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ホフマイスターシリーズ (Hofmeister series) とは、水 みず を構造 こうぞう 化 か させる能力 のうりょく の順 じゅん にイオン を配列 はいれつ したものである。電解 でんかい 質 しつ による水 みず の構造 こうぞう の変化 へんか は、タンパク質 たんぱくしつ の溶解 ようかい 度 ど に関 かん する陽 ひ イオンおよび陰 かげ イオンの影響 えいきょう について研究 けんきゅう したドイツ の化学 かがく 者 しゃ フランツ・ホフマイスター によって初 はじ めて解明 かいめい された[ 1] 。ホフマイスター系列 けいれつ 、ホフマイスター順列 じゅんれつ 、ホフマイスター序列 じょれつ 、離 はなれ 液 えき 順列 じゅんれつ (りえきじゅんれつ、Lyotropic series)とも呼 よ ばれる。
1888年 ねん にホフマイスターは、陰 かげ イオンにおいて、塩 しお 析 に要 よう する最小 さいしょう 濃度 のうど を比較 ひかく し、次 つぎ のような順列 じゅんれつ を得 え た。
クエン酸 くえんさん イオン > 酒石酸 しゅせきさん イオン > 硫酸 りゅうさん イオン > 酢酸 さくさん イオン > Cl- > Br- > NO3 - > ClO3 - > I- > SCN-
陽 ひ イオンは、陰 かげ イオンほど大 おお きな差 さ は無 な いが、だいたい次 つぎ のようになる。
一価 いっか イオン Li+ > Na+ > K+ > Rb+ > Cs+
二 に 価 か イオン Mg2+ > Ca2+ > Sr2+ > Ba2+
ホフマイスターシリーズの仕組 しく みはまだ完全 かんぜん に明 あき らかになっていないが、水 みず そのものの構造 こうぞう というよりは、イオンとタンパク質 たんぱくしつ 、イオンと水 みず の相互 そうご 作用 さよう が変化 へんか していると考 かんが えられている[ 2] 。
効果 こうか の大 おお きいイオンは溶液 ようえき の表面張力 ひょうめんちょうりょく を増 ま し、非 ひ 極性 きょくせい 溶質 ようしつ の溶解 ようかい 度 ど を下 さ げる。また水 みず の乱雑 らんざつ さを下 さ げて疎水 そすい 効果 こうか を強 つよ めている。
効果 こうか の小 ちい さい I− や SCN− 、グアニジウムのような カオトロピック イオンや尿素 にょうそ は、むしろ水 みず の乱雑 らんざつ さを増 ま して疎水 そすい 性 せい 相互 そうご 作用 さよう によって折 お りたたまれた構造 こうぞう を伸 の ばした状態 じょうたい にする。しかし、こうして変性 へんせい したタンパク質 たんぱくしつ が凝集 ぎょうしゅう するための疎水 そすい 性 せい 相互 そうご 作用 さよう も失 うしな われた環境 かんきょう にあるため、タンパク質 たんぱくしつ は沈殿 ちんでん しない。尿素 にょうそ のこの効果 こうか は等 ひとし 電 でん 点 てん 電気 でんき 泳 およげ 動 どう に利用 りよう されている。またチオシアン酸 さん グアニジン は温和 おんわ な条件 じょうけん でタンパク質 たんぱくしつ を変性 へんせい させつつ可 か 溶化 か して、生体 せいたい から核酸 かくさん を分離 ぶんり するために利用 りよう されている。
^ Hofmeister, F. (1888) Arch. Exp. Pathol. Pharmacol. 24 : 247-260.
^ Zhang, Y.; Cremer, P. S. (2006). “Interactions between macromolecules and ions: The Hofmeister series”. Curr. Opin. Chem. Biol. 10 (6): 658–663. doi :10.1016/j.cbpa.2006.09.020 . PMID 17035073 .