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SI基本単位の再定義 (2019年) - Wikipedia コンテンツにスキップ

SI基本きほん単位たんいさい定義ていぎ (2019ねん)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

SI基本きほん単位たんいさい定義ていぎ(SIきほんたんいのさいていぎ、えい: en:2019 redefinition of the SI base units)とは、2018ねんだい26かい国際こくさい度量衡どりょうこう総会そうかい採択さいたくされたSI基本きほん単位たんい根本こんぽんてきさい定義ていぎである。

国際こくさい度量衡どりょうこう委員いいんかい (CIPM) はSI基本きほん単位たんい定義ていぎ改訂かいていする決議けつぎあん提案ていあんしていた[1]。この提案ていあん2018ねん11月16にちだい26かい国際こくさい度量衡どりょうこう総会そうかい(CGPM)で決議けつぎ承認しょうにんされた[2][3][4]。この結果けっか、SI基本きほん単位たんいはそれまでの人工じんこうぶつによる定義ていぎから全面ぜんめんてき解放かいほうされ、より根源こんげんてき自然しぜん法則ほうそくもとづく定義ていぎ移行いこうした[5][6]。この決議けつぎもとづく国際こくさい単位たんいけい2019ねん5がつ20日はつかより施行しこうされている。この1875ねんメートル条約じょうやく締結ていけつされたであり、これにちなむ世界せかい計量けいりょう記念きねんである。

ほん記事きじ記述きじゅつは、しゅとして国際こくさい単位たんいけいだい9はん Ver.2.01[注釈ちゅうしゃく 1][7]とその日本語にほんごばん[8]もとにしている。

きゅう定義ていぎしん定義ていぎにおける7つのSI基本きほん単位たんいあいだ関係かんけいと、基本きほん単位たんい物理ぶつり定数ていすう関係かんけい

改定かいてい意義いぎ[編集へんしゅう]

かつて、度量衡どりょうこうとしてのトル法とるほうは、一貫いっかんせいのある単位たんいけいである国際こくさい単位たんいけい(SI)の1960ねん採択さいたく発効はっこうによっておおきく変化へんかした。SIは定義ていぎされた7つのSI基本きほん単位たんいと、SI基本きほん単位たんいから組立くみたてられた20の組立くみたて単位たんいにより構成こうせいされている。これらの単位たんいけい一貫いっかんせいったシステムとして構築こうちくされている[注釈ちゅうしゃく 2]

SI基本きほん単位たんい定義ていぎは、かつてはメートル原器げんきキログラム原器げんき天体てんたい運動うんどうなどに依存いぞんしていた。原器げんきるいひとによる有形ゆうけいてき存在そんざいであり、普遍ふへんてき単位たんいさだめるため十分じゅうぶんな「不変ふへん存在そんざい」とはがたい。自転じてん周期しゅうき公転こうてん周期しゅうきといった天体てんたい運動うんどうにかかわる数値すうちも、ながときていずれは変化へんかける。そこで、これまでのSIの改訂かいていによって、たとえば、天体てんたい運動うんどうびょう時間じかん単位たんい)の定義ていぎからはいし、メートル原器げんきメートルなが単位たんい)の定義ていぎもちいないようするなど、よりSIの理念りねん沿うように単位たんい定義ていぎ改訂かいていかさねてきた。

今回こんかい国際こくさい度量衡どりょうこう総会そうかいによる採択さいたくによるあたらしい定義ていぎでは、基本きほん単位たんい導出どうしゅつおいて基本きほんてき自然しぜん法則ほうそくにあらわれる物理ぶつり定数ていすう特定とくてい物質ぶっしつ固有こゆう物性ぶっせいりょうついて、これらを定義ていぎされた固定こてい不確ふたしかさを一切いっさいふくまない)としてまず定義ていぎしている。そのうえで、これらの物理ぶつり定数ていすう物性ぶっせい整合せいごうするように、あたらしい単位たんい定義ていぎさだめらるようになった。

単位たんい きゅう定義ていぎ参照さんしょう使用しようするかず しん定義ていぎ参照さんしょう使用しようするかず
人工じんこうぶつ 物性ぶっせい 物理ぶつり定数ていすう 依存いぞんする単位たんい 人工じんこうぶつ 物性ぶっせい 物理ぶつり定数ていすう 依存いぞんする単位たんい
s 0 1 (Δでるたνにゅー133Cs) 0 0 0 1 (Δでるたνにゅー133Cs) 0 0
m 0 0 1 (c) 1 (s) 0 0 1 (c) 1 (s)
kg 1 (原器げんき) 0 0 0 0 0 1 (h) 2 (s, m)
A 0 0 1 (μみゅー0) 3 (s, m, kg) 0 0 1 (e) 1 (s)
K 0 1 (TTPW) 0 0 0 0 1 (kB) 3 (s, m, kg)
mol 0 1 (m12C) 0 1 (kg) 0 0 1 (NA) 0
cd 0 0 1 (Kcd) 3 (s, m, kg) 0 0 1 (Kcd) 3 (s, m, kg)

