 すいみん ・覚醒 かくせい 状態 じょうたい の適切 てきせつ な維持 いじ ・制御 せいぎょ に重要 じゅうよう な役割 やくわり を持 も っている。ナルコレプシーは、オレキシンの欠損 けっそん に基 もと づく症状 しょうじょう である[ 13] 。他 た に、ナルコレプシーの病因 びょういん として関連 かんれん 性 せい が注目 ちゅうもく されているものには、HLA との関連 かんれん 性 せい がある[ 4] 。人 ひと のナルコレプシーにおいては、HLA-DR2がほぼ全 ぜん 例 れい で陽性 ようせい であるという調査 ちょうさ 結果 けっか が1983年 ねん に発表 はっぴょう された[ 4] 。また、日本人 にっぽんじん のナルコレプシー患者 かんじゃ の間 あいだ では、ほぼ全 ぜん 例 れい においてHLA-DQ1も陽性 ようせい であるという調査 ちょうさ 結果 けっか がある[ 3] 。ただし日本 にっぽん 国外 こくがい 、特 とく に黒人 こくじん においてはDR2陰性 いんせい の患者 かんじゃ も多 おお く存在 そんざい する[ 3] 。これらのことから、ナルコレプシーが自己 じこ 免疫 めんえき 疾患 しっかん である可能 かのう 性 せい が示唆 しさ されているが、2012年 ねん 現在 げんざい 、証明 しょうめい はされていない[ 4] 。
2012年 ねん 、ヒト のナルコレプシーは、オレキシン神経 しんけい が自己 じこ 免疫 めんえき 疾患 しっかん を理由 りゆう として後天的 こうてんてき に損傷 そんしょう を受 う けたことに伴 ともな う神経 しんけい 伝達 でんたつ 障害 しょうがい であるとする仮説 かせつ が発表 はっぴょう された[ 4] 。
診断 しんだん 基準 きじゅん については議論 ぎろん が続 つづ いている[ 1] 。睡眠 すいみん 障害 しょうがい 国際 こくさい 分類 ぶんるい 第 だい 2版 はん (ICSD-2) では、睡眠 すいみん 障害 しょうがい の診断 しんだん 名 めい が第 だい 1版 はん に比 くら べて細分 さいぶん 化 か されており、ナルコレプシーにおいても「情動 じょうどう 脱力 だつりょく 発作 ほっさ を伴 ともな うナルコレプシー」「情動 じょうどう 脱力 だつりょく 発作 ほっさ を伴 ともな わないナルコレプシー」「身体 しんたい 疾患 しっかん によるナルコレプシー」「特定 とくてい 不能 ふのう のナルコレプシー」の4つに細分 さいぶん 化 か されている。このうち、「情動 じょうどう 脱力 だつりょく 発作 ほっさ を伴 ともな うナルコレプシー」と「身体 しんたい 疾患 しっかん によるナルコレプシー」では、脳 のう 脊髄 せきずい 液 えき 中 ちゅう のオレキシン1(ヒポクレチン-1)濃度 のうど が110pg/mL以下 いか (正常 せいじょう コントロール群 ぐん 平均 へいきん 値 ち の3分 ぶん の1以下 いか )であることがナルコレプシーの補助 ほじょ 診断 しんだん 基準 きじゅん に含 ふく められている(前者 ぜんしゃ は第 だい 3項 こう 、後者 こうしゃ は第 だい 2項 こう の選択 せんたく 的 てき 条件 じょうけん の1つ)[ 4] 。これには、90%以上 いじょう の患者 かんじゃ で髄 ずい 液 えき 中 ちゅう のオレキシンが低 てい 値 ね となること、正常 せいじょう 群 ぐん や他 た の要因 よういん による患者 かんじゃ では低 てい 値 ね とはならないことに基 もと づく[ 4] 。逆 ぎゃく に、「情動 じょうどう 脱力 だつりょく 発作 ほっさ を伴 ともな わないナルコレプシー」の疫学 えきがく は判明 はんめい していないとされている[ 4] 。
鑑別 かんべつ 疾患 しっかん として、昼間 ひるま に眠 ねむ くなるその他 た の病気 びょうき を挙 あ げる。
他 た の過 か 眠 ねむり 症 しょう と同様 どうよう に、まずは夜 よる 間 あいだ の睡眠 すいみん を十分 じゅうぶん にとる事 こと が大切 たいせつ とされている(「睡眠 すいみん 衛生 えいせい 」も参照 さんしょう )[ 1] 。可能 かのう であれば計画 けいかく 的 てき に昼寝 ひるね を取 と ることも予防 よぼう となる[ 1] 。
ナルコレプシーも睡眠 すいみん の病気 びょうき で、治療 ちりょう を通 とお して良 よ くなっていくものであり、なまけによるものではないという周囲 しゅうい の理解 りかい 、サポートも重要 じゅうよう である[ 14] 。また、日本 にっぽん ナルコレプシー協会 きょうかい が普及 ふきゅう 啓発 けいはつ や交流 こうりゅう 事業 じぎょう を行 おこな っており、相談 そうだん も受 う け付 つ けている[ 14] 。
