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オーム

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オーム
えい Ohm

抵抗ていこう
記号きごう Ωおめが
度量衡どりょうこう トル法とるほう
けい 国際こくさい単位たんいけい (SI)
種類しゅるい 組立くみたて単位たんい
りょう 電気でんき抵抗ていこう
組立くみたて V/A
定義ていぎ (h/e2)/25812.80745...
由来ゆらい 絶対ぜったい単位たんいで 107 m/s の電気でんき抵抗ていこう[1]
語源ごげん ゲオルク・オーム
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オームえい: ohm記号きごう: Ωおめが)は、国際こくさい単位たんいけいSI)において一貫いっかんせいのある電気でんき抵抗ていこう(レジスタンス)、およびインピーダンスリアクタンス単位たんいである。固有こゆう名称めいしょうをもつSI組立くみたて単位たんいのひとつであり、この名称めいしょう電気でんき抵抗ていこうかんするオームの法則ほうそく発見はっけんしたドイツ物理ぶつり学者がくしゃゲオルク・ジーモン・オーム由来ゆらいする。

単位たんい記号きごうにはギリシャ文字もじ大文字おおもじΩおめが(オメガ)がもちいられる。これはオームの頭文字かしらもじであるラテン文字もじO(オー)では、数字すうじ0(ゼロ)と混同こんどうされやすいからである。なお、ゲオルグ・オームの名前なまえギリシャ文字もじ表記ひょうきすると Γκέοργκ Ωおめがμみゅー である。

電気でんき抵抗ていこうあらわすための単位たんいは、初期しょき電信でんしん業務ぎょうむ関連かんれんして経験けいけんてきにいくつかつくられてきた。1861ねん英国えいこく科学かがく振興しんこう協会きょうかい英語えいごばんが、トル法とるほう力学りきがく単位たんいからてられる絶対ぜったい単位たんいを、実用じつようじょう便利べんりおおきさとなるように10のべきじょう倍量ばいりょう単位たんいとしてオームを提唱ていしょうした。オームの定義ていぎはそのなん修正しゅうせいされた。

定義ていぎ[編集へんしゅう]

現行げんこう国際こくさい単位たんいけい(SI)では、7つの物理ぶつり定数ていすう数値すうち固定こていすることでSIを定義ていぎし、すべてのSI単位たんい定義ていぎ定数ていすうから直接ちょくせつ構成こうせいされる。一貫いっかんせいのある電気でんき抵抗ていこうのSI単位たんいであるオーム(記号きごう: Ωおめが)は、電気でんきもとりょう eプランク定数ていすう h により

として構成こうせいされる。

単位たんいとの関係かんけい[編集へんしゅう]

すべてのSI単位たんいが7つの定義ていぎ定数ていすうから直接ちょくせつ構成こうせいされるが、現行げんこうのSIでも基本きほん単位たんい組立くみたて単位たんい分類ぶんるい維持いじされており、組立くみたて単位たんいであるオームは、基本きほん単位たんいびょう記号きごう: s)、メートル記号きごう: m)、キログラム記号きごう: kg)、およびアンペア記号きごう: A)に

関係付かんけいづけられる。

オームにかんする主要しゅよう単位たんい方程式ほうていしきとしては、オームの法則ほうそくもとづいて電圧でんあつ電流でんりゅうのSI単位たんいボルト記号きごう: V)とアンペアに関係付かんけいづける

げられる。 電気でんき工学こうがくにおいて基本きほんてきな3つの物理ぶつりりょう単位たんいオーム、ボルト、アンペアをむすびつけるこの関係かんけいしきは、電気でんき計測けいそく電気でんき単位たんい発展はってんにおいて重要じゅうよう役割やくわりたした。 すなわち、電気でんき計測けいそくにおける測定そくてい標準ひょうじゅん英語えいごばんは、単位たんい一貫いっかんせいたもつためには抵抗ていこう標準ひょうじゅん電圧でんあつ標準ひょうじゅん電流でんりゅう標準ひょうじゅんのすべてを独立どくりつることはできない。