きゅう定義ていぎおよびしん定義ていぎにおいて、それぞれの単位たんい定義ていぎ使用しようしている人工じんこうぶつ[注釈ちゅうしゃく 3]物質ぶっしつ物性ぶっせい[注釈ちゅうしゃく 4]物理ぶつり定数ていすう[注釈ちゅうしゃく 5]かずひょうしめした。あわせて、その定義ていぎ必要ひつようほか単位たんい定義ていぎかずしめした。今回こんかい改訂かいてい定義ていぎとしてさだめられている物理ぶつり定数ていすうおよび物性ぶっせいは7つあり、これらに対応たいおうするSI基本きほん単位たんいも7つある。

このなかで、今回こんかいおおきな改訂かいていがあったもののひとつはキログラム質量しつりょう単位たんい)の定義ていぎである。改訂かいていまえ定義ていぎには、SIのなかで唯一ゆいいつ有形ゆうけいてき存在そんざいである原器げんき国際こくさいキログラム原器げんき)がいまだにもちいられていた。今回こんかいのSI基本きほん単位たんいさい定義ていぎでは、キログラムはプランク定数ていすう量子力学りょうしりきがく基本きほんてき物理ぶつり定数ていすうのひとつ)を固定こていとすることで定義ていぎされており、国際こくさいキログラム原器げんき不要ふようとなった[9]。この結果けっかきゅう定義ていぎにおいてすで自然しぜん法則ほうそく物理ぶつり定数ていすう物性ぶっせい)でより厳格げんかくされたびょうやメートルなどにつづき、キログラムもおな理念りねんのもとに普遍ふへんてき定義ていぎへと移行いこうした。さらに、ケルビンモルでは、物性ぶっせい定義ていぎ廃止はいしし、物理ぶつり定数ていすうもちいた定義ていぎへと変更へんこうされた。[注釈ちゅうしゃく 6]

かつてのトル法とるほう時代じだいでは、光速こうそく不変ふへんだとさえ認識にんしきされていなかったが、相対性理論そうたいせいりろん十分じゅうぶん普及ふきゅうした1983ねん改訂かいていによって、定数ていすうとしての光速こうそくもちいる定義ていぎへといたった。今回こんかい(2019ねん)の改訂かいていでは、量子力学りょうしりきがく統計とうけい力学りきがくでそれぞれ基本きほん定数ていすうであるプランク定数ていすうボルツマン定数ていすうひとし採用さいようされ、自然しぜん科学かがく発展はってんによる成果せいかがさらにSIにまれることとなった。この改訂かいてい結果けっかとして、SI基本きほん単位たんいのなかで特定とくてい物質ぶっしつ物性ぶっせい)に依存いぞんする単位たんいは、時間じかんあらわびょうだけとなった。一方いっぽうで、モル以外いがい[注釈ちゅうしゃく 7]すべての単位たんいは、びょうすなわちセシウム133物性ぶっせい (原子げんしスペクトルの周波数しゅうはすう)に依存いぞんすることになった。SIから「物質ぶっしつ」であるセシウム追放ついほうすることが、つぎなる改訂かいていでは重要じゅうよう議題ぎだいになるだろうとの指摘してきもある[10]。これまでのSIでは、相対性理論そうたいせいりろん量子力学りょうしりきがくといったそれまでの科学かがくおおきなパラダイム変化へんかをもたらした発見はっけんが、改訂かいてい反映はんえいされてきた。もし、いつかSIのびょう定義ていぎ特定とくてい物質ぶっしつらなくなるとしたら、それは自然しぜん科学かがくがさらなる段階だんかいいたったときではないかとも予想よそうされている[10]

背景はいけい経緯けいい[編集へんしゅう]

ながさの単位たんいのメートルの定義ていぎ1960ねん国際こくさいメートル原器げんきからひかり速度そくど光速こうそく)にるものにえられている。それ以降いこう、SI基本きほん単位たんいなか定義ていぎ人工じんこう有形ゆうけいてき存在そんざい由来ゆらいするものはキログラムのみとなった。としかさねるにつれて、キログラムの定義ていぎとなっている国際こくさいキログラム原器げんき質量しつりょうに、1ねん最大さいだい 20×10^−9 キログラムの変化へんかがあることがかってきた[注釈ちゅうしゃく 8][11]。これをけた1999ねんだい21かい 国際こくさい度量衡どりょうこう総会そうかい (CGPM)で、各国かっこく研究けんきゅう機関きかんたいし、キログラムを人工じんこうぶつによらずに定義ていぎする方法ほうほう研究けんきゅうするよう要請ようせいした。

温度おんど計測けいそくについては、2007ねんはかぬる諮問しもん委員いいんかいから国際こくさい度量衡どりょうこう委員いいんかい(CIPM)にて、「温度おんど現行げんこう定義ていぎでは20 K以下いか低温ていおんおよび 1300 K以上いじょう高温こうおんでは十分じゅうぶん計測けいそくができない」という報告ほうこくがなされた。はかぬる諮問しもん委員いいんかいでは、現行げんこうみず三重みえてんによる定義ていぎよりもボルツマン定数ていすう基準きじゅんにした定義ていぎほうが、より正確せいかく温度おんど計量けいりょうができ、低温ていおん高温こうおんでの計測けいそく困難こんなんせい克服こくふくできる、との意見いけん表明ひょうめいされた[12]

