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交差こうさ反応はんのうせい

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

一般いっぱんてき意味いみでの交差こうさ反応はんのうせい(こうさはんのうせい、えい: cross-reactivity)は、予期よきしたしゅ反応はんのう以外いがい反応はんのう開始かいしするけん物質ぶっしつ反応はんのうせいである。このことは、医学いがくにおける診断しんだんテストふくむ、あらゆる種類しゅるいのテストやアッセイ影響えいきょうおよぼし、にせ陽性ようせい原因げんいんとなる可能かのうせいがある。免疫めんえきがくでは、交差こうさ反応はんのうせい定義ていぎは、とく抗原こうげんたいする免疫めんえきけい応答おうとうす。免疫めんえきけいと2つのことなる病原びょうげんたい抗原こうげんとのあいだ、あるいは1つの病原びょうげんたい病原びょうげんたいじょうタンパク質たんぱくしつとのあいだ交差こうさ反応はんのうこる可能かのうせいがあり、これがアレルギー原因げんいんとなる場合ばあいもある。   

医療いりょう検査けんさにおける交差こうさ反応はんのうせい[編集へんしゅう]

迅速じんそく診断しんだん検査けんさ英語えいごばんふく医療いりょう検査けんさでは、交差こうさ反応はんのうせい交絡(こうらく)の原因げんいんとなる場合ばあいもあれば、有益ゆうえきたすけとなることもある。にせ陽性ようせいエラーをこす交絡のれいとして、ラテックス吸着きゅうちゃく試験しけん英語えいごばんにおいて、目的もくてき抗原こうげんではなくべつ抗原こうげん凝集ぎょうしゅうこる場合ばあいがあげられる。交差こうさ反応はんのうせい有益ゆうえきとなるれいとしては、抗原こうげん特異とくいてき抗体こうたい使用しようしてエプスタイン・バール・ウイルス検出けんしゅつするこのみせい抗体こうたい試験しけん英語えいごばんがある。また、交差こうさ反応はんのうせいは、ELISARIAなどの免疫めんえきおよびタンパク質たんぱくしつ結合けつごうベースのアッセイで妥当だとうせい確認かくにんするさいに、一般いっぱんてき評価ひょうかされる指標しひょうでもある。この場合ばあい交差こうさ反応はんのうせい通常つうじょう、アッセイの反応はんのう一連いちれん類似るいじ分析ぶんせきぶつ比較ひかくすることで定量ていりょうされ、パーセンテージであらわされる。実際じっさいには、複数ふくすう関連かんれん化合かごうぶつ一定いってい濃度のうど範囲はんい検量けんりょうせん作成さくせいし、検量けんりょうせん中点ちゅうてんIC50)を予測よそくして比較ひかくする。つぎにこのから、標的ひょうてき化合かごうぶつたいして干渉かんしょうする可能かのうせいがある化合かごうぶつたいするアッセイ応答おうとう推定すいている。

医薬品いやくひん開発かいはつへの応用おうよう[編集へんしゅう]

組織そしき交差こうさ反応はんのうせいアッセイ(tissue cross-reactivity assay)は、免疫めんえき組織そしき化学かがくもとづいた標準ひょうじゅんてき方法ほうほうであり、治療ちりょうよう抗体こうたいのヒトだいIあい試験しけんまえ必要ひつようである。

薬物やくぶつ検査けんさでは、おおくの尿にょうちゅう薬物やくぶつ検査けんさ免疫めんえき測定そくていほう使用しようするため、ある程度ていど交差こうさ反応はんのうせいがある。特定とくてい薬物やくぶつまたは化学かがく物質ぶっしつが、べつのカテゴリーの薬物やくぶつたいしてにせ陽性ようせいあたえることがある[1]

免疫めんえきがくにおける交差こうさ反応はんのうせい[編集へんしゅう]