電気でんき抵抗ていこうにおける発熱はつねつジュールねつ)にかんするジュールの法則ほうそくもとづいて仕事率しごとりつのSI単位たんいであるワット記号きごう: W)と関係付かんけいづける

電気でんき単位たんい発展はってん重要じゅうよう役割やくわりたした関係かんけいしきである。 ワットは力学りきがく単位たんいであり、この関係かんけいしき力学りきがく関係付かんけいづけられた絶対ぜったい単位たんいによる絶対ぜったい測定そくていと、電気でんき標準ひょうじゅんによりげんしめせされた単位たんいによる直接ちょくせつ測定そくていとをむすびつける関係かんけいしきひとつである。さらには精密せいみつ電気でんき計測けいそく力学りきがく計測けいそくむすびつきはワット天秤てんびんほうによるプランク定数ていすう測定そくてい可能かのうとして、現行げんこうのSIへのさい定義ていぎさいして重要じゅうよう役割やくわりたした。

容量ようりょうせい誘導ゆうどうせいリアクタンス関係かんけいから、しずかでん容量ようりょうインダクタンス単位たんいファラド記号きごう: F)とヘンリー記号きごう: H)とは

関係付かんけいづけられる。また、コンダクタンス単位たんいジーメンス記号きごう: S)とは

関係付かんけいづけられる。

倍量ばいりょう分量ぶんりょう単位たんい[編集へんしゅう]

オーム (Ωおめが) の倍量ばいりょう分量ぶんりょう単位たんい
分量ぶんりょう 倍量ばいりょう
記号きごう 名称めいしょう 記号きごう 名称めいしょう
10−1 Ωおめが dΩおめが デシオーム 101 Ωおめが daΩおめが デカオーム
10−2 Ωおめが cΩおめが センチオーム 102 Ωおめが hΩおめが ヘクトオーム
10−3 Ωおめが mΩおめが ミリオーム 103 Ωおめが kΩおめが キロオーム
10−6 Ωおめが µΩおめが マイクロオーム 106 Ωおめが MΩおめが メガオーム
10−9 Ωおめが nΩおめが ナノオーム 109 Ωおめが GΩおめが ギガオーム
10−12 Ωおめが pΩおめが ピコオーム 1012 Ωおめが TΩおめが テラオーム
10−15 Ωおめが fΩおめが フェムトオーム 1015 Ωおめが PΩおめが ペタオーム
10−18 Ωおめが aΩおめが アトオーム 1018 Ωおめが EΩおめが エクサオーム
10−21 Ωおめが zΩおめが ゼプトオーム 1021 Ωおめが ZΩおめが ゼタオーム
10−24 Ωおめが yΩおめが ヨクトオーム 1024 Ωおめが YΩおめが ヨタオーム
10−27 Ωおめが rΩおめが ロントオーム 1027 Ωおめが RΩおめが ロナオーム
10−30 Ωおめが qΩおめが クエクトオーム 1030 Ωおめが QΩおめが クエタオーム
よく使つかわれる単位たんい太字ふとじしめ

電気でんき電子でんし分野ぶんや一般いっぱんてきもちいられる倍量ばいりょう分量ぶんりょう単位たんいは、マイクロオーム、ミリオーム、キロオーム、メガオーム、ギガオームである。英語えいごけんにおいて、キロオーム (kiloohm)、メガオーム (megaohm) について接頭せっとう最後さいご母音ぼいん欠落けつらくした「キルオーム」(kilohm)、「メグオーム」(megohm) のかたち表記ひょうき発音はつおんされることがあり、NIST慣習かんしゅうとしてこれらを容認ようにんしている[注釈ちゅうしゃく 1]同様どうように、ギガオーム (gigaohm) についても非公式ひこうしきに「ギグオーム」(gigohm)と表記ひょうき発音はつおんされることがある[2]

日本にっぽんにおいては、かつてはメグオームのみが使つかわれていたが、若年じゃくねん技術ぎじゅつしゃ中心ちゅうしんにメガオームというみがひろまっており、年配ねんぱい技術ぎじゅつしゃがこれをあやまりと指摘してきする場面ばめんがしばしばられる。法令ほうれいでは、「メガオーム」という正式せいしき表記ひょうきが、電気でんき通信つうしん事業じぎょうほうなどにある[注釈ちゅうしゃく 2][注釈ちゅうしゃく 3]