2007ねんだい23かいCGPMでは、CIPMにたいすべての単位たんいを「定義ていぎとされた物理ぶつり定数ていすう」にもとづく定義ていぎにするための調査ちょうさめいじられた。翌年よくねんに、この方針ほうしん国際こくさい純粋じゅんすい応用おうよう物理ぶつりがく連合れんごう (IUPAP)にも承認しょうにんされた[13]。やがて、2010ねん9がつひらかれた単位たんい諮問しもん委員いいんかい (CCU)において、2010ねん10がつのCIPMに提出ていしゅつされる決議けつぎ[14]およびSI文書ぶんしょ変更へんこうについて草案そうあん作成さくせいされた[15]。しかしながら、2010ねん10月、CIPMは「草案そうあんは、だい23かいCGPMが要求ようきゅうした水準すいじゅんにはまだたないため、現時点げんじてんではCIPMは草案そうあんでのSIの改訂かいてい提案ていあんしない」と決定けっていした[16]

つづだい24かいCGPMにおいて、CIPMは検討けんとう事項じこうとして決議けつぎされた内容ないようしめし、しん定義ていぎ詳細しょうさいまださだまってなかったものの、あたらしい定義ていぎへの改訂かいていについておおむね合意ごういされた[17][18][注釈ちゅうしゃく 9][19]。しかし、だい25かいCGPMでは、「提示ていじされたデータは、あたらしいSIの定義ていぎ採択さいたくするには、十分じゅうぶん頑強がんきょうではない」とされ[20]2018ねんおこなわれるつぎだい26かいCGPM以降いこう改訂かいてい延期えんきされた。このとき、次回じかいCGPMでの検討けんとうもちいるしんデータ[注釈ちゅうしゃく 10]は2017ねん7がつ1にちまでに受理じゅりされた査読さどく論文ろんぶんとすることがめられた[21]

だい26かいCGPMあたって、あらたにられたデータが研究けんきゅうしゃらにより蓄積ちくせきされ、科学かがく技術ぎじゅつデータ委員いいんかい (CODATA)がこれらを評価ひょうかしたところ、SIのさい定義ていぎ必要ひつよう精度せいどゆうしていると確認かくにんされた。これをけて2018ねん2がつに、CIPMはCGPMに提出ていしゅつする決議けつぎあん決定けっていした[1]。この決議けつぎあんだい26かいCGPM[注釈ちゅうしゃく 11]最終さいしゅうはかられ、決議けつぎ承認しょうにんされた。こうして、2018ねん11月16にち承認しょうにんされたあたらしいSIは、翌年よくねんの2019ねん5がつ20日はつか施行しこうされることがまり[22]現在げんざいいたっている。

日本にっぽん対応たいおう[編集へんしゅう]

CGPMで決議けつぎされたしんSIをうけ、日本にっぽんでは法令ほうれい対応たいおうられた。計量けいりょうほうだい3じょう規定きてい[23]もとづいた計量けいりょう単位たんいれい (平成へいせい4ねん政令せいれいだい357ごう)は、計量けいりょう単位たんいれい一部いちぶ改正かいせいする政令せいれい (れい元年がんねん5がつ17にち政令せいれいだい6ごう)により改正かいせいされた。この政令せいれい内容ないようは、SIのさい定義ていぎ発効はっこうする2019ねん5がつ20日はつかより施行しこうされた。計量けいりょう単位たんいれい改正かいせいによって、キログラムアンペアケルビン (およびセルシウス)、モル定義ていぎが、日本にっぽん法令ほうれいじょう改正かいせいされた。ただし、定義ていぎ実用じつようてき部分ぶぶん変化へんかのないびょうメートルカンデラについての変更へんこうはない[24]

決議けつぎ[編集へんしゅう]

単位たんい諮問しもん委員いいんかい(CCU)は現行げんこうひかり速度そくどのように、以下いかの4つの物理ぶつり定数ていすうあらたに定義ていぎとすることを提案ていあんし、2017ねん10がつに4つの定数ていすう発表はっぴょうした[25][26]定義ていぎであるので、これらの数値すうちにはかくかさはない。

以下いか物理ぶつり定数ていすうについては、これまでとお定義ていぎであることに変更へんこうはなく、これらにも不確ふたしかさはない。

組立くみたて単位たんい(ジュール、クーロン、ヘルツ、ルーメン、ワット)を使用しようした場合ばあい上記じょうき物理ぶつりりょう基本きほん単位たんい使用しようして以下いかのようにあらわされる。それぞれの数値すうちはもちろんわらないし、不確ふたしかさのない定義ていぎであることもおなじである。

  • Δでるたνにゅー(133Cs)hfs = 9192631770 s−1
  • c = 299792458 m⋅s−1
  • h = 6.62607015×10^−34 kg⋅m2⋅s−1
  • e = 1.602176634×10^−19 A⋅s
  • k = 1.380649×10^−23 kg⋅m2⋅K−1⋅s−2
  • NA = 6.02214076×10^23 mol−1
  • Kcd = 683 cd⋅sr⋅s3⋅kg−1⋅m−2[注釈ちゅうしゃく 12]

