精通せいつう

精通せいつう（せいつう、英えい: spermarche）は、男児だんじが性せい的てきに成熟せいじゅくしていく過程かていで生うまれて初はじめて経験けいけんする射精しゃせい。

なお、本ほん項こうでは精通せいつうに加くわえ、精通せいつう前後ぜんこうの男子だんしにとって関連かんれんのある第だい二に次じ性徴せいちょうや若年じゃくねん者しゃの性せい行動こうどう（オナニー、セックス）や性欲せいよくの諸しょ要ようについても記述きじゅつする。また、引用いんよう元もとの違ちがいにより オナニー（ドイツ語ご）、マスターベーション（英語えいご・ドイツ語ご）、自慰じいと表記ひょうきの揺ゆれがあるが、これらは同義どうぎである。

概要がいよう

男子だんしの性せい成熟せいじゅくの過程かていにおける通過つうか点てんのひとつであり、女子じょしでいう初潮しょちょう（初経しょけい）　に相当そうとうする。精通せいつうがあったということは、すでに精液せいえきが産さん生むされており、射精しゃせいに至いたるまでの性せい機能きのうの一連いちれんのプロセスが障害しょうがいなく発育はついくしたことの証あかしである（後述こうじゅつ#先天的せんてんてき男性だんせい不妊症ふにんしょうの治療ちりょうと精通せいつう参照さんしょう）。初潮しょちょうを迎むかえた女子じょしと同様どうよう、生殖せいしょく能力のうりょくを獲得かくとくしたことを意味いみし、身体しんたい的てきに子供こどもから大人おとなへと一いち歩ほ成長せいちょうしたことを意味いみする。

11歳さいころ（小学生しょうがくせいの高学年こうがくねん）から経験けいけん者しゃが現あらわれはじめ、14歳さいから15歳さい（中学生ちゅうがくせい）までにほぼ半数はんすうの者ものが経験けいけんする（後述こうじゅつ #精通せいつう年齢ねんれいと射精しゃせい経験けいけん率りつの項こうを参照さんしょう）。精通せいつうを経験けいけん後ごは、女性じょせいと性交せいこうを行おこなった場合ばあいには相手あいてを妊娠にんしんさせる可能かのう性せいがある。

男子だんしは思春期ししゅんき以降いこう、性的せいてき成熟せいじゅくに伴ともない、精液せいえきが精巣せいそう・精せい管かん・前立腺ぜんりつせん・精せい嚢などで生産せいさんされるようになり、射精しゃせいが可能かのうになる。精通せいつうは多おおくの場合ばあい、オナニーか夢精むせいによって経験けいけんする。オナニーで経験けいけんする場合ばあいは、オナニーのことを知しらずに痒かゆみや好奇心こうきしんがきっかけで、手てでペニスを刺激しげきしたり他たのものにこすりつけたりすることでオーガズム（性的せいてき絶頂ぜっちょう）に達たっするまで性的せいてき刺激しげきを続つづけ射精しゃせいへ至いたる場合ばあいの他ほか、友達ともだちや先輩せんぱいなどからやり方かたを聞きいたりインターネットで情報じょうほうを得えるなどして、実際じっさいにオナニーをやってみて射精しゃせいに至いたる場合ばあいがある。近年きんねんはインターネットの発達はったつ等とうにより、オナニーを含ふくむ性的せいてきな情報じょうほうが簡単かんたんに得えられるようになった為ため、早はやくからオナニーを知しってやり始はじめる子供こどもが昔むかしより増ふえており、それによってオナニーで精通せいつうを経験けいけんする子供こどもの割合わりあいも増ふえていると言いわれている。

オナニーを行おこなわない場合ばあいは、生産せいさん過剰かじょうになった精液せいえきが蓄積ちくせきの限界げんかいを超こえると、性的せいてきな夢ゆめ（性せい夢ゆめ）を見みたり睡眠すいみん中なかに無意識むいしきのうちに陰茎いんけいを布団ふとんにこすりつけるなどして射精しゃせいする、夢精むせいという形かたちで精通せいつうを経験けいけんする。

精液せいえきがまだ活発かっぱつに生産せいさんされていない思春期ししゅんき以前いぜんの男児だんじでも、陰茎いんけいに刺激しげきを与あたえると勃起ぼっきすることがある。性的せいてき刺激しげきを続つづければオーガズムに達たっし、前立腺ぜんりつせんや尿道にょうどう周囲しゅういの諸しょ筋肉きんにくの収縮しゅうしゅくにより陰茎いんけいや会かい陰部いんぶが脈動みゃくどうするとともに性的せいてき快感かいかんは十分じゅうぶん得えられるが、まだ精液せいえきが十分じゅうぶん生産せいさんされていないため、射精しゃせいしない、いわゆるドライオーガズムの状態じょうたいとなる。しかし、精液せいえきが活発かっぱつに生産せいさんされ始はじめる思春期ししゅんき以降いこうは、オーガズムによって引ひき起おこされるこれら諸しょ筋肉きんにくの収縮しゅうしゅくによって、精液せいえきが尿道にょうどうを勢いきおいよく通過つうかし、陰茎いんけい亀かめ頭あたまに開口かいこうする外そと尿道にょうどう口こうから数すう回かいにわたって射出しゃしゅつされるようになる。

オナニーやセックスによらない射精しゃせいのことを遺精いせい（いせい）と言いう。医学いがく的てきには生理せいり的てき遺精いせいと病的びょうてき遺精いせいに大別たいべつされる。前出ぜんしゅつのように夢精むせいや外的がいてき刺激しげきによって勃起ぼっきして射精しゃせいする場合ばあいは生理せいり的てき遺精いせいである。

精通せいつうの発現はつげん形態けいたい

射精しゃせいはオナニー等とうによって人為じんい的てきに起おこすことが可能かのうであるため、女子じょしの初潮しょちょうと異ことなり、男子だんしの精通せいつうには、どのようにして精通せいつうを迎むかえたかについて様々さまざまな形態けいたいがある。アルフレッド・キンゼイが1948年ねんに米国べいこくで行おこなった調査ちょうさ（キンゼイ報告ほうこく）では、精通せいつうの発現はつげん形態けいたいは多おおいほうから順じゅんにオナニー68.39%、夢精むせい13.11%、異性いせいとの性交せいこう12.53%、同性どうせいとの性交せいこう4.33%、遺精いせい0.81%、ペッティング0.37%、獣しし姦かん0.04%、日本にっぽん性せい教育きょういく協会きょうかいが1975年ねんに日本にっぽん内ないで行おこなった調査ちょうさでは、夢精むせい48.9%、オナニー42.5%、遺精いせい6.3%の順じゅんに多おおい。

