股間こかん性交せいこう

ギリシャの『エロティカ』の著者ちょしゃマーティン・F・キルマーによれば、「最もっとも一般いっぱん的てきに採用さいようされた体位たいい」を描えがいたもので、美術びじゅつ品ひんの中なかで最もっとも古ふるい性せい交渉こうしょうを表あらわした例れい。現代げんだい風ふうに言いえば、「淫乱いんらん」である。

股間こかん性交せいこう（こかんせいこう、太ふともも・セックス〈thigh sex (もしくはthighing) 〉、大腿だいたい間あいだセックス〈interfemoral sex〉、インタークラル・セックス〈Intercrural_sex〉とも呼よばれる）は、相手あいての太ふとももの間あいだにペニスを挟はさみ、突つき刺さすことで摩擦まさつを発生はっせいさせる非ひ貫通かんつう性せいセックスの一種いっしゅ。

紀元前きげんぜんの古代こだいギリシャ社会しゃかいでは一般いっぱん的てきな慣行かんこうであり、作家さっかによって頻繁ひんぱんに議論ぎろんされ、花瓶かびんなどの芸術げいじゅつ作品さくひんに描えがかれていた。 後のちにソドミー法ほうの対象たいしょうに該当がいとうし、軽蔑けいべつ的てきに見みられるようになった。17世紀せいきには、インタークラルセックスはいくつかの文学ぶんがく作品さくひんで取とり上あげられ、1631 年ねんに第だい2代だいキャッスルヘブン伯爵はくしゃくマーヴィン・トゥチェットが裁判さいばんにかけられ処刑しょけいされた後のち、男性だんせい対たい男性だんせいの性的せいてき習慣しゅうかんの一部いちぶとして文化ぶんか的てきに注目ちゅうもくを集あつめた。

素股すまたの最初さいしょの例れいとされる。現代げんだいでは、素股すまたは一般いっぱん的てきにさまざまな方向ほうこうの関係かんけいで実践じっせんされている。

成人せいじん女性じょせいはオーガズムを刺激しげきするために使用しようすると言いわれ、パリでは売春ばいしゅんの一環いっかんとして一般いっぱん的てきに行おこなわれていた。アフリカとアジアの一部いちぶでは標準ひょうじゅん化かされており、異性愛者いせいあいしゃと同性愛どうせいあい者しゃの男性だんせい間あいだで行おこなわれている。南みなみアフリカでは、後天こうてん性せい免疫めんえき不全ふぜん症候群しょうこうぐん(AIDS) と闘たたかうために活用かつようされたが、この慣習かんしゅうは最終さいしゅう的てきに廃止はいしされた。

研究けんきゅうから抽出ちゅうしゅつされた股間こかん性交せいこうとエイズおよび妊娠にんしんとの関係かんけいについての知識ちしきは低ひくい。これは、ヒト免疫めんえき不全ふぜんウイルス（HIV）陽性ようせい患者かんじゃの安全あんぜんなセックスの手段しゅだんとして報告ほうこくされており、陰茎いんけい膣ちつセックスよりも感染かんせんのリスクが低ひくいからである。研究けんきゅうによると、性的せいてき暴行ぼうこう事件じけんの変動へんどうする割合わりあいが部内ぶない強姦ごうかんに関与かんよしており、物的ぶってき証拠しょうこはほとんどまたはまったくないことがわかっている。

歴史れきしと現代げんだいの実践じっせん

古代こだい史しと中世ちゅうせい

参照さんしょう:古代こだいギリシャの同性愛どうせいあい（Homosexuality_in_ancient_Greece）

股間こかん性交せいこうは、古代こだいギリシャでは小児しょうに性愛せいあいの一般いっぱん的てきな兆候ちょうこうであった。若わかい男性だんせいは、年上としうえの男性だんせいと性行為せいこういを超こえた方法ほうほうでセックスすることを禁きんじられていた。エロメノスと関連付かんれんづけられているが、そのような関係かんけいにおけるその卓越たくえつ性せいは決定けっていされておらず、アナルセックスがより一般いっぱん的てきだった可能かのう性せいがある。 股間こかん性交せいこうは同性愛どうせいあい者しゃだけが行おこなうものではなかった。西暦せいれき初期しょきまでに、ギリシャ社会しゃかいで女性じょせいとのセックスがより奨励しょうれいされるようになったため、それは実践じっせんされなくなった。