以上いじょう物理ぶつり定数ていすう物質ぶっしつ固有こゆう物性ぶっせいによって、これらに整合せいごうするようSI単位たんい定義ていぎされることとなった(⇒単位たんい定義ていぎ詳細しょうさい)。くわえて、国際こくさい度量衡どりょうこう総会そうかいは、きゅう定義ていぎ単位たんいあつかいについて以下いかのように決議けつぎした。

  • 国際こくさいキログラム原器げんき廃止はいしし、現行げんこうのキログラムの定義ていぎ廃止はいしされる。
  • 現行げんこうアンペア定義ていぎ廃止はいしされる。
  • 現行げんこうケルビン定義ていぎ廃止はいしされる。
  • 現行げんこうモル定義ていぎ改訂かいていされる。

基本きほん単位たんい定義ていぎ変更へんこう[編集へんしゅう]

あたらしい国際こくさい単位たんいけい(SI)文書ぶんしょでは、すべての基本きほん単位たんい定義ていぎ改訂かいていされている。それぞれのきゅう定義ていぎ[27]しん定義ていぎ[28]以下いかかくふししめした。とくことわりのないかぎり、掲載けいさいした定義ていぎぶん和訳わやく産業さんぎょう技術ぎじゅつ総合そうごう研究所けんきゅうじょ 計量けいりょう標準ひょうじゅん総合そうごうセンターによるものである[8]きゅう定義ていぎでの単位たんいおおくが「自然しぜん現象げんしょうひとし観測かんそくして結果けっか定数ていすうばい」である一方いっぽうしん定義ていぎおおくでは自然しぜん法則ほうそく現象げんしょう大前提だいぜんていとした表現ひょうげんをとっている。具体ぐたいてきには、基本きほんてき物理ぶつり定数ていすう物質ぶっしつ固有こゆう物性ぶっせい一切いっさい不確ふたしかさがない固定こていされた数値すうちとして定義ていぎし、それらとの関係かんけい自然しぜん法則ほうそく)と整合せいごうするように[注釈ちゅうしゃく 13]単位たんいさだめるといった文言もんごんとなっている。

びょう[編集へんしゅう]

時間じかん単位たんいであるびょう定義ていぎについては上述じょうじゅつ文言もんごん変化へんかがあるが、セシウム133のスペクトル観測かんそく問題もんだいにするかぎりは、実質じっしつてき変更へんこうはない。単位たんいとしてのびょう位置付いちづけを宣言せんげんしたのちに、当該とうがい原子げんしちょう微細びさい構造こうぞう計測けいそくについてよりくわしい説明せつめいくわえられている。

きゅう定義ていぎ

びょうは、セシウム133原子げんし基底きてい状態じょうたいの 2 つのちょう微細びさいじゅんあいだ遷移せんい対応たいおうする放射ほうしゃ周期しゅうき9192631770 ばい継続けいぞく時間じかんである。

しん定義ていぎ

びょう記号きごうは s)は、時間じかんのSI単位たんいであり、セシウム周波数しゅうはすう ΔでるたνにゅーCs 、すなわち、セシウム133原子げんし摂動せつどうけない基底きてい状態じょうたいちょう微細びさい構造こうぞう遷移せんい周波数しゅうはすう単位たんい Hz (s−1ひとしい) であらわしたときに、その数値すうち9192631770さだめることによって定義ていぎされる。

メートル[編集へんしゅう]

なが単位たんいであるメートル定義ていぎについては、すで今回こんかいさい定義ていぎ時点じてんメートル原器げんきによるふる定義ていぎ廃止はいしんでおり、今回こんかい変更へんこうされた定義ていぎにおいても光速こうそく変量へんりょう物理ぶつり定数ていすう)であることを前提ぜんていとした定義ていぎであることには変更へんこうはない。ただし、単位たんい規定きていする文言もんごん冒頭ぼうとうくわわり、内容ないよう自然しぜん法則ほうそくおもきをおいた表現ひょうげんとなった。なお、メートルの定義ていぎは、光速こうそくのほかにびょう定義ていぎにも依存いぞんしている。

きゅう定義ていぎ

メートルは、1 びょうの 1/299792458時間じかんひかり真空しんくうちゅうつたわる行程こうていながさである[29]

しん定義ていぎ

メートル(記号きごうは m)は、ながさのSI単位たんいであり、真空しんくうちゅうひかりはやc単位たんい m s−1あらわしたときに、その数値すうち299792458さだめることによって定義ていぎされる。ここで、びょうはセシウム周波数しゅうはすう ΔでるたνにゅーCs によって定義ていぎされる。

キログラム[編集へんしゅう]