精通せいつう年齢ねんれいと発現はつげん形態けいたい ​ オナニー 夢精むせい 性交せいこう 異性いせい 性交せいこう 同性どうせい 遺精いせい ​ キンゼイ報告ほうこく 68.39 13.11 12.53 4.33 0.81 ​ 日本にっぽん性せい教育きょういく協会きょうかい 42.5 48.9 6.3 ​

精通せいつうの発現はつげん形態けいたいと精通せいつう年齢ねんれい

精通せいつう年齢ねんれいと精通せいつうの発現はつげん形態けいたいには関連かんれん性せいがあり、早はやく精通せいつうを迎むかえた者ものではオナニーによる精通せいつうの割合わりあいが高たかいのに対たいし、遅おそく精通せいつうを迎むかえた者ものでは夢精むせいによる精通せいつうの割合わりあいが比較的ひかくてき高たかい。

日野ひの林はやし俊彦としひこが1983年ねんに発表はっぴょうした論文ろんぶん「男子だんし精通せいつう現象げんしょうについて : 発達はったつ加速かそく現象げんしょうの観点かんてんより」では、統計とうけい上じょうの平均へいきんの精通せいつう年齢ねんれいはオナニーによって精通せいつうを迎むかえる者ものの割合わりあいによって変化へんかすることが予想よそうされると述のべている。
これは、オナニーを行おこなうとペニスや睾丸こうがん、前立腺ぜんりつせんが刺激しげきされるため、これら生殖せいしょく器きの発達はったつが促進そくしんされて精通せいつうが早はやまる可能かのう性せいがあること、またオナニーが習慣しゅうかん化かしている場合ばあい、精液せいえきの生産せいさんが始はじまってまもなくオナニーによって射出しゃしゅつされるためで、逆ぎゃくにオナニーをしなければ生殖せいしょく器きの発達はったつ進度しんどは自然しぜん成熟せいじゅくに任まかされ、精液せいえきの生産せいさんが始はじまったのち精液せいえきが蓄積ちくせきしていって、蓄積ちくせき限界げんかいを超こえたときに夢精むせいしたり、不意ふいの外部がいぶ刺激しげきなどによって引ひき起おこされる遺精いせいによって精通せいつうが起おこるため、オナニーによる精通せいつうに比くらべて遅おそくなると考かんがえられる。

精通せいつう年齢ねんれいと発現はつげん形態けいたい ​ オナニー 夢精むせい 11歳さいまでに精通せいつう 71.6% 21.6% 15歳さい以降いこうで精通せいつう 52.1% 37.1%

精通せいつうと尿にょう検査けんさ

尿にょう検査けんさの検体けんたい尿にょうに精液せいえきが混入こんにゅうすると尿にょうたんぱくとして検出けんしゅつされてしまうため、尿にょう検査けんさの前日ぜんじつはマスターベーションやセックスをしてはならないことはよく知しられているが、前夜ぜんやに射精しゃせいしなかったからといって全まったく混入こんにゅうしなくなるわけではない。

また、精通せいつう年齢ねんれいの統計とうけい調査ちょうさは、多おおくがアンケートによるき取きとりによって行おこなわれるが、生理せいり機能きのうの成長せいちょうにおいて大おおきな差異さいがないはずの15歳さいの中学ちゅうがく3年生ねんせいと、同おなじ15歳さいの高校こうこう1年生ねんせいの射精しゃせい経験けいけんの回答かいとうに大おおきな開ひらきがあることから、回答かいとうは自身じしんのおかれた社会しゃかい的てき環境かんきょうや教育きょういくに大おおきく影響えいきょうを受うけ、必かならずしも正確せいかくな回答かいとうが得えられていないことが指摘してきされている。

そのため、被験者ひけんしゃ本人ほんにんの回答かいとうによらない調査ちょうさ方法ほうほうとして、前述ぜんじゅつした尿にょう中ちゅうの精子せいしを観測かんそくする方法ほうほうが知しられている。逆行ぎゃっこう性せい射精しゃせいなどの病的びょうてき理由りゆうによる精子せいし混入こんにゅうだけでなく、健常けんじょうな男児だんじでも精通せいつうを迎むかえていれば前回ぜんかいの射精しゃせい時じに尿道にょうどうや陰茎いんけい包皮ほうひに残のこった精子せいしが尿にょうに混入こんにゅうすることがあるため、これを統計とうけいに用もちいる。

偽にせ陰性いんせいの発生はっせい率りつが高たかい（精通せいつうしていても必かならず尿にょう中ちゅうから検出けんしゅつできるわけではない）ため、特定とくていの男児だんじの尿にょうから精子せいしが検出けんしゅつされなかったとしても未み精通せいつうであるとは確定かくていできないが、尿にょう中ちゅうに精子せいしを観測かんそくできた男児だんじの割合わりあいを統計とうけいに用もちいることで、その統計とうけい集団しゅうだんの平均へいきんの精通せいつう年齢ねんれい、年齢ねんれい別べつの精通せいつう割合わりあいを導みちびき出だす方法ほうほうが研究けんきゅうされている。

精通せいつう後ご初期しょきの精液せいえきと妊娠にんしんの可能かのう性せい

精液せいえきは液体えきたい成分せいぶん「精せい漿（せいしょう）」と細胞さいぼう成分せいぶん「精子せいし」とで構成こうせいされており、前立腺ぜんりつせんでつくられる前立腺ぜんりつせん液えきや、精せい嚢でつくられる精せい嚢分泌ぶんぴつ液えきなどの精せい漿の中なかに、精巣せいそうでつくられた精子せいしが含ふくまれたものである。精通せいつう後ごしばらくは、精子せいしの生産せいさんがまだ活発かっぱつではなく透明とうめいで水みずっぽくなったり、精せい漿の生産せいさんがまだ活発かっぱつではなく非常ひじょうに量りょうの少すくないものになることがあるが、各かく器官きかんが発達はったつするにともなって成人せいじん同様どうようの白濁はくだくと粘ねばり気けをもつようになる。

1985年ねんにポーランドで発表はっぴょうされた論文ろんぶんによれば、12歳さい8か月げつから19歳さい11か月げつまでの思春期ししゅんきの少年しょうねん134人にんから精液せいえきを採取さいしゅし、うち112人にんからは1～2回かい（平均へいきん1.3回かい、合計ごうけい150サンプル）、残のこり22人にんは継続けいぞく調査ちょうさをして3～4か月げつ間あいだで4～10回かい（平均へいきん5.6回かい、124サンプル）精液せいえきを採取さいしゅする調査ちょうさが行おこなわれた。