中枢 ちゅうすう 神経 しんけい 刺激 しげき 薬 やく を使用 しよう することで日 にち 中 ちゅう の眠気 ねむけ を抑制 よくせい することができるため、この目的 もくてき にメチルフェニデート (リタリン)・モダフィニル (モディオダール)・ペモリン (ベタナミン)が主 おも に使用 しよう されている[ 1] [ 4] 。かつてはメタンフェタミン (ヒロポン錠 じょう )が使用 しよう されることもあったが、現在 げんざい では極 きわ めて稀 まれ である。同 おな じくナルコレプシー適応 てきおう のピプラドロール (カロパン)は現在 げんざい 日本 にっぽん では発売 はつばい されていない。また、抗 こう うつ薬 やく が情動 じょうどう 脱力 だつりょく 発作 ほっさ や睡眠 すいみん 麻痺 まひ といった、レム睡眠 すいみん 関連 かんれん 症状 しょうじょう を抑制 よくせい することから、三 さん 環 たまき 系 けい 抗 こう うつ薬 やく やSSRI、SNRIが主 おも に用 もち いられる[ 4] 。4-ヒドロキシ酪酸 (4-Hydroxybutyrate、GHB) も治療 ちりょう に使 つか われることがあった。
日 にち 中 ちゅう の眠気 ねむけ 抑制 よくせい を目的 もくてき とした投薬 とうやく の、2012年 ねん 時点 じてん の主流 しゅりゅう はモダフィニル(モディオダール)である。これには、メチルフェニデートやペモリンに比 くら べて依存 いぞん 性 せい の問題 もんだい がないことや肝臓 かんぞう への負担 ふたん が少 すく ないことなど、副作用 ふくさよう が少 すく ないことが挙 あ げられる[ 4] 。本 ほん 剤 ざい は、ナルコレプシー専用 せんよう の治療 ちりょう 薬 やく として日本 にっぽん 国内 こくない で承認 しょうにん され、最大 さいだい 30日 にち 分 ぶん まで[ 15] 処方箋 しょほうせん が可能 かのう となっている。血 ち 中 ちゅう 濃度 のうど の半減 はんげん 期 き が12時 じ 間 あいだ と比較的 ひかくてき 長 なが く[ 4] 、朝食 ちょうしょく 後 ご に一 いち 回 かい 飲 の むだけで約 やく 8時 じ 間 あいだ 効果 こうか が持続 じぞく する。
メチルフェニデートは、血 ち 中 ちゅう 濃度 のうど の半減 はんげん 期 き が7時 じ 間 あいだ ほど、実効 じっこう 時間 じかん は4時 じ 間 あいだ ほどであるため、症状 しょうじょう によっては1日 にち 複 ふく 数 すう 回 かい の服用 ふくよう となる[ 4] 。日本 にっぽん においては、不正 ふせい 使用 しよう や乱用 らんよう の問題 もんだい から登録 とうろく 医 い のみが処方 しょほう 可能 かのう となっており(詳細 しょうさい は本 ほん 剤 ざい の記事 きじ を参照 さんしょう )、他 た 剤 ざい で充分 じゅうぶん な効果 こうか が得 え られない場合 ばあい や副作用 ふくさよう によって他 た 剤 ざい を使用 しよう することが困難 こんなん な場合 ばあい などに限 かぎ って使用 しよう し、主剤 しゅざい として用 もち いるのは極力 きょくりょく 避 さ けるべきであると、日本 にっぽん 睡眠 すいみん 学会 がっかい は発表 はっぴょう している[ 4] 。
ペモリンは、モダフィニル同様 どうよう に血 ち 中 ちゅう 濃度 のうど の半減 はんげん 期 き が12時 じ 間 あいだ と長 なが く、1日 にち 1回 かい の投与 とうよ で良 よ いとされている。但 ただ し、本 ほん 剤 ざい は肝臓 かんぞう への負担 ふたん が高 たか いとされている[ 4] 。
これらはいずれも対症 たいしょう 的 てき な治療 ちりょう であって根本 こんぽん 的 てき な治療 ちりょう ではない。そのため、投薬 とうやく を中止 ちゅうし すると元 もと の眠気 ねむけ 水準 すいじゅん に戻 もど ってしまうことになる[ 4] 。また、いずれも夜間 やかん の睡眠 すいみん に悪影響 あくえいきょう を与 あた えてはいけないことから、夕方 ゆうがた までに効果 こうか が切 き れるように処方 しょほう されることとなり、薬効 やっこう を翌日 よくじつ に持 も ち越 こ すことはできない。そのため、毎日 まいにち 服用 ふくよう する必要 ひつよう がある。