質量しつりょう単位たんいであるキログラム定義ていぎ根本こんぽんてき変更へんこうされた。きゅう定義ていぎは「国際こくさいキログラム原器げんき質量しつりょう」によるものであるが、しん定義ていぎから当該とうがい原器げんき排除はいじょされた。これにより、ひとによる有形ゆうけいてき存在そんざいとしての原器げんきるいは、SIでは一切いっさいもちいられなくなった。あたらしい定義ていぎでは、プランク定数ていすう定義ていぎされた不確ふたしかさのないとしてさだめ、このうえで自然しぜん法則ほうそく整合せいごうする質量しつりょう単位たんい(キログラム)としてさだめられている。きゅう定義ていぎはキログラム原器げんき(ただし不確ふたしかさがある)のみが定義ていぎ要素ようそであったが、しん定義ていぎのキログラムは、プランク定数ていすうほかに、びょうとメートルのかく定義ていぎ依存いぞんするようになった。

しん定義ていぎにおいて重要じゅうようなプランク定数ていすう定義ていぎとして採用さいようするにあたっては、当時とうじにおいて観測かんそく結果けっかからていた複数ふくすうのプランク定数ていすう参照さんしょうし、信頼しんらいせいたか定義ていぎとしてめる必要ひつようがあった。この検討けんとうさいしては、2015ねんから2017ねんにかけて報告ほうこくされたプランク定数ていすうの8つの実験じっけんかんがみて決定けっていされた[30]。そのうちの4つは、ワット天秤てんびんもちいて直接ちょくせつ測定そくていされたものである。のこりの4つは、Xせん結晶けっしょう密度みつどほう測定そくていされたアボガドロ定数ていすうから、モルプランク定数ていすうかいしてられたものである。

きゅう定義ていぎ

キログラムは質量しつりょう単位たんいであり、国際こくさいキログラム原器げんき質量しつりょうひとしい。

しん定義ていぎ

キログラム(記号きごうは kg)は質量しつりょうのSI単位たんいであり、プランク定数ていすう h単位たんい J s (kg m2 s−1ひとしい)であらわしたときに、その数値すうち6.62607015×10−34さだめることによって定義ていぎされる。ここで、メートルおよびびょうc および ΔでるたνにゅーCs関連かんれんして定義ていぎされる。

アンペア[編集へんしゅう]

電流でんりゅう単位たんいであるアンペア定義ていぎ大幅おおはば見直みなおしがおこなわれた。きゅう定義ていぎ単位たんい電流でんりゅうおおきさは、充分じゅうぶん精度せいどをもってげんしめせするのがむずかしいという問題もんだいがあった[注釈ちゅうしゃく 14]しん定義ていぎは、電気でんきもとりょうもちいた直感ちょっかんてき定義ていぎとなった[注釈ちゅうしゃく 15]今回こんかいのアンペアのさい定義ていぎにおける電気でんきもとりょうは、不確ふたしかさのない固定こていされたとしてあらたにさだめられた。この変更へんこうにより、アンペアの定義ていぎはキログラムとメートルの定義ていぎ依存いぞんしなくなった。ただし、びょう定義ていぎにはつづ依存いぞんする。

電気でんきもとりょう定義ていぎとしたことで、電気でんきもとりょう密接みっせつ関係かんけいにある真空しんくう誘電ゆうでんりつ真空しんくうとおる磁率[注釈ちゅうしゃく 16]および真空しんくう特性とくせいインピーダンスは、かつては定義ていぎであったが、今回こんかいさい定義ていぎによって不確ふたしかさのある電気でんきもとりょうをはじめとするほか定義ていぎにより自然しぜん法則ほうそくから観測かんそくして)となった。

きゅう定義ていぎ

アンペアは、無限むげんながく、無限むげんちいさい円形えんけいだん面積めんせきつ 2 ほん直線ちょくせんじょう導体どうたい真空しんくうちゅうに 1 メートルの間隔かんかく平行へいこうにおいたとき、導体どうたいながさ 1 メートルにつき 2×10−7 ニュートンのちからおよぼしあう導体どうたいのそれぞれにながれる電流でんりゅうおおきさである。

しん定義ていぎ

アンペア(記号きごうは A)は、電流でんりゅうのSI単位たんいであり、電気でんきもとりょう e単位たんいC(A s にひとしい)であらわしたときに、その数値すうち1.602176634×10−19さだめることによって定義ていぎされる。ここで、びょうΔでるたνにゅーCs によって定義ていぎされる。

ケルビン[編集へんしゅう]

温度おんど単位たんいであるケルビン定義ていぎ根本こんぽんてき変更へんこうされた。きゅう定義ていぎは、地球ちきゅうじょう物質ぶっしつであるみず状態じょうたい変化へんかかんする温度おんど三重みえてん)の測定そくていによって温度おんど目盛めもりを定義ていぎするものであった。しん定義ていぎは、ねつ力学りきがく統計とうけい力学りきがくにおける基本きほんてき物理ぶつり定数ていすうであるボルツマン定数ていすうもちいる。ボルツマン定数ていすう不確ふたしかさのない固定こていされた定義ていぎとしてさだめることにより、ねつ現象げんしょうにかかわる自然しぜん現象げんしょうつうじて、ケルビンは定義ていぎされるようになった。

きゅう定義ていぎみず三重みえてん(ただし不確ふたしかさのあるである)のみに依存いぞんしていたが、ケルビンのしん定義ていぎびょうとメートル、キログラムの定義ていぎ依存いぞんすることになった。