組立くみたて単位たんい[編集へんしゅう]

ジーメンス、モー[編集へんしゅう]

オームの測定そくてい逆数ぎゃくすうは、コンダクタンス単位たんいであるジーメンス測定そくていとなる。コンダクタンスの単位たんいは、かつては ohm をぎゃくにつづった mho(モー)がもちいられていた。

オーム・メートル[編集へんしゅう]

電気でんき抵抗ていこう R(Ωおめが) は R = ρろーL/Aあらわされる(L: 導体どうたいちょう (m)、A: 導体どうたいだん面積めんせき (m2))。比例ひれい係数けいすう ρろー電気でんき抵抗ていこうりつといい、その単位たんいΩおめが·m2/m = Ωおめが·m(オーム・メートル)となる。1オーム・メートルは、「ながさ1メートル、だん面積めんせき1平方へいほうメートルの導体どうたい電気でんき抵抗ていこうが1オームであるときの導体どうたい電気でんき抵抗ていこうりつ」と定義ていぎできる。

歴史れきし[編集へんしゅう]

19世紀せいき後半こうはん電気でんき工学こうがく急速きゅうそく発達はったつは、電気でんきかんする物理ぶつりりょうのための、合理ごうりてきで、一貫いっかんせいのある、矛盾むじゅんのない、国際こくさいてき単位たんいけい需要じゅようこした。19世紀せいき電信でんしん技手ぎしゅ初期しょき電気でんき利用りようしゃは、実際じっさいてき標準ひょうじゅんてき電気でんき抵抗ていこうのための計測けいそく単位たんい必要ひつようとした。電気でんき抵抗ていこうは、しばしば基準きじゅんとするながさの電信でんしんよう電線でんせん抵抗ていこう倍数ばいすうとしてあらわされたが、ことなる機関きかんではことなる基準きじゅん使つかわれたので、単位たんいはすぐに換算かんさんできなかった。このように定義ていぎされた電気でんき単位たんいは、エネルギーや時間じかんなどの力学りきがく単位たんい一貫いっかんせいがないため、エネルギーや仕事率しごとりつ電気でんき抵抗ていこう関連付かんれんづける計算けいさんにおいては、変換へんかん係数けいすう必要ひつようであった[3]

電気でんき単位たんいけい構成こうせいするにたって、ことなる2つの方法ほうほうえらぶことができた。1つはさだまったおおきさの電気でんき抵抗ていこう電圧でんあつなどをあたえる電気でんき標準ひょうじゅんとして、特定とくていながさの電線でんせん標準ひょうじゅん電池でんちなどの人工じんこうぶつ指定していする方法ほうほうである。もう1つは、電気でんき単位たんい力学りきがく単位たんい関連かんれんづけて定義ていぎする方法ほうほうである。たとえば、電流でんりゅう単位たんいは2ほん電線でんせん電流でんりゅうながしたとき電線でんせんはたらちからにより定義ていぎすることができるし、電荷でんか単位たんいは2つの荷電かでんした物体ぶったいはたらちからにより定義ていぎすることができる。後者こうしゃ方法ほうほうは、エネルギーの単位たんいとのあいだ一貫いっかんせい確実かくじつにする。エネルギーや時間じかん単位たんい一貫いっかんせいのある抵抗ていこう単位たんい定義ていぎするためには、実際じっさいには電圧でんあつ電流でんりゅう定義ていぎ必要ひつようとなる。「1単位たんい電圧でんあつが1単位たんい電気でんき抵抗ていこうに1単位たんい電流でんりゅうながし、このとき1単位たんい時間じかんで1単位たんい電気でんきりょうはこばれ、1単位たんい仕事しごとおこなわれる」というように定義ていぎできればのぞましい[1]。そうでなければ、あらゆる電気でんきかんする計算けいさん換算かんさん必要ひつようになる。