この調査ちょうさの結果けっか、精液せいえきの量りょう・濃度のうど、正常せいじょうな精子せいしの割合わりあいや運動うんどう性せいなど、妊娠にんしんに至いたる能力のうりょくに関かんする統計とうけい値ちは、精通せいつうからの期間きかんと強つよい関連かんれん性せいを示しめすことが明あきらかになっている。

それによると、

精通せいつう時じの精液せいえき（初はつ精せい）

• 量りょうが少すくない
• およそ90%の被験者ひけんしゃの初はつ精せいは精子せいしをまったく含ふくまない

3か月げつ目めまで

• 量りょうは1ミリリットル未満みまん
• 透明とうめいなものが多おおい

5か月げつ目めまで

• 精子せいしをほぼ含ふくまない

6か月げつ目め以降いこう、20か月げつ目めごろまで

• 精子せいしの量りょうが徐々じょじょに増ふえてゆく
• 含ふくまれる精子せいしのおよそ97%は運動うんどう性せいを欠かく。残のこりの3%は異常いじょうな運動うんどうをする。妊娠にんしんに至いたる能力のうりょくのない「精子せいし無力むりょく症しょう」の状態じょうたい

21か月げつ目めから23か月げつ目め

• 運動うんどう性せい精子せいしの割合わりあいがほぼ成人せいじん同様どうようとなる

24か月げつ目め以降いこう

• 成人せいじん男性だんせいのものと同等どうとうになる

「メルクマニュアル」の名なでも知しられる医学いがく百科ひゃっかのMSDマニュアル（家庭かてい版ばん）では、青年せいねん期きの中期ちゅうき（12歳さい半はん～14歳さい頃ごろ）に射精しゃせいできるようになるとしつつ、妊にん孕性（女性じょせいを妊娠にんしんさせる能力のうりょく）については、青年せいねん期きの後期こうきになるまで獲得かくとくされないと明記めいきしており、精通せいつうして間あいだもない男児だんじが女性じょせいと性交せいこうし膣ちつ内ない射精しゃせいしたとしても、妊娠にんしんさせる可能かのう性せいは相対そうたい的てきに低ひくい。

ただし性的せいてき発達はったつには個人こじん差さも大おおきい。特とくに、精通せいつうから6ヶ月かげつも経たてば（精子せいしの運動うんどう性せいに問題もんだいが有あるとはいえど）精子せいし濃度のうど自体じたいは2000万まん/mLに、射精しゃせい量りょうも12ヶ月かげつで2.5mLに達たっし、これは男性だんせい不ふ妊にんの診断しんだん基準きじゅん値ち（濃度のうど1500万まん以下いか/mL、射精しゃせい量りょう1.5mL以下いか）を上回うわまわる。イギリスで起おきた13歳さいの父ちち騒動そうどうでも、子供こどもの父親ちちおやは性交せいこう当時とうじ14歳さいの誕生たんじょう日びを迎むかえたばかりの少年しょうねんだった。

思春期ししゅんきの精液せいえきの発達はったつ

精通せいつうからの月数げっすう	平均へいきん射精しゃせい量りょう (ミリリットル)	液化えきか	平均へいきん精子せいし濃度のうど (1ミリリットルあたり)
0	0.5	しない	100万まん以下いか
6	1.0	しない	2000万まん
12	2.5	部分ぶぶん的てき	5000万まん
18	3.0	する	7000万まん
24	3.5	する	3億おく

^a 精液せいえきはゼリー状じょうで、液化えきかしなかった。

^b ほとんどのサンプルが液化えきかした。いくつかは、ゼリー状じょうのまま。

^c 精液せいえきは1時間じかん以内いないに液化えきかした。

精通せいつうと性せいの悩なやみ

オナニー

オナニーは精通せいつうと前後ぜんごする時期じきに覚おぼえることが多おおく、12歳さいでは5人にんに一人ひとり、15歳さいでおよそ半数はんすう、大学生だいがくせいでは90%以上いじょうがオナニーの経験けいけんをもつ（後述こうじゅつ#オナニーの経験けいけん率りつと開始かいし年齢ねんれい、頻度ひんどを参照さんしょう）。なお精通せいつうしていない者ものでもオナニーによる快感かいかんは得えることが出来できる。

精子せいしの産さん生せい量りょうは16歳さい頃ごろに、男性だんせいホルモンであるテストステロンの分泌ぶんぴつ量りょうは19歳さい頃ごろにピークを迎むかえ、これらの時期じきにはわずかな刺激しげきによって不意ふいに勃起ぼっきするなど、性欲せいよくが高たかまりやすい状況じょうきょうである。一いち日にちに何なん度どもオナニーをするなど射精しゃせいの頻度ひんどが多おおい場合ばあいもあり、オナニーの頻度ひんどは思春期ししゅんき男子だんしの代表だいひょう的てきな悩なやみのひとつにあげられるが、多おおいからといって心配しんぱいはいらない。

オナニーの際さい、ペニスを強つよく握にぎりすぎたり、手てを速はやく動うごかしすぎたり、またペニスを手てではなく床ゆかなどの固かたいものに強つよくこすりつけるなどの方法ほうほうでペニスに強つよい刺激しげきを与あたえ続つづけると、女性じょせいとの性交せいこう時じに膣ちつ内ないの刺激しげきでは射精しゃせいできない膣ちつ内ない射精しゃせい障害しょうがいになることもある。また、足あしを伸のばしてオナニーをすることによってなることもある。

精通せいつうを迎むかえた男児だんじがもつ悩なやみに「精液せいえきが飛とばない」というものもある。オナニーによって射精しゃせいをしても精液せいえきが飛とばずペニスから滴したたり落おちるようにしか精液せいえきが出でないというものである。前述ぜんじゅつしたように、精通せいつうを迎むかえたばかりで前立腺ぜんりつせん液えきや精せい嚢分泌ぶんぴつ液えきの生産せいさんがまだ活発かっぱつに行おこなわれていない場合ばあいは精液せいえきの量りょうは少すくないため飛とぶほどの量りょうではない。生産せいさんされる精液せいえき量りょうが増ふえると勢いきおいよく飛とぶようになるが、さらに成長せいちょうすると精液せいえきは成人せいじん同様どうように粘ねばり気けをもつ濃厚のうこうなものとなるため、飛とびにくくなる。精液せいえきは常つねに勢いきおいよく射出しゃしゅつされるものではなく、前回ぜんかいの射精しゃせいからの日数にっすうや、射精しゃせい時じの性的せいてき興奮こうふんの度合どあい、その日ひの体調たいちょうによって射精しゃせいの勢いきおいには違ちがいがある。