きゅう定義ていぎ

ねつ力学りきがく温度おんど単位たんいケルビンは、みず三重みえてんねつ力学りきがく温度おんどの 1/273.16 である。

しん定義ていぎ

ケルビン(記号きごうは K)は、ねつ力学りきがく温度おんどのSI単位たんいであり、ボルツマン定数ていすう k単位たんい J K−1(kg m2 s−2 K−1ひとしい)であらわしたときに、その数値すうち1.380649×10−23さだめることによって定義ていぎされる。ここで、キログラム、メートルおよびびょうhc および ΔでるたνにゅーCs関連かんれんして定義ていぎされる。

モル[編集へんしゅう]

物質ぶっしつりょう単位たんいであるモル定義ていぎ根本こんぽんてき変更へんこうされた。きゅう定義ていぎは、特定とくてい物質ぶっしつ炭素たんそ12)に固有こゆう性質せいしつとキログラムの定義ていぎによっていた。しん定義ていぎでは、アボガドロすうあるいはアボガドロ定数ていすう単位たんい物質ぶっしつりょうふくまれる構成こうせい要素ようそかず)を不確ふたしかさのない定義ていぎとすることでさだめられている。今回こんかい定義ていぎ変更へんこうにより、モルはキログラムの定義ていぎ依存いぞんしなくなった。のみならず、定義ていぎのアボガドロ定数ていすう(アボガドロすう)のみによってさだめられており、のいかなる単位たんい定義ていぎ(すなわち物理ぶつり定数ていすう物質ぶっしつ特性とくせい)にも依存いぞんしない単位たんいとなった。

この定義ていぎ変更へんこうによって、従来じゅうらい定義ていぎであったいくつかの物理ぶつりりょう物質ぶっしつ固有こゆう物性ぶっせい不確ふたしかさがしょうじるようになった(後述こうじゅつ)。

きゅう定義ていぎ

1. モルは、0.012 kg炭素たんそ12にふくまれる原子げんしひとしいかず構成こうせい要素ようそふくけい物質ぶっしつりょうである。
2. モルを使つかうときは、よう素粒子そりゅうし指定していされなければならないが、それは原子げんし分子ぶんし、イオン、電子でんし、その粒子りゅうしまたはこのたね粒子りゅうし特定とくてい集合しゅうごうたいであってよい。

しん定義ていぎ

モル(記号きごうは mol)は物質ぶっしつりょうのSI単位たんいであり、1 モルには、厳密げんみつ6.02214076×1023よう素粒子そりゅうしふくまれる。このかずは、アボガドロ定数ていすうNA単位たんい mol−1あらわしたときの数値すうちであり、アボガドロすうばれる。 けい物質ぶっしつりょう記号きごうn)は、特定とくていされたよう素粒子そりゅうしかず尺度しゃくどである。よう素粒子そりゅうしは、原子げんし分子ぶんし、イオン、電子でんし、その粒子りゅうし、あるいは、粒子りゅうし集合しゅうごうたいのいずれであってもよい。

モルの定義ていぎ変更へんこう物理ぶつりりょう単位たんいあたえた影響えいきょう

モルのさい定義ていぎともない、以下いか不確ふたしかさのある、すなわち観測かんそく実験じっけんによってられるとなった。

  • 12Cモル質量しつりょう: きゅう定義ていぎでは正確せいかく12 g/molであった。しん定義ていぎでは、11.9999999958(36) g/molである[31]
  • モル質量しつりょう定数ていすう: きゅう定義ていぎでは正確せいかく1 g/molであった。しん定義ていぎでは、0.99999999965(30) g/molである[32]
  • 0.012 kg12C物質ぶっしつりょう: きゅう定義ていぎでは正確せいかく1 molであった。

つぎは、きゅう定義ていぎでもしん定義ていぎでも、不確ふたしかさのあるである。

  • 0.012 kg12Cふくまれる原子げんしすう: きゅう定義ていぎではアボガドロ定数ていすう不確ふたしかさがあるためしん定義ていぎではアボガドロ定数ていすう無関係むかんけい数値すうちとなったため、それぞれ不確ふたしかさがある。

統一とういつ原子げんし質量しつりょう単位たんい(ダルトン)の定義ていぎは、現行げんこうどおり12C質量しつりょう1/12のままである。よって、ダルトンを単位たんいとするかぎりは、新旧しんきゅう定義ていぎによらず以下いか影響えいきょう変化へんかはない。

  • ダルトンであらわしたときの12C質量しつりょう: あたらしい国際こくさい単位たんいけい定義ていぎでも、現行げんこうどおり正確せいかく12 ダルトンである。キログラムであらわしたときに不確ふたしかさのあるとなることも、現行げんこうどおりである。
  • ダルトンであらわしたときの原子げんし質量しつりょう定数ていすう: 現行げんこうどお正確せいかく1 ダルトンである。キログラムであらわしたときに不確ふたしかさのあるとなることも、現行げんこうどおりである。