股間こかん性交せいこうは、「求愛きゅうあいシーン」と呼よばれる花瓶かびんなどのアートワークに描えがかれており、作家さっかによってよく議論ぎろんされた。 紀元前きげんぜん 5 世紀せいき以降いこう、その視覚しかく的てき描写びょうしゃはまばらで、黒くろ像ぞう式しきの陶器とうきにほぼ独占どくせん的てきに見みられた。 キティウムのゼノンとアリストファネスはこの行為こういに言及げんきゅうしていると言いわれている。後者こうしゃは、異性愛者いせいあいしゃの立場たちばで行おこなわれている異い人種じんしゅ間あいだセックスを最初さいしょに記録きろくしたものである。 アイスキュロスの戯曲ぎきょくミュルミドンは、成人せいじん男性だんせいがこの行為こういに従事じゅうじしているという意味合いみあいを特徴とくちょうとしている。 ジョーン・ラフガーデン古代こだいギリシャの「同性愛どうせいあい者しゃの男性だんせいの宣教師せんきょうしの地位ちい」としての性交せいこうを指さす。

歴史れきし的てきなソドミー法ほうには、その範囲はんい内ないに男女だんじょ間あいだの性交せいこうが含ふくまれていた。 15 世紀せいきのイタリアでは、ソドミーの悪名あくめい高たかい評判ひょうばんの一部いちぶであった。ルネッサンスのヴェネツィアでは、股間こかん性交せいこうを開始かいししたパートナーに対たいして極刑きょっけいが考慮こうりょされた。中世ちゅうせいの悔くい改あらためは、しばしば異い人種じんしゅ間あいだセックスを罪深つみぶかいものとして強調きょうちょうし、悔くい改あらためる方法ほうほうについての指示しじを与あたえた。初期しょきのキリスト教きりすときょうは、肛門こうもん性交せいこうよりも股間こかん性交せいこう性交せいこうを「より立派りっぱな」ものと見みなしていた。

中世ちゅうせいにおいて、アラブの見解けんかいでは、異い人種じんしゅ間あいだセックスは「非難ひなんすべきもの」と見みなされていた為ため、実践じっせん者しゃは厳きびしい罰ばちを避さけるようになった。

近代きんだい史し

初期しょきの現代げんだい英語えいごでは、作家さっかは股間こかん性交せいこうを「こする」または「フリギング」と呼よんでいた。 文学ぶんがく作品さくひんと風刺ふうしは、人々ひとびとが行為こういを実行じっこうすることを奨励しょうれいする可能かのう性せいがある、股間こかん性交せいこうを描写びょうしゃした。1631 年ねんのマーヴィン・トゥチェットの処刑しょけいの裁判さいばんのようなソドミーの事例じれいでは、時折ときおり、股間こかん性交せいこうについて言及げんきゅうされた。トゥチェットの事件じけんは文化ぶんか的てきに重要じゅうような役割やくわりを果はたし、多おおくの人々ひとびとに同性愛どうせいあい者しゃの性的せいてき習慣しゅうかんを知しらしめ、男性だんせい同士どうしの主おもなセックス方法ほうほうとしての股間こかん性交せいこうに対たいする文化ぶんか的てき認識にんしきを喚起かんきした。

1660 年ねん以降いこう、文献ぶんけんで内輪うちわ性交せいこうがますます言及げんきゅうされるようになった。 リチャード・エルマンは、オスカー・ワイルドが「ソドマイトのふりをしている」という主張しゅちょうに対たいして無実むじつを宣言せんげんできることを期待きたいして、単たんに股間こかん性交せいこうを行おこなったと信しんじていた [25] 。 1885 年ねん、英国えいこく議会ぎかいは、ラブシェール修正しゅうせい条項じょうこうの下もとで、男性だんせい間あいだの「甚はなはだしい猥褻わいせつ行為こうい」を罰ばっする法律ほうりつを可決かけつした。股間こかん性交せいこうは、ソドミーに達たっしていないため、法ほうの権限けんげんの範囲はんい内ないであった。

ワイマール共和きょうわ国こくとナチスドイツの両方りょうほうで、男性だんせい間あいだの性行為せいこういは起訴きそ可能かのうな犯罪はんざいであったが、ドイツの南西なんせいアフリカ法ほうではソドミーの下したで処罰しょばつされるとは見みなされていなかった。  18 世紀せいきのパリの女性じょせい売春ばいしゅん婦ふは、膣ちつ性交せいこうに次ついで 2 番目ばんめに多おおい股間こかん性交せいこうを一般いっぱん的てきに行いっていた。 マラウィ人じんとモザンビークの男性だんせいは鉱山こうざんでそれを実践じっせんし、南みなみアフリカの男性だんせいも「鉱山こうざん結婚けっこん」で実践じっせんした。 ヨーロッパの植民しょくみん地ち化か前まえ、アザンデの戦士せんし若わかいパートナーとのみ股間こかん性交せいこうをする。それは植民しょくみん地ち時代じだい以前いぜんのアジアで人気にんきのあるエロティシズムであった。