免疫めんえきがくにおいて交差こうさ反応はんのうせいは、免疫めんえきばらとはことなる抗原こうげん抗体こうたいとのあいだ反応はんのうという、よりせま意味いみつ。また、交差こうさ反応はんのうせいかならずしも交差こうさ防御ぼうぎょ意味いみするものではないが、交差こうさ免疫めんえき(crossimmunity)や交差こうさ防御ぼうぎょ免疫めんえき(cross-protective immunity)とばれることもある[2]場合ばあいによっては、交差こうさ反応はんのう破壊はかいてき作用さようし、ある病原びょうげんたいたいする免疫めんえき応答おうとうが、べつ病原びょうげんたいたいする免疫めんえき応答おうとう妨害ぼうがいまたは低下ていかさせる可能かのうせいがある。

適応てきおう免疫めんえき応答おうとうは、それを刺激しげきした抗原こうげん免疫めんえきばらばれる)に特異とくいてきである。しかし、自然しぜんかい存在そんざいするかけじょう抗原こうげんおおくは、実際じっさいにはいくつかのエピトープふく高分子こうぶんし混合こんごうぶつである(たとえば、病原びょうげんたい毒素どくそタンパク質たんぱくしつ花粉かふんから)。ウイルスのような複雑ふくざつ抗原こうげん接触せっしょくすると、ウイルスのさまざまな高分子こうぶんしや、それぞれの高分子こうぶんし個々ここのエピトープにたいして、複数ふくすう免疫めんえき応答おうとう刺激しげきされる。たとえば、破傷風はしょうふう毒素どくそ単一たんいつタンパク質たんぱくしつ高分子こうぶんし抗原こうげんであるが、タンパク質たんぱくしつさん構造こうぞうおおくのことなるエピトープをもたらすため、おおくの免疫めんえき応答おうとう刺激しげきする。免疫めんえき応答おうとうこす毒素どくそは、その応答おうとう刺激しげきするエピトープをっている。タンパク質たんぱくしつ変性へんせいさせると、その機能きのううしなわせることができるが、免疫めんえきけい免疫めんえき応答おうとうこすことができるため、患者かんじゃがいあたえることなく免疫めんえきつくすことができる。

インフルエンザのかぶ多数たすうあり、あるかぶ反応はんのうしてさんされた抗原こうげんことなるかぶたいして防御ぼうぎょあたえる可能かのうせいがあるため、交差こうさ反応はんのうせいインフルエンザのワクチン接種せっしゅ影響えいきょうおよぼす[3]。ただし、交差こうさ反応はんのうせいきんえんのウイルスあいだである必要ひつようはなく、たとえば、インフルエンザウイルス特異とくいてきCD8+T細胞さいぼうCがた肝炎かんえんウイルス抗原こうげんとのあいだには交差こうさ反応はんのうせいがある[4]

アレルギー[編集へんしゅう]

また、病原びょうげんたい病原びょうげんたい食品しょくひんなど)にふくまれるタンパク質たんぱくしつとのあいだ交差こうさ反応はんのうこることもある。また、2つの病原びょうげんたいあいだ交差こうさ反応はんのうこることもある。たとえば、ラテックスバナナあいだのアレルゲン交差こうさ反応はんのうせい原因げんいんとして、ヘベイン英語えいごばんようタンパク質たんぱくしつドメインがかんがえられている[5]

交差こうさ反応はんのうせいは、おなしゅまたはことなるたねからの無関係むかんけいタンパク質たんぱくしつ同一どういつ炭水化物たんすいかぶつ構造こうぞうによってこされることがある。このような交差こうさ反応はんのうせい炭水化物たんすいかぶつ決定けってい因子いんし英語えいごばん(CCD)は、アレルギー検査けんさ英語えいごばんにおいて問題もんだいとなり、ぜん患者かんじゃやく5ぶんの1が、コアにαあるふぁ1,3結合けつごうフコースふくむAsn結合けつごうオリゴとう(N-グリカン)にたいするIgE抗体こうたいしめ[6]。CCDはあきらかにアレルギー症状しょうじょう誘発ゆうはつしないため、CCDへのIgEの結合けつごうもとづくin vitro検査けんさでの陽性ようせいは、にせ陽性ようせい評価ひょうかされるべきである。