なお、先述せんじゅつとおりボルツマン定数ていすう定義ていぎであり、アボガドロ定数ていすうもこの定義ていぎ定義ていぎとなった。したがって、これらのせきである気体きたい定数ていすう不確ふたしかさのない定義ていぎとなった。

カンデラ[編集へんしゅう]

光度こうど単位たんいであるカンデラ定義ていぎは、上述じょうじゅつ自然しぜん法則ほうそくおもきをおいた表現ひょうげん変更へんこうされたほかは、実質じっしつてき変更へんこうはなされていない。周波数しゅうはすう540×1012 Hz単色たんしょくこうかん効果こうかは、さい定義ていぎ前後ぜんごわらず固定こていされた不確ふたしかさのない定義ていぎのままである。また、びょうとメートル、キログラムの定義ていぎ依存いぞんするというてんも、さい定義ていぎ前後ぜんご変更へんこうはない。

きゅう定義ていぎ

カンデラは光度こうど単位たんいであり、周波数しゅうはすう 540×1012 ヘルツの単色たんしょく放射ほうしゃ放出ほうしゅつし、所定しょてい方向ほうこう放射ほうしゃ強度きょうどが 1/683 ワットごとステラジアンである光源こうげんのその方向ほうこうにおける光度こうど定義ていぎされる。

しん定義ていぎ

カンデラ(記号きごうは cd )は、所定しょてい方向ほうこうにおける光度こうどのSI単位たんいであり、周波数しゅうはすう 540×1012 Hz単色たんしょく放射ほうしゃかん効果こうか Kcd単位たんい lm W−1(cd sr W−1 あるいは cd sr kg−1 m−2·s3ひとしい)であらわしたときに、その数値すうちを 683 とさだめることによって定義ていぎされる。ここで、キログラム、メートルおよびびょうhc および ΔでるたνにゅーCs関連かんれんして定義ていぎされる。

再現さいげんせいへの影響えいきょう[編集へんしゅう]

今回こんかいのSI基本きほん単位たんい定義ていぎ変更へんこうは、「実践じっせんてき技術ぎじゅつ」をもちいた基本きほん単位たんい再現さいげんにおいて、以下いかひょうのようにかくかさ改善かいぜんをもたらした[15][33]具体ぐたいてきには、アンペアの定義ていぎにおいて相対そうたいてき不確ふたしかさはおよそ1/36に減少げんしょうした。改訂かいてい実質じっしつてき内容ないようおよんだほか単位たんい(kg, Kおよびmol)もきゅう定義ていぎにおいての相対そうたいてき不確ふたしかさのちいささを維持いじできており、このことはしん定義ていぎ受容じゅようにおいて重要じゅうようである。

新旧しんきゅうのSI基本きほん単位たんい定義ていぎにおいて、対応たいおうする物理ぶつり定数ていすう物性ぶっせい物理ぶつりがくてき測定そくてい相対そうたいてき不確ふたしかさ
単位たんい 参照さんしょうされる定数ていすう 記号きごう きゅう定義ていぎ しん定義ていぎ
s セシウム133の基底きてい状態じょうたいちょう微細びさい構造こうぞう周波数しゅうはすう ΔでるたνにゅーCs ΔでるたνにゅーCs定義ていぎとして、sには 1×10−14 [34]
m 光速こうそく c c定義ていぎとして、mには2.5×10−8 [34]
kg 国際こくさいキログラム原器げんき質量しつりょう m (K) 定義ていぎ 5.0×10−8
プランク定数ていすう h 5.0×10−8 定義ていぎ
A 磁気じき定数ていすう μみゅー0 定義ていぎ 6.9×10−10
電気でんきもとりょう e 2.5×10−8 定義ていぎ
K みず三重みえてん温度おんど TTPW 定義ていぎ 1.7×10−6
ボルツマン定数ていすう k 1.7×10−6 定義ていぎ
mol 12Cのモル質量しつりょう M (12C) 定義ていぎ 1.4×10−9
アボガドロ定数ていすう NA 1.4×10−9 定義ていぎ
cd 540 THzの単色たんしょくこうかん効果こうか Kcd 定義ていぎ[注釈ちゅうしゃく 17]

