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免疫めんえきグロブリンM

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
IgMの構造こうぞう。1はユニット単位たんい、2はじゅうくさり、3はけいくさり、4はJくさり、5は分子ぶんしないジスルフィド結合けつごう
IgMの構造こうぞうしきあおじゅうくさりけいくさり

免疫めんえきグロブリンM(めんえきグロブリンM、Immunoglobulin M、IgM)は、B細胞さいぼう存在そんざいする抗体こうたいのクラス(アイソタイプ)のひとつである。赤血球せっけっきゅうABOしき血液けつえきがた由来ゆらいとなるA抗原こうげん、B抗原こうげんたいするおも抗体こうたいもこれにぞくするものである。またヒトのなかではもっともサイズがおおきな抗体こうたいでもある。抗体こうたい脊椎動物せきついどうぶつにはられず、軟骨なんこつ魚類ぎょるい以降いこう脊椎動物せきついどうぶつつかっており、IgMのみがそのすべてで共通きょうつうられる。

構造こうぞう機能きのう[編集へんしゅう]

IgMでは、いくつかの免疫めんえきグロブリンジスルフィド結合けつごうでつながって多量たりょうたい形成けいせいしている。りょうたいおおいがろくりょうたいのものもあり、りょうたい分子ぶんしりょうやく900kである。1つのたんりょうたいが2つの抗原こうげん結合けつごう部位ぶいっているため、りょうたいのIgMには合計ごうけい10抗原こうげん結合けつごう部位ぶいがあることになる。しかし抗原こうげんのサイズがおおきいため、通常つうじょうIgMに10抗原こうげん同時どうじ結合けつごうすることはない。

JくさりりょうたいのIgMにはあるが、おそらく空間くうかん制約せいやくのためにろくりょうたいのIgMにはあらわれない。またJくさりいたりょうからだもある。現在げんざいのところ、りょうたいのどの部位ぶいにJくさりがあるかも、りょうたいには2つ以上いじょうのJくさりふくまれることがあるのかもかっていない[1]

IgMはとてもおおきな分子ぶんしであるため拡散かくさんしにくく、少量しょうりょうあいだしつえきなか存在そんざいし、ほとんどは血清けっせいなか存在そんざいする。

IgMは多量たりょうたいであるため、親和力しんわりょくおおきく、たい活性かっせいたかい。

発現はつげん[編集へんしゅう]

生殖せいしょく細胞さいぼうでは、じゅうくさりμみゅー領域りょういき遺伝子いでんしもっと先頭せんとう位置いちしている。このためIgMは成熟せいじゅくしたB細胞さいぼう最初さいしょ発現はつげんする免疫めんえきグロブリンである。

またIgMは20しゅうほどの胎児たいじ最初さいしょ発現はつげんする免疫めんえきグロブリン、系統けいとう発生はっせいがくてきもっとはやくに発達はったつした免疫めんえきグロブリンでもある[2]

医療いりょうてき重要じゅうようせい[編集へんしゅう]

感染かんせん初期しょき発現はつげん生体せいたい防御ぼうぎょはつ段階だんかいになうのはこのIgMにぞくすいずれかの抗体こうたいで、それらは症状しょうじょうすすむとふたた発現はつげんするようになる。またIgMにぞく抗体こうたいはヒトの胎盤たいばん通過つうかできない。

これらの2つの生物せいぶつがくてき性質せいしつによって、IgMは感染かんせんしょう診断しんだんもちいられる。患者かんじゃ血清けっせいなかにIgMがつかると感染かんせんしょうかかっていることを意味いみする。また新生児しんせいじ血清けっせいからつかると、先天せんてんせい風疹ふうしんなど子宮しきゅううちでの感染かんせんがあったことがかる。

その[編集へんしゅう]

IgMは、感染かんせん体験たいけんがなく免疫めんえきがないときでも、血清けっせいちゅう特異とくいてき抗原こうげん結合けつごうしていることがある。このためIgMは自然しぜん抗原こうげんばれることもある。この現象げんしょうはおそらくIgMの抗原こうげんとのたか親和しんわせいによるものであるものとおもわれる。たとえば赤血球せっけっきゅうちゅうでA抗原こうげん、B抗原こうげん結合けつごうしているIgM抗体こうたいなどである。

IgMは、血液けつえきがたちが輸血ゆけつけた場合ばあい血液けつえき凝固ぎょうこする現象げんしょうおも原因げんいんである。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ Erik J. Wiersma, Cathy Collins, Shafie Fazel, and Marc J. Shulman Structural and Functional Analysis of J Chain-Deficient IgM J. Immunol., Jun 1998; 160: 5979 - 5989.
  2. ^ Review of Medical Physiology by William Francis Ganong

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]