ズールー語ごでは、股間こかん性交せいこうはオクソーマと呼よばれる。アフリカ南部なんぶの若者わかものに受うけ入いれられた習慣しゅうかんとして長ながい歴史れきしがあり、人口じんこう増加ぞうかを防ふせぐためにしばしば実践じっせんされてきた。 伝統でんとう的てきなズールー族ぞくの文化ぶんかは、性的せいてき社会しゃかい化かの一環いっかんとして若者わかものが男女だんじょ間あいだセックスを行おこなうことを奨励しょうれいしており、若わかい未婚みこんカップルによる男女だんじょ間あいだセックスも支持しじされていた。 ダーバン市しに関かんする 1989 年ねんの報告ほうこく書しょは、南みなみアフリカでは次つぎのように述のべている。

いくつかの証拠しょうこがある... 保守ほしゅ的てきな家庭かていの子供こどもたちが今いまでも性交せいこうであるウクソーマの訓練くんれんを受うけていることを示唆しさしているが、キリスト教きょうの家庭かていでは純潔じゅんけつを支持しじしてずっと前まえにやめた。

統計とうけい

性的せいてき暴行ぼうこう

ヒクソン(1994)が イングランドとウェールズで調査ちょうさされた男性だんせいの性的せいてき暴行ぼうこうの 219 件けんのうち 5 件けんで股間こかん性交せいこうが行おこなわれたことを発見はっけんした。  2014 年ねん、スリランカでは 270 件けんの性的せいてき暴行ぼうこうが医学いがく的てきに検査けんさされた。18回かいの性交せいこうの発生はっせいが報告ほうこくされた。被害ひがい者しゃに身体しんたい的てき損傷そんしょうはなかった。これらの暴行ぼうこうは、被害ひがい者しゃが 4 歳さいから 19 歳さいのときに発生はっせいしたと伝つたえられている。コロンボ地区ちくに住すむ 14 歳さいから 19 歳さいまでの少年しょうねんを対象たいしょうとしたより具体ぐたい的てきな以前いぜんの研究けんきゅうでは、被害ひがい者しゃの報告ほうこくによると、オーラル セックスに次ついで 2 番目ばんめに多おおい虐待ぎゃくたいの形態けいたいは、インタークルーラル セックスであること判明はんめいした。報告ほうこくされた 52 例れいのうち 20 例れいが股間こかん性交せいこうであった。

14 歳さい未満みまんの子供こどもに暴行ぼうこうを加くわえた米国べいこくの 148 人にんの性せい犯罪はんざい者しゃを 1957 年ねんに分析ぶんせきしたところ、6 ％が性交せいこうによって犯罪はんざいを犯おかしたことがわかりた。 20年ねん後ごの別べつの研究けんきゅうでは、「小児しょうに性愛せいあい者しゃの性的せいてき表現ひょうげんの一般いっぱん的てきな方法ほうほう」として「中間なかま射精しゃせい」が観察かんさつされた。 児童じどうの性的せいてき虐待ぎゃくたいの場合ばあい、通常つうじょう、性交せいこうの身体しんたい的てき兆候ちょうこうはない。

教育きょういく

リプリー(1973) は、 調査ちょうさ対象たいしょうの 14 歳さいの年齢ねんれいグループの男子だんし 10 人にん中ちゅう 3 人にん、女子じょし 10 人にん中ちゅう 4 人にんのみが、性交せいこうが妊娠にんしんにつながる可能かのう性せいはないと考かんがえていたことを示しめした。(1973)、股間こかん性交せいこうは推奨すいしょうされる避妊ひにん方法ほうほうではない。ナイジェリアでは、ヒト免疫めんえき不全ふぜんウイルス(HIV) 陽性ようせいの回答かいとう者しゃ 298 人にん中ちゅう 13 人にんが、この病気びょうきは性行為せいこういによって感染かんせんする可能かのう性せいがあると答こたえ、さらに 30 人にんが「いいえ」と答こたえ、残のこりの 255 人にんは不明ふめいと答こたえた。股間こかんセックスは、HIV の感染かんせんを防ふせぐ安全あんぜんなセックス手段しゅだんとして報告ほうこくされており、陰茎いんけい膣ちつセックスよりも「リスクが低ひくい」。 Epprecht (2019) は、私わたしの結婚けっこんには股間こかん性交せいこうが含ふくまれていたため、「性せい感染かんせん症しょうの危険きけんはなかった」と述のべている。 Mistry & Jha (2015) は妊娠にんしんに関かんして「アナルや膣ちつへの挿入そうにゅうがないため、【股間こかん性交せいこう】は安全あんぜんな性行為せいこういとみなされる」と記述きじゅつした。

