夢精むせい

夢精むせい（むせい、英語えいご: Nocturnal emission）は、ヒトの男性だんせいが睡眠すいみん中なかに射精しゃせいに至いたる現象げんしょうをいう。特とくに思春期ししゅんきに多おおく見みられるが、それ以降いこうの年齢ねんれいでも起おきる生理せいり現象げんしょうである。

概要がいよう

一般いっぱん的てきには思春期ししゅんきに多おおいとされるが、成人せいじんしても夢精むせいをしなくなるわけではない。

原因げんいん

射精しゃせいを司つかさどる精せい管かん膨大ぼうだい部ぶの働はたらきは、覚醒かくせい中ちゅうには交感神経こうかんしんけいの働はたらきによって抑制よくせいされているが、睡眠すいみん中ちゅうは副ふく交感神経こうかんしんけいが優位ゆういとなることで抑制よくせい作用さようが弱よわまり^[1]、覚醒かくせい中ちゅうよりも弱よわい刺激しげきで射精しゃせいに至いたることが知しられている。これに加くわえ、以下いかの2つの原因げんいんが重かさなることで夢精むせいに至いたる。

精液せいえきの過剰かじょうストックによるもの

精液せいえきは日々ひび絶たえ間まなく生産せいさんされており、精せい嚢への精液せいえきのストックはおよそ3日にちで一いち杯はいとなる。蓄積ちくせき過剰かじょうとなった古ふるい精液せいえきのうち、タンパク質たんぱくしつとして体内たいないに吸収きゅうしゅうされなかった精液せいえきが、新あたらしい精液せいえきに押おし出だされて溢あふれ出でる生理せいり的てき機き序じょによって夢精むせいが起おこる。

この場合ばあい、射精しゃせい反射はんしゃがまず先さきに起おこり、これに伴ともなって脳のう内ないで即座そくざに性的せいてきな事柄ことがらが連想れんそうされることで性せい夢ゆめとなるが、性せい夢ゆめは射精しゃせいによって後のち付つけで連想れんそうしたものであり、夢精むせいの成立せいりつにとって必須ひっすのものではない^[1]。

蓄積ちくせき限界げんかいによる生理せいり的てきな夢精むせいは若わかい頃ころでもせいぜい2〜3週間しゅうかんに一度いちど起おこる程度ていどであるとされる^[1]。

睡眠すいみん中ちゅうの性せい刺激しげきによるもの

睡眠すいみん中ちゅうに性器せいきに手てが触ふれたり、布団ふとんによって擦すれたり、寝返ねがえりをうって自身じしんの体重たいじゅうによって圧迫あっぱくされるなど、偶発ぐうはつ的てきな刺激しげきが加くわわることにより先さきに脳のう内ないで性せい夢ゆめが形成けいせいされ、物理ぶつり刺激しげきと夢ゆめによる興奮こうふん、時ときには無意識むいしき下かでの自慰じいによる直接的ちょくせつてきな性せい刺激しげきが射精しゃせいを誘発ゆうはつするものである^[1]。

この場合ばあい、過剰かじょうストックによるものとは異ことなり、頻繁ひんぱんに夢精むせいをすることがある。頻度ひんどが多おおい場合ばあいは、日常にちじょうの性せい刺激しげきが多おおすぎたり、就寝しゅうしん環境かんきょうに問題もんだいがある場合ばあいもあり^[1]、就寝しゅうしん前まえに自慰じいをしていても夢精むせいしてしまうことがある。

また、長期間ちょうきかんマスターベーションもしくは射精しゃせいをしていない際さいにも生しょうじる可能かのう性せいが高たかまる^[2]。さらには精神せいしん疾患しっかんや脊髄せきずいの異常いじょうなどを原因げんいんとして夢精むせいが生しょうじることもある^[2]。