電気でんき抵抗ていこう測定そくてい標準ひょうじゅんとして、様々さまざま人工じんこうぶつ提案ていあんされた。1860ねんヴェルナー・フォン・ジーメンス再現さいげん可能かのう電気でんき抵抗ていこう標準ひょうじゅんについての提案ていあんおこなった[4]かれ提案ていあんだん面積めんせき 1 mm2なが1 m水銀すいぎんはしら温度おんど °C における電気でんき抵抗ていこう単位たんいとするもので、ジーメンス水銀すいぎん単位たんいばれる。水銀すいぎんもちいて定義ていぎされたのは、常温じょうおん液体えきたい金属きんぞく電気でんき導体どうたい)である水銀すいぎんだん面積めんせき調整ちょうせい容易よういなためである。ジーメンス水銀すいぎん単位たんいのち定義ていぎされたオームにほぼひとしく、およそ 0.9534 Ωおめが であり、したがって温度おんど °C における水銀すいぎん電気でんき抵抗ていこうりつはおよそ 0.9534 µΩおめが m である。このジーメンスの提案ていあんによる単位たんい単位たんいとの一貫いっかんせいがない。水銀柱すいぎんちゅうながさを調整ちょうせいして、一貫いっかんせいった単位たんいわせるという提案ていあんもあった。要求ようきゅうされる精度せいど計測けいそくがく実験じっけんおこなうためのリソースを単位たんいすべてのユーザーがっているわけではないので、物理ぶつりてき定義ていぎもとづいた標準ひょうじゅん必要ひつようとされた。

電荷でんか電流でんりゅうのいわゆる「絶対ぜったい単位たんい」 (absolute units)が質量しつりょうながさ・時間じかん単位たんい組合くみあわせとしてあらわされるので、電圧でんあつ電流でんりゅう電気でんき抵抗ていこうあいだ次元じげん解析かいせきにより、電気でんき抵抗ていこう時間じかんあたりのながさ、つまり速度そくど単位たんいあらわされることがしめされる。初期しょき電気でんき抵抗ていこう単位たんい定義ていぎは、たとえば、単位たんい抵抗ていこうを「1びょうにつき地球ちきゅう外周がいしゅう四半分しはんぶん(=109 cm/s)」のように定義ていぎした。

絶対ぜったい単位たんいけいは、磁気じきてきせいでんてきりょう質量しつりょう時間じかんながさのトル法とるほう基本きほん単位たんい関連かんれんづけた。これらの単位たんいには、電磁気でんじき問題もんだい解決かいけつ使つかわれる方程式ほうていしき単純たんじゅんするというおおきな利点りてんがあり、電気でんきかんするりょうについての計算けいさん換算かんさん不要ふようになった。しかし、CGS単位たんいでは、実際じっさいてき寸法すんぽうのために実用じつようてきだいさきをつことがわかった。

1861ねん英国えいこく科学かがく振興しんこう協会きょうかい(BAAS)のだい31かい会議かいぎにおいて、ジョサイア・ラティマー・クラークチャールズ・ティルストン・ブライト英語えいごばんらは、電気でんき計測けいそくにおける標準ひょうじゅん必要ひつようせい指摘してきし、電圧でんあつ電気でんきりょう電流でんりゅうおよび電気でんき抵抗ていこう標準ひょうじゅん提案ていあんすると同時どうじに、それらの名称めいしょうとして著名ちょめい学者がくしゃ由来ゆらいする「オーマ」(Ohma)、「ファラド」(Farad)、「ガルバ」(Galvat)および「ボルト」(Volt)を提案ていあんした[5][6]どう会議かいぎにおいて、ウィリアム・トムソンらを電気でんき抵抗ていこう標準ひょうじゅんについて報告ほうこくさせる委員いいんとして指名しめいした[7]よく1862ねんのBAASのだい32かい会議かいぎ報告ほうこくしょでは、もっと利便りべんせいたか電気でんき抵抗ていこう単位たんい決定けっていする要件ようけんとして

  1. 使つかいやすいおおきさであること
  2. 電気でんき計測けいそくのための完全かんぜんなシステムの一部いちぶであること
  3. エネルギーの単位たんい一貫いっかんせいがあること
  4. 補正ほせい置換おきかえが要求ようきゅうされず、不変ふへんであること
  5. 正確せいかく再現さいげん可能かのうであること