上記 じょうき 以外 いがい の薬 くすり としては、オレキシンがナルコレプシーなどの睡眠 すいみん 障害 しょうがい に対 たい する新規 しんき 治療 ちりょう 薬 やく 開発 かいはつ につながることが期待 きたい されている[ 16] 。2017年 ねん 5月 がつ 、筑波大学 つくばだいがく の柳沢 やなぎさわ 正史 せいし らは米 べい アカデミー紀要 きよう 電子 でんし 版 ばん でオレキシン様 さま 化合 かごう 物 ぶつ の研究 けんきゅう 結果 けっか を発表 はっぴょう した。彼 かれ らが作成 さくせい に成功 せいこう したオレキシン様 さま 化合 かごう 物 ぶつ は、正常 せいじょう なマウスに投与 とうよ すると覚醒 かくせい 時間 じかん が延長 えんちょう され、継続 けいぞく して投与 とうよ するとナルコレプシー患者 かんじゃ に多 おお い体重 たいじゅう 増加 ぞうか も抑制 よくせい されるなど、効果 こうか があることが確認 かくにん されたという[ 17] 。
発症 はっしょう 期 き は主 おも に15歳 さい 前後 ぜんこう が多 おお く、40歳 さい 以上 いじょう の発症 はっしょう はまれである[ 4] 。本 ほん 病気 びょうき の症状 しょうじょう 特性 とくせい 上 じょう 、病気 びょうき であること自体 じたい に患者 かんじゃ 本人 ほんにん が気付 きづ く場合 ばあい が少 すく ないため、発症 はっしょう から確定 かくてい 診断 しんだん までの平均 へいきん 期間 きかん が約 やく 15年 ねん と極 きわ めて長期 ちょうき になっている。
NPO法人 ほうじん 日本 にっぽん ナルコレプシー協会 きょうかい は、社会 しゃかい 的 てき 認知 にんち 度 ど 向上 こうじょう に向 む けて2009年 ねん より全国 ぜんこく の各 かく 中学校 ちゅうがっこう ・各 かく 高等 こうとう 学校 がっこう にむけて『ナルコレプシーとは』とのパンフレットを配布 はいふ し啓発 けいはつ をはじめた。
ナルコレプシーは、睡眠 すいみん 障害 しょうがい の研究 けんきゅう ・治療 ちりょう が行 おこな われていく過程 かてい で、イギリス人 じん 医師 いし トーマス・ウィリス によって最初 さいしょ の報告 ほうこく がされ[ 18] 、1880年 ねん にフランスの医師 いし ジャン=バティスト=エドゥアール・ジェリノー (英語 えいご 版 ばん ) によって名付 なづ けられた[ 4] 。直訳 ちょくやく としては「Narco=眠 ねむ り」「Lepsie=発作 ほっさ 」を意味 いみ するため、「眠 ねむ り発作 ほっさ 」となる[ 18] [ 4] 。日本 にっぽん では周囲 しゅうい から見 み た患者 かんじゃ の様子 ようす から「居眠 いねむ り病 びょう 」「過 か 眠 ねむり 症 しょう 」とも呼 よ ばれる事 こと があるが、他 た の傾 かたぶけ 眠 ねむり 傾向 けいこう の睡眠 すいみん 障害 しょうがい (睡眠 すいみん 時 じ 無 む 呼吸 こきゅう 症候群 しょうこうぐん など)を一 いち 括 くく りに扱 あつか うそのような病名 びょうめい は適切 てきせつ ではない。このように一般 いっぱん への知名度 ちめいど が極 きわ めて低 ひく いうえ、専門医 せんもんい が少 すく ないため、罹患 りかん 者 しゃ に対 たい する正 ただ しい診断 しんだん ・治療 ちりょう が受 う けにくいことや、まわりの人間 にんげん からの理解 りかい が得 え られないなど、罹患 りかん 者 しゃ には精神 せいしん 的 てき にも大 おお きな負担 ふたん がかかっているのが現状 げんじょう である。
ナルコレプシーを患 わずら っている(いた)著名 ちょめい 人 じん [ 編集 へんしゅう ]
ナルコレプシーに罹患 りかん しており[ 19] 、その体験 たいけん を元 もと にした作品 さくひん なども発表 はっぴょう している。また、友人 ゆうじん である作家 さっか の山口 やまぐち 瞳 ひとみ の随筆 ずいひつ でも色川 いろかわ のナルコレプシーに関 かん する記述 きじゅつ が散見 さんけん される。なお、色川 いろかわ 武 たけし 大 だい がナルコレプシーに悩 なや まされるようになるのは、アウトローの世界 せかい から足 あし を洗 あら った後 のち である。
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