顔かお射しゃ

顔かお射しゃ（がんしゃ）とは、膣ちつ外がい射精しゃせいの一種いっしゅで、顔かおに射精しゃせいをすることである^[1]。「顔面がんめん発射はっしゃ」の略語りゃくごで^[1]、アダルトビデオ用語ようごではあるが、顔かお射しゃという行為こういはアダルトビデオにおけるパフォーマンスともいわれる^[1]。顔かお射しゃには、結膜炎けつまくえんや角膜かくまく炎えんにかかるリスクだけでなく失明しつめいの危険きけんもある。性せい風俗ふうぞくにおいてサービスを受うける場合ばあい、顔かお射しゃはオプションとなる場合ばあいがある^[2]^[3]^[4]^[5]。

顔かお射しゃは、相手あいての顔かおに精液せいえきを浴あびせることによって性的せいてき欲求よっきゅうを満みたす行為こういである^[2]^[3]。複数ふくすうの男性だんせいによって同時どうじに顔かお射しゃが行おこなわれ、特とくにその精液せいえきが口内こうないに含ふくまれない場合ばあいは「ぶっかけ」とも呼よばれる（COHF、Cum on her/his faceなど、このぶっかけに特とく化かしたポルノ作品さくひんシリーズもある）。

リスクとマナー

アメリカのセックスセラピスト、ルース・ウエストハイマー（英語えいご版ばん）は、顔かお射しゃは女性じょせいにとって屈辱くつじょく的てきな行為こういでありそこに官能かんのう的てきなものはなく、性行為せいこういにおける義務ぎむとは考かんがえるべきでないと呼よびかけている^[6]。

日本にっぽんにおいて性せい風俗ふうぞくを利用りようする場合ばあい、顔かお射しゃにはオプション代だいとして別途べっと料金りょうきんが発生はっせいすることがある。オプションを申もうし込こんだ（あるいはオプションではないが相手あいてから同意どういを得えた）場合ばあいでも、目元めもとを避さけて鼻はなから下したに射精しゃせいするのがマナーとなっている。事前じぜんに申告しんこくせず突然とつぜん顔かおに射精しゃせいすると女性じょせいは避さけきれず、目めに入はいって結膜炎けつまくえんなど目めの炎症えんしょう、最悪さいあくの場合ばあいは失明しつめいを招まねく危険きけん性せいがある。そのため性せい風俗ふうぞくにおいてサービス中ちゅうに無断むだんで顔かお射しゃをした客きゃくは出で禁きんになる可能かのう性せいがある^[2]^[4]^[5]。

まれに、精液せいえきという体液たいえきに対たいするアレルギー反応はんのうがでることもある^[7]。症状しょうじょうとしては、早はやければ精液せいえきが皮膚ひふにふれてから30分ふん程度ていどで、かゆみ、発赤はっせき、腫はれ、水みずぶくれなどが起おこり、まれにじんましんが出でたり呼吸こきゅう困難こんなんに陥おちいる場合ばあいもある。精液せいえきに対たいするアレルギー対策たいさくとして、コンドームまたは脱だっ感かん作さくによる体液たいえき暴露ばくろの回避かいひが考かんがえられる^[8]。他人たにんからの体液たいえきを浴あびることは性せい感染かんせん症しょうの伝播でんぱのリスクもある^[9]。一方いっぽうで精液せいえきそれ自体じたいは、皮膚ひふから吸収きゅうしゅうされても無害むがいである^[10]。

フィクションにおける顔かお射しゃ

顔かお射しゃは、成人せいじん向むけの雑誌ざっしやアダルトビデオ、ポルノ映画えいがなどに登場とうじょうする行為こういで、支配しはい欲求よっきゅうを満足まんぞくさせる行為こういの一ひとつとして認識にんしきされている。アダルトゲームや成人せいじん向むけ漫画まんがなどにも採用さいようされているが、女性じょせいからは嫌悪けんおされている行為こういであり、事前じぜんの同意どういを得えずに顔かお射しゃをすると関係かんけいの悪化あっかを招まねくことがある^[3]^[11]^[4]^[12]。

顔かお射しゃは文学ぶんがく作品さくひんにも登場とうじょうする。マルキ・ド・サドによるエロティックな対話たいわ篇へん『閨ねや房ぼう哲学てつがく』（おそらく1782年ねんから1789年ねんの間あいだ^[13]）がその例れいである。この作品さくひんでは、15歳さいの少女しょうじょウージェニーと、姉あね弟おとうとで交合こうごうするサン・タンジュ夫人ふじん、放蕩ほうとう生活せいかつ者しゃのドルマンセとの情欲じょうよくを賛美さんびする対話たいわを軸じくに展開てんかいされ、無む神かみ論ろん、不倫ふりん、近親きんしん相姦そうかんの肯定こうていなどが書かかれている。

欧米おうべいのポルノ・ビデオ業界ぎょうかいでは1980年代ねんだいから"Cumshot"として作品さくひんの中なかに顔面がんめん射精しゃせいを取とり入いれていた。日本にっぽんの映像えいぞう作品さくひんで始はじめて顔かお射しゃを扱あつかったのは裏うらビデオの『洗濯せんたく屋やケンちゃん』であるとされる^[14]。