げられた[1][8]同時どうじにフランスの計量けいりょう体系たいけいトル法とるほう)にもとづくべきであるとの見解けんかいしめされた。

1864ねん委員いいんかいだい3報告ほうこくしょでは、抵抗ていこう単位たんいは「B.A.単位たんい (B.A. unit) 」または「オーマド (Ohmad)」とばれていた[9]。1867ねんまでに、単位たんいたんに「オーム (Ohm)」とばれるようになった[10]。1874ねん、BAASは、電圧でんあつ単位たんいボルトともに、あたらしく定義ていぎしたオーム(B.A.オーム)を採用さいようした。B.A.オームは現行げんこうのオームとほぼおなおおきさであるが、定義ていぎ仕方しかたことなる。当時とうじ単位たんいけい標準ひょうじゅんはCGS-emu単位たんいけいであり、B.A.オームはCGS-emuの電気でんき抵抗ていこう単位たんい[注釈ちゅうしゃく 4]の109ばいとすることを意図いとしていたが、計算けいさんあやまりにより1.3%ちいさく定義ていぎされた。この109という係数けいすうは、ジーメンスの水銀すいぎん単位たんいとほぼおなりょうになるようにえらばれたものである。これは、実験じっけんしつ再現さいげん可能かのうりょうSI接頭せっとうなしであらわすための、倍量ばいりょう単位たんい便利べんり別名べつめいであり、実用じつよう単位たんい (practice unit) とばれた。

1881ねん9がつ21にち国際電気こくさいでんき会議かいぎ国際電気こくさいでんき標準ひょうじゅん会議かいぎ (IEC)の前身ぜんしん)は実用じつよう単位たんいとしてのオームを承認しょうにんした。その定義ていぎは、ジーメンスの水銀すいぎん単位たんいとほぼおなじである。1884ねんにパリでひらかれた国際こくさい電気でんき会議かいぎで、再現さいげん可能かのう標準ひょうじゅんである「法的ほうてきオーム (legal ohm) 」を、指定していされたおもさでながさ106cmの水銀柱すいぎんちゅう電気でんき抵抗ていこう定義ていぎした。この106cmというは、B.A.単位たんい(104.7cmにひとしい)、シーメンス単位たんい定義ていぎじょう100cm)、CGS単位たんいあいだ妥協だきょうによるものである。「法的ほうてき」という名称めいしょうにもかかわらず、この標準ひょうじゅんはどのくに国家こっか標準ひょうじゅんとして採用さいようしなかった。「国際こくさいオーム (international ohm) 」は、1893ねんにシカゴでひらかれた国際こくさい電気でんき会議かいぎ採択さいたくされたもので、ながさ106.3cm、質量しつりょう14.4521g温度おんど0°C水銀柱すいぎんちゅう電気でんき抵抗ていこう定義ていぎされた。この定義ていぎは、いくつかのくに採用さいようされた。

1946ねん国際こくさい度量衡どりょうこう委員いいんかい (CIPM) の決議けつぎにより、人工じんこうぶつによる定義ていぎえて、ボルトとアンペアからてる現行げんこう定義ていぎになった。もと実用じつよう単位たんいであったにもかかわらず、オームが基本きほん単位たんいアンペアから導出どうしゅつできるのは、アンペアもかつては実用じつよう単位たんいで、恣意しいてきえらばれた係数けいすうふくむからである。

歴史れきしてき電気でんき抵抗ていこう単位たんい[編集へんしゅう]