射精しゃせい後ごは真性しんせい包茎ほうけいあるいは未み発達はったつな仮性かせい包茎ほうけいである場合ばあい、包皮ほうひ内ないに精液せいえきが残のこり、恥はじ垢あかが発生はっせいする原因げんいんとなり不衛生ふえいせいなので、ティッシュペーパーなどで精液せいえきを拭ふき取とった後のち、陰茎いんけい及および陰茎いんけい周辺しゅうへんだけシャワーで洗あらうことが好このましい。真性しんせい包茎ほうけいの場合ばあいでも、風呂ふろの湯ゆの中なかで、陰茎いんけいをポンプのように揉もむと、包皮ほうひ内ないに残留ざんりゅうした精液せいえき及および恥はじ垢あかが排出はいしゅつされる。

カウパー腺せん液えきによる誤認ごにん

精液せいえきを生産せいさんし始はじめるタイミングとカウパー腺せん液えきを生産せいさんし始はじめるタイミングには個人こじん差さがあり、射精しゃせいが可能かのうになってからカウパー腺せん液えきの分泌ぶんぴつが可能かのうになる者ものもいれば、その逆ぎゃくの者ものもいる。後者こうしゃの場合ばあいは、性せいに関かんする話はなしを友人ゆうじんとした際さいなど性的せいてき興奮こうふんが高たかまった際さいにカウパー腺せん液えきが分泌ぶんぴつされて下着したぎを汚よごしたり、オナニーによってオーガズムに達たっした場合ばあいでも射精しゃせいをせず、透明とうめいなカウパー腺せん液えきのみが尿道にょうどうから滲にじみ出だすように分泌ぶんぴつされる期間きかんがある。

カウパー腺せん液えきは性的せいてき興奮こうふん状態じょうたいにあるときに分泌ぶんぴつされる粘ねばり気けのある液体えきたいという点てんは精液せいえきと同様どうようであるため、性せい知識ちしきの少すくない男児だんじはカウパー腺せん液えきの分泌ぶんぴつを射精しゃせいと誤認ごにんし、「精液せいえきの色いろが薄うすい」、「飛とばない」などの悩なやみを抱かかえる場合ばあいがある。カウパー腺せん液えきは透明とうめいで陰茎いんけいの先さきから滲にじみ出だすように分泌ぶんぴつされるものであり、まったく正常せいじょうである。

この場合ばあい（「はじめての射精しゃせいのこと」という言葉ことばの定義ていぎ上じょう）精通せいつうはまだしていない状態じょうたいではあるが、カウパー腺せん液えきを分泌ぶんぴつできるということは各かく器官きかんが着実ちゃくじつに成熟せいじゅくしつつある証拠しょうこであり、いつ精通せいつうを迎むかえてもおかしくない。

日本にっぽんの統計とうけいにおける精通せいつう年齢ねんれいの早期そうき化かと遅延ちえん

日本にっぽんにおいて、精通せいつうを迎むかえる年代ねんだいの思春期ししゅんきの少年しょうねんに関かんする統計とうけい調査ちょうさは、全国ぜんこくの児童じどう・生徒せいとを対象たいしょうに日本にっぽん性せい教育きょういく協会きょうかいが6年ねんに一度いちど行いっている「『若者わかものの性せい』白書はくしょ」と、東京とうきょう都内とないの学校がっこうに通かよう児童じどう・生徒せいとを対象たいしょうに東京とうきょう都と幼よう・小しょう・中なか・高だか・心性しんせい教育きょういく研究けんきゅう会かいが3年ねんに一度いちど行いっている「児童じどう・生徒せいとの性せいに関かんする調査ちょうさ」が知しられている。

どちらの調査ちょうさにおいても、概おおむね2000年ねんまでは性的せいてき成熟せいじゅくの早期そうき化かと精通せいつう年齢ねんれいの低てい年齢ねんれい化かを示しめしていたが、2000年ねん以降いこうの調査ちょうさでは逆ぎゃくに遅延ちえんの傾向けいこうを示しめしている。

以下いか、児童じどう・生徒せいとへの調査ちょうさに関かんしては、学習がくしゅう指導しどう要領ようりょう上じょう、当該とうがい学年がくねんでは使用しようしない用語ようごについてい換いかえが行おこなわれている（セックス・性交せいこう→性的せいてき接触せっしょく、射精しゃせい→精液せいえきが出でること、等ひとし）。

精通せいつう年齢ねんれいと射精しゃせい経験けいけん率りつ

精通せいつう年齢ねんれいは戦後せんご、身体しんたい的てき発育はついくの早期そうき化か、いわゆる早熟そうじゅく化かに伴ともなって早はやまったが、1970年ねん生うまれより最近さいきんは延のべ慢化かしている。特とくに15歳さいの射精しゃせい経験けいけん率りつは1999年ねん調査ちょうさの74.6%（およそ4人にんに3人にん）から2011年ねんには51%（半数はんすう）へと短期間たんきかんで急激きゅうげきな低下ていかをみせている。神戸こうべ市立しりつ西にし市民しみん病院びょういん小児科しょうにかの額田ぬかた成しげる、江口えぐち純治すみはるの調査ちょうさでも、1950年代ねんだい、1960年代ねんだい生うまれの約やく36%が小学生しょうがくせいのうちに精通せいつうを経験けいけんしているのに対たいし、1970年代ねんだい生うまれでは約やく31%へと低下ていかしており、平均へいきん精通せいつう年齢ねんれいも遅延ちえんする傾向けいこうである。女子じょしの初潮しょちょう年齢ねんれいには大おおきな変化へんかがないことから、額田ぬかた、江口えぐちはその原因げんいんについて、女性じょせいホルモンと同様どうようの作用さようを起おこす内分泌ないぶんぴつ攪乱かくらん物質ぶっしつ（環境かんきょうホルモン）が影響えいきょうしている可能かのう性せいを指摘してきしている。

男子だんしの精通せいつうの出生しゅっしょう年代ねんだい別べつ推移すいい

出生しゅっしょう年代ねんだい	1940年代ねんだい	1950年代ねんだい	1960年代ねんだい	1970年代ねんだい
平均へいきん精通せいつう年齢ねんれい	13.19±1.4歳さい	12.72±1.35歳さい	12.68±1.14歳さい	12.84±1.11歳さい
小学生しょうがくせいで精通せいつう	23.08%	36.47%	36.49%	31.49%