南みなみアフリカでは、後天こうてん性せい免疫めんえき不全ふぜん症候群しょうこうぐん(AIDS) の伝染でんせんを防ふせぐ方法ほうほうとして、股間こかん性交せいこうが見みられている。1997 年ねんの調査ちょうさによると、エイズに感染かんせんしないようにする方法ほうほうを尋たずねられた少女しょうじょの 12.5% が、股間こかん性交せいこうを勧すすめると回答かいとうした。かつては、南みなみアフリカの田舎いなかの成人せいじんにとって最もっとも一般いっぱん的てきな避妊ひにん法ほうであった。 2012 年ねんまでに、クワズール ナタール大学だいがくの Mary van der Riet は「股間こかん性交せいこうから注射ちゅうしゃ可能かのうな避妊ひにん薬やくの使用しようへの移行いこうは、HIV および AIDS に対応たいおうするコンドーム使用しようの特定とくていの条件じょうけんを設定せっていした」と述のべている。

人口じんこう統計とうけい

Shere Hiteの 1976 年ねんと 1981 年ねんの女性じょせいのセクシュアリティに関かんする調査ちょうさでは、クリトリスを刺激しげきするための股間こかん接触せっしょくによってオーガズムを達成たっせいできると報告ほうこくしている成人せいじん女性じょせいがいることが判明はんめいした。スリランカでは股間こかん性交せいこうが人気にんきがある。2006 年ねんの調査ちょうさでは、女性じょせいの 4.2% がそれに従事じゅうじしたことがあると報告ほうこくし、男性だんせいの 20.7% が同性愛どうせいあい者しゃの間あいだでセックスをしたことがあると報告ほうこくした。カルカッタで男性だんせいとセックスをする男性だんせいの性的せいてき健康けんこうニーズに関かんする1997年ねんの報告ほうこく郊外こうがいでは、調査ちょうさした男性だんせいの 73% が股間こかん性交せいこうに従事じゅうじしていることが判明はんめいしたが、その頻度ひんどは人口じんこう統計とうけい学がく的てき要因よういんによって異ことなりる。売春ばいしゅん婦ふの 54%、低てい所得しょとく者しゃの男性だんせいの 50%、イスラム教徒きょうとの 40% だけが性交せいこうをしたと報告ほうこくしているのに対たいし、ヒンズー教徒きょうとの 82% と中ちゅう所得しょとく者しゃの男性だんせいの 88% が行おこなっていると報告ほうこくしている。

参考さんこう文献ぶんけん

• Andrew Calimach, Lovers' Legends: The Gay Greek Myths, New Rochelle, Haiduk Press, 2002, ISBN 978-0-9714686-0-3
• Cohen, David, "Law, Sexuality, and Society: The Enforcement of Morals in Classical Athens". Cambridge University Press, 2004. ISBN 0-521-46642-3.
• Lilar, Suzanne, Le couple (1963), Paris, Grasset; Translated as Aspects of Love in Western Society in 1965, with a foreword by Jonathan Griffin, New York, McGraw-Hill, LC 65–19851.
• Dover, Kenneth J. Greek Homosexuality. Vintage Books, 1978. ISBN 0-394-74224-9
• Halperin, David. One Hundred Years of Homosexuality: And Other Essays on Greek Love. Routledge, 1989. ISBN 0-415-90097-2
• Hornblower, Simon and Spawforth, Antony, eds. The Oxford Classical Dictionary, third edition. Oxford University Press, 1996. ISBN 0-19-866172-X
• Hubbard, Thomas K. Homosexuality in Greece and Rome.; University of California Press, 2003. [1] ISBN 0-520-23430-8
• Percy, III, William A. Pederasty and Pedagogy in Archaic Greece. University of Illinois Press, 1996. ISBN 0-252-02209-2
• Thornton, Bruce S. Eros: the Myth of Ancient Greek Sexuality. Westview Press, 1997. ISBN 0-8133-3226-5
• Wohl, Victoria. Love Among the Ruins: the Erotics of Democracy in Classical Athens. Princeton University Press, 2002. ISBN 0-691-09522-1

関連かんれん項目こうもく

• 素股すまた
• 兜かぶと合あわせ
• 貝合かいあわせ

外部がいぶリンク

• ウィキメディア・コモンズには、股間こかん性交せいこうに関かんするカテゴリがあります。
• Pederasty and Pedagogy In Archaic Greece
• Homosexuality in History: A Partially Annotated Bibliography.
• Ancient Greek Homosexuality
• Generally speaking, sexuality in Ancient Athens was well recorded. These ancient artifacts tell the entire story in pictures.