ぶっかけ

詳細しょうさいは「ぶっかけ (性行為せいこうい)」を参照さんしょう

ぶっかけもアダルトビデオ用語ようごの一ひとつで、特とくに複数ふくすうの男性だんせいが、顔面がんめんだけでなく身体しんたいの一部いちぶや衣類いるい、その他たの性的せいてき対象たいしょう物ぶつに射精しゃせいして精液せいえきをかけることである。アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくのアダルトビデオ業界ぎょうかいで起おこったジャポルノブームにより、日本にっぽんが生うみ出だしたジャンル、「Bukkake」（英語えいご発音はつおん: [ˌbuːˈkækɪ] ブーキャキ）として世界せかいに知しられることになったが、ヨーロッパ各国かっこくでは顔かお射しゃを取とり入いれた、またそれを主体しゅたいとしたハード・ポルノメーカーがそれ以前いぜんにも多おおく存在そんざいしている。

1980年代ねんだいまでは、いわゆる顔面がんめんに射精しゃせいする行為こういを「ぶっかける」ということはあったが、当時とうじ「ぶっかける」はまだ一般いっぱん的てきな用法ようほうであった。1990年代ねんだい中盤ちゅうばんに、シャトルワン（のちのシャトルジャパン）より、「スペルマぶっかけ○シャワーズ」が発売はつばいされ、シリーズものとして内容ないようがエスカレートするなかで、多人数たにんずうの射精しゃせい専せん門もんのAV男優だんゆう（汁しる男優だんゆう）が1人ひとりのAV女優じょゆうの顔かおに立たて続つづけに射精しゃせいするスタイル、それを称しょうして「ぶっかけ」物ものがジャンルとして確立かくりつした。

1985年ねんに出版しゅっぱんされた森山もりやま塔とう著ちょ『よいこの性教育せいきょういく』では、すでに多人数たにんずうによる射精しゃせい行為こういが描えがかれている。1990年代ねんだい初頭しょとうには、成人せいじん向むけの漫画まんが作品さくひんや同人どうじん誌しにおいて、顔かお射しゃはポピュラーな表現ひょうげんとなっていた。

ゲイビデオの中なかにも、一人ひとりの男性だんせいに対たいして立たて続つづけに射精しゃせいする作品さくひんがあり、男女だんじょ物ぶつのアダルトビデオと同様どうように「ぶっかけ」という表現ひょうげんを用もちいている。

ぶっかけの起源きげんとしては外国がいこくのポルノビデオでのプレイであるギャングバング（輪姦りんかん、多数たすうの男性だんせいが一人ひとりの女性じょせいに対たいして性行為せいこういする事こと）があげられることもあるが、1980年代ねんだい末まつの日本にっぽんではこれに類るいする行為こういがすでにみられた。

欧米おうべいのポルノ雑誌ざっしでは、"Private"や"Colorclimax"などのポルノマガジンですでに1970年代ねんだいから、それに類るいする内容ないようの写真しゃしんが掲載けいさいされている。

ビニ本ほんや裏うら本ほんなどを除のぞく書店しょてん売うりの出版しゅっぱん物ぶつでは、大洋図書たいようとしょの『マスカットノート』（絶版ぜっぱん）1986年ねん12月号ごうにおいて、ヌードモデルの松岡まつおか愛子あいこが顔面がんめんに射精しゃせいされ口くちから精液せいえきを流ながしているカットが登場とうじょうしたのが最初さいしょの顔かお射しゃと見みられる。その後ごも引ひき続つづき『ミルキー通信つうしん』（絶版ぜっぱん）、『GAL'Sシャワー』（絶版ぜっぱん）等とうで高たかい人気にんきとなっていった。当時とうじのカメラマンは、単たんに女性じょせいの顔かおに付着ふちゃくした精液せいえきを撮影さつえいするだけでなく、ハイスピード連れん写うつし機能きのうを使つかった高度こうどな撮影さつえい技術ぎじゅつを駆使くしし、亀かめ頭あたまから糸いとを引ひくように射出しゃしゅつされた精液せいえきを描写びょうしゃしたり、精液せいえきが女性じょせいモデルの顔かおに当あたり跳はね返かえる様子ようすを捉とらえるなど、躍動やくどう的てきな射精しゃせいを写真しゃしんに収おさめるための工夫くふうをいろいろと凝こらしていた。

ぶっかけ関連かんれんの女優じょゆうとしては倉沢くらさわ七海ななみ、霧島きりしまアキが、関連かんれんする集団しゅうだんにはSPCが、監督かんとくにはラッシャーみよしがいる。ぶっかけ専せん門もんの風俗ふうぞく店てんも2007年ねん頃ごろから現あらわれている。

丸亀まるがめ製せい麺めんは、ぶっかけうどんのことを「BK」と表記ひょうきしている。これは、「Bukkake」が顔かお射しゃに通つうじることから使用しようできないことによるものである。