単位たんい[11] 定義ていぎ B.A.オームによる 備考びこう
絶対ぜったいフィート毎秒まいびょう(absolute foot/second) × 107 FPS単位たんいけい 0.3048 1884ねん時点じてんすで時代遅じだいおくれであるとみなされていた。
トムソン単位たんい(Thomson's unit) FPS単位たんいけい 0.3202 108 フィート毎秒まいびょう。1884ねん時点じてんすで時代遅じだいおくれであるとみなされていた。
ヤコビの抵抗ていこう単位たんい(Jacobi's unit of resistance) 特定とくていどう合金ごうきんでできた、直径ちょっけい1ミリメートルの円形えんけい横断おうだんめんによる1メートルのどうせん電気でんき抵抗ていこう[12] 0.6367 1850年代ねんだい使用しようされた
ウェーバーの絶対ぜったい単位たんい(Weber's absolute unit) × 107 メートルとびょうもとづく 0.9191
ジーメンス水銀すいぎん単位たんい 1860ねん 0.9537 だん面積めんせき1 mm2ながさ100 cmの純粋じゅんすい水銀柱すいぎんちゅうの0 °Cにおける電気でんき抵抗ていこう
B.A.オーム 1863ねん 1.000 1863ねんにキュー天文台てんもんだいあづけられた標準ひょうじゅんコイルの電気でんき抵抗ていこう[13]
Digney, Breguet, Swiss 9.266–10.420 だん面積めんせき4 mm2ながさ1 kmの鉄線てっせん電気でんき抵抗ていこう
Matthiessen 13.59 直径ちょっけい1/16インチ、ながさ1マイルのなましどうせんの15.5 °Cにおける電気でんき抵抗ていこう
Varley 25.61 直径ちょっけい1/16インチ、ながさ1マイルのどうせん電気でんき抵抗ていこう
German mile 57.44 直径ちょっけい1/6インチ、ながさ1ドイツマイル(8238ヤード)の鉄線てっせん電気でんき抵抗ていこう
アブオーム (abohm) 10−9 CGS単位たんいけい電磁でんじ単位たんい
スタットオーム (statohm) 8.987551787×1011 CGS単位たんいけいせいでん単位たんい

標準ひょうじゅんげんしめせ[編集へんしゅう]

水銀柱すいぎんちゅうによるオームの標準ひょうじゅんげんしめせほう再現さいげんむずかしいことがわかった。これは、ガラスかんだん面積めんせき一定いっていでないためである。様々さまざま抵抗ていこうコイルが英国えいこく学術がくじゅつ協会きょうかいやその団体だんたいによってつくられ、抵抗ていこう単位たんい物理ぶつりてき人工じんこうぶつ基準きじゅんとして使用しようされた。温度おんど気圧きあつ湿気しっけ時間じかん標準ひょうじゅんたいする効果こうかつけられ分析ぶんせきされたため、これらの人工じんこうぶつ長期ちょうき安定あんていせい再現さいげん可能かのうせい研究けんきゅう進行しんこうちゅう分野ぶんやとなった。

人工じんこうぶつによる標準ひょうじゅんいまだに使つかわれているが、正確せいかく形成けいせいされた誘導ゆうどうとコンデンサによる計測けいそくがく実験じっけんにより、基本きほんてき基礎きそがオームの定義ていぎ提供ていきょうされた。1988ねん国際こくさい度量衡どりょうこう委員いいんかい勧告かんこくにより、1990ねんよりオームの量子りょうしホール効果こうかもとづき、フォン・クリッツィング定数ていすうRK=25812.8074593045... Ωおめが)をもちいて決定けっていされている。較正こうせいのためにあつかいやすいほか標準ひょうじゅん安定あんていせいをチェックするのに、量子りょうしホール効果こうか使つかわれる[14]

符号ふごう位置いち[編集へんしゅう]

記号きごう Unicode JIS X 0213 文字もじ参照さんしょう 名称めいしょう
U+2126 - Ω
Ω
オーム
Ωおめが U+03A9 1-6-24 Ω
Ω
Ω
オメガ

オームの単位たんい記号きごうは、コードポイントU+2126 ohm signUnicodeにコードされている。しかしこれは、既存きそん文字もじコードとの互換ごかんせいのために用意よういされている互換ごかん文字もじである。Unicode標準ひょうじゅんでは、この文字もじわりにU+03A9 Ωおめが greek capital letter omega、つまりギリシャ文字もじ大文字おおもじΩおめが(オメガ)を使つかうことを推奨すいしょうしている。「つぎの3つの文字もじさま記号きごうは、普通ふつう文字もじただしじゅん等価とうかである: U+2126 ohm signU+212A kelvin signU+212B おんぐすとろーむ angstrom sign。これら3つのすべての文字もじについては、普通ふつう文字もじ使つかわれなければならない。」[15]