注釈ちゅうしゃく

  1. ^ 初版しょはんは2019ねん5がつ20日はつか公表こうひょう当該とうがいばん改訂かいていは2022ねん12がつである。
  2. ^ なお、定義ていぎ仕組しくじょう原理げんり原則げんそくてきには7つのSI基本きほん単位たんいは、27ある単位たんいのなかから「任意にんいに」えらばれ定義ていぎされたものである。すなわち、7つのSI基本きほん単位たんいと20の組立くみたて単位たんい根本こんぽんてき原理げんりじょう差異さいはない。
  3. ^ ここでは、人工じんこう有形ゆうけいてき存在そんざいという意味いみである。すなわちキログラム原器げんき(あるいはすで廃止はいしされたがメートル原器げんきとうのことである。
  4. ^ 人工じんこうぶつではないが、人類じんるい利用りようしやすい特定とくてい物質ぶっしつ物性ぶっせいという意味いみである。ここでは、ひょうにあるとおり、みず炭素たんそ12、セシウム133が該当がいとうする。
  5. ^ 自然しぜん記述きじゅつする、すなわち、自然しぜん法則ほうそくあらわすのにもちいられる物理ぶつり定数ていすうのことである。
  6. ^ なお、アンペアは、もとより物理ぶつり定数ていすうによる定義ていぎだが、単位たんいをさだめるにあたって精度せいど向上こうじょうするよう改訂かいていされている。
  7. ^ なお、今回こんかい改訂かいていされた単位たんいのモルは「非常ひじょうおおきなかず構成こうせい粒子りゅうし実用じつようてきかぞえるための単位たんい」であり、その定義ていぎため参照さんしょうする唯一ゆいいつ固定こていアボガドロ定数ていすう)もモルの逆数ぎゃくすう (mol-1)を単位たんいとするものであり、独立どくりつせいつよ単位たんいである。(もちろん、統計とうけい力学りきがくねつ力学りきがく化学かがく生物せいぶつがくなどの実践じっせんにおいて、モルが単位たんい不可分ふかぶん重要じゅうよう単位たんいであることにわりはない。)
  8. ^ 国際こくさいキログラム原器げんき質量しつりょうこそが「1 kg」なのだから、「キログラム原器げんき質量しつりょうなにkg変化へんかした」とうのは奇妙きみょうないいまわしではある。が、ここでは「キログラム原器げんきとしてつくられた有形ゆうけいてき存在そんざいであるひとひとつの器物きぶつについて、以前いぜん校正こうせいした天秤てんびん質量しつりょうはかると20 μみゅーg程度ていどわる可能かのうせいがある」という意味いみである。
  9. ^ このさい次回じかいだい25かいCGPMを2015ねんから2014ねん前倒まえだおして開催かいさいすることも決定けっていした。
  10. ^ SIの構築こうちく必要ひつよう物理ぶつりがくじょう基礎きそ定数ていすうなど。
  11. ^ 開催かいさい期日きじつは2018ねん11月13から16にちである。
  12. ^ sr は次元じげん単位たんいステラジアンである。
  13. ^ なおかつ、単位たんい従来じゅうらい定義ていぎからの変更へんこうによって、人類じんるい社会しゃかい活動かつどうとう実用じつようてき水準すいじゅんおおきな変化へんかがないように
  14. ^ きゅう定義ていぎ沿うならば、無限むげんほそく、無限むげんなが理想りそうてきしるべでんたい同一どういつおおきさの電流でんりゅうながし、それらのあいだにはたらく微細びさいちから理想りそうてき環境かんきょう計測けいそくする必要ひつようがあった。
  15. ^ しん定義ていぎでは、単位たんい時間じかん自然しぜん現象げんしょう電子でんし運動うんどうとう)に関与かんよする電荷でんかりょうさだめられており、文字通もじどお単位たんいりょうである「電流でんりゅう」が定義ていぎとなっている。
  16. ^ ただし、真空しんくうちゅう誘電ゆうでんりつとおる磁率のせき光速こうそくの2じょう逆数ぎゃくすうである。光速こうそくうえべたように不確ふたしかさのない定義ていぎであるから、誘電ゆうでんりつとおる磁率の不確ふたしかさは独立どくりつではなく、光速こうそくかいして相互そうご関係かんけいがある。
  17. ^ ヒトがある波長はちょう特定とくてい強度きょうどひかりをどの程度ていどあかるくかんじるかという観点かんてん単位たんいであり、相対そうたいてき不確ふたしかさのような数値すうち評価ひょうかとは一線いっせんかくしている。えて乱暴らんぼうないいかたをするならば「SIにおいてヒトは、1/683 W sr-1の540 THzの単色たんしょくこうてん光源こうげんを1 cdのあかるさであるとかんじよ」という定義ていぎであるが、ひかりあかるさをどうかんじるかということ自体じたい当然とうぜん個人こじん主観しゅかん視覚しかく能力のうりょくによってわるものである。このてんをどう客観きゃっかんするかについては、光度こうどカンデラ心理しんりてき物理ぶつりりょうかく記事きじ参照さんしょう

出典しゅってん[編集へんしゅう]

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  2. ^ “On the revision of the International System of Units (SI)” and Voting. 26 th CGPM The BIPM, Published on Nov 16, 2018 採択さいたく動画どうが(5ふん45びょうから12ふん50びょうまで)
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  4. ^ 「キログラム」定義ていぎ、130ねんぶりに改定かいてい 物理ぶつり定数ていすうもとに 日経にっけい電子でんしばん日本経済新聞にほんけいざいしんぶん)、2018-11-16
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書籍しょせき・ドキュメンタリー[編集へんしゅう]

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  • 安田やすだ 正美まさみ、”単位たんい進化しんかする - 究極きゅうきょく精度せいどをめざして”、DOJIN選書せんしょ 078、化学かがく同人どうじん、2018ねん8がつ20日はつかだい1はんだい1さつISBN 978-4-7598-1678-5
  • The Last Artifact Montana PBS, 57分間ふんかん広告こうこくのぞく)、2020  SI基本きほん単位たんいとくにキログラム)のさい定義ていぎをテーマにしたドキュメンタリーフィルム

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]