※の表ひょうを引用いんよう。「中学ちゅうがく以降いこう精通せいつう」の数値すうちについては100%から「小学生しょうがくせいで精通せいつう」を引ひいた残のこりであるため割愛かつあい。

日本にっぽん性せい教育きょういく協会きょうかいが6年ねんに一度いちど行いっているアンケート調査ちょうさの結果けっかでは比較ひかく的てき後ごの年代ねんだいまで早熟そうじゅく化かの傾向けいこうがみられ、1999年ねん調査ちょうさまでは各かく学校がっこう種別しゅべつにおける射精しゃせい経験けいけん率りつが年々ねんねん高たかまる傾向けいこう（早期そうき化かの傾向けいこう）を示しめしており、特とくに1999年ねんの調査ちょうさでは中学生ちゅうがくせい（1年生ねんせいから3年生ねんせいの在籍ざいせき者しゃ）における射精しゃせい経験けいけん者しゃ数すうは半数はんすうを超こえるに至いたったが、こちらの調査ちょうさ結果けっかでも2005年ねん、2011年ねんに行おこなわれた調査ちょうさでは遅延ちえん化かの傾向けいこうを示しめしており、2011年ねん調査ちょうさにおける中学校ちゅうがっこう在籍ざいせき者しゃの射精しゃせい経験けいけん者しゃは全体ぜんたいのおよそ1/3と、1987年ねん調査ちょうさ時じの水準すいじゅんに戻もどっている。

射精しゃせい経験けいけん率りつの推移すいい

​ 0 50 100 (%) 経験けいけん率りつ ​ ​ ​ 大学生だいがくせい 高校生こうこうせい 中学生ちゅうがくせい 1987 ​ ​ ​ 92.0 83.8 37.8 1993 ​ ​ ​ 91.5 86.0 46.7 1999 ​ ​ ​ 97.2 88.6 52.9 2005 ​ ​ ​ 97.2 86.6 44.4 2011 ​ ​ ​ 96.8 82.8 36.2 2017 ​ ​ ​ 94.1 84.1 37.2

（設問せつもん「あなたは、いままでに、射精しゃせい（精液せいえきが出でること）を経験けいけんしたことがありますか」に「はい」と回答かいとうした者ものの学校がっこう種別しゅべつ割合わりあい。調査ちょうさ対象たいしょうに中学生ちゅうがくせいを追加ついかした1987年ねん（第だい３回かい）調査ちょうさ以降いこうの数値すうち。）

同おなじ調査ちょうさの結果けっかを回答かいとう者しゃの年齢ねんれい別べつに集計しゅうけいしたものでは、1999年ねん調査ちょうさの14歳さいの射精しゃせい経験けいけん率りつが6割わりに達たっするのに比くらべ、2005年ねん調査ちょうさでは13歳さいから15歳さいまでの各かく年齢ねんれいで1999年ねんの経験けいけん率りつと比くらべ1割わり程度ていど低下ていかしており、6割わりを超こえる年齢ねんれい、9割わりを超こえる年齢ねんれいとも、1999年ねん調査ちょうさより1歳さい遅おそい15歳さい、18歳さいと遅延ちえんの傾向けいこうを示しめしている。

2011年ねん調査ちょうさをみても、13歳さいの経験けいけん率りつが前回ぜんかい調査ちょうさと同等どうとう水準すいじゅんであったほかは、12歳さいでおよそ5ポイント低ひくく、それまで射精しゃせい経験けいけん者しゃが急激きゅうげきに増加ぞうかしていた14歳さいにおいても伸のびが鈍にぶく、前回ぜんかい調査ちょうさ比ひマイナス15ポイントと大おおきく下回したまわっている。15歳さいでもおよそ10ポイント低ひくい経験けいけん率りつを、16歳さい以降いこう（高校生こうこうせい）で挽回ばんかいする晩熟ばんじゅく化かの傾向けいこうがさらに強つよくなっている。

射精しゃせい経験けいけん者しゃの年齢ねんれい別べつ割合わりあい

年齢ねんれい	12歳さい	13歳さい	14歳さい	15歳さい	16歳さい	17歳さい	18歳さい	19歳さい	20歳さい	21歳さい
1999年ねん	21.8%	39.6%	60.0%	74.6%	82.9%	92.1%	93.7%	89.3%	100.0%	99.2%
2005年ねん	24.6%	29.4%	52.2%	61.6%	80.0%	88.7%	94.2%	96.1%	95.6%	97.9%
2011年ねん	19%	30%	36%	51%	78%	88%	90%

（設問せつもん「あなたは、いままでに、射精しゃせいを経験けいけんしたことがありますか」に「はい」と回答かいとうした者ものの年齢ねんれい別べつ割合わりあい）

（註：2011年ねんは年齢ねんれい別べつ集計しゅうけい表ひょうが添付てんぷされていないため、数値すうちの記載きさいされていないグラフからの読よみ取とり値ちであり誤差ごさを含ふくむ。参考さんこう程度ていどにとどめられたい。）

（註：同どう一いち集団しゅうだんに対たいする追跡ついせき調査ちょうさではなく、各かく調査ちょうさ年ねんにおけるそれぞれの年齢ねんれいの生徒せいと・学生がくせいの経験けいけん率りつであるため、より高たかい年齢ねんれいで経験けいけん率りつが落おちる場合ばあいがあるが矛盾むじゅんしない）

東京とうきょう都と幼よう・小しょう・中なか・高だか・心性しんせい教育きょういく研究けんきゅう会かいが3年ねんに一度いちど行いっている「児童じどう・生徒せいとの性せいに関かんする調査ちょうさ」でも、2014年ねん調査ちょうさでは中学ちゅうがく3年生ねんせいの射精しゃせい経験けいけん率りつが50%を下回したまわったことが報告ほうこくされている。