記号きごう Unicode JIS X 0213 文字もじ参照さんしょう 名称めいしょう
U+330A - ㌊
㌊
全角ぜんかくオーム
U+33C0 - ㏀
㏀
キロオーム
U+33C1 - ㏁
㏁
メガオーム

また、Unicodeには、オームおよびその倍量ばいりょう単位たんいあらわ上記じょうき文字もじ収録しゅうろくされている。これらはCJK互換ごかんよう文字もじであり、既存きそん文字もじコードにたいする後方こうほう互換ごかんせいのために収録しゅうろくされているものであるので、使用しよう推奨すいしょうされない[16][17]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ The NIST Guide to the SI: 9.3 Spelling unit names with prefixes reports that IEEE/ASTM SI 10-2002 IEEE/ASTM Standard for Use of the International System of Units (SI): The Modern Metric System states that there are three cases in which the final vowel of an SI prefix is commonly omitted: megohm, kilohm, and hectare. "In all other cases in which the unit name begins with a vowel, both the final vowel of the prefix and the vowel of the unit name are retained and both are pronounced."
  2. ^ 電気でんき通信つうしん事業じぎょうほう端末たんまつ設備せつびとう規則きそくだいじゅうさんじょうこういちごう直流ちょくりゅう回路かいろ直流ちょくりゅう抵抗ていこうは、いちメガオーム以上いじょうであること。 」
  3. ^ 事業じぎょうよう電気でんき通信つうしん設備せつび規則きそくだいじゅうきゅうじょうさんよんこういちメガオーム以上いじょう直流ちょくりゅう抵抗ていこう」。
  4. ^ CGS-emuはさんげんけいなので本来ほんらい単位たんい名称めいしょう使つかわないが、便宜上べんぎじょうアブオーム (abohm) とばれる

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c Prof. A. Williamson; Prof. C. Wheatstone; Prof. W. Thomson; Prof. W.H. Miller; Dr. A. Matthiessen; Mr. F. Jenkin (1862ねん10がつ). Provisional Report of the Committee appointed by the British Association on Standards of Electrical Resistance. 32nd Meeting. London: John Murray. pp. 125–163. 2014ねん2がつ27にち閲覧えつらん
  2. ^ gigohm: Definition from”. Answers.com. 2013ねん9がつ16にち閲覧えつらん
  3. ^ Hunt, Bruce J (1994). “The Ohm Is Where the Art Is: British Telegraph Engineers and the Development of Electrical Standards”. Osiris. 2nd 9: 48–63. doi:10.1086/368729. https://webspace.utexas.edu/huntbj/1994-Ohm-Osiris.pdf 2014ねん2がつ27にち閲覧えつらん. 
  4. ^ Werner Siemens (1860). “Vorschlag eines reproducirbaren Widerstandsmaaßes” (ドイツ). Annalen der Physik und Chemie 186 (5): 1-20. doi:10.1002/andp.18601860502. 
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  6. ^ Rep.Br.Ass.Advmt Sci. 31st Meeting. 1861ねん9がつ. pp. 37–38.
  7. ^ Rep.Br.Ass.Advmt Sci. 31st Meeting. 1861ねん9がつ. pp. xxxix–xl.
  8. ^ Silsbee (1962)
  9. ^ Williamson, Professor A; Wheatstone, Professor C; Thomson, Professor W; Miller, Professor WH; Matthiessen, Dr. A; Jenkin, Mr. Fleeming; Bright, Sir Charles; Maxwell, Professor; Siemens, Mr. CW; Stewart, Mr. Balfour; Joule, Dr.; Varley, Mr. CF (September 1864). Report of the Committee on Standards of Electrical Resistance. Thirty-fourth Meeting of the British Association for the Advancement of Science. London: John Murray. p. Foldout facing page 349. 2014ねん2がつ27にち閲覧えつらん
  10. ^ Williamson, Professor A; Wheatstone, Professor C; Thomson, Professor W; Miller, Professor WH; Matthiessen, Dr. A; Jenkin, Mr. Fleeming; Bright, Sir Charles; Maxwell, Professor; Siemens, Mr. CW; Stewart, Mr. Balfour; Varley, Mr. CF; Foster, Professor GC; Clark, Mr. Latimer; Forbes, Mr. D.; Hockin, Mr. Charles; Joule, Dr. (September 1867). Report of the Committee on Standards of Electrical Resistance. Thirty-seventh Meeting of the British Association for the Advancement of Science. London: John Murray. p. 488. 2014ねん2がつ27にち閲覧えつらん
  11. ^ Gordon Wigan (trans. and ed.), Electrician's Pocket Book, Cassel and Company, London, 1884
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  13. ^ Historical Studies in International Corporate Business. Teich p34
  14. ^ R. Dzuiba and others, Stability of Double-Walled Maganin Resistors in NIST Special Publication Proceedings of SPIE--the International Society for Optical Engineering, The Institute, 1988 pages 63-64
  15. ^ “22.2”. The Unicode Standard, Version 8.0. Mountain View, CA, USA: The Unicode Consortium. (August 2015). ISBN 978-1-936213-10-8. http://www.unicode.org/versions/Unicode8.0.0/ch22.pdf 2015ねん9がつ6にち閲覧えつらん 
  16. ^ CJK Compatibility” (2015ねん). 2016ねん2がつ21にち閲覧えつらん
  17. ^ The Unicode Standard, Version 8.0.0”. Mountain View, CA: The Unicode Consortium (2015ねん). 2016ねん2がつ21にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

