磁束じそく密度みつど

磁束じそく密度みつど; magnetic flux density
量りょう記号きごう	B
次元じげん	M T−2 I−1
種類しゅるい	ベクトル
SI単位たんい	T
CGS単位たんい	G
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磁束じそく密度みつど（じそくみつど、英えい: magnetic flux density）とは、文字通もじどおり単位たんい面積めんせき当あたり磁束じそく、磁束じそくの面めん密度みつどであり、ベクトル量りょうである。単たんに磁場じばと呼よばれることもある。もっぱら記号きごう B で表あらわされる。国際こくさい単位たんい系けい (SI)ではテスラ (T)、もしくはウェーバ毎まい平方へいほうメートル (Wb/m²)である。

磁束じそく密度みつどの記号きごう B はマクスウェルが用もちいたもので（A Treatise on Electricity and Magnetism.1873.P.P.236～237）、彼かれは数々かずかずの数量すうりょうについて単純たんじゅんにアルファベット順じゅんに文字もじを充あてたため、Ｂが特定とくていの語かたりの頭文字かしらもじという謂いわれはない。これは磁場じばＨについても同様どうようである。

定義ていぎ

磁束じそく密度みつどの定義ていぎについて、現在げんざい最もっとも広ひろく用もちいられるのは、ある電線でんせんについて流ながれる電流でんりゅう強度きょうどと電線でんせんに作用さようする力ちからとの比ひである。特とくに電流でんりゅう単位たんいを A、長ながさ単位たんい m 、力ちからを N/(Am) とした場合ばあいの磁束じそく密度みつど単位たんいは、テスラ [T] とされている。

電流でんりゅう強度きょうどの定義ていぎと合あわせて、電流でんりゅう１Aの無限むげん長ちょう電線でんせんにより1m離はなれた位置いちに生しょうじる磁場じばは２E-7テスラとなる。

単位たんい量りょうの電流でんりゅうが流ながれる電線でんせんの単位たんい長ちょう毎ごとに働はたらく電磁気でんじき的てきな力ちからはその場ばの磁束じそく密度みつどと等ひとし値ちである。

位置いち $x$ に於おいて、電流でんりゅう $I$ が流ながれている導線どうせんの長ながさ d $l$ の部分ぶぶんに作用さようする力ちから $dF$ は以下いかで与あたえられる。

\mathrm {d} {\boldsymbol {F}}=I\mathrm {d} {\boldsymbol {l}}\times {\boldsymbol {B}}({\boldsymbol {x}})

$B(x)$ が位置いち $x$ に於おける磁束じそく密度みつどである。但ただし×は外積がいせきである。また、この時ときの $F$ は電磁でんじ力りょくと呼よばれ、移動いどうする荷電かでん粒子りゅうしに働はたらくローレンツ力つとむの和やわである。

磁場じばと磁束じそく密度みつどの関係かんけい

磁場じばについては、「電流でんりゅうのもたらす磁場じば」と「電流でんりゅうに作用さようする磁場じば」とを区別くべつする必要ひつようがあるが、「磁束じそく」はもっぱら「電流でんりゅうに作用さようする」磁場じばを指さし、もう一方いっぽうの「電流でんりゅうのもたらす磁場じば」を単たんに「磁場じば」ないしは「磁界じかい」と呼よんで区別くべつする。

磁束じそく密度みつど ${\boldsymbol {B}}$ は磁場じば ${\boldsymbol {H}}$ と磁化じか ${\boldsymbol {M}}$ を用もちいて

{\boldsymbol {B}}=\mu _{0}({\boldsymbol {H}}+{\boldsymbol {M}})

同時どうじに

{\boldsymbol {H}}=\mu _{0}^{-1}{\boldsymbol {B}}-{\boldsymbol {M}}

の関係かんけいにある。ここで $\mu _{0}$ は電気でんき定数ていすう（真空しんくうの透とおる磁率）である。

線型せんけい媒質ばいしつ中ちゅうにおいては

{\boldsymbol {M}}=\chi _{\mathrm {m} }{\boldsymbol {H}}

であり

{\boldsymbol {B}}=\mu {\boldsymbol {H}}\ ,\quad \mu =\mu _{0}(1+\chi _{\mathrm {m} })

と書かき替かえられる。

電流でんりゅうによって決きまる磁場じば ${\boldsymbol {H}}$ に対たいして、磁束じそく密度みつど ${\boldsymbol {B}}$ はその点てんの磁場じば ${\boldsymbol {H}}$ に対たいする応答おうとう特性とくせいにも依存いぞんする。

詳細しょうさいは「磁化じか」を参照さんしょう

磁束じそくの保存ほぞん

空間くうかん内ないの任意にんいの領域りょういきについてその境界きょうかいでの磁束じそくの総和そうわはゼロである。

$\oint _{\partial V}\mathrm {d} {\boldsymbol {S}}\cdot {\boldsymbol {B}}=0$

これはこの領域りょういきを出でる磁束じそくと入はいる磁束じそくが等ひとしいことを表あらわし、~~磁束じそくが閉曲線へいきょくせんであることを意味いみしている。~~、磁束じそくの起点きてんや終点しゅうてん、つまり磁気じき単たん極きょく子こが存在そんざいしないことを意味いみしている。この式しきは発散はっさん定理ていりを用もちいれば

$\int _{V}\mathrm {d} ^{3}x\,\nabla \cdot {\boldsymbol {B}}=0$

と変形へんけいできる。領域りょういきは任意にんいなので被ひ積分せきぶん関数かんすうが 0 となり、

$\nabla \cdot {\boldsymbol {B}}=0$

が得えられる。これはマクスウェルの方程式ほうていしきの一ひとつである。

仮かりに磁気じき単たん極きょく子こが存在そんざいするならばこれらの式しきは

$\oint _{\partial V}\mathrm {d} {\boldsymbol {S}}\cdot {\boldsymbol {B}}=Q_{m}$

$\nabla \cdot {\boldsymbol {B}}=\rho _{m}$

と変更へんこうされる。ここで $Q_{m}$ は領域りょういき内ないの磁荷、 $\rho _{m}$ は磁荷密度みつどである。

飽和ほうわ磁束じそく密度みつど

飽和ほうわ磁束じそく密度みつどとは磁性じせい材料ざいりょうに外部がいぶ磁場じばを印加いんかしていくと磁界じかいをHmより大おおきくしてもBは飽和ほうわし増加ぞうかしなくなる。この点てんを飽和ほうわ磁束じそく密度みつどBmという^[1]。飽和ほうわ磁束じそく密度みつどが高たかいほど強力きょうりょくな磁石じしゃくとなる。磁束じそく密度みつどが飽和ほうわした後のち、外部がいぶ磁場じばを無なくしても強つよ磁性じせい体たいに残のこる磁束じそく密度みつどを残留ざんりゅう磁束じそくという。

脚注きゃくちゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

出典しゅってん

^ B-H曲線きょくせん(磁気じきヒステリシス曲線きょくせん)