小学生しょうがくせいのうちに精通せいつうを迎むかえた者ものの精通せいつう時じ年齢ねんれいについては、精通せいつうをした年齢ねんれいを問とう設問せつもんによって明あきらかになるが、各かく調査ちょうさ年度ねんどとも6%から7%の者ものが10歳さいまでに精通せいつうしたと回答かいとうしており、概おおむね小学しょうがく4年生ねんせい以降いこうに精通せいつうを迎むかえた場合ばあいには思春期ししゅんき早さ発症はっしょうなどを心配しんぱいする必要ひつようは特とくにないといえる。また、思春期ししゅんき遅おそ発症はっしょうについては14歳さいまでに精巣せいそうの発育はついくの兆候ちょうこうがみられない場合ばあいに該当がいとうすることがあるが、18歳さいでおよそ1割わり弱じゃくの者ものが射精しゃせいを経験けいけんしていないと回答かいとうしていることからもわかるように、遅おそ発症はっしょうは精通せいつうの有無うむによる判断はんだんではなく、精巣せいそう（睾丸こうがん）の増大ぞうだい、陰茎いんけいの発育はついく、陰毛いんもうの発生はっせい、陰部いんぶが赤あかみや黒くろみを帯おびる等とうの第だい二に次じ性徴せいちょう特有とくゆうの兆候ちょうこうがみられる場合ばあいには特とくに心配しんぱいをする必要ひつようはない。

精通せいつうを経験けいけんした年齢ねんれい

年齢ねんれい	9歳さい	10歳さい	11歳さい	12歳さい	13歳さい	14歳さい	15歳さい	わからない/無む回答かいとう
1999年ねん		6.7%	11.9%	33.2%	30.9%	9.0%	0.2%	8.1%
2005年ねん		7.0%	8.2%	31.6%	29.9%	12.3%	1.4%	9.6%
2011年ねん	0.2%	6.1%	10.2%	25.6%	29.1%	9.5%	1.0%	18.3%
2017年ねん	1.8%	4.8%	11.0%	30.9%	28.3%	10.9%	0.9%	11.4%

（射精しゃせいを経験けいけんしたことがあると回答かいとうした者ものに対たいする設問せつもん「はじめての射精しゃせいがあったのは、何なん歳さいのときでしたか」に対たいする中学生ちゅうがくせいの回答かいとう。1999年ねんと2005年ねんは10歳さいまでの回答かいとうを「10歳さい以前いぜん」として10歳さいの欄らんに計上けいじょう）

（小学生しょうがくせいのうちに精通せいつうを迎むかえた者ものの最新さいしんの統計とうけいを示しめすために中学生ちゅうがくせいの回答かいとう結果けっかを引用いんようしたが、12歳さいから15歳さいの割合わりあいについては参考さんこう程度ていどにとどめられたい。理由りゆうは、11歳さいまでの数値すうちについては中学生ちゅうがくせいは全員ぜんいんがその年齢ねんれいを満了まんりょうしており純粋じゅんすいな回想かいそう回答かいとうとなるのに対たいし、12歳さい以上いじょうでは12歳さいになったばかりでまだその年齢ねんれいを満了まんりょうしていない者もの、その年齢ねんれいにまだ達たっしていない者ものが調査ちょうさ対象たいしょうに含ふくまれ、回想かいそう回答かいとうよりも低ひくい値ねを示しめすためである。また、精通せいつうを経験けいけんしたときの年齢ねんれいを問とう設問せつもんであり、上述じょうじゅつした年齢ねんれい別べつの射精しゃせい経験けいけん割合わりあい（調査ちょうさ時じの年齢ねんれい）とは異ことなる値ねを示しめすことにも注意ちゅういされたい。）

オナニーの経験けいけん率りつと開始かいし年齢ねんれい、頻度ひんど

詳細しょうさいは「オナニー」を参照さんしょう

日本にっぽん性せい教育きょういく協会きょうかいのアンケート結果けっかでは、射精しゃせい経験けいけん率りつと同様どうよう、1999年ねんまでの調査ちょうさでは年としを追おうごとに中学生ちゅうがくせいのオナニー経験けいけん率りつが高たかまる、オナニー開始かいし年齢ねんれいの早期そうき化か傾向けいこうを示しめしていたが、その後ごは遅延ちえんする流ながれに転てんじている（オナニーの項こうを参照さんしょう）。

オナニーの経験けいけんと射精しゃせい経験けいけんの組くみ合あわせについて集計しゅうけいを行おこなった結果けっかでは、オナニー経験けいけんのない既すんで精通せいつう者しゃ（夢精むせいや遺精いせいによって精通せいつうした者もの）の割合わりあいに大おおきな変化へんかはなく5ポイント程度ていどの変動へんどう幅はばであるが、オナニー経験けいけんのある既すんで精通せいつう者しゃの割合わりあいは18ポイント以上いじょうの大おおきな増減ぞうげんを示しめしている。#精通せいつうの発現はつげん形態けいたいと精通せいつう年齢ねんれいに示しめしたように、オナニーによる精通せいつうでは精通せいつう年齢ねんれいが低ひくくなる傾向けいこうがあるため、1999年ねん調査ちょうさをピークとした精通せいつう経験けいけん率りつの増減ぞうげんは、おおむね自慰じいによる精通せいつう経験けいけんの増減ぞうげんとして説明せつめいできるとし、性的せいてき関心かんしんの遅延ちえん化かと連動れんどうしていると結論けつろん付つけている。つまり中学生ちゅうがくせいの年代ねんだいが以前いぜんに比くらべて性的せいてきなことにあまり関心かんしんを示しめさなくなった結果けっか、オナニーをする者ものが減へり、その結果けっかとして精通せいつう年齢ねんれいが上昇じょうしょうした、ということである。オナニー経験けいけん率りつの減少げんしょうとともに、別項べっこう思春期ししゅんき#性せい交渉こうしょうへの欲求よっきゅうの調査ちょうさ結果けっかもその結論けつろんを補強ほきょうしており、内分泌ないぶんぴつ攪乱かくらん物質ぶっしつとは異ことなる社会しゃかい的てき要因よういんが絡からんでいることを示唆しさしている。

オナニー経験けいけんと射精しゃせい経験けいけんの組くみ合あわせの変化へんか

射精しゃせい経験けいけん	射精しゃせいあり		射精しゃせいなし
オナニー経験けいけん	オナニーあり	オナニーなし	オナニーあり	オナニーなし
1987年ねん	25.1%	12.7%	4.9%	57.3%
1993年ねん	29.8%	17.0%	3.2%	50.0%
1999年ねん	37.5%	15.3%	4.0%	43.1%
2005年ねん	26.1%	18.3%	2.0%	53.6%
2011年ねん	18.8%	14.8%	2.5%	63.9%