交差こうさ反応はんのうれい
  • クラゲのきずでできるポリグルタミン酸ぐるたみんさん(PGA)から、納豆なっとうアレルギー[7]
  • 特定とくていのダニにかまれることで、Alpha-gal アレルギー(哺乳類ほにゅうるいにくアレルギー)[8]
  • 医療いりょう関係かんけいしゃ手袋てぶくろなどに使つかわれるラテックスのアレルギー患者かんじゃの30‐50%が、アボカド・バナナ・クリ・キウイなどの果物くだものともアレルギー症状しょうじょうがあり、ぎゃく果物くだものアレルギー患者かんじゃは11%程度ていどがラテックスにたいしてアレルギー症状しょうじょうこす[9]

参照さんしょう項目こうもく[編集へんしゅう]

  1. ^ Saitman A, Park HD, Fitzgerald RL (September 2014). "False-positive interferences of common urine drug screen immunoassays: a review". Journal of Analytical Toxicology. 38 (7): 387–96. doi:10.1093/jat/bku075. PMID 24986836
  2. ^ Porrozzi R, Teva A, Amaral VF, Santos da Costa MV, Grimaldi G (September 2004). "Cross-immunity experiments between different species or strains of Leishmania in rhesus macaques (Macaca mulatta)". The American Journal of Tropical Medicine and Hygiene. 71 (3): 297–305. doi:10.4269/ajtmh.2004.71.297. PMID 15381810
  3. ^ Mandelboim M, Bromberg M, Sherbany H, Zucker I, Yaary K, Bassal R, et al. (June 2014). "Significant cross reactive antibodies to influenza virus in adults and children during a period of marked antigenic drift". BMC Infectious Diseases. 14: 346. doi:10.1186/1471-2334-14-346. PMC 4107950. PMID 24950742
  4. ^ Kasprowicz V, Ward SM, Turner A, Grammatikos A, Nolan BE, Lewis-Ximenez L, Sharp C, Woodruff J, Fleming VM, Sims S, Walker BD, Sewell AK, Lauer GM, Klenerman P (March 2008). "Defining the directionality and quality of influenza virus-specific CD8+ T cell cross-reactivity in individuals infected with hepatitis C virus". The Journal of Clinical Investigation. 118 (3): 1143–53. doi:10.1172/JCI33082. PMC 2214846. PMID 18246203
  5. ^ Mikkola JH, Alenius H, Kalkkinen N, Turjanmaa K, Palosuo T, Reunala T (December 1998). "Hevein-like protein domains as a possible cause for allergen cross-reactivity between latex and banana". The Journal of Allergy and Clinical Immunology. 102 (6 Pt 1): 1005–12. doi:10.1016/S0091-6749(98)70339-2. PMID 9847442
  6. ^ Altmann F (2007). "The role of protein glycosylation in allergy". International Archives of Allergy and Immunology. 142 (2): 99–115. doi:10.1159/000096114. PMID 17033195
  7. ^ 日本にっぽん放送ほうそう協会きょうかい. “サーファーと納豆なっとう食物しょくもつアレルギーをこす意外いがいわせ - クローズアップ現代げんだい”. クローズアップ現代げんだい - NHK. 2023ねん4がつ26にち閲覧えつらん
  8. ^ CDC (2023ねん4がつ14にち). “Alpha-gal syndrome” (英語えいご). Centers for Disease Control and Prevention. 2023ねん4がつ27にち閲覧えつらん
  9. ^ 北林きたばやし, たいラテックスアレルギー 病態びょうたい生理せいり診断しんだん治療ちりょう」『日本にっぽんゴム協会きょうかいだい88かんだい9ごう、2015ねん、351–357ぺーじdoi:10.2324/gomu.88.351ISSN 0029-022X 

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]