国際こくさい単位たんいけい(SI)の電磁気でんじき単位たんい
名称めいしょう 記号きごう 次元じげん 組立くみたて 物理ぶつりりょう
アンペアSI基本きほん単位たんい A I A 電流でんりゅう
クーロン C T I A·s 電荷でんか電気でんきりょう
ボルト V L2 T−3 M I−1 J/C = kg·m2·s−3·A−1 電圧でんあつ電位でんい
オーム Ωおめが L2 T−3 M I−2 V/A = kg·m2·s−3·A−2 電気でんき抵抗ていこうインピーダンスリアクタンス
オーム・メートル Ωおめが·m L3 T−3 M I−2 kg·m3·s−3·A−2 電気でんき抵抗ていこうりつ
ワット W L2 T−3 M V·A = kg·m2·s−3 電力でんりょく放射ほうしゃたば
ファラド F L−2 T4 M−1 I2 C/V = kg−1·m−2·A2·s4 しずかでん容量ようりょう
ファラドごとメートル F/m L−3 T4 I2 M−1 kg−1·m−3·A2·s4 誘電ゆうでんりつ
まいファラド(ダラフ) F−1 L2 T−4 M I−2 V/C = kg1·m2·A−2·s−4 エラスタンス
ボルトごとメートル V/m L T−3 M I−1 kg·m·s−3·A−1 電場でんじょう電界でんかい)のつよ
クーロンまい平方へいほうメートル C/m2 L−2 T I C/m2= m−2·A·s でんたば密度みつど
ジーメンス S L−2 T3 M−1 I2 Ωおめが−1 = kg−1·m−2·s3·A2 コンダクタンスアドミタンスサセプタンス
ジーメンスごとメートル S/m L−3 T3 M−1 I2 kg−1·m−3·s3·A2 電気でんき伝導でんどうりつ電気でんき伝導でんどうしるべでんりつ
ウェーバ Wb L2 T−2 M I−1 V·s = J/A = kg·m2·s−2·A−1 磁束じそく
テスラ T T−2 M I−1 Wb/m2 = kg·s−2·A−1 磁束じそく密度みつど
アンペア回数かいすう A I A おこり磁力じりょく
アンペアごとメートル A/m L−1 I m−1·A 磁場じば磁界じかい)のつよ
アンペアまいウェーバ A/Wb L−2 T2 M−1 I2 kg−1·m−2·s2·A2 磁気じき抵抗ていこう(リラクタンス、えい: reluctance
ヘンリー H L2 T−2 M I−2 Wb/A = V·s/A = kg·m2·s−2·A−2 インダクタンスパーミアンス
ヘンリーまいメートル H/m L T−2 M I−2 kg·m·s−2·A−2 とおる磁率