オナニー経験けいけん者しゃの年齢ねんれい別べつ割合わりあい

年齢ねんれい	12歳さい	13歳さい	14歳さい	15歳さい	16歳さい	17歳さい	18歳さい	19歳さい	20歳さい	21歳さい
1999年ねん	13.8%	27.6%	46.3%	67.4%	80.6%	87.9%	93.7%	88.7%	98.6%	85.7%
2005年ねん	20.0%	15.1%	30.4%	48.9%	69.5%	83.0%	89.6%	92.2%	94.9%	93.8%

（設問せつもん「あなたは、自慰じい（マスターベーション、オナニー）をしたことがありますか。」に「ある」（2005年ねん調査ちょうさまで）、「1か月げつ以内いないに経験けいけんがある」及および「経験けいけんはあるが、ここ１か月げつはしていない」（2011年ねん調査ちょうさ）と回答かいとうした男子だんしの年齢ねんれい別べつ割合わりあい。）

ソフト・オン・デマンドが首都しゅと圏けんの16歳さいから59歳さいの男女だんじょに対たいして行いった2009年ねんおよび2012年ねんの調査ちょうさによると、男性だんせいのオナニー開始かいし年齢ねんれいの平均へいきんは2009年ねん調査ちょうさで13.2歳さい、2012年ねん調査ちょうさで13.4歳さいで、オナニーを開始かいしした年齢ねんれいで最もっとも多おおいのが2009年ねん調査ちょうさでは12歳さい（約やく22%）、2012歳さい調査ちょうさでは13歳さい（約やく25％）で、2009年ねん調査ちょうさ、2012年ねん調査ちょうさとも、11歳さいから14歳さいまでの間あいだにおよそ6割わりがオナニーを経験けいけんしたと回答かいとうしている。

オナニーの頻度ひんどについては、16歳さい～19歳さいで週しゅう4～5回かい以上いじょうオナニーをすると回答かいとうした男性だんせいは42.1%、週しゅう1回かい以上いじょうオナニーをすると回答かいとうした男性だんせいは89.9%に達たっする。

（設問せつもん「あなたの過去かこ1年間ねんかんのマスターベーション（オナニー、自慰じい）頻度ひんどはどのくらいですか」に対たいする16歳さい～19歳さい男性だんせいの回答かいとう）

周囲しゅういの大人おとなの対応たいおうと性教育せいきょういく

小学校しょうがっこうにおける性教育せいきょういく

男子だんしの精通せいつう年齢ねんれいが低てい年齢ねんれい化かしてきたことをふまえ、学習がくしゅう指導しどう要領ようりょうでは平成へいせい元もと年度ねんど改訂かいていから、小学しょうがく5年ねんおよび6年ねんで精通せいつうと異性いせいへの関心かんしんの芽生めばえについて教おしえることが盛もり込こまれ、平成へいせい10年度ねんど改訂かいていでは小学しょうがく3年ねんおよび4年ねんで教おしえることに前まえ倒たおされた。教科きょうか詰つめ込こみ型がたの教育きょういくからゆとり教育きょういくへの方針ほうしん転換てんかんも伴ともない、医師いし・助産じょさん師しを外部がいぶ講師こうしとして招まねき「いのちの授業じゅぎょう」として男女だんじょ共どもに同おなじ教室きょうしつで第だい二に次じ性徴せいちょう、性交せいこう、出産しゅっさんなどを体系たいけい的てきに教おしえる現在げんざいのような性教育せいきょういくにつながっていった。

精通せいつう時じの対応たいおう

女子じょしにおける初潮しょちょうの場合ばあいは経けい血ちの処置しょちや生理せいり痛つう、ホルモンバランスの変動へんどうにより心身しんしんが不安定ふあんていになることから、周囲しゅういの大人おとな、特とくに母親ははおやによる指導しどう対応たいおうが行おこなわれる。また、日本にっぽんでは古来こらいより初潮しょちょうを迎むかえたことを祝いわって赤飯せきはんを炊たく習慣しゅうかんがある。しかし、デリケートな事象じしょうであるため、こうした祝いわい方かたをすることは少すくない。

一方いっぽう、精通せいつうの場合ばあいは特とくに医療いりょう的てきなケアが必要ひつようなものではないこと、子育こそだてにおいて主導しゅどう的てき役割やくわりを果はたしてきた母親ははおやにとって、異性いせいである男おとこの子この性せいの問題もんだいは扱あつかいにくいものであること、また、射精しゃせいによる性的せいてき快感かいかんを伴ともなうことから精通せいつうを迎むかえた男児だんじ本人ほんにんも親おやや周囲しゅういの大人おとなにあまり話ばなさない（オナニーによって精通せいつうを迎むかえた場合ばあいは特とくに）など、複数ふくすうの要因よういんから、健常けんじょう児じに対たいして、精通せいつうに対たいする周囲しゅういの大人おとなの直接的ちょくせつてきな対応たいおうが行おこなわれることは稀まれで、精通せいつうがあったかどうかを本人ほんにんに問とうたりすることは本人ほんにんを困惑こんわくさせ傷きずつける行為こういとして、特とくに母親ははおやが息子むすこのオナニーについて咎とがめたりすることはタブーとされる。

一緒いっしょに暮くらす親おやや周囲しゅういの大人おとなからみて、オナニーの頻度ひんどが多おおいことが伺うかがわれる兆候ちょうこうがあったり、射精しゃせい後ごのティッシュの処理しょりが乱雑らんざつであったりしても、本人ほんにんの成長せいちょうに伴ともなってオナニーの頻度ひんどが落おち着ついたり、周囲しゅういにあからさまにならないようティッシュを処理しょりするようになるなど、自然しぜんに解決かいけつする問題もんだいとして干渉かんしょうしないことが多おおい。

先天的せんてんてき男性だんせい不妊症ふにんしょうの治療ちりょうと精通せいつう

「男性だんせい不妊症ふにんしょう」も参照さんしょう

これまで述のべたように、精通せいつうがあったということは射精しゃせいに至いたるまでの性せい機能きのうの一連いちれんのプロセスが障害しょうがいなく発育はついくしたことの証あかしであるが、先天的せんてんてきな性せい分化ぶんか疾患しっかんや性腺せいせん機能きのうの発育はついく不全ふぜんにより、造みやつこ精せい機能きのうや射精しゃせい反射はんしゃ機能きのうが生うまれつき障害しょうがいを受うけることがあり、出生しゅっしょう時じに超ちょう低てい体重たいじゅう児じであったり仮死かし状態じょうたいで生うまれた者ものに比較的ひかくてきその割合わりあいが高たかいとされる。テストステロンのレベルが一時いちじ的てきに高たかまる5歳さい頃ごろまでに治療ちりょうが行おこなわれれば射精しゃせい反射はんしゃ機能きのうを獲得かくとくすることが可能かのうであるが、以下いかの理由りゆうにより治療ちりょうが行おこなわれることは稀まれであり、成人せいじん後ごに男性だんせい不妊症ふにんしょうとして顕在けんざい化かするまでわからないことが多おおい。

幼少ようしょう期きであっても射精しゃせい反射はんしゃ機能きのうは有ゆうしている（ただしドライオーガズムとなる）のが正常せいじょうであるが、その検査けんさを行おこなうには患者かんじゃに性的せいてき刺激しげきを加くわえなければならないことから、そのような検査けんさ自体じたいが行おこなわれることはまずない。新生児しんせいじは生殖せいしょく器き系けいの発育はついくに関かんする検査けんさも行おこなわれるものの、外そと性器せいきの形成けいせい状じょう況きょうの確認かくにんなど外見がいけんによって診断しんだんを行おこない、そこで異常いじょうが認みとめられた場合ばあいにはじめて、血液けつえき検査けんさによるホルモンの数値すうちのチェックが行おこなわれることが多おおい。外そと性器せいきの外見がいけんが正常せいじょうである乳幼児にゅうようじは所見しょけんなしとされ、正常せいじょうに発育はついくしているものとされるからである。

そのため射精しゃせい反射はんしゃ機能きのうの発育はついく不全ふぜんは、本人ほんにんがマスターベーションを開始かいしするであろう時期じきまで、さらに言いえば精通せいつうがないことを本人ほんにんが誰だれかに相談そうだんできるようになるまで見過みすごされることが多おおく、治療ちりょうの機会きかいを逸いっすることが多おおい。

障害しょうがい者しゃの精通せいつうと性教育せいきょういく、性せい介助かいじょ

「性せい介助かいじょ」も参照さんしょう

知的ちてき障害しょうがい児じの場合ばあい、精通せいつうを含ふくむ性せいの目覚めざめは大人おとなになってきたしるしとして理解りかいされるよりも、周囲しゅういの大人おとなにとってはやっかいなこととして認識にんしきされやすい傾向けいこうがある。

知的ちてき障害しょうがいや精神せいしん遅滞ちたい、自閉症じへいしょうのある男児だんじの中なかには、オナニーによって性欲せいよくを処理しょりすることを自みずからの試行しこうや同年代どうねんだいの友人ゆうじんからの情報じょうほうによって獲得かくとくすることが困難こんなんで、思春期ししゅんきの旺盛おうせいな性欲せいよくのはけ口ぐちがなく、周囲しゅういの女性じょせいに抱だき付ついてしまう者もの、あるいは性せいに対たいする羞恥心しゅうちしんを獲得かくとくすることが困難こんなんな者ものの場合ばあいは他人たにんの面前めんぜんでオナニーをする等ひとしのトラブルを招まねくことがある。

身体しんたい障害しょうがい児じの場合ばあい、手てがない、動うごかせないなどの障害しょうがいをもつ場合ばあい、手てを使つかったオナニーを行おこなうことは不可能ふかのうであり、ペニスを布団ふとんなどにこすりつけるなどの方法ほうほうでのオナニーとならざるを得えないほか、射精しゃせい後ごにティッシュで拭ふくなどの後片付あとかたづけも不可能ふかのうである。布団ふとんを汚けがす可能かのう性せいも高たかい。そのため、バスタオルなど、掛かけ布団ぶとんに巻まくことのできる程度ていどに大おおきく、かつ、陰茎いんけい亀かめ頭あたまを挟はさんで擦なすり付つけても痛いためない程度ていどに柔やわらかく、かつ精液せいえきを吸収きゅうしゅうできる厚手あつでのタオルを用意よういするなど介護かいご者しゃが配慮はいりょすることが多おおい。

1948年ねんから1996年ねんまで存在そんざいした旧きゅう優生ゆうせい保護ほご法ほうによって、障害しょうがいをもつ者ものは、「不良ふりょうな子孫しそんの出生しゅっしょうを防止ぼうしする」として、生殖せいしょく能力のうりょくを失うしなわせる断種だんしゅ手術しゅじゅつが行おこなわれていた。中なかには強制きょうせい的てきに不ふ妊にん手術しゅじゅつを受うけた者ものも居いる。
近年きんねんではそのような手術しゅじゅつは重大じゅうだいな人権じんけん侵害しんがいと見みなされるようになったため、性せいに関かんするトラブルを防ふせぎ、また本人ほんにんの性せいの尊厳そんげんを守まもる目的もくてきで、性的せいてき欲求よっきゅうを社会しゃかい生活せいかつ上じょう問題もんだいのない形かたちで自分じぶんで解消かいしょうさせるため、障害しょうがい児じ者しゃの状況じょうきょうに応おうじて、オナニーのやり方かたやマナーを親おやや周囲しゅういの大人おとなが詳くわしく教おしえることがある。

脳性のうせいまひや筋きんジストロフィーなどの全身ぜんしん性せいの運動うんどう障害しょうがいでオナニーを行おこなうこと自体じたいが困難こんなんな場合ばあい、介護かいご者しゃが手てで性器せいきを刺激しげきし射精しゃせいさせる射精しゃせい介助かいじょが行おこなわれる場合ばあいもあるが、配偶はいぐう者しゃがいない場合ばあい、親おやや兄弟きょうだい姉妹しまいがこれを行おこなうことは心理しんり的てきに大おおきな抵抗ていこうがあり、頼たよりとなる外部がいぶの介護かいごスタッフの場合ばあい、「性的せいてきサービス」としてデリバリーヘルスと同様どうようの扱あつかいを受うけ風俗ふうぞく営業えいぎょう法ほうの届出とどけでを提出ていしゅつすることを求もとめられるなど、法制ほうせい面めんの問題もんだいが残のこっている。

精通せいつうを題材だいざいにした作品さくひん

ごめん（小説しょうせつ:1996年ねん ひこ・田中たなか、　映画えいが: 2002年ねん 冨樫とがし森もり・バンダイビジュアル）

主人公しゅじんこうの小学しょうがく6年生ねんせいセイが、授業じゅぎょう中ちゅうにカンチョーを受うけた時とき、遺精いせいによって精通せいつうを迎むかえる。

関連かんれん項目こうもく

• 射精しゃせい
• 夢精むせい
• オナニー
• 第だい二に次じ性徴せいちょう
• タナー段階だんかい
• 包茎ほうけい
• 